JPH07317850A - 遊星自動変速装置 - Google Patents

遊星自動変速装置

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JPH07317850A
JPH07317850A JP6113148A JP11314894A JPH07317850A JP H07317850 A JPH07317850 A JP H07317850A JP 6113148 A JP6113148 A JP 6113148A JP 11314894 A JP11314894 A JP 11314894A JP H07317850 A JPH07317850 A JP H07317850A
Authority
JP
Japan
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locking piece
gear
locking
planetary
ring gear
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP6113148A
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English (en)
Inventor
Tetsuo Kawamoto
哲郎 川本
Yosuke Ishida
洋介 石田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 リングギアの外周形状を簡素化する。減速効
率を低下させることなく、係止片によるリングギアの切
り替え動作をスムーズに行なう。 【構成】 弾性部材90により一方向にばね付勢された
選択係止部材7がリングギア31,32の外周とハウジ
ングAに設けた係止部35,36;80により保持され
る。ハウジングAの係止部80は遊星機構の軸方向に沿
って幅が漸次変化するテーパ形状に形成される。選択係
止部材7は、負荷の変更時に弾性部材90でばね付勢さ
れながらハウジングAの係止部80に沿って移動して各
リングギア31,32のいずれかの係止部35,36に
係止する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は遊星機構を利用して変速
を行なう遊星自動変速装置、殊に負荷の増大に伴って変
速を自動的に行う遊星自動変速装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】図19に実公昭51−47185号公報
で開示された従来例を示す。この従来例の変速機構にお
いては、遊星減速機構の構成部材であるリングギアaを
固定ギアbに固定するか、遊星ギアcを支持するキャリ
アdと連結してリングギアaをキャリアdと一体に回転
させるかによって変速を行なうようにしている。
【0003】図20乃至図22に特開昭63−1860
54号公報で開示された従来例を示す。この従来例にお
いては、モータ出力軸60に異なる複数の太陽ギア1
1,12が固着されており、同一キャリア4上には異な
る歯数の遊星ギア21,22を設置して互いに噛み合わ
せ、且つ各々の遊星ギア21,22に別体のリングギア
31,32を噛み合わせており、いずれかのリングギア
31,32を遊星機構のスラスト方向にスライド自在な
係止片7′により固定することで変速させる変速機構が
開示されている。そして、リングギア31,32の外周
にリング状部材37,38を取付けると共に、各リング
状部材37,38に軸方向において幅が漸次変化するテ
ーパ形状の係止部35,36を形成し、負荷に応じてリ
ングギア31,32に加わる反力により係止片7′が隣
接するリングギア31,32の方へ移動し、自動的に変
速させるものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、図19の従
来例では、リングギアaの内周に切った歯車eとキャリ
アd外周の歯車fを噛み合わせて太陽ギアgとキャリア
dとを直結するか、該噛み合わせを外してリングギアa
を固定ギアbに固定するかにより変速しているので、変
速に際してリングギアaとキャリアdの係合がスムーズ
でなく、変速時には動作を停止する必要があるなど、変
速の操作性を損ない、このため、動作中に自動変速させ
ることは困難である。
【0005】これに対し図20乃至図22の従来例で
は、変速時の切り替えはいずれかのリングギア31,3
2の外周の係止部35,36に係止片7′を係止させて
いるため、図19に示す従来例のようなギアの噛み合わ
せによる変速と異なり、変速がスムーズに行なわれ、さ
らに、負荷に応じてリングギア31,32に加わる反力
を利用して、係止片7′が移動して自動的に変速させる
ものなので、簡単な機構で自動変速が可能となる。例え
ば電動工具にこの変速機構を用いた場合、ネジ締めにお
いて、着座するまで高速モードで作業した後、負荷が大
きくなるにつれ自動的に低速モードに切り替わり、所定
の締め付けトルクで締め上げることができる。
【0006】しかしながら、図20乃至図22に示す従
来例では、実際のリングギア31,32の設計の際に、
ギアケース1内を遊転できるように、リングギア31,
32の外周の係止部35,36に加えて、ギアケース1
内を摺動させるリング状部材37,38を形成しておく
必要があり、リングギア31,32の外周の係止部5,
36の形状が複雑になり、金型での製造が困難になると
いう問題があり、また、係止片7′が負荷により移動す
る際に、逆にリングギア31,32は係止部35,36
のテーパ形状によって軸方向の反力を受ける。このた
め、負荷の増大と共に両リングギア31,3231,3
2間などの軸方向支持部の摩擦が大きくなり、片側のフ
リーなリングギア31,32を止めようとする力が働
き、減速効率を低下させるという問題がある。
【0007】本発明は、上記従来の課題に鑑みてなされ
たもので、その目的とするところは、リングギアの外周
形状を簡素化できると共に、減速効率を低下させること
なく、係止片によるリングギアの切り替え動作をスムー
ズに行なえるようにした遊星自動変速装置を提供するに
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、太陽ギア11,12とこれに噛み合う遊
星ギア21,22及び太陽ギア11,12と同心で遊星
ギア21,22が噛み合っているリングギア31,32
からなる遊星機構を軸方向に複数個設けてハウジングA
内に収納し、各遊星機構における遊転自在とされたリン
グギア31,32のなかの一つの回転を選択的に阻止す
る係止片7aを設けるとともに、リングギア31,32
にかかる負荷に応じて係止片7aを移動させて係止片7
aが係合するリングギア31,32を切り替えるように
構成された遊星自動変速装置であって、弾性部材90に
より一方向にばね付勢された係止片7aがリングギア3
1,32の外周とハウジングAに設けた係止部35,3
6;80により保持され、ハウジングAの係止部80は
遊星機構の軸方向に沿って幅が漸次変化するテーパ形状
に形成され、係止片7aは弾性部材90で付勢されなが
らハウジングAの係止部80に沿って各リングギア3
1,32の係止部35,36間を移動自在とされて成る
ことに特徴を有している。
【0009】
【作用】本発明によれば、一方向にばね付勢された係止
片7aをリングギア31,32の外周とハウジングAに
設けた係止部35,36;80により保持し、ハウジン
グAの係止部80を遊星機構の軸方向に沿って幅が漸次
変化するテーパ形状に形成すると共に、係止片7aをハ
ウジングAの係止部80に沿って各リングギア31,3
2の係止部35,36間を移動させるようにしたから、
ハウジングAにテーパ形状の係止部80を形成したこと
によって、リングギア31,32の外周には従来のよう
なテーパ形状の係止部を設ける必要がなく、リングギア
31,32の金型構造が簡素化でき、しかも、リングギ
ア31,32の係止部35,36をテーパ形状にする必
要がないので、係止片7aの軸方向への移動時において
リングギア31,32は従来のような軸方向に反力を受
けなくなり、両リングギア31,3231,32間の摩
擦を減少させることができ、リングギア31,32の切
り替え動作をスムーズに行なえるようになる。
【0010】
【実施例】以下本発明を図示の実施例に基づいて詳述す
ると、図2乃至図4は電動ドリルドライバー等の電動工
具に用いられる遊星自動変速装置の一実施例を示してお
り、ギアケース1の一端開口を閉じるモータ取付台2に
取り付けられたモータ6の出力軸60には、歯数の異な
る二つの太陽ギア11,12が固着されており、軸方向
に並ぶこれら太陽ギア11,12には夫々複数個、図示
例では二個ずつの遊星ギア21,22が噛み合ってい
る。両遊星ギア21,22は互いに歯数が異なるととも
に、出力軸5を一体に備えて軸受50で支持されたキャ
リア4に対し、遊星ギア21は軸41で太陽ギア11の
回りに等間隔で、遊星ギア22は軸42で太陽ギア12
の回りに等間隔で支持されており、両遊星ギア21,2
2は出力軸60の回りに回転方向において90°ずれた
状態で個々に自転を行ないながら、同じ公転を行なうも
のとなっている。図2中51はスラストリングである。
【0011】そして上記出力軸60と同心に配されてい
るとともに軸方向に並ぶ二つのリングギア31,32の
うち、リングギア31が遊星ギア21と噛み合ってお
り、リングギア32が遊星ギア22と噛み合っている。
ここで、リングギア31による遊星段は減速比は小さ
く、ハイスピード段とされ、一方、リングギア32によ
る遊星段は減速比は大きく、ロースピード段とされてい
る。また、両リングギア31,32はその内径が異なる
ものの外径は同一となっており、リングギア31の外周
面には、図1に示すように、周方向に間隔をあけて複数
の突部33が突設されると共に、外周縁に周方向全長に
亘って周壁37が突設され、この突部33と周壁37と
で囲まれた部分に凹溝状の係止部35が周方向に等間隔
で形成されている。またリングギア32の外周面には周
方向に間隔をあけて複数の突部34が突設されると共
に、外周縁に周方向全長に亘って周壁38が突設され、
この突部34と周壁38とで囲まれた部分に凹溝状の係
止部36が周方向に等間隔で形成されており、これら各
係止部35,36のいずれかに係止片7aが係止してい
る。
【0012】一方、ギアケース1には、両リングギア3
1,32の外周に面して係止部80を構成する開口部8
0aが遊星機構の軸方向に沿う長孔状に形成されてお
り、開口部80aの周方向の両端面は、遊星機構の軸方
向に沿って漸次変化するテーパ形状に形成されている。
そして、開口部80aの幅は高速回転するリングギア3
1側で最も狭く、且つ低速回転するリングギア32側で
最も広く形成されている。この開口部80aは、図5に
示すリングギア31の係止部35に対応する高速領域
と、リングギア32の係止部36に対応する低速領域と
に分けられると共に、高速領域においては、軸方向に対
して小さな角度で傾斜した第1テーパ面81と、第1テ
ーパ面81よりも大きな角度で傾斜した第2テーパ面8
2とが連続形成されており、低速領域においては、第2
テーパ面82に連なって曲線状に湾曲した第3テーパ面
83が形成されており、これら第1テーパ面81、第2
テーパ面82、及び第3テーパ面83のいずかに後述す
る選択係止部材7の係止片7aがスライド自在に係止さ
れるようになっている。さらに、開口部80aの両端面
を同じテーパ形状に形成したことにより、リングギア3
1,32の正回転時に係止片7aを開口部80aの一端
面により係止でき、リングギア31,32の逆回転時に
は係止片7aを開口部80aの他端面により係止できる
ものである。尚、装置のハウジングAはギアケース1を
含む概念であり、ギアケース1に形成される開口部80
aがハウジングAの係止部80を構成している。
【0013】また、選択係止部材7は、両リングギア3
1,32に選択的に係止することで変速比の切り替えを
行なうものであって、図1に示すように、ギアケース1
側に取付けられて遊星機構の軸方向にスライド自在に支
持された保持部材181と、保持部材181の下面に保
持された係止片7aとで構成されている。本実施例で
は、保持部材181は、ハウジングAに設けたスライド
空間内を周方向及び軸方向にスライド自在に配置される
と共に、保持部材181の軸方向の一端部には摺動板1
00を介して弾性部材90であるコイル状のばね90a
が連結され、このばね90aのばね力によって保持部材
181は軸方向の内方に向けて常にばね付勢されてい
る。また、係止片7aは、ギアケース1の開口部80a
の最小幅L1よりも小さく且つリングギア31又は32
の外周面の係止部の軸方向の長さL2よりも短い外径を
有する円柱状に形成されている。この係止片7aは、リ
ングギア31,32の外周面の係止部35,36の周方
向の一端面と、ギアケース1の開口部80aのテーパ形
状の一端面とで挟持されることにより、リングギア31
又は32の回転を阻止するようになっている。さらに、
選択係止部材7は、ばね90aよって内方に向けて付勢
されているために、常時は係止片7aはリングギア31
と係合して、リングギア31の回転を止めている状態に
ある。
【0014】しかしてこの遊星自動変速装置において
は、モータ6の始動時には、図5に示すように、係止片
7aはばね90aによって付勢されて初期位置X=0に
位置しており、リングギア31の回転が阻止されている
状態にあるために、モータ6の回転出力は、回転が阻止
されているリングギア31と噛み合った遊星ギア21を
通じてキャリア4に伝達される。このとき、リングギア
32は空転した状態となっている。
【0015】そして、出力軸5にかかる負荷が増大し
て、リングギア31にかかる回転トルクが大きくなって
ある値を越えると、ギアケース1の開口部80aの一端
面におけるテーパ形状のために、係止片7aは軸方向の
外方へ向かう分力を受け、ばね90aのばね力とつりあ
う位置まで移動する。つまり、図5のラインFに示すよ
うに、ばね90aのばね定数を、ある設定トルクT0
なった時に係止片7aが第1テーパ面81からさらに角
度が大きい第2テーパ面82の境界Xαに位置するよう
に設定しておくことにより、係止片7aはばね力に抗し
て第1テーパ面81から第2テーパ面82に移動すると
共に、第2テーパ面82において急激に大きな軸方向の
分力を受け、境界位置Xhighから押し出されて隣接
するリングギア32に対応する第3テーパ面83の設定
位置Xβまで素早く移動する。このとき、第3テーパ面
83は、テーパ角度が緩やに小さくなる曲線状に形成し
てあるので、負荷が大きくなるにつれて、係止片7aは
次第に第3テーパ面83の最終位置Xlowまで移動す
る。これ以降は回転が阻止されているリングギア32と
噛み合った遊星ギア22を通じてキャリア4に伝達され
るものであり、出力軸5は高速回転低トルク状態から低
速回転高トルク状態に切り替えられるものである。
【0016】次に、低速から高速への切り替えを説明す
る。モータを停止させたり、或いは軽負荷となった際
に、係止片7aはばね90aのばね力によって再度リン
グギア31の初期位置X=αまで復帰する。このとき、
係止片7aは第3テーパ面83→第2テーパ面82→第
1テーパ面81に沿って移動するが、highからlo
wに切り替えるためのトルクT0 よりも小さなトルクT
0 ′でlowからhighに戻ることができ、リングギ
ア31に係合する高速回転低トルク状態に再度切り替え
ることができる。また、このヒステリシスにより、緩や
かに大きくなる負荷の場合(例えば木ねじ状)では、上
記トルクT0 近辺の負荷が持続するため、第2テーパ面
82に移動すると共に、第2テーパ面82において軸方
向に大きな分力を受けるために低速領域に自動的に移動
し、高速領域に戻る心配はないので、負荷の変動に応じ
て係止片7aが隣接するリングギア32に移動したり、
ばね90aにより元のリングギア31に戻ったりする繰
り返し動作の発生が防がれ、移動動作を安定化させるこ
とができ、そのうえ切り替え動作時の衝撃も小さいた
め、切り替えを数多く繰り返した場合でも高信頼性を確
保できる。
【0017】また、ギアケース1に遊星機構の軸方向に
沿って幅が漸次変化するテーパ形状の開口部80aを設
けると共に、一方向にばね付勢された選択係止部材7を
リングギア31,32の外周とギアケース1の開口部8
0により保持し、負荷の変更時に選択係止部材7をギア
ケースの開口部に沿って移動させて各リングギア31,
32のいずれかの係止部35,36に係止させるように
したから、ギアケース1にテーパ形状の開口部80aを
形成することによって、リングギア31,32の外周に
は従来のようなテーパ形状の係止部を設ける必要がな
く、リングギア31,32の金型構造が簡素化でき、し
かも、リングギア31,32の係止部35,36をテー
パ形状にする必要がないので、係止片7aの軸方向への
移動時においてリングギア31,32は従来のような軸
方向に反力を受けなくなり、両リングギア31,32間
の摩擦を減少させることができ、リングギア31,32
の切り替え動作をスムーズに行なうことができ、減速機
の伝達効率が低下することもない。さらに、ギアケース
1の開口部80aの周方向の端面のテーパ形状は連続的
であり、細やかなテーパ形状の設計ができることから、
より安定した変速が可能となり、これに伴い切り替え動
作時の衝撃をできる限り小さくできるという利点があ
る。
【0018】本発明の他の実施例を以下、図7乃至図1
8に示す。図7は、1個の球状の係止片7bが図示省略
したばねによって初期位置に付勢され、この係止片7b
をリングギア31,32の係止部35,36とギアケー
ス1の開口部80aとで挟むことにより、リングギア3
1,32を係止させる構成を示している。他の構成は図
1の実施例と同様である。本実施例では、負荷の増大時
には球状の係止片7bは開口部80aのテーパ面81,
82,83に沿ってばね力とつりあう位置まで転動する
ことができ、上記実施例と同様、隣接するリングギア3
2に素早く移動してスムーズな切り替えが行なわれるも
のである。このように球状の係止片7bを用いたことに
よって、開口部80aや係止部35,36に対する係止
片7bの接触箇所が任意となり、磨耗が分散され、係止
片7bの長寿命化が図られ、信頼性をより高めることが
できるという利点がある。
【0019】図8は、1個の球状の係止片7bを用いる
と共に、係止片7bを初期位置に付勢するための弾性部
材90として板ばね90bを用いた構成を示している。
他の構成は図7の実施例と同様である。本実施例では、
板ばね90bの一端はビス200でギアケース1に固定
されており、変速時に球状の係止片7bに及ぶ衝撃力
や、ギアケース1の開口部80aに及ぶ衝撃力が夫々弱
められ、しかも、板ばね90bを用いることによってス
ペース的に小さくて済み、装置の小型化を図ることがで
きる。
【0020】図9は、板ばね90bのばね定数を部分的
に異ならせたものを示している。他の構成は図8の実施
例と同様である。この場合、板ばねに部分的に焼入れを
したり、或いは別部材の板ばねを溶接することにより、
ばね定数の異なる板ばね90b1 ,90b2 を一体形成
でき、このような部分的にばね定数の異なる板ばね90
1 ,90b2 を用いることにより、係止片7bがリン
グギア31から反力を受けて、ギアケース1の開口部8
0aのテーパ面に沿って移動する際に、板ばね90
1 ,90b2 のばね定数の異なる境界部分で係止片7
bの軸方向の移動量が急激に変化して素早い変速がされ
る。また、ばね定数の境界を任意に変更することで、任
意の設定負荷での変速が可能となる。さらに、この場合
は、ギアケース1の開口部80aをテーパ形状にする必
要がないので、開口部80aの構成を簡略化させること
ができるという利点もある。
【0021】図10は、板ばね90bの一端をギアケー
ス1側にスライド自在に固定したものを示している。つ
まり、板ばね90bの一端を、ギアケース1内に設けた
スペースS内をスライドできる調整片101にビス10
2にて固定し、調整片101を介して板ばね90bの一
端をギアケース1に固定するようにしてもよい。この場
合、板ばね90bの固定点を任意に変化させることがで
き、板ばね90bの変速負荷を任意に設定できるものと
なる。
【0022】図11は、板ばね90bの両端部をビス2
00,300でギアケース1側に固定すると共に、リン
グギア31,32の外周全体を、板ばね90bからの距
離が漸次変化するテーパ形状に形成したものを示してい
る。この場合、球状の係止片7bは板ばね90bの下面
に摺接しながらギアケース1の開口部80aのテーパ面
により軸方向に移動するが、リングギア31,32の外
周面が傾斜しているため、係止片7bは次第に大きな負
荷とつりあうことができる。また、板ばね90bの両端
部を固定したことにより、ギアケース1の外側のスペー
スが不要となり、小型化に寄与できる。
【0023】図12は、高速負荷時に係止片7bが係止
する側のリングギア31の係止部35のうち、リングギ
ア32と反対側の部分に、円周方向に沿って係止片7b
を遊転させる溝120を形成したものを示している。つ
まり、リングギア31の外周で且つリングギア32と反
対側の面に係止部36と同じ深さの溝120を形成した
ものであり、この場合、係止片7bが負荷に応じてリン
グギア32と係止するように変速した後、さらに係止片
7bは奥に移動して溝120の領域まで到達した時、係
止片7bが溝120内で遊転することにより、リングギ
ア32は空転する。従って、ある負荷以上でトルクが伝
達できなくなるようなクラッチ機能を持たせることがで
きる。
【0024】また、図13及び図14に示すものは、2
個の球状の係止片7b1 ,7b2 を用い、これら係止片
7b1 ,7b2 をギアケース1の開口部80a内に挿入
すると共に、リングギア31,32の係止部35,36
のうち、リングギア31,32の対向する部分に溝13
0,131を形成したものであり、初期状態では図示省
略したばねにより一方の係止片7b1 は溝131に位置
し、他方の係止片7b 2 はリングギア31の係止部35
に係合し、負荷の増大に伴い、ギアケース1の開口部8
0aのテーパ形状により、他方の係止片7b2 は軸方向
に反力を受け、一方の係止片7b1 をリングギア32の
係止片7b側に押し出してリングギア32の係止部36
に係合させることができる。
【0025】このように、リングギア31,32間に溝
130,131を設け、他方の係止片7b2 により押し
出されて一方の係止片7b1 がリングギア32の係止部
36に係止する際に、一方の係止片7b1 は空転するリ
ングギア32の溝131と係止されたリングギア31の
溝130とに跨がってフリーな状態であり、しかも一方
の係止片7b1 はリングギア32の上に乗っているの
で、一方の係止片7b1とリングギア32との係合がス
ムーズとなる。しかも、リングギア31,32と係合す
る係止片7bは2個の球状に分かれているので、係止片
7bの磨耗自体も分散され、係止片7bの長寿命化によ
り信頼性を高めることができる。
【0026】図15は、隣接するリングギア31,32
の外周面の対向部分に円周方向に溝140を形成すると
共に、溝140内に突起141を突設させたものを示し
ている。この場合、係止片7bが軸方向に移動する際
に、係止片7bは両リングギア31,32にフリーな領
域に到達して、溝140に設けた突起141に乗り上げ
て跳ね飛ばされるようにしてリングギア31の係止部3
5に係止される。従って、係止片7bが両リングギア3
1,32に同時に係止することがなく、モータロックに
よるギアの破損を防止でき、スムーズな変速が可能とな
る。
【0027】図16及び図17に示すものは、係止片7
cを円柱状に形成すると共に、円柱状の係止片7cを回
転自在に保持し、円柱状の係止片7bをベアリング15
0を介して保持部材181に回転自在に取付けたもので
あり、これにより、係止片7bの軸方向への移動時に係
止片7b自体が回転し、係止片7cとリングギア31,
32の係止部35,36やギアケース1の開口部80a
との接触箇所が任意となり、係止片7cの磨耗を分散し
て係止片7bの長寿命化を図ることができる。
【0028】図17は、係止片7dを樹脂成形或いは焼
結などによりブロック状に形成し、係止片7dにおける
ギアケース1の開口部80aとの接触部分Rを断面円弧
状に形成したものを示している。このように係止片7d
におけるギアケース1の開口との接触部分Rに丸みを付
けたことにより、係止片7dの磨耗防止を図ることがで
きると共に、係止片7dにおけるリングギア31,32
の係止部35,36(図1)との接触箇所Qは、直線状
に形成され、係止片7dにリングギア31,32の係止
部35,36が面接触するので、係止片7dから係止部
35,36に伝わる衝撃力が弱く、係止部35,36の
傷みが抑えられ、リングギア31,32の長寿命化を図
ることができる。
【0029】図18は、隣接するリングギア31,32
の係止部35,36の対向面の一方に、係止片7bを係
止部36に逃がすための逃がし面160を設けたものを
示している。この実施例の係止片7bはリングギア3
1,32の径方向に延び、ばね80aを介して保持部材
181に弾性支持されている。変速時には、係止片7b
が一度係止部36の逃がし面160に乗り上げて上方に
逃げることによって、該係止部36と係止片7bとの衝
撃力を和らげることができ、スムーズな変速が可能とな
る。
【0030】尚、上記各実施例では、変速段を高速、低
速の2段としたが、3段以上の変速構成も可能である。
【0031】
【発明の効果】以上のように本発明においては、弾性部
材により一方向にばね付勢された係止片がリングギアの
外周とハウジングに設けた係止部により保持され、ハウ
ジングの係止部は遊星機構の軸方向に沿って幅が漸次変
化するテーパ形状に形成され、係止片は弾性部材で付勢
されながらハウジングの係止部に沿って各リングギアの
係止部間を移動自在とされて成るから、ハウジングにテ
ーパ形状の係止部を形成することによって、リングギア
の外周には従来のようなテーパ形状の係止部を設ける必
要がなく、リングギアの金型構造が簡素化でき、リング
ギアの成形が容易となり、変速装置のコストを低減させ
ることができる。また、リングギアの係止部をテーパ形
状にする必要がないので、係止片の軸方向への移動時に
おいてリングギアは従来のような軸方向に反力を受けな
くなり、両リングギア間の摩擦が小さくなり、リングギ
アの切り替え動作をスムーズに行なうことができると共
に、変速装置の伝達効率の低下を防止できる。さらに、
ハウジングの係止部を遊星機構の軸方向に沿って幅が漸
次変化するテーパ形状としたから、ハウジングの係止部
を連続させることができ、より安定した変速が可能とな
り、切り替え動作時の衝撃をできる限り小さくできる結
果、高信頼性の遊星自動変速装置を安価で提供できると
いう効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の分解斜視図である。
【図2】同上の変速機構の断面図である。
【図3】図2のD−D線断面図である。
【図4】図2のC−C線断面図である。
【図5】同上の係止片の動作状態の説明図である。
【図6】同上の係止片の位置と負荷との関係を示すグラ
フである。
【図7】他の実施例の斜視図である。
【図8】さらに他の実施例の断面図である。
【図9】さらに他の実施例の断面図である。
【図10】さらに他の実施例の断面図である。
【図11】さらに他の実施例の断面図である。
【図12】(a)はさらに他の実施例の断面図、(b)
は斜視図である。
【図13】さらに他の実施例の斜視図である。
【図14】図14の動作説明図である。
【図15】(a)はさらに他の実施例の断面図、(b)
は斜視図である。
【図16】さらに他の実施例の斜視図である。
【図17】(a)(b)は図16の係止片の斜視図であ
る。
【図18】さらに他の実施例の断面図である。
【図19】従来例の変速機構の断面図である。
【図20】他の従来例の変速機構の縦断面図である。
【図21】図20の横断面図である。
【図22】図20の斜視図である。
【符号の説明】
7a 係止片 31,32 リングギア 35,36 リングギアの係止部 80 ハウジングの係止部 90 弾性部材 A ハウジング

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太陽ギアとこれに噛み合う遊星ギア及び
    太陽ギアと同心で遊星ギアが噛み合っているリングギア
    からなる遊星機構を軸方向に複数個設けてハウジング内
    に収納し、各遊星機構における遊転自在とされたリング
    ギアのなかの一つの回転を選択的に阻止する係止片を設
    けるとともに、リングギアにかかる負荷に応じて係止片
    を移動させて係止片が係合するリングギアを切り替える
    ように構成された遊星自動変速装置であって、弾性部材
    により一方向にばね付勢された係止片がリングギアの外
    周とハウジングに設けた係止部により保持され、ハウジ
    ングの係止部は遊星機構の軸方向に沿って幅が漸次変化
    するテーパ形状に形成され、係止片は弾性部材で付勢さ
    れながらハウジングの係止部に沿って各リングギアの係
    止部間を移動自在とされて成ることを特徴とする遊星自
    動変速装置。
  2. 【請求項2】 ハウジングの係止部は、軸方向に対して
    異なる角度で傾斜した複数のテーパ面により構成されて
    いることを特徴とする請求項1記載の遊星自動変速装
    置。
  3. 【請求項3】 係止片は円柱状に形成されていることを
    特徴とする請求項1記載の遊星自動変速装置。
  4. 【請求項4】 係止片は回転自在に保持された円柱体か
    ら成ることを特徴とする請求項1記載の遊星自動変速装
    置。
  5. 【請求項5】 係止片は、単数又は複数の球状に形成さ
    れていることを特徴とする請求項1記載の遊星自動変速
    装置。
  6. 【請求項6】 係止片は単数又は複数の球状に形成され
    ると共に、弾性部材は、球状の係止片をばね付勢する板
    ばねから成ることを特徴とする請求項1記載の遊星自動
    変速装置。
  7. 【請求項7】 弾性部材は、ばね定数が部分的に異なる
    板ばねから成ることを特徴とする請求項6記載の遊星自
    動変速装置。
  8. 【請求項8】 板ばねの一端をハウジングの係止部に対
    してスライド自在に固定して成ることを特徴とする請求
    項6記載の遊星自動変速装置。
  9. 【請求項9】 板ばねをハウジングの係止部に固定する
    と共に、リングギアの外周全体を、板ばねからの距離が
    漸次変化するテーパ形状に形成したことを特徴とする請
    求項6記載の遊星自動変速装置。
  10. 【請求項10】 隣接するリングギアの係止部の対向面
    とは反対側の面に、リングギアの円周方向に沿って係止
    片を遊転させる溝を形成したことを特徴とする請求項6
    記載の遊星自動変速装置。
  11. 【請求項11】 係止片を遊転させる溝の内部に、係止
    片を溝外部に逃がすための突起を突設して成ることを特
    徴とする請求項10記載の遊星自動変速装置。
  12. 【請求項12】 係止片におけるギアケースの開口部と
    の接触部分が断面円弧状に形成されていることを特徴と
    する請求項1記載の遊星自動変速装置。
  13. 【請求項13】 隣接するリングギアの係止部の対向面
    に、係止片を一方の係止部の上面に逃がすための逃がし
    面を設けたことを特徴とする請求項1記載の遊星自動変
    速装置。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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