JP3603837B2 - 窒素を含む化合物半導体の成長方法および窒化物系iii−v族化合物半導体の成長方法 - Google Patents

窒素を含む化合物半導体の成長方法および窒化物系iii−v族化合物半導体の成長方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、窒素を含む化合物半導体の成長方法および窒化物系III−V族化合物半導体の成長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光ディスクの記録密度の向上やレーザープリンタの解像度の向上を図るために、短波長での発光が可能な半導体レーザーに対する要求が高まってきており、その実現を目指して研究が活発に行われている。
【0003】
このような短波長での発光が可能な半導体レーザーの作製に用いる材料としては、II−VI族化合物半導体が有望である。特に、四元系のII−VI族化合物半導体であるZnMgSSe系化合物半導体は、波長400〜550nm帯の青色ないし緑色発光の半導体レーザーをGaAs基板上に作製するときのクラッド層や光導波層の材料に適していることが知られている(例えば、Electron. Lett. 28, 1798(1992))。
【0004】
これまで、II−VI族化合物半導体の成長は、もっぱら分子線エピタキシー(MBE)法により行われているが、このMBE法は生産性の点では不満足である。そこで、近年、生産性に優れ、III−V族化合物半導体の成長方法として多用されている有機金属化学気相成長(MOCVD)法をII−VI族化合物半導体の成長に適用する試みがなされている。
【0005】
一方、従来より、p型ZnSeなどのp型のII−VI族化合物半導体を得るためのアクセプタ不純物としては、窒素(N)が最もよく用いられている。そして、MOCVD法によりこのp型のII−VI族化合物半導体の成長を行う場合には、p型ドーパントとして、アンモニア(NH)、ターシャリブチルアミン(t−BNH)、ヒドラジン(N)などの化合物が一般的に用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のようにNH、t−BNH、Nなどをp型ドーパントとして用いた場合には、Nのドーピング効率が極端に低く、その供給量をかなり多くしないとNがドープされないという問題がある。例えば、p型ドーパントとしてNHを用いた場合には、それを数千μmol/分程度も供給しないと明確なNのドーピングが起こらないことが報告されている(例えば、J. Crystal Growth 101, 305(1990)およびJ. Crystal Growth 99, 413(1990))。このような理由により、これまで、Nのドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃度が十分に高いp型のII−VI族化合物半導体の成長を行うことは困難であった。具体的には、例えばp型ZnSeの場合、あらゆる手段を尽くしても、アクセプタ濃度は1×1016cm−3が限度であった。
【0007】
ところで、上述のようにNのドーピング効率が低い理由の一つに、成長結晶中にNが取り込まれにくいことがある。その原因としては、成長温度における窒素分子(N)の蒸気圧が非常に高く、Nをドーピングしようとしても、成長結晶の表面でマイグレーションしているうちに、ほとんどのNがNとして脱離してしまうことが考えられる。成長温度におけるNの蒸気圧が実際に非常に高いことは次のことからわかる。すなわち、Nの蒸気圧は Antoine式と呼ばれる次の式
log(p/mmHg) = 6.49594−255.821/( 266.56+(T/ ℃))
で表すことができるが(例えば、化学便覧、基礎編II(日本化学会編))、この式より、II−VI族化合物半導体の一般的な成長温度である500℃におけるNの蒸気圧は1.45×10Torrとなり、常圧(1気圧)の1860倍も高い。
【0008】
上述のNの脱離の問題を解決する方法として、分子線エピタキシー(MBE)法によるII−VI族化合物半導体の成長においてよく用いられているプラズマドーピング法があるが、これはNをプラズマ状にしてドーピングすることにより結晶表面の原子(主にII族元素の原子)との結合を誘起させてNの脱離を防いでいるものと考えられる。しかしながら、このプラズマドーピング法をMOCVD法によるII−VI族化合物半導体の成長に用いるには、圧力が高すぎて困難を伴う。すなわち、MOCVD法により成長を行うときの反応管内の圧力は常圧から減圧でも数Torrまでが限度であるが、このような高い圧力ではプラズマの寿命が極端に短く、基板表面に達する前にプラズマでなくなってしまうからである。
【0009】
以上のように、アクセプタ濃度が十分に高いp型のII−VI族化合物半導体の成長を行うことはこれまで困難であったが、これはII−VI族化合物半導体を用いて半導体レーザーや発光ダイオードなどの発光素子を製造する上で大きな障害となるため、その改善が望まれていた。
【0010】
したがって、この発明の目的は、アクセプタ不純物としての窒素のドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃度が十分に高いp型のII−VI族化合物半導体の成長を行うことができるII−VI族化合物半導体の成長方法を提供することにある。
一方、窒素を含む化合物半導体、例えばGaNなどをMOCVD法により成長させる場合、窒素原料としてはNHを用いるのが一般的であるが、成長結晶中の窒素の欠損を抑え、結晶性の劣化を防止するためには、成長時のNH流量を極めて多くする必要があった。
したがって、この発明の目的は、結晶性の良好な窒素を含む化合物半導体を容易に成長させることができる窒素を含む化合物半導体の成長方法および結晶性の良好な窒化物系III−V族化合物半導体を容易に成長させることができる窒化物系III−V族化合物半導体の成長方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は、
少なくとも一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が少なくとも36よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物を窒素原料として用いて窒素を含む化合物半導体を気相成長法により成長させるようにした
ことを特徴とする窒素を含む化合物半導体の成長方法である。
この発明はまた、
少なくとも一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が少なくとも36よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物を窒素原料として用いて窒化物系III−V族化合物半導体を気相成長法により成長させるようにした
ことを特徴とする窒化物系III−V族化合物半導体の成長方法である。
【0012】
この発明において、窒素原料としての有機化合物中の窒素原子に結合している少なくとも二つの基の分子量は、500℃程度の温度でもこれらの基が容易に熱分解して窒素原子から遊離するようにするために、上記のように36よりも大きく選ばれる。また、これらの基が同等の確率で熱分解して窒素原子から遊離するようにするためには、これらの基として、好適には、互いに分子量が等しいものが用いられる。
【0013】
この発明において、窒素原料としての有機化合物は、典型的には、一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が36よりも大きい二つの基と一つの水素原子とが結合している有機化合物と、一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が36よりも大きい三つの基が結合している有機化合物とがある。前者の有機化合物の例として以下の(a)〜(f)が挙げられ、後者の有機化合物の例として以下の(g)〜(r)が挙げられる。
【0014】
(a)ジイソプロピルアミン(Di−PNH)
【化1】
Figure 0003603837
【0015】
(b)ジプロピルアミン(D−PNH)
【化2】
Figure 0003603837
【0016】
(c)ジブチルアミン(D−BNH)
【化3】
Figure 0003603837
【0017】
(d)ジイソブチルアミン(Di−BNH)
【化4】
Figure 0003603837
【0018】
(e)ジ第二ブチルアミン(Ds−BNH)
【化5】
Figure 0003603837
【0019】
(f)ジターシャリブチルアミン(Dt−BNH)
【化6】
Figure 0003603837
【0020】
(g)トリプロピルアミン(T−PN)
【化7】
Figure 0003603837
【0021】
(h)トリイソプロピルアミン(Ti−PN)
【化8】
Figure 0003603837
【0022】
(i)トリブチルアミン(T−BN)
【化9】
Figure 0003603837
【0023】
(j)トリイソブチルアミン(Ti−BN)
【化10】
Figure 0003603837
【0024】
(k)トリ第二ブチルアミン(Ts−BN)
【化11】
Figure 0003603837
【0025】
(l)トリターシャリブチルアミン(Tt−BN)
【化12】
Figure 0003603837
【0026】
(m)ジイソプロピルメチルアミン(Di−PMN)
【化13】
Figure 0003603837
【0027】
(n)ジプロピルメチルアミン(D−PMN)
【化14】
Figure 0003603837
【0028】
(o)ジブチルメチルアミン(D−BMN)
【化15】
Figure 0003603837
【0029】
(p)ジイソブチルメチルアミン(Di−BMN)
【化16】
Figure 0003603837
【0030】
(q)ジ第二ブチルメチルアミン(Ds−BMN)
【化17】
Figure 0003603837
【0031】
(r)ジターシャリブチルメチルアミン(Dt−BMN)
【化18】
Figure 0003603837
【0032】
上に挙げた(a)〜(r)の有機化合物を窒素原料として従来用いられている下記のアンモニア(NH)やターシャリブチルアミン(t−BNH)と比較すると明らかなように、NHやt−BNHにおいては、N原子に一つ以下の基が結合しており、N原子に直接結合しているH原子の数は二つまたは三つであるのに対し、(a)〜(r)の有機化合物においては、N原子に二つまたは三つの基が結合しており、N原子に直接結合しているH原子の数は一つ以下である。
【0033】
(s)アンモニア(NH
【化19】
Figure 0003603837
【0034】
(t)ターシャリブチルアミン(t−BNH
【化20】
Figure 0003603837
【0035】
この発明の好適な一実施形態においては、II−VI族化合物半導体のII族元素の面上に窒素原子をデルタドープ(δドープ)する。また、このデルタドープの代わりに、このデルタドープと同様な効果を得ることができるフローモジュレーション法を用いてもよい。具体的には、このフローモジュレーション法においては、II族元素の原料の供給およびp型ドーパントの供給を維持し、VI族元素の原料の供給中断により成長中断を行う。
【0036】
この発明において、気相成長法としては、MOCVD法のほかに、ガス原料を用いたMBE法を用いることができる。
【0037】
また、この発明において、成長されるII−VI族化合物半導体は、例えばZn1−a−b MgCdTeSe1−c−d 系化合物半導体(ただし、0≦a、b、c、d<1)であり、より具体的には、ZnSe、ZnSSe、ZnCdSe、ZnMgSSeなどである。
【0038】
【作用】
上述のように構成されたこの発明によるII−VI族化合物半導体の成長方法によれば、p型ドーパントが、少なくとも一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が少なくとも12よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物から成るので、これらの基が熱分解して窒素原子から遊離した後のその窒素原子には少なくとも2本の結合手(ダングリングボンド)があり、従来のようにNHやt−BNHなどをp型ドーパントとして用いた場合と比べて、熱分解後の窒素原子の結合手の数は少なくとも1本多い。このため、その分だけ窒素原子が成長結晶の表面の原子と結合して取り込まれやすくなるので、成長されるII−VI族化合物半導体への窒素原子のドーピング効率を高くすることができる。これによって、アクセプタ不純物としての窒素原子のドーピング濃度、すなわちアクセプタ濃度が十分に高いII−VI族化合物半導体の成長を行うことができる。
【0039】
また、特に、一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が36よりも大きい三つの基が結合している有機化合物をp型ドーパントとして用いた場合には、その窒素原子に水素原子が直接結合していないことにより、熱分解後には窒素原子が水素原子と結合した形でなく単独で生成される。このため、有機化合物をp型ドーパントとして用いた場合に、p型ドーパント中に含まれる水素原子が成長結晶中に取り込まれ、この水素原子がアクセプタ不純物としての窒素原子を不活性化する問題、すなわち水素原子による窒素原子のパッシベーションの問題(例えば、Appl. Phys. Lett. 62, 270(1991))をも解決することができる。これによって、アクセプタ濃度がより一層高いII−VI族化合物半導体の成長を行うことができる。
【0040】
さらに、II−VI族化合物半導体のII族元素の面に窒素原子をデルタドープすることにより、あるいは、フローモジュレーション法を用いることにより、成長結晶中への窒素原子の取り込み効率を一層高くすることができ、これによってアクセプタ濃度がさらに高いp型のII−VI族化合物半導体の成長を行うことができる。
【0041】
【実施例】
以下、この発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
まず、この発明の第1実施例において用いられるMOCVD装置について説明する。図1はそのMOCVD装置の構成を示す。
【0042】
図1に示すように、このMOCVD装置においては、H純化装置1により高純度化された水素(H)ガスがキャリアガスとしてバブラ2、3、4内に供給される。いま、p型ZnSeの成長を行う場合を考えると、これらのバブラ2、3、4内には、それぞれ、例えばZn原料としてのジメチル亜鉛(DMZn)、Se原料としてのジメチルセレン(DMSe)およびp型ドーパントとしてのDi−PNHが入れられている。これらのバブラ2、3、4内にHガスが供給されることにより、これらのバブラ2、3、4のそれぞれからその蒸気圧分の原料ガスが、キャリアガスとしてのHガスとともに、反応管ライン5を通って反応管6内に供給される。反応管6内にはサセプタ7が設置され、その上に基板8が置かれる。
【0043】
符号9はベントラインを示す。この場合、バブラ2から発生される原料ガスの反応管ライン5とベントライン9との間での切り換えはバルブV、Vの開閉により行うことができ、バブラ3から発生される原料ガスの反応管ライン5とベントライン9との間での切り換えはバルブV、Vの開閉により行うことができ、バブラ4から発生されるドーパントガスの反応管ライン5とベントライン9との間での切り換えはバルブV、Vの開閉により行うことができるようになっている。なお、符号10〜14は、H純化装置1から供給されるHガスの流量制御のためのマスフローコントローラを示す。
【0044】
図2はこの発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法における原料ガスおよびドーパントガスの供給の状態を示すシーケンス図である。
この第1実施例においては、まず、図1に示すMOCVD装置の反応管6内のサセプタ7上に、基板8として半絶縁性GaAs基板21(図3)を置き、この半絶縁性GaAs基板21を、サセプタ7によりHガス雰囲気中で成長温度まで加熱する。
【0045】
次に、反応管6内にZn原料としてのDMZn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパントとしてのDi−PNHの全てを同時に供給する(図2)。これによって、図3に示すように、半絶縁性GaAs基板21上に、NがドープされたZnSe層(この第1実施例および次の第2実施例において「ZnSe:N層」と書く)22をエピタキシャル成長させる。
【0046】
図4は、以上のようにしてエピタキシャル成長されたZnSe:N層22のフォトルミネッセンススペクトルを4.2K(液体ヘリウム温度)で測定した結果を示す。ただし、成長温度は450℃、反応管6内の圧力は650Torrである。また、DMZn、DMSeおよびDi−PNHの供給量は、それぞれ5μmol/分、10μmol/分および141μmol/分である。
【0047】
一方、比較のために、従来のMOCVD法によるエピタキシャル成長方法と同様に、反応管6内にZn原料としてのDMZn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパントとしてのt−BNHの全てを同時に供給してZnSe:N層を半絶縁性GaAs基板上にエピタキシャル成長させた試料を作製し、このZnSe:N層のフォトルミネッセンススペクトルを4.2Kで測定した。その結果を図5に示す。ただし、成長温度は450℃、反応管6内の圧力は650Torrである。また、DMZn、DMSeおよびt−BNHの供給量は、それぞれ5μmol/分、10μmol/分および180μmol/分である。なお、図4および図5の縦軸のフルスケールは互いに異なることに注意されたい。
【0048】
図4と図5とを比較して最も異なる点は、波長460nm付近に見られるDAP(ドナー−アクセプタ対)発光の有無である。すなわち、図4においては強いDAP発光が見られるのに対し、図5においてはDAP発光はほとんど見られない。このDAP発光はNがドープされていることの証拠となるものであり、その強度が大きいほどNのドープ量が多いことを意味する。図4および図5から、この第1実施例による成長方法により成長されたZnSe:N層22は、p型ドーパントとしてt−BNHを用いた従来のMOCVD法により成長されたZnSe:N層と異なり、多量のNがドープされていると考えられる。
【0049】
なお、図4および図5において、DAP発光以外のピークは、I(中性アクセプタ束縛励起子)発光、DAP発光のフォノンレプリカ、Y発光(ミスフィット転位などに起因する発光)である。
【0050】
この第1実施例による成長方法により成長されたZnSe:N層22のNのドープ量を容量(C)−電圧(V)測定法により定量的に評価するために、図6および図7に示すように、半絶縁性GaAs基板21上にエピタキシャル成長させた厚さ1.3μmのZnSe:N層22上に真空蒸着法により円形の金(Au)電極Eおよびその周囲のAu電極Eを形成した試料を作製した。ここで、周囲のAu電極Eの面積は、円形のAu電極Eの面積よりも十分に大きいことにより、この周囲のAu電極Eは、近似的にオーミック電極とみなすことができる。この場合、円形のAu電極Eの直径は336μmである。
【0051】
この図6および図7に示す試料において、円形のAu電極Eおよびその周囲のAu電極Eにそれぞれ負のバイアス電圧および正のバイアス電圧を印加してC−V測定を行った。その結果を図8に示す。図8からわかるように、負のバイアス電圧が大きくなるほど、容量(C)は減少する傾向が見られる。さらに、ZnSeの比誘電率を9.3として、ZnSe:N層22の表面から深さ方向に有効アクセプタ濃度(N−N(N:アクセプタ濃度、N:ドナー濃度))を見積もったところ、図9に示すような結果が得られた。そして、この結果からN−Nを求めたところ、N−N〜2×1016cm−3であった。この程度のアクセプタ濃度は半導体レーザーなどの発光素子を作製する上で十分であり、このことよりDi−PNHがMOCVD法によるII−VI族化合物半導体の成長におけるp型ドーパントとして有効なものであることがわかる。
【0052】
なお、ZnSe:N層22のNのドープ量は、上述のようなC−V測定を実際に行わないでも、次のようにして、そのおおよその値を見積もることができる。すなわち、一般に、DAP発光の強度とアクセプタ濃度との間には密接な関係があり、アクセプタ濃度が高くなるにしたがい、DAP発光の相対強度が大きくなる。図10に、J. Qiuらが報告している低温フォトルミネッセンススペクトルと二次イオン質量分析(SIMS)法により測定されたN濃度([N])およびC−V測定法により測定された有効アクセプタ濃度(N−N)との関係を示す(Appl. Phys. Lett. 59, 2992(1991))。なお、同様な結果は Z. Yangらによっても報告されている(Appl. Phys. Lett. 61, 2671(1992))。図10から、この第1実施例による成長方法により成長されたZnSe:N層22のアクセプタ濃度は、C−V測定法による有効アクセプタ濃度で、1.0×1016cm−3<N−N<8.0×1017cm−3の範囲にあると見積もることができる。
【0053】
以上のように、この第1実施例による成長方法によれば、p型ドーパントとしてDi−PNHを用いていることにより、Nが高濃度にドープされたZnSe:N層24、すなわちアクセプタ濃度が高いp型ZnSe層の成長を行うことができる。このようにアクセプタ濃度が高いp型ZnSe層の成長を行うことができる理由は、成長時にDi−PNHの熱分解により生成されるN原子に2本の結合手があることにより、ZnSe結晶へのNの取り込み効率が高く、したがってNのドーピング効率が高いからである。
【0054】
次に、この発明の第2実施例について説明する。この第2実施例においては、δドープと実質的に同様な効果を得ることができるフローモジュレーション法によりNのドープを行う。
【0055】
図11はこの発明の第2実施例によるp型ZnSeの成長方法における原料ガスおよびドーパントガスの供給の状態を示すシーケンス図である。また、図12A〜Eは、図11におけるt=t、t、t、t、tの各時点における成長層の状態を示す。
【0056】
以下、図1、図11および図12を参照して、この第2実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明する。
まず、図1に示すMOCVD装置の反応管6内のサセプタ7上に基板8として半絶縁性GaAs基板21を置き、このGaAs基板21を、サセプタ7によりHガス雰囲気中で成長温度まで加熱する。
【0057】
次に、反応管6内にZn原料としてのDMZn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパントとしてのDi−PNHを全て同時に供給することによって、図12Aに示すように、半絶縁性GaAs基板21上にZnSe:N層23をエピタキシャル成長させる。このZnSe:N層23のエピタキシャル成長は、時刻t=0から時刻t=tまで行う(図12)。この最初にエピタキシャル成長されるZnSe:N層23は、その後に成長されるZnSe:N層のバッファ層となる。
【0058】
次に、時刻t=tにおいて、DMZnおよびDi−PNHの供給を維持したままDMSeの供給を中断し、成長中断を行う。この成長中断は、時刻t=tまで行う。この成長中断中には、反応管6内に供給されているDMZnの熱分解によりバッファ層としてのZnSe:N層23の表面にZnが吸着してその表面がZn吸着層により覆われ、さらにそのZn吸着層のZnに、Di−PNHの熱分解により生成された2本の結合手を有するNが吸着し、これによって成長層にNが取り込まれる。図12Bにおいて、このZnおよびNの吸着層を符号24で示す。
【0059】
図13Aに、Di−PNHの熱分解により生成された2本の結合手を有するN原子がZnSe結晶のII族元素であるZnの面に結合しているときの様子を示す。図13Aに示すように、この場合、Znの面上で二つのZn原子にまたがってN原子が2本の結合手で結合しており、このためZn原子とN原子との結合力が強く、N原子の脱離が起こりにくい。また、ZnSeの結晶構造をそのまま反映してN原子が結合する。一方、p型ドーパントとしてt−BNHを用いた場合には、t−BNHの熱分解により生成されるN原子には1本の結合手しかないため、図13Bに示すように、Znの面上でZn原子1個に対して二つのNがそれぞれ1本の結合手で結合する。この場合、Zn原子との結合力が弱いためにNが脱離しやすく、また、余分なNが存在することにもなる。
【0060】
次に、時刻t=tにおいて、反応管6内へのDMSeの供給を再開し、時刻t=tまでこのDMSeの供給を続ける。これによって、反応管6内にはDMZn、DMSeおよびDi−PNHの全てが同時に供給され、図12Cに示すように、ZnSe:N層22が薄くエピタキシャル成長される。
【0061】
次に、時刻t=tにおいて、再び、DMZnおよびDi−PNHの供給を維持したままDMSeの供給を中断し、成長中断を行う。この成長中断中には、図12Dに示すように、ZnSe:N層22の表面にZnおよびNの吸着層24が形成される。
【0062】
次に、時刻t=tにおいて、反応管6内へのDMSeの供給を再開し、時刻t=tまでこのDMSeの供給を続ける。これによって、反応管6内にはDMZn、DMSeおよびDi−PNHの全てが同時に供給され、図12Eに示すように、再びZnSe:N層22が薄くエピタキシャル成長される。
【0063】
このように、成長中断を行ってZnおよびNの吸着層24を形成しては、その上にZnSe:N層22を薄くエピタキシャル成長させる工程を必要な回数繰り返し行い、全体として所要の厚さを有するZnSe:N層22をエピタキシャル成長させる。
【0064】
図14は以上のようにしてエピタキシャル成長されたZnSe:N層22のフォトルミネッセンススペクトルを4.2Kで測定した結果を示す。ただし、成長温度は450℃、反応管6内の圧力は650Torrである。また、DMZn、DMSeおよびDi−PNHの供給量は、それぞれ5μmol/分、10μmol/分および75μmol/分である。さらに、成長に当たっては、DMSeの供給を2秒間隔4秒周期で断続的に行い、それにより成長中断を行った。なお、図14の縦軸のフルスケールは、図4および図5の縦軸のフルスケールと異なることに注意されたい。
【0065】
図14を図4と比較すると、図14の場合もDAP発光は図4の場合と同程度以上の強さで見られている。すなわち、成長時に用いたp型ドーパントとしてのDi−PNHの供給量が半分であるにもかかわらず、この第2実施例による成長方法により成長されたZnSe:N層22のDAP発光の強度は、DMZn、DMSeおよびDi−PNHの全てを同時に供給しながら成長を行う第1実施例による成長方法により成長されたZnSe:N層22のDAP発光の強度と比べて同程度以上である。このことから、この第2実施例による成長方法においては、第1実施例による成長方法におけるよりもNの取り込み効率が高く、したがってNのドーピング効率が高いことがわかる。
【0066】
以上のように、この第2実施例による成長方法によれば、p型ドーパントとしてDi−PNHを用いているばかりでなく、Zn原料としてのDMZn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパントとしてのDi−PNHの全てを同時に供給しながらZnSe:N層22の成長を行う工程と、DMZnの供給およびDi−PNHの供給を維持したままDMSeの供給中断を行って成長中断を行うことによりNおよびZnの吸着層24を形成する工程とを交互に繰り返し行っているので、ZnSeへのNの取り込み効率を高くすることができ、それによってNが高濃度にドープされた所要の厚さのZnSe:N層22、すなわちアクセプタ濃度が高いp型ZnSe層の成長を行うことができる。
【0067】
ここで、ZnSe:N層をエピタキシャル成長させた後に、このZnSe:N層のアニールを行った場合の効果について説明する。この効果を調べるために、半絶縁性GaAs基板上に厚さ2μmのZnSe:N層を第1実施例と同様な方法でエピタキシャル成長させた後、このZnSe:N層上に厚さ0.1μmの二酸化シリコン膜(SiO膜)を真空蒸着法により形成した試料を作製した。ただし、成長温度は450℃、反応管6内の圧力は650Torrである。また、Zn原料としてのDMZn、Se原料としてのDMSeおよびp型ドーパントとしてのDi−PNHの供給量は、それぞれ9.53μmol/分、38.36μmol/分および141μmol/分である。なお、ZnSe:N層上に形成するSiO膜は、アニール時にこのZnSe:N層中のNが脱離するのを防止するなどのためのものである。次に、このようにして作製した試料を、図示省略した高周波(RF)加熱型アニール装置を用いて、700℃、10秒の条件でRTA(Rapid Thermal Annealing)、すなわち急速アニールを行った。この後、フッ酸によりSiO膜をエッチング除去した。
【0068】
図15は、このアニール前後のZnSe:N層のフォトルミネッセンススペクトルを4.2Kで測定した結果を示す。図15に示すように、アニール前においてはDAP発光はほとんど見られないのに対し、700℃、10秒のアニール後においてはDAP発光が顕著に現れている。これは、上記の成長条件でエピタキシャル成長されたZnSe:N層中のNはアニール前においてはほとんど活性化されていないが、アニールによってこのZnSe:N層中のNが活性化されたためであると解釈することができる。
【0069】
図16は、この試料について、第1実施例で述べたと同様な方法により、ZnSe:N層の表面から深さ方向に有効アクセプタ濃度(N−N)を求めた結果を示す。これより、N−N〜1×1017cm−3であることがわかる。この有効アクセプタ濃度の値は、従来に比べて1桁も高い値である。
【0070】
以上より、ZnSe:N層のエピタキシャル成長後にアニールを行うことにより、このZnSe:N層中のNを活性化させることができ、それによってアクセプタ濃度が極めて高いZnSe:N層、すなわちp型ZnSe層を得ることができることがわかる。
【0071】
次に、この発明をII−VI族化合物半導体を用いた半導体レーザーの製造に適用した第3実施例について説明する。この第3実施例により製造される半導体レーザーは、いわゆるSCH(Separate Confinement Heterostructure) 構造を有するものである。
【0072】
図17および図18は、この第3実施例により製造された半導体レーザーを示す。ここで、図17はこの半導体レーザーの共振器長方向に垂直な断面図、図18はこの半導体レーザーの共振器長方向に平行な断面図を示す。
【0073】
図17および図18に示すように、この第3実施例による半導体レーザーの製造方法においては、まず、例えばドナー不純物としてシリコン(Si)がドープされた(100)面方位のn型GaAs基板31上に、上述の第2実施例と同様なフローモジュレーション法による成長中断を行う工程を含むMOCVD法により、例えばドナー不純物としてヨウ素(I)がドープされたn型ZnSeバッファ層32、例えばドナー不純物としてIがドープされたn型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33、例えばドナー不純物としてIがドープされたn型ZnSe光導波層34、例えば真性(i型)Zn1−z CdSe量子井戸層から成る活性層35、例えばアクセプタ不純物としてNがドープされたp型ZnSe光導波層36、例えばアクセプタ不純物としてNがドープされたp型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37、例えばアクセプタ不純物としてNがドープされたp型ZnSSe1−v 層38、例えばアクセプタ不純物としてNがドープされたp型ZnSeコンタクト層39、例えばアクセプタ不純物としてNがそれぞれドープされたp型ZnTeから成る量子井戸層とp型ZnSeから成る障壁層とを交互に積層したp型ZnTe/ZnSe多重量子井戸(MQW)層40および例えばアクセプタ不純物としてNがドープされたp型ZnTeコンタクト層41を順次エピタキシャル成長させる。p型ZnTe/ZnSeMQW層40については後に詳細に説明する。
【0074】
この場合、n型ZnSeバッファ層32およびn型ZnSe光導波層34のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Se原料としてDMSeおよびIのドーパントとしてヨウ化エチルを用いる。n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Mg原料としてビスメチルシクロペンタジエニルマグネシウム((MeCp)Mg)、S原料としてジエチル硫黄(DES)、Se原料としてDMSeおよびIのドーパントとしてヨウ化エチルを用いる。さらに、i型Zn1−z CdSe量子井戸層から成る活性層35のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Cd原料としてジメチルカドミウム(DMCd)およびSe原料としてDMSeを用いる。
【0075】
p型ZnSe光導波層36、p型ZnSeコンタクト層39およびp型ZnTe/ZnSeMQW層40のp型ZnSe層のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Se原料としてDMSeおよびNのドーパントとしてDi−PNHを用いる。p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Mg原料として(MeCp)Mg、S原料としてDES、Se原料としてDMSeおよびNのドーパントとしてDi−PNHを用いる。また、p型ZnSSe1−v 層38のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、S原料としてHS、Se原料としてDMSeおよびNのドーパントとしてDi−PNHを用いる。さらに、p型ZnTe/ZnSeMQW層40のp型ZnTe層およびp型ZnTeコンタクト層41のエピタキシャル成長においては、例えば、Zn原料としてDMZn、Te原料としてジエチルテルル(DETe)およびNのドーパントとしてDi−PNHを用いる。
【0076】
また、n型ZnSeバッファ層32およびn型ZnSe光導波層34のエピタキシャル成長においては、DMZn、DMSeおよびヨウ化エチルを同時に供給しながら成長を行う工程と、例えばDMZnおよびヨウ化エチルの供給を維持したままDMSeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33のエピタキシャル成長においては、DMZn、(MeCp)Mg、DES、DMSeおよびヨウ化エチルを同時に供給しながら成長を行う工程と、例えばDMZn、(MeCp)Mgおよびヨウ化エチルの供給を維持したままDESおよびDMSeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。
【0077】
さらに、p型ZnSe光導波層36、p型ZnSeコンタクト層39およびp型ZnTe/ZnSeMQW層40のp型ZnSe層のエピタキシャル成長においては、DMZn、DMSeおよびDi−PNHを同時に供給しながら成長を行う工程と、DMZnおよびDi−PNHの供給を維持したままDMSeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。さらにまた、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37のエピタキシャル成長においては、DMZn、(MeCp)Mg、DES、DMSeおよびDi−PNHを同時に供給しながら成長を行う工程と、DMZn、(MeCp)MgおよびDi−PNHの供給を維持したままDESおよびDMSeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。また、p型ZnSSe1−v 層38のエピタキシャル成長においては、DMZn、DES、DMSeおよびDi−PNHを同時に供給しながら成長を行う工程と、DMZnおよびDi−PNHの供給を維持したままDESおよびDMSeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。さらに、p型ZnTe/ZnSeMQW層40のp型ZnTe層およびp型ZnTeコンタクト層41のエピタキシャル成長においては、DMZn、DETeおよびDi−PNHを同時に供給しながら成長を行う工程と、DMZnおよびDi−PNHの供給を維持したままDETeの供給中断を行うことにより成長中断を行う工程とを繰り返し行う。
【0078】
次に、p型ZnTeコンタクト層41上に所定幅のストライプ形状のレジストパターン(図示せず)を形成した後、このレジストパターンをマスクとして、p型ZnSSe1−v 層38の厚さ方向の途中の深さまで例えばウェットエッチング法によりエッチングする。これによって、p型ZnSSe1−v 層38の上層部、p型ZnSeコンタクト層39、p型ZnTe/ZnSeMQW層40およびp型ZnTeコンタクト層41がストライプ形状にパターニングされる。このストライプ部の幅は例えば5μmである。
【0079】
次に、上述のエッチングに用いたレジストパターンを残したまま全面に例えば厚さが300nmのアルミナ(Al)膜を真空蒸着した後、このレジストパターンをその上に形成されたAl膜とともに除去する(リフトオフ)。これによって、上述のストライプ部以外の部分のp型ZnSSe1−v 層38上にのみAl膜から成る絶縁層42が形成される。
【0080】
次に、ストライプ形状のp型ZnTeコンタクト層41および絶縁層42の全面に例えば厚さが10nmのPd膜、例えば厚さが100nmのPt膜および例えば厚さが300nmのAu膜を順次真空蒸着してPd/Pt/Au電極から成るp側電極43を形成し、その後必要に応じて熱処理を行って、このp側電極43をp型ZnTeコンタクト層41にオーミックコンタクトさせる。このp側電極43がp型ZnTeコンタクト層41とコンタクトした部分が電流の通路となる。一方、n型GaAs基板31の裏面にはIn電極のようなn側電極44を形成する。
【0081】
次に、以上のようにしてレーザー構造が形成されたn型GaAs基板31をバー状に劈開して両共振器端面を形成した後、例えば真空蒸着法により、レーザー光が取り出されるフロント側の共振器端面にAl膜45とSi膜46とから成る多層膜を形成するとともに、レーザー光が取り出されないリア側の共振器端面にAl膜45とSi膜46とを2周期繰り返した多層膜を形成する。ここで、Al膜45とSi膜46とから成る多層膜の厚さは、それに屈折率をかけた光学的距離がレーザー光の発振波長の1/4になるように選ばれる。このような端面コーティングを施すことにより、例えば、フロント側の端面の反射率を70%、リア側の端面の反射率を95%にすることができる。このように端面コーティングを施した後、このバーを劈開してチップ化し、パッケージングを行う。
【0082】
この第3実施例による半導体レーザーにおいて、活性層35を構成するi型Zn1−z CdSe量子井戸層の厚さは、好適には2〜20nm、例えば9nmである。
【0083】
また、この場合、n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33およびp型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37のMg組成比pは例えば0.09、またS組成比qは例えば0.18であり、そのときのエネルギーギャップEは77Kで約2.94eVである。これらのMg組成比p=0.09およびS組成比q=0.18を有するn型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33およびp型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37はGaAsと格子整合する。また、活性層35を構成するi型Zn1−z CdSe量子井戸層のCd組成比zは例えば0.19であり、そのときのエネルギーギャップEは77Kで約2.54eVである。このとき、n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33およびp型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37と活性層35を構成するi型Zn1−z CdSe量子井戸層との間のエネルギーギャップEの差ΔEは、0.40eVである。なお、室温でのエネルギーギャップEの値は、77KでのエネルギーギャップEの値から0.1eVを引くことにより求めることができる。
【0084】
また、n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層33の厚さは例えば0.8μm、n型ZnSe光導波層34の厚さは例えば60nm、p型ZnSe光導波層36の厚さは例えば60nm、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37の厚さは例えば0.6μm、p型ZnSSe1−v 層38の厚さは例えば0.6μm、p型ZnSeコンタクト層39の厚さは例えば45nm、p型ZnTeコンタクト層11の厚さは例えば70nmである。
【0085】
さらに、n型ZnSeバッファ層32の厚さは、ZnSeとGaAsとの間にはわずかではあるが格子不整合が存在することから、この格子不整合に起因してこのn型ZnSeバッファ層32およびその上の各層のエピタキシャル成長時に転位が発生するのを防止するために、ZnSeの臨界膜厚(〜100nm)よりも十分に小さく選ばれるが、ここでは例えば33nmに選ばれる。
【0086】
なお、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37上のp型ZnSSe1−v 層38は、場合に応じて、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37に加えた第2のp型クラッド層としての機能、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37との格子整合をとる機能、ヒートシンク上へのレーザーチップのマウントの際のチップ端面におけるはんだの這い上がりによる短絡を防止するためのスペーサ層としての機能などのうちの一または二以上の機能を有する。p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37のMg組成比pおよびS組成比qとの兼ね合いもあるが、このp型ZnSSe1−v 層38のS組成比vは、0<v≦0.1、好ましくは0.06≦v≦0.08の範囲内に選ばれ、特に、p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層37との格子整合をとるために最適なS組成比vは0.06である。
【0087】
上述のp型ZnTe/ZnSeMQW層40を設けるのは、p型ZnSeコンタクト層39とp型ZnTeコンタクト層41とを直接接合すると、接合界面において価電子帯に大きな不連続が生じ、これがp側電極43からp型ZnTeコンタクト層41に注入される正孔に対する障壁となることから、この障壁を実効的になくすためである。
【0088】
すなわち、p型ZnSe中のキャリア濃度は通常は5×1017cm−3程度が上限であり、一方、p型ZnTe中のキャリア濃度は1018cm−3以上とすることが可能である。また、p型ZnSe/p型ZnTe界面における価電子帯の不連続の大きさは約0.5eVである。このようなp型ZnSe/p型ZnTe接合の価電子帯には、接合がステップ接合であると仮定すると、p型ZnSe側に
W=(2εφ/qN1/2 (1)
の幅にわたってバンドの曲がりが生じる。ここで、εはZnSeの誘電率、φはp型ZnSe/p型ZnTe界面における価電子帯の不連続の大きさ(約0.5eV)を表す。
【0089】
(1) 式を用いてこの場合のWを計算すると、W=32nmとなる。このときに価電子帯の頂上がp型ZnSe/p型ZnTe界面に垂直な方向に沿ってどのように変化するかを示したのが図19である。ただし、p型ZnSeおよびp型ZnTeのフェルミ準位は価電子帯の頂上に一致すると近似している。図19に示すように、この場合、p型ZnSeの価電子帯はp型ZnTeに向かって、下(低エネルギー側)に曲がっている。この下に凸の価電子帯の変化は、p側電極43からこのp型ZnSe/p型ZnTe接合に注入された正孔に対してポテンシャル障壁として働く。
【0090】
この問題は、p型ZnSeコンタクト層39とp型ZnTeコンタクト層41との間にp型ZnTe/ZnSeMQW層40を設けることにより解決することができる。このp型ZnTe/ZnSeMQW層40は具体的には例えば次のように設計される。
【0091】
図20は、p型ZnTeから成る量子井戸層の両側をp型ZnSeから成る障壁層によりはさんだ構造の単一量子井戸におけるp型ZnTeから成る量子井戸の幅Lに対して第1量子準位Eがどのように変化するかを有限障壁の井戸型ポテンシャルに対する量子力学的計算により求めた結果を示す。ただし、この計算では、量子井戸層および障壁層における電子の質量としてp型ZnSeおよびp型ZnTe中の正孔の有効質量mを想定して0.6m(m:真空中の電子の静止質量)を用い、また、井戸の深さは0.5eVとしている。
【0092】
図20より、量子井戸の幅Lを小さくすることにより、量子井戸内に形成される第1量子準位Eを高くすることができることがわかる。p型ZnTe/ZnSeMQW層40はこのことを利用して設計される。
【0093】
この場合、p型ZnSe/p型ZnTe界面からp型ZnSe側に、幅Wにわたって生じるバンドの曲がりは、p型ZnSe/p型ZnTe界面からの距離x(図19)の二次関数
φ(x)=φ{1−(x/W)} (2)
で与えられる。従って、p型ZnTe/ZnSeMQW層40の設計は、 (2)式に基づいて、p型ZnTeから成る量子井戸層のそれぞれに形成される第1量子準位Eがp型ZnSeおよびp型ZnTeの価電子帯の頂上のエネルギーと一致し、しかも互いに等しくなるようにLを段階的に変えることにより行うことができる。
【0094】
図21は、p型ZnTe/ZnSeMQW層40におけるp型ZnSeから成る障壁層の幅Lを2nmとした場合の量子井戸幅Lの設計例を示す。この場合、p型ZnSeコンタクト層39のアクセプタ濃度Nは5×1017cm−3とし、p型ZnTeコンタクト層41のアクセプタ濃度Nは1×1019cm−3としている。図21に示すように、この場合には、合計で7個の量子井戸の幅Lを、その第1量子準位Eがp型ZnSeおよびp型ZnTeのフェルミ準位と一致するように、p型ZnSeコンタクト層39からp型ZnTeコンタクト層41に向かってL=0.3nm、0.4nm、0.5nm、0.6nm、0.8nm、1.1nm、1.7nmと変化させている。
【0095】
なお、量子井戸の幅Lの設計に当たっては、厳密には、それぞれの量子井戸の準位は相互に結合しているためにそれらの相互作用を考慮する必要があり、また、量子井戸層と障壁層との格子不整合による歪みの効果も取り入れなければならないが、多重量子井戸の量子準位を図21のようにフラットに設定することは原理的に十分可能である。
【0096】
図21において、p型ZnTeに注入された正孔は、p型ZnTe/ZnSeMQW層40のそれぞれの量子井戸に形成された第1量子準位Eを介して共鳴トンネリングによりp型ZnSe側に流れることができるので、p型ZnSe/p型ZnTe界面のポテンシャル障壁は実効的になくなる。
【0097】
以上のように、この第3実施例によれば、第2実施例と同様に、レーザー構造を形成する各p型層のエピタキシャル成長を行う場合にp型ドーパントとしてDi−PNHを用いており、しかもVI族元素の原料の供給中断により成長中断を行う工程を有することにより、これらのp型層のアクセプタ濃度を十分に高くすることができる。また、レーザー構造を形成する各n型層のエピタキシャル成長を行う場合にII族元素の原料の供給中断により成長中断を行う工程を有することにより、これらのn型層のドナー濃度も十分に高くすることができる。これによって、短波長で発光可能でしかも低しきい値電流密度の高性能の半導体レーザーを実現することが可能である。より具体的には、例えば、室温において連続発振可能な緑色発光の半導体レーザーを実現することが可能である。また、レーザー発振に必要な印加電圧の低減を図ることも可能である。
【0098】
以上、この発明の実施例について具体的に説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるものではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0099】
例えば、上述の第2実施例においては、SCH構造を有する半導体レーザーの製造にこの発明を適用した場合について説明したが、この発明は、DH構造(Double Heterostructure)を有する半導体レーザーの製造に適用することも可能である。
【0100】
さらに、上述の第2実施例においては、半導体レーザーの製造にこの発明を適用した場合について説明したが、この発明は、II−VI族化合物半導体を用いた発光ダイオードの製造に適用することも可能であり、これらの発光素子以外のII−VI族化合物半導体を用いた各種の半導体装置の製造に適用することも可能である。
【0101】
なお、上述の第1実施例および第2実施例においては、化合物半導体基板としてGaAs基板を用いているが、この化合物半導体基板としては、例えばGaP基板などを用いてもよい。
【0102】
なお、II−VI族化合物半導体をMOCVD法やガス原料を用いたMBE法などによりエピタキシャル成長させる際のp型ドーパントとしては、例えばシアナミド(H―N=C=N―H)のように、N原子に他の原子が二重結合で結合している有機化合物を用いてもよい。
【0103】
また、この発明においてp型ドーパントとして用いる有機化合物、すなわち、少なくとも一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が少なくとも12よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物は、窒素を含む化合物半導体、例えばGaN(III−V族化合物半導体の一種)などの成長を気相成長法により行う際のN原料として用いることが可能である。
【0104】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、窒素原料が、少なくとも一つの窒素原子を含み、その窒素原子に分子量が少なくとも36よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物から成ることにより、結晶性が良好な窒素を含む化合物半導体あるいは窒化物系III−V族化合物半導体を容易に成長させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例において用いるMOCVD装置の構成を示す略線図である。
【図2】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明するためのシーケンス図である。
【図3】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明するための断面図である。
【図4】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法により成長されたp型ZnSe層のフォトルミネッセンススペクトルの測定結果の一例を示すグラフである。
【図5】p型ドーパントとしてt−BNHを用いたMOCVD法により成長されたp型ZnSe層のフォトルミネッセンススペクトルの測定結果の一例を示すグラフである。
【図6】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法により成長されたp型ZnSe層のアクセプタ濃度をC−V測定法により定量的に評価するために用いた試料の断面図である。
【図7】この発明の第1実施例によるp型ZnSeの成長方法により成長されたp型ZnSe層のアクセプタ濃度をC−V測定法により定量的に評価するために用いた試料の平面図である。
【図8】図6および図7に示す試料を用いて行ったC−V測定の結果の一例を示すグラフである。
【図9】図8に示すC−V測定の結果から求められた有効アクセプタ濃度のプロファイルの一例を示すグラフである。
【図10】p型ZnSeのアクセプタ濃度とフォトルミネッセンス強度との関係を示すグラフである。
【図11】この発明の第2実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明するためのシーケンス図である。
【図12】この発明の第2実施例によるp型ZnSeの成長方法を説明するための断面図である。
【図13】Di−PNHの熱分解により生成されたNHがZnSe結晶のZn面上のZn原子と結合したときの様子をt−BNHの熱分解により生成されたNHがZnSe結晶のZn面上のZn原子と結合したときの様子と比較して示す略線図である。
【図14】この発明の第2実施例によるp型ZnSeの成長方法により成長されたp型ZnSe層のフォトルミネッセンススペクトルの測定結果の一例を示すグラフである。
【図15】アニール前後のp型ZnSe層のフォトルミネッセンススペクトルの測定結果の一例を示すグラフである。
【図16】図15に示すフォトルミネッセンススペクトルが得られた試料について求められた有効アクセプタ濃度のプロファイルの一例を示すグラフである。
【図17】この発明の第3実施例による半導体レーザーの製造方法により製造された半導体レーザーの共振器長方向に垂直な断面図である。
【図18】この発明の第3実施例による半導体レーザーの製造方法により製造された半導体レーザーの共振器長方向に平行な断面図である。
【図19】p型ZnSe/p型ZnTe界面の近傍の価電子帯を示すエネルギーバンド図である。
【図20】p型ZnTeから成る量子井戸の幅Lに対する量子井戸の第1量子準位Eの変化を示すグラフである。
【図21】この発明の第3実施例による半導体レーザーにおけるp型ZnTe/ZnSeMQW層の設計例を示す略線図である。
【符号の説明】
21・・・半絶縁性GaAs基板、22・・・ZnSe:N層、24・・・ZnおよびNの吸着層、31・・・n型GaAs基板、32・・・n型ZnSeバッファ層、33・・・n型Zn1−p MgSe1−q クラッド層、34・・・n型ZnSe光導波層、35・・・活性層、36・・・p型ZnSe光導波層、37・・・p型Zn1−p MgSe1−q クラッド層、38・・・p型ZnSSe1−v 層、39・・・p型ZnSeコンタクト層、40・・・p型ZnTe/ZnSeMQW層、41・・・p型ZnTeコンタクト層、42・・・絶縁層、43・・・p側電極、44・・・n側電極

Claims (2)

  1. 少なくとも一つの窒素原子を含み、上記窒素原子に分子量が少なくとも36よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物を窒素原料として用いて窒素を含む化合物半導体を気相成長法により成長させるようにした
    ことを特徴とする窒素を含む化合物半導体の成長方法。
  2. 少なくとも一つの窒素原子を含み、上記窒素原子に分子量が少なくとも36よりも大きい少なくとも二つの基が結合している有機化合物を窒素原料として用いて窒化物系III−V族化合物半導体を気相成長法により成長させるようにした
    ことを特徴とする窒化物系III−V族化合物半導体の成長方法。
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