JPH0731853B2 - カセット装填装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 この発明はデジタルオーディオテープレコーダ（以下DA
Tと記す）のカセット装填装置に関するものである。

従来の技術 近年になって据置型のDATが市場に出回り始めたが、機
器の小型化を図りコンパクトカセットテープレコーダの
ようなポータブル型のDATの出現が望まれている。

このDATは、カセットテープレコーダに使用するコンパ
クトカセットと違い、DATカセットが独特の遮蔽構造を
しており、スライダーと呼ばれる底蓋とリッドと呼ばれ
る前蓋を開けてテープを引き出してドラムに巻き付けて
録音・再生をする必要があり、従来のコンパクトカセッ
トテープレコーダのようにカセットを蓋体に挾着して所
定の位置へ載置することで機器への装填が行なわれる訳
ではない。

従来のDATのカセット装填装置はスロットイン方式のも
のと、トレイ方式のものが知られており、いずれの場合
にもDATカセットをテープ駆動系に装着するまでの仮装
着過程でスライダーのロックを解除してスライダーを移
動させ、次に仮装着位置からテープ駆動系に装着する本
装着過程または本装着状態でリッドを開くように構成し
ていた。したがって、従来のDATでは、スライダー移動
手段はDATカセットの受け部材に形成し、リッド開放手
段はDAT本体に形成する必要があり、リッド開放手段の
移動ストロークは大きいものであった。

発明が解決しようとする問題点 しかしながら、従来装置ではDATカセットのリッド開放
手段はDAT本体に構成され、移動ストロークの大きいも
のであるため、コンパクトカセットテープレコーダのよ
うに回動可能な蓋体にDATカセットを装着してテープ駆
動系にDATカセットを装填することにより小型化を図ろ
うとした場合、リッド開放手段の大きい移動ストローク
が小型化を阻害する要因になるという欠点を有してい
た。

そこで、本発明はDATカセットを蓋体へ挾着することで
リッドとスライダーのいずれをも開放することのできる
カセット装填装置を提供するものである。

問題点を解決するための手段 上記問題点を解決するために本発明のカセット装填装置
は、カセットのスライダーに当接する爪部と上記スライ
ダーのロックヒンジに当接する微少突起を形成したカセ
ット受け部材を回動可能な蓋体内面にバネで付勢して摺
動自在に固着し、上記蓋体に形成したラックに噛合する
釣状腕部を形成したキックギアを上記カセット受け部材
に回動自在に軸支し、かつ上記蓋体に回動可能に装着し
た可動係止片をカセットの抜挿に応じて上記カセット受
け部材に対する係止・非係止の状態とするように構成し
たことを特徴とするものである。

作用 本発明は上記した構成によって蓋体とカセット受け部材
の間にカセットが挿入されると押圧バネの押圧力でカセ
ット受け部材にカセットが密着して移動し、上記カセッ
ト受け部材の微少突起でカセットのロックヒンジが変位
してロックが解除され、スライダーが移動可能となる。
カセットのカセット受け部材内での所定距離の移動が終
るとさらにカセットを押すことにより可動係止片が回動
してカセット受け部材の係止状態が解かれ、上記カセッ
ト受け部材がバネの付勢力に抗して上記蓋体と相対移動
して上記蓋体のラックに噛合したキックギアが回動し、
上記キックギアに形成した釣状腕部がリッドに当接して
リッドを開放してテープが露出した状態となり、上記蓋
体の閉動作でカセットの装填が可能となる。

実施例 以下、本発明の第１の一実施例を添付図面にもとづいて
説明する。第１図，第２図は本発明の第１の実施例にお
ける要部拡大図で、第３〜６図は本発明の第１の実施例
における側面一部断面図である。

第１図〜第６図において、１は筐体、２は支軸、３は支
軸２にて筐体１に回動可能に支持された蓋体、４は蓋体
３の内面に取着された押圧バネ、５は蓋体３の内面に設
けたカセット受け部材であり、カセットの挿入，取出方
向に移動可能なように蓋体３に対して支持されており、
カセットの取出方向に図示していないバネで付勢されて
いる。６は上記カセット受け部材５に回動可能に軸支さ
れたキックギアであり、上記蓋体３の内面に形成したラ
ック3aに噛み合っている。７は上記蓋体３とカセット受
け部材５の間に挾着されるDATカセットである。10は上
記蓋体３の内面に回動可能に軸支された可動係止片であ
り、上記DATカセット７の抜挿に、応動する検出片部８
と上記カセット受け部材５を係止する係止片部９を有し
ている。上記カセット受け部材５にはDATカセット７の
スライダー7a底面に設けた溝に入り込んでその溝内に突
出するロックヒンジを解除する微少突起5a,5a′を有
し、先端にDATカセット７のスライダー7a端面に当接し
て上記スライダー7aを移動させる爪部5b,5b′を有して
いる。上記キックギア６には上記DATカセット７のリッ
ド7bに当接してそのリッド7bを開放する釣状腕部6aを有
している。

このような構成において、まず第３図はカセット挿入開
始の状態を示し、押圧バネ４に押さえられカセット７が
カセット受け部材５に密着して移動し、カセット７に形
成されたロックヒンジ（図示せず）に微少突起5a,5a′
が当接してロックが解除され、スライダー7aが移動可能
な状態にある。この状態でカセット７を押し込むと、カ
セット受け部材５の微少突起5a,5a′がスライダー7aの
溝の係止部に係合するまでカセット７は押し込まれる。
このカセット７の押し込み過程で微少突起5a,5a′がロ
ックヒンジを解除しスライダー7aの溝終点位置まで移動
し終わるまでは可動係止片10の検出片部８にDATカセッ
ト７の前端が当接することはなく、上記可動係止片10の
係止片部９はカセット受け部材５に係合してそのカセッ
ト受け部材５の前方への移動を阻止する。次に上記した
状態（第３図参照）からカセット７をさら押し込むと、
カセット７の前端が可動係止片10の検出片部８に当接し
て可動係止片10を図示矢印Ａの方向に回動させるため、
その可動係止片10の係止片部９はカセット受け部材５か
ら外れ、カセット受け部材５は前方へ移動可能となる。
このため、カセット７をさらに押し込むと、カセット受
け部材５の爪部5b,5b′に当接したスライダー7aが移動
し、第４図のようにカセット７のリッド7bがキックギア
６の釣状腕部6aの位置より前方に位置されることにな
る。さらに、この状態からカセット７を押し続けるとカ
セット受け部材５もカセット７と共に付勢バネに抗して
移動し、これによってカセット受け部材５に軸支された
キックギア６が上記蓋体３に形成されたラック3aにより
回動せられ、キックギア６に形成された釣状腕部6aがカ
セット７のリッド7bと当接してリッド7bをそのバネ付勢
力に抗して回動させ、第５図のようになる。

この状態でカセット７のテープが露出した形となり、上
記蓋体３を支軸２を支点に閉動作すると第６図のように
カセット７は所定の位置に装填されることになる。

以上のように本実施例によれば、一部にラックを形成し
た蓋体内面にカセットの抜挿に応動してカセット受け部
材の係止解除をする可動係止片を設け、微少突起と爪部
を形成しかつバネで付勢したカセット受け部材を上記蓋
体に摺動自在に固着し、上記蓋体に形成されたラックに
噛合可能に釣状腕部を形成したキックギアを上記カセッ
ト受け部材に回動自在に軸支することにより、カセット
を蓋体へ挾着挿入することでリッドとスライダーを確実
に開動することができる。

発明の効果 以上のように本発明によれば、蓋体にラックを形成し、
上記蓋体に押圧バネを固着し、微少突起と爪部を形成し
たカセット受け部材をバネで付勢して上記蓋体に摺動自
在に装着し、上記蓋体に形成したラックに釣状腕部を形
成したキックギアを噛合して上記カセット受け部材に回
動自在に軸支することにより、カセットを蓋体に挾着挿
入することでリッドとスライダーを開動することができ
る。しかも、蓋体にはカセットの抜挿に応動する可動係
止片を設け、この可動係止片にてカセット受け部材を係
止するようにしたので、カセット挿入時にスライダーが
移動し終るまでカセット受け部材の移動を禁止してリッ
ド開放のためのストロークを確実にして保持することが
できる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明のカセット装填装置の一実施例を示す要
部の斜視図、第２図は同装置の要部の拡大斜視図、第３
図〜第６図は同装置の一部断面図である。 ３……蓋体、４……押圧バネ、５……カセット受け部
材、６……キックギア、10…可動係止片。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】筐体に一端を回動自在に軸支され、一部に
   ラックを形成した蓋体と、上記蓋体に固着された押圧バ
   ネと、上記蓋体に摺動自在に装着され、一部にカセット
   の底部に設けたスライダーに当接する爪部と上記スライ
   ダーの固定ロックヒンジに当接する微少突起を有しカセ
   ット挿入方向と逆方向にバネで付勢されたカセット受け
   部材と、上記蓋体のラックに噛合して上記カセット受け
   部材に回動自在に軸支されカセットの前部のリッドを開
   閉する釣状腕部を形成したキックギアと、上記カセット
   受け部材と上記蓋体の間への上記カセットの挿入の有無
   によって上記カセット受け部材の係止・非係止を可能と
   するように上記蓋体に支持された可動係止片を備えたこ
   とを特徴とするカセット装填装置。