JPH05161842A - 空気浄化剤 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】活性炭にアミン及びアルカリ土類金属の塩また
は水酸化物及び／または、アルカリ金属の塩または水酸
化物を添着せしめてなる空気浄化剤である。 【効果】本発明の空気浄化剤は、空気中の悪臭の最も大
きな原因の一つである、タバコの煙等に含まれているア
ルデヒド類、特にアセトアルデヒドの吸着・除去性に優
れている。更に本浄化剤は初期活性が高いのみならず、
添着後時間の経過によるアセトアルデヒド吸着能の低下
が少なく、長期間その効果を持続出来る特徴を持ってい
る。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は空気浄化剤に関するもの
で、更に詳しく述べると空気中の悪臭の最も大きな原因
の一つである、タバコの煙等に含まれているアルデヒド
類、特にアセトアルデヒドの吸着・除去性に優れた空気
浄化剤である。

【０００２】

【従来の技術】室内または車内等一般の生活空間の空気
中に含まれている、悪臭成分の種類はかなり多いが、最
も大きな原因の一つはタバコの煙等に含まれているアル
デヒド類、特にアセトアルデヒドの臭気である。

【０００３】主として空気中のアセトアルデヒドを除去
するための吸着剤として、アニリンを添着した活性炭
が、特公昭60-54095号公報、特開平252043号公報及び特
開平3-98642 号公報に開示されている。また現在アニリ
ンを添着した活性炭が室内または車内の空気浄化剤とし
てかなり使用されている。しかし、活性炭にアニリンを
添着すると、活性炭はアミン類に対して僅かに分解触媒
性を有するため、添着後或る程度の時間が経過するとア
ニリンが分解して、アセトアルデヒドの吸着能が低下
し、タバコの臭気の除去性が悪くなる欠点が指摘されて
いる。

【０００４】現在アニリンを添着した活性炭が空気浄化
剤として使用されているが、アニリンを添着してから使
用される迄、流通段階で相当の期間が経過するためその
間に吸着性がかなり低下している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明はアミン類とし
て通常アニリンを添着した活性炭が、添着後時間の経過
と共にアセトアルデヒド吸着能が低下する欠点を改善し
て、長期間その吸着能を保持出来る様にすると共に、更
にその初期活性も高めようとするものである。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明者は、活性炭に添
着したアニリンの分解防止法について種々検討している
時、アニリン添着の基材となる活性炭を、水洗或いは酸
水洗によって活性炭に含まれているアルカリ土類金属、
アルカリ金属及び鉄族等の金属塩を除去すると、その度
合いによって添着したアニリンの分解性が異なることを
見出した。これに基づいて種々検討した結果本発明に到
達した。

【０００７】すなわち、活性炭にアミン及びアルカリ土
類金属の塩または水酸化物及び／または、アルカリ金属
の塩または水酸化物を添着せしめてなる空気浄化剤であ
る。

【０００８】以下本発明について詳しく説明する。

【０００９】本発明に使用する活性炭は、通常1gあたり
数100 〜2,000m² 或いはそれ以上の大きな表面積を有
し、高い吸着性を示す炭素材料である。活性炭の原料は
通常ヤシ殻または木材等の炭化物或いは石炭が使用され
るが、その何れも使用出来る。また賦活法も水蒸気或い
は二酸化炭素により高温でまたは塩化亜鉛、リン酸、濃
硫酸処理等いづれの方法により得られたものでもよい。

【００１０】また形状は破砕炭、造粒炭或いは顆粒炭の
何れでも効果は認められるが、圧損失及び入替等取扱い
上造粒炭または活性炭を添着したシート状吸着層が便利
である。造粒炭は常法に従って炭素材料100 部に30〜60
部の石油ピッチ或いはコールタール等をバインダーとし
て加え混和成型後賦活して調整される。

【００１１】本発明に使用するアミンとしては脂肪族ア
ミン、芳香族アミンが共に使用出来る。これらのアミン
の中、活性炭はアニリンに対して高い吸着性を示し、そ
の細孔内に強固に吸着して保持されるため蒸気圧が著し
く抑制されて、脱着されることがなく、使用中も殆ど臭
気が感じられず毒性もないため、通常はアニリンが使用
される。

【００１２】また本発明に使用するアルカリ土類金属塩
及びアルカリ金属塩の、金属は特に限定しないがカルシ
ウム、バリウム、ナトリウム、カリウムが好ましい。ま
たこれらの金属塩は水溶液として活性炭に添着させる場
合が多いため、水溶性を有することが好ましく、このた
め炭酸塩、塩化物または水酸化物が一般に適している。
添着量は活性炭100 部に対して0.3 〜５部が好ましく、
５部以上になると活性炭の吸着性がやや阻害される傾向
が認められる。

【００１３】活性炭にアニリン及びアルカリ土類金属
塩、またはアルカリ金属塩を添着させるには、水溶性を
有するアルカリ土類金属塩、またはアルカリ金属塩を溶
解した水溶液を調整し、常温で３〜５時間活性炭を浸漬
して金属塩を充分に活性炭に吸着させ、活性炭を金網上
に取り出して液切りをし、水を掛けて軽く洗い、更にア
ニリン水溶液を均一に振り掛けた後110 〜120 ℃で乾燥
することにより、アニリン及びアルカリ土類金属塩、ま
たはアルカリ金属塩を添着した活性炭を調製することが
出来る。

【００１４】その他活性炭へのアニリン添着法として
は、アニリン水溶液に活性炭を常温で２〜３時間浸漬し
た後、ろ別・乾燥する方法、あるいはアニリンを含む瓦
斯を活性炭充填層に通して気相吸着させる方法等によれ
ば、一層均一に添着させることが出来る。

【００１４】

【作用】アニリン及びアルカリ土類金属塩、またはアル
カリ金属塩を添着した活性炭は、同量のアニリンのみを
添着した活性炭に較べて、添着後の時間経過によるアセ
トアルデヒド吸着性の低下が少ないのみならず、吸着直
後のアセトアルデヒド吸着性も高い。すなわち、空気浄
化剤としてアセトアルデヒド吸着性能の劣化も少なく且
つ、初期活性も高い優れた性質を持っている。

【００１５】この作用はアルカリ土類金属塩、またはア
ルカリ金属塩に含まれる金属原子が、アニリンの分解触
媒となる活性炭表面のカルボキシル基等の官能基の活性
水素原子の作用を抑制するためではないかと考えられる
が、そのメカニズムの詳細は明らかでない。

【００１６】オフィス、家庭等生活空間の室内には、通
常タバコの臭気が強く感じられるが、組成的にはアセト
アルデヒドの他、アンモニア、低級アミン、炭化水素、
硫化水素等が含まれている。これらの成分の中、本発明
の浄化剤はタバコの臭気の主成分であるアセトアルデヒ
ドの吸着性には極めて優れているが、その他の成分の吸
着性は充分でない。従って、本発明の空気浄化剤は単独
で使用することも出来るが、他の浄化剤と併用すれば一
層効果がある。

【００１７】

【実施例】以下実施例を挙げて本発明を更に具体的に説
明する。

【００１８】（実施例１〜４、比較例１、２）活性炭と
しては、ココヤシの殻の炭化物を原料として調製した粒
度６〜10メッシュの破砕炭及びその粉末をコールタール
ピッチをバインダーとして直径２mm長さ数mmに成型した
造粒炭を使用した。下記の条件で塩化カルシウムまたは
塩化ナトリウム水溶液に活性炭を浸漬した後、水洗、乾
燥し破砕炭及び造粒炭に、塩化カルシウムまたは塩化ナ
トリウムうを添着した。この際、水溶液に含まれていた
金属塩は殆ど全部活性炭に吸着される。次に活性炭にア
ニリンを所定量添着出来る様にその水溶液を出来るだけ
均一に振りかけ、密閉容器に１昼夜保存して試料を調製
した。

【００１９】・破砕炭100 部、５％塩化カルシウム溶液
100 部、アニリン８部（実施例１） ・造粒炭100 部、５％塩化カルシウム溶液100 部、アニ
リン８部（実施例２） ・破砕炭100 部、５％塩化ナトリウム溶液100 部、アニ
リン８部（実施例３） ・造粒炭100 部、５％塩化ナトリウム溶液100 部、アニ
リン８部（実施例４） ・破砕炭100 部、アニリン８部（比較例１） ・造粒炭100 部、アニリン８部（比較例２） ・破砕炭100 部、５％塩化カルシウム溶液100 部、トリ
エタノールアミン８部（実施例５） ・造粒炭100 部、５％塩化カルシウム溶液100 部、トリ
エタノールアミン８部（実施例６） ・破砕炭100 部、トリエタノールアミン８部（比較例
３） ・造粒炭100 部、トリエタノールアミン８部（比較例
４）

【００２０】次に、容量3.97 lのガラス瓶に無水換算2g
の試料を入れ、真空ポンプで少し脱気した後、所定のア
セトアルデヒド液を加え気化させる。次に空気を入れて
常圧に戻した後、25℃の恒温槽中に放置する。24Hr経過
後、アセトアルデヒド濃度をガス検知管で測定した。平
衡に達した時のアセトアルデヒド吸着量と濃度との関係
を調べ、20℃の等温線を測定し、ガス濃度10ppm におけ
る吸着量を算出した。

【００２１】また、試料をポリ袋に入れ密封し、常温で
１ケ月、６ケ月保存したものを作り、同様にテストし吸
着量を測定した。

【００２２】その測定結果を表１に示す。

【００２３】

【表１】

【００２４】これにより、塩化カルシウムまたは塩化ナ
トリウム添着活性炭に、アニリンを添着した場合は、ア
ニリンのみを添着した活性炭に較べて、初期のアセトア
ルデヒド吸着量が高いのみならず、時間経過による吸着
量の低下も小さいことが分かる。

【００２５】次に、添着したアニリンのアニリンとトリ
エタノールアミンの脱着性を調べた。温度50℃の恒温槽
内にセットした50mmΦのガラス管カラムに試料100gを充
填し、温度50℃のフレッシュ空気を流速470ml/min で通
し、出口ガス中のアニリンとアミン類のガス濃度をガス
検知管で測定した。

【００２６】その結果を図１及び図２に示す。

【００２７】

【図１】

【００２８】

【図２】

【００２９】

【発明の効果】本発明の空気浄化剤は、空気中の悪臭の
最も大きな原因の一つである、タバコの煙等に含まれて
いるアルデヒド類、特にアセトアルデヒドの吸着・除去
性に優れている。更に本浄化剤は初期活性が高いのみな
らず、添着後時間の経過によるアセトアルデヒド吸着能
の低下が少なく、長期間その効果を持続出来る特徴を持
っている。

【図面の簡単な説明】

【図１】通気時間と通気ガス中のアニリン濃度の関係を
示したものである。

【図２】通気時間と通気ガス中のトリエタノールアミン
濃度の関係を示したものである。

【符号の説明】

１ 実施例１ ２ 実施例２ ３ 実施例３ ４ 実施例４ ５ 比較例１ ６ 比較例２ ７ 実施例５ ８ 実施例６ ９ 比較例３ 10 比較例４

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 活性炭にアミン及びアルカリ土類金属の
   塩または水酸化物及び／またはアルカリ金属の塩または
   水酸化物を添着せしめてなる空気浄化剤。