JPH073258B2 - ブッシュ組立体 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は滑りブッシュとも呼称されるブッシュ組立体に
関するものである。

（従来の技術） このブッシュ組立体は、例えばダブルウイッシュボーン
型サスペンションにおいてアッパアームを車体に揺動可
能に取付けるのに用い、通常内筒部材及び外筒部材を同
心に嵌め合せて具え、これら内外筒部材間に剛性スリー
ブを介挿し、該剛性スリーブを弾性部材を介して外筒部
材内に固着すると共に、摺動部材を介して内筒部材上に
摺動自在に嵌合して構成する。

そして実用に当っては、ブッシュ組立体により連結すべ
き部品の一方の内部に外筒部材の外周を嵌着し、他方の
部品を内筒部材に挿通したピンによりこの内筒部材に取
付ける。

ところでこの実用中泥水等をかぶると、これが上記一方
の部品と外筒部材との金属対金属嵌合部を経て摺動部材
に浸入することがあり、この場合摺動部材の腐食により
性能に悪影響が出たり、耐久性の低下を招く。

従って例えば、米国特許第3526413号明細書に記載の如
く、外筒部材をなくし、弾性部材の外周を直接前記一方
の部品に嵌合することが行われてきた。

（発明が解決しようとする問題点） しかしこの技術では、弾性部材の外周と一方の部品とが
金属対金属嵌合でなくなることから、この嵌合作業が困
難を極め、嵌合できたとしても弾性部材の弾性で嵌合が
完全にはなされ得ず、ブッシュ組立体の組立が不可能な
場合を生ずる。

（問題点を解決するための手段） 本発明は上述の問題に鑑み外筒部材を廃止することなく
泥水の浸入を防止しようとするもので、内筒部材及び外
筒部材を同心に嵌め合せて具え、これら内外筒部材間に
剛性スリーブを介挿し、該剛性スリーブを弾性部材を介
して外筒部材内に固着すると共に、摺動部材を介して内
筒部材上に摺動自在に嵌合し、連結すべき一方の部品内
に外筒部材の外周を嵌着して用いるよにしたブッシュ組
立体において、前記外筒部材の外周を経て前記摺動自在
に至る泥水浸入経路の途中に配して前記弾性部材の外周
に、外筒部材の外周より大径の円環突条を設け、この円
環突条を前記部品により径方向内方に圧縮して該部品に
圧接させた構成に特徴づけられる。

（作用） 内外筒部材に取付けた相互に連結すべき部品間に作用す
る外力に対しては、外筒部材及び剛性スリーブ間の弾性
部材が弾性変形して所定の緩衝機能を果たす。又、内外
筒部材の相対回転時は、剛性スリーブが摺動部材を介し
内筒部材上で摺動回転することにより、上記の相対回転
を可能ならしめる。

そして、弾性部材の外周に設けた円環突条は常態で外筒
部材の外径より大きくてブッシュ組立時、外筒部材の外
周に嵌着した一方の部品により径方向内方に圧縮されて
これに圧接されるため、これら外筒部材外周及び一方の
部品間の嵌合部を経て浸入してきた泥水が摺動部材に至
るのを防止する。従って摺動部材の腐蝕を防止でき、ブ
ッシュ組立体の性能低下や耐久性の低下を回避し得る。

しかも、外筒部材を廃止することなくこの作用効果を達
し得るため、上記一方の部品を相変らず外筒部材の外周
に嵌合する構成を残し得て、ブッシュ組立体の組立作業
が犠牲になることもない。

（実施例） 以下、本発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。

第１図は本発明ブッシュ組立体の一実施例で、第２図は
その使用状態を示す。

第１図において１は内筒部材、２は外筒部材で、これら
を同心に嵌め合せると共に両者間に剛性スリーブ３を介
挿する。この剛性スリーブ３はその外周を弾性部材４を
介して外筒部材２の内周に加硫接着し、内周を摺動部材
５を介して内筒部材１上に摺動自在に嵌合する。

内筒部材１にはブッシュ組立体の使用時外側となる端部
近くに径方向外方へ張出すフランジ1aを一体に設け、こ
のフランジより外側における内筒部材１の端部外周面1b
を鏡面に仕上げる。外筒部材２の対応端部にもフランジ
2aを設定し、剛性スリーブ３の対応端部をフランジ1a,2
a間に平行に張出す肩部3a及び内筒部材１の端部外周面1
bに同心の拡径部3bとで構成する。又、弾性部材４はフ
ランジ2a,3a間にも延在させてこれらに加硫接着すると
共に、防錆上拡径部3aの外周まで延在させてこれに加硫
接着する。更に、摺動部材５にはフランジ1a,3a間に介
在させるフランジ5aを形成する。

内筒部材１の端部外周1bと剛性スリーブ３の拡径部3bと
の間に環状のシール部材６を介装する。シール部材６は
その外周部に補強リング７を埋設して補強し、この外周
部を拡径部3bの内周に嵌着する。シール部材６の内周部
はシールリップとし、これを鏡面とした端部外周1bに摺
動自在に密接させる。

本発明においては、外筒部材２のフランジ2aから遠い弾
性部材４の端部外周に径方向外方へ張出す円環突条4aを
一体成形し、この円環突条をεで示すように外筒部材２
の外周より大径とする。

組立ては以下の手順によりこれを行う。つまり弾性部材
４を介して外筒部材２内に加硫接着した剛性スリーブ３
内に拡径部3bを経て摺動部材５を圧入し、フランジ5aを
肩部3aに衝接させて圧入位置を決める。その後摺動部材
５内にフランジ5aの側より内筒部材１を挿入し、フラン
ジ1aをフランジ5aに衝接させて挿入位置を決定する。こ
の状態で、剛性スリーブ３の拡径部3b内にシール部材６
の外周を嵌着し、シール部材６の内周シールリップを内
筒部材１の鏡面とした端部外周1bに接触させる。

実用に当っては、かようにして組立てたブッシュ組立体
を第２図に10,11で示す如く一対１組として向かい合
せ、両者の外筒部材２を一方の連結部品に設定した目孔
12の両端内に夫々挿入して、両外筒部材１をフランジ1a
から遠い端面において同軸に突合せる。この際弾性部材
４の円環突条4aは外筒部材２の外周より大径であるた
め、目孔12の内周面により径方向内方へ圧縮され、この
内周面に圧接される。そして、ブッシュ組立体10,11の
内筒部材１内に、他方の連結部品に設けたピン（図示せ
ず）を貫通し、このピンを抜け止めして両内筒部材１の
突合せ状態を保つと共に、他方の連結部品を両内筒部材
に固着する。

実用中、両連結部品から内外筒部材1,2間に作用する外
力に対しては、外筒部材２及び剛性スリーブ３間の弾性
部材４が弾性変形して所定の緩衝機能を果たす。又、内
外筒部材1,2間の相対回転時は、剛性スリーブ３が摺動
部材５を介して内筒部材１上で摺動回転することによ
り、上記の相対回転を可能ならしめる。

ここで、泥水等がかかると、シール部材６はこの泥水等
が剛性スリーブ３及び内筒部材１間に浸入して摺動部材
５に至るのを防止し、その腐食によりブッシュ組立体の
性能が低下したり、使用寿命が低下するのを防止するこ
とができる。なお、そのためのシール部材６が内筒部材
１の端部外周面1bに摺接してシール機能を果たすため、
シール面積を確保し易くてシールの信頼性を向上させ得
る他、シール径が小さく、摩擦抵抗及び摩耗を減ずる効
果も得られる。

又、両外筒部材２と目孔12との間の金属対金属嵌合部よ
り浸入した泥水等は、目孔12の内周面に圧接された円環
突条4aによりそれ以上浸入するのを阻止され、摺動部材
５に至ることがない。従って、この点でも摺動部材５の
腐蝕を防止でき、ブッシュ組立体の性能が低下したり、
使用寿命が低下するのを回避し得る。

（発明の効果） かくして本発明ブッシュ組立体は上述の如く、外筒部材
２の外周を経て摺動部材５に至る泥水浸入経路の途中に
配して弾性部材４の外周に、外筒部材２の外周より大径
の円環突条4aを設け、これを外筒部材の外周に嵌合すべ
き連結部品12により経方向内方へ圧縮して当該連結部品
に圧接させた構成になるから、外筒部材２を廃止するこ
となく円環突条により泥水等の浸入を防止することがで
き、連結部品12を相変らず外筒部材２の外周に嵌合する
構成を残し得て、ブッシュ組立体の組立作業性が犠牲に
なるのを防止することができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明ブッシュ組立体の一実施例を示す縦断側
面図、 第２図は同じくその使用状態を示す半部縦断側面図であ
る。 １……内筒部材、２……外筒部材 ３……剛性スリーブ、４……弾性部材 4a……円環突条、５……摺動部材 ６……シール部材、７……補強リング

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】内筒部材及び外筒部材を同心に嵌め合せて
   具え、これら内外筒部材間に剛性スリーブを介挿し、該
   剛性スリーブを弾性部材を介して外筒部材内に固着する
   と共に、摺動部材を介して内筒部材上に摺動自在に嵌合
   し、連結すべき一方の部品内に外筒部材の外周を嵌着し
   て用いるようにしたブッシュ組立体において、 前記外筒部材の外周を経て前記摺動自在に至る泥水浸入
   経路の途中に配して前記弾性部材の外周に、外筒部材の
   外周より大径の円環突条を設け、この円環突条を前記部
   品により径方向内方に圧縮して該部品に圧接させたこと
   を特徴とするブッシュ組立体。