JPH07324196A - 香料組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】嗜好性に優れた香りが長時間持続する香料組成
物を提供すること。 【構成】（−）ムスコンを含有する香料組成物。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、香調に選択性なく香り
の嗜好を高める効果に優れた、香水、コロン等の芳香
剤、香粧品に配合する香料組成物に関するものである。

【０００２】

【従来の技術および発明が解決しようとする課題】従来
より、香りの嗜好性を高める目的で、また芳香治療等の
香りの機能性を高める目的で、ヒトの体臭の研究より発
見されたアンドロステノール、３−メチル−２−ヘキセ
ン酸、７−オクテン酸等の芳香物質を香粧品および芳香
剤等の香料に用いることが検討されてきた（特開平２−
２９５９１６号公報、特開平３−２９４４００号公
報）。

【０００３】しかしながら、これらの芳香物質は単独ま
たは組み合わせて使用しても、物質独自の特有の芳香性
が障害となり、香りの嗜好性を高める効果及びその効果
の持続性の面において必ずしも満足できるものではなか
った。また、特有の芳香性を持つために、たとえば、シ
トラスフローラル調、グリーンフローラル調等の軽いタ
ッチを持つ香りには芳香性が合わせづらい等、香調に好
ましくない選択性があり、創作しうる香りのバリエーシ
ョンが制約されるという不満な点があった。

【０００４】本発明者らは、このような事情に鑑み鋭意
検討を重ねた結果、（−）−ムスコン、アンドロステノ
ール、３−メチル−２−ヘキセン酸等の芳香物質を特定
の組み合わせ、または割合で特定の割合で含有してなる
香水、コロン、化粧品等の香粧品、芳香剤等の香料組成
物が香調に選択性なく、香りの嗜好を高める効果に優
れ、しかもその効果の持続性に優れることを見出し、本
発明を完成した。

【０００５】即ち、本発明の目的は、香調に選択性なく
嗜好性に優れた香りが長時間持続する、（−）−ムスコ
ン、アンドロステノール、３−メチル−２−ヘキセン酸
等の芳香物質を特定の組み合わせ、または特定の割合で
含有してなる香粧品、芳香剤を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の本発明の請求項１は、（−）−ムスコンを含有するこ
とを特徴とする香料組成物である。本発明の請求項２
は、アンドロステノールと３−メチル−２−ヘキセン酸
の中から選択される１種と（−）−ムスコンを含有する
ことを特徴とする香料組成物である。本発明の請求項３
は、（−）−ムスコン、アンドロステノールおよび３−
メチル−２−ヘキセン酸を含有することを特徴とする香
料組成物である。本発明の請求項４は、（−）−ムスコ
ン１００重量％に対し、アンドロステノール０．２〜１
０重量％、３−メチル−２−ヘキセン酸０．００２〜
０．１重量％の割合で配合した調合香料を含有すること
を特徴とする香料組成物である。本発明の請求項５は、
（−）−ムスコン１００重量％に対し、アンドロステノ
ール０．２〜１０重量％、３−メチル−２−ヘキセン酸
０．００２〜０．１重量％の割合で配合した調合香料を
０．００００１〜１重量％含有することを特徴とする香
料組成物である。

【０００７】本発明の香料組成物に用いられる（−）−
ムスコンは、３−メチル−シクロペンタデカン−１−オ
ンで表されるムスコンの２つの光学異性体のうちの左旋
性異性体、すなわち（−）−３−メチル−シクロペンタ
デカン−１−オンである。これは、麝香様の香りを持つ
無色の粘性液体であり、天然麝香からの抽出または化学
合成によって得ることができる（「合成香料の最新技
術」、株式会社シーエムシー、昭和５７年発行、第７２
〜第９０頁）。この物質の持つ芳香および保留効果を利
用して、（−）−ムスコンをアンドロステノールや３−
メチル−２−ヘキセン酸と組み合わせるとき，アンドロ
ステノールや３−メチル−２−ヘキセン酸が持つ特有な
香りを柔らかな芳香にアレンジすることができ、軽い香
りのタッチを持つ香りから重厚な香りにいたるまで芳香
性が合わせ易いために創作しうる香調に選択性がなく、
バリエーションが制約されない。現実的にはラセミ体の
ムスコンを配合することも可能である。この場合、多少
ならずも香調に選択性が生じて、バリエーションがある
程度制約される。このように、本発明において、ムスコ
ンを香料組成物に配合するとき、ラセミ体ではなく、
（−）−ムスコンを単体で使用するのが最も好ましい
が、上述のような問題があるにもせよラセミ体の使用を
含む場合もある。

【０００８】本発明の香料組成物に用いられるアンドロ
ステノールとは、特開平２−２９５９１６号公報に記載
されるようにヒトの体臭成分であり、人皮膚分泌物から
の抽出や化学合成によって得ることのできる汗様および
木様の香りを持つ無色〜淡黄色の固体の物質である。

【０００９】本発明の香料組成物に用いられる３−メチ
ル−２−ヘキセン酸とは、ヒトの体臭成分であり、特開
平３−２９４４００号公報に記載されるように、人皮膚
分泌物からの抽出や化学合成によて得ることのできる汗
様の香りを持つ無色の液体の芳香物質であり、２つの立
体異性体うち（Ｅ）体か（Ｚ）体単独、または（Ｅ）体
と（Ｚ）体の混合物でも使用することができる。

【００１０】本発明の香料組成物における（−）−ムス
コンの配合量は、香料組成物全量に対して０．００００
１〜１００重量％である。アンドロステノールと３−メ
チル−２−ヘキセン酸の中から選択される１種と（−）
−ムスコンを含有することを特徴とする本発明の香料組
成物における、（−）−ムスコン、アンドロステノー
ル、３−メチル−２−ヘキセン酸の配合割合は、例えば
（−）−ムスコン１００重量％に対し、アンドロステノ
ール０．２〜１０重量％、３−メチル−２−ヘキセン酸
０．００２〜０．１重量％の割合であり、好ましくは
（−）−ムスコン１００重量％に対し、アンドロステノ
ール０．５〜２重量％、３−メチル−２−ヘキセン酸
０．００５〜０．０２重量％の割合の配合である。

【００１１】（−）ムスコン１００重量％に対し、アン
ドロステノールの配合量が０．２重量％未満または３−
メチル−２−ヘキセン酸の配合量が０．００２重量％未
満の場合、（−）−ムスコンに対するアンドロステノー
ルおよび３−メチル−２−ヘキセン酸が低濃度になりす
ぎて、香りの嗜好性を高める効果が弱くなり、またその
効果の持続性も期待できないことがある。また、アンド
ロステノールの配合量が１０重量％を超えたり、３−メ
チル−２−ヘキセン酸の配合量が０．１重量％を超えた
りすると、それ自身が持つ香りが強くなりすぎ、（−）
−ムスコン自身の芳香とのバランスが取りづらくなり、
結果的に嗜好を悪いものにしてしまうので好ましくない
ことがある。

【００１２】また、上記の配合で得られる（−）−ムス
コン、アンドロステノール、３−メチル−２−ヘキセン
酸を混合した調合香料を含有してなる香料組成物の調製
方法は、特に限定されることがなく一般的な方法で良
い。

【００１３】このようにして調製された調合香料は、ア
ンドロステノールや３−メチル−２−ヘキセン酸が持つ
特有な芳香を（−）−ムスコンの芳香および保留効果に
よって、柔らかな芳香にアレンジされ、軽い香りのタッ
チを持つ香りにも芳香性が合わせ易い為、創作しうる香
調に選択性がなく、バリエーションが制約されないの
で、シトラス、グリーン、シトラスフローラル、シング
ルーフローラル、グリーンフローラル等の軽いフレッシ
ュな香りから、フローラルブーケ、フローラルウッデ
ィ、ヘビーフローラル、シプレー、オリエンタル、フゼ
ア等の重い濃厚な香りの特徴を持った調合香料組成物ま
で自由に組み合わせ香りを組み立てることができる。

【００１４】（−）−ムスコンとアンドロステノールと
３−メチル−２−ヘキセン酸を混合した調合香料は、本
発明の香料組成物に対し０．００００１％〜１重量％、
好ましくは０．００５〜０．０５重量％含有する。香料
組成物に対し０．００００１重量％未満であると期待さ
れる香りの嗜好性を高める効果およびその持続力が弱く
なり、また、１重量％を超えると、それぞれ求められる
剤型の香料組成物の香りにおいて、麝香様の香りが強調
されすぎ、香調に選択が生じ、香りにバリエーションを
与えることができず、結果的に嗜好性を悪いものにして
しまうので好ましくない。

【００１５】その他、本発明の香料組成物には、必要に
応じてアルコール類、水、油分、界面活性剤、粉末、
塩、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、収れん剤、保湿剤等
を加えることができる。

【００１６】本発明の香料組成物としては、香水、オー
ドトワレ、オーデコロン、練香等の芳香製品、石鹸、ボ
ディシャンプー、ボディミルク等のボディ化粧料、シャ
ンプー、リンス、整髪料等の頭髪化粧料、ミルク、クリ
ーム、ローション、洗顔料等の化粧品、口紅、ファンデ
ーション等の仕上げ化粧料、室内芳香剤、室内芳香エア
ゾール、ピローシートなどの芳香剤等があげられる。

【００１７】

【実施例】以下、実施例及び比較例によって、本発明を
詳説するが、本発明は実施例の記載に限定されるもので
はない。

【００１８】実施例１〜９、比較例１〜３ 表１、表２の処方に示した成分を混合し、香料組成物を
調製し、それをエタノールで１０倍に希釈した液を７×
１５０ｍｍの匂い紙の先端に０．１ｇ取り、その香りに
ついて、香りの専門パネラー１０名によって、匂い紙へ
の賦香１分後、３０分後において、嗜好の高い順に５
点、４点、３点、２点、１点と得点してもらい、総合得
点によって香りの嗜好評価を行った。

【００１９】

【表１】

【００２０】

【表２】

【００２１】評価結果を表３に示した。

【００２２】

【表３】

【００２３】

【表４】

【００２４】表３、表４から分かるように、本発明の
（−）−ムスコンを含有する香料組成物、（−）−ムス
コンとアンドロステノールと３−メチル−２−ヘキセン
酸を特定の割合で混合した調合香料を含む香料組成物
は、いずれもそれを含有しないものに較べて香りの嗜好
が高く、しかも効果が持続した。なお、（−）−ムスコ
ンまたは（＋）−ムスコンを含有する香料組成物の嗜好
評価において、（−）−ムスコンを含有する香料組成物
の方が（＋）−ムスコンの場合よりも嗜好の優れたムス
ク調の香りが確認された。また、（−）−ムスコンまた
はムスコンのラセミ体を含有する香料組成物の嗜好評価
において、ラセミ体を含有する香料組成物が動物臭、尿
臭がするのに対し、（−）−ムスコンの場合は嗜好の優
れたムスク調の香りが確認された（表３、表４には示さ
れていない）。

【００２５】応用例１〜９、比較応用例１〜３ 表５、表６の処方に示した成分を混合し、オーデコロン
を調製し、香りの専門パネラー２０名によって７日間連
続使用後、嗜好の高い順に５点、４点、３点、２点、１
点と得点してもらい総合得点によって香りの嗜好評価を
行った。

【００２６】

【表５】

【００２７】

【表６】

【００２８】評価結果を表５、表６に示した。

【００２９】表５、表６から分かるように、本発明の
（−）−ムスコンとアンドロステノールと３−メチル−
２−ヘキセン酸を特定の割合で混合した調合香料を含む
香料組成物（オ−デコロン）は、それを含有しないもの
に較べて、香りの嗜好が高かった。

【００３０】応用例１０〜１８、比較応用例４〜６ 表７、表８の処方に示した成分を混合し、洗顔クリーム
（応用例４、比較応用例４）、スキンクリーム（応用例
５、比較応用例５）、室内芳香スプレー（応用例６、比
較応用例６）を調製し、それぞれ香りの専門パネラー５
０名によって７日間連続使用後、嗜好の高い順に５点、
４点、３点、２点、１点と得点してもらい、総合得点に
よって香りの嗜好評価を行った。。

【００３１】

【表７】

【００３２】

【表８】

【００３３】評価結果を表７、表８に示した

【００３４】表７、表８から分かるように、本発明の
（−）−ムスコンとアンドロステノールと３−メチル−
２−ヘキセン酸を特定の割合で混合した調合香料を含む
香料組成物（洗顔クリーム、スキンクリーム、室内芳香
スプレー）は、それを含有しないものに較べて香りの嗜
好が高かった。

【００３５】以上のように本発明は、香調に選択性なく
香りの嗜好を高める効果に優れ、しかもその効果の持続
性に優れる香料組成物を提供することが明らかである。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ 技術表示箇所 Ａ６１Ｋ 7/46 ３７５

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （−）−ムスコンを含有することを特徴
   とする香料組成物。
2. 【請求項２】 アンドロステノールと３−メチル−２−
   ヘキセン酸の中から選択される１種と（−）−ムスコン
   を含有することを特徴とする香料組成物。
3. 【請求項３】 （−）−ムスコン、アンドロステノール
   および３−メチル−２−ヘキセン酸を含有することを特
   徴とする香料組成物。
4. 【請求項４】 （−）−ムスコン１００重量％に対し、
   アンドロステノール０．２〜１０重量％、３−メチル−
   ２−ヘキセン酸０．００２〜０．１重量％の割合で配合
   した調合香料を含有することを特徴とする香料組成物。
5. 【請求項５】（−）−ムスコン１００重量％に対し、ア
   ンドロステノール０．２〜１０重量％、３−メチル−２
   −ヘキセン酸０．００２〜０．１重量％の割合で配合し
   た調合香料を０．００００１〜１重量％含有することを
   特徴とする香料組成物。