JPH07327671A - 含硫悪臭物質分解微生物の高活性化剤、生物脱臭方法、及びpH調整剤 - Google Patents

含硫悪臭物質分解微生物の高活性化剤、生物脱臭方法、及びpH調整剤

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JPH07327671A
JPH07327671A JP6122847A JP12284794A JPH07327671A JP H07327671 A JPH07327671 A JP H07327671A JP 6122847 A JP6122847 A JP 6122847A JP 12284794 A JP12284794 A JP 12284794A JP H07327671 A JPH07327671 A JP H07327671A
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sulfur
microorganism
malodorous
malodorous substance
deodorizing
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JP6122847A
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Masaichirou Nishie
雅一朗 西江
Toshiyuki Nakajima
敏幸 中島
Morio Mimura
精男 三村
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Kobe Steel Ltd
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Kobe Steel Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 含硫悪臭物質分解微生物による生物脱臭系に
おいて該微生物の活性を高めることができる含硫悪臭物
質分解微生物の高活性化剤、及びこの微生物を用いた生
物脱臭方法を提供する。 【構成】 本発明の高活性化剤は、有効成分として炭酸
塩を含有し、含硫悪臭物質分解微生物による生物脱臭系
において該微生物の活性を高めるものである。また、本
発明の生物脱臭方法は、上記高活性化剤の存在下に、含
硫悪臭物質を有する悪臭ガスまたは液体を、含硫悪臭物
質分解微生物を用いて処理することにより、該悪臭ガス
または液体を脱臭する方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、含硫悪臭物質分解微生
物の高活性化剤、pH調整剤、及び該微生物による生物
脱臭方法に関するものである。本発明の生物脱臭方法
は、含硫悪臭物質を含む悪臭ガスまたは液体(以下、こ
れらを単に含硫悪臭ガス等と称することがある)を脱臭
処理するのに有用であり、例えば下水処理場、屎尿処理
場、ゴミ処理場、畜産業施設などから発生する含硫悪臭
ガス等の脱臭に利用できる。
【0002】
【従来の技術】下水処理場、屎尿処理場などから排出さ
れる悪臭ガス等の主な悪臭原因物質は含硫悪臭物質であ
り、該含硫悪臭物質としては例えば硫化水素(以下、H
2 Sと記す)、メチルメルカプタン(以下、MMと記
す)、硫化メチル(以下、DMSと記す)、二硫化メチ
ル(以下、DMDSと記す)等の難分解性悪臭物質が知
られている。
【0003】この様な悪臭物質を除去する方法として
は、従来より活性炭吸着法、薬液処理法、生物脱臭法等
が知られており、なかでも微生物の分解能力を活用した
生物脱臭法は、経済性及び脱臭効率の点で優れているこ
とから、近年広く普及しつつある。
【0004】上記生物脱臭法に用いられる生物脱臭装置
には、装置の後段に活性炭吸着装置を付随しているもの
が多い。しかし、活性炭を頻繁に交換する必要があるた
め、コストが高くなると共に、操作が煩雑になるという
問題がある。このことから、前段の生物脱臭装置にその
機能を付与させて活性炭吸着装置を不要とすることによ
り、生物脱臭処理の効率化を図ることが望まれている。
【0005】この様な問題を解決する方法として、特開
平1−14022号公報には、分解菌(本発明に用いら
れる含硫悪臭物質分解微生物に相当する、以下この微生
物をS分解微生物と略記する場合がある)を予め増殖し
ておいて該S分解微生物を多量に含む充填層を形成し、
これにより脱臭効率の向上を図るという技術が開示され
ている。即ちこの方法は、予め微生物群をジメチルスル
ホキシド(以下、DMSOと記す)の存在下に培養して
S分解微生物を高濃度に増殖させ、増殖したS分解微生
物をカラム内に集積させた後、これに含硫悪臭成分を含
む悪臭ガスを通して処理するものである。なお、この方
法においては含硫悪臭成分をS分解微生物の栄養源とし
て位置づけることもでき、S分解微生物は含硫悪臭成分
を分解しつつ、それによって生育成長しているのであ
る。従って、上記の様なDMSO利用方法は、処理され
る悪臭ガス中の含硫悪臭物質濃度が非常に低い場合であ
ってもDMSOを栄養源として生育することができ、非
常に有用な方法とされるのである。
【0006】しかしながら、S分解微生物は既述の如く
含硫悪臭成分を重要な栄養源とし、これを酸化して無臭
の化合物に変換するものであり、この酸化分解時に多量
の硫酸イオンが生成するため、pHが著しく低下する。
この様なpHの低下は含硫悪臭物質分解微生物の生育を
阻害し、その結果脱臭効率の低下を招く。
【0007】この様なpHの低下を防ぐことを目的とし
て、pH調整剤として水酸化ナトリウムを導入した生物
脱臭装置が提供されている。水酸化ナトリウムは安価な
pH調整剤として有用であるが、あくまでもpH調整作
用のみ有するものであって、S分解微生物の炭素源とし
ても有用で更にその活性を高めるという作用を合わせも
つものでない。また強アルカリ剤であるから、添加につ
いては精度の高い制御が要求され、使用し易さという点
において劣る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述の様な
事情に着目してなされたものであって、その目的は、S
分解微生物による生物脱臭系において、該微生物の活性
を高めることができ、且つpHを調整することができる
様な、S分解微生物の高活性化剤及びpH調整剤を提供
することにある。更に本発明の目的は、上記高活性化剤
またはpH調整剤を用いて、含硫悪臭物質を効率よく脱
臭処理することができる生物脱臭方法を提供することに
ある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の含硫悪臭物質分
解微生物の高活性化剤は、有効成分として炭酸塩を含有
し、含硫悪臭物質分解微生物による生物脱臭系において
該微生物の活性を高めることに要旨を有するものであ
る。また、本発明のpH調整剤は、有効成分として炭酸
塩を含有し、含硫悪臭物質分解微生物による生物脱臭系
のpHを調整するものであることに要旨を有するもので
ある。
【0010】本発明の生物脱臭方法は、上記含硫悪臭物
質分解微生物の高活性化剤またはpH調整剤の存在下
に、含硫悪臭物質を有する悪臭ガスまたは液体を、含硫
悪臭物質分解微生物を用いて処理することにより、該悪
臭ガスまたは液体を脱臭することに要旨を有するもので
ある。
【0011】
【作用】まず、本発明のS分解微生物の高活性化剤(以
下、単に高活性化剤と略記する場合がある)について説
明する。本発明の高活性化剤は上述した様に有効成分と
して炭酸塩を含有する。本発明に用いられる炭酸塩とし
ては通常用いられる無毒性の炭酸塩であれば特に限定さ
れず、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ金属
炭酸塩;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等のアルカ
リ土類金属炭酸塩;炭酸アンモニウム;炭酸水素ナトリ
ウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム等の重
炭酸塩等が挙げられるが、後述するpH調整剤としての
作用を有効に発揮させるにはアルカリ金属炭酸塩が用い
ることが特に推奨される。これらの炭酸塩は純粋な化合
物、すなわち市販の試薬として加えられることが好まし
いが、その他にも上記炭酸塩の有効量を含有する材料
(例えば、カキ、アサリ、シジミ等の様な炭酸カルシウ
ムを含有する貝の殻等)等を用いることも可能である。
これらの材料は処理しやすい様に細かく粉砕して用いる
ことが推奨される。
【0012】その他、ギ酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢
酸塩、マレイン酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、
ベンゼンスルホン酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、マロ
ン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩等の有機酸付加塩の様
な酸との塩を用いることも可能である。また、上記炭酸
塩等と併用して炭酸ガスを用いることも可能である。こ
の炭酸ガスは、S分解微生物の炭素源として利用され
る。
【0013】上記炭酸塩または炭酸ガスは、S分解微
生物の炭素源として有用であると共に、該微生物の栄
養源である硫黄化合物が酸化分解する際に生じる硫酸イ
オンを中和する作用を有する。この様に上記炭酸塩を用
いることは、栄養源(炭素源)と至適環境条件(至適p
H)の両面から好ましく、S分解微生物の生育を促進
し、その活性を大いに高めることができる。
【0014】この様に本発明の高活性化剤は、S分解微
生物の生育環境を最適なpHに調整することもできるこ
とから、pH調整剤としても有用であることが分かる。
すなわち、S分解微生物の活性を高めることができる本
発明の高活性化剤は、pH調整剤としても有用であり、
該微生物の培養工程、及び該微生物による脱臭処理工程
(追って詳述する)にも非常に有用であり、新規なpH
調整剤として提供されるものである。
【0015】上記炭酸塩による作用を有効に発揮させる
濃度は、S分解微生物の周囲の環境(培養液中のpH、
炭素源濃度、処理される含硫悪臭物質の濃度等)に応じ
て適宜変更され、該環境中のpH等を随時測定しなが
ら、適宜その量を制御することが好ましい。
【0016】ここで、S分解微生物としては含硫悪臭物
質を分解する微生物であれば特に限定されず、例えばPs
eudomonas 属に属する微生物(Pseudomonas asidovoran
us)、Hyphomicrobium属に属する微生物(Hyphomicrobi
um sp.)、Xanthomonas 属に属する微生物(Xanthomona
s sp. )、Rhodococcus 属に属する微生物(Rhodococcu
s sp. )、糸状性細菌に属する微生物、Thiobacillus属
に属する微生物{チオバシラス チオパラス(Thiobacil
lus thioparus),チオバシラス チオオキシダンス(Th
iobacillus thiooxidans),チオバシラス アシドフィ
ラス(Thiobacillus acidphilus ),チオバシラス フ
ェロオキシダンス(Thiobacillus ferrooxidans )等が
挙げられる。これらの微生物は上述した様に、エネルギ
ー源として含硫悪臭物質を含む硫黄化合物を利用し、有
機酸や空気中の炭酸ガス等を炭素源として生育するもの
である。S分解微生物を培養するに当たって、その培養
環境下に本発明の高活性化剤を加えれば、上述した様に
微生物の生育に必要な炭素源が十分供給されると共に、
培養環境を至適pHに調整するこができるので、最適な
生育環境が得られることになる。従って、上記微生物の
活性を高めることができ、該微生物を効率よく増殖させ
ることが可能になる。
【0017】次に、本発明の生物脱臭方法について説明
する。本発明の生物脱臭方法は上記した様に、本発明の
高活性化剤(またはpH調整剤)の存在下に、S分解微
生物を用いて、含硫悪臭物質を有する悪臭ガスまたは液
体を処理することにより、該悪臭ガスまたは液体を脱臭
する方法であり、基本的には S分解微生物を培養する工程(単に、前培養工程と略
記する場合がある)、及び/または S分解微生物を用いて、含硫悪臭物質を有する悪臭ガ
スまたは液体を脱臭処理する工程(単に、処理工程と略
記する場合がある)を包含することにより、該悪臭ガス
または液体を脱臭する方法である。
【0018】以下に、各工程について詳述する。 まず、S分解微生物を培養する。ここで、S分解微生
物自体を単独で培養することも可能であるが、下水処理
場や屎尿処理場等で採取した余剰汚泥、スカム、排水等
の材料(これらの材料には自然界に存在する種々の微生
物群が存在し、その中にはS分解微生物も含まれてい
る)を用いても良い。また、用いられる培養液としては
要するにS分解微生物を増殖することができる培養液で
あれば特に限定されず、例えば以下の表1に示す組成の
培養液が用いられる。
【0019】
【表1】
【0020】ここで表1に記載の微量ミネラル液とは、
以下の表2に示す組成を有するものである。
【0021】
【表2】
【0022】なお、上記培養液中には、本発明の高活性
化剤またはpH調整剤としてNa2CO3 が添加されて
おり、その結果S分解微生物の生育を促進することがで
きる。この様に、前培養工程において本発明の高活性化
剤(またはpH調整剤)を培養液中に加えても良いが、
次の処理工程で加えてもよく、あるいは前培養工程及び
処理工程の両方の工程で加えておけば、さらにその作用
を有効に発揮させることができる。その際、硫黄化合物
の存在下に該微生物を培養すると、更にその活性を高め
ることもできる。
【0023】上記硫黄化合物としては、例えば上記含硫
悪臭物質であるH2 S、MMP、MS、DMSの他に、
DMSO、チオ硫酸もしくはその塩を用いることも可能
である。ここで、DMSO、及びチオ硫酸またはその塩
はS分解微生物にとって含硫悪臭物質と同等の栄養価値
がある物質である。その際、チオ硫酸もしくはその塩を
用いれば、下記の(a) 〜(c) に示す様な効果が得られる
ので非常に有効である。
【0024】(a) 他の硫黄化合物を用いた場合に比べて
S分解微生物を高濃度に且つ短期間に集積することがで
きる(その集積過程において他の微生物を淘汰して増殖
することができる)。 (b) 集積されたS分解微生物は、チオ硫酸またはその塩
を栄養源として用いることができるのは勿論、その他の
上記含硫悪臭物質なども効率よく分解することができる
様になる。 (c) S分解微生物の栄養源である含硫悪臭ガス等が下水
処理場等の操業条件によって変動した場合であっても、
S分解微生物の栄養源を必要最小限確保できることにな
り、S分解微生物の活性を常時高い状態で維持すること
ができる。
【0025】すなわち、チオ硫酸もしくはその塩の存在
下に前培養すれば、多種類の含硫悪臭物質を含有する悪
臭ガスであっても、これらを効率よく脱臭処理すること
ができるS分解微生物が高濃度に集積されることにな
り、脱臭効率を高めることができるのである。
【0026】これに対して、チオ硫酸もしくはその塩以
外の他の含硫悪臭物質の存在下に前培養した場合には、
例えばMMPで前培養した微生物は主にMMPのみを分
解し、MSで前培養した微生物は主にMSのみを分解す
るという様に、基質特異性が非常に高く、種々の含硫悪
臭物質を含む含硫悪臭ガス等を処理するには好ましい方
法であるとは言い難い。このことは、DMSOを用いた
場合にも同様に言えることであり、DMSOで前培養し
た微生物は、MMPを良く分解するものの、他の含硫悪
臭物質については分解力はあまり高くない。上記硫黄化
合物の添加濃度としては、要するにS分解微生物の生育
が可能な範囲であれば特に限定されないが、例えばチオ
硫酸またはその塩の場合には約500〜3000mg/
Lが好ましい。
【0027】次にS分解微生物を用いて、含硫悪臭物
質を有する悪臭ガスまたは液体を処理する。この処理工
程において用いられるS分解微生物は、処理工程に移る
前に、予め上記の様にして前培養しておいても良い
し、あるいは前培養を行わずに直接処理工程を行っても
良い。予め前培養を行っておけば、S分解微生物が既に
高濃度に集積されているため、脱臭処理時間を更に短縮
することができるが、前培養を行わない場合であって
も、その処理工程中にS分解微生物が培養されて集積さ
れることになり、良好な脱臭効果が得られる。ここで
は、S分解微生物を単独で用いても良いが、上述したS
分解微生物等の様々な微生物を含む材料(例えば汚泥
等)を用いることも可能である。その際、上記と同
様、硫黄化合物の存在下に処理すれば、該処理時におけ
るS分解微生物の栄養源が供給されることになるので、
微生物の活性を低下させることなく、高い状態で維持す
ることができる。従って、含硫悪臭ガスの濃度に変動が
生じた場合にも対応することができ、良好な生物脱臭効
率が得られるものである。ここで上記硫黄化合物として
チオ硫酸またはその塩を用いれば更にその処理効率が高
まることは上述した通りである。
【0028】また、上記及びの両方の工程を硫黄化
合物の存在下に行ってもよいことは言うまでもなく、こ
の方法によれば、S分解微生物を高濃度に集積でき且つ
処理時においても活性を高く維持することができるので
非常に効率の良い方法である。
【0029】本発明のS分解微生物の高活性化剤(また
はpH調整剤)は、上述した様に上記及び/または
の工程において加えることが可能であり、微生物の生育
環境を最適なものにしてその活性を高めることができ、
ひいては該微生物による脱臭処理の効率化を図ることが
できる。例えば上記処理工程時に本発明の高活性化剤を
用いれば、後記する実施例4で実証される様に、悪臭ガ
ス通風の空間速度(SV)を従来の50〜100hr-1
から、400hr-1以上にまで高めることが可能にな
り、その結果脱臭処理時間を短縮ことができると共に生
物脱臭装置を小型化し、かつ安定に脱臭装置を運転でき
るという効果が得られる。上記高活性化剤の添加時期に
ついては特に限定されず任意の時点で添加することがで
き、培養開始時または処理開始時、もしくはこれらの途
中から添加しても良いが、その作用を有効に発揮させる
には、培養開始時または処理開始時から添加することが
特に推奨される。
【0030】本発明において用いられる生物脱臭装置
は、充填塔型式の他、流動床型式でも良い。充填塔型式
の脱臭装置は、充填された微生物固定用担体の空隙を、
悪臭ガスが通過する間に脱臭処理を行うというものであ
る。一方、流動床型式とはセラミック多孔体、プラスチ
ック成形体等の表面に微生物を付着させた担体を用い、
この担体を培養液中に浮遊させ、該培養液中に悪臭ガス
を通風することで悪臭ガスと微生物との接触を行って脱
臭するというものである。尚、微生物固定用担体として
は多孔性カーボン担体の細塊、セラミック多孔体、プラ
スチック成形体、ラシヒリング、スラグ細塊、ポリビニ
ルアルコール,ポリアクリルアミド,寒天,カッパー・
カラギーナン等のポリマー細塊、ナイロン,ポリエステ
ル,ポリエチレン,ポリ塩化ビニル等の繊維ないしはス
ポンジ体、ピートモス(泥炭)等の天然繊維体、ゼオラ
イト細塊、活性炭細塊等が用いられる。
【0031】以下充填塔型式を例にとって、本発明の脱
臭方法を更に具体的に説明する。なお、充填塔式の脱臭
装置については後記する実施例でその一例を示す。ま
ず、充填塔には微生物用担体を予め充填しておく。これ
に、上記S分解微生物を含む培養物、もしくは該微生物
を含有する材料を微生物源として循環させながら散布す
る。その際、必要により上記硫黄化合物を含む培養液を
適宜供給すると共に、空気を通風する。この処理によ
り、担体表面にS分解微生物が担持される。尚、前培養
の際に通風する空気は酸素供給用であって、この空気の
代りに悪臭ガスを用いても良い。次に、含硫悪臭ガス等
を導入することにより、含硫悪臭物質を脱臭処理する。
【0032】本発明に用いられる生物脱臭装置は上記充
填塔式の他に、流動床型式にも適用することができる。
図1は流動床型式の生物脱臭装置の一例を示す概略断面
図であり、図中、20は悪臭物質処理槽、24は微生物
を担持した担体、23は培養液または水、21は悪臭ガ
ス供給管、22は処理ガス排気管である。
【0033】この流動床型式による生物脱臭方法を説明
すると、まず、悪臭ガス供給管21から供給された悪臭
成分は一旦水(培養液)23に溶解する。この悪臭成分
は担体24表面に担持された微生物によって分解され
る。処理されたガスは処理ガス排気管22より排出され
る。
【0034】以下実施例を用いて本発明を更に詳細に説
明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもので
はなく、前・後記の趣旨に逸脱しない範囲で適宜設計変
更することはいずれも本発明の技術的範囲に含まれるも
のである。
【0035】
【実施例】
<生物脱臭装置>図2は本発明に用いられる充填塔式の
生物脱臭装置(1塔式の固定床式脱臭装置)の一例を示
す概略断面図である。図において3は充填塔(直径50
mm、高さ300mmの塩化ビニル製の円筒カラム)であ
り、充填塔3の充填層には多孔性カーボン担体等の担体
6が充填されている。1は散水貯留槽で、この中には微
生物培養物及び培養液が滞留されている。5は散水ノズ
ルで、充填塔3の塔頂部分に設けられている。2は散水
供給ポンプで、散水貯留槽1からの液をくみ上げる。7
は排水ポンプで、廃液を廃液貯蔵槽9に供給する。8は
悪臭ガス供給管、4は処理ガス排気管である。
【0036】次に上記脱臭装置の動作について説明す
る。下水処理場等で発生した悪臭ガスは、悪臭ガス供給
管8から充填塔3に通風され、充填層を通過する間に脱
臭される。そして脱臭されたガスは処理ガス排気管4よ
り排出される。充填塔3内では散水ノズル5を介して、
散水貯留槽1から供給される培養液を散布している。ま
た本発明に用いられる炭酸塩は、供給管(図示せず)を
通して散水貯留槽1に供給される。更にこの生物脱臭装
置には、担体表面のpHや水分、及び散水貯留槽1中の
pH及やその濃度を測定する分析計(図示せず)が設置
されている。以下の実施例及び比較例では、上記生物脱
臭装置を使用し、硫化水素の存在下に予め前培養させて
おいたS分解微生物による脱臭処理を行った。
【0037】〈実施例1〉図2に示す脱臭装置の充填層
に、担体として多孔性カーボン担体(平均粒径約10〜
15mm)を150mL充填した。次に、硫化水素で予め
前培養した菌体(活性汚泥由来)を上記表1及び表2の
組成を有する散水に懸濁して循環させ、充填塔3の上部
の散水ノズル5を介して散布することにより、担体に担
持させた。上記充填塔に、硫化水素:200ppm,風
速:1L/分(SV=400-1hr)の高負荷条件で通
風処理を行い、硫化水素の脱臭を行った。
【0038】処理開始後28日目に、散水中に炭酸ナト
リウム(1g/L:1000ppm)を添加し、排ガス
中に含まれる硫化水素の濃度をガスクロマトグラフィ法
で測定することにより、炭酸ナトリウムの添加による硫
化水素濃度の変動を調べた。その結果を図3に示す。
【0039】図3から分かる様に、炭酸ナトリウムの添
加を行うまで(すなわち処理開始28日まで)は、排ガ
ス中の硫化水素濃度は約10ppmとほぼ一定であった
のに対して、炭酸ナトリウムを添加すると、その2日目
には硫化水素の濃度は著しく減少し、処理後32日目に
は硫化水素の濃度は9.5ppbにまで減少した(硫化
水素除去率:99.995%)。
【0040】〈比較例1〉上記実施例1において、炭酸
ナトリウムを添加しなかったこと以外は実施例1と同様
にして処理することにより、硫化水素の測定を行った。
その結果を図4に示す。図4から明らかな様に、処理後
32日目においても排ガス中の硫化水素濃度は処理開始
時とほとんど変わらず、10.5ppm(硫化水素除去
率:94.7%)と非常に高いままであった。上記実施
例1及び比較例1の結果から、硫化水素の存在下に前培
養を行って得られたS分解微生物を用い、処理工程中に
炭酸ナトリウムを添加すると、硫化水素を効率よく処理
することができることが分かった。
【0041】この様に炭酸ナトリウムの添加により硫化
水素を効率良く処理することができた理由としては、S
分解微生物の炭素源の補給及び散水中のpHの上昇が考
えられる。実際、上記実施例1において炭酸ナトリウム
を添加する前の散水中のpHを測定したところ、そのp
Hは1.25であったが、炭酸ナトリウムを添加すると
廃液中のpHは6.45(ほぼ中性付近)にまで上昇し
たことが確認された。従って、炭酸ナトリウムの添加に
より、培養液中のpHをS分解微生物の生育至適pHに
まで高めることができた。
【0042】〈実施例2〉実施例1において、平均粒径
が約6〜7mmになる様に粉砕した多孔性カーボン担体
を担体として用いたこと、硫化水素の濃度を50ppm
としたこと、更に散水中には処理開始時から炭酸ナトリ
ウムを添加したこと以外は、実施例1と同様にして硫化
水素の測定を行った。その結果を図5に示す。
【0043】〈比較例2〉実施例2において、炭酸ナト
リウムを添加しなかったこと以外は実施例2と同様にし
て処理することにより、硫化水素の測定を行った。その
結果を図6に示す。上記実施例2及び比較例2の結果か
ら以下のことが分かる。実施例2では図5から明らかな
様に、処理後3日目には排ガス中の硫化水素濃度は0.
03ppmにまで減少し、その後更に処理を続けたとこ
ろ、処理後15日目には0.5ppb(これは、200
0倍濃縮によるガスクロマトグラフィ法における検出限
界値である)にまで減少させることができた。これに対
して比較例2の様に炭酸ナトリウムを添加しない場合に
は、図6から明らかな様に、処理後15日目においても
排ガス中の硫化水素濃度を0.5ppm以下に減少させ
ることはできなかった。
【0044】〈実施例3〉本実施例は、硫化水素の流速
を高めることにより更にその脱臭効果をねらったもので
あり、実施例2に引き続いて行われたものである。すな
わち、処理後15日目に硫化水素の流速を1.5L/分
(SV=600hr-1)に高めて同様に処理を行うこと
により、硫化水素の測定を行った。その結果を図5に併
記する。図5から明らかな様に、処理後22日目には排
ガス中の硫化水素濃度を0.5ppb以下にまで減少さ
せることができた。
【0045】この様に悪臭ガスを通風する空間速度を高
めると更に効率良く脱臭が行なわれる結果、脱臭処理時
間を更に短縮することができる。従って、生物脱臭装置
を小型化し、かつ安定に脱臭装置を運転できることが可
能になる。
【0046】〈実施例4〉実施例1において、炭酸ナト
リウムの代わりにカキの殻を細かく粉砕したもの(主成
分は炭酸カルシウム)用いたこと以外は実施例1と同様
にして硫化水素の測定を行った。その結果、排ガス中の
硫化水素濃度は約0.04ppm(硫化水素除去率:9
9.53%)にまで減少した。この様に炭酸カルシウム
を用いた場合は、炭酸ナトリウムの場合に比べれば硫化
水素の除去効果は低いものの、硫化水素に起因する悪臭
を脱臭させるには十分な量を除去することが可能であ
る。また、上記実施例及び比較例においては、硫黄化合
物として硫化水素を用いたが、これに限定されることは
なく、本願明細書に記載の他の硫黄化合物を用いた場合
においても同様の効果が得られることは言うまでもな
い。
【0047】
【発明の効果】本発明のS分解微生物の高活性化剤は上
記の様に構成されているので、該微生物の生育を促進
し、その活性を高めることができる。また、本発明のp
H調整剤は上記の様に構成されているので、S分解微生
物の培養に好適なpH環境条件を提供することができ
る。更に本発明の生物脱臭方法は上記の様に構成されて
いるので、S分解微生物による生物脱臭を効率よく行う
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明において用いられる流動床型式の生物脱
臭装置の一例を示す概略断面図である。
【図2】本発明において用いられる充填塔式の生物脱臭
装置の一例を示す概略断面図である。
【図3】実施例1における排ガス中の硫化水素濃度の測
定結果を示すグラフである。
【図4】比較例1における排ガス中の硫化水素濃度の測
定結果を示すグラフである。
【図5】実施例2及び実施例3における排ガス中の硫化
水素濃度の測定結果を示すグラフである。
【図6】比較例2における排ガス中の硫化水素濃度の測
定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 散水貯留槽 2 散水供給ポンプ 3 充填塔 4 処理ガス排気管 5 散水ノズル 6 担体 7 排水ポンプ 8 悪臭ガス供給管 9 廃液貯蔵槽 20 処理槽 21 悪臭ガス供給管 22 処理ガス排気管 23 培養液または水 24 担体

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 有効成分として炭酸塩を含有し、含硫悪
    臭物質分解微生物による生物脱臭系において該微生物の
    活性を高めるものであることを特徴とする含硫悪臭物質
    分解微生物の高活性化剤。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の高活性化剤の存在下
    に、含硫悪臭物質を有する悪臭ガスまたは液体を、含硫
    悪臭物質分解微生物を用いて処理することにより、該悪
    臭ガスまたは液体を脱臭することを特徴とする生物脱臭
    方法。
  3. 【請求項3】 有効成分として炭酸塩を含有し、含硫悪
    臭物質分解微生物による生物脱臭系のpHを調整するも
    のであることを特徴とするpH調整剤。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のpH調整剤の存在下
    に、含硫悪臭物質を有する悪臭ガスまたは液体を、含硫
    悪臭物質分解微生物を用いて処理することにより、該悪
    臭ガスまたは液体を脱臭することを特徴とする生物脱臭
    方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005224163A (ja) * 2004-02-12 2005-08-25 Matsumoto Sogo Kikaku Kk 有機物を分解する微生物用の活性化剤
JP2010022977A (ja) * 2008-07-23 2010-02-04 Ihi Corp 生物脱硫方法及び生物脱硫装置

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