JPH0732537Y2 - カウンタウエート案内装置 - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本考案は、エレベータのカウンタウエート案内装置に関
する。

〈従来の技術〉 第３図は従来のカウンタウエート案内装置を説明する全
体側面図、第４図は第３図のガイドレールの断面形状を
示す拡大横断面図である。

第３図の昇降路１の上端には機械室２の床３が設けら
れ、この床３に一対の吊り具４が固設される。この一対
の吊り具４により上端が保持される一対のガイドレール
５は、図示を省略したが、下部が昇降路１の最下部に保
持され、これにより昇降路１内に懸垂状態で仮設されて
いる。そして、ガイドレール５に案内体、例えばガイド
シユ６が係合し、このガイドシユ６がカウンタウエート
７の両端部上下端にそれぞれ装着されており、これらの
ガイドシユ６を介してカウンタウエート７が案内される
ようになつている。なお、ガイドレール５は、第４図に
示すように、第３図のガイドシユ６にそれぞれ係合する
側面8a、8bと端面8cを備える頭部８、この頭部８の側面
8a、8bにそれぞれ隣接する傾斜面9a、9bを有する段差部
９、この段差部９に隣り合い頭部８を支える首部10、こ
の首部10に隣り合い昇降路１内に固設される基底部11に
より形成されており、昇降路１内に仮設される一対のガ
イドレール５は、頭部８の端面8cが互いに対向するよう
に配置される。

このようなカウンタウエート案内装置にあつて、昇降路
１内に仮設されたガイドレール５の固定作業を行うに
は、このガイドレール５によりガイドシユ６を介して案
内されるカウンタウエート７を、昇降路１の上部に図示
しない巻上装置により吊上げるとともに、昇降路１の下
部に図示しないかごを枠組込み、次に、これらのカウン
タウエート７とかご枠を図示しないワイヤロープにより
連結する。そして、かご枠に乗込んだ作業員が、かご枠
を巻上装置により昇降路１の下部から随時上昇させなが
ら、ガイドレール５を昇降路１に順次固定するようにな
つている。

このように構成したカウンタウエート案内装置では、仮
設されたガイドレール５が横揺れし易く、容易に水平方
向に変位するので、カウンタウエート７の昇降中にガイ
ドレール５が所定位置からの大きなずれを生じることが
ある。このため、ガイドレール５の固定作業に支障を生
じたり、ガイドシユ５との係合が外れて作業の安全性が
損なわれたりするという不具合があつた。

このような問題を解決する一手段として、例えば実開昭
55-96875号公報に示すものが提案されている。なお、こ
の提案されているカウンタウエート案内装置の図示は省
略するが、このカウンタウエート案内装置が係合するガ
イドレールについては前述した第４図を用いて説明す
る。

この提案されているものには、カウンタウエートに、仮
設された一対のガイドレール５に係合するガイドシユを
備えるとともに、このガイドシユの近傍に、外周面がガ
イドレール５の首部10の側面10a、10bにそれぞれ係合
し、これらの側面10a、10bに平行に、かつ水平方向に配
置される回転軸を有する案内ローラが設けられる。そし
て、このように構成したカウンタウエート案内装置で
は、ガイドシユがガイドレール５の頭部８に係合すると
ともに、このガイドシユの近傍に設けられる一対の案内
ローラがガイドレール５の首部10を挟みながら係合する
ことにより、ガイドレール５が把持される。このため、
ガイドレール５が、基底部11の長手方向に沿う矢印12の
方向に変位することや、ガイドシユの係合が外れること
を防止できる。

〈考案が解決しようとする課題〉 ところで、上記のような従来のカウンタウエート案内装
置にあつては、一対の案内ローラがガイドレール５の首
部10を挟みながら係合するとともに、前記案内ローラの
外周面が側面10a、10bに平行に、かつ水平方向に配置さ
れているので、ガイドレール５に水平方向の外力が加わ
り、例えば矢印13に示す方向に外力が働くと、案内ロー
ラ外周面の端部がガイドレール５の傾斜面9a、9bにつき
当たつて案内ローラなどが損傷したり、この状態で案内
ローラが回転して片減りなどの異常摩擦を生じるという
問題があつた。

本考案は、上記のような従来技術における実情に鑑みて
なされたもので、その目的は、昇降路内に懸垂状態で仮
設されたガイドレールに水平方向の外力が加わつても、
案内ローラなどの損傷や異常摩耗を生じることなく、確
実にガイドレールに係合することのできるカウンタウエ
ート案内装置を提供することにある。

〈課題を解決するための手段〉 この目的を達成するために、本考案は、昇降路内を仮昇
降するカウンタウエートに、前記昇降路内に懸垂状態で
仮設されたガイドレールの頭部に係合する案内体を備え
るとともに、ガイドレールの頭部に隣接して傾斜面を有
する段差部を設け、この段差部を挟んで前記案内体と一
体的に取付けられた一対の案内ローラを備えたカウンタ
ウエート案内装置において、前記一対の案内ローラが、
前記段差部の傾斜面に平行に、かつ水平方向に配置され
る回転軸と、この回転軸により支持され、外周面が前記
段差部の傾斜面に係合するローラとをそれぞれ具備する
構成にしてある。

〈作用〉 本考案は、上記のように構成したので、カウンタウエー
トの案内体近傍に設けられた一対の案内ローラは、昇降
路内に懸垂状態で仮設されたガイドレールの段差部を挟
むとともに、外周面が段差部の傾斜面のそれぞれに平行
に、かつ水平方向に配置されて、段差部の傾斜面に係合
して、ガイドレールを把持する。これにより、仮設され
たガイドレールに水平方向のローラ外周面に作用する力
は、外力のローラ外周面に直角な方向の分力となり、外
力より小さくなるため、案内ローラなどの損傷や異常摩
耗を生じることなく、確実にガイドレールに係合するこ
とができる。

〈実施例〉 以下、本考案のカウンタウエート案内装置を図に基づい
て説明する。

第１図は本考案のカウンタウエート案内装置の実施例を
説明する要部平面図、第２図は第１図のカウンタウエー
ト案内装置を備えたカウンタウエートとガイドレールを
示す全体側面図である。なお、第１図は第２図のＡ−Ａ
線に沿う拡大横断面図である。また、第１図および第２
図において、前述した第３図、第４図と同等のものは同
一の符号を付し、説明を省略する。

第２図のガイドレール５には、カウンタウエート案内装
置20が係合し、このカウンタウエート案内装置20がカウ
ンタウエート７の両側部上端にそれぞれ装着されてい
る。そして、このカウンタウエート案内装置20には、第
１図に示すように、ガイドレール５の頭部８の側面8a、
8bと端面8cに係合する案内体、例えばガイドシユ21と、
このガイドシユ21の上部に締結される基板22と、この基
板22にそれぞれ固設され、ガイドシユ21の上部に突出す
るフレーム23、24と、このフレーム23、24にそれぞれ設
けられ、ガイドレール５の段差部９を挟むように配置さ
れる一対の案内ローラ25、26などとが備えられている。
さらに、案内ローラ25は、ガイドレール５の段差部９の
傾斜面9aに平行に、かつ水平方向に設けられる回転軸30
と、この回転軸30の一端のねじ部31に螺合し、回転軸30
をフレーム23に固定するナツト32と、回転軸30の他端に
回転自在に備えられ、外周面33が段差部９の傾斜面9aに
係合するローラ34などとからなつている。同様に、他の
案内ローラ26は、段差部９の傾斜面9bに平行に、かつ水
平方向に設けられる回転軸35と、この回転軸35の一端の
ねじ部36に螺合し、回転軸35をフレーム24に固定するナ
ツト37と、回転軸35の他端に設けられ、外周面38が段差
部９の傾斜面9bに係合するローラ39などとからなつてい
る。

この実施例にあつては、ガイドシユ21の上部に設けられ
る一対の案内ローラ25、26が、昇降路１内に懸垂状態で
仮設されたガイドレール５の段差部９などを挟むととも
に、外周面33、38が段差部９の傾斜面9a、9bのそれぞれ
に平行に、かつ水平方向に配置されて、それぞれの傾斜
面9a、9bに係合して、ガイドレール５を把持する。

このように構成した実施例では、ガイドレール５に水平
方向の外力が加わっても、その外力は、ガイドレール５
の傾斜面9a、9bを介してローラ34、39の外周面33、38に
伝えられるので、ローラ34、39の外周面33、38に伝えら
れる力はガイドレール５に加えられる外力のローラ外周
面に直角な方向の分力となり、そのため外力よりも小さ
いものとなり、案内ローラ25、26などの損傷や異常摩耗
を生じることなく、確実にガイドレール５に係合するこ
とができる。

〈考案の効果〉 本考案は、以上のように構成したので、昇降路内に懸垂
状態で仮設されたガイドレールに水平方向の外力が加わ
つても、案内ローラなどの損傷や異常摩耗を生じること
なく、確実にガイドレールに係合することができる。し
たがつて、カウンタウエートを安定した状態で昇降させ
ることができ、ガイドレールの固定作業を安全に、かつ
効率良く実施できるという効果がある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のカウンタウエート案内装置の一実施例
を説明する要部平面図、第２図は第１図のカウンタウエ
ート案内装置を備えたカウンタウエートとガイドレール
を示す全体側面図、第３図は従来のカウンタウエート案
内装置を説明する全体側面図、第４図は第３図のガイド
レールの断面形状を示す拡大横断面図である。 １……昇降路、３……床、４……吊り具、５……ガイド
レール、７……カウンタウエート、８……頭部、8a、8b
……側面、8c……端面、９……段差部、9a、9b……傾斜
面、20……カウンタウエート案内装置、21……ガイドシ
ユ（案内体）、22……基板、23、24……フレーム、25、
26……案内ローラ、30、35……回転軸、33、38……外周
面、34、39……ローラ。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】エレベータの昇降路内を仮昇降するカウン
   タウエートに、前記昇降路内に懸垂状態で仮設されたガ
   イドレールの頭部に係合する案内体を備えるとともに、
   ガイドレールの頭部に隣接して傾斜面を有する段差部を
   設け、この段差部を挟んで前記案内体と一体的に取付け
   られた一対の案内ローラを備えたカウンタウエート案内
   装置において、前記一対の案内ローラが、前記段差部の
   傾斜面に平行に、かつ水平方向に配置される回転軸と、
   この回転軸により支持され、外周面が前記段差部の傾斜
   面に係合するローラとをそれぞれ具備することを特徴と
   するカウンタウエート案内装置。