JPH07326586A - Ii−vi族化合物半導体の成長方法 - Google Patents

Ii−vi族化合物半導体の成長方法

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JPH07326586A
JPH07326586A JP14123794A JP14123794A JPH07326586A JP H07326586 A JPH07326586 A JP H07326586A JP 14123794 A JP14123794 A JP 14123794A JP 14123794 A JP14123794 A JP 14123794A JP H07326586 A JPH07326586 A JP H07326586A
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compound semiconductor
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dipivaloylmethanate
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JP14123794A
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Daisuke Imanishi
大介 今西
Atsushi Toda
淳 戸田
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Sony Corp
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アクセプタ濃度が十分に高いp型のII−V
I族化合物半導体を成長させる。 【構成】 有機金属化学気相成長法またはガス原料を用
いた分子線エピタキシー法によりp型のII−VI族化
合物半導体、例えばp型ZnSeなどを成長させる場合
のp型ドーパントとして、ジピバロイルメタネイトナト
リウム、ジピバロイルメタネイトカリウムまたはジピバ
ロイルメタネイトリチウムを用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、II−VI族化合物
半導体の成長方法に関し、特に、p型のII−VI族化
合物半導体の成長に適用して好適なものである。
【0002】
【従来の技術】近年、光ディスクの記録密度の向上やレ
ーザープリンタの解像度の向上を図るために、短波長で
の発光が可能な半導体レーザーに対する要求が高まって
きており、その実現を目指して研究が活発に行われてい
る。
【0003】このような短波長での発光が可能な半導体
レーザーの作製に用いる材料としては、II−VI族化
合物半導体が有望である。特に、四元系のII−VI族
化合物半導体であるZnMgSSe系化合物半導体は、
波長400〜550nm帯の青色ないし緑色発光の半導
体レーザーをGaAs基板上に作製するときのクラッド
層や光導波層の材料に適していることが知られている
(例えば、Electron. Lett. 28, 1798(1992))。
【0004】これまで、II−VI族化合物半導体の成
長は、もっぱら分子線エピタキシー(MBE)法により
行われているが、このMBE法は生産性の点では不満足
である。そこで、近年、生産性に優れ、III−V族化
合物半導体の成長方法として多用されている有機金属化
学気相成長(MOCVD)法をII−VI族化合物半導
体の成長に適用する試みがなされている。
【0005】従来、II−VI族化合物半導体のうちp
型のものをMOCVD法により成長させる方法として、
次のような方法がある。すなわち、例えば、p型ZnS
eの成長を行う場合には、II族元素であるZnの原料
としてジメチル亜鉛(DMZn)、ジエチル亜鉛(DE
Zn)などの有機金属化合物、VI族元素であるSeの
原料としてジメチルセレン(DMSe)やジエチルセレ
ン(DESe)などの有機金属化合物あるいはセレン化
水素(H2 Se)などの水素化合物、アクセプタ不純物
となる窒素(N)を含むp型ドーパントとしてアンモニ
ア(NH3 )、ヒドラジン(N2 4 )、ターシャリブ
チルアミン(t−BNH2 )などの化合物を用い、これ
らのZn原料、Se原料およびp型ドーパントをガス状
態で反応管内に同時に供給し、その反応管内に設置され
たサセプタ上に置かれ、成長温度に加熱された基板上に
p型ZnSeの成長を行う。
【0006】上述のp型ZnSeの成長においては、p
型ドーパント中に含まれるNのZnSeへの取り込みが
非常に重要である。しかしながら、上述の従来のMOC
VD法による成長においては、成長されるZnSeへの
Nの取り込み効率が非常に低く、これは二次イオン質量
分析(SIMS)やフォトルミネッセンス(PL)など
の測定によって確認されている。また、ZnSe中にN
のほかに水素(H)も取り込まれることにより、このH
がNを不活性化してしまうという問題もある。このよう
な理由により、アクセプタ不純物としてのNのドーピン
グ濃度、すなわちアクセプタ濃度が十分に高いp型Zn
Seを得ることは困難であった。
【0007】そこで、この問題を解決するために、V族
元素であるNの代わりにナトリウム(Na)やリチウム
(Li)などのIa族元素をアクセプタ不純物として用
いる試みがなされている(例えば、J. Crystal Growth
99, 408(1990))。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上述のようにIa族元
素をアクセプタ不純物として用いる場合には、そのドー
パントとして、通常、Ia族元素の金属やIa族元素を
含む無機化合物が用いられる。しかしながら、これらの
金属や無機化合物は、一般に蒸気圧が非常に低いため、
MOCVD法による成長時にp型伝導の度合を制御する
のが非常に困難であるという問題がある。また、このよ
うに蒸気圧が非常に低いことにより、MOCVD法によ
る成長時には、蒸気圧を高くするために、これらの金属
や無機化合物を高温に維持しなければならない。このた
め、ドーパントを例えば300〜560℃程度の温度に
加熱可能な特別な装置が必要となるなど、MOCVD装
置の構成が複雑になってしまうという問題もある。例え
ば、図11に示すように、MOCVD装置の反応管10
1の上流側の一端にアンプル部102を設け、さらにそ
の周囲に加熱器103を設け、この加熱器103によ
り、アンプル部102の中に入れたドーパント、例えば
金属Naを加熱する必要があった。なお、図11におい
て、符号104はサセプタ、105は基板を示す。
【0009】したがって、この発明の目的は、気相成長
に用いる装置にドーパントを高温に加熱するための装置
などを付加することなく、しかも良好なp型伝導制御性
で、アクセプタ不純物としてのナトリウム、カリウムま
たはリチウムのドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃
度が十分に高いp型のII−VI族化合物半導体の成長
を行うことができるII−VI族化合物半導体の成長方
法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、II族元素の原料、VI族元素の原料
およびp型ドーパントを用いた気相成長法によりp型の
II−VI族化合物半導体の成長を行うようにしたII
−VI族化合物半導体の成長方法において、p型ドーパ
ントが、ジピバロイルメタネイトナトリウム、ジピバロ
イルメタネイトカリウムまたはジピバロイルメタネイト
リチウムから成ることを特徴とするものである。
【0011】ここで、ジピバロイルメタネイトナトリウ
ム、ジピバロイルメタネイトカリウムおよびジピバロイ
ルメタネイトリチウムはいずれも慣用名であり、正式名
は、それぞれ、2.2.6.6−テトラメチル−3.5
−ヘプタンジオネイトナトリウム、2.2.6.6−テ
トラメチル−3.5−ヘプタンジオネイトカリウムおよ
び2.2.6.6−テトラメチル−3.5−ヘプタンジ
オネイトリチウムである。ジピバロイルメタネイトナト
リウムは
【化1】 に示すような構造を有する有機化合物であり、ジピバロ
イルメタネイトカリウムは
【化2】 に示すような構造を有する有機化合物であり、ジピバロ
イルメタネイトリチウムは
【化3】 に示すような構造を有する有機化合物である。
【0012】この発明の一実施形態においては、ジピバ
ロイルメタネイトナトリウム、ジピバロイルメタネイト
カリウムまたはジピバロイルメタネイトリチウムを加熱
して昇華を起こさせることにより気化させるようにす
る。この加熱温度は低温であってよく、典型的には20
0℃以下でよい。常温で固体であるこれらのジピバロイ
ルメタネイトナトリウム、ジピバロイルメタネイトカリ
ウムおよびジピバロイルメタネイトリチウムは、200
℃以下の温度でも昇華により十分に高い蒸気圧を得るこ
とができる。
【0013】この発明の好適な一実施形態においては、
成長されるII−VI族化合物半導体へのアクセプタ不
純物としてのナトリウムまたはカリウムの取り込み効率
を高くするため、そのII−VI族化合物半導体のVI
族元素の面上に、ジピバロイルメタネイトナトリウムの
ナトリウム(Na)、ジピバロイルメタネイトカリウム
のカリウム(K)またはジピバロイルメタネイトリチウ
ムのリチウム(Li)をデルタドープ(δドープ)す
る。この場合、このNa、KまたはLiは、成長される
II−VI族化合物半導体のII族元素のサイトに入
る。
【0014】また、このデルタドープの代わりに、この
デルタドープと同様な効果を得ることができるフローモ
ジュレーション法を用いてもよい。具体的には、このフ
ローモジュレーション法においては、VI族元素の原料
の供給およびジピバロイルメタネイトナトリウム、ジピ
バロイルメタネイトカリウムまたはジピバロイルメタネ
イトリチウムの供給を維持し、II族元素の原料の供給
中断により成長中断を行う。この場合も、このNa、K
またはLiは、成長されるII−VI族化合物半導体の
II族元素のサイトに入る。
【0015】この発明において、気相成長法としては、
有機金属化学気相成長法のほかに、ガス原料を用いた分
子線エピタキシー法を用いることができる。また、この
発明において、成長されるII−VI族化合物半導体
は、例えばZn1-a-b Mga Cdb c Ted Se
1-c-d 系化合物半導体(ただし、0≦a、b、c、d<
1)であり、より具体的には、ZnSe、ZnSSe、
ZnCdSe、ZnMgSSeなどである。
【0016】
【作用】この発明によるII−VI族化合物半導体の成
長方法によれば、p型ドーパントとして用いられるジピ
バロイルメタネイトナトリウム、ジピバロイルメタネイ
トカリウムまたはジピバロイルメタネイトリチウムは例
えば200℃以下の温度でも昇華により十分に高い蒸気
圧を得ることができることから、その蒸気圧の制御によ
り、成長時にII−VI族化合物半導体のp型伝導の度
合を容易に制御することができる。また、ドーパントを
高温に加熱する必要がないことにより、気相成長に用い
るMOCVD装置などの装置にドーパントを高温に加熱
するための装置などを付加する必要がなく、通常用いら
れているMOCVD装置などで十分に対応することがで
きる。そして、ジピバロイルメタネイトナトリウムのナ
トリウム、ジピバロイルメタネイトカリウムのカリウム
またはジピバロイルメタネイトリチウムのリチウムが成
長されるII−VI族化合物半導体に効率よく取り込ま
れることにより、これらのナトリウム、カリウムまたは
リチウムのドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃度が
十分に高いp型のII−VI族化合物半導体の成長を行
うことができる。
【0017】また、II−VI族化合物半導体のVI族
元素の面上にジピバロイルメタネイトナトリウムのナト
リウム、ジピバロイルメタネイトカリウムのカリウムま
たはジピバロイルメタネイトリチウムのリチウムをデル
タドープしたり、あるいは、VI族元素の原料の供給お
よびジピバロイルメタネイトナトリウム、ジピバロイル
メタネイトカリウムまたはジピバロイルメタネイトリチ
ウムの供給を維持し、II族元素の原料の供給中断によ
り成長中断を行うようにすることにより、VI族元素と
アクセプタ不純物との結合を強制的に形成することがで
き、このため成長されるII−VI族化合物半導体への
アクセプタ不純物の取り込み効率を高くすることができ
る。これによって、ナトリウム、カリウムまたはリチウ
ムのドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃度をより一
層高くすることができる。
【0018】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。まず、この発明の第1実施例におい
て用いられるMOCVD装置について説明する。図1は
そのMOCVD装置の構成を示す。
【0019】図1に示すように、このMOCVD装置に
おいては、H2 純化装置1により高純度化された水素
(H2 )ガスがキャリアガスとしてバブラ2、3および
昇華セル4内に供給される。昇華セル4は恒温槽5内に
入れられており、この恒温槽5により所要の温度(例え
ば、200℃以下の温度)に保持されるようになってい
る。いま、p型ZnSeの成長を行う場合を考え、バブ
ラ2、3内に、それぞれ例えばZn原料としてのDMZ
nおよびSe原料としてのDMSeが液体の形で入れら
れているとする。また、p型ドーパントとしてジピバロ
イルメタネイトナトリウム(以下「Na−DPM」と書
く)を用いる場合を考え、それが昇華セル4内に入れら
れているとする。ここで、Na−DPMは通常、微粒子
の形で昇華セル4内に入れられる。
【0020】バブラ2、3内にH2 ガスが供給されるこ
とにより、これらのバブラ2、3のそれぞれからその蒸
気圧分の原料ガスが、キャリアガスとしてのH2 ガスと
ともに、反応管ライン6を通って反応管7内に供給され
る。さらに、昇華セル4内にH2 ガスが供給されること
により、この昇華セル4からその温度に応じた蒸気圧分
のドーパントガスが、キャリアガスとしてのH2 ガスと
ともに、Ia族元素供給ライン8を通って反応管7内に
供給される。ここで、この昇華セル4の温度は例えば1
80℃に設定される。この温度におけるNa−DPMの
蒸気圧は5.8×10-3Torrであり、同じ温度にお
ける金属Naの蒸気圧3.5×10-5Torrに比べて
160〜170倍高く、十分に高い蒸気圧である。反応
管7内にはサセプタ9が設置され、その上に基板10が
置かれる。
【0021】符号11はベントラインを示す。この場
合、バブラ2から発生される原料ガスの反応管ライン6
とベントライン11との間での切り換えはバルブV1
2 の開閉により行うことができるようになっており、
バブラ3から発生される原料ガスの反応管ライン6とベ
ントライン11との間での切り換えはバルブV3 、V4
の開閉により行うことができるようになっている。さら
に、昇華セル4から発生されるドーパントガスのIa族
元素供給ライン8とベントライン11との間での切り換
えはバルブV5 、V6 の開閉により行うことができるよ
うになっている。なお、符号12〜17は、H2 純化装
置1から供給されるH2 ガスの流量制御のためのマスフ
ローコントローラを示す。
【0022】図2はこの発明の第1実施例によるp型Z
nSeの成長方法における原料ガスおよびドーパントガ
スの供給の状態を示すシーケンス図である。この第1実
施例においては、まず、図1に示すMOCVD装置の反
応管7内のサセプタ9上に基板10としてGaAs基板
21(図3)を置き、このGaAs基板21をサセプタ
9によりH2 ガス雰囲気中で成長温度まで加熱する。
【0023】次に、反応管7内にZn原料としてのDM
Zn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパント
としてのNa−DPMの全てを同時に供給する(図
2)。これによって、図3に示すように、GaAs基板
21上に、NaがドープされたZnSe層(この第1実
施例および次の第2実施例において「ZnSe:Na
層」と書く)22をエピタキシャル成長させる。
【0024】この第1実施例による成長方法によれば、
上述のようにIa族元素であるNaを含むNa−DPM
をp型ドーパントとして用いてZnSe:Na層22、
すなわちp型ZnSe層をエピタキシャル成長させるよ
うにしているので、次のような利点がある。すなわち、
Na−DPMは、例えば180℃程度の低温でも十分に
高い蒸気圧が得られるので、反応管7内へのNa−DP
Mの供給量の制御によりZnSe:Na層22へのNa
のドーピング濃度の制御を容易に行うことができ、した
がってZnSe:Na層22のp型伝導の度合の制御を
安定して行うことができる。そして、Ia族元素である
Naは、Nに比べてZnSeへの取り込み効率が高いこ
とやHによる不活性化が起こりにくいことなどにより、
アクセプタ濃度が十分に高いp型ZnSe層の成長を行
うことができる。また、Na−DPMを高温に維持する
必要がないため、図11に示すようにp型ドーパントと
して金属Naを用いる場合のように、反応管101にア
ンプル部102を設け、このアンプル部102の周囲に
高温加熱を行うための加熱器103を設けたりする必要
がなく、MOCVD装置として通常用いられているもの
を用いることができる。
【0025】次に、この発明の第2実施例について説明
する。この第2実施例においては、δドープと実質的に
同様な効果を得ることができるフローモジュレーション
法によりNaのドープを行う。
【0026】図4はこの発明の第2実施例によるp型Z
nSeの成長方法における原料ガスおよびドーパントガ
スの供給の状態を示すシーケンス図である。また、図5
A〜Eは、図4におけるt=t1 、t2 、t3 、t4
5 の各時点における成長層の状態を示す。
【0027】以下、図1、図4および図5を参照して、
この第2実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明す
る。
【0028】まず、図1に示すMOCVD装置の反応管
7内のサセプタ9上に基板10としてGaAs基板21
を置き、このGaAs基板21をサセプタ9によりH2
ガス雰囲気中で成長温度まで加熱する。
【0029】次に、反応管7内にZn原料としてのDM
Zn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパント
としてのNa−DPMの全てを同時に供給することによ
り、図5Aに示すように、GaAs基板21上にZnS
e:Na層23をエピタキシャル成長させる。このZn
Se:Na層23のエピタキシャル成長は、時刻t=0
から時刻t=t1 まで行う(図4)。この最初にエピタ
キシャル成長されるZnSe:Na層23は、その後に
成長されるZnSe:Na層のバッファ層となる。
【0030】次に、時刻t=t1 において、DMSeお
よびNa−DPMの供給を維持したままDMZnの供給
を中断し、成長中断を行う。この成長中断は、時刻t=
2まで行う。この成長中断中には、反応管7内に供給
されているDMSeの熱分解によりバッファ層としての
ZnSe:Na層23の表面にSeが吸着してその表面
がSe吸着層により覆われ、さらにそのSe吸着層のS
eに、Na−DPMの熱分解により生成されたNaが吸
着し、これによって成長層にNaが取り込まれる。この
場合、SeとNaとの結合が強制的に形成されることか
ら、Naの取り込み効率は高い。図5Bにおいて、この
SeおよびNaの吸着層を符号24で示す。
【0031】次に、時刻t=t2 において、反応管7内
へのDMZnの供給を再開し、時刻t=t3 までこのD
MZnの供給を続ける。これによって、反応管7内には
DMZn、DMSeおよびNa−DPMの全てが同時に
供給され、図5Cに示すように、ZnSe:Na層22
が薄くエピタキシャル成長される。
【0032】次に、時刻t=t3 において、再び、DM
SeおよびNa−DPMの供給を維持したままDMZn
の供給を中断し、成長中断を行う。この成長中断中に
は、図5Dに示すように、ZnSe:Na層22の表面
にSeおよびNaの吸着層24が形成される。
【0033】次に、時刻t=t4 において、反応管7内
へのDMZnの供給を再開し、時刻t=t5 までこのD
MZnの供給を続ける。これによって、反応管7内には
DMZn、DMSeおよびNa−DPMの全てが同時に
供給され、図5Eに示すように、再びZnSe:Na層
22が薄くエピタキシャル成長される。
【0034】このように、成長中断を行ってSeおよび
Naの吸着層24を形成しては、その上にZnSe:N
a層22を薄くエピタキシャル成長させる工程を必要な
回数繰り返し行い、全体として所要の厚さを有するZn
Se:Na層22をエピタキシャル成長させる。
【0035】以上のように、この第2実施例による成長
方法によれば、Zn原料としてのDMZn、Se原料と
してのDMSeおよびp型ドーパントとしてのNa−D
PMの全てを同時に供給しながらZnSe:Na層22
の成長を行う工程と、DMSeの供給およびNa−DP
Mの供給を維持したままDMZnの供給中断を行って成
長中断を行うことによりSeおよびNaの吸着層24を
形成する工程とを交互に繰り返し行っているので、Zn
SeへのNaの取り込み効率を高くすることができ、そ
れによってNaが高濃度にドープされた所要の厚さのZ
nSe:Na層22、すなわちp型ZnSe層の成長を
行うことができる。また、p型ドーパントとしてNa−
DPMを用いていることにより、第1実施例と同様に、
p型伝導の度合の制御を安定して行うことができ、ま
た、MOCVD装置として通常の構成のものを用いるこ
とができる。
【0036】次に、この発明をII−VI族化合物半導
体を用いた半導体レーザーの製造に適用した第3実施例
について説明する。この第3実施例により製造される半
導体レーザーは、いわゆるSCH(Separate Confineme
nt Heterostructure) 構造を有するものである。
【0037】図6および図7はこの第2実施例により製
造された半導体レーザーを示す。ここで、図6はこの半
導体レーザーの共振器長方向に垂直な断面図、図7はこ
の半導体レーザーの共振器長方向に平行な断面図を示
す。
【0038】図6および図7に示すように、この第3実
施例による半導体レーザーの製造方法においては、ま
ず、例えばドナー不純物としてシリコン(Si)がドー
プされた(100)面方位のn型GaAs基板31上
に、上述の第2実施例と同様な成長中断を行う工程を含
むMOCVD法によって、例えばドナー不純物としてヨ
ウ素(I)がドープされたn型ZnSeバッファ層3
2、例えばドナー不純物としてIがドープされたn型Z
1-p Mgp q Se1-q クラッド層33、例えばドナ
ー不純物としてIがドープされたn型ZnSe光導波層
34、例えば真性(i型)Zn1-z Cdz Se量子井戸
層から成る活性層35、例えばアクセプタ不純物として
Naがドープされたp型ZnSe光導波層36、例えば
アクセプタ不純物としてNaがドープされたp型Zn
1-p Mgp q Se1-q クラッド層37、例えばアクセ
プタ不純物としてNaがドープされたp型ZnSv Se
1-v 層38、例えばアクセプタ不純物としてNaがドー
プされたp型ZnSeコンタクト層39、例えばアクセ
プタ不純物としてNaがそれぞれドープされたp型Zn
Teから成る量子井戸層とp型ZnSeから成る障壁層
とを交互に積層したp型ZnTe/ZnSe多重量子井
戸(MQW)層40および例えばアクセプタ不純物とし
てNaがドープされたp型ZnTeコンタクト層41を
順次エピタキシャル成長させる。p型ZnTe/ZnS
eMQW層40については、後に詳細に説明する。
【0039】この場合、n型ZnSeバッファ層32お
よびn型ZnSe光導波層34のエピタキシャル成長に
おいては、例えば、Zn原料としてDMZn、Se原料
としてDMSeおよびIのドーパントとしてヨウ化エチ
ルを用いる。n型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド
層33のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn
原料としてDMZn、Mg原料としてビスメチルシクロ
ペンタジエニルマグネシウム((MeCp)2 Mg)、
S原料としてジエチル硫黄(DES)、Se原料として
DMSeおよびIのドーパントとしてヨウ化エチルを用
いる。さらに、i型Zn1-z Cdz Se量子井戸層から
成る活性層35のエピタキシャル成長においては、例え
ば、Zn原料としてDMZn、Cd原料としてジメチル
カドミウム(DMCd)およびSe原料としてDMSe
を用いる。
【0040】p型ZnSe光導波層36、p型ZnSe
コンタクト層39およびp型ZnTe/ZnSeMQW
層40のp型ZnSe層のエピタキシャル成長において
は、例えば、Zn原料としてDMZn、Se原料として
DMSeおよびNaのドーパントとしてNa−DPMを
用いる。p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層3
7のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料
としてDMZn、Mg原料として(MeCp)2 Mg、
S原料としてDES、Se原料としてDMSeおよびN
aのドーパントとしてNa−DPMを用いる。また、p
型ZnSv Se1-v 層38のエピタキシャル成長におい
ては、例えば、Zn原料としてDMZn、S原料として
2 S、Se原料としてDMSeおよびNaのドーパン
トとしてNa−DPMを用いる。さらに、p型ZnTe
/ZnSeMQW層40のp型ZnTe層およびp型Z
nTeコンタクト層41のエピタキシャル成長において
は、例えば、Zn原料としてDMZn、Te原料として
ジエチルテルル(DETe)およびNaのドーパントと
してNa−DPMを用いる。
【0041】また、n型ZnSeバッファ層32および
n型ZnSe光導波層34のエピタキシャル成長におい
ては、DMZn、DMSeおよびヨウ化エチルを同時に
供給しながら成長を行う工程と、例えばDMZnおよび
ヨウ化エチルの供給を維持したままDMSeの供給中断
を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行
う。n型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層33の
エピタキシャル成長においては、DMZn、(MeC
p)2 Mg、DES、DMSeおよびヨウ化エチルを同
時に供給しながら成長を行う工程と、例えばDMZn、
(MeCp)2 Mgおよびヨウ化エチルの供給を維持し
たままDESおよびDMSeの供給中断を行うことによ
り成長中断を行う工程とを繰り返し行う。
【0042】さらに、p型ZnSe光導波層36、p型
ZnSeコンタクト層39およびp型ZnTe/ZnS
eMQW層40のp型ZnSe層のエピタキシャル成長
においては、DMZn、DMSeおよびNa−DPMを
同時に供給しながら成長を行う工程と、DMSeおよび
Na−DPMの供給を維持したままDMZnの供給中断
を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行
う。さらにまた、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラ
ッド層37のエピタキシャル成長においては、DMZ
n、(MeCp)2 Mg、DES、DMSeおよびNa
−DPMを同時に供給しながら成長を行う工程と、DE
S、DMSeおよびNa−DPMの供給を維持したまま
DMZnおよび(MeCp)2 Mgの供給中断を行うこ
とにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。また、
p型ZnSv Se1-v 層38のエピタキシャル成長にお
いては、DMZn、DES、DMSeおよびNa−DP
Mを同時に供給しながら成長を行う工程と、DES、D
MSeおよびNa−DPMの供給を維持したままDMZ
nの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを
繰り返し行う。さらに、p型ZnTe/ZnSeMQW
層40のp型ZnTe層およびp型ZnTeコンタクト
層41のエピタキシャル成長においては、DMZn、D
ETeおよびNa−DPMを同時に供給しながら成長を
行う工程と、DETeおよびNa−DPMの供給を維持
したままDMZnの供給中断を行うことにより成長中断
を行う工程とを繰り返し行う。
【0043】次に、p型ZnTeコンタクト層41上に
所定幅のストライプ形状のレジストパターン(図示せ
ず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとし
て、p型ZnSv Se1-v 層38の厚さ方向の途中の深
さまで例えばウェットエッチング法によりエッチングす
る。これによって、p型ZnSv Se1-v 層38の上層
部、p型ZnSeコンタクト層39、p型ZnTe/Z
nSeMQW層40およびp型ZnTeコンタクト層4
1がストライプ形状にパターニングされる。このストラ
イプ部の幅は例えば5μmである。
【0044】次に、上述のエッチングに用いたレジスト
パターンを残したまま全面に例えば厚さが300nmの
アルミナ(Al2 3 )膜を真空蒸着した後、このレジ
ストパターンをその上に形成されたAl2 3 膜ととも
に除去する(リフトオフ)。これによって、上述のスト
ライプ部以外の部分のp型ZnSv Se1-v 層38上に
のみAl2 3 膜から成る絶縁層42が形成される。
【0045】次に、ストライプ形状のp型ZnTeコン
タクト層41および絶縁層42の全面に例えば厚さが1
0nmのPd膜、例えば厚さが100nmのPt膜およ
び例えば厚さが300nmのAu膜を順次真空蒸着して
Pd/Pt/Au電極から成るp側電極43を形成し、
その後必要に応じて熱処理を行って、このp側電極43
をp型ZnTeコンタクト層41にオーミックコンタク
トさせる。このp側電極43がp型ZnTeコンタクト
層41とコンタクトした部分が電流の通路となる。一
方、n型GaAs基板31の裏面にはIn電極のような
n側電極44を形成する。
【0046】次に、以上のようにしてレーザー構造が形
成されたn型GaAs基板31をバー状に劈開して両共
振器端面を形成した後、例えば真空蒸着法により、レー
ザー光が取り出されるフロント側の共振器端面にAl2
3 膜45とSi膜46とから成る多層膜を形成すると
ともに、レーザー光が取り出されないリア側の共振器端
面にAl2 3 膜45とSi膜46とを2周期繰り返し
た多層膜を形成する。ここで、Al2 3 膜45とSi
膜46とから成る多層膜の厚さは、それに屈折率をかけ
た光学的距離がレーザー光の発振波長の1/4になるよ
うに選ばれる。このような端面コーティングを施すこと
により、例えば、フロント側の端面の反射率を70%、
リア側の端面の反射率を95%にすることができる。こ
のように端面コーティングを施した後、このバーを劈開
してチップ化し、パッケージングを行う。
【0047】この第2実施例による半導体レーザーにお
いて、活性層35を構成するi型Zn1-z Cdz Se量
子井戸層の厚さは、好適には2〜20nm、例えば9n
mである。
【0048】また、この場合、n型Zn1-p Mgp q
Se1-q クラッド層33およびp型Zn1-p Mgp q
Se1-q クラッド層37のMg組成比pは例えば0.0
9、またS組成比qは例えば0.18であり、そのとき
のエネルギーギャップEg は77Kで約2.94eVで
ある。これらのMg組成比p=0.09およびS組成比
q=0.18を有するn型Zn1-p Mgp q Se1-q
クラッド層33およびp型Zn1-p Mgp q Se1-q
クラッド層37はGaAsと格子整合する。また、活性
層35を構成するi型Zn1-z Cdz Se量子井戸層の
Cd組成比zは例えば0.19であり、そのときのエネ
ルギーギャップEg は77Kで約2.54eVである。
このとき、n型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層
33およびp型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層
37と活性層35を構成するi型Zn1-z Cdz Se量
子井戸層との間のエネルギーギャップEg の差ΔE
g は、0.40eVである。なお、室温でのエネルギー
ギャップEg の値は、77KでのエネルギーギャップE
g の値から0.1eVを引くことにより求めることがで
きる。
【0049】また、n型Zn1-p Mgp q Se1-q
ラッド層33の厚さは例えば0.8μm、n型ZnSe
光導波層34の厚さは例えば60nm、p型ZnSe光
導波層36の厚さは例えば60nm、p型Zn1-p Mg
p q Se1-q クラッド層37の厚さは例えば0.6μ
m、p型ZnSv Se1-v 層38の厚さは例えば0.6
μm、p型ZnSeコンタクト層39の厚さは例えば4
5nm、p型ZnTeコンタクト層11の厚さは例えば
70nmである。
【0050】さらに、n型ZnSeバッファ層32の厚
さは、ZnSeとGaAsとの間にはわずかではあるが
格子不整合が存在することから、この格子不整合に起因
してこのn型ZnSeバッファ層32およびその上の各
層のエピタキシャル成長時に転位が発生するのを防止す
るために、ZnSeの臨界膜厚(〜100nm)よりも
十分に小さく選ばれるが、ここでは例えば33nmに選
ばれる。
【0051】なお、p型Zn1-p Mgp q Se1-q
ラッド層37上のp型ZnSv Se1-v 層38は、場合
に応じて、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層
37に加えた第2のp型クラッド層としての機能、p型
Zn1-p Mgp q Se1-qクラッド層37との格子整
合をとる機能、ヒートシンク上へのレーザーチップのマ
ウントの際のチップ端面におけるはんだの這い上がりに
よる短絡を防止するためのスペーサ層としての機能など
のうちの一または二以上の機能を有する。p型Zn1-p
Mgp q Se1-q クラッド層37のMg組成比pおよ
びS組成比qとの兼ね合いもあるが、このp型ZnSv
Se1-v 層38のS組成比vは、0<v≦0.1、好ま
しくは0.06≦v≦0.08の範囲内に選ばれ、特
に、p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層37と
の格子整合をとるために最適なS組成比vは0.06で
ある。
【0052】上述のp型ZnTe/ZnSeMQW層4
0を設けるのは、p型ZnSeコンタクト層39とp型
ZnTeコンタクト層41とを直接接合すると、接合界
面において価電子帯に大きな不連続が生じ、これがp側
電極43からp型ZnTeコンタクト層41に注入され
る正孔に対する障壁となることから、この障壁を実効的
になくすためである。
【0053】すなわち、p型ZnSe中のキャリア濃度
は通常は5×1017cm-3程度が上限であり、一方、p
型ZnTe中のキャリア濃度は1018cm-3以上とする
ことが可能である。また、p型ZnSe/p型ZnTe
界面における価電子帯の不連続の大きさは約0.5eV
である。このようなp型ZnSe/p型ZnTe接合の
価電子帯には、接合がステップ接合であると仮定する
と、p型ZnSe側に W=(2εφT /qNA 1/2 (1) の幅にわたってバンドの曲がりが生じる。ここで、εは
ZnSeの誘電率、φTはp型ZnSe/p型ZnTe
界面における価電子帯の不連続の大きさ(約0.5e
V)を表す。
【0054】(1) 式を用いてこの場合のWを計算する
と、W=32nmとなる。このときに価電子帯の頂上が
p型ZnSe/p型ZnTe界面に垂直な方向に沿って
どのように変化するかを示したのが図8である。ただ
し、p型ZnSeおよびp型ZnTeのフェルミ準位は
価電子帯の頂上に一致すると近似している。図8に示す
ように、この場合、p型ZnSeの価電子帯はp型Zn
Teに向かって、下(低エネルギー側)に曲がってい
る。この下に凸の価電子帯の変化は、p側電極43から
このp型ZnSe/p型ZnTe接合に注入された正孔
に対してポテンシャル障壁として働く。
【0055】この問題は、p型ZnSeコンタクト層3
9とp型ZnTeコンタクト層41との間にp型ZnT
e/ZnSeMQW層40を設けることにより解決する
ことができる。このp型ZnTe/ZnSeMQW層4
0は具体的には例えば次のように設計される。
【0056】図9は、p型ZnTeから成る量子井戸層
の両側をp型ZnSeから成る障壁層によりはさんだ構
造の単一量子井戸におけるp型ZnTeから成る量子井
戸の幅LW に対して第1量子準位E1 がどのように変化
するかを有限障壁の井戸型ポテンシャルに対する量子力
学的計算により求めた結果を示す。ただし、この計算で
は、量子井戸層および障壁層における電子の質量として
p型ZnSeおよびp型ZnTe中の正孔の有効質量m
h を想定して0.6m0 (m0 :真空中の電子の静止質
量)を用い、また、井戸の深さは0.5eVとしてい
る。
【0057】図9より、量子井戸の幅LW を小さくする
ことにより、量子井戸内に形成される第1量子準位E1
を高くすることができることがわかる。p型ZnTe/
ZnSeMQW層40はこのことを利用して設計され
る。
【0058】この場合、p型ZnSe/p型ZnTe界
面からp型ZnSe側に、幅Wにわたって生じるバンド
の曲がりは、p型ZnSe/p型ZnTe界面からの距
離x(図8)の二次関数 φ(x)=φT {1−(x/W)2 } (2) で与えられる。従って、p型ZnTe/ZnSeMQW
層40の設計は、 (2)式に基づいて、p型ZnTeか
ら成る量子井戸層のそれぞれに形成される第1量子準位
1 がp型ZnSeおよびp型ZnTeの価電子帯の頂
上のエネルギーと一致し、しかも互いに等しくなるよう
にLW を段階的に変えることにより行うことができる。
【0059】図10は、p型ZnTe/ZnSeMQW
層40におけるp型ZnSeから成る障壁層の幅LB
2nmとした場合の量子井戸幅Lw の設計例を示す。こ
の場合、p型ZnSeコンタクト層39のアクセプタ濃
度NA は5×1017cm-3とし、p型ZnTeコンタク
ト層41のアクセプタ濃度NA は1×1019cm-3とし
ている。図10に示すように、この場合には、合計で7
個の量子井戸の幅Lwを、その第1量子準位E1 がp型
ZnSeおよびp型ZnTeのフェルミ準位と一致する
ように、p型ZnSeコンタクト層39からp型ZnT
eコンタクト層41に向かってLw =0.3nm、0.
4nm、0.5nm、0.6nm、0.8nm、1.1
nm、1.7nmと変化させている。
【0060】なお、量子井戸の幅Lw の設計に当たって
は、厳密には、それぞれの量子井戸の準位は相互に結合
しているためにそれらの相互作用を考慮する必要があ
り、また、量子井戸層と障壁層との格子不整合による歪
みの効果も取り入れなければならないが、多重量子井戸
の量子準位を図10のようにフラットに設定することは
原理的に十分可能である。
【0061】図10において、p型ZnTeに注入され
た正孔は、p型ZnTe/ZnSeMQW層40のそれ
ぞれの量子井戸に形成された第1量子準位E1 を介して
共鳴トンネリングによりp型ZnSe側に流れることが
できるので、p型ZnSe/p型ZnTe界面のポテン
シャル障壁は実効的になくなる。
【0062】以上のように、この第3実施例によれば、
第2実施例と同様に、レーザー構造を形成する各p型層
のエピタキシャル成長を行う場合にp型ドーパントとし
てNa−DPMを用いており、しかもII族元素の原料
の供給中断により成長中断を行う工程を有することによ
り、これらのp型層のアクセプタ濃度を十分に高くする
ことができる。さらに、レーザー構造を形成する各n型
層のエピタキシャル成長を行う場合にVI族元素の原料
の供給中断により成長中断を行う工程を有することによ
り、これらのn型層のドナー濃度も十分に高くすること
ができる。これによって、短波長で発光可能でしかも低
しきい値電流密度の高性能の半導体レーザーを実現する
ことが可能である。より具体的には、例えば、室温にお
いて連続発振可能な緑色発光の半導体レーザーを実現す
ることが可能である。また、レーザー発振に必要な印加
電圧の低減を図ることも可能である。
【0063】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0064】例えば、上述の第3実施例においては、S
CH構造を有する半導体レーザーの製造にこの発明を適
用した場合について説明したが、この発明は、DH構造
(Double Heterostructure)を有する半導体レーザーの
製造に適用することも可能である。
【0065】さらに、上述の第3実施例においては、半
導体レーザーの製造にこの発明を適用した場合について
説明したが、この発明は、II−VI族化合物半導体を
用いた発光ダイオードの製造に適用することも可能であ
り、これらの発光素子以外のII−VI族化合物半導体
を用いた各種の半導体装置の製造に適用することも可能
である。
【0066】なお、上述の第1実施例、第2実施例およ
び第3実施例においては、化合物半導体基板としてGa
As基板を用いているが、この化合物半導体基板として
は、例えばGaP基板などを用いてもよい。
【0067】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
ジピバロイルメタネイトナトリウム、ジピバロイルメタ
ネイトカリウムまたはジピバロイルメタネイトリチウム
から成るp型ドーパントを用いるようにしているので、
気相成長に用いる装置にドーパントを高温に加熱するた
めの装置などを付加することなく、しかも良好なp型伝
導制御性で、アクセプタ不純物としてのナトリウム、カ
リウムまたはリチウムのドーピング濃度、すなわちアク
セプタ濃度が十分に高いp型のII−VI族化合物半導
体の成長を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例において用いるMOCV
D装置の構成を示す略線図である。
【図2】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成
長方法を説明するためのシーケンス図である。
【図3】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成
長方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の第2実施例によるp型ZnSeの成
長方法を説明するためのシーケンス図である。
【図5】この発明の第2実施例によるp型ZnSeの成
長方法を説明するための断面図である。
【図6】この発明の第3実施例による半導体レーザーの
製造方法により製造された半導体レーザーの共振器長方
向に垂直な断面図である。
【図7】この発明の第3実施例による半導体レーザーの
製造方法により製造された半導体レーザーの共振器長方
向に平行な断面図である。
【図8】p型ZnSe/p型ZnTe界面の近傍の価電
子帯を示すエネルギーバンド図である。
【図9】p型ZnTeから成る量子井戸の幅Lw に対す
る量子井戸の第1量子準位E1の変化を示すグラフであ
る。
【図10】この発明の第3実施例による半導体レーザー
におけるp型ZnTe/ZnSeMQW層の設計例を示
す略線図である。
【図11】従来のMOCVD装置の反応管の付近の構成
を示す略線図である。
【符号の説明】
2、3 バブラ 4 昇華セル 5 恒温槽 6 反応管ライン 9 サセプタ 10 基板 21 GaAs基板 22 ZnSe:Na層 24 SeおよびNaの吸着層 31 n型GaAs基板 32 n型ZnSeバッファ層 33 n型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層 34 n型ZnSe光導波層 35 活性層 36 p型ZnSe光導波層 37 p型Zn1-p Mgp q Se1-q クラッド層 38 p型ZnSv Se1-v 層 39 p型ZnSeコンタクト層 40 p型ZnTe/ZnSeMQW層 41 p型ZnTeコンタクト層 42 絶縁層 43 p側電極 44 n側電極

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 II族元素の原料、VI族元素の原料お
    よびp型ドーパントを用いた気相成長法によりp型のI
    I−VI族化合物半導体の成長を行うようにしたII−
    VI族化合物半導体の成長方法において、 上記p型ドーパントが、ジピバロイルメタネイトナトリ
    ウム、ジピバロイルメタネイトカリウムまたはジピバロ
    イルメタネイトリチウムから成ることを特徴とするII
    −VI族化合物半導体の成長方法。
  2. 【請求項2】 上記ジピバロイルメタネイトナトリウ
    ム、ジピバロイルメタネイトカリウムまたはジピバロイ
    ルメタネイトリチウムを加熱して昇華を起こさせること
    により気化させるようにしたことを特徴とする請求項1
    記載のII−VI族化合物半導体の成長方法。
  3. 【請求項3】 上記ジピバロイルメタネイトナトリウ
    ム、ジピバロイルメタネイトカリウムまたはジピバロイ
    ルメタネイトリチウムを200℃以下の温度に加熱して
    昇華を起こさせることにより気化させるようにしたこと
    を特徴とする請求項1記載のII−VI族化合物半導体
    の成長方法。
  4. 【請求項4】 上記II−VI族化合物半導体のVI族
    元素の面上に、上記ジピバロイルメタネイトナトリウム
    のナトリウム、上記ジピバロイルメタネイトカリウムの
    カリウムまたは上記ジピバロイルメタネイトリチウムの
    リチウムをデルタドープするようにしたことを特徴とす
    る請求項1記載のII−VI族化合物半導体の成長方
    法。
  5. 【請求項5】 上記VI族元素の原料の供給および上記
    ジピバロイルメタネイトナトリウム、ジピバロイルメタ
    ネイトカリウムまたはジピバロイルメタネイトリチウム
    の供給を維持し、上記II族元素の原料の供給中断によ
    り成長中断を行うようにしたことを特徴とする請求項1
    記載のII−VI族化合物半導体の成長方法。
  6. 【請求項6】 上記気相成長法は、有機金属化学気相成
    長法またはガス原料を用いた分子線エピタキシー法であ
    ることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の
    II−VI族化合物半導体の成長方法。
  7. 【請求項7】 上記II−VI族化合物半導体は、Zn
    1-a-b Mga Cdbc Ted Se1-c-d 系化合物半導
    体(ただし、0≦a、b、c、d<1)であることを特
    徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載のII−VI
    族化合物半導体の成長方法。
  8. 【請求項8】 上記II−VI族化合物半導体は、Zn
    Se、ZnSSe、ZnCdSeまたはZnMgSSe
    であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記
    載のII−VI族化合物半導体の成長方法。
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