JPH07323503A - ハイブリッドパイプ及びその製造方法並びにハイブリッドパイプを用いてなるローラー - Google Patents

ハイブリッドパイプ及びその製造方法並びにハイブリッドパイプを用いてなるローラー

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JPH07323503A
JPH07323503A JP14070394A JP14070394A JPH07323503A JP H07323503 A JPH07323503 A JP H07323503A JP 14070394 A JP14070394 A JP 14070394A JP 14070394 A JP14070394 A JP 14070394A JP H07323503 A JPH07323503 A JP H07323503A
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fiber
layer
pipe
reinforced resin
metal
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JP14070394A
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Inventor
Junji Harada
原田淳司
Takeshi Nishijima
西島武
Hideo Fukuda
福田英男
Mayumi Takezawa
竹澤まゆみ
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Teijin Ltd
Original Assignee
Toho Rayon Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】低コストで耐衝撃性の高い、精度に優れたロー
ラーを製造し得るパイプを提供する。 【構成】金属パイプの内側に多層の繊維強化樹脂層を有
する、金属と繊維強化樹脂とのハイブリッドパイプにお
いて、金属パイプの内面に近い層から順次繊維方向が0
度配向の繊維強化樹脂層(a)と、この繊維方向と交叉
配向する繊維強化樹脂層(b)とを有し、且つ0度配向
の繊維強化樹脂層(a)と交叉配向する繊維強化樹脂層
(b)との間に、発泡接着剤層(c)を有することを特
徴とするハイブリッドパイプ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、金属と繊維強化樹脂
(Fiber reinforced plasti
c:FRP)とからなるハイブリッドパイプ及び、FR
Pを成形すると同時にFRPパイプと金属パイプとを同
軸に接着してなるハイブリッドパイプの製造方法に関す
るものである。本発明のハイブリッドパイプは、フロン
トフォークのインナーチューブ、油圧シリンダー等に利
用することができる。特に本発明のハイブリッドパイプ
を用いて作製したロ−ラ−は、各産業分野で長尺物の搬
送用、樹脂・印刷インクの混練用等に好適に利用され
る。
【0002】
【従来の技術および問題点】FRPは比強度・比剛性に
優れた材料であり、FRPパイプの両端にジャーナルを
取り付けたロ−ラーは、この優れた特性を発現すること
ができ、特に慣性モ−メントが小さくなることにより、
生産性の向上が期待される。
【0003】しかしFRPパイプは、一般に耐衝撃特性
が金属に比して劣るため、FRPパイプを用いた製品の
取扱に注意しなければならず、また、FRPパイプに機
械加工を施しただけのローラーでは、表面粗度及び摺動
特性が金属に比べて著しく劣り、このため通常はローラ
ー表面に金属被覆、樹脂コート、チューブ被覆等の処理
を施している。
【0004】金属被覆としては、例えばメッキ加工を行
う方法がある。従来、このFRP製ロ−ラ−に直接メッ
キ加工を施す方法としては、特開平5−171494号
公報、特開平5−286057号公報、特開平4−17
5150号公報等多く検討がなされている。
【0005】FRPに直接メッキ加工を施す場合、多く
の特殊なメッキ工程を経ることが必要なためコスト高に
なる傾向にある。しかもコストの割りには密着性が金属
にメッキした場合に比してかなり低くなるという問題が
ある。そのうえ、FRPパイプにメッキを施してもメッ
キの下地が樹脂であるため、硬度は金属に比してかなり
劣り、少しの衝撃によりへこみ等が生じるという問題点
があった。
【0006】また、FRPに直接メッキ加工する方法以
外に、金属パイプの内側にFRP層を設ける方法があ
る。FRP層の設け方としては、接着剤を用いて金属パ
イプとFRPパイプを接着する方法(特開平5−193
097号公報)、FRPパイプを金属パイプと一体成形
する方法(特開平5−505111号公報)、金属パイ
プの内周にプリプレグを貼着させる方法(特開昭55−
20965号公報)等があげられる。
【0007】特開昭55−20965号公報にあげられ
た方法では、硬度は十分であるが、金属パイプの内周面
にプリプレグを貼着させるため、貼着作業の煩雑さがコ
ストアップにつながっていた。
【0008】特開平5−505111号公報記載の方法
では、圧空による内圧を利用して金属パイプとFRPパ
イプを一体成形しているため、圧力が均一にかからない
こともあり、パイプ自体の円筒度、真円度の精度が低く
なる傾向にある。したがって、メッキ加工費用が低く抑
えられるが、ローラーとしての精度を高めるための機械
加工費が高くなってしまうという問題があった。
【0009】また、成形時に内圧によってFRPパイプ
の径の拡大をされるのを阻害しないように、補強繊維を
パイプの軸方向に近い角度に配向させているためつぶれ
に弱く、特に薄肉の金属パイプを使用した場合ローラー
のつぶれに対する強度に問題が生じる。
【0010】特開平5−193097号公報では、金属
製円筒体に別途成形された繊維強化樹脂製円筒体を内嵌
し、発泡性の接着層を介して両者を一体化する方法が提
案されている。
【0011】しかし、この方法では金属パイプとFRP
パイプの間に、繊維強化材を含まない、柔らかい発泡層
があるため、薄肉金属パイプを用いた場合ローラーの硬
度が十分ではなく、表面にへこみが生じ易くなる。厚肉
金属パイプを使用することにより、へこみの問題を避け
ることができるが、その場合は、FRPを用いることに
よる軽量化効果が損なわれることになる。
【0012】
【発明の目的】本発明は、FRP製ローラーにおけるこ
のような問題点を解決し、低コストで耐衝撃性の高い、
精度に優れたローラーを製造し得るパイプを提供するこ
とを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、金属パイプの
内側に多層の繊維強化樹脂層を有する、金属と繊維強化
樹脂とのハイブリッドパイプにおいて、金属パイプの内
面に近い層から順次、0度配向の繊維強化樹脂層(a)
と、この繊維方向と交叉配向する繊維強化樹脂層(b)
とを有し、且つ0度配向の繊維強化樹脂層(a)と交叉
配向する繊維強化樹脂層(b)との間に、発泡接着剤層
(c)を有するハイブリッドパイプである。
【0014】また、未硬化の樹脂を含浸している、0度
配向の繊維層(a´)と、この繊維方向と交叉配向する
繊維層(b´)と、この0度配向の繊維層(a´)とこ
の繊維方向と交叉配向する繊維層(b´)との間に発泡
接着剤層(c´)とを配した予備成形体を、該樹脂が未
硬化のまま金属パイプに挿入し、金属パイプに挿入した
まま熱処理し樹脂を硬化させるハイブリッドパイプの製
造方法である。
【0015】本発明のハイブリッドパイプは、金属パイ
プとFRPパイプとが一体成形されることにより強固に
かつ密接に接着されるため、表面の硬度は高く、衝撃に
よるへこみが生じにくい。また、FRPパイプ内部の発
泡接着剤層が衝撃を吸収するため、衝撃による層間の剥
離が起こりにくい。
【0016】本発明のハイブリッドパイプを図面によっ
て説明する。図1は、本発明のハイブリッドパイプの斜
視図を示したものである。図2は、本発明のハイブリッ
ドパイプの軸方向断面図を示したものである。図3は、
本発明のハイブリッドパイプにおける、FRPパイプ部
分の予備成形体と金属パイプとの組み込み前の斜視図を
示したものである。図4は、本発明のハイブリッドパイ
プに金属ジャーナルを取りつけてなるローラーの断面図
を示したものである。図1において、1は金属パイプ、
2及び3は繊維強化樹脂層(FRP層)、4は発泡接着
剤層である。5は金属ジャーナル、10はマンドレル、
11は金属パイプ、12、13は未硬化の樹脂を含浸し
た繊維層、14は発泡接着剤層、15は予備成形体、1
6はハイブリットパイプを夫々しめす。
【0017】1の金属パイプは、アルミニウム、鉄、
銅、ステンレス等の金属パイプであり、ハイブリッドパ
イプの使用目的に応じて、適宜選択される。これらの中
でも取扱性及びコストの面から鉄が好ましく、また軽量
化の面からはアルミニウム、また表面のメッキ加工の容
易さからは銅が好ましい。金属パイプを使用することに
より、クロム、ニッケル等のメッキ加工を低コストで行
うことができ、かつメッキの密着力を高めることができ
る。
【0018】金属パイプ1は、厚さ1〜5mm、好まし
くは2〜3mmのものを使用する。1mm以下ではパイ
プの剛性が不足するため、FRPパイプの予備成形体を
挿入する際に座屈変形を生じる虞があり、5mm以上で
は軽量化効果が薄れる。
【0019】2及び3の繊維強化樹脂層(FRP層)
は、強化繊維とマトリックス樹脂から構成される。
【0020】FRP層において、強化繊維は、引張り強
度・引張り弾性率の高い繊維が望ましく、炭素繊維、ガ
ラス繊維、アラミド繊維、ボロン繊維及びセラミック繊
維から選ばれる1種あるいは2種以上の組み合わせで使
用される。特に、炭素繊維が比強度・比剛性に優れ、か
つ軽量化の効果が大きい点から好ましい。
【0021】また、マトリックス樹脂としては、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ビ
ニルエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂等の熱硬化性樹
脂が挙げられる。好ましくは汎用的で繊維との濡れ性に
優れ、取り扱い性のよいエポキシ樹脂である。
【0022】2の繊維強化樹脂層(a)は、強化繊維の
配向方向がパイプの軸方向に配向したいわゆる0度配向
の層である。強化繊維の配向方向が0度であるのは、パ
イプの剛性を向上させる上で有効なことによる。
【0023】3の繊維強化樹脂層(b)は、2の繊維強
化樹脂層(a)の繊維軸と交叉する方向、すなわちパイ
プ軸に対し交叉角度をもって配向されている。特に90
度、すなわちパイプの周方向に配向しているのが好まし
い。これはパイプの周方向の剛性を向上させるためであ
る。
【0024】また、強化繊維の配向方向が±45度であ
ると、パイプのねじり剛性及びねじり強度を高めること
ができるため好ましい。パイプの使用目的に応じて、こ
れらの角度を組み合わせて配設することができる。
【0025】強化繊維の配向方向が0度の繊維強化樹脂
層(a)とこの繊維強化樹脂層(a)の繊維軸と交叉す
る方向に繊維が配向されている繊維強化樹脂層(b)と
は、金属パイプの内面に近い位置から(a)、(b)の
順に配設されていることが重要である。
【0026】金属パイプと繊維強化樹脂層(a)との間
には、ガラス繊維層を介在させることもできる。このガ
ラス繊維層に於ける繊維軸の方向は特に制限されず、ガ
ラス繊維の薄い織物などが使用される。このガラス繊維
層の介在は、繊維強化樹脂層(a)の強化繊維材として
炭素繊維を使用したとき、金属パイプ材との間での電蝕
発生の防止に有効である。
【0027】2及び3の繊維強化樹脂層(FRP層)の
層厚比は、パイプの用途によって、決定される。巻取り
ローラー等曲げ剛性が要求されるものは2の繊維強化樹
脂層の比率を高く、駆動軸等ねじり剛性を高める必要が
あるものは3の繊維強化樹脂層の比率を高く設定すれば
よい。
【0028】繊維強化樹脂層(FRP層)2及び3に於
ける、強化繊維の体積含有率は45〜70%が好まし
い。強化繊維の含有率が45%未満の場合、強化繊維の
寄与率が低く、パイプの強度・剛性が低くなる。70%
を超えると強化繊維の含有率が高いために、マトリック
ス樹脂が繊維間に含浸せず、パイプの強度低下を招く等
の問題点を生ずる。
【0029】4の発泡接着剤層は、発泡性と接着性を兼
ね備えたものであれば特に限定されないが、FRPパイ
プを成形すると同時にFRPパイプと金属パイプとの一
体化を行うことから、FRPのマトリックス樹脂と同じ
樹脂系であることが好ましい。 特にエポキシ系の発泡
接着剤はFRPとの濡れ性の点から好適である。
【0030】この発泡接着剤層4には、1mm以下に短
く切断された強化繊維を含ませることもでき、この場
合、発泡接着剤層4の剪断破壊に対し優れた効果を発揮
する。
【0031】発泡接着剤層4の厚さは、なるべく薄い方
が好ましく、発泡密度は0.4〜0.9g/cm↑3が
好適である。
【0032】発泡接着剤層4は、0度配向の繊維強化樹
脂層と交叉配向の繊維強化樹脂層とが繰り返し積層され
る場合は、必ずしも全ての層間に配設する必要はなく、
パイプの設計に応じて調整することができるが、必ず0
度配向の繊維強化樹脂層の内側の位置に配設する。
【0033】本発明のハイブリッドパイプには各種の被
覆加工を行うことも可能である。被覆加工としては、テ
フロンコート、シリコンコート、セラミック溶射、クロ
ム、ニッケルなどの各種の金属メッキ等が挙げられる。
金属メッキは、通常の金属に対する物と同様に行うこと
ができる。
【0034】本発明においては、金属メッキを外層の金
属パイプ面に施すことになるため、FRPに直接メッキ
を加工を施す際に、問題とされていた密着力不足・コス
ト高の問題を解決する事ができる。
【0035】また、従来はFRPを使用したパイプには
テフロンコート、シリコンコートなどの高温処理を必要
とする被覆加工を施すことが不可能であったが、本発明
においてはパイプの精度に優れ、機械加工による仕上げ
をほとんど必要としないため、成形前に予め金属パイプ
にこれらの高温処理による被覆加工を施し、次いでこの
パイプを使用して成形することにより、テフロンコー
ト、シリコンコート等の被覆加工が施されハイブリッド
パイプを得ることも可能である。
【0036】本発明のハイブリッドパイプの製造は、以
下の方法によって行う。先ず、未硬化の樹脂を含浸した
0度配向の繊維層(a´)と、この繊維方向と交叉配向
する繊維層(b´)と、この0度配向の繊維層(a´)
とこの繊維方向と交叉配向する繊維層(b´)との間に
発泡接着剤層(c´)とを配した予備成形体を、該樹脂
が未硬化のまま金属パイプに挿入し、金属パイプに挿入
したまま熱処理し樹脂を硬化させる。
【0037】図3は、本発明のハイブリッドパイプの製
造法の概念図を示すためのもので、FRPパイプ部分の
予備成形体と金属パイプの斜視図を示したものである。
図3に於いて、11は金属パイプ、10はマンドレル、
12及び13は未硬化の樹脂を含浸した繊維層、14は
発泡接着剤層である。
【0038】先ずマンドレル10の外周に未硬化の樹脂
を含浸した繊維層を形成する。マンドレル10は通常用
いられている、金属製のものが使用される。未硬化の樹
脂を含浸した繊維層は、0度配向の繊維層(a´)12
と、この繊維方向と交叉配向する繊維層(b´)13と
に分かれる。この繊維層12及び13の形成は、フィラ
メントワインド方式も採用できるが、生産性および製作
コストを考慮して、シートワインド法が好ましい。
【0039】シートワインド法は、繊維が一方向配向に
引き揃えられたシートに、未硬化の樹脂が含浸してい
る、いわゆる一方向プリプレグを所定の角度でマンドレ
ルに巻き付け繊維層を形成するもので、広く採用されて
いる方法である。
【0040】発泡接着剤14は、繊維層12及び13の
層間の全周に均等に配置し、予備成形体15とする。本
発明パイプの具体的製造における発泡接着剤層14の形
成に際しては、樹脂を含浸した繊維層に貼り付ける際の
作業の容易さからその形態はシート状で使用することが
好ましい。
【0041】発泡接着剤14は、外層の0度配向の繊維
層(a´)12と、この繊維層(a´)12と交叉配向
する内層の繊維層(b´)13との間に設ける必要があ
る。
【0042】発泡接着剤14を、繊維層(a´)12と
繊維層(b´)13との間に設けることによって、成形
時に発泡接着剤14は発泡し、繊維層(a´)12を、
直径が拡大する方向に発泡圧となって作用する。その結
果、繊維層(a´)12は、金属パイプの内側に圧着さ
れ、金属面と繊維強化樹脂層の面とが密接されることに
なる。
【0043】また、発泡接着剤14の発泡によって、中
心方向に発泡圧が作用し、繊維層(b´)13はマンド
レル10に押圧される。その結果、マンドレルと金属パ
イプを同軸に固定しておくことにより、真円度及び同軸
度の優れたパイプを成形することができる。発泡圧が繊
維層(a’)、繊維層(b’)の両側に作用することに
より、成形物であるパイプは繊維強化樹脂層にボイドの
ない良好なものとなる。
【0044】更に、発泡接着剤14を繊維層(a´)1
2と繊維層(b´)13との間に配し成形する事は、層
間での剥離の発生防止、発泡接着剤層内のクラックの発
生防止の点からも有効である。
【0045】硬化後の除冷時に、繊維と樹脂の熱膨張係
数の影響で、外層の繊維層(a´)12では収縮し、内
層の繊維層(b´)13は殆ど収縮しない。そのため外
層の繊維層(a´)12と内層の繊維層(b´)13と
の間に発泡接着剤14を設けることで、発泡接着剤に圧
縮力を作用させることができる。
【0046】一般に発泡接着剤は、引張り強度が圧縮強
度に比べて低く、このため、なるべく発泡接着剤には圧
縮力を作用させる方が、パイプの機械特性を向上させる
ことができる。繊維維層(a´)12と内層の繊維層
(b´)13とで、内外を逆に配置し発泡接着剤を間に
設けると発泡接着剤14と繊維層(a’)12との界面
で剥離が生じてしまう。
【0047】成形時における、発泡接着剤14の発泡倍
率は、1.1〜3.0倍、好ましくは1.3〜2.0倍
になるように、予備成形体15の全体を構成する。な
お、発泡倍率は発泡前と発泡後の接着剤の厚みから算出
される。発泡倍率が1.1倍未満であると硬化前のFR
Pを金属パイプ11に挿入することが不可能である。
【0048】また、2.0倍超であると、硬化前の予備
成形体の外径を小さくできるため金属パイプ11に挿入
が簡単に行えるが、成形時に圧力不足となり、良好な成
形物が得られない。これは発泡倍率と発泡圧との関係に
おいて発泡倍率が上がると発泡圧力が低下する傾向にあ
り、一般に成形に必要な圧力を得るには、発泡倍率を2
倍までに押えるのが良い。
【0049】成形時の発泡倍率の調整は、発泡接着剤1
4の使用量と、予備成形体15と金属パイプ11の内周
面との間隔によって決まる。
【0050】この予備成形体15を金属パイプ11に挿
入する。予備成形体の外周と金属パイプとの隙間は直径
差で0.1〜0.8mm程度であり、望ましくは、0.
1〜0.4mmがよい。
【0051】成形は、マンドレル10と金属パイプ11
とが同軸になるように固定して行う。
【0052】成形時の成形熱により、この発泡接着剤が
膨張し、成形圧となると同時に接着剤として作用し、繊
維強化樹脂層と一体化される。また、成形圧により金属
パイプの内側に押し付けられた繊維強化樹脂層のマトリ
ックス樹脂が接着剤として作用し、金属パイプとの接着
が可能になる。
【0053】本発明のハイブリッドパイプはFRP層と
金属層とが同軸に固定されているので精度良く仕上が
り、機械加工による調節をほとんど必要としないため、
低コストなローラーとして組み立てられる。
【0054】また、これまで問題となっていたパイプ表
面の硬度及び摺動特性は、外層に金属があるため解決さ
れた。また衝撃による剥離は、発泡接着剤が緩衝材とな
るため発生しにくくなる。本発明によるパイプには、各
種の金属ジャーナルを付し、例えば、巻き取りシャフ
ト、タッチロ−ル、エア−シャフト、フロントフォーク
のインナーチューブ等として好適に使用される。
【0055】
【実施例及び比較例】
【実施例1】高強度炭素繊維束 [単繊維直径7ミクロン
12000フィラメントの束 東邦レ−ヨン(株)製
ベスファイト]を一方向に引揃え、ビスフェノールA系
エポキシ樹脂を含浸したプリプレグ(東邦レ−ヨン
(株)製ベスファイトプリプレグ硬化温度130C°)
を使用した。ここで使用されたプリプレグの樹脂含有量
は38重量%である。マンドレルは直径90mm、長さ
1200mmの鉄製マンドレルを使用した。
【0056】レイアップは、マンドレルの両端100m
mを残して、中央の位置にガラス織物を2プライ積層
し、次にマンドレルの軸方向に対して、配向角度90度
になるようにプリプレグを2プライ積層し繊維層13を
形成した。
【0057】次いで、発泡接着剤14を配した。発泡接
着剤としては、エポキシ系のシート状の発泡接着剤(日
本石油化学(株)製、商品名:マイクロプライEM−
3)を使用した。発泡接着剤14の厚さは、0.25m
m(発泡前の厚さ)とした。その上に、繊維の配向角度
が0度になるように8プライのプリプレグを積層し、繊
維層12を形成した。
【0058】最後にガラス織物を2プライ積層し、予備
成形体15を作製した。このものの外径は97.7mm
であった。この予備成形体15を、内径98mmの鉄製
のパイプ11(肉厚2.5mm)に挿入し、外層の金属
パイプ11、マンドレル10とが同軸になるように、両
端を固定した。
【0059】真空バッグを使用し、金属パイプ1及び予
備成形体15のガスを減圧除去し、直立させた状態で熱
処理し、樹脂を硬化させた。硬化温度は130℃であ
る。成形後、70分掛けて徐々に冷却した後、マンドレ
ルを抜き取った。この時の発泡接着剤14の発泡倍率は
1.6倍であり、密度は0.4g/cm↑3であった。
【0060】以上のようにして得られたハイブリッドパ
イプには、クラック、ボイド等は見られず良好なもので
あった。得られたパイプの両端に金属ジャーナルを取付
け、ロ−ラ−に組立てたが、内面に金属マンドレルを用
いたため、円筒度の精度が高く、金属ジャーナルの接着
が問題なく行えた。また、金属パイプの肉厚が0.5m
mになるように機械加工を行ったが、円筒度・真円度・
ねじれ等に問題はなかった。
【0061】次に、ローラーの表面に40μmのハード
クロムメッキ加工を施したが、金属へのメッキであるた
め、低コストで行うことができた。しかもこれまでのF
RPへの直接的なメッキでは得られなかった密着性が得
られた。
【0062】
【比較例1】実施例1と同様のプリプレグ及びマンドレ
ルを用い、ガラス織物を2プライ、軸方向に対して90
度方向のプリプレグを2プライ、0度方向のプリプレグ
8プライ、発泡接着剤、ガラス織物を2プライの順で積
層したのち、表面層に内径98mmの鉄製の金属パイプ
に挿入し、実施例1と同様に成形を行った。
【0063】この時の発泡倍率は、実施例1と同様の
1.6倍であり、接着剤の発泡密度も実施例1と同様の
0.4g/cm↑3であったが、でき上がった成形物に
は発泡接着剤と0度層との界面にクラックが見られ、不
良品であった。。
【0064】
【比較例2】実施例1と同様のプリプレグ及びマンドレ
ルを用い、ガラス織物を2プライ、軸方向に対して90
度方向のプリプレグを2プライ、0度方向のプリプレグ
を8プライ、ガラス織物を2プライ、発泡接着剤の順で
積層したのち、表面層に内径98mmの鉄製金属パイプ
に挿入し、実施例1と同様に成形を行った。
【0065】この時の発泡倍率は1.6倍であり、接着
剤の発泡密度は0.4g/cm↑3であった。
【0066】得られたハイブリッドパイプには、クラッ
ク、ボイドは見られず良好なものであり、実施例1と同
様にパイプの両端に金属製ジャーナルを取付け、ローラ
ーに組立て、金属パイプの肉厚が0.5mmになるよう
に機械加工を行ったが、問題なく行えた。
【0067】また、実施例1と同様に、ローラーの表面
に40μmのハードクロムメッキ加工を施したが、金属
へのメッキであるため、低コストで行うことができ、か
つメッキの密着力が高いものであった。
【0068】しかし、金属パイプの内面が発泡接着剤で
あるため、ローラーの硬度が実施例1で得られたローラ
ーに比べて劣り、表面にへこみが発生し、実使用に耐え
ることができなかった。
【0069】
【発明の効果】本発明によるハイブリッドパイプは、未
硬化のFRP製パイプを成形すると同時にFRP製パイ
プと金属パイプを接着する一体成形により作製されるた
め、金属パイプとFRP製パイプとが強固に接着されて
おり、耐衝撃性に優れる。
【0070】本発明のハイブリッドパイプはFRP層と
金属層とが成形時に同軸に固定されているので精度良く
仕上がり、機械加工による調節をほとんど必要としない
ため、低コストなローラーとして組み立てられる。
【0071】また、本発明のハイブリッドパイプは同軸
度及び真円度に優れたものであり、且つ硬度及び耐熱
性、摺動特性にも優れるため、パイプ表面に各種の被覆
加工を施すことが可能である。特に、高いメッキ密着力
を有するため、本発明のハイブリッドパイプを用いるこ
とにより、耐衝撃性の高いローラーの製作が可能であ
る。また、これまで問題となっていたパイプ表面の硬度
及び摺動特性は、外層に金属があるため解決された。
【0072】また衝撃による剥離は、発泡接着剤が緩衝
材となるため発生しにくくなる。本発明によるパイプに
は、各種の金属ジャーナルを付し、例えば、巻き取りシ
ャフト、タッチロ−ル、エア−シャフト、フロントフォ
ークのインナーチューブ等として好適に使用される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のハイブリッドパイプの斜視図を示した
ものである。
【図2】本発明のハイブリッドパイプの軸方向断面図を
示したものである。
【図3】本発明のハイブリッドパイプにおける、FRP
パイプ部分の予備成形体と金属パイプとの組み込み前の
斜視図を示したものである。
【図4】本発明のハイブリッドパイプに金属ジャーナル
を取りつけてなるローラーの断面図を示したものであ
る。
【符号の説明】
1 金属パイプ 2 繊維強化樹脂層(FRP層) 3 繊維強化樹脂層(FRP層) 4 発泡接着剤層 5 金属ジャーナル 10 マンドレル 11 金属パイプ 12 未硬化の樹脂を含浸した繊維層 13 未硬化の樹脂を含浸した繊維層 14 発泡接着剤層 15 予備成形体 16 ハイブリットパイプ
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F16C 13/00 A 9026−3J (72)発明者 竹澤まゆみ 静岡県駿東郡長泉町上土狩字高石234番地 東邦レーヨン株式会社三島工場内

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属パイプの内側に多層の繊維強化樹脂層
    を有する、金属と繊維強化樹脂とのハイブリッドパイプ
    において、金属パイプの内面に近い層から順次、繊維方
    向が0度配向の繊維強化樹脂層(a)と、この繊維方向
    と交叉配向する繊維強化樹脂層(b)とを有し、且つ0
    度配向の繊維強化樹脂層(a)と交叉配向する繊維強化
    樹脂層(b)との間に、発泡接着剤層(c)を有するこ
    とを特徴とするハイブリッドパイプ。
  2. 【請求項2】0度配向の繊維強化樹脂層(a)と交叉配
    向する繊維強化樹脂層(b)の繊維配向が、パイプ軸に
    対し90度配向であることを特徴とする請求項1記載の
    ハイブリッドパイプ。
  3. 【請求項3】発泡接着剤層(c)の接着剤と繊維強化樹
    脂層(b)のマトリックス樹脂とが同じ樹脂系からなる
    ことを特徴とする請求項1記載のハイブリッドパイプ。
  4. 【請求項4】金属パイプが鉄、アルミニウム、または銅
    からなるパイプである請求項1記載のハイブリッドパイ
    プ。
  5. 【請求項5】表面に金属メッキが施された請求項1記載
    のハイブリッドパイプ。
  6. 【請求項6】繊維が炭素繊維である請求項1記載のハイ
    ブリッドパイプ。
  7. 【請求項7】未硬化の樹脂を含浸している、繊維方向が
    0度配向の繊維層(a´)と、この繊維方向と交叉配向
    する繊維層(b´)と、この0度配向の繊維層(a´)
    とこの繊維方向と交叉配向する繊維層(b´)との間に
    発泡接着剤層(c´)とを配した予備成形体を、該樹脂
    が未硬化のまま金属パイプに挿入し、金属パイプに挿入
    したまま熱処理し樹脂を硬化させることを特徴とするハ
    イブリッドパイプの製造方法。
  8. 【請求項8】請求項1記載のハイブリッドパイプの両端
    部に金属ジャーナルを取り付けてなるローラー。
JP14070394A 1994-06-01 1994-06-01 ハイブリッドパイプ及びその製造方法並びにハイブリッドパイプを用いてなるローラー Pending JPH07323503A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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