JPH07126704A - 紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及びその製造法 - Google Patents

紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末及びその製造法

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JPH07126704A
JPH07126704A JP5297272A JP29727293A JPH07126704A JP H07126704 A JPH07126704 A JP H07126704A JP 5297272 A JP5297272 A JP 5297272A JP 29727293 A JP29727293 A JP 29727293A JP H07126704 A JPH07126704 A JP H07126704A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 保磁力Hcが1700〜2200Oeである
紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得
る。 【構成】 炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液
とを併用して第一鉄塩水溶液と反応させて得られたFe
CO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液を非酸化性雰囲気
下において熟成させた後、該懸濁液中に酸素含有ガスを
通気して酸化反応を行うことにより紡錘状を呈したゲー
タイト粒子を生成させるにあたり、酸化反応前の懸濁液
中に前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対しCo換算で
1.0〜8.0mol%の範囲の量のCo化合物を存在
させておくことによって紡錘状を呈したゲータイト粒子
を生成させ、該ゲータイト粒子又は該ゲータイト粒子を
加熱脱水して得られた紡錘状を呈したヘマタイト粒子
を、還元性ガス中で加熱還元する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、微粒子であり、且つ、
粒度が均斉であって樹枝状粒子が混在しておらず、しか
も、高い保磁力、殊に、保磁力Hcが1700〜220
0Oeである紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末及びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、ビデオ用、オーディオ用の磁気記
録再生用機器の長時間記録化、小型軽量化が進んでお
り、特に、昨今におけるVTR(ビデオ・テープ・レコ
ーダー)の普及は目覚ましく、長時間記録化並びに小型
軽量化を目指したVTRの開発が盛んに行われている。
一方においては、磁気記録媒体である磁気テープに対す
る高性能化、高密度記録化が要求されている。
【0003】即ち、磁気記録媒体の高画像画質、高出力
特性、殊に周波数特性の向上が要求され、その為には、
残留磁束密度Brの向上、高保磁力化並びに、分散性、
充填性、テープ表面の平滑性の向上が必要であり、S/
N比の向上が要求される。
【0004】磁気記録媒体のこれらの諸特性は磁気記録
媒体に使用される磁性粒子粉末と密接な関係を有するも
のであるが、近年においては、従来の酸化鉄磁性粒子粉
末に比較して高い保磁力と大きな飽和磁化を有する鉄を
主成分とする金属磁性粒子粉末が注目され、デジタルオ
ーディオテープ(DAT)、8mmビデオテープ並びに
Hi−8テープ等の磁気記録媒体に使用され実用化され
ている。しかしながらこれらの鉄を主成分とする金属磁
性粒子粉末についても更に特性改善が強く望まれてい
る。
【0005】今、磁気記録媒体の諸特性と使用される磁
性粒子粉末の特性との関係について詳述すれば次の通り
である。
【0006】ビデオ用磁気記録媒体として高画像画質を
得る為には、「日経エレクトロニクス」(1976年)
133号第82〜105頁の記録からも明らかな通り、
ビデオS/N比、クロマS/N比、ビデオ周波数
特性の向上が要求される。
【0007】ビデオS/N比及びクロマS/N比の向上
をはかる為には、磁性粒子粉末のビヒクル中での分散
性、塗膜中での配向性及び充填性を向上させること、並
びに、磁気記録媒体の表面平滑性を改良することが重要
であり、そのような磁性粒子粉末としては、微粒子であ
り、且つ、粒度が均斉であって、樹枝状粒子が混在して
おらず、しかも、軸比(長軸径/短軸径−以下同じ)が
大きいことが要求される。
【0008】一方、ビデオS/N比の向上を計る一つの
方法としては、磁気記録媒体に起因するノイズレベルを
低下させることが重要であり、金属磁性粒子粉末のノイ
ズに関して言えば、金属磁性粒子粉末のX線粒径とも関
係があることが知られている。
【0009】この現象は、例えば、総合電子リサーチ発
行「磁気記録媒体総合資料集」(昭和60年8月15
日)第123頁の「図38」等に示されている。「図3
8」は鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を用いて得ら
れる磁気テープにおける粒子のX線粒径とノイズの相関
を示す図であり、粒子のX線粒径が小さくなる程ノイズ
が小さくなることを示している。
【0010】従って、磁気記録媒体に起因するノイズレ
ベルを低下させる為には、金属磁性粒子のX線粒径をで
きるだけ小さくすることも有効な手段であり、上述した
通り、ヒデオS/N比の向上をはかり、ノイズレベルを
低下させる為には、金属磁性粒子粉末のX線粒径が小さ
いことが要求されている。
【0011】次に、ビデオ周波数特性の向上を図る為に
は、磁気記録媒体の保磁力が高く、且つ、残留磁束密度
Brが大きいことが必要である。磁気記録媒体の保磁力
を高める為には、磁性粒子粉末の保磁力ができるだけ高
いことが要求される。
【0012】磁性粒子粉末の保磁力は、一般にはその形
状異方性に起因して生じる為、粒子をできるだけ微細な
粒子とするか、粒子の軸比を大きくすることによって高
い保磁力が得られる。例えば、特公平1−18961号
公報の「‥‥保磁力は軸比が大きくなるほど大きくなる
が、一方、保磁力は、粒子サイズによって影響され、超
常磁性が現れる粒径以上の大きさでは粒子サイズが小さ
くなるほど大きくなる。従って、目的とする保磁力は、
粒子サイズとその軸比を適当に選ぶことによって得られ
る。‥‥」なる記載の通りである。
【0013】また、近時においては、家庭用ハイビジョ
ンVTRが開発され、そのVTRテープであるW−VH
S用テープに使用される鉄を主成分とする金属磁性粒子
粉末はより微細な粒子が要求される。
【0014】それは、例えば、「日経マテリアル&テク
ノロジー」(1993年)第128号第14〜15頁の
「‥‥家庭用ハイビジョンVTRシステム「W−VH
S」規格向けVTRテープを開発した。‥‥厚さ0.2
〜0.4μmのメタル(鉄系)磁性体の上層と、2〜3
μm厚の非磁性体の下層からなる2層構造を採ってい
る。‥‥メタル磁性体の層を極限まで薄くしたのが開発
の成功したポイントになっている。‥‥高精細な画像を
録画・再生するハイビジョンVTRでは、高密度記録す
るために、記録信号を低ノイズで記録・再生することが
要求される。‥‥磁性層のメタル磁性粉の改善も進め
た。‥‥粒子をさらに微細化し保磁力および飽和磁束密
度を向上させた。‥‥磁性体粒子は針状のものを使う
が、‥‥長軸を0.1μmとS−VHS用磁性体の約半
分の長さにしている。‥‥」なる記載の通りである。
【0015】鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、一
般に、出発原料であるゲータイト粒子、これを加熱脱水
して得られるヘマタイト粒子又はこれら粒子に鉄以外の
異種金属を含有する粒子を、必要により加熱処理した
後、還元性ガス中、加熱還元することにより得られてい
る。
【0016】従来、出発原料であるゲータイト粒子粉末
を製造する方法としては、第一鉄塩水溶液に当量以上の
水酸化アルカリ水溶液を加えて得られる水酸化第一鉄コ
ロイドを含む懸濁液をpH11以上にて80℃以下の温
度で酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより
針状ゲータイト粒子を生成させる方法(特公昭39−5
610号公報等、−以下、水酸化鉄系ゲータイト粒子と
いう。−)及び第一鉄塩水溶液と炭酸アルカリ水溶液又
は炭酸アルカリ・水酸化アルカリ混合水溶液とを反応さ
せ得られたFeCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液に
酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うことにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させる方法(特開昭5
0−80999号公報や特開平2−51429号公報
等、−以下、炭酸鉄系ゲータイト粒子という。−)等が
知られている。
【0017】これら水酸化鉄系ゲータイト粒子や炭酸鉄
系ゲータイト粒子等のゲータイト粒子粉末を出発原料粒
子として鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得る先行
技術として、特公昭55−29577号公報、特公平1
−18961号公報、特公平2−57122号公報、特
公平3−43323号公報、特開昭63−222404
号公報、特開平4−63210号公報、特開平5−62
166号公報及び特開平5−98321号公報等が挙げ
られる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】前出水酸化鉄系ゲータ
イト粒子は、軸比の大きな、殊に、10以上の針状ゲー
タイト粒子が生成するが、樹枝状粒子が混在しており、
また、粒度が均斉であるとは言えず、例えば、前掲特開
平5−62166号公報の「‥‥第1鉄塩の水酸化アル
カリによる加水分解物を空気酸化することにより製造さ
れている。この方法によれば、ゲーサイト粒子を微細化
するためには、反応系中に、例えば、水可溶性ケイ酸塩
を添加する‥‥粒子に枝が発生し易く‥‥メタル磁性粉
の粒度分布に広がりをきたす‥‥ゲーサイト粒子を極限
まで微細化し、しかも粒度分布の均斉化を計ろうとする
と、上述の水酸化アルカリ法には限界がある。‥‥」な
る記載の通りである。
【0019】それに対し、前出炭酸鉄系ゲータイト粒子
は、粒度が均斉であり、また、樹枝状粒子が混在してい
ない紡錘状を呈した粒子が生成するが、一方、軸比は高
々7程度であり、軸比の大きな粒子が生成し難いという
欠点があり、例えば、前掲特開平5−62166号公報
の「‥‥第一鉄塩を炭酸アルカリで加水分解した後、空
気酸化することにより得られる紡錘型ゲーサイト粒子が
微細化と粒度分布の均斉化‥‥このゲーサイトは、一般
に軸比が小さく、形状異方性により高保磁力化すること
が困難と考えられ‥‥」なる記載の通りである。
【0020】そこで、本発明者は、前出水酸化鉄系ゲー
タイト粒子を出発原料粒子として鉄を主成分とする金属
磁性粒子粉末を得た場合と前出炭酸鉄系ゲータイトを出
発原料粒子として鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を
得た場合とを、前掲各先行技術により詳細に検討した。
【0021】前掲特公昭55−29577号公報記載の
技術は、Coを均一に含有する針状ゲータイト(出願人
注:水酸化鉄系ゲータイト粒子である。)を生成させ、
これを水素還元してFe−Coの合金針状粒子を得る方
法であるが、その実施例3及び実施例4においてCoの
添加量をそれぞれ20mol%、25mol%添加する
と長軸径が0.2μm、0.1μmの微細な粒子が得ら
れているが、保磁力Hcはたかだか1120Oe、10
00Oeと低く、しかも、Coの添加量を増やすと保磁
力は低下する。
【0022】前掲特公平1−18961号公報記載の技
術は、長軸径が0.05〜0.3μm、短軸径が0.0
15〜0.04μmで軸比が3〜15の紡錘型ゲーサイ
ト(出願人注:炭酸鉄系ゲータイト粒子である。)を用
いることにより長軸径が0.05〜0.2μm、軸比が
4〜8、保磁力Hcが1300Oe以上の金属磁性粉が
得られる方法であるが、得られた金属磁性粒子粉末の保
磁力Hcは、その実施例からいずれも1700Oe以下
のものしか得られていない。
【0023】前掲特公平2−57122号公報記載の技
術は、鉄もしくは鉄を主体とし、Ni、Coなどの他の
元素を含む金属の酸化物または水和酸化物の表面にA
l、Cr、CeまたはNdの水溶性塩並びに水溶性のホ
ウ酸化合物もしくは過ホウ酸化合物を付着し、次いで、
還元性ガス中で該粉末を還元することにより鉄または鉄
を主体とする磁性金属粉末を製造する方法であるが、そ
の実施例1乃至実施例3において保磁力Hcが最も高い
もので1840Oeが得られてはいるが、いずれも水酸
化鉄系ゲータイト粒子を用いたものである。実施例4及
び実施例5に記載されているものは、炭酸鉄系ゲータイ
ト粒子を用いたもので保磁力Hcも1430〜1600
Oeである。
【0024】前掲特公平3−43323号公報記載の技
術は、第1鉄塩水溶液に、炭酸ソーダ及び水溶性のC
o、Ni、Cu化合物の内より選ばれた化合物の1種以
上を含む水溶液を混合し、空気を吹き込んでα−FeO
OHを生成(出願人注:炭酸鉄系ゲータイト粒子であ
る。)させた後、還元して金属磁性粉末を製造する方法
であるが、得られた金属磁性粒子粉末の保磁力Hcは7
00〜1200Oeである。
【0025】前掲特開昭63−222404号公報記載
の発明は、特公平2−57122号公報(特開昭61−
186410号公報)の関連発明であるが、具体的方法
が記載されていないため、ゲータイト粒子の生成がいず
れの方法であるかは不明である。しかし、炭酸鉄系ゲー
タイト粒子を出発原料として用いた場合には、前掲特公
平1−18961号公報及び前掲特公平3−43323
号公報に記載されているように保磁力Hcが1700O
eを越える金属磁性粒子粉末は得られていないことか
ら、水酸化鉄系ゲータイト粒子を用いることによって1
900Oe以上の保磁力Hcが得られているのではない
かと推定できる。
【0026】前掲特開平4−63210号公報記載の技
術によれば、アルカリ水溶液として炭酸アルカリ水溶液
と水酸化アルカリ水溶液とを併用して第一鉄塩水溶液と
反応させて得られたFeCO3 又は鉄含有沈澱物を含む
懸濁液中に、亜鉛化合物を存在させた場合には、軸比を
一層向上させることができ、殊に、軸比が15以上を有
する紡錘状を呈したゲータイト粒子(出願人注:炭酸鉄
系ゲータイト粒子である。)を生成させることができ、
得られる金属磁性粒子粉末の保磁力を大きくすることが
でき、実施例11乃至実施例17から保磁力Hcが17
00Oeを越えるものが得られているが、長軸径は0.
23〜0.33μmと大きいものである。
【0027】特開平5−62166号公報のものは、第
1鉄塩と、Ni、Co、Zn及びMnから成る群から選
ばれる金属塩とを、炭酸アルカリで加水分解することに
より生じた沈澱物スラリーを空気酸化して製造された添
加金属含有の紡錘型ゲーサイト(出願人注:炭酸鉄系ゲ
ータイト粒子である。)を出発原料とする紡錘型メタル
磁性粉であるが、その実施例においてはいずれも添加金
属はNiのみであり、得られたメタル磁性粉の長軸径が
0.10〜0.20μmと小さいものではあっても保磁
力Hcは1700Oe以下である。
【0028】特開平5−98321号公報記載のもの
は、第一鉄塩とアルカリを混合した水懸濁液に、酸化性
ガスを吹き込むことによって得られたオキシ水酸化鉄を
主体とする種結晶の粒子表面に、酸化反応途中におい
て、該懸濁液に非酸化性雰囲気下、希土類元素化合物お
よび/またはケイ素化合物の水溶液を加え、酸化反応温
度以上の温度で熟成後、再び酸化性ガスを吹き込んでオ
キシ水酸化鉄結晶を成長させた後、形状保持剤を被覆
し、加熱処理し、還元性ガスで加熱還元することにより
得られた金属磁性粉末であるが、実施例1乃至実施例8
に記載のゲータイト粒子はいずれも水酸化鉄系ゲータイ
ト粒子であり、実施例9に記載のゲータイト粒子は炭酸
鉄系ゲータイト粒子であるが、紡錘状ゲータイト粒子の
粒子表面に第一鉄塩とNdとSiとを被覆処理をしてい
るのであって、酸化途中に前記化合物を添加して成長反
応させているものとは異なり、得られた金属磁性粉末の
保磁力Hcも1602Oeである。
【0029】以上の結果から、水酸化鉄系ゲータイト粒
子を出発原料として得られる鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末では1700Oeを越える高い保磁力を得るこ
とはできるが、炭酸鉄系ゲータイト粒子粉末を出発原料
とした場合には、保磁力Hcが1700Oeを越える微
粒子の鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は得られてい
ないといえる。
【0030】そこで、本発明は、炭酸鉄系ゲータイト粒
子を出発原料とし、微粒子であり、且つ、粒度が均斉で
あって樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、高い保磁
力、殊に、保磁力Hcが1700〜2200Oeである
紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得
ることを技術的課題とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】前記技術的課題は、次の
通りの本発明によって達成できる。
【0032】即ち、本発明は、X線粒径が120〜16
0Åであり、且つ、平均長軸径が0.05〜0.18μ
m、短軸径が0.010〜0.018μm、軸比(長軸
径/短軸径)が4〜15であって、しかも、保磁力Hc
が1700〜2200OeであることからなるCoを含
有する紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉
末又はCoとAlとを含有する紡錘状を呈した鉄を主成
分とする金属磁性粒子粉末である。
【0033】また、本発明は、炭酸アルカリ水溶液と第
一鉄塩水溶液とを反応させて得られたFeCO3 又は鉄
含有沈澱物を含む懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟
成させた後、該懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化
反応を行うことにより紡錘状を呈したゲータイト粒子を
生成させるにあたり、前記炭酸アルカリ水溶液及び熟成
する前の前記FeCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液
のいずかの液中に、前記炭酸アルカリ水溶液に対してモ
ル比で0.2〜1.0の水酸化アルカリ水溶液を添加す
ることによって炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ
水溶液の総和量を前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し
1.3〜1.8当量とし、前記熟成における温度範囲を
40〜60℃、熟成時間を2〜7時間の範囲とし、前記
第一鉄塩水溶液、前記FeCO3 又は鉄含有沈澱物を含
む懸濁液及び酸化反応を行う前の前記熟成させたFeC
3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれかの液中
に、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し
Co換算で1.0〜8.0mol%の範囲の量のCo化
合物を存在させておくとともに、 前記酸化反応の温度
範囲を40〜60℃とすることにより、紡錘状を呈した
ゲータイト粒子を生成させるか、必要により、前記酸化
反応の酸化率が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し5
0〜90%の範囲にある酸化反応途上の液中に、前記酸
化反応と同条件下において、Al、Si、Ca、Mg、
Ba、Sr及びNd等の希土類元素から選ばれる1種又
は2種以上の化合物の水溶液、又は、Al化合物の水溶
液と、Si、Ca、Mg、Ba、Sr及びNd等の希土
類元素から選ばれる1種又は2種以上の化合物の水溶液
とを、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し添加する化
合物の各元素換算の総和で0.1〜5.0mol%の範
囲の量となるように添加するか、のいずれかにより紡錘
状を呈したゲータイト粒子を生成させ、該紡錘状を呈し
たゲータイト粒子又は該紡錘状を呈したゲータイト粒子
を加熱脱水して得られた紡錘状を呈したヘマタイト粒子
を、還元性ガス中で加熱還元することからなる紡錘状を
呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の製造法であ
る。
【0034】次に、本発明実施にあたっての諸条件につ
いて述べる。
【0035】本発明において使用される第一鉄塩水溶液
としては、硫酸第一鉄水溶液、塩化第一鉄水溶液等を挙
げることができる。
【0036】本発明において使用される炭酸アルカリ水
溶液としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水
溶液、炭酸アンモニウム水溶液等を挙げることができ
る。
【0037】本発明において使用される水酸化アルカリ
水溶液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等
を挙げることができる。
【0038】本発明においては、炭酸アルカリ水溶液と
水酸化アルカリ水溶液とを併用する。炭酸アルカリ水溶
液を単独で使用した場合には、軸比の大きなゲータイト
粒子が得られないので、保磁力Hcの大きな鉄を主成分
とする金属磁性粒子が得られ難い。また、水酸化アルカ
リ水溶液を単独で使用した場合には、微粒子のゲータイ
ト粒子が得られ難く、粒度も均斉なものとは言い難く、
しかも、樹枝状粒子が混在することもあるので、微粒子
で粒度が均斉な鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末が得
られ難い。
【0039】水酸化アルカリ水溶液は、炭酸アルカリ水
溶液に対してモル比で0.2〜1.0の水酸化アルカリ
水溶液を添加する。0.2モル未満の場合には、炭酸ア
ルカリ水溶液を単独で使用した場合と同様に、軸比の大
きなゲータイト粒子が得られないので、保磁力Hcの大
きな鉄を主成分とする金属磁性粒子が得られ難い。1.
0モルを越える場合には、水酸化アルカリ水溶液を単独
で使用した場合と同様に、微粒子のゲータイト粒子が得
られ難く、粒度も均斉なものとは言い難い。しかも、樹
枝状粒子が混在することがあり、また、粒状粒子が混在
することもある。従って、微粒子で粒度が均斉な鉄を主
成分とする金属磁性粒子粉末が得られ難い。
【0040】炭酸アルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水
溶液の総和量は、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.
3〜1.8当量とし、1.3当量未満の場合には、軸比
の大きなゲータイト粒子が得られ難く、粒状粒子が混在
することもある。1.8当量を越える場合には、軸比の
大きなゲータイト粒子が得られ難い。
【0041】従って、当該反応液のpH値は、通常の炭
酸鉄系ゲータイト粒子の生成反応と同様に7.0〜1
1.0の範囲であり、より好ましいpH値は8.0〜1
0.0である。
【0042】本発明における水酸化アルカリ水溶液の添
加時期は、炭酸アルカリ水溶液及び熟成する前の前記F
eCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずかの液中
にである。殊に炭酸アルカリ水溶液へ添加することが好
ましい。
【0043】本発明における熟成は、非酸化性雰囲気下
において温度範囲を40〜60℃、熟成時間を2.0〜
7.0時間の範囲として行う。40℃未満の場合には、
ゲータイト粒子の粒子の大きさは小さくなるが軸比の大
きなものが得られ難く、60℃を越える場合には、粒子
の小さなゲータイト粒子が得られ難い。
【0044】熟成時間が2.0時間未満の場合には、粒
子の小さなゲータイト粒子が得られ難く、7.0時間を
越える場合にも、本発明の目的とするゲータイト粒子が
得られるが、必要以上に長くする意味がない。
【0045】非酸化性雰囲気は、前記懸濁液の反応容器
内に不活性ガス(N2 ガスなど)を通気させることによ
り形成できる。
【0046】本発明において使用されるCo化合物とし
ては、硫酸コバルト、塩化コバルト、硝酸コバルト等を
挙げることができる。
【0047】Co化合物は第一鉄塩水溶液中のFe2+
対しCo換算で0.1〜8.0mol%の範囲の量であ
る。0.1mol%未満の場合には、軸比の大きなゲー
タイト粒子が得られ難い。8.0mol%を越える場合
には、微粒子のゲータイト粒子は得られるが、軸比が小
さくなる。
【0048】Co化合物の添加時期は、第一鉄塩水溶
液、FeCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液及び酸化
反応を行う前の熟成されているFeCO3 又は鉄含有沈
澱物を含む懸濁液のいずれかの液中にである。殊に酸化
反応を開始する15分前乃至直前迄の間に添加すること
が好ましい。
【0049】本発明における酸化反応の温度範囲は40
〜60℃である。40℃未満の場合には、微粒子のゲー
タイト粒子は得られるが、軸比が小さくなる。60℃を
越える場合には、本発明の目的とする微粒子のゲータイ
ト粒子は得られるが、粒状粒子が混在することがある。
【0050】本発明において使用されるAl化合物とし
ては、硫酸アルミニウム、塩化アルミニウム、硝酸アル
ミニウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カリウ
ム、アルミン酸アンモニウム等を挙げることができる。
【0051】また、Ca、Mg、Ba、Sr及びNd等
の希土類元素から選ばれる1種又は2種以上の化合物の
水溶液としては、各元素の硫酸塩、塩化物、硝酸塩等の
水可溶性の塩を挙げることができる。なお、Si化合物
については、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、水ガ
ラス等を使用できる。
【0052】Nd等の希土類元素としては、Ndの他に
Y、La、Ce、Pr、Tb等の元素を挙げることがで
きる。
【0053】本発明においては、酸化反応の酸化率が第
一鉄塩水溶液中のFe2+に対し50〜90%の範囲にあ
る酸化途上の液中に、酸化反応と同条件下においてA
l、Si、Ca、Mg、Ba、Sr及びNd等の希土類
元素から選ばれる1種又は2種以上の化合物の水溶液又
はAlとSi、Ca、Mg、Ba、Sr及びNd等の希
土類元素から選ばれる1種又は2種以上の化合物の水溶
液とを、第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し添加する化合
物の各元素換算の総和で0.1〜5.0mol%の範囲
の量となるように添加することができる。
【0054】酸化反応の酸化率が50%未満の場合に
は、微粒子且つ軸比の大きな紡錘状を呈したゲータイト
粒子の生成を妨げる。90%を越える場合には、すでに
ゲータイト粒子の生成が終了間近であり、添加した元素
がゲータイト粒子の粒子表面に固溶しないこともあり、
また、粒状粒子が混在することがある。従って、好まし
い範囲は70〜85%である。
【0055】前記添加する化合物の添加量が各元素換算
の総和で0.1mol%未満の場合には、焼結防止効果
が十分ではなく、鉄を主成分とする金属磁性粒子とした
場合の酸化安定性及び保磁力向上が不十分である。5.
0mol%を越える場合には、還元時間が長くなり、ま
た、飽和磁化値が低下することがある。
【0056】本発明においては、Alをゲータイト粒子
の粒子表面に固溶させることが好ましく、これは、鉄を
主成分とする金属磁性粒子とした場合の形状保持性や酸
化安定性に優れたものとなるばかりでなく、磁気記録媒
体とした場合において結合剤樹脂とのなじみが良くな
り、分散性や耐久性にも優れたものとなるからである。
従って、Alと前記Al以外の元素とを組み合わせて用
いることが好ましい。
【0057】また、Si元素を用いた場合には、焼結防
止効果が特に優れており、Ca、Mg、Ba、Srの各
元素を用いた場合には、それぞれ塩基性物質であるか
ら、磁気記録媒体に使用される−COOM、−SO3
(Mは金属)などの酸性官能基を有する結合剤樹脂との
なじみが良いので分散性を向上させることができる。
【0058】また、Nd等の希土類元素を用いた場合に
は、焼結防止効果を発揮できるとともに、塩基性物質な
ので前記結合剤樹脂とのなじみも良く分散性を向上させ
ることができる。
【0059】従って、本発明における前記各化合物の添
加は、酸化反応の酸化率が50〜90%の範囲におい
て、目的に応じて、元素の組み合わせと添加量とを適宜
組み合わせて使用することが好ましい。
【0060】本発明における酸化手段は、酸素含有ガス
(例えば空気)を液中に通気することにより行い、ま
た、機械的攪拌を併用してもよい。
【0061】本発明においては、生成された紡錘状を呈
したゲータイト粒子を、常法により濾過、水洗、乾燥す
ることにより粒子粉末を得る。
【0062】本発明によって得られた紡錘状を呈したゲ
ータイト粒子粉末は、平均長軸径が0.05〜0.20
μm、短軸径が0.010〜0.020μm、軸比が4
〜15である。
【0063】より好ましい紡錘状を呈したゲータイト粒
子粉末としては、平均長軸径が0.05〜0.17μ
m、短軸径が0.010〜0.017μm、軸比が6〜
12である。
【0064】また、必要により、紡錘状を呈したゲータ
イト粒子を加熱脱水して得られた紡錘状を呈したヘマタ
イト粒子を用いることができる。加熱脱水は、通常行わ
れている方法でよく、この場合の加熱脱水温度は250
〜500℃である。
【0065】なお、得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末又は必要により該ゲータイト粒子粉末を脱水し
て得られた紡錘状を呈したヘマタイト粒子粉末を水に懸
濁させた懸濁液中に、水又は温水に可溶な半合成澱粉ま
たは半合成セルロースを紡錘状を呈したゲータイト粒子
又は紡錘状を呈したヘマタイト粒子に対して0.1〜
5.0重量%添加・攪拌した後、圧縮脱水して得たケー
キを造粒・成形することもでき、非還元性ガス雰囲気中
における加熱処理や還元処理等の加熱処理において取り
扱いが容易となるので好ましい。
【0066】本発明の実施に当たっては、加熱還元時の
粒子形状のくずれ及び粒子間の焼結を防止する為に、あ
らかじめ、ゲータイト粒子粉末又はヘマタイト粒子粉末
をNi、Al、Si、P、Co、Ca、Mg、Ba、S
r、Bi、B、Zn及びNd等の希土類元素から選ばれ
る金属化合物の種又は2種以上を常法により被覆処理す
ることが望ましい。これらの金属化合物は焼結防止効果
を有するだけでなく、還元速度を制御する働きも有する
ので、必要に応じて組み合わせて使用することが好まし
い。
【0067】上記金属化合物で被覆処理を施した粒子粉
末は、そのまま還元しても目的とする鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末を得ることができるが、磁気特性のコ
ントロール及び形状のコントロールの為には、還元に先
立って、あらかじめ、非還元性ガス雰囲気中において加
熱処理を施しておくことが好ましい。
【0068】上記非還元性ガス雰囲気中における加熱処
理は、空気、酸素ガス、窒素ガス流下、300〜800
℃の温度範囲で焼きなましを行うことができ、該加熱処
理温度は、粒子粉末の被覆処理に用いた金属化合物の種
類に応じて適宜選択することがより好ましい。800℃
を越える場合には、粒子の変形と粒子及び粒子相互間の
焼結を引き起こしてしまう。
【0069】本発明における加熱還元の温度範囲は30
0〜550℃が好ましい。300℃未満の場合には、還
元反応の進行が遅く、長時間を要する。また、550℃
を越える場合には、還元反応が急激に進行して粒子の変
形と、粒子及び粒子相互間の焼結を引き起こしてしま
う。
【0070】本発明における加熱還元後の鉄を主成分と
する金属磁性粒子粉末は周知の方法、例えば、トルエン
等の有機溶剤中に浸漬する方法及び還元後の鉄を主成分
とする金属磁性粒子粉末の雰囲気を一旦不活性ガスに置
換した後、不活性ガス中の酸素含有量を徐々に増加させ
ながら最終的に空気とすることによって徐酸化する方法
により空気中に取り出すことができる。
【0071】本発明によって得られた紡錘状を呈した鉄
を主成分とする金属磁性粒子粉末は、X線粒径が120
〜160Åであり、且つ、平均長軸径が0.05〜0.
18μm、短軸径が 0.010〜0.018μm、軸
比が4〜15、Co含有量が1.0〜7.5wt%であ
って、しかも、保磁力Hcが1700〜2200Oeの
範囲からなる紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末である。
【0072】より好ましい紡錘状を呈した金属磁性粒子
粉末としては、平均長軸径が0.05〜0.15μm、
短軸径が0.010〜0.015μm、軸比が5〜10
であって、しかも、保磁力Hcが1800〜2000O
eの範囲である。
【0073】
【作用】前述した通りの構成を採る本発明の作用は次の
通りである。
【0074】前述した通り、鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末は、出発原料であるゲータイト粒子、これを加
熱脱水して得られるヘマタイト粒子、又はこれら粒子に
鉄以外の異種金属を含有する粒子を必要により加熱処理
した後、還元性ガス中、加熱還元することにより得られ
ている。
【0075】その出発原料であるゲータイト粒子粉末を
製造する方法としては、水酸化鉄系ゲータイト粒子を得
る方法や炭酸鉄系ゲータイト粒子を得る方法が知られて
おり、それぞれに特徴がある。即ち、水酸化鉄系ゲータ
イト粒子は、軸比の大きな針状粒子が生成するが樹枝状
粒子が混在しており、また、粒度が均斉であるとは言い
難いものであり、一方、炭酸鉄系ゲータイト粒子は、粒
度が均斉であり樹枝状粒子が混在していない紡錘状を呈
した粒子であるが軸比の大きな粒子が生成し難いという
ものである。
【0076】一方、高い保磁力を有する鉄を主成分とす
る金属磁性粒子粉末を得ようとする場合には、前述した
通り、磁性粒子粉末の保磁力はその形状異方性に起因し
て生じる為、粒子をできるだけ微細な粒子とするか、ま
たは、粒子の軸比を大きくすることである。即ち、水酸
化鉄系ゲータイト粒子を出発原料とする場合には、その
特徴である大きな軸比を利用することにより1700O
eを越える高い保磁力を有する鉄を主成分とする金属磁
性粒子粉末が得られているが、炭酸鉄系ゲータイト粒子
を出発原料とする場合には、微粒子で保磁力Hcが17
00Oeを越える高い保磁力を有する鉄を主成分とする
金属磁性粒子粉末は得られていない。
【0077】そこで、本発明者は、微粒子且つ粒度が均
斉な粒子が得られ易い炭酸鉄系ゲータイト粒子を出発原
料とし、微粒子であり、且つ、粒度が均斉であって樹枝
状粒子が混在しておらず、しかも、高い保磁力、殊に、
保磁力Hcが1700〜2200Oeである紡錘状を呈
した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末を得ることに取
り組んだ。
【0078】そのためには、先ず、炭酸鉄系ゲータイト
粒子を生成するに際して、炭酸鉄系ゲータイト粒子の粒
子を微細にする効果のある元素や大きな軸比を得ること
ができる元素を当該ゲータイト粒子中に固溶させること
を考え、一般的に用いられているCo、Zn、Ni等の
各元素を炭酸鉄系ゲータイト粒子を生成する反応におい
て添加・存在させて反応させることを検討した。
【0079】前述した通り、前掲いずれの先行技術によ
っても、炭酸鉄系ゲータイト粒子を出発原料として得ら
れた鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の微粒子で保磁
力の高いものは得られていない。しかし、前掲特開平4
−63210号公報に開示されている、炭酸アルカリ水
溶液と水酸化アルカリ水溶液とを併用した場合の方法に
よれば、高い保磁力を有する鉄を主成分とする金属磁性
粒子粉末が得られている。しかし、同公報のFeCO3
又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液中にZn化合物を存在さ
せた場合には、軸比が15以上を有する紡錘状を呈した
ゲータイト粒子を生成させることができるのことによ
り、得られた鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁
力Hcを大きくすることができるのであるが、長軸径も
0.23〜0.33μmと大きいものである。
【0080】そこで、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アル
カリ水溶液とを併用する反応による検討を更に進めた。
その結果、後出比較例5に示す通り、Zn化合物に変え
て鉄含有沈澱物中にNi化合物を存在させた場合には、
得られた紡錘状を呈したゲータイト粒子は、微粒子では
あるが軸比の小さいものしか得られず、また、鉄を主成
分とする金属磁性粒子粉末とした場合には後出比較例2
3に示す通り、保磁力Hcが1427Oeと低いもので
あることを確認した。
【0081】次いで、鉄含有沈澱物を含む懸濁液中にC
o化合物を存在させた場合にはどうなるのかを検討し
た。その結果、微粒子であって、且つ、軸比が比較的大
きい紡錘状を呈したゲータイト粒子を得ることができ、
そのゲータイト粒子を出発原料として還元して得られた
鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが17
00Oeを越える大きなものが得られた。
【0082】得られた紡錘状を呈したゲータイト粒子を
電子顕微鏡観察により詳しく調べると、Coを固溶した
紡錘状を呈したゲータイト粒子は、微粒子が得られると
ともに粒子の短軸方向の粒径が小さいことに起因して、
軸比も適度に大きくなっていることを確認することがで
き、また、X線回折法によるX線粒径も小さいことを確
認することができたのである。その結果、還元して得ら
れた鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hcが
1700Oeを越える大きなものとなったものと考えて
いる。
【0083】その理由としては、炭酸アルカリ水溶液と
Co化合物の存在とにより短軸方向の粒子の形成が抑制
されて微粒子となるとともに、水酸化アルカリ水溶液の
存在により長軸方向に粒子が成長したためにより軸比が
大きくなり、微粒子で、且つ、粒度が均斉で、しかも、
適度に大きな軸比を有する紡錘状を呈したゲータイト粒
子が得られたために、当該ゲータイト粒子を還元して得
られた鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の保磁力Hc
が1700Oeを越える高い保磁力が得られた。このこ
とは、炭酸アルカリ水溶液と水酸化アルカリ水溶液との
併用と、更にCo化合物の添加をしたことの相乗効果に
よるものと考えている。
【0084】更に、鉄含有沈澱物を含む懸濁液を非酸化
性雰囲気として熟成させると、実施例1に示すとおり、
熟成開始後2時間経過した時の当該懸濁液のストーマー
粘度計による粘度が270cpsであり、熟成開始後5
時間経過した時点での粘度が205cpsと低下するこ
とにより、より微粒子で、且つ、粒度が均斉で、しか
も、軸比が大きな紡錘状を呈したゲータイト粒子が得ら
れることを見いだした。その理由は未だ判らないが、粘
度が高い時に比べて粘度が低下した後には、より微粒子
のゲータイト粒子が得られるという事実である。
【0085】一方、鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末
は、微粒子である程、空気中で酸化されやすいものであ
るから、酸化されて保磁力Hcや飽和磁化値の磁気特性
の低下を防ぐ必要がある。
【0086】そこで、酸化安定性を向上させる方法とし
て、Al等の化合物を用いるいくつかの方法がある。例
えば、特開昭57−73105号公報に示される通り、
Alを固溶した場合には、得られる金属磁性粒子粉末の
保磁力Hcが低下する。また、例えば、特開昭63−1
03424号公報、特開昭63−171419号公報及
び特開平5−73898号公報に開示されているAlを
粒子表面に被覆する方法があるが、Alを粒子表面に均
一に被覆することは困難であり、酸化安定性も十分とは
いえない。また、粒子表面を十分に被覆するために多く
のAlを用いると保磁力Hc等の磁気特性が低下する。
【0087】従って、本発明においては、粒子表面を均
一に被覆するためには、粒子表面にのみ固溶させる方が
より粒子表面を均一に被覆することができ、形状保持性
と酸化安定性を向上させることができるのではないかと
考えた。
【0088】同方法の先行技術として前掲特開平5−9
8321号公報の技術手段が開示されているが、同公報
においてなぜ酸化途中で非酸化性雰囲気するとともに、
酸化反応温度以上の温度で熟成させる必要があるのかと
いうことを考えた。
【0089】本発明者が数多くの実験を行う中で、本発
明に係るゲータイト粒子の生成反応においては、先ずゲ
ータイト粒子の短軸方向の粒子が形成され、次いで、長
軸方向に成長することを見いだした。従って、酸化反応
の酸化率が50%を越えた場合には、すでに短軸方向の
粒子形成が終わり、粒子の成長反応が生起している時
に、反応速度を変化させるような操作(例えば、反応温
度、酸素の通気量、非酸化性雰囲気等)を行うと均斉な
粒度が得られなくなる。従って、昇温等の操作を行う
と、再び短軸方向の成長が起こり、軸比の大きな粒子は
得られなくなるなどの好ましくない影響がある。
【0090】本発明においては、粒子内部にCo化合物
を固溶させ、さらに、空気中で酸化しにくいAl、S
i、Ca,Mg,Ba、Sr及びNd等の希土類元素か
ら選ばれる1種又は2種以上の化合物を粒子表面に均一
に固溶させることにより、空気中の酸素の影響を受け難
く、酸化安定性に優れ、微粒子であり、且つ、粒度が均
斉であって、樹枝状粒子が混在しておらず、しかも、高
い保磁力を有する紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属
磁性粒子粉末が得られる。
【0091】また、本発明における紡錘状を呈した鉄を
主成分とする金属磁性粒子粉末においては、適宜、Al
をはじめ前出化合物とを組み合わせて粒子表面に均一に
固溶させたことにより、鉄を主成分とする金属磁性粒子
粉末の形状保持性と酸化安定性を向上させることがで
き、さらに、結合剤樹脂のなじみも良くなるので分散性
にも優れたものが得られるのである。
【0092】
【実施例】次に、実施例並びに比較例により、本発明を
説明する。尚、前出実験例、以下の実施例並びに比較例
における粒子の長軸径、軸比は、いずれも電子顕微鏡写
真から測定した数値の平均値で示し、粒子の比表面積は
BET法により測定した値で示した。
【0093】X線粒径は、X線回折法で測定される結晶
粒子の大きさを(110)結晶面に垂直な方向における
結晶粒子の径で表したものであり、その測定は、結晶の
(110)面の回折線のラインプロファイルから、下記
のシェラーの式を用いて計算した値で示した。
【0094】D110 =Kλ/βcosθ 但し、β=装置による機械幅を差し引いた真の回折ピー
クの半値幅 K=シェラー定数(0.9) λ=特性X線の波長 θ=回折角
【0095】鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の磁気
特性及び塗膜特性は、「振動試料磁力計VSM−3S−
15」(東英工業(株)製)を使用し、外部磁場10K
Oeまでかけて測定した。
【0096】塗布膜の角型及びS.F.D.の測定は、
後出参考例1の方法により得られたシート試料片を用い
て行った。また、S.F.D.は、前記磁気測定器の微
分回路を使用して、磁気履歴曲線の減磁カーブの微分曲
線を得、この曲線の半値巾を測定し、この値を曲線のピ
ーク値の保磁力で除することにより求めた。
【0097】尚、鉄含有沈澱物を含む懸濁液の粘度は、
ストーマー粘度計を用いて測定した値である。
【0098】<ゲータイト粒子粉末の製造> 実施例1〜15、比較例1〜10;
【0099】実施例1 毎分100lの割合でN2 ガスを流すことによって非酸
化性雰囲気に保持された反応容器中に、Na2 CO3
25mol含む水溶液20l及びNaOHを15mol
含む水溶液10l(Na2 CO3 に対しモル比で0.6
に該当する。)を添加(Na2 CO3 及びNaOHの総
和量は、Fe2+に対し1.63当量に該当する。)した
後、Fe2+を20mol含む硫酸第一鉄水溶液20lを
添加、混合(Fe2+濃度は0.4mol/lに該当す
る。)し、温度47℃において鉄含有沈澱物を生成し
た。
【0100】上記鉄含有沈澱物を含む懸濁液中に、引き
続きN2 ガスを毎分100lの割合で吹き込みながら、
温度47℃で5時間保持(N2 ガスを通気して2時間後
の粘度が270cpsであり、5時間後の粘度は205
cpsであった。)し、次いで、Fe2+に対しCo換算
で3.0mol%を含むように硫酸コバルト水溶液を添
加した後、更に10分間保持して熟成した。
【0101】熟成後の鉄含有沈澱物を含む懸濁液の液中
に、温度47℃において毎分180lの空気を65分間
通気して、酸化反応の酸化率が80%となったところで
Fe2+に対しAl換算で3.0mol%を含むように硫
酸アルミニウム水溶液を添加し、更に上記酸化反応条件
と同条件で35分間酸化反応を続け、黄褐色沈澱粒子を
生成させた。尚、空気通気中におけるpHは8.0〜
9.5であった。
【0102】黄褐色沈澱粒子は、常法により、濾別、水
洗、乾燥、粉砕した。得られた黄褐色沈澱粒子はゲータ
イトであり、図1の電子顕微鏡写真(×30000)に
示す通り、長軸径が0.126μm、短軸径が0.01
5μm、軸比が8.4であり、樹枝状粒子が全く混在し
ておらず、粒度が均斉なものであった。また、Coの含
有量が1.84wt%であり、Alの含有量が0.81
wt%であった。
【0103】実施例2〜15、比較例1〜10 FeCO3 又は鉄含有沈澱物の生成反応における炭酸ア
ルカリ水溶液の使用量、水酸化アルカリ水溶液の使用
量、添加時期及び混合割合、混合時の温度、熟成工程に
おける温度及び時間、Co化合物の添加量及び添加時
期、酸化工程における温度、酸化途中で添加した化合物
の種類、添加量及び添加時期(酸化率)を種々変化させ
た以外は実施例1と同様にしてゲータイト粒子の生成を
行った。
【0104】尚、比較例10は、熟成後の鉄含有沈澱物
を含む懸濁液の液中に、温度47℃において毎分180
lの空気を70分間通気して、酸化反応の酸化率が80
%となったところで、毎分100lのN2 ガスを通気し
て非酸化性雰囲気とし、57℃に昇温した後、Fe2+
対しSi換算で1.0mol%を含むように3号水ガラ
ス水溶液を添加して35分間保持した。次いで、温度5
7℃でN2 ガスを毎分180lの空気に変えて15分間
酸化反応を続け、黄褐色沈澱粒子を生成させた。黄褐色
沈澱粒子は、常法により、濾別、水洗、乾燥、粉砕し
た。得られた黄褐色沈澱粒子はゲータイトであり、図7
の電子顕微鏡写真(×30000)に示す通り、長軸径
が0.153μm、短軸径が0.023μm、軸比が
6.7であり、ややゲータイト粒子が大きくなってお
り、殊に、短軸方向の成長が生起していることが確認で
きた。
【0105】この時の主要製造条件を表1乃至表4に、
生成するゲータイト粒子の特性を表3及び表4に示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】<ヘマタイト粒子粉末の製造> 実施例16〜28、比較例11〜19;
【0111】実施例16 実施例1で得られた濾別、水洗した紡錘状を呈したゲー
タイト粒子900gに相当する量のプレスケーキを15
lの水中に懸濁させた。この時の懸濁液のpHは8.5
であった。
【0112】次いで、上記懸濁液にゲータイト粒子に対
し10重量%となるように酢酸コバルトを90g添加
し、更に、ゲータイト粒子に対し15重量%になるよう
にホウ酸を添加して10分間攪拌した。この時の懸濁液
のpHは4.5であった。
【0113】更に、アンモニア水溶液を添加してpHを
9.5に調整した後、フィルタープレスで濾別し、乾燥
してCo、B化合物で被覆されたゲータイト粒子を得
た。
【0114】得られたゲータイト粒子中のAl、Co、
Bの含有量は、それぞれAlとして0.81重量%、C
oとして3.95重量%、Bとして0.75重量%であ
った。
【0115】Co、B化合物が被覆されたゲータイト粒
子粉末900gを空気中400℃で加熱処理してCo、
B化合物が被覆された紡錘状を呈したヘマタイト粒子粉
末を得た。
【0116】実施例17〜28、比較例11〜19 被処理粒子の種類、被覆元素を含む化合物の種類及び添
加量、加熱脱水温度並びに焼きなましの有無及び温度を
種々変化させた以外は実施例16と同様の方法で被覆さ
れたヘマタイト粒子粉末を得た。
【0117】尚、実施例24は、被覆元素を含む化合物
を被覆処理した後に濾別、水洗した以外は実施例16と
同様の方法で被覆されたヘマタイト粒子粉末を得た。
【0118】この時の主要処理条件を表5及び表6に示
【0119】
【表5】
【0120】
【表6】
【0121】<鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の製
造> 実施例29〜41、比較例20〜28;
【0122】実施例29 実施例16で得られたCo、B化合物が被覆された紡錘
状を呈したヘマタイト粒子粉末100gを内径72mm
の固定層還元装置に投入し、H2 ガスを毎分35lの割
合で通気し、還元温度420℃で還元した。
【0123】還元終了後、H2 ガスを一旦N2 ガスで置
換した後、N2 ガスを50l/min流しながら40℃
まで冷却した。次いで、炉温度を40℃に保ちながらN
2 ガスを50l/minガス中に空気を0.2l/mi
nの割合で混入した空気とN2 ガスの混合ガスを通気し
た。その混合ガス比率で酸化反応により発熱ピークが観
測された後、空気量を0.4l/minに上げ、混合ガ
ス中の空気割合比率を増加させた。このようにして、そ
の混合ガス比率での酸化反応による発熱ピークが観測さ
れた後に混合ガス中の空気の比率を上昇させる方法で段
階的に空気混合比率を上げて、最終的に空気0.6l/
min、N2 ガス50l/minの割合の混合ガスで酸
化処理を継続し、酸化による発熱が無くなって、品物の
温度が炉温とほぼ同じ約40℃になるまで酸化処理を行
った。この間品物の温度は最高75℃まで到達した。
【0124】続いて、炉温を40℃、N2 ガス流量50
l/minに保ったまま、空気の混合比率を徐々に上
げ、最終的に空気量を10l/minとした。この間、
発熱は観測されなかった。更に、N2 ガスと空気の混合
ガスを同条件下で通気しながら、室温まで冷却した。
【0125】一旦、空気流量を0l/minとして、N
2 ガスに置換した後、このようにして得られた、表面に
酸化被膜を形成した紡錘状を呈した鉄を主成分とする金
属磁性粒子粉末を回収した。
【0126】このCo、Al、Bを含有する紡錘状を呈
した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末は、X線粒径が
146Åであり、図8の電子顕微鏡写真(×3000
0)に示す通り、平均長軸径が0.096μm、平均短
軸径が0.014μm、軸比が6.9であり、粒度が均
斉で樹枝状粒子の少ないものであった。また、磁気特性
は、保磁力Hcが1847Oe、飽和磁化σsが121
emu/g、角形比r/sが0.508であり、Co含
有量は5.65wt%、Alは1.16wt%、Bは
1.07wt%であった。
【0127】実施例30〜41、比較例20〜28 被処理粒子粉末の種類、還元加熱工程における還元温度
を種々変化させた以外は、実施例29と同様の方法で鉄
を主成分とする金属磁性粒子粉末を得た。
【0128】この時の主要製造条件及び諸特性を表7及
び表8に示す。
【0129】
【表7】
【0130】
【表8】
【0131】<塗布膜の製造> 参考例1〜9;
【0132】参考例1 実施例29で得られたCo、Al、Bを含有する紡錘状
を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末100重量
部とシクロヘキサノン30重量%溶液とした強い極性官
能基を有する塩化ビニル系共重合樹脂MR−110(日
本ゼオン社製)50重量部とを88ccのプラストミル
を用いて50分間混練して混練物を得た。
【0133】この混練物を下記の割合で140ccガラ
スビンに入れて6時間混合分散を行うことにより調整し
た磁性塗料を厚さ25μmのポリエチレンテレフタレー
トフィルム上にアプリケーターを用いて50μmの厚さ
に塗布し、次いで、8KGaussの磁場中で乾燥させ
て塗布膜を製造してシート試料片を作成した。
【0134】 混練物 100重量部 1mmφのガラスビーズ 530重量部 シクロヘキサノン 50重量部 メチルエチルケトン 57重量部 トルエン 57重量部
【0135】このシート試料片から求めた塗布膜の保磁
力Hcは1903Oe、配向度SQは0.891、S.
F.D.は0.440であった。
【0136】参考例2〜9 鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の種類を種々変化さ
せた以外は、参考例1と同様にして塗布膜を製造した。
この塗布膜の諸特性を表9に示す。
【0137】
【表9】
【0138】
【発明の効果】本発明に係る紡錘状を呈した鉄を主成分
とする金属磁性粒子粉末は、前出実施例に示した通り、
微粒子であり、且つ、粒度が均斉であって樹枝状粒子が
混在しておらず、しかも、高い保磁力、殊に、保磁力H
cが1700〜2200Oeである紡錘状を呈した鉄を
主成分とする金属磁性粒子粉末であるので、高記録密
度、高感度、高出力用磁性粒子粉末として好適である。
【0139】更に、本発明に係る紡錘状を呈した鉄を主
成分とする金属磁性粒子粉末は、磁性塗料の製造に際し
て、ビヒクル中への分散性が良好であり、充填性が極め
て優れており、しかも、X線粒径が120〜160Åと
小さいので、ノイズレベルの低下が計られ、S/N比が
大きい好ましい磁気記録媒体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図2】実施例3で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図3】実施例9で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図4】比較例3で得られた粒状ゲータイト粒子粉末の
粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×30000)であ
る。
【図5】比較例4で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図6】比較例5で得られた紡錘状を呈したゲータイト
粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×3000
0)である。
【図7】比較例10で得られた紡錘状を呈したゲータイ
ト粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真(×300
00)である。
【図8】実施例29で得られた紡錘状を呈した鉄を主成
分とする金属磁性粒子粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡
写真(×30000)である。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線粒径が120〜160Åであり、且
    つ、平均長軸径が0.05〜0.18μm、短軸径が
    0.010〜0.018μm、軸比(長軸径/短軸径)
    が4〜15であって、しかも、保磁力Hcが1700〜
    2200Oeであることを特徴とするCoを含有する紡
    錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末。
  2. 【請求項2】 X線粒径が120〜160Åであり、且
    つ、平均長軸径が0.05〜0.18μm、短軸径が
    0.010〜0.018μm、軸比(長軸径/短軸径)
    が4〜15であって、しかも、保磁力Hcが1700〜
    2200Oeであることを特徴とするCoとAlとを含
    有する紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉
    末。
  3. 【請求項3】 炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液と
    を反応させて得られたFeCO3 又は鉄含有沈澱物を含
    む懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後、該
    懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うこと
    により紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させるにあ
    たり、 前記炭酸アルカリ水溶液及び熟成する前の前記FeCO
    3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずかの液中に、前
    記炭酸アルカリ水溶液に対してモル比で0.2〜1.0
    の水酸化アルカリ水溶液を添加することによって炭酸ア
    ルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の総和量を前記
    第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.3〜1.8当量と
    し、 前記熟成における温度範囲を40〜60℃、熟成時間を
    2〜7時間の範囲とし、 前記第一鉄塩水溶液、前記FeCO3 又は鉄含有沈澱物
    を含む懸濁液及び酸化反応を行う前の前記熟成させたF
    eCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれかの液
    中に、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対
    しCo換算で1.0〜8.0mol%の範囲の量のCo
    化合物を存在させておくとともに、 前記酸化反応の温
    度範囲を40〜60℃とすることにより、紡錘状を呈し
    たゲータイト粒子を生成させ、該紡錘状を呈したゲータ
    イト粒子又は該紡錘状を呈したゲータイト粒子を加熱脱
    水して得られた紡錘状を呈したヘマタイト粒子を、還元
    性ガス中で加熱還元することを特徴とする請求項1記載
    の紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の
    製造法。
  4. 【請求項4】 炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液と
    を反応させて得られたFeCO3 又は鉄含有沈澱物を含
    む懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後、該
    懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うこと
    により紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させるにあ
    たり、 前記炭酸アルカリ水溶液及び熟成する前の前記FeCO
    3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずかの液中に、前
    記炭酸アルカリ水溶液に対してモル比で0.2〜1.0
    の水酸化アルカリ水溶液を添加することによって炭酸ア
    ルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の総和量を前記
    第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.3〜1.8当量と
    し、 前記熟成における温度範囲を40〜60℃、熟成時間を
    2〜7時間の範囲とし、 前記第一鉄塩水溶液、前記FeCO3 又は鉄含有沈澱物
    を含む懸濁液及び酸化反応を行う前の前記熟成させたF
    eCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれかの液
    中に、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対
    しCo換算で1.0〜8.0mol%の範囲の量のCo
    化合物を存在させておくとともに、 前記酸化反応の温度範囲を40〜60℃とし、 前記酸化反応の酸化率が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+
    に対し50〜90%の範囲にある酸化反応途上の液中
    に、前記酸化反応と同条件下において、Al、Si、C
    a、Mg、Ba、Sr及びNd等の希土類元素から選ば
    れる1種又は2種以上の化合物の水溶液を、前記第一鉄
    塩水溶液中のFe2+に対し添加する化合物の各元素換算
    の総和で0.1〜5.0mol%の範囲の量となるよう
    に添加することにより、紡錘状を呈したゲータイト粒子
    を生成させ、該紡錘状を呈したゲータイト粒子又は該紡
    錘状を呈したゲータイト粒子を加熱脱水して得られた紡
    錘状を呈したヘマタイト粒子を、還元性ガス中で加熱還
    元することを特徴とする請求項1及び請求項2記載の紡
    錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末の製造
    法。
  5. 【請求項5】 炭酸アルカリ水溶液と第一鉄塩水溶液と
    を反応させて得られたFeCO3 又は鉄含有沈澱物を含
    む懸濁液を非酸化性雰囲気下において熟成させた後、該
    懸濁液中に酸素含有ガスを通気して酸化反応を行うこと
    により紡錘状を呈したゲータイト粒子を生成させるにあ
    たり、 前記炭酸アルカリ水溶液及び熟成する前の前記FeCO
    3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずかの液中に、前
    記炭酸アルカリ水溶液に対してモル比で0.2〜1.0
    の水酸化アルカリ水溶液を添加することによって炭酸ア
    ルカリ水溶液及び水酸化アルカリ水溶液の総和量を前記
    第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し1.3〜1.8当量と
    し、 前記熟成における温度範囲を40〜60℃、熟成時間を
    2〜7時間の範囲とし、 前記第一鉄塩水溶液、前記FeCO3 又は鉄含有沈澱物
    を含む懸濁液及び酸化反応を行う前の前記熟成させたF
    eCO3 又は鉄含有沈澱物を含む懸濁液のいずれかの液
    中に、あらかじめ、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対
    しCo換算で1.0〜8.0mol%の範囲の量のCo
    化合物を存在させておくとともに、 前記酸化反応の温
    度範囲を40〜60℃とし、 前記酸化反応の酸化率が前記第一鉄塩水溶液中のFe2+
    に対し50〜90%の範囲にある酸化反応途上の液中
    に、前記酸化反応と同条件下において、Al化合物の水
    溶液と、Si、Ca,Mg,Ba、Sr及びNd等の希
    土類元素から選ばれる1種又は2種以上の化合物の水溶
    液とを、前記第一鉄塩水溶液中のFe2+に対し添加する
    化合物の各元素換算の総和で0.1〜5.0mol%の
    範囲の量となるように添加することにより、紡錘状を呈
    したゲータイト粒子を生成させ、該紡錘状を呈したゲー
    タイト粒子又は該紡錘状を呈したゲータイト粒子を加熱
    脱水して得られた紡錘状を呈したヘマタイト粒子を、還
    元性ガス中で加熱還元することを特徴とする請求項2記
    載の紡錘状を呈した鉄を主成分とする金属磁性粒子粉末
    の製造法。
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