JPH0732248U - 遊星歯車機構のバックラッシュ調整装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 遊星歯車機構の噛合いバックラッシュの調整
を歯車相互間の軸間距離を変えることなく、組立状態に
おいて外部より行う。 【構成】 太陽歯車１を中心に回動自在の直交する第１
キャリヤ７と第２キャリヤ１０に夫々一対の遊星歯車６
Ａ，６Ｂと９Ａ、９Ｂとを回転自在に軸承し、両キャリ
ヤをバックラッシュ調整ねじ１２で相反する回動方向に
予圧押動する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、遊星歯車装置における遊星歯車と太陽歯車および内歯歯車との噛合 バックラッシュを減少調整するものである。

【０００２】

【従来の技術】

遊星歯車機構における歯車の噛合い時のバックラッシュを極力少なくする従来 技術としては、例えば、特開昭６３−７２９４７号公報および特開平２−２８３ ９３９号公報に開示された内容が挙げられる。 前者は、複数の遊星歯車が夫々回転自在に軸受された遊星歯車軸を偏心軸で低 速軸フランジ部に支承し、遊星歯車機構組立後に夫々の偏心軸を回動させて前記 バックラッシュが除去される位置まで遊星歯車軸を偏心回動させたのち、夫々の 偏心軸を低速軸フランジ部に緊締固定するバックラッシュの調整技術であり、後 者は、直交する２つの直径上に配置された夫々の遊星歯車を対設した一対のキャ リヤに軸受支承し、該一対のキャリヤを相対的に回動することにより、前記異な る直径上に配置した夫々の遊星歯車の噛合いバックラッシュを調整したのち、前 記一対のキャリヤを緊締ボルトにより一体化したバックラッシュの調整技術であ る。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

前者は偏心軸を中心に遊星歯車軸が偏心回動するので、遊星歯車軸が移動して 内歯歯車軸および太陽歯車軸との軸心距離が変動して噛合振動を生起し騒音発生 の原因となるばかりでなく太陽歯車の芯振れが大きくなるおそれがある。 また、後者は、一対のキャリヤがバックラッシュを調整した相対的回動状態を 維持したまま、緊締ボルトで一体化されるから、噛合歯に噛合摩耗が生じてバッ クラッシュが大きくなってきた場合には、キャリヤの相対的回動を可能にするた め、一対のキャリヤを一体的に固着した緊締ボルトを再度取り外してバックラッ シュの再調整をしなければならず、バックラッシュの増大が生じた都度、遊星歯 車機構の組立て、分解作業を繰り返さなければならないという欠点があった。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

本考案は上述の従来技術の課題の解決するため、バックラッシュを最小限にす る遊星歯車の調整移動を内歯歯車および太陽歯車と同芯の円周上で行い、且つ遊 星歯車の調整移動を遊星歯車機構の外部から該機構を分解する事無く随時行える ようにしたものであって、直交する一方の直径上に配置した一対の遊星歯車の夫 々の軸を回転自在に軸受する第１キャリヤを前記入力軸に回転自在に外嵌すると ともに回転出力軸に一体化し、他方の直径上に配置した他の一対の遊星歯車の夫 々の軸を回転自在に軸受する第２キャリヤを前記入力軸および出力軸の夫々に回 転自在に外嵌し、第１、第２キャリヤを相反する方向に予圧するバックラッシュ 調整ねじを第１、第２キャリヤ間に介装したものである。

【０００５】

【作用】

差動遊星歯車機構を組立てたのち、工具等によりバックラッシュ調整ねじを操 作すると、第１、第２キャリヤは太陽歯車軸線の周りに相反する方向の回動を行 うので、２組のキャリヤに夫々回転自在に軸受された遊星歯車は太陽歯車および 内歯歯車と同芯の円弧上を移動して、遊星歯車が太陽歯車並びに内歯歯車と噛合 する際のバックラッシュを減少調整する。

【０００６】 したがって、太陽歯車の正転に対しては一方のキャリヤの遊星歯車がバックラ ッシュなしに噛合し、太陽歯車の逆転に対しては他方のキャリヤの遊星歯車がバ ックラッシュなしに噛合することになる。

【０００７】

【実施例】

図１は本考案の正面断面図、図２は図１の２−２線側断面図、図３は本考案の 要部分解斜視図、図４は作用説明図であって、図１において先端部に太陽歯車１ を固定した回転入力軸２は右半部のケーシング３Ａに回転自在に軸受され、回転 出力軸４は左半部のケーシング３Ｂに回転自在に軸受され、夫々のケーシング３ Ａ，３Ｂは図示しない結合ボルトによって一体結合されてハウジング３を形成し ている。 該ハウジング３の内壁には内歯歯車５がボルト５Ａで前記太陽歯車１と同芯に 固設されている。

【０００８】 そして、内歯歯車５の一方の直径線Ｘ−Ｘ（図２参照）上には内歯歯車の中心 を挟んで一対の遊星歯車６Ａ，６Ｂが夫々太陽歯車１に外接噛合し内歯歯車５に 内接噛合して配置され、該一対の遊星歯車６Ａ，６Ｂの軸の両端は、前記入力軸 ２に回転自在に外嵌した第１キャリヤ半部７Ａと出力軸４に固設した第１キャリ ヤ半部７Ｂに夫々回転自在に軸受され、該第１キャリヤ半部７Ａ，７Ｂは結合ピ ン８で一対として一体化され、第１キャリヤ７を構成する。

【０００９】 また、内歯歯車５の前記直径線Ｘ−Ｘに直交する他方の直径線Ｙ−Ｙ（図２参 照）上にも内歯歯車の中心を挟んで一対の遊星歯車９Ａ，９Ｂが夫々太陽歯車１ に外接噛合し内歯歯車５に内接噛合して配置され、該一対の遊星歯車９Ａ，９Ｂ の軸の両端は、前記入力軸２および出力軸４に夫々回動自在に外嵌した第２キャ リヤ半部１０Ａと第２キャリヤ半部１０Ｂに夫々回転自在に軸受され、第２キャ リヤ半部１０Ａ，１０Ｂは結合ピン１１により一対として一体化され、第２キャ リヤ１０を構成する。

【００１０】 第１キャリヤ７には第１キャリヤ７と第２キャリヤ１０を互いに相反する方向 に押動予圧するバックラッシュ調整ねじ１２を第１、第２キャリヤ間に介装保持 するプレート１３が取付けられている。

【００１１】 なお、前記調整ねじ１２はハウジング３に設けられた窓孔１４より挿入した工 具により出没操作されバックラッシュ調整後は公知の手段で廻り止めされる。 そして、減速比を大にするために遊星歯車の径を大にすると、第２キャリヤ１ ０の結合ピン１１が干渉して、該結合ピンが挿入できないので、その場合には図 ２の如く入力側の第２キャリヤ半部１０Ａと出力側の第２キャリヤ半部１０Ｂの 夫々に調整ねじ１２，１２Ａを設けてバックラッシュを調整する。勿論、調整ね じ１２Ａを操作する工具挿入用の窓孔がハウジング３に設けられている。

【００１２】 第２キャリヤ半部１０Ａ，１０Ｂは、いづれも入力軸２および出力軸４に遊嵌 されているので、入力軸および出力軸の夫々に止め輪１５Ａ，１５Ｂを嵌着して 、第２キャリヤ半部１０Ａ，１０Ｂを第１キャリヤ半部７Ａ，７Ｂと離間遊動し ないように挟持している。

【００１３】 図４において、第２キャリヤ１０が結合ピン１１で一体化されているときはバ ックラッシュ調整ねじ１２のみを、そして減速比を大にするため遊星歯車径を大 にするか又は２段にすることにより結合ピン１１の挿通が困難なため、第２キャ リヤが一体化されていないときは調整ねじ１２，１２Ａを、夫々工具で螺出させ ると、ねじ先端が第１キャリヤ７と第２キャリヤ１０を相対的に相反する矢印方 向に押動し、夫々の遊星歯車６Ａ，６Ｂは太陽歯車１を中心に反時計方向に押動 されて、太陽歯車１が時計方向に回転したときの噛合いバックラッシュを図示の 如く減少させ、また、夫々の遊星歯車９Ａ，９Ｂは太陽歯車１が反時計方向に回 転したときの噛合いバックラッシュを図示の如く減少させる。

【００１４】

【考案の効果】

本考案は、太陽歯車を中心に回動する第１、第２キャリヤに遊星歯車が取付け られているので、夫々の遊星歯車は太陽歯車並びに内歯歯車の軸心の周りに予圧 押動されるから、予圧押動後においても夫々の遊星歯車と太陽歯車および内歯歯 車との軸間距離は不変であって、既述した従来例の１つである特開昭６３−７２ ９４７号公報に開示されたクランク軸による遊星歯車の移動のために生ずる芯振 れに伴う不良噛合い、振動、騒音等のおそれは除去され、また、本考案は第１、 第２キャリヤのいづれか一方のキャリヤに取付けられ、いづれか他方のキャリヤ を予圧押動する調整ねじによってバックラッシュ調整操作が可能であるから、歯 車機構を組立てた状態において分解することなく調整ねじをハウジング３の外部 より工具を挿入して出没させ、バックラッシュ調整を行うことができ、既述した 従来例である特開平２−２８３９３９号公報に開示されたように、歯車機構を分 解しなければバックラッシュの再調整が困難である技術に比し、バックラッシュ 再調整がきわめて簡単に行うことができる等、その実用的効果は著大である。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本考案の歯車機構の一部断面による正面図で
ある。

【図２】 図１の２−２線断面図である。

【図３】 本考案の遊星歯車機構の組立分解図である。

【図４】 図２の作用説明図である。

【符号の説明】

１ 太陽歯車 ２ 回転入力軸 ３ ハウジング ４ 回転出力軸 ５ 内歯歯車 ６Ａ，６Ｂ ９Ａ，９
Ｂ 遊星歯車 ７ 第１キャリヤ １０ 第２キャリヤ １２，１２Ａ バックラッシュ調整ねじ

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 回転入力軸に固設した太陽歯車と、太陽
   歯車と同心にハウジングに固定した内歯歯車と、太陽歯
   車に外接し内歯歯車に内接して直交する直径上において
   噛合する夫々一対の遊星歯車を配置した遊星歯車機構に
   おいて、直交する一方の直径上に配置した一対の遊星歯
   車の夫々の軸を回転自在に軸受する第１キャリヤを前記
   入力軸に回転自在に外嵌するとともに回転出力軸に一体
   化し、他方の直径上に配置した他の一対の遊星歯車の夫
   々の軸を回転自在に軸受する第２キャリヤを前記入力軸
   および出力軸の夫々に回転自在に外嵌し、第１キャリヤ
   と第２キャリヤを互いに相反する方向に押動予圧するバ
   ックラッシュ調整ねじを第１、第２キャリヤ間に介装し
   た、遊星歯車機構のバックラッシュ調整装置。