JPH0732295Y2 - シートベルトプリローダ装置のためのシーブ構造 - Google Patents

シートベルトプリローダ装置のためのシーブ構造

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JPH0732295Y2
JPH0732295Y2 JP1989051368U JP5136889U JPH0732295Y2 JP H0732295 Y2 JPH0732295 Y2 JP H0732295Y2 JP 1989051368 U JP1989051368 U JP 1989051368U JP 5136889 U JP5136889 U JP 5136889U JP H0732295 Y2 JPH0732295 Y2 JP H0732295Y2
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Description

【考案の詳細な説明】 [考案の目的] 〈産業上の利用分野〉 本考案は、車輌衝突事故などに際してシートベルトを自
動的に緊張させるプリローダ装置などの巻込み装置に駆
動力を伝達するためのシーブに関する。
〈従来の技術〉 例えば自動車の座席には、衝突事故などに際して乗員が
前方へ投げ出されることを防止すべく、乗員の移動を拘
束するためのシートベルトが設けられているが、これら
シートベルトには、通常の運転時には乗員の動作を拘束
せず、急停止時、あるいは衝突時にのみシートベルトの
巻取軸をロックする緊急時自動ロック装置付リトラクタ
装置(以下ELR装置と略す)が設けられることが通例で
ある。このELR装置は、衝突時の減速度やシートベルト
の急激な繰り出しを検知し、極めて短時間のうちに巻取
軸をロックする形式であり、これにより、シートベルト
のそれ以上の繰り出しを拘束するようにしている。
さらにシートベルトの拘束力を向上させるために、本出
願人は、シートベルトの端部あるいは中間部をクランプ
したうえで急速に巻込むことにより、シートベルトに緊
張を加えるようにしたプリローダ装置を特開昭63-22752
号公報において提案した。そして、上記明細書におい
て、例えば化学反応により発生するガスの膨脹圧力をも
って変位するピストンの推進力を、ピストンに連結され
たケーブル及びこれを巻回したシーブを介してシートベ
ルト巻込み軸に伝達するようにした装置を提案してい
る。
〈考案が解決しようとする課題〉 ところで、上記シーブは、製造コストを低減するため
に、円盤状に打抜かれた2枚の板材を剛固に接合し、か
つその外周縁部のみを軸方向に開離することをもってケ
ーブルを巻回するための溝を形成するようにしている。
一方、ケーブルに牽引力が働くと、ケーブル巻回溝の底
部にケーブルが圧接されるが、上記シーブの構造による
と、溝の底部へのケーブルの圧接力により、2枚の板材
同士の接合部にこれを剥離しようとする力が作用する。
そのため、板材同士の接合力が不十分であると、2枚の
板材の合わせ目にケーブルが食い込み、すなわちシーブ
の正常な形状保持が困難となり、万一の場合には、十分
な回転トルクを発生することができなくなることが考え
られる。鋳造あるいは切削加工にてシーブを形成すれ
ば、このような不都合は無論生じないが、製造コストの
高騰を招く。
本考案は、このような不都合を改善すべくなされたもの
であり、その主な目的は、製造コストを増大することな
くケーブル溝が変形し難いように改良されたシートベル
トプリローダ装置のためのシーブ構造を提供することに
ある。
[考案の構成] 〈課題を解決するための手段〉 このような目的は、本考案によれば、回転可能なように
フレームに支持された回転部材及び該回転部材に設けら
れたシートベルト巻込み部材に対し、緊急時にもたらさ
れるエネルギ発生手段からの駆動力をケーブルを介して
伝達すべく、概ね円形をなす2枚の板材を密接に重ね合
わせたうえでその外周部のみを軸方向に開離させること
をもって前記ケーブルがその底面に直接接触する溝を前
記2枚の板材間に形成してなるシートベルトプリローダ
装置のためのシーブ構造であって、前記溝が、前記2枚
の板材をそれぞれ同一方向に且つ互いに深さを違えて絞
り加工することによって形成された互いに平行に対向す
る一対の径方向外向きフランジ部と略円筒形部分とから
なることを特徴とするシートベルトプリローダ装置のた
めのシーブ構造を提供することにより達成される。
〈作用〉 このようにすれば、2枚の板材の合わせ目が溝の底部に
現れないようにすることができる。従って、合わせ目に
ケーブルが入り込み難くなり、溝部の変形を防止するこ
とができる。
〈実施例〉 以下、本考案の好適実施例を添付の図面を参照して詳細
に説明する。
第1図は、本考案が適用されたシートベルト回りの構成
を示しており、車室内のセンタピラー1下部に固設され
たウェビング巻込装置2から上方へ引出されたシートベ
ルト3は、センタピラー1の上方に取付けられたスルー
リング4を通過した後下向きに延出され、シート5の後
部側面にその端部6を取付けられている。そしてシート
ベルト3におけるスルーリング4と端部6との間の部分
には、シートベルト3に沿って移動自在なようにタング
プレート7が設けられている。
シート5に着座した乗員が、ウェビング巻込装置2から
シートベルト3を引き出した後に、シートベルト端部6
の固着点と反対側のシート側面に取付けられたバックル
8にタングプレート7を繋着することにより、乗員の肩
から胸、及び腰回りにかけてシートベルト3が掛け渡さ
れる。
第2図〜第4図に示すように、ウェビング巻込装置2
は、通常使用の際にシートベルト3の巻取、繰り出しを
行なうELR装置9と、衝突時にシートベルト3の緩みを
緊張させるためのプリローダ装置としての巻込み装置10
と、巻込み装置10に回転力を与える駆動装置11と、衝突
衝撃を検出する減速度センサ12とを備えている。尚、第
2図においてはシートベルト3は図示省略されている。
ELR装置9は、公知形式のものと同様にして、内蔵され
たばね手段をもって、シートベルト3を巻取るウェビン
グドラムに巻戻し回転力を与え、同時に急減速時には、
ラチェット機構によりシートベルト3の繰り出しを防止
し得るようにされている。
駆動装置11は、火薬などの爆発力によりピストン体に推
力を与え、ピストン体に連結されたケーブルを介して巻
込み装置10に回転力を与えるものであり、重錘と撃針と
からなる減速度センサ12の作用により、着火、爆発がな
し得るようにされている。
巻込み装置10は、金属板を曲げ加工してなるフレーム13
の一方の側壁に対し、自己潤滑性を有する合成樹脂材料
からなる軸受14を介して回転自在なように支持されたシ
ーブ15と、フレーム13の他方の側壁に形成された内歯ラ
チェット16の内側に受容されたラチェットホイール17
と、これらシーブ15とラチェットホイール17との対向面
の間にシーブ15の中心よりやや外周側の位置にてシーブ
15のベース15a部分とラチェットホイール17とを互いに
連結するように掛け渡された概ね長円形断面をなす固定
クランプカム18と、シーブ15のベース15a部分とラチェ
ットホイール17との間に於ける固定クランプカム18と対
向する位置に回動自在なように挾設された可動クランプ
カム19とからなっている。
シーブ15には、その一端を駆動装置11に内蔵されたピス
トン体(図示せず)に固着され、かつその他端をシーブ
15の外周部の適所に連結されたケーブル20が巻回されて
おり、前記した駆動装置11が発生する推力により回転力
を与えられるようにされている。
固定・可動両クランプカム18・19の互いの対向面の間に
は、初期状態においては上下方向に連通する間隙21が、
シートベルト3を挿通すべく形成される。そしてこの間
隙21のシートベルト入口側における両クランプカム18・
19同士の対向面には、軸線方向に沿う略全長に亘り、互
いに概ね補完的な形状をなす複数のクランプ溝22a、22b
が形成されている。
また、可動クランプカム19には、その両端に突出形成さ
れた回動軸19aの中心に対して概ね放射状に突出した3
つの突条23a・23b・23cが軸線方向に沿って延設されて
いる。
さて、上記実施例に示した装置は、通常は第2図〜第4
図に示す状態にあり、固定クランプカム18と可動クラン
プカム19との間の間隙21及びフレーム13の上部に設けら
れたベルトガイド24を経てシートベルト3の繰り出し及
び巻取が自由に行なわれる。この状態より、衝突を検知
して駆動装置11が作動すると、ケーブル20が第3図にお
ける矢印Pの方向へ牽引され、シーブ15と共に固定クラ
ンプカム18及び可動クランプカム19の全体が矢印Rの方
向へ回動する。すると、可動クランプカム19の第1突条
23aがシートベルト3に突き当る。これにより、可動ク
ランプカム19は、シートベルト3を押圧しつつ矢印Cの
方向へ傾動し、両クランプ溝22a、22bの間にシートベル
ト3を噛み込ませる。
更にシーブ15と共に可動クランプカム19が回動すると、
シートベルト3は、第1突条23aに巻込まれて下向きに
牽引される。そして駆動装置11の駆動力が消失すると、
シートベルト3の張力が可動クランプカム19に作用して
巻込み装置10を逆転させようとするが、この時にはラチ
ェットホイール17が内歯ラチェット16に噛み込み、巻込
み装置10の逆転が阻止される。
このクランプ装置自体の動作は、本考案の本質と直接関
係しないので、ここではこれ以上の説明は割愛する。
シーブ15は、第5図に併せて示すように、金属板からな
る概ね円形をなす2枚の円盤状部材25a・25bを重ね合せ
た上で、その外周縁部のみを互いに開離することによ
り、ケーブル20を巻回するための溝26を形成してなって
いる。ここで2枚の円盤状部材25a・25bは、径方向外向
きのフランジ状部分Fa・Fbを開口端側に有する互いに深
さが異なる皿形断面に絞り加工にて形成されており、浅
底に形成されたもの25bの凹面に、深底に形成されたも
の25aの凸面を重ねたうえで、スポット溶接などにて互
いに一体的に結合されている。このように両円盤状部材
25a・25bの絞り深さ、つまり軸線方向寸法を、内側に位
置するもの25bに比して外側に位置するもの25aをより大
きくすることにより、深底に形成されたもの25aの円筒
形部分Cの外面と、両フランジ状部分Fa・Fbの対向面と
の間に、溝26を形成するようにしている。これにより、
ケーブル20に作用する駆動装置11の牽引力によって溝26
の底面に半径方向内向きの力が作用しても、両部材25a
・25bを剥離させようとする力とはならず、シーブ15の
ピッチ円径の精度が保たれる。
第6図に併せて示すように、内側に位置する円盤状部材
25bの外周の適所には、半径方向外向きの舌片27が突出
形成されている。そしてフレーム13には、この舌片27に
係合し得る突片28が切起こしにて形成されている。ここ
でシーブ15に巻回されたケーブル20は、その弾性により
真っ直ぐになろうとするが、これによって第3図の矢印
Rの方向にシーブ15を回動させる力が作用する。この力
をこれら舌片27と突片28との係合により阻止する。この
係合部分の強度は、ケーブル20の弾発力によるシーブ15
の回動は十分に阻止し得るが、ケーブル20が牽引される
と、舌片27あるいは突片28のいずれか一方が弾性変形・
塑性変形あるいは折損し、シーブ15に作用していた回動
阻止力が解除されるように設定されている。尚、この係
合部は、合成樹脂材料により形成することも考えられる
が、樹脂材料は長期の間にクリープ変形する虞れがあ
り、精度維持の観点からは幾分か信頼性が劣るので、好
ましくは金属材料にて形成する方が良い。また、第7図
及び第8図に示すようにしても同様な作用が得られる。
ところで、ケーブル20の端末には、シーブ15と係合する
抜止め金具29が固着されているが、この抜止め金具29の
外周方向への突出量はできるだけ抑制したい要望があ
る。そのため、シーブ15のピッチ円径が一定の曲率であ
ると、ケーブル20の金具29に対する付け根部分を極めて
小さい曲率をもって屈曲せねばならず、同部分に集中応
力が作用することが考えられる。そこで本実施例におい
ては、第9図に示すように、金具29からの延出部が巻回
する部分の曲率半径R0のみを相対的に大きくとることで
金具29の軸線がケーブル溝26の接線方向に近似した角度
となるようにしたうえで、シーブ15の外形輪郭からの金
具29の先端の突出を抑制し、かつピッチ円の曲率半径を
滑らかに変化させることにより、シーブ外形寸法の増大
を抑制するようにしている。これにより、駆動装置11の
始動部分でのシーブ15の回転中心に対する溝26のピッチ
円半径R1を小さくして巻込み装置10が発生する起動トル
クを幾分か抑制して伝達し、中間部分でのシーブ15の回
転中心に対する溝26のピッチ円半径R2を最も大きくして
作用トルクが増大するようにすることができる。
[考案の効果] 以上の説明にて明らかなように本考案によれば、2枚の
板材にて形成された溝の継目にケーブルが食い込む虞れ
を解消できるので、材料強度あるいは接合強度を過度に
高める必要がなくなり、製造コストを低減し得る。ま
た、ピッチ円径精度が高まり、作動の信頼性を高めるう
えに大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は本考案が適用されたシートベルト回りの全体構
成図である。 第2図はウェビング巻込装置を一部切除して示す正面図
であり、第3図は同じく右側面図であり、第4図は同じ
く左側面図である。 第5図はシーブの部分的な断面図であり、第6図〜第8
図は、それぞれシーブとフレームとの係合部の各態様を
模式的に示す斜視図であり、第9図は、シーブの拡大平
面図である。 1……センタピラー、2……ウェビング巻込装置 3……シートベルト、4……スルーリング 5……シート、6……端部 7……タングプレート、8……バックル 9……ELR装置、10……巻込み装置 11……駆動装置、12……減速度センサ 13……フレーム、14……軸受 15……シーブ、15a……ベース部分 16……内歯ラチェット、17……ラチェットホイール 18……固定クランプカム 19……可動クランプカム 19a……回転軸、20……ケーブル 21……間隙、22・22b……クランプ溝 23a・23b・23c……突条 24……ベルトガイド、25a・25b……部材 26……溝、27……舌片 28……突片、29……抜止め金具

Claims (1)

    【実用新案登録請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転可能なようにフレームに支持された回
    転部材及び該回転部材に設けられたシートベルト巻込み
    部材に対し、緊急時にもたらされるエネルギ発生手段か
    らの駆動力をケーブルを介して伝達すべく、概ね円形を
    なす2枚の板材を密接に重ね合わせたうえでその外周部
    のみを軸方向に開離させることをもって前記ケーブルが
    その底面に直接接触する溝を前記2枚の板材間に形成し
    てなるシートベルトプリローダ装置のためのシーブ構造
    であって、 前記溝が、前記2枚の板材をそれぞれ同一方向に且つ互
    いに深さを違えて絞り加工することによって形成された
    互いに平行に対向する一対の径方向外向きフランジ部と
    略円筒形部分とからなることを特徴とするシートベルト
    プリローダ装置のためのシーブ構造。
JP1989051368U 1989-04-28 1989-04-28 シートベルトプリローダ装置のためのシーブ構造 Expired - Lifetime JPH0732295Y2 (ja)

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