JPH07328103A - 空気浄化剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】活性炭にリン酸とエチレンジアミンまたは／及
び、トリエタノールアミンを添着せしめてなる空気浄化
剤である。或いは、活性炭にエチレンジアミンリン酸塩
または／及び、トリエタノールアミンリン酸塩を添着せ
しめてなる空気浄化剤である。また、活性炭にリン酸を
添着した後、エチレンジアミンまたは／及び、トリエタ
ノールアミンを加えアミンリン酸塩として活性炭に添着
せしめることを特徴とする空気浄化剤の製法である。 【効果】本発明の空気浄化剤はオフィス、家庭等生活空
間の空気浄化に使用されるものである。これらの空気中
に含まれる悪臭の最も大きな要因はタバコの煙であり、
その主成分はアセトアルデヒドである。本発明の空気浄
化剤は活性炭にアミンリン酸塩を添着したもので、活性
炭の吸着性とアミンの作用により特にアセトアルデヒド
等脂肪族アルデヒドの脱臭性に優れている。更に、その
他の悪臭成分の除去性にも優れている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】空気浄化剤に関するもので更に詳
しく述べると、特に空気中に含まれるタバコの煙の成分
であるアセトアルデヒド等脂肪族アルデヒド類の除去性
に優れた性質を有するものである。

【０００２】

【従来の技術】空気中に含まれるタバコの煙或いは臭気
の除去は、従来から生活空間の空気浄化の最も大きな課
題の１つとされている。しかして、タバコの煙或いは臭
気に含まれる主要な成分がアセトアルデヒド等の脂肪族
アルデヒド類であることもよく知られている。

【０００３】空気中に含まれる微量な脂肪族アルデヒド
類を除去するための空気浄化剤として、今迄活性炭を担
持剤とした２、３の組成物が開示されている。例えば、
特開昭63-283646 号公報には活性炭にアニリンを担持さ
せた空気浄化剤が脂肪族アルデヒド類の除去性に優れて
いる旨記載され、特願平1-236569号には活性炭にリン酸
アニリン塩または、銅アニリンを担持させたた空気浄化
剤が、或いは特開平2-52043 号公報には活性炭等の多孔
性物質に１種または２種以上の無機酸アニリン塩を担持
させた空気浄化剤が開示され、空気中に含まれた微量の
脂肪族アルデヒド類の除去効果が高い旨述べられてい
る。

【０００４】しかし、これらの空気浄化剤にはいずれも
アニリンが含まれている。アニリンは周知の様に毒性が
強い物質であるから、活性炭の細孔面に吸着された状態
で担持されていても安全・衛生上の懸念がある。

【０００５】また、アミン類のみを活性炭に添着した空
気浄化剤の試みもなされているが、アミン類は極性が大
きいため活性炭に吸着させた場合その吸着力が比較的小
さくその効果も限定される他、アミン類を担持させた活
性炭はアミンの臭気を発生する等空気浄化剤として使用
するためには不適当であった。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】活性炭を担持剤として
使用し安全・衛生上懸念があるアニリンを全く含有しな
い成分を添着させた組成物で、従来から使用されていた
アニリン添着活性炭と同様に、空気中に微量含まれる脂
肪族アルデヒド類の吸着・除去性に優れた空気浄化剤を
開発して提供しようとするものである。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明者は空気中に含ま
れる微量の脂肪族アルデヒド類を、活性炭の吸着性とそ
の細孔面に担持させた成分の相互作用によって吸着・除
去する目的で、活性炭に担持させるアニリン以外の種々
な成分について研究した。その結果、アミンを酸を介し
て活性炭に吸着させて担持することにより、活性炭に吸
着された脂肪族アルデヒドと活性炭の細孔面に担持され
たアミンが容易に反応してシッフ塩基が形成され、微量
のアミンをも充分に吸着・除去できることを見出した。
更に、アニリン添着活性炭と同程度なアルデヒド除去性
を示す酸及びアミンについて検討し、また酸及びアミン
を活性炭の細孔面に強固に担持させる方法について検討
し、これに基づいて本発明に到達した。

【０００８】すなわち、活性炭にリン酸とエチレンジア
ミンまたは／及び、トリエタノールアミンを添着せしめ
てなる空気浄化剤である。或いは、活性炭にエチレンジ
アミンリン酸塩または／及び、トリエタノールアミンリ
ン酸塩を添着せしめてなる空気浄化剤である。ここで、
活性炭に対するリン酸添着量が５〜30重量％（以下、単
に％という）であり、アミンの添着量がリン酸添着量の
モル未満である場合が好ましい。

【０００９】更に、活性炭にリン酸を添着した後、エチ
レンジアミンまたは／及び、トリエタノールアミンを加
えアミンリン酸塩として活性炭に添着せしめることを特
徴とする空気浄化剤の製法である。

【００１０】以下、本発明について詳しく説明する。

【００１１】本発明の空気浄化剤は活性炭に、リン酸と
エチレンジアミンまたは／及び、トリエタノールアミン
を添着して得られた組成物である。或いは活性炭にエチ
レンジアミンリン酸塩または／及び、トリエタノールア
ミンリン酸塩を添着して得られた組成物である。ここ
で、エチレンジアミン及びトリエタノールアミンは併用
してもよく、またエチレンジアミンリン酸塩及びトリエ
タノールアミンリン酸塩も併用してもよい。

【００１２】ここで使用される活性炭は、通常1gあたり
数100 m²或いはそれ以上の大きな表面積を有し、高い吸
着性を示す炭素材料であれば広範囲に使用できる。活性
炭の原料は通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭
が使用されるが何れでもよい。また賦活法も水蒸気或い
は二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃
硫酸処理等いづれの方法により得られたものでもよい。

【００１３】また形状は破砕炭、造粒炭或いは顆粒炭の
何れでも効果は認められるが、圧損失及び入替等取扱い
上造粒炭または活性炭を添着したシート状吸着層が便利
である。造粒炭は常法に従って炭素材料100 部に30〜60
部の石油ピッチ或いはコールタール等をバインダーとし
て加え混和成型後賦活して調整される。

【００１４】空気浄化剤の最も大きな課題の一つはタバ
コの煙の臭気であり、その主成分は脂肪族アルデヒド特
にアセトアルデヒドの脱臭であることが知られている。
アルデヒドはアミンと反応してシッフ塩基を作るため、
その化学反応によって無臭な成分に変えて脱臭出来る可
能性が考えられる。本発明の空気浄化剤の組成はそれに
基づいて研究した結果到達したものである。気相中に含
まれるアセトアルデヒドを吸着剤例えば活性炭の細孔面
に吸着させ、その細孔面に保持されているアミノ基と反
応させれば、気相中に含まれるアルデヒドが微量であっ
ても完全に除去することが出来る。

【００１５】しかし、アミン類は極性が大きいため活性
炭に直接吸着させようとしてもその吸着力が比較的小さ
い。このため活性炭にアミン類を担持させた場合アミン
の臭気を発生する場合があり、空気浄化剤としては不適
当である。しかしながら、リン酸またはヨウ素酸の様な
酸類を介してアミンを活性炭に担持させれば、アミン分
子を活性炭の細孔面に強固に吸着されるためアミンの臭
気を発生するおそれがなく、安定した状態として保持す
ることが出来る。

【００１６】この際、アミンを硫酸塩、塩酸塩等強酸塩
の形で保持させると、アミンと酸の結合が強いためアミ
ンとアルデヒトが反応してシッフ塩基を形成るす反応が
阻害され、充分な脱臭効果が得られない。また、また液
状の酸も使用可能であるが、H₂SO₄、HCl 、HNO₃等は活
性炭に添着すると分解して有害なガスを発生させるため
使用出来ない。また、酸とアミンの付加塩を直接活性炭
に添着することは困難である。酸が固体の有機酸である
場合は水に溶解して添着し、乾燥して水分を除去する必
要がある。活性炭に酸を添着させた後アミン類を加える
ことにより活性炭に安定した状態で添着することが出来
る。

【００１７】これらの付加塩と脂肪族アルデヒト特にア
セトアルデヒドとの反応性の見地から、従来使用されて
いたアニリン添着活性炭と同程度のアセトアルデヒド除
去性を有する組成物として、種々の酸及びアミンの組合
せについて研究した結果酸としてはリン酸が、またアミ
ンとしてはエチレンジアミンまたはトリエタノールアミ
ンが適していることが分かった。この酸及びアミンは付
加塩の形で活性炭の細孔面に吸着・保持されているもの
と考えられる。

【００１８】尚、空気を浄化する際リン酸との反応性が
高いアルカリ性ガスが多量に含まれている場合には過剰
のリン酸を添着しておく方が好ましい。

【００１９】リン酸或いはこれらのアミン類の活性炭へ
の添着量は特に限定しないが、リン酸５〜30％に対し
て、アミンは等モル未満が好ましく、0.9 モル以下がよ
り好ましい。リン酸含有量が５％以下ではアセトアルデ
ヒト除去性がやや不充分となる場合があり、また、30％
以上となると活性炭の吸着性が低下してアセトアルデヒ
トの除去性がやや低下する傾向が認められるからであ
る。また、リン酸に対するアミンの付加量は等モル以上
になるとアミンの臭気が発生する場合がある。このため
0.9 モル以下がより好ましい。

【００２０】本発明の空気浄化剤を調製するには活性炭
にリン酸を添着した後、更にアミン類を加えアミンリン
酸塩として活性炭に添着する必要がある。例えば、活性
炭を水洗要すれば更に酸水洗した後、所定量の濃度10数
％のリン酸水溶液を均一にふりかけてよく攪拌し密閉状
態で１夜保存する。次に、所定量のアミンを同様にふり
かけてよく混合した後、１日以上密閉して保存すること
により調製される。

【００２１】この際前述の様にリン酸とアミンの付加塩
そのものを直接活性炭に添着することは困難であり、ま
た、アミン類を先に添着すると吸着量が低くまた悪臭も
発生し易い。従って、先に活性炭にリン酸を吸着させた
後アミンを加えることにより、リン酸及びアミンの付加
塩を活性炭の細孔面に安定した状態で担持させることが
出来る。

【００２２】本発明の空気浄化剤はオフィス、家庭等生
活空間の空気浄化に使用されるものである。これらの室
内は通常タバコの臭気が強く、この臭気除去が最も大き
な課題である。タバコの臭気にはアセトアルデヒド、ア
ンモニア、低級アミン、炭化水素、硫化水素等多くの成
分が含まれているが、これらの中アセトアルデヒドが悪
臭の主成分である。本発明の空気浄化剤は特に空気中に
含まれている微量のアセトアルデヒドの除去性に優れ、
更にその他の成分も併せて除去することが出来る。

【００２３】

【作用】活性炭は無極性吸着剤として極めて優れた吸着
性を有する特異な材質で、殆どすべてのガス状物質に対
して高い吸着性を示す。しかし、オフィス、家庭等生活
空間の室内空気は通常タバコの臭気が強く、その悪臭の
主成分はアセトアルデヒドであるが、活性炭のアセトア
ルデヒドに対する吸着性は他の成分に較べて低く、活性
炭のみでは空気中に微量含まれているアセトアルデヒド
を完全に吸着・除去することは困難である。

【００２４】アセトアルデヒドは前述の様に本発明の空
気浄化剤に含まれている、エチレンジアミンまたはトリ
エタノールアミンと反応して除去されるが、その際酸と
の付加塩を作っているアミノ基はアルデヒドと接触する
と、酸よりはずれてアルデヒド分子と反応し、シッフ塩
基を形成するためアセトアルデヒドの臭気は除去され
る。更に、その際活性炭の吸着性と相まって活性炭の細
孔面におけるアミンとアルデヒドの反応は一層促進さ
れ、空気中に含まれる微量のアセトアルデヒドも完全に
除去することが出来る。

【００２５】

【実施例】以下、実施例を挙げて本発明について更に詳
しく説明する。

【００２６】（実施例１、２、比較例１〜16)ヤシ殻を
原料として調製した活性炭を充分水洗、乾燥した後、表
１に示した処方に従って、先に酸を担持させて１日間放
置後、アミン、アニリン等を加えて１日間密閉放置して
試料を調製した。尚、リン酸はそのまま活性炭にふりか
ける方法で担持させ、ヨウソ酸は濃度75％の水溶液とし
て加えた後活性炭を乾燥し、アミン等を加えて試料を調
製した。

【００２７】また、試料16はエチレンジアミン塩酸塩の
水溶液をエチレンジアミンとして８％活性炭に加え、60
℃で乾燥して調製した。

【００２８】

【表１】

【００２９】これらの試料を密閉容器中にとり、常温で
アセトアルデヒドガスを導入して吸着させ、気相中のア
セトアルデヒドガスの濃度が５ppm と10ppm の場合にお
ける試料の平衡吸着量を測定した。

【００３０】その結果を表２に示す。尚、試料のアセト
アルデヒド吸着量が多いもの、少ないものを◎、○、
△、×の４段階の記号で表示した。

【００３１】

【表２】

【００３２】また、各試料のアミン或いはアニリン等の
臭気の有無を官能試験によって調べ、その結果を表３に
示した。ここで、アミン等の臭気が感じられないものを
○、臭気が感じられるものを×で表示した。

【００３３】

【表３】

【００３４】表２に示した各試料のアセトアルデヒドガ
スの平衡吸着量及び、表３に示したアミン等の臭気の有
無を考慮すれば、活性炭にリン酸を介してエチレンジア
ミンまたはトリエタノールアミンを添着させた試料が、
活性炭にアニリンを添着させた場合とほぼ同等のアセト
アルデヒドガスの吸着性と無臭性を示すことが分かる。
従って、従来のアニリン添着活性炭に代えてこの様な組
成物を使用すれば、アニリンの様な有害な成分を含まな
い空気浄化剤が得られる。

【００３５】その他の酸或いはアミンを使用した場合も
活性炭単体に較べればかなり高いアセトアルデヒド除去
性を示すが、従来から空気浄化剤として使用されている
アニリン添着活性炭或いは本発明の空気浄化剤に較べる
と、アセトアルデヒド除去性はかなり低く、また僅かに
アミン臭が感じられるものが多い。

【００３６】更に、実施例１、２、比較例２及び比較例
10で得られた試料各60 gを、それぞれサイズ（厚さ、タ
テ、ヨコ） 6mm×300 ×98mmのハニカム状フィルターコ
アーに充填して、フィルターを作成した。

【００３７】１×１×１m のアクリル製ボックス内にタ
バコ (セブンスター) ５本を燃焼させておき、フィルタ
ーに装着したブロアーによりボックス内のガスを循環さ
せ、30分後のアセトアルデヒドガスとアンモニアの除去
率を調べた。

【００３８】その後更に、セブンスター５本を追加燃焼
させて同様にテストし、動的吸着性能を調べた。これら
の結果を表４に示した。

【００３９】尚、フィルター通過風速 (LV) は 1 m/sで
あり、またガス濃度はガステック（株）製ガス検知管を
用いて測定した。

【００４０】

【表４】

【００４１】また、実施例１、２及び比較例２で得られ
た試料それぞれ100gをガラス製カラムに充填し、50℃の
フレッシュ空気を470 ml/ 分で流通させた時に脱離する
アミンまたはアニリン量を測定した。

【００４２】図１に空気流通時間と、通過後の空気中の
アミンまたはアニリン濃度との関係を示した。尚、通過
後の空気中のアミンまたはアニリン濃度はガステック
（株）製ガス検知管によって測定した。

【００４３】この結果によって、本発明の空気浄化剤の
アミン脱離量はアニリン添着活性炭のアニリン脱離量よ
り遙かに少ないことを示している。

【００４４】

【発明の効果】本発明の空気浄化剤はオフィス、家庭等
生活空間の空気浄化に使用されるものである。これらの
空気中に含まれる悪臭の最も大きな要因はタバコの煙で
あり、その主成分はアセトアルデヒドである。本発明の
空気浄化剤は活性炭にアミンリン酸塩を添着したもの
で、活性炭の吸着性とアミンの作用により特にアセトア
ルデヒド等脂肪族アルデヒドの脱臭性に優れている。更
に、その他の悪臭成分の除去性にも優れている。

【図面の簡単な説明】

【図１】空気流通時間と通過空気中のアミンまたはアニ
リン濃度との関係を示す。

【符号の説明】

１ 実施例１ ２ 〃 ２ ３ 比較例２

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 活性炭にリン酸とエチレンジアミンまた
   は／及び、トリエタノールアミンを添着せしめてなる空
   気浄化剤。
2. 【請求項２】 活性炭にエチレンジアミンリン酸塩また
   は／及び、トリエタノールアミンリン酸塩を添着せしめ
   てなる空気浄化剤。
3. 【請求項３】 活性炭対するリン酸添着量が５〜30重量
   ％であり、アミンの添着量がリン酸添着量のモル未満で
   ある請求項１及び２記載の空気浄化剤。
4. 【請求項４】 活性炭にリン酸を添着した後、エチレン
   ジアミンまたは／及び、トリエタノールアミンを加えア
   ミンリン酸塩として活性炭に添着せしめることを特徴と
   する空気浄化剤の製法。