JPH0732962B2 - フライス切削用表面被覆炭化タングステン基超硬合金 - Google Patents

フライス切削用表面被覆炭化タングステン基超硬合金

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JPH0732962B2
JPH0732962B2 JP61305887A JP30588786A JPH0732962B2 JP H0732962 B2 JPH0732962 B2 JP H0732962B2 JP 61305887 A JP61305887 A JP 61305887A JP 30588786 A JP30588786 A JP 30588786A JP H0732962 B2 JPH0732962 B2 JP H0732962B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は、すぐれた耐欠損性を有し、かつ耐摩耗性に
もすぐれ、特にフライス切削に切削工具として用いた場
合にすぐれた切削性能を発揮する表面被覆炭化タングス
テン(以下WCで示す)基本超硬合金に関するものであ
る。
〔従来の技術〕
一般に、硬質分散相形成成分として、WとTiとTaとNbの
複合炭化物(以下、組成式:(W,Ti,Ta,Nb)Cで示
す):5〜30%、 結合相形成成分として、Co:6〜18%、 を含有し、残りが硬質分散相形成成分としてのWCと不可
避不純物からなる組成(以上容量%,以下%は容量%を
示す)を有するWC基超硬合金基体の表面に、 周期律表の4a、5a、および6a族金属の炭化物、同4aおよ
び5a族金属の窒化物、同4a族金属の酸化物、並びにこれ
らの2種以上の固溶体、さらに酸化アルミニウム(以下
Al2O3で示す)からなる群のうちの1種の単層または2
種以上の複層からなる硬質被覆層を5〜15μmの平均層
厚で、化学蒸着法や物理蒸着法にて形成してなる表面被
覆WC基超硬合金が切削工具として用いられていることは
良く知られるところである。
〔発明が解決しようとする問題点〕
しかし、上記の従来表面被覆WC基超硬合金は、旋削では
すぐれた切削性能を発揮するものの、これをフライス切
削に用いた場合、基体表面に対する硬質被覆層の付着強
度が充分でないために、硬質被覆層にチツピングや剥離
が発生し易く、比較的短時間で使用寿命に至るのが現状
である。
〔問題点を解決するための手段〕
そこで、本発明者等は、上述のような観点から、耐欠損
性にすぐれた表面被覆WC基超硬合金を開発すべく、特に
上記の従来表面被覆WC基超硬合金に着目し研究を行なつ
た結果、 上記の従来表面被覆WC基超硬合金の基体の構成成分であ
る硬質分散相形成成分としての(W,Ti,Ta,Nb)Cを、B1
型固溶体としてのWとTiとTaとNbの複合炭窒化物(以
下、組成式:(W,Ti,Ta,Nb)CNで示す)に代え、かつ硬
質被覆層を炭化チタン、窒化チタン、および炭窒化チタ
ン(以下、それぞれTiC、TiN、およびTiCNで示す)、並
びにAl2O3のうちの1種の単層または2種以上の複層に
特定すると共に、その平均層厚を0.1〜4μmとして、
この硬質被覆層の各層における平均粒径を0.5μm以下
(ちなみに従来表面被覆WC基超硬合金の硬質被覆層の各
層における平均粒径は0.7〜3μmである)にすると、
この結果の表面被覆WC基超硬合金においては、硬質被覆
層が基体表面に対して著しく強固に付着するようになる
ことから、これをフライス切削に用いても硬質被覆層に
チツピングや剥離の発生がなく、長期に亘つてすぐれた
切削性能を発揮するようになるという知見を得たのであ
る。
この発明は、上記知見にもとづいてなされたものであつ
て、 硬質分散相形成成分として、モル比でN/(C+N):0.0
01〜0.1を有する(W,Ti,Ta,Nb)CN:5〜30%、 結合相形成成分として、Co:6〜18%、 を含有し、残りが硬質分散相形成成分としてのWCと不可
避不純物からなる組成を有するWC基超硬合金基体の表面
に、 TiC、TiN、TiCN、およびAl2O3のうちの1種の単層また
は2種以上の複層からなり、かつ各層の平均粒径を0.5
μm以下とした硬質被覆層を0.1〜4μmの平均層厚で
形成してなる、耐欠損性にすぐれ、かつ耐摩耗性にもす
ぐれたスライス切削用表面被覆WC基超硬合金に特徴を有
するものである。
つぎに、この発明の表面被覆WC基超硬合金において、基
体の成分組成、並び硬質被覆層の平均層厚および各層の
平均粒径を上記の通りに限定した理由を説明する。
A.基体の成分組成 (a)(W,Ti,Ta,Nb)CN その含有量が5%未満では、硬質被覆層との間に強固な
付着強度を確保することができないばかりでなく、耐摩
耗性も不十分であり、一方その含有量が30%を越える
と、基体の強度が低下するようになることから、その含
有量を5〜30%と定めた。
また、(W,Ti,Ta,Nb)CNにおけるN/(C+N)のモル比
が0.001未満でも、Nの割合が少なすぎて硬質被覆層と
の間に所望の強固な密着性が得られないものであり、一
方同モル比が0.1を越えると、Nの割合が多くなること
から、焼結中に分解窒素が発生し、これがポアとして残
存し、強度低下の原因となることから、(W,Ti,Ta,Nb)
CNにおけるN/(C+N)のモル比を0.001〜0.1としなけ
ればならない。
(b)Co その含有量が6%未満では、結合相としての作用が不十
分で、所望の強度を確保することができず、一方その含
有量が18%を越えると、硬質被覆層との密着性が低下
し、硬質被覆層にチツピングが発生し易くなることか
ら、その含有量を6〜18%と定めた。
B.硬質被覆層 (a)平均層厚 その平均層厚が0.1μm未満では、所望の耐摩耗性を確
保することができず、一方その平均層厚が4μmを越え
ると、結晶粒径が急激に大きくなつてチツピングが発生
し易くなることから、その平均層厚を0.1〜4μmと定
めた。
(b)平均粒径 各層の平均粒径が0.5μmを越えると、硬質被覆層にお
けるチツピングの発生が極端に高くなることから、その
平均粒径を0.5μm以下と定めた。
なお、各層の平均粒径が0.5μm以下の硬質被覆層を形
成するには、上記のように層厚を薄くして、硬質被覆層
の全体平均層厚が4μmを越えないようにすることが必
要であり、この場合、低温での硬質被覆層の形成が望ま
しい。
〔実施例〕
つぎに、この発明の表面被覆WC基超硬合金を実施例によ
り具体的に説明する。
原料粉末として、いずれも1μmの平均粒径を有し、か
つN/(C+N)モル比がそれぞれ0.001、0.03、0.06、
0.10、および0.12の5種の(W,Ti,Ta,Nb)CN粉末、同1
μmの(W,Ti,Ta,Nb)C粉末、同1.2μmのCo粉末、お
よび同3.5μmのWC粉末を用意し、これら原料粉末をそ
れぞれ第1表に示される配合組成に配合し、ボールミル
中で48時間湿式混合し、乾燥した後、圧力:15kg/mm2
てSPP432の切削工具形状をもつた圧粉体にプレス成形
し、ついでこれを真空雰囲気中、温度:1400℃に1時間
保持の条件で焼結し、焼結後研磨仕上げ加工とホーニン
グを施すことによつて、実質的に配合組成と同一の成分
組成をもつたWC基超硬合金基体を製造し、ついで、これ
ら基体の表面に、通常の化学蒸着装置を用い、第2表に
示される化学蒸着条件にて、同じく第1表に示される組
成、平均層厚、および平均粒径をもつた硬質被覆層を形
成することによつ て、本発明表面被覆WC基超硬合金(以下、本発明被覆合
金という)1〜8、比較表面被覆WC基超硬合金(以下、
比較被覆合金という)1〜6、および従来表面被覆WC基
超硬合金(以下、従来被覆合金という)1、2をそれぞ
れ製造した。
なお、比較被覆合金1〜6は、いずれも基体の構成成分
の組成および含有量、並びに硬質被覆層の平均層厚(平
均粒径)のうちのいずれかの条件(第1表に※印を付し
たもの)がこの発明の範囲から外れたものである。
つぎに、この結果得られた各種の被覆合金について、 切削材:SNCM439、 切削速度:170m/min.、 送り:0.3mm/刃、 切込み:6mm、 の条件で鋼の乾式フライス切削試験を行ない、切刃の逃
げ面摩耗幅が0.3mmに至るまでの切削時間を測定し、さ
らに切刃の切削後の状態も観察した。これらの結果を第
1表に示した。
〔発明の効果〕 第1表に示される結果から明らかなように、本発明被覆
合金1〜8は、いずれも従来被覆合金1、2に比して、
基体に対する硬質被覆層の付着強度が著しく高いので、
フライス切削でも切刃にチツピングや欠損の発生がな
く、一方従来被覆合金1、2には、いずれもこれらの現
象が見られるものであり、しかも従来被覆合金1、2に
比してすぐれた耐摩耗性を示すものである。
また、比較被覆合金1〜6に見られるように、基体の構
成成分の組成および含有量、並びに硬質被覆層の平均層
厚のうちのいずれでもこの発明の範囲から外れると耐欠
損性および耐摩耗性のうちの少なくともいずれかの特性
が劣つたものになることが明らかである。
上述のように、この発明の表面被覆WC基超硬合金は、す
ぐれた耐欠損性と耐摩耗性を有するので、特にこれを切
削工具としてフライス切削に用いた場合にすぐれた切削
性能を著しく長期に亘つて発揮するのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭57−137460(JP,A) 特開 昭60−162782(JP,A) 特開 昭60−238481(JP,A) 特開 昭60−224781(JP,A) 特開 昭61−17908(JP,A) 特公 昭61−48582(JP,B2) 特公 昭60−56428(JP,B2)

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬質分散相形成成分として、モル比でN/
    (C+N):0.001〜0.1を有するWとTiとTaとNbの複合
    炭窒化物:5〜30%、 結合相形成成分として、Co:6〜18%、 を含有し、残りが硬質分散相形成成分としての炭化タン
    グステンと不可避不純物からなる組成(以上容量%)を
    有する炭化タングステン基超硬合金基体の表面に、 炭化チタン、窒化チタン、炭窒化チタン、および酸化ア
    ルミニウムのうちの1種の単層または2種以上の複層か
    らなり、かつ各層の平均粒径を0.5μm以下とした硬質
    被覆層を0.1〜4μmの平均層厚で形成してなる耐欠損
    性のすぐれたフライス切削用表面被覆炭化タングステン
    基超硬合金。
JP61305887A 1986-12-22 1986-12-22 フライス切削用表面被覆炭化タングステン基超硬合金 Expired - Fee Related JPH0732962B2 (ja)

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