JPH07328405A - 湿式媒体分散装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 媒体メディアを用いる湿式媒体分散装置の液
体及び固体よりなる混合液の分散室において、均一な剪
断領域を形成すると共に、混合液と媒体メディアの分離
装置を清浄に保って詰まりを回避する。 【構成】 液体及び固体の混合液と媒体メディアが充填
された分散室１と、分散室１内にあって攪拌分散要素３
と混合液が分散室１から流入する中空部９をもつ中空の
回転攪拌軸２と、混合液と媒体メディアの分離装置１４
を備えた湿式媒体分離装置において、攪拌軸２の中空部
９に分散室１の下流部と上流部とを接続する流路１０，
１３を設けた。また、分離装置１４を分散室１の上流部
に開口する流路の開口部１３に近接して設け、分離装置
１４は攪拌軸２の中空部９内に混合液を冷却する冷却部
６を備えている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、媒体メディアを用いて
液体及び固体からなる混合液を粉砕・分散させる連続式
の湿式媒体分散装置に関し、媒体メディアを分散室内で
円滑に循環させて媒体メディアの過密状態を回避すると
共に、分散室内に均一な剪断領域を実現しより微粒化性
能を向上させるようにしたものである。

【０００２】

【従来の技術】従来の湿式媒体分散装置の１例を、図３
及び図４に示す。図３及び図４において、１は分散室、
２は図３及び図４において右端が開口している中空の円
筒状の回転する攪拌軸、３は攪拌軸２に取付けられた攪
拌機素、４は媒体メディアが通過できない円筒状のスク
リーンからなる液体及び固体からなる混合液と媒体メデ
ィアの分離装置であり、攪拌軸２の中空部４内に配置さ
れている。５は媒体メディアを攪拌軸２内から分散室１
に戻すために攪拌軸２の軸方向に設けられた開口部を示
す。

【０００３】この湿式媒体分散装置では、液体及び固体
からなる混合液は入口７からポンプ等により分散室１内
に圧力供給され、攪拌機素３によって固定粒子が粉砕・
分散される。分散された混合液及び媒体メディアは、分
離装置４を通って出口８に向かって矢印ａのように流れ
る。即ち、液体及び固体からなる混合液は、媒体メディ
アと共に分散室１の下流部から攪拌軸２の内部の空所で
ある中空部９に入り、分離装置４で媒体メディアと分離
されて出口８へ向かって圧送される。一方、混合液から
分離された媒体メディアは、前記開口部５を通って矢印
ｂに示すように分散室１へ戻される。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前記の従来の湿式媒体
分散装置は、攪拌機素３の作用を直接受ける媒体メディ
アから分離装置４を保護するために、該分離装置４を攪
拌軸２の中空部９の内部に挿入し、スクリーンの摩耗を
減少させることやメディアの過密により分離装置４が詰
まらないことに注力されているものであって、分散室１
全体を均一の剪断領域とすることを実現するものではな
かった。それゆえ分散室１の下流部（出口）付近におけ
る極端な媒体メディアの過密状態や衝撃を避けるのに一
応の効果はあるが、なお分散室１の下流部付近において
は、分散室全体の中で比較的高い媒体メディアの過密状
態及び高温領域が存在する。

【０００５】本発明は、以上の問題点を解決することが
できる湿式媒体分散装置を提供しようとするものであ
る。

【０００６】

【課題を解決するための手段】

（１）本発明は、液体及び固体からなる混合液と媒体メ
ディアが充填された混合液の分散室と、分散室内の混合
液を攪拌分散させる要素を備えると共に分散室の内に位
置して分散室で分散された混合液をその内部を通って送
り出す回転する中空の攪拌軸と、攪拌軸の中空部内に設
けられ前記混合液から媒体メディアを分離する分離装置
を備えた湿式媒体分散装置において、前記攪拌軸の中空
部に、前記分散室の下流部と上流部とを接続する流路を
設けた。 （２）また、前記本発明（１）の湿式媒体分散装置にお
いて、前記流路は攪拌軸を半径方向に貫通して分散室の
上流部へ開口する開口部を備え、同開口部に近接して前
記分離装置を配置した。 （３）また、前記本発明（１）又は（２）において、前
記分散装置は、前記攪拌軸の中空部内の混合液を冷却す
る冷却部を備えている。

【０００７】

【作用】前記（１）の本発明では、分散室内で媒体メデ
ィアによって固体粒子が粉砕・分散された液体及び固体
からなる混合液は媒体メディアと共に分散室の下流部か
ら攪拌軸の中空部内の流路に入る。この混合液は、分離
装置によって前記媒体メディアと分離されて送り出され
る。一方、前記のように分離された媒体メディアは、流
路を通って分散室の上流部へ戻される。このようにし
て、分散室の下流部から流出した媒体メディアは、分散
室の上流部へ戻されて循環することとなり、分散室の下
流部における媒体メディアの過密状態と高温領域の存在
が解消され、かつ、分散室全域にわたって均一な剪断領
域を実現することができる。

【０００８】前記（２）の本発明では、分散室の上流部
に攪拌軸を半径方向に貫通する開口部を経て媒体メディ
アが戻される。分離装置は前記開口に近接して設けられ
ているために、分離装置の表面には移動する媒体メディ
アが作用して清浄に保たれる。また、遠心力が作用する
媒体メディアは半径方向に攪拌軸を貫通する開口部を通
って円滑に分散室に戻される。 （３）前記（３）の本発明では、また更に、攪拌軸の中
空部内の混合液は、分離装置に設けられた冷却部によっ
て効果的に冷却される。

【０００９】

【実施例】本発明の一実施例を、図１及び図２によって
説明する。本実施例は、図３及び図４に示すと同様な型
式の湿式媒体分散装置に係るものであり、図３及び図４
におけると同一の部分は図１及び図２において同一の符
号を付してその説明を省略し、以下相違する点について
説明する。

【００１０】攪拌軸２の中空部９内には同心に、分散室
１の下流端の端面フランジ１１から分散室１の上流部付
近まで延在し先端が閉じられた円筒の筒体６ａが設けら
れており、攪拌軸２の中空部９の筒体６ａと攪拌軸２の
内面との間には分散室１の下流部に接続され分散室１の
上流部の付近へ至る環状の部分流路１０が設けられてい
る。攪拌軸２には、同軸２を半径方向に貫通して前記部
分流路１０と分散室１の上流部とに開口する開口部１３
が設けられており、同開口部１３は前記部分流路１０と
共に分散室１の下流部と上流部とを接続する流路を形成
している。

【００１１】前記筒体６ａの先端には、２枚の板材の間
に所定のスリットが形成されたスリット式の分離装置１
４が前記開口部１３に近接して付設されており、同分離
装置１４は筒体６ａ内を延びる管１５を介して出口８に
接続されている。また、前記筒体６ａと管１５との間に
は冷却水が循環する冷却部６が形成されている。なお、
１２は分離装置１４の２枚の板を位置決めするスペーサ
であり、図１及び図２中矢印は流れの方向及び攪拌軸の
回転方向を示す。

【００１２】本実施例では、液体及び固体からなる混合
液と媒体メディアは、分散室１内を攪拌機素３により分
散されながら分散室１の上流から下流に向かって流れ、
その間に固体粒子が粉砕されると共に前記混合液内に分
散される。このように分散作用を受けた液体及び固体か
らなる混合液は、媒体メディアと共に分散室１の下流部
から攪拌軸２の中空部９の部分流路１０に入った上、前
記混合液は分離装置１４において媒体メディアを分離
し、分離装置１４と管１５を通過して出口８から排出さ
れる。一方、分離装置１４で前記混合液から分離された
媒体メディアは、攪拌軸２を貫通する開口部１５から分
散室１の上流部に戻される。

【００１３】このように、分散室１の下流部から排出さ
れた媒体メディアが分散室１の上流部へ戻されて循環す
るために、分散室１全域にわたって均一の剪断領域とす
ることができ、また、分散室１の下流端付近の媒体メデ
ィアの過熱と高温領域の発生を回避することができる。

【００１４】また、媒体メディアは、攪拌軸２の回転に
当って分離装置１４のまわりをその表面を擦りながれ流
れて、分離装置１４の表面を清浄に保って分離装置１４
の詰まりを防止することができると共に、攪拌軸２の回
転に伴う遠心力によって媒体メディアを分離装置より離
して半径方向の開口部１３を経て円滑に分散室１の上流
部に戻すことができる。

【００１５】また更に、攪拌軸２の中空部９内に入った
液体及び固体よりなる混合液は、冷却部６によって効果
的に冷却される。

【００１６】

【発明の効果】本発明では、媒体メディアは分散室の下
流部から上流部に循環するために、分散室内全域にわた
って均一な剪断領域となり、分散室の下流部付近に発生
する媒体メディアの過密及び高温領域を回避することが
可能となった。

【００１７】また、分離装置は、攪拌軸を半径方向に貫
通して分散室の上流部に開口する開口部付近に設けられ
ており、同分離装置付近では媒体メディアに遠心力が作
用して媒体メディアが分離装置の表面に付着しないばか
りか、メディアの運動により分離装置表面は常に新鮮な
表面を確保することができ、分離装置の詰まりを回避す
ることができる。

【００１８】更に、分離装置は、攪拌軸の中空部内に冷
却手段を備えているので、攪拌軸の中空部内の液体と固
体よりなる混合液を効果的に冷却することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例に係る湿式媒体分散装置の断
面図である。

【図２】図２（ａ）は図１のＡ部の拡大図、図２（ｂ）
は図２（ａ）のＢ−Ｂ矢視断面図である。

【図３】従来の湿式媒体分散装置の断面図である。

【図４】前記従来の湿式媒体分散装置における媒体メデ
ィアの循環状態及び分離装置を示す断面図である。

【符号の説明】

１ 分散室 ２ 攪拌軸 ３ 攪拌機素 ４ 分離装置 ５ 開口部 ６ 冷却部 ６ａ 筒体 ７ 入口 ８ 出口 ９ 攪拌軸の中空部 １０ 部分流路 １１ 端面フランジ １２ スペーサ １３ 開口部 １４ 分離装置 １５ 管

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 液体及び固体からなる混合液と媒体メデ
   ィアが充填された混合液の分散室と、分散室内の混合液
   を攪拌分散させる要素を備えると共に分散室の内に位置
   して分散室で分散された混合液をその内部を通って送り
   出す回転する中空の攪拌軸と、攪拌軸の中空部内に設け
   られ前記混合液から媒体メディアを分離する分離装置を
   備えた湿式媒体分散装置において、前記攪拌軸の中空部
   に、前記分散室の下流部と上流部とを接続する流路を形
   成したことを特徴とする湿式媒体分散装置。
2. 【請求項２】 前記流路は攪拌軸を半径方向に貫通して
   分散室の上流部へ開口する開口部を備え、同開口部に近
   接して前記分離装置を配置したことを特徴とする請求項
   １に記載の湿式媒体分散装置。
3. 【請求項３】 前記分離装置は、前記攪拌軸の中空部内
   に混合液を冷却する冷却部を備えていることを特徴とす
   る請求項１又は２に記載の湿式媒体分散装置。