JPH07323581A - インクジェット記録装置 - Google Patents

インクジェット記録装置

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JPH07323581A
JPH07323581A JP11927194A JP11927194A JPH07323581A JP H07323581 A JPH07323581 A JP H07323581A JP 11927194 A JP11927194 A JP 11927194A JP 11927194 A JP11927194 A JP 11927194A JP H07323581 A JPH07323581 A JP H07323581A
Authority
JP
Japan
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ink
ejection
pulse
head
recording apparatus
Prior art date
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Pending
Application number
JP11927194A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Tajika
博司 田鹿
Shuichi Murakami
修一 村上
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 インクジェット記録装置で、ブラックインク
およびその他のカラーインクを吐出してカラー記録を行
う場合に、ブラックインクの吐出量をヘッド構造に依ら
ずに他のカラーのインクの吐出量より多くすることを可
能にする。 【構成】 インクを吐出するのに、吐出ヒータ101に
印加する分割パルスのうち先行するパルスのパルス幅を
変調して吐出量を制御する構成において、ブラックイン
クの64個の吐出口それぞれについて温度を推定し、こ
れに基づきそれらの吐出101に印加する先行パルスの
パルス幅を制御する。これにより、ブラックインクの吐
出量を他のカラーインクより多い状態で安定化すること
ができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクジェット記録装
置に関し、詳しくは色,濃度等、種類の異なるインクを
吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、インクジェット記録装置におい
て、カラー画像を形成する場合には、最低で3色、例え
ばC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、必
要に応じて4色、Bk(ブラック)、C(シアン)、M
(マゼンタ)、Y(イエロー)を用いる。このために、
これらの色の数だけインクジェットヘッドを具える必要
がある。しかしながら、近年のカラーインクジェット記
録装置は、その使用形態において小型化が必要であるこ
とがほとんどであり、例えばいわゆるノートブック型パ
ソコンに併用される場合には、もともと限られたスペー
スにさらに小型した装置を収納する必要がある。
【0003】このような小型化の要請を満たすことを一
つの目的とし、3色ないし4色のヘッドを一体化したイ
ンクジェットヘッドが提供されつつある。
【0004】一方、カラーインクジェット記録装置にお
いて特に黒文字あるいはこれを含む画像を記録する場
合、その黒文字の品位が問題となることがある。すなわ
ち、黒文字の濃度が薄く記録されることがあり、この問
題を解消するために、カラー(C/M/Y)インクと黒
(Bk)インクの吐出量を異ならせる構成を採用し、黒
インクの吐出量を多くしたり、黒インクだけを2回吐出
して黒文字品位を向上させることを行っている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記に
示す従来のインク吐出量を異ならせる構成は、専らヘッ
ド構造、例えば吐出口,インク路の形状やヒーターのサ
イズ等を異ならせることによって可能となるものであ
り、このため製造コストの上昇によりヘッドのコストア
ップを招くことがある。さらには、多色一体型のヘッド
を形成する場合には一体成型であることによる製造上の
制約があるため、上記形状等を異ならせる範囲について
制約を受ける等、最適なヘッド設計が困難な場合があ
る。
【0006】ヘッド構造により吐出量を異ならせる構成
に係る上記のような問題を解決するには、吐出口等の構
造が異なる各吐出口群において最適な駆動を行えるとと
もに、同一のヘッド構造を用いた場合にも吐出量,吐出
速度等の吐出特性を異ならせる技術が必要とされる。
【0007】これらの場合、特に、色毎に分割された吐
出口群毎の吐出速度が異なると着弾位置ズレが発生して
画質を乱すことになり、これはマルチパス記録時に顕著
となる。
【0008】ところで、上記とは異なる観点から吐出量
制御を行う構成が知られている。すなわち、カラー画像
を形成する装置においては、形成されるインクドットの
再現性、濃度の安定性、階調の再現性、色再現性など様
々な安定性が望まれており、このような要請に対して環
境温度や、記録による自己昇温によって変動するインク
吐出量の変動を一定範囲内に保つために、複数パルスを
用いて吐出量制御を行うものが、例えば特開平5−31
905号において知られている。
【0009】本発明は、上記課題を解決するためになさ
れたものであり、その目的とするところは、同一構造の
ヘッドを用いた場合でも吐出量変化を容易にする構成で
あって、特に多色一体ヘッドにおける色毎の吐出量制御
を簡易に実施可能なインクジェット記録装置を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】そのために本発明では、
異なる種類のインクを吐出する吐出口を有したインクジ
ェットヘッドを用い、被記録媒体に記録を行うインクジ
ェット記録装置において、前記インクジェットヘッドに
おけるエネルギー発生素子の駆動条件を異ならせること
によって、前記異なる種類のうち特定の種類のインクの
吐出量をその他のインクの吐出量と異ならせるヘッド駆
動手段を具えたことを特徴とする。
【0011】
【作用】以上の構成によれば、各インク色毎に吐出のた
めの駆動条件を変化させることができ、その条件の違い
によって吐出量を変えることができる。特に、特定の種
類、例えばブラックインクの吐出量を他より多くするこ
とが可能となる。
【0012】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細
に説明する。
【0013】{実施例1}図1は本発明の一実施例に係
るインクジェットヘッド(以下、単にヘッドともいう)
の基板を示す平面面である。
【0014】本実施例のヘッドは、Bk,C,M,Yの
4色のインクを吐出するヘッドを一体に形成したもので
あり、各色の吐出口数は、Bk:64,C:24,M:
24,Y:24である。このヘッド構造に対応し、図1
に示す基板100には、Y,M,C,Bkそれぞれにつ
いて電気熱変換素子(吐出ヒーター)101がそれぞれ
24個,24個,24個,64個形成される。また、こ
れら吐出ヒーターのそれぞれには、これに電力を供給す
るための電極配線103が接続するように形成される。
また、基板100には温度センサー102がAlによっ
て形成され、その位置は、基板100の略中央部であっ
て、BkとCの吐出口部間に配置される。この温度セン
サー102はヘッドの平均温度(ベース温度:TH)を
モニターするために用いられ、このベース温度に基づく
各色の吐出口近傍の温度検出は、各色の吐出口毎のドッ
トカウントから求められる総吐出数に基づいて独立に制
御される。従って、上記1つのセンサー102で複数色
を同時に制御することができる。以上説明した基板10
0には、吐出口,インク路,共通液室等を構成するため
の溝が形成された天板が接合されることによりインクジ
ェットヘッドの主要部が構成される。このヘッドにおい
て、ブラックインクの吐出口等の構造とその他のカラー
インクの吐出口等の構造とは異なっている。しかし、前
述したように、この構造の差異のみでは充分な吐出量の
制御を行うことができないため、後述される吐出量制御
を行う。
【0015】図2は上記基板100を用いて構成するイ
ンクジェットヘッド,インクタンクおよびこれを搭載す
るキャリッジを示す分解斜視図である。
【0016】上記基板100(図2においては不図示)
はヘッドの構造体をなすベースプレート113に接続さ
れる。また、吐出口,インク路等を構成するための溝が
形成された天板(不図示)基板100に接合されること
により、ヘッド1の主要部が形成され、そのヘッド全面
にはブラック64個,イエロー,シアン,マゼンタそれ
ぞれ24個の吐出口からなる吐出口列111が形成され
る。このインクジェットヘッド1は、キャリッジ32に
着脱自在に装着されるものであり、また、各インクのイ
ンクタンク40aおよび40bもキャリッジに対して着
脱自在に装着される。これらインクタンクのうち、イン
クタンク40bにはブラックインクが貯留され、また、
イエロー,シアン,マゼンタの各インクはそれらの収納
室を一体に備えたインクタンク40aに貯留される。イ
ンクタンク40aおよび40bからインクジェットヘッ
ド1へのインク供給は、供給路102を介してなされ
る。
【0017】キャリッジ32にインクジェットヘッド1
およびインクタンク40aおよび40bを装着した状態
で、カバー130が装着される。
【0018】本実施例に用いる上記ヘッドは最大駆動周
波数fr=8.0(KHz)が可能であり記録時の駆動
は5.4(KHz)で行われる。また、解像度は、36
0dpiである。
【0019】ブラックインクの:64個の吐出口は8個
づつ8つのブロックに分散分割されて第1ブロック
(1,9,17,25,33,41,49,57セグメ
ント(セグメント番号は吐出口番号(位置)に対応)を
同時駆動)から第2,…第8ブロックの順まで駆動され
る。このときの各ブロック駆動間隔:TBLは8.5
(μsec)に設定してある。このブロック駆動間隔は
上記分散分割駆動をした場合に、各ブロックで駆動され
る1セグメント〜8セグメントの吐出によるドットが形
成する線の傾きが一見して確認できないように設定して
ある。すなわち、1セグメントから8セグメントまで駆
動するのに要する時間8×8.5(μsec)=68
(μsec)に対して速度:381(mm/sec)で
移動するヘッドから吐出を行う場合に、巨視的に見てド
ットの位置ずれが確認できないように設定している。ド
ットの位置ずれは、望ましくは、全体で解像度の半分:
約35(μm)以下に抑える必要がある。
【0020】カラーインクの場合、シアン、マゼンタ、
イエローそれぞれの24個の吐出口はそれぞれ3ブロッ
クに分散分割されて駆動される。各ブロック駆動間隔は
上記と同様である。
【0021】図3(A)は、上記で説明した多色一体ヘ
ッドを用いてカラー記録を行う場合を説明する説明図で
ある。
【0022】図3(A)に示すように、第1スキャンで
は、Bkの24個の吐出口のみを用い当該記録ヘッドを
走査して1パスの記録を行う。次に、記録紙を24吐出
口ピッチ分紙送りし、第2スキャンでは、Cの8吐出口
のみを用いて1パスを記録するとともに、Bkの24吐
出口を用いて2パスを記録する。
【0023】さらに、記録紙を24吐出口ピッチ分紙送
りし、第3スキャンでは、Cの16個の吐出口を用いて
1パスを記録するとともに、3パスをBkの24個の吐
出口、2パスをCの8個の吐出口を用いて記録する。
【0024】さらに記録紙を24吐出口ピッチ分紙送り
し、吐出口を用いて1パスを記録するとともに、第4ス
キャンでは、Mの24吐出口印字する。
【0025】4パスをBkの24吐出口、3パスをCの
8吐出口、2パスをCの16吐出口をそれぞれ用いて記
録する。
【0026】同様にして第5スキャンでは、Yの16吐
出口を用いて1パスを記録するとともに、5パスをBk
の24吐出口、4パスをCの8吐出口、3パスをCの1
6吐出口、2パスをMの24吐出口を用いて記録する。
【0027】さらに、第6スキャンでは、Yの8吐出口
を用いて1パスを記録するとともに、6パスをBkの2
4吐出口、5パスをCの8吐出口、4パスをCの16吐
出口、3パスをMの24吐出口印字する、2パスをYの
16吐出口を用いてそれぞれ記録する。
【0028】以上示した合計6スキャンで1パスのカラ
ー記録が行われる。図3(B)はBkの64個の吐出口
のみを用いたモノクロ記録を行う場合を示している。
【0029】図4(A)および(B)は、本発明を適用
可能な記録ヘッドの一構成例を示すそれぞれインク路に
沿った概略縦断面図および概略正面図である。
【0030】図4(A)および(B)において、101
は図5にて後述される分割パルスの印加によって熱を発
生する吐出ヒータ(電気熱変換体)であり、吐出ヒータ
101は、これに分割パルスを印加するための電極配線
等とともにヒータボード(基板)100上に配設され
る。このヒータボードは図1に示したものである。ヒー
タボード100はシリコンにより形成され、記録ヘッド
の基板をなすアルミ板113によって指示される。12
は、インク路等を構成するための溝が形成された天板で
あり、天板12とヒータボード100(アルミ板11
3)とが接合することによりインク路3やこれにインク
を供給する共通液室5が構成される。また。天板12に
は吐出口7が形成され、それぞれ吐出口7にはインク路
3が連通している。なお、以上の構造において、Bkヘ
ッドとその他の色のヘッドとは前述したように吐出口等
のサイズ,形状が異なるが、ここではその説明を省略す
る。
【0031】図5は上述したインクジェットヘッドの吐
出ヒータ1を駆動する分割パルスを説明するための図で
ある。
【0032】図5において、VOPは駆動電圧、P1 は複
数の分割されたヒートパルスの最初のパルス(以下、プ
レヒートパルスという)のパスル幅、P2 はインターバ
ルタイム、P3 は2番目のパルス(以下、メインヒート
パルスという)のパルス幅である。T1 ,T2 ,T3
は、P1 ,P2 ,P3 を定めるための時間を示してい
る。駆動電圧VOPは、この電圧を印加される電気熱変換
体(発熱素子)がヒータボードと天板によって構成され
るインク液路内のインクに熱エネルギーを発生させるた
めに必要な電気エネルギーを示すものの一つであり、そ
の値は電気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッ
ドの液路構造に依って決まる。分割パルス幅変調駆動法
は、P1 ,P2 ,P3 の幅で順次パルスを与えるもので
あり、プレヒートパルスは、主にインク路内のインク温
度を制御するためのパルスであり、本発明の吐出制御の
重要な役割を荷っている。このプレヒートパルス幅P1
はその印加によって電気熱変換体が発生する熱エネルギ
ーによってインク中に発泡現象が生じないような値に設
定される。
【0033】インターバルタイムは、プレヒートパルス
とメインヒートパルスが相互干渉しないように一定時間
の間隔を設けるため、およびインク路内インクの温度分
布を均一化するために設けられる。メインヒートパルス
はインク路内のインク中に発泡を生ぜしめ、吐出口より
インクを吐出させるためのものであり、その幅P3 は電
気熱変換体の面積,抵抗値,膜構造や記録ヘッドのイン
ク液路の構造によって定まるものである。
【0034】分割パルスのパルス幅変調駆動法は、P1
・P2 ・P3 の順にパルスを与えるものであり、P1
ついては上記で述べた、Al温度センサー102(図1
参照)からの出力値であるヘッドベース温度TH に基づ
いて記録開始前のパルス幅を決定し、記録を開始してか
らは、ドットカウンターが保持する既に吐出を行った回
数に係るデータであるヘッド昇温ΔTに基づいてそのパ
ルス幅を定めるPWM駆動方式である。
【0035】次に、プレヒートパルス:P1 (P2 でも
同様に制御可能)を用いた吐出量制御方法について簡単
に説明する。
【0036】図6はヘッド温度(TH )を一定としたと
きのプレヒートパルス:P1 と吐出量:VD との関係を
示すものである。
【0037】パルス幅P1 の増加に対してP1LMTまでは
直線的に増加しそれ以後はプレ発泡現象によりメインヒ
ートパルスP3 の発泡が乱されてP1MAXを過ぎると吐出
量が減少する傾向を示す。
【0038】図7はプレヒートパルス:P1 一定の条件
で、ヘッド温度:TH と同等と見なすことができる場合
がある環境温度TR と吐出量:VD との関係を示す線図
である。
【0039】図7に示すように、吐出量は環境温度TR
の増加に対して直線的に増加する傾向を示す。
【0040】図5および図6それぞれの直線性を示す領
域の係数を、これら図に示すように、吐出量のプレヒー
トパルス依存係数KP=ΔVDP /ΔP1(ng/μs・do
t)吐出量のヘッド温度依存係数:KTH =ΔVDT
ΔTH(ng/C・dot)とすると、図1,2に示すヘッド構
造のものでは KP (Bk)=8.25(ng/μsec・dot) KTH(Bk)=0.7(ng/μsec・dot) KP (C,M,Y)=4.12(ng/μsec・do
t) KTH(C,M,Y)=0.36(ng/μsec・do
t) となる。
【0041】これらプレヒートパルス依存係数およびヘ
ッド温度依存係数の関係を以下に説明するように有効に
利用することにより図8に示すように、ヘッド温度TH
に応じてプレパルスのパルス幅P1 をパルス幅変調すな
わち、ヘッド温度変化に応じてパルス幅ステップΔPで
プレパルス幅を11段階で変化させる制御(PWM制
御)を行うことにより環境温度や記録に伴う自己昇温に
よってヘッド温度が変化しても吐出量を一定に保つこと
ができる。このようにして各色のインク吐出量を常に目
標どおり一定に保つための吐出量制御方法が可能とな
る。
【0042】本実施例では、以上説明したような駆動方
法を用いて各色のヘッドを独立に駆動制御する。この場
合、各色ヘッドの駆動条件を、ブラックでは、ヘッド温
度TH =25.0(℃)の環境で,VOP=25.6
(V)、P1 =1.50(μsec)、P2 =3.5
(μsec)、P3 =3.00(μsec)のパルスと
すると最適な駆動条件となり安定したインク吐出状態が
得られる。この時の吐出特性は、インク吐出量VD =8
0.0(ng/dot)、吐出速度V=14.0(m/
sec)である。
【0043】その他のカラーの場合は、各色(C/M/
Y)ともにヘッド温度TH =25.0(℃)の環境で、
OP=25.6(V),P1 =1.00(μsec)、
2=2.0(μsec)、P3 =3.00(μse
c)のパルスとすると、最適な駆動条件となり安定した
インク吐出状態が得られ、この時の吐出特性は、インク
吐出量VD =40.0(ng/dot)、吐出速度V=
14.0(m/sec)である。
【0044】このように、少なくともブラックヘッドと
その他のヘッドの駆動条件を個別にすることにより、ブ
ラックインクの吐出量をその他のインクの2倍としても
吐出速度を同一とすることができるとともに、それぞれ
のヘッドで温度環境の変化にかかわらず常に一定の吐出
量を得ることができる。これはインターバルP2 を変化
させたときに吐出量は変化するが、吐出速度が変化しな
い現象を利用したことで達成できている。
【0045】次に、本実施例で行っている1つの温度セ
ンサー出力に基づいて各色ヘッドの温度を算出する処理
構成について説明する。
【0046】図9に示すインクジェットプリンターは、
不図示のホストコンピューターから送られる文字,画像
の印字信号を各色毎に1行印字分のドット数:約300
0画素×各色吐出口数分を独立にカウントするカウンタ
ーを備えている。また、ある単位時間当たりのドット数
をカウントする機能も同時に備えている。このカウンタ
ーの数をもとにそれぞれの色の吐出口の単位時間あたり
の昇温をあらかじめ計算,実験により決定しておいたテ
ーブル:TDOT (K,C,M,Y)(本実施例では各色
の昇温が他の色に影響を及ぼさないものとして計算を行
ったが、実験によるデータから本実施例程度の吐出口数
では他の色からの影響は無視できることがわかってい
る。;このテーブル作成においては、4色の昇温がお互
いに影響し複雑になることと、実験の結果から他の影響
が少ないことから独立としたが、計算上は他の影響を考
慮して作成しても良い)を参照しながら以下の図10に
示すシーケンスに従って各色を独立に吐出量制御する。
【0047】図1に示したように、ヘッドには温度セン
サー102が中央部に1つ設置されており、ステップS
1では、2つのセンサー102を用い、5msec毎に
温度:Tj を検知して
【0048】
【外1】
【0049】ヘッド温度:TH0として設定する。
【0050】次に、ステップS2では、この温度を各色
の吐出口温度:TN (K/C/M/Y)=TH0として初
期設定する。
【0051】ステップS3では、各色の記録信号のうち
オンとなるもの、すなわち吐出を行う回数(以下、ドッ
ト数という)を各色の吐出口についてそれぞれ50ms
ecの間カウントする(NKi,NCi,NMi,NY
i)。
【0052】ステップS4では、50msec間の各色
のドット数の総和である総ドット数(NK0,NC0,
NM0,NY0)に対する各吐出口のドット数の比率:
αji(印字デューティー)を以下のように求める。
【0053】
【数1】
【0054】ステップS5では、上記の比率:αjiから
予め実験・計算で求めておいた、比率:αjiと温度上
昇:ΔTj iとの関係から各色の吐出口温度に変換す
る。
【0055】
【数2】TKi=TB0+ΔTKi TCi=TB0+ΔTCi TMi=TB0+ΔTMi TYi=TB0+ΔTYi 最後に、ステップS6では、各色吐出口の上記温度に対
応した駆動パラメーターであるプレパルスの幅(P1
(Tji))をPWMテーブルに基づいて設定する。
【0056】以下、ステップS1に戻り、50msec
毎に上記シーケンスを繰り返して各色の記録信号に応じ
た駆動パラメーターを設定する。
【0057】図11は各色ヘッドの温度上昇:ΔTと比
率(デューティー):αjiとの関係を示す図である。
【0058】すなわち、同図は、環境温度がTR =25
℃一定の条件で、デューティーを変化させた場合の記録
時間と記録に伴う温度上昇(自己昇温):ΔTとの関係
を示す。この図において、本実施例のようにプレパルス
1 のパルス幅変調を行った場合を一点鎖線で示し、比
較のためプレパルスP1 を固定した場合を実線で示す。
【0059】本実施例によれば複雑なヘッド構造を用い
た記録方式においても個々色のヘッドの吐出量を独立し
て制御することができる。このため、様々なパターンを
記録した場合にも各行のデューティーに応じて各色の駆
動条件を独立で最適に変化させて吐出量を一定に保つこ
とができ、左右濃度差、ページ内濃度むら等の濃度変化
の発生がなく階調再現性・色再現性に優れた記録が可能
となる。
【0060】なお、本実施例では、吐出量制御のためプ
レパルスP1 のPWM制御を行ったが、インターバルP
2 をPWM制御しても同様の効果が得られ、またこれら
の組合せに対するPWM制御を行ってもよい。
【0061】本実施例の上述した制御方法を採用して、
環境条件として低温低湿環境(15℃,10%)から、
高温高湿環境(35℃,90%)までの環境影響試験を
以下のような条件で行った結果、同様に以下のような結
果を得た。
【0062】Bk駆動条件: P1 :PWM(TH =25℃の時にP1 =1.50(μ
sec)) P2 :2.00(μsec) P3 :3.00(μsec)(但し、ヘッドの個体差で
変更する) の条件で 吐出量:VdBk=80.0±4.0(ng/dot)
(ページ間・内) 反射濃度変動:ODBk=1.35±0.05(ページ
間・内) C,M,Y駆動条件: P1 :PWM(TH =25℃の時にP1 =1.00(μ
sec)) P2 :2.00(μsec) P3 :3.00(μsec)(但し、ヘッドの個体差で
変更する) の条件で 吐出量:VdCMY=40.0±3.0(ng/do
t) 反射濃度変動:ODC=1.20±0.05(ページ間
・内) 反射濃度変動:ODM=1.20±0.05(ページ間
・内) 反射濃度変動:ODY=1.15±0.05(ページ間
・内) 環境変動にもかかわらず、以上のように極めて安定した
濃度再現性が得られることがわかる。
【0063】{実施例2}図12は本発明の他の実施例
に係るインクジェット記録装置の斜視図である。この第
2の実施例は、高速フルカラープリンターに本発明を適
用したものであり、本装置を用いて特殊紙上に4色(B
k,C,M,Y)の各色濃淡3値(3階調)のフルカラ
ー記録を行う構成について詳しく説明する。
【0064】色の印字順序は、Bk1(N)・2
(T),C1(N)・2(T),M1(N)・2
(T),Y1(N)・2(T)、の順である(1は濃イ
ンク:N、2は淡インク:Tを表す)。階調を表すため
に1画素当たりの各色インク滴数を0から2の範囲(1
画素・1色当たりのインク打ち込み量:30(ng/d
ot)の範囲:但し、最大インク打ち込み量は1画素当
たり90(ng/dot);約3.0色相当に抑えるよ
うに画像処理(濃淡振り分けテーブル等)で対処するよ
うにしている。)で変化させて記録を行う。
【0065】図13は本実施例の記録方法を説明するた
めの概念図を示す。
【0066】1は記録ヘッドを模式的に表したものであ
り、512個の吐出口が図の上下方向に並んでおり、1
から256までが濃インク用(1−1)、257から5
12までが淡インク用(1−2)となっている。適宜上
吐出口番号を図の下から上へ向かって1,2,…25
6,257(1′),258(2′),…512(25
6′)とする。ここでは、簡単のため、1色についての
説明を行うものとする。
【0067】まず、第1走査では、No.257
(1′)から512(256′)の吐出口のみを用いて
主走査方向にキャリッジを約508mm/secの速度
で移動させつつ記録を行う。この結果、記録媒体上に濃
インクデータに応じ1から256の画素が濃インクの0
または1個のインク滴で記録されることになる。
【0068】次に、第2走査では記録媒体を256画素
分上(副走査方向:図中矢印方向)へ送り、No.1か
ら512の吐出口を用いて記録を行う。この結果、No
1から256の吐出口は前回No.257(1′)から
512(256′)の吐出口で記録した1から256番
の画素の部分を記録し、No.257から512の吐出
口は新たに257から512番の画素を記録することに
なる。これにより、1から256番の画素は1画素当た
り濃インクが0または1個、および、淡インクが0また
は1個の組み合わせで決まるインク滴数(濃,淡インク
の組み合わせで0から2滴)で記録されることになる。
【0069】次に、第3走査では記録媒体を256画素
分上方へ送り、再び、No.1から512の吐出口を用
いて記録を行う。この結果、No.1から256の吐出
口は前回No.257から512の吐出口で記録した2
57から512番の画素の部分を記録し、No.257
から512の吐出口は、新たに513から768番の画
素を記録することになる。これによって、257から5
12番の画素は1画素当たり濃インクが0または1個、
および、淡インクが0または1個の組み合わせで決まる
インク滴数(濃淡インクの組み合わせで0から2滴)で
記録されることになる。
【0070】第4走査以降も上記と同様に濃淡インクに
よる記録を繰り返えすことにより、各画素は、0から2
滴の濃淡インクで記録されたことになり、濃淡インクで
の3階調の記録が得られる。なお、記録開始時とは逆に
画像最下端では1走査毎に下方から256吐出口づつ順
次記録を止めてゆき画像端を形成する。
【0071】このようにして得られた画像の、例えば1
番目の画素に着目してみると、この画素は吐出口No
1、257(1′)の合計2個の吐出口からそれぞれ吐
出する0または1のインク滴を用いて、この内最大2滴
の組み合わせ(組み合わせ数は3種類)によって、淡イ
ンクによる粒状感の低減と濃インクによる最高濃度の達
成と各吐出口のインク滴容量のばらつきが平均化され、
スジやむらの目立たない高階調でコントラストの高い画
像が得られることになる。
【0072】上記では1色について説明したが、他の色
についても同様に記録すればよく、全色の記録によって
簡単な構成で高階調なフルカラー画像を形成することが
できる。
【0073】以上の記録方法を用いて種々の画像を記録
したところ、従来の濃インクのみによる画像に比べ、ヘ
ッド数を増すことなく簡単に濃淡インク3値記録を行え
るので、本体装置のコストアップやキャリッジの大きさ
を広げずに、またヘッドの信頼性を低下させることなく
階調数を増すことができ、また、スジ・むらの無い極め
て高精細,高コントラストな画像が得られる。
【0074】次に、本実施例での特徴であるヘッドの色
毎(濃淡インク)の独立駆動・制御方法の特徴について
詳しく説明する。
【0075】基本的には第1の実施例と同様な駆動方式
を採用しているが、ヘッド長さが比較的長く、分散ブロ
ック駆動方式を用いているために複数の温度センサーに
よるフィードバック方式では吐出量安定化制御が行えな
い場合がある。従って、吐出口列方向のヘッド温度分布
を極力なくす必要がある。
【0076】ヘッド駆動には、第1の実施例で示した分
割パルス幅変調駆動法を用いており、図5に示したよう
に、駆動電圧VOP、プレヒートパルス幅P1 、インター
バルタイムP2 、メインヒートパルス幅P2 からなるパ
ルスを用いる。プレパルス幅P1 による吐出量制御に関
しては第1の実施例と同様なのでここでの説明は省く。
【0077】本実施例では濃淡インクの駆動条件を変え
てそれぞれのインクで最適化した駆動を採用する。本実
施例では、濃淡ともに同じヘッド構造を有しているた
め、No.1から256とNo.257から512の吐
出口で分割された濃淡制御信号が独立に送られ、それぞ
れ独立に駆動制御される本実施例では、色毎の駆動条件
は変えていない。
【0078】本実施例では、濃,淡インクで駆動条件を
変えているのは、淡インクでの粒状感を低減するために
吐出量を濃淡で変える(濃インク吐出量:VdN>淡イン
ク吐出量:VdT)ためである。
【0079】本実施例によれば、1つのヘッドで画像の
要求に応じて駆動条件を設定することにより、ある範囲
で任意に吐出量設定を行うことができる。
【0080】ヘッド温度TH =35.0(℃)の環境で l.濃インク駆動条件として VOP=20.0(V)の時にP1 =2.0(μse
c)、P2 =6.0(μsec)、P3 =4.0(μs
ec)のパルスを与えると最適な駆動条件となり安定し
たインク吐出状態が得られる。この時の吐出特性は、イ
ンク吐出量VD =35.0(ng/dot)、吐出速度
V=12.0±0.2(m/sec)である。
【0081】2.淡インク駆動条件として VOP=20.0(V)の時にP1 =1.75(μse
c)、P2 =4.0(μsec)、P3 =4.0(μs
ec)のパルスを与えると最適な駆動条件となり安定し
たインク吐出状態が得られる。この時の吐出特性は、イ
ンク吐出量VD =25.0(ng/dot)、吐出速度
V=12.0±0.2(m/sec)である。
【0082】因に、一画素1色当たりの最大インク打ち
込み量は、2滴で最大約60(ng/dot)、ヘッド
の最大駆動周波数はfr=8.0KHzであり、400
dpiの解像度をもち、512個の吐出口をNo.1か
ら256とNo.257から512で分割し、濃淡それ
ぞれで4ブロック(1ブロック:64セグメント)毎に
分散分割して以下の順序で順次駆動している。
【0083】すなわち、濃インクは第1から第4で駆動
し、淡インクは第5から第8で駆動する。
【0084】 第1ブロックは1,5,9,…,249,253 第2ブロックは2,6,10,…,250,254 … 第4ブロックは4,8,12,…,252,256 第5ブロックは257,261,265,…,505,509 … 第8ブロックは260,264,268,…,508,512 のように割り振り、ブロックの駆動順序は、1B,2
B,3B,4B,5B,6B,7B,8Bの順に濃淡の
各ブロック(256毎)で分散駆動している。
【0085】次に、プレヒートパルス:P1 を用いたヘ
ッド内温度分布制御方法について詳細に述べる。
【0086】第1の実施例では、画像信号のない(信号
“0”である)吐出口に関しては全てのパルスを与えな
いように制御(P1 ・P3 =0(μsec))していた
が、本実施例では、画像信号のない吐出口に関しても吐
出しない程度のパルスを与え続け、 (1)画像信号がある場合は、通常のパルスを与える。
【0087】パルス条件:P1 (PWM)/P2 /P3 (2)画像信号の無い場合は、P1 (P3 =0:メイン
パルスを与えないで、発泡または吐出を起こさないよう
に制御する。)のみを与える。
【0088】(2)の状態では、画像信号の無いところ
ではP1 のみのシングルパルスのパルス幅変調(画像信
号のある吐出口と同じパルス幅:P1 (PWM)を加え
る)による単パルス加熱と同様の加熱制御領域であり画
像信号のある吐出口または吐出口群と画像信号の無い吐
出口または吐出口群との温度差をできるだけなくすよう
に制御したものである。また、P1 による加熱での発熱
量を極力低減するよう画像信号の発生している吐出口と
同様にヘッド温度に応じてP1 をPWM制御するように
工夫してある。
【0089】ここで、本実施例に用いたシーケンスにつ
いて説明する。
【0090】本実施例では、ヘッド側に位置した左右の
温度センサーを用いて本体側で吐出量制御を行ってい
る。
【0091】温度の検知は、4回の平均値を用いてい
る。
【0092】最初に、ヘッド温度TH は、基板上の左右
に配置されたセンサーから10(msec)毎に検知し
た温度THL,TH Rを読みとりこれらの平均値(TH
(THL+THR)/2)を算出する。
【0093】次に、過去3回の温度(THN−3・THN
2・THN-1)と新しく検知した温度THNを加えて平均し
た温度をヘッド温度TH =(THN-3+THN-2+THN-1
HN)/4として使用する。
【0094】さらに、この値TH と予め実験で測定した
吐出量との関係から比較判断し駆動パルス幅:P1 を定
める。
【0095】次に、各吐出口の画像信号の有り無しの判
定に応じて、画像信号の有る吐出口には通常の分割パル
ス:P1 ・P2 ・P3 を与え、画像信号の無い吐出口に
はプレヒートパルスP1 のみを与える(P1 のパルス幅
は温度に応じたテーブルで制御される)。
【0096】上記シーケンス中に1つのテーブルを変化
させるのに要する時間(フィードバックタイム)はTF
=20msecである。従って、1ライン(約400m
sec)の中では約20回のテーブル変更が各ブロック
毎で独立に可能となっているため、最高でΔT=20.
0degの昇温に対応しており濃度変化の発生を低減し
ている。
【0097】{実施例3}本発明の第3の実施例は第1
実施例で用いたヘッド構成を利用し、多色一体ヘッドで
4色マルチカラー記録(Bk,R,G,B)を行う構成
に関する。
【0098】ヘッドの構造は、Bk,R,G,Bともに
同一の構造であるが、各色のインクの染料濃度が異なっ
ており、これに応じて最適な駆動条件を設定する。この
濃度は、Bk:4.0%、R:3.0%、G:3.0
%、B:3.5%である。
【0099】本実施例のヘッドは、Bk,R,G,Bの
4色が一つのヘッドで記録可能なように構成したもので
これらのヘッドを1つ登載することで6回の走査でフル
カラー記録を行うことができる。
【0100】1つのヘッドにおける各色の吐出口数は、
Bk:64,R:24,G:24,B:24である。温
度センサーにはアルミセンサーを用いており、BkとR
の間に1つが配置される。この温度センサーはヘッドの
平均化された温度をモニターするために用い、各色の吐
出口近傍の温度は別にもうけた各色のドットカウンタか
ら計算で求めて独立に制御するものである。従って、1
つのセンサーで複数色を同時に制御可能となる。
【0101】本実施例の記録装置では、ヘッドの最大駆
動周波数はfr=8.0KHz(実際の駆動は5.4K
Hz)であり、360dpiの解像度を有する。
【0102】まず、ブラックの64個の吐出口を8ブロ
ックに分散分割して第1ブロック(1,9,17,2
5,…,57セグメントを同時駆動)から第2,…第8
ブロックの順で駆動する。各ブロックの駆動間隔:TB
Lは10(μsec)に設定してある。
【0103】カラーインクでは、レッド:24吐出口を
3ブロック、グリーン:24吐出口を3ブロック、ブル
ー:24吐出口を3ブロックを同様に駆動する。
【0104】本実施例のフルカラー画像の形成は以下の
ようにして行う。
【0105】第1スキャンでは、Bkの24吐出口のみ
を用いて記録する。次に、記録紙を24吐出口分搬送
し、第2スキャンでは、Rの8吐出口を用いて記録す
る。このとき、2行目のBkも24吐出口を用いて記録
する。
【0106】次に、記録紙を24吐出口分ずらし、第3
スキャンでは、Rの16吐出口を用いて記録するととも
に、3行目のBkを24吐出口、2行目のRを8吐出口
で記録する。さらに、記録紙を24吐出口分搬送し、第
4スキャンでは、Gの24吐出口を用いて記録するとと
もに、4行目のBkを24吐出口、3行目のRを8吐出
口、2行目のGを16吐出口で記録する。
【0107】さらに、記録紙を24吐出口分搬送し、第
5スキャンでは、Bの16吐出口を用いて記録するとと
もに、5行目のBkを24吐出口、4行目のRを8吐出
口、3行目のGを16吐出口、2行目のGを24吐出口
で記録する。
【0108】次に、記録紙を24吐出口分搬送し、第6
スキャンでは、Bの8吐出口を用いて記録するととも
に、6行目のBkを24吐出口、5行目のRを8吐出
口、4行目のRを16吐出口、3行目のGを24吐出
口、2行目のBを16吐出口で記録する。
【0109】以上のように記録され6スキャンで1行分
のフルカラー記録が完了する。この時、画像信号上で、
Bk/R/G/Bが1画素に重ならないように制御して
いる。
【0110】また、本実施例では、ヘッド駆動には分散
ブロック駆動,分割パルス(複数パルス)駆動法を用い
ており、第1実施例と同様の制御を行っている。
【0111】これらの吐出量制御方法については実施例
1と同様なのでその説明は省略する。
【0112】因にそれぞれの直線性を示す領域の係数
は、 吐出量のプレヒートパルス依存係数:KP=ΔVDP /ΔP1
(ng/μs・dot) 吐出量のヘッド温度依存係数:KTH =ΔVDT /ΔTH(ng
/C・dot) のように定まる。
【0113】本実施例のヘッド構造のものでは上記係数
は、 KPBk=8.25(ng/μsec・dot) KTHBk=0.7(ng/μsec・dot) KPCMY=4.12(ng/μsec・dot) KTHCMY=0.36(ng/μsec・dot) である。
【0114】また、上記のような駆動方法を用いて独立
に駆動したヘッドの吐出特性としては、 1.ブラックの場合は、ヘッド温度TH =25.0
(℃)の環境でVOP=25.6(V)の時にP1 =2.
0(μsec)、P2 =2.0(μsec)、P3
3.0(μsec)のパルスを与えると最適な駆動条件
となり、安定したインク吐出状態が得られる。この時の
吐出特性は、インク吐出量VD =80.0(ng/do
t)、吐出速度V=14.0(m/sec)である。
【0115】また、吐出特性としてカラーの場合におい
て、 2.レッドの場合は、ヘッド温度TH =25.0(℃)
の環境でVOP=25.6(V)の時にP1 =1.5(μ
sec)、P2 =1.5(μsec)、P3 =3.50
(μsec)のパルスを与えると最適な駆動条件とな
り、安定したインク吐出状態が得られる。この時の吐出
特性は、インク吐出量VD =60.0(ng/do
t)、吐出速度V=14.0(m/sec)である。
【0116】3.グリーンの場合は、ヘッド温度TH
25.0(℃)の環境でVOP=25.6(V)の時にP
1 =1.75(μsec)、P2 =2.0(μse
c)、P3 =3.50(μsec)のパルスを与えると
最適な駆動条件となり、安定したインク吐出状態が得ら
れる。この時の吐出速度は、インク吐出量VD =70.
0(ng/dot)、吐出速度V=14.0(m/se
c)である。
【0117】4.ブルーの場合は、ヘッド温度TH =2
5.0(℃)の環境でVOP=25.6(V)の時にP1
=2.0(μsec)、P2 =3.0(μsec)、P
3 =3.50(μsec)のパルスを与えると最適な駆
動条件となり、安定したインク吐出状態が得られる。こ
の時の吐出特性は、インク吐出量VD =80.0(ng
/dot)、吐出速度V=14.0(m/sec)であ
る。
【0118】上記において、ブラックとカラーでP3
値を変えたのは、ブラックを通常使用し、カラーの使用
頻度が低いためカラーの吐出を安定化させるため、およ
び使用頻度の差によるブラックのヒーターの寿命を考慮
するからである。
【0119】なお、上記各実施例では、パルス幅(シン
グルパルス、複数のパルスの中でも特に分割パルス駆動
法において)による駆動制御によりヘッド構造の違いを
補正したり、インクの物性の違いを補正し、吐出特性の
最適化を行うものとしたが、電圧などの他の駆動条件で
変化させても良いし、電圧とパルス幅の組み合わせで行
っても良い。
【0120】また、1つのヘッドから複数のインク種
(色、染料種、染料濃度など)同時に吐出可能とする分
割されたヘッドに限られず、1つのヘッドにおいて複数
吐出口を同様に分割する場合に適用しても良い。
【0121】(その他)なお、本発明は、特にインクジ
ェット記録方式の中でも、インク吐出を行わせるために
利用されるエネルギとして熱エネルギを発生する手段
(例えば電気熱変換体やレーザ光等)を備え、前記熱エ
ネルギによりインクの状態変化を生起させる方式の記録
ヘッド、記録装置において優れた効果をもたらすもので
ある。かかる方式によれば記録の高密度化,高精細化が
達成できるからである。
【0122】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書,同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド型,
コンティニュアス型のいずれにも適用可能であるが、特
に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)が保持
されているシートや液路に対応して配置されている電気
熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越える急
速な温度上昇を与える少なくとも1つの駆動信号を印加
することによって、電気熱変換体に熱エネルギを発生せ
しめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさせて、結
果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体(インク)
内の気泡を形成できるので有効である。この気泡の成
長,収縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐
出させて、少なくとも1つの滴を形成する。この駆動信
号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が
行われるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐
出が達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信
号としては、米国特許第4463359号明細書,同第
4345262号明細書に記載されているようなものが
適している。なお、上記熱作用面の温度上昇率に関する
発明の米国特許第4313124号明細書に記載されて
いる条件を採用すると、さらに優れた記録を行うことが
できる。
【0123】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口,液路,電気熱変換体
の組合せ構成(直線状液流路または直角液流路)の他に
熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示す
る米国特許第4558333号明細書,米国特許第44
59600号明細書を用いた構成も本発明に含まれるも
のである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共通
するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開示
する特開昭59−123670号公報や熱エネルギの圧
力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開示す
る特開昭59−138461号公報に基いた構成として
も本発明の効果は有効である。すなわち、記録ヘッドの
形態がどのようなものであっても、本発明によれば記録
を確実に効率よく行うことができるようになるからであ
る。
【0124】さらに、記録装置が記録できる記録媒体の
最大幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドに対しても本発明は有効に適用できる。そのよう
な記録ヘッドとしては、複数記録ヘッドの組合せによっ
てその長さを満たす構成や、一体的に形成された1個の
記録ヘッドとしての構成のいずれでもよい。
【0125】加えて、上例のようなシリアルタイプのも
のでも、装置本体に固定された記録ヘッド、あるいは装
置本体に装着されることで装置本体との電気的な接続や
装置本体からのインクの供給が可能になる交換自在のチ
ップタイプの記録ヘッド、あるいは記録ヘッド自体に一
体的にインクタンクが設けられたカートリッジタイプの
記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効である。
【0126】また、本発明の記録装置の構成として、記
録ヘッドの吐出回復手段、予備的な補助手段等を付加す
ることは本発明の効果を一層安定できるので、好ましい
ものである。これらを具体的に挙げれば、記録ヘッドに
対してのキャッピング手段、クリーニング手段、加圧或
は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の加熱素子或
はこれらの組み合わせを用いて加熱を行う予備加熱手
段、記録とは別の吐出を行なう予備吐出手段を挙げるこ
とができる。
【0127】また、搭載される記録ヘッドの種類ないし
個数についても、例えば単色のインクに対応して1個の
みが設けられたものの他、記録色や濃度を異にする複数
のインクに対応して複数個数設けられるものであっても
よい。すなわち、例えば記録装置の記録モードとしては
黒色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘ
ッドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによるか
いずれでもよいが、異なる色の複色カラー、または混色
によるフルカラーの各記録モードの少なくとも一つを備
えた装置にも本発明は極めて有効である。
【0128】さらに加えて、以上説明した本発明実施例
においては、インクを液体として説明しているが、室温
やそれ以下で固化するインクであって、室温で軟化もし
くは液化するものを用いてもよく、あるいはインクジェ
ット方式ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものを用いてもよ
い。加えて、熱エネルギによる昇温を、インクの固形状
態から液体状態への状態変化のエネルギとして使用せし
めることで積極的に防止するため、またはインクの蒸発
を防止するため、放置状態で固化し加熱によって液化す
るインクを用いてもよい。いずれにしても熱エネルギの
記録信号に応じた付与によってインクが液化し、液状イ
ンクが吐出されるものや、記録媒体に到達する時点では
すでに固化し始めるもの等のような、熱エネルギの付与
によって初めて液化する性質のインクを使用する場合も
本発明は適用可能である。このような場合のインクは、
特開昭54−56847号公報あるいは特開昭60−7
1260号公報に記載されるような、多孔質シート凹部
または貫通孔に液状又は固形物として保持された状態
で、電気熱変換体に対して対向するような形態としても
よい。本発明においては、上述した各インクに対して最
も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行するもので
ある。
【0129】さらに加えて、本発明インクジェット記録
装置の形態としては、コンピュータ等の情報処理機器の
画像出力端末として用いられるものの他、リーダ等と組
合せた複写装置、さらには送受信機能を有するファクシ
ミリ装置の形態を採るもの等であってもよい。
【0130】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、各インク色毎に吐出のための駆動条件を変化
させることができ、その条件の違いによって吐出量を変
えることができる。特に、特定の種類、例えばブラック
インクの吐出量を他より多くすることが可能となる。こ
の結果、簡易な構成により、例えば異文字品位等、画像
品位を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例に係るインクジェットヘ
ッドを構成する基板(ヒーターボード)を示す平面図で
ある。
【図2】上記第1の実施例に係るインクジェットヘッド
およびインクタンクのキャリッジへの装着を説明する分
解斜視図である。
【図3】上記第1の実施例の記録動作を説明するための
説明図である。
【図4】(A)および(B)は上記インクジェットヘッ
ドの構造を示す断面図および正面図である。
【図5】上記第1の実施例で用いるヘッド駆動パルス波
形を示す波形図である。
【図6】上記駆動パルスのプレパルス:P1と吐出量:
Vdとの関係を示す線図である。
【図7】上記実施例のヘッドの環境温度と吐出量との関
係を示す線図である。
【図8】上記実施例に適用した吐出量制御を説明するた
めの説明図である。
【図9】上記第1の実施例に係るたインクジェット記録
装置の概略斜視図である。
【図10】上記第1の実施例において、各色吐出口毎の
デューティーに基づいて温度を推定し、この温度に基づ
いてプレパルスP1を定める処理を示すフローチャート
である。
【図11】上記第1の実施例のヘッドにおける記録デュ
ーティーと温度上昇の関係を示す線図である。
【図12】本発明の第2の実施例に係るカラーインクジ
ェット記録装置を示す概略斜視図ある。
【図13】上記第2の実施例における記録動作を説明す
るための説明図である。
【符号の説明】
1 インクジェットヘッド 3 インク路 5 共通液室 7 吐出口 32 キャリッジ 40a,40b インクタンク 100 基板(ヒーターボード) 101 吐出ヒータ(電気熱変換素子) 102 温度センサ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B41J 3/04 104 X

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 異なる種類のインクを吐出する吐出口を
    有したインクジェットヘッドを用い、被記録媒体に記録
    を行うインクジェット記録装置において、 前記インクジェットヘッドにおけるエネルギー発生素子
    の駆動条件を異ならせることによって、前記異なる種類
    のうち特定の種類のインクの吐出量をその他のインクの
    吐出量と異ならせるヘッド駆動手段、 を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 【請求項2】 前記特定の種類のインクはブラックイン
    クであることを特徴とする請求項1に記載のインクジェ
    ット記録装置。
  3. 【請求項3】 前記駆動条件は、前記エネルギー発生素
    子に印加するパルスの波形であることを特徴とする請求
    項1または2に記載のインクジェット記録装置。
  4. 【請求項4】 前記駆動条件は、前記エネルギー発生素
    子に印加するパルスの電圧値であることを特徴とする請
    求項3に記載のインクジェット記録装置。
  5. 【請求項5】 前記駆動条件は、前記エネルギー発生素
    子に印加するパルスのパルス幅であることを特徴とする
    請求項3に記載のインクジェット記録装置。
  6. 【請求項6】 前記パルスは複数のパルス群からなり、
    前記駆動条件は、当該先行するパルスのパルス幅である
    ことを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録
    装置。
  7. 【請求項7】 異なる種類のインクを吐出する複数の吐
    出口を一体に有したインクジェットヘッドであって、電
    気熱変換素子に複数のパルスからなる電気パルスを印加
    し当該印加によって発生する熱エネルギーを利用して前
    記複数の吐出口からインクを吐出するインクジェットヘ
    ッドを用い、被記録媒体に記録を行うインクジェット記
    録装置において、 前記複数のパルスにおける先行するパルスのパルス幅ま
    たは該先行パルスと後続パルスの間隔を変更することに
    より、前記異なる種類のうち特定の種類のインクの吐出
    量をその他のインクの吐出量と異ならせるとともに当該
    吐出速度を前記その他のインクの吐出速度に合せるヘッ
    ド駆動手段、 を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
  8. 【請求項8】 前記特定の種類のインクはブラックイン
    クであることを特徴とする請求項7に記載のインクジェ
    ット記録装置。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100661260B1 (ko) * 1997-03-25 2007-05-04 렉스마크 인터내셔널, 인코포레이티드 공통 구동 회로로부터 에너지 펄스를 수용하는 제1및제2프린트 카트리지를 갖는 잉크젯 인쇄장치

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KR100661260B1 (ko) * 1997-03-25 2007-05-04 렉스마크 인터내셔널, 인코포레이티드 공통 구동 회로로부터 에너지 펄스를 수용하는 제1및제2프린트 카트리지를 갖는 잉크젯 인쇄장치

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