JPH07326331A - 密閉形の角形電池 - Google Patents

密閉形の角形電池

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JPH07326331A
JPH07326331A JP6118690A JP11869094A JPH07326331A JP H07326331 A JPH07326331 A JP H07326331A JP 6118690 A JP6118690 A JP 6118690A JP 11869094 A JP11869094 A JP 11869094A JP H07326331 A JPH07326331 A JP H07326331A
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訓 生川
Toru Amezutsumi
徹 雨堤
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日義 玉置
Yasuhiro Yamauchi
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 角形電池の外装缶を補強して変形を少なく
し、電池特性の低下を防止する。 【構成】 角形電池の非真円形渦巻電極体を収納する角
形外装缶のコーナ部厚みを直径部分の厚みよりも大きく
し、外装缶のコーナ部内面の曲率半径をR、コーナ部外
面の曲率半径をr、直径部分の厚みをdとするとき、R
>r−dを満足する値とし、さらに外装缶の部材をアル
ミニウムまたはアルミニウム合金とする。角形外装缶の
たわみ強度を補強でき、非真円形渦巻電極体の極板間の
緊迫度を安定でき、電池特性としての大容量、高エネル
ギー密度、ハイレート放電特性を向上できる。 【効果】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は角形外装缶に非真円形渦
巻電極体を収納している密閉形の角形電池に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ポータブルのOA機器、通信機器
の需要が高まるにつれ、その電源となるニッケルカドミ
ウム電池やリチウムイオン二次電池の中でも、特に実装
効率の高い角形電池の要求が高まっている。また、電池
はポータブル機器の電源に使用されるので、容積当り容
量を大きくすることは言うまでもなく、近年では軽量
化、つまり高エネルギー密度である特性が重要視されて
いる。
【0003】外装缶の材質を、鉄やステンレスから軽い
アルミニウムに変更し、あるいは、外装缶の肉厚を薄く
することは、電池の軽量化に効果がある。外装缶の重量
が、電池の総重量に占める割合が大きいからである。し
かしながら、外装缶をアルミニウムに変更したり、薄く
すると、外装缶の強度が低下してしまう弊害がある。
【0004】たとえば、外装缶の材質を、鉄やステンレ
スからアルミニウムに変更すると、アルミニウムの縦弾
性係数は鉄の3分の1であるから、同寸法の外装缶に設
計すると、アルミニウム製外装缶のたわみ強度は、鉄製
外装缶の3分の1に極減してしまう。
【0005】外装缶の強度が低下すると、外装缶の内圧
が上昇したときに、外装缶が変形してしまう弊害が発生
する。密閉形の電池は、ショートし、過電流が流れ、あ
るいは過充電する等の電池異常の際に内部でガスが発生
する。ガスは電池内圧を上昇させる。電池の内圧が上昇
すると、強度が充分でない外装缶は変形してしまう欠点
がある。外装缶の変形は、種々の弊害の原因となる。た
とえば、外装缶が大きく変形すると、これが破損して電
池を収納する電気機器に損傷を与える。さらに、外装缶
に収納する渦巻状の電極体の最外周を外装缶に接触させ
る密閉形の電池は、外装缶が変形すると、電極と外装缶
の接触抵抗が大きくなって内部抵抗が増加する等の弊害
がある。
【0006】外装缶を独得の補強構造とする技術が特開
昭62−93854号公報に記載される。この公報に記
載される密閉形電池は、外装缶の一部に肉厚部を設けて
補強している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】肉厚部は外装缶を補強
して変形を少なくできる。しかしながら、外装缶の一部
を厚くすると、外装缶の外形が大きくなって、小形化す
ることが出来なくなってしまう。本発明は、さらにこの
欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明
の重要な目的は、外装缶の外形を大きくすることなく、
外装缶の変形を効果的に防止できる密閉形の角形電池を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の密閉形の角形電
池は、前述の目的を達成するために下記の構成を備え
る。密閉形の角形電池は、角形外装缶1に非真円形状の
渦巻電極体2を収納している。さらに、密閉形の角形電
池は、外装缶の各コーナ部分の厚みを、外装缶の直線部
分の厚みより大きくしている。内部に非真円形渦巻電極
体2を収納する角形外装缶1は、外装缶のコーナ部分の
内側部分に空隙3ができる。電極体が渦巻状で、外装缶
が角形であるからである。本発明の密閉形の角形電池
は、この空隙3を有効に利用して、角形外装缶1を補強
する。
【0009】さらに、本発明の請求項2に記載される密
閉形の角形電池は、角形外装缶1のコーナ部内面の曲率
半径をR、角形外装缶1のコーナ部外面の曲率半径を
r、角形外装缶1の直線部分の厚みをdとするとき、R
とrとdとが下記の式を満足する。
R>r−d
【0010】さらにまた、本発明の請求項3に記載され
る密閉形の角形電池は、外装缶を軽量化するために、角
形外装缶1の材質をアルミニウム又はアルミニウム合金
としている。
【0011】
【作用】本発明の密閉形の角形電池は、渦巻状の電極体
2を角形外装缶1に収納するときにコーナ部にできる空
隙を有効に利用して、外装缶の外形を大きくすることな
く、角形外装缶1の強度を増大させている。コーナ部を
直線部分と同じ肉厚とする従来の角形電池は、図1に示
す断面構造をしている。これに対して、コーナ部を直線
部分よりも厚くした本発明の角形電池の角形外装缶1
は、図2に示す断面構造となる。
【0012】ところで、角形外装缶のたわみ強度は、長
辺長さの3乗に比例して低下することが証明されてい
る。長辺長さが長くなると内圧でストレート部分が変形
しやすくなる。本発明の角形電池は、角形外装缶のコー
ナ部の肉厚を厚くすることによって、長辺長さを短くし
てたわみ強度を著しく増強できる。
【0013】たとえば、図1に示す従来の角形電池の外
装缶と、図2に示す本発明の角形電池の外装缶の寸法を
下記のようにすると、本発明の角形電池の外装缶のたわ
み強度は、従来のものと外形を同じにした場合約50%
も増強される。
【0014】 (1) 図1に示す従来例の角形電池の外装缶 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm 外装缶の直線部分の厚みd 0.5mm 外装缶コーナ部の外側の曲率半径r 1.7mm 外装缶コーナ部の内側の曲率半径R 1.2mm 外装缶の長辺長さ 18.6mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−1.2×2
【0015】 (2) 図2に示す本発明の角形電池の外装缶 外装缶の外形(縦×横) 図1の外装缶と同
じ 外装缶のの直線部分の厚みd 図1の外装缶と同
じ 外装缶コーナ部の外側の曲率半径r 1.7mm 外装缶コーナ部の内側の曲率半径R 2.3mm 外装缶の長辺長さ 16.4mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−2.3×2
【0016】外装缶のたわみ強度は、長辺長さの3乗に
比例するので、本発明の角形電池の外装缶のたわみ強度
は、(18.6mm/16.4mm)3=1.46倍と
なって、約50%も増強される。
【0017】図3は、図1と図2に示す外装缶の内圧に
対する膨れ量を示している。この図において、○のプロ
ットは図2に示す本発明の角形電池の外装缶の膨れ量を
示し、●のプロットは図1に示す従来の角形電池の外装
缶の膨れ量を示している。この図に示すように、たとえ
ば、内圧を5kg/cm2とするときに、本発明の角形
電池の外装缶の膨れ量が0.64mm、従来の角形電池
の外装缶の膨れ量は0.96mmとなる。すなわち、従
来の角形電池の外装缶は、本発明品の外装缶に比し約5
0%も膨れ量が多くなる。このことは、前記の計算結果
にほぼ一致する。
【0018】以上のように、本発明の角形電池は、角形
外装缶1の外形を大きくすることなく、無駄なスペース
となっている外装缶のコーナ部内側にできる空隙3を有
効に利用して、外装缶のたわみ強度を著しく増強できる
優れた特長を実現する。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するための密閉形の角形電池を例示するもので
あって、本発明は密閉形の角形電池を下記のものに特定
しない。
【0020】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】図2と図4に示す密閉形の角形電池は、角
形外装缶1に非真円形渦巻電極体2を内蔵させている。
非真円形渦巻電極体2は、正極板と負極板とをセパレー
タを介して積層して非真円形の渦巻状に巻回したもので
ある。非真円形渦巻電極体2は、角形外装缶1に収納さ
れて、最外周の電極を角形外装缶1の内面に電気的に接
触させている。すなわち、図に示す角形電池は、非真円
形渦巻電極体2を最外周接触構造として角形外装缶1に
収納している。非真円形渦巻電極体2の最外周は通常は
正極である。したがって、外装缶は正極となる。非真円
形渦巻電極体2の負極板は、電極リードを介して、外装
缶に絶縁して固定された負極5に接続される。絶縁蓋4
は外装缶の開口部を気密に閉塞している。絶縁蓋の負極
には安全弁を設けることもできる。
【0022】角形外装缶1はアルミニウム製である。た
だ、角形外装缶1は材質をアルミニウムに特定せず、鉄
やステンレス製とすることもできるのは言うまでもな
い。鉄やステンレス製の角形外装缶1は、アルミニウム
製のものに比較して強いので薄く設計できる。
【0023】[実施例1]アルミニウム製の角形外装缶
の寸法を、下記の寸法に設計する。 (1) 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm (2) 外装缶の肉厚 0.5mm (3) 外装缶コーナ部の外側の曲率半径 1.7mm (4) 外装缶コーナ部の内側の曲率半径 2.3mm (5) 外装缶コーナ部の最大肉厚 0.96mm (6) 外装缶の長辺長さ 16.4mm
【0024】[実施例2]アルミニウム製の角形外装缶
の寸法を、下記の寸法に設計する。 (1) 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm (2) 外装缶の肉厚 0.5mm (3) 外装缶コーナ部の外側の曲率半径 1.7mm (4) 外装缶コーナ部の内側の曲率半径 3.0mm (5) 外装缶コーナ部の最大肉厚 1.25mm (6) 外装缶の長辺長さ 15.0mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−3.0×2
【0025】実施例1と実施例2の寸法の角形外装缶1
を使用した本発明の角形電池と、図1に示す寸法の角形
外装缶1を使用した従来の角形電池の充放電サイクル
(1C充電、4.2V充電停止/1C放電、2.75V
放電停止)100サイクル後に、3Cでハイレート放電
したとき及び本発明の角形電池の充放電サイクルを繰り
栗返す前の電圧特性カーブを図5に示す。この図に示す
ように、従来の角形電池は、本発明品に比較して平均電
圧が低下し、さらに容量も減少した。それは、充放電を
100サイクル繰り返すことにより、電池の内圧が上昇
して外装缶の膨れが発生し、内部抵抗が増加するからで
ある。これに対して本発明の実施例にかかる角形電池は
外装缶の膨れが少なく、内部抵抗が増加せず電圧が高く
容量も大きい優れた特性を示した。
【0026】さらに、比較のため充放電100サイクル
後に角形電池の膨れ量を測定したところ、本発明の角形
電池は下記の優れた特性を示した。 (1) 実施例1の外装缶の角形電池の膨れ 0.32mm (2) 実施例2の外装缶の角形電池の膨れ 0.22mm (3) 図1の外装缶の従来の角形電池の膨れ 0.49mm
【0027】
【発明の効果】本発明の密閉形の角形電池は、コーナ部
の肉厚を直線部分よりも厚くして外装缶を補強するの
で、角形外装缶に非真円形渦巻電極体を収納して出来る
無駄なスペースを有効に利用して外装缶を補強すること
ができる。このため、外装缶の外形を大きくすることな
く、角形外装缶を効果的に補強することができる。した
がって、本発明の密閉形の角形電池は、外形を同じに設
計して角形外装缶を強靱にでき、角形外装缶の膨れに起
因する電池特性の低下を防止することができる。このた
め、外装缶の肉厚を薄く設計し、あるいは、角形外装缶
の材質を鉄やステンレスからアルミニウムに変更して、
充分な強度とするのに好都合である。
【0028】このように、本発明にかかる密閉形の角形
電池は、電池容量を少なくすることなく、外装缶のたわ
み強度を充分にできる。さらに、角形外装缶のたわみ強
度を増強できるので、非真円形渦巻電極体の極板間の緊
迫度を安定させることができ、電池特性としての大容
量、高エネルギー密度、ハイレート放電特性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の角形電池の構造を示す一部断面平面図
【図2】本発明にかかる角形電池の構造を示す断面図
【図3】角形電池の外装缶の内圧に対する膨れ両を示す
グラフ
【図4】本発明にかかる角形電池の外装缶の外形を示す
一部断面正面図
【図5】本発明の一実施例にかかる角形電池と従来の角
形電池の充放電サイクル100サイクル後に3Cでハイ
レート放電したとき、及び本発明の角形電池の初期の電
圧特性カーブを示すグラフ
【符号の説明】
1…角形外装缶 2…渦巻電極体 3…空隙 4…絶縁蓋 5…負極
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年4月12日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 密閉形の角形電池
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は角形外装缶に非真円形渦
巻電極体を収納している密閉形の角形電池に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、ポータブルのOA機器、通信機器
の需要が高まるにつれ、その電源となるニッケルカドミ
ウム電池やリチウムイオン二次電池の中でも、特に実装
効率の高い角形電池の要求が高まっている。また、電池
はポータブル機器の電源に使用されるので、容積当り容
量を大きくすることは言うまでもなく、近年では軽量
化、つまり高エネルギー密度である特性が重要視されて
いる。
【0003】外装缶の材質を、鉄やステンレスから軽い
アルミニウムに変更し、あるいは、外装缶の肉厚を薄く
することは、電池の軽量化に効果がある。外装缶の重量
が、電池の総重量に占める割合が大きいからである。し
かしながら、外装缶をアルミニウムに変更したり、薄く
すると、外装缶の強度が低下してしまう弊害がある。
【0004】たとえば、外装缶の材質を、鉄やステンレ
スからアルミニウムに変更すると、アルミニウムの縦弾
性係数は鉄の3分の1であるから、同寸法の外装缶に設
計すると、アルミニウム製外装缶のたわみ強度は、鉄製
外装缶の3分の1に極減してしまう。
【0005】外装缶の強度が低下すると、電池の内圧が
上昇したときに、外装缶が変形してしまう弊害が発生す
る。密閉形の電池は、ショートし、過電流が流れ、ある
いは過充電する等の電池異常の際に内部でガスが発生す
る。ガスは電池内圧を上昇させる。電池の内圧が上昇す
ると、強度が充分でない外装缶は変形してしまう欠点が
ある。外装缶の変形は、種々の弊害の原因となる。たと
えば、外装缶が大きく変形すると、これが破損して電池
を収納する電気機器に損傷を与える。さらに、外装缶に
収納する電極体の最外周を外装缶に接触させる密閉形の
電池は、外装缶が変形すると、電極と外装缶が離れて
触抵抗が大きくなって内部抵抗が増加する等の弊害があ
る。
【0006】外装缶を独の補強構造とする技術が特開
昭62−93854号公報に記載される。この公報に記
載される密閉形電池は、外装缶の一部に肉厚部を設けて
補強している。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】肉厚部は外装缶を補強
して変形を少なくできる。しかしながら、外装缶の一部
を厚くすると、外装缶の外形が大きくなって、小形化す
ることが出来なくなってしまう。本発明は、さらにこの
欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明
の重要な目的は、外装缶の外形を大きくすることなく、
外装缶の変形を効果的に防止できる密閉形の角形電池を
提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の密閉形の角形電
池は、前述の目的を達成するために下記の構成を備え
る。密閉形の角形電池は、角形外装缶1に非真円形状の
渦巻電極体2を収納している。さらに、密閉形の角形電
池は、外装缶の各コーナ部分の厚みを、外装缶の直線部
分の厚みより大きくしている。内部に非真円形渦巻電極
体2を収納する角形外装缶1は、外装缶のコーナ部分の
内側部分に空隙3ができる。この理由は、外装缶に収納
する電極体が渦巻状であり、さらに外装缶の形状が角形
であるからである。本発明の密閉形の角形電池は、この
空隙3を有効に利用して、角形外装缶1を補強する。
【0009】さらに、本発明の請求項2に記載される密
閉形の角形電池は、角形外装缶1のコーナ部内面の曲率
半径をR、角形外装缶1のコーナ部外面の曲率半径を
r、角形外装缶1の直線部分の厚みをdとするとき、R
とrとdとが下記の式を満足する。
R>r−d
【0010】さらにまた、本発明の請求項3に記載され
る密閉形の角形電池は、外装缶を軽量化するために、角
形外装缶1の材質をアルミニウム又はアルミニウム合金
としている。
【0011】
【作用】本発明の密閉形の角形電池は、渦巻状の電極体
2を角形外装缶1に収納するときにコーナ部にできる空
隙を有効に利用して、外装缶の外形を大きくすることな
く、角形外装缶1の強度を増大させている。コーナ部を
直線部分と同じ肉厚とする従来の角形電池は、図1に示
す断面構造をしている。これに対して、コーナ部を直線
部分よりも厚くした本発明の角形電池の角形外装缶1
は、図2に示す断面構造となる。
【0012】ところで、角形外装缶のたわみ強度は、長
辺長さの3乗に比例して低下することが証明されてい
る。長辺長さが長くなると内圧でストレート部分が変形
しやすくなる。本発明の角形電池は、角形外装缶のコー
ナ部の肉厚を厚くすることによって、長辺長さを短くし
てたわみ強度を著しく増強できる。
【0013】たとえば、図1に示す従来の角形電池の外
装缶と、図2に示す本発明の角形電池の外装缶の寸法を
下記のようにすると、本発明の角形電池の外装缶のたわ
み強度は、従来のものと外形を同じにした場合約50%
も増強される。
【0014】 (1) 図1に示す従来例の角形電池の外装缶 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm 外装缶の直線部分の厚みd 0.5mm 外装缶コーナ部の外側の曲率半径r 1.7mm 外装缶コーナ部の内側の曲率半径R 1.2mm 外装缶の長辺長さ 18.6mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−1.2×2
【0015】 (2) 図2に示す本発明の角形電池の外装缶 外装缶の外形(縦×横) 図1の外装缶と同
じ 外装缶の直線部分の厚みd 図1の外装缶と同じ 外装缶コーナ部の外側の曲率半径r 1.7mm 外装缶コーナ部の内側の曲率半径R 2.3mm 外装缶の長辺長さ 16.4mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−2.3×2
【0016】外装缶のたわみ強度は、長辺長さの3乗に
比例するので、本発明の角形電池の外装缶のたわみ強度
は、(18.6mm/16.4mm)3=1.46倍と
なって、約50%も増強される。
【0017】図3は、図1と図2に示す外装缶の内圧に
対する膨れ量を示している。この図において、○のプロ
ットは図2に示す本発明の角形電池の外装缶の膨れ量を
示し、●のプロットは図1に示す従来の角形電池の外装
缶の膨れ量を示している。この図に示すように、たとえ
ば、内圧を5kg/cm2とするときに、本発明の角形
電池の外装缶の膨れ量が0.64mm、従来の角形電池
の外装缶の膨れ量は0.96mmとなる。ち、従来の
角形電池の外装缶は、本発明品の外装缶に比し約50%
も膨れ量が多くなる。このことは、前記の計算結果にほ
ぼ一致する。
【0018】以上のように、本発明の角形電池は、角形
外装缶1の外形を大きくすることなく、無駄なスペース
となっている外装缶のコーナ部内側にできる空隙3を有
効に利用して、外装缶のたわみ強度を著しく増強できる
優れた特長を実現する。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明
する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想
を具体化するための密閉形の角形電池を例示するもので
あって、本発明は密閉形の角形電池を下記のものに特定
しない。
【0020】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を
理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番
号を、「特許請求の範囲の欄」、「作用の欄」、および
「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付
記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、
実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0021】図2と図4に示す密閉形の角形電池は、角
形外装缶1に非真円形渦巻電極体2を内蔵させている。
非真円形渦巻電極体2は、正極板と負極板とをセパレー
タを介して積層して非真円形の渦巻状に巻回したもので
ある。非真円形渦巻電極体2は、角形外装缶1に収納さ
れて、最外周の電極を角形外装缶1の内面に電気的に接
触させている。すなわち、図に示す角形電池は、非真円
形渦巻電極体2を最外周接触構造として角形外装缶1に
収納している。非真円形渦巻電極体2の最外周は通常は
正極である。したがって、外装缶は正極となる。非真円
形渦巻電極体2の負極板は、電極リードを介して、外装
缶に絶縁して固定された負極5に接続される。絶縁蓋4
は外装缶の開口部を気密に閉塞している。絶縁蓋の負極
には安全弁を設けることもできる。
【0022】角形外装缶1はアルミニウム製である。た
だ、角形外装缶1は材質をアルミニウムに特定せず、鉄
やステンレス製とすることもできるのは言うまでもな
い。鉄やステンレス製の角形外装缶1は、アルミニウム
製のものに比較して強いので薄く設計できる。
【0023】[実施例1]アルミニウム製の角形外装缶
の寸法を、下記の寸法に設計する。 (1) 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm (2) 外装缶の肉厚 0.5mm (3) 外装缶コーナ部の外側の曲率半径 1.7mm (4) 外装缶コーナ部の内側の曲率半径 2.3mm (5) 外装缶コーナ部の最大肉厚 0.96mm (6) 外装缶の長辺長さ 16.4mm
【0024】[実施例2]アルミニウム製の角形外装缶
の寸法を、下記の寸法に設計する。 (1) 外装缶の外形(縦×横) 22mm×7.6mm (2) 外装缶の肉厚 0.5mm (3) 外装缶コーナ部の外側の曲率半径 1.7mm (4) 外装缶コーナ部の内側の曲率半径 3.0mm (5) 外装缶コーナ部の最大肉厚 1.25mm (6) 外装缶の長辺長さ 15.0mm (長辺長さは、下記の計算式で計算される。) 長辺長さ=22−0.5×2−3.0×2
【0025】実施例1と実施例2の寸法の角形外装缶1
を使用した本発明の角形電池と、図1に示す寸法の角形
外装缶1を使用した従来の角形電池の充放電サイクル
(1C充電、4.2V充電停止/1C放電、2.75V
放電停止)100サイクル後に、3Cでハイレート放電
したとき及び本発明の角形電池の充放電サイクルを繰
す前の電圧特性カーブを図5に示す。この図に示すよ
うに、従来の角形電池は、本発明品に比較して平均電圧
が低下し、さらに容量も減少した。それは、充放電を1
00サイクル繰り返すことにより、電池の内圧が上昇し
て外装缶の膨れが発生し、内部抵抗が増加するからであ
る。これに対して本発明の実施例にかかる角形電池は外
装缶の膨れが少なく、内部抵抗が増加せず電圧が高く容
量も大きい優れた特性を示した。
【0026】さらに、比較のため充放電100サイクル
後に角形電池の膨れ量を測定したところ、本発明の角形
電池は下記の優れた特性を示した。 (1) 実施例1の外装缶の角形電池の膨れ 0.32mm (2) 実施例2の外装缶の角形電池の膨れ 0.22mm (3) 図1の外装缶の従来の角形電池の膨れ 0.49mm
【0027】
【発明の効果】本発明の密閉形の角形電池は、コーナ部
の肉厚を直線部分よりも厚くして外装缶を補強するの
で、角形外装缶に非真円形渦巻電極体を収納して出来る
無駄なスペースを有効に利用して外装缶を補強すること
ができる。このため、外装缶の外形を大きくすることな
く、角形外装缶を効果的に補強することができる。さら
に、角形外装缶に非真円形状渦巻電極体を収納すること
によって生じる空間スペースを外装缶強度に有効に利用
しているので、角形電池自身の持つ電池容量を減少させ
ることがない。したがって、本発明の密閉形の角形電池
は、外形を同じに設計して角形外装缶を強靱にでき、角
形外装缶の膨れに起因する電池特性の低下を防止するこ
とができる。このため、外装缶の肉厚を薄く設計し、あ
るいは、角形外装缶の材質を鉄やステンレスからアルミ
ニウムに変更して、充分な強度とするのに好都合であ
る。
【0028】このように、本発明にかかる密閉形の角形
電池は、電池容量を少なくすることなく、外装缶のたわ
み強度を充分にできる。さらに、角形外装缶のたわみ強
度を増強できるので、非真円形渦巻電極体の極板間の緊
迫度を安定させることができ、電池特性としての大容
量、高エネルギー密度、ハイレート放電特性を向上でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の角形電池の構造を示す一部断面平面図
【図2】本発明にかかる角形電池の構造を示す断面図
【図3】角形電池の外装缶の内圧に対する膨れを示す
グラフ
【図4】本発明にかかる角形電池の外装缶の外形を示す
一部断面正面図
【図5】本発明の一実施例にかかる角形電池と従来の角
形電池の充放電サイクル100サイクル後に3Cでハイ
レート放電したとき、及び本発明の角形電池の初期の電
圧特性カーブを示すグラフ
【符号の説明】 1…角形外装缶 2…渦巻電極体 3…空隙 4…絶縁蓋 5…負極
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図3
【補正方法】変更
【補正内容】
【図3】
フロントページの続き (72)発明者 山内 康弘 大阪府守口市京阪本通2丁目5番5号 三 洋電機株式会社内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 角形外装缶に非真円形渦巻電極体を収納
    してなる角形電池において、前記外装缶の各コーナにお
    ける厚みが、外装缶の直線部分の厚みより大である密閉
    形の角形電池。
  2. 【請求項2】 角形外装缶のコーナ部内面の曲率半径を
    R、角形外装缶のコーナ部外面の曲率半径をr、角形外
    装缶の直線部分の厚みをdとするとき、Rとrとdとが
    下記の式を満足することを特徴とする請求項1記載の密
    閉形の角形電池。 R>r−d
  3. 【請求項3】 前記外装缶部材がアルミニウム又はアル
    ミニウム合金である請求項1記載の密閉形の角形電池。
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