JPH07317832A - 防振支持装置及びパワーユニット支持装置 - Google Patents

防振支持装置及びパワーユニット支持装置

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JPH07317832A
JPH07317832A JP11293394A JP11293394A JPH07317832A JP H07317832 A JPH07317832 A JP H07317832A JP 11293394 A JP11293394 A JP 11293394A JP 11293394 A JP11293394 A JP 11293394A JP H07317832 A JPH07317832 A JP H07317832A
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JP
Japan
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fluid chamber
orifice
fluid
sub
elastic body
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Application number
JP11293394A
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English (en)
Inventor
Hirofumi Aoki
弘文 青木
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Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】構造を複雑にしなくても、広い周波数帯域に渡
って良好な防振効果が得られるようにする。 【構成】内筒2及び外筒3間に介在する支持弾性体4内
に主流体室7を形成し、ダイアフラム9によって画成さ
れた容積可変の第1副流体室8を形成し、主流体室7と
第1副流体室8との間は第1オリフィス11を介して連
通させる一方、ダイアフラム12によって画成された第
2副流体室13を形成し、主流体室7と第2副流体室1
3とは第2オリフィス16を介して連通させる。さら
に、ダイアフラム12の外面側には、このダイアフラム
12全体を包囲するように箱型のキャップ14を配設
し、主流体室7,第1副流体室8,第1オリフィス1
1,第2副流体室13及び第2オリフィス16内には、
油等の流体を封入する。そして、ダイアフラム9のばね
定数を、ダイアフラム12のばね定数よりも大きくす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、振動する機械等を土
台等の支持体に支持するための防振支持装置及びエンジ
ン等からなるパワーユニットを車体に支持するためのパ
ワーユニット支持装置に関し、特に、流体封入式の防振
支持装置,パワーユニット支持装置において、広い周波
数帯域に渡って良好な防振効果が得られるようにしたも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来の流体封入式の防振支持装置として
は、例えば『自動車技術ハンドブック第1巻』(社団法
人自動車技術会 1991年3月1日発行)第300頁
の図7−127に示されるようなものが知られている。
即ち、この防振支持装置は所謂液体封入式エンジンマウ
ントと呼ばれる装置であって、エンジン及び車体間に介
在する支持弾性体内に主流体室を画成するとともに、そ
の主流体室にオリフィスを介して連通し且つダイアフラ
ム等によって形成されて容積可変の副流体室を設けてい
て、それら主流体室,副流体室及びオリフィス内に流体
を封入したものであり、主流体室を画成する支持弾性体
の拡張方向のばね定数とオリフィス内流体の質量とで決
まる流体共振周波数を、例えばエンジンシェイク等の比
較的低周波領域で問題となる振動の周波数にチューニン
グすることにより、エンジンの共振を抑制して車体側の
振動を低減するようにしていた。
【0003】ここで、特にFF(フロントエンジン・フ
ロントドライブ)形式の車両においては、サスペンショ
ンからの路面入力やリアエンジンマウントからの入力に
よる振動を防振するためにサスペンションメンバを設
け、そのサスペンションメンバをゴム等の弾性体で構成
されるブッシュを介して車体に取り付ける構造が採用さ
れることが多い。そして、サスペンションメンバの上下
方向の剛体共振周波数を40〜50Hz程度に設定し、
その防振領域を利用して、ロード・ノイズの原因となる
路面入力を遮断するようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、サスペ
ンションメンバの剛体共振をロード・ノイズの低減を目
的としてチューニングした場合には、確かに路面側から
の入力はサスペンションメンバによって遮断可能である
が、アイドル状態からの発進時にリアエンジンマウント
(エンジンを支持する複数のエンジンマウントのうち、
車両前後方向で後側に配置されるエンジンマウント)か
らの入力が増加すると、エンジンの加振力(4気筒レシ
プロエンジンであれば、エンジン回転2次成分に同期し
て発生する加振力)によりサスペンションメンバの剛体
共振が励起され、これが原因となって車室内での圧迫感
を伴う低周波の騒音(こもり音)が発生してしまうとい
う問題点がある。
【0005】このような問題点を解決するために、上述
した従来の液体封入式エンジンマウントの特性を、主流
体室を画成する支持弾性体の拡張方向のばね定数とオリ
フィス内流体の質量とを適宜選定することにより、サス
ペンションメンバの共振周波数においてばね定数が小さ
くなるようにし、これをリアエンジンマウントとして用
いることが考えられ、その場合、液体封入式エンジンマ
ウントの特性と、サスペンションメンバの振動特性とが
組み合わされることにより、低周波から高周波まで広範
囲に渡って良好な防振特性が確保される。
【0006】しかし、特にFF車のリアエンジンマウン
トには、車両発進時のパワーユニットと車体との接触を
確実に防止するためにエンジンマウントの変位を規制す
るストッパが設けられており、通常の発進時にはこのス
トッパが働いてエンジンマウントの変位が規制されるた
め、上述した低周波から高周波までの広範囲に渡る良好
な防振特性を得ることができず、発進時のこもり音を低
減することができなかった。
【0007】なお、このような不具合を解決するための
技術として、例えば特開昭63−23041号公報に開
示されるような装置がある。かかる従来の装置は、上述
した従来の液体封入式エンジンマウントを改良した装置
であって、主流体室と副流体室とを別個に形成された二
つのオリフィスによって連通させるとともに、一方のオ
リフィスを車両の運転状態等に応じて開閉制御すること
により、良好な防振特性を得るようにしていた。しかし
ながら、上記公報記載の装置では、オリフィスを開閉す
るための装置を設けなければならないため、構造が複雑
になり、コストが嵩み、装置が大型化してしまうという
問題点があった。特に、装置が複雑化すると、それだけ
装置全体としての耐久性,信頼性が落ちることになり、
例えばオリフィスを開閉する装置が故障してしまえば充
分は防振効果が得られなくなってしまう。
【0008】本発明は、このような従来の技術が有する
種々の問題点に着目してなされたものであって、構造を
複雑化することなく、確実に低周波から高周波まで広範
囲に渡って良好な防振特性が確保できる防振支持装置及
びパワーユニット支持装置を提供することを目的として
いる。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、請求項1に係る発明である防振支持装置は、支持体
及び振動体間に介装される支持弾性体と、この支持弾性
体と並列関係に構成され且つ前記支持体及び振動体間の
相対変位により容積が変化する主流体室と、第1オリフ
ィスを介して前記主流体室に連通し且つ第1隔壁用弾性
体によって画成された容積可変の第1副流体室と、第2
オリフィスを介して前記主流体室に連通し且つ第2隔壁
用弾性体によって画成された容積可変の第2副流体室
と、それら主流体室,第1副流体室,第2副流体室,第
1オリフィス及び第2オリフィス内に封入された流体
と、を備え、前記第1隔壁用弾性体のばね定数を前記第
2隔壁用弾性体のばね定数よりも大きくするとともに、
前記第2副流体室の容積の変化を所定範囲内に規制する
容積変化規制手段を設けた。
【0010】また、請求項2に係る発明である防振支持
装置は、上記請求項1に係る発明において、前記第1オ
リフィスを通過する流体の流体共振周波数と、前記第2
オリフィスを通過する流体の流体共振周波数とを個別に
設定した。一方、上記目的を達成するために、請求項3
に係る発明であるパワーユニット支持装置は、車体及び
パワーユニット間に介装される支持弾性体と、この支持
弾性体と並列関係に構成され且つ前記車体及びパワーユ
ニット間の相対変位により容積が変化する主流体室と、
第1オリフィスを介して前記主流体室に連通し且つ第1
隔壁用弾性体によって画成された容積可変の第1副流体
室と、第2オリフィスを介して前記主流体室に連通し且
つ第2隔壁用弾性体によって画成された容積可変の第2
副流体室と、それら主流体室,第1副流体室,第2副流
体室,第1オリフィス及び第2オリフィス内に封入され
た流体と、を備え、前記第1隔壁用弾性体のばね定数を
前記第2隔壁用弾性体のばね定数よりも大きくするとと
もに、前記第2副流体室の容積の変化を所定範囲内に規
制する容積変化規制手段を設けた。
【0011】また、請求項4に係る発明であるパワーユ
ニット支持装置は、上記請求項3に係る発明において、
前記容積変化規制手段は、車両発進時に加わる荷重によ
る前記第2副流体室の容積の変化を前記所定範囲の一方
の限界とした。そして、請求項5に係る発明であるパワ
ーユニット支持装置は、上記請求項3又は請求項4に係
る発明において、前記第1オリフィスを通過する流体の
流体共振周波数を、前記車体に弾性体を介して結合され
るサスペンションメンバの共振周波数に一致又は略一致
させ、前記第2オリフィスを通過する流体の流体共振周
波数を、アイドル振動の周波数に一致又は略一致させ
た。
【0012】さらに、請求項6に係る発明は、上記請求
項3〜請求項5に係る発明であるパワーユニット支持装
置を、フロントエンジン・フロントドライブ形式の車両
のエンジンのリアエンジンマウントとして適用した。
【0013】
【作用】請求項1に係る発明にあっては、振動体の荷重
が支持弾性体を介して支持体に加わっているため、その
支持弾性体は加わっている荷重分だけ変形し、支持弾性
体が変形するとこれと並列関係にある主流体室の容積も
変化する。そして、主流体室内には流体が封入されてい
るから、その容積が変化すると、容積変化分の流体は、
第1オリフィスを通じて第1副流体室に排出(又は第1
副流体室から供給)されるか若しくは第2オリフィスを
通じて第2副流体室に排出(又は第2副流体室から供
給)されることになるが、第1副流体室を画成する第1
隔壁用弾性体のばね定数が、第2副流体室を画成する第
2隔壁用弾性体のばね定数よりも大きい、つまり第1隔
壁用弾性体の方が第2隔壁用弾性体よりも固いため、第
2副流体室の容積が変化可能な範囲であれば、主流体室
の容積変化分の流体は、第2オリフィスを通じて第2副
流体室に排出(又は第2副流体室から供給)されること
になる。
【0014】従って、振動体の振動に伴って支持弾性体
に弾性変形が生じ、主流体室に容積変動が生じると、主
流体室及び第2副流体室間で第2オリフィスを介して流
体が移動することになる。しかし、第2副流体室の容積
は容積変化規制手段によって所定範囲内でのみ変化可能
となっているから、例えば支持弾性体に大きな静荷重が
加わり第2副流体室の容積が大きく変化している状況で
は、第2オリフィスを介しての流体の移動が規制され
る。すると、振動体の振動に伴って支持弾性体に弾性変
形が生じ、主流体室に容積変動が生じると、主流体室及
び第1副流体室間で第1オリフィスを介して流体が移動
することになる。
【0015】そこで、請求項2に係る発明のように、第
1オリフィス及び第2オリフィス毎に設定可能な流体共
振周波数を個別に設定すれば、複数種類の振動に対して
防振特性が発揮される。具体的には、第2オリフィスを
通過する流体の流体共振周波数を、第2副流体室の容積
が変化可能な状況で発生する問題となる振動の周波数に
チューニングし、第1オリフィスを通過する流体の流体
共振周波数を、第2副流体室の容積が変化不可能な状況
で発生する問題となる振動の周波数にチューニングすれ
ば、広い周波数帯域に渡って防振効果が発揮される。
【0016】一方、請求項3に係る発明は、簡単に言え
ば上記請求項1に係る防振支持装置を、車両のパワーユ
ニットを支持する装置としたものであり、その作用も上
記請求項1に係る防振支持装置の作用と実質的に同一で
ある。即ち、パワーユニットの荷重が支持弾性体を介し
て車体に加わっているため、その支持弾性体は加わって
いる荷重分だけ変形し、支持弾性体が変形するとこれと
並列関係にある主流体室の容積も変化する。そして、主
流体室内には流体が封入されているから、その容積変化
分の流体は、第1隔壁用弾性体の方が第2隔壁用弾性体
よりも固いため、第2副流体室の容積が変化可能な範囲
であれば、第2オリフィスを通じて第2副流体室に排出
(又は第2副流体室から供給)されることになる。従っ
て、パワーユニットの振動に伴って支持弾性体に弾性変
形が生じ、主流体室に容積変動が生じると、主流体室及
び第2副流体室間で第2オリフィスを介して流体が移動
することになる。
【0017】しかし、この請求項3に係る発明にあって
も、第2副流体室の容積は容積変化規制手段によって所
定範囲内でのみ変化可能となっているから、例えば支持
弾性体に大きな静荷重が加わり第2副流体室の容積が大
きく変化している状況では、第2オリフィスを介しての
流体の移動が規制される。すると、パワーユニットの振
動に伴って支持弾性体に弾性変形が生じ、主流体室に容
積変動が生じると、主流体室及び第1副流体室間で第1
オリフィスを介して流体が移動する。
【0018】そして、第2副流体室の容積が変化できる
所定範囲の一方の限界が、請求項4に係る発明のように
車両発進時に加わる荷重に基づいて定められていると、
アイドル時等には第2副流体室の容積変化が可能であ
り、車両発進時には第2副流体室の容積変化が不可能と
なって第1オリフィスを通じて主流体室及び第1副流体
室間を流体が移動することになるが、第1隔壁用弾性体
は、第2隔壁用弾性体よりも固いため、このパワーユニ
ット支持装置の静ばね定数は、アイドル時には低く、車
両発進時には高くなる。
【0019】さらに、例えば請求項5に係る発明のよう
に、第1オリフィスを通過する流体の流体共振周波数が
車両発進時に問題となるサスペンションメンバの共振周
波数にチューニングされ、第2オリフィスを通過する流
体の流体共振周波数がアイドル振動の周波数にチューニ
ングされていれば、サスペンションメンバの共振は第1
オリフィスを通過する流体の流体共振によって低減さ
れ、アイドル振動は第2オリフィスを通過する流体の流
体共振によって低減される。
【0020】さらに、請求項6に係る発明のように、上
記請求項3〜5に係るパワーユニットがFF車両のリア
エンジンマウントとして適用した場合、発進時のリアエ
ンジンマウントにはアイドル時に比べて大きな荷重が加
わるから、特にリアエンジンマウントには、アイドル時
と発進時とで異なる特性が要求される。従って、上記請
求項3〜5に係る発明の作用が有効に働く。
【0021】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1は本発明に係るパワーユニット支持装置
(防振支持装置)1の断面図であり、より具体的には、
このパワーユニット支持装置1は、FF車両のリアエン
ジンマウントとして用いられるものである。
【0022】先ず、構成を説明すると、このパワーユニ
ット支持装置1は、図示しないエンジン等を含むパワー
ユニット(振動体)若しくは車体(支持体)の一方にブ
ラケットを介して取り付けられる内筒2と、この内筒2
を同軸に包囲し且つ図示しないパワーユニット若しくは
車体の他方にブラケットを介して取り付けられる外筒3
と、これら内筒2及び外筒3間に介在するゴム等の支持
弾性体4と、を有している。従って、パワーユニットの
静荷重は、支持弾性体4を介して車体に支持されてい
る。
【0023】具体的には、支持弾性体4の内周面に内筒
2の外周面が加硫接着されるとともに、支持弾性体4の
外周面は、薄ゴム層5が形成された外筒3の内周面に圧
入されている。ただし、図1は、パワーユニット支持装
置1の軸方向中央部分の断面図であるため、支持弾性体
4と薄ゴム層5とが接している部分は図示されていな
い。そして、内筒2及び外筒3間の軸方向中央部分の支
持弾性体4には周方向に連続した環状溝4Aが形成され
ていて、その環状溝4Aには、円筒形のオリフィス構成
体6が外筒3及び支持弾性体4間に介在するように外嵌
している。
【0024】また、支持弾性体4のオリフィス構成体6
に囲まれた部分の内筒2を挟んだ下側には、支持弾性体
4の一部分を切り取ることにより主流体室7が形成され
ている。従って、この主流体室7は、その上面及び両端
面は支持弾性体4によって画成され、その両側面及び底
面はオリフィス構成体6によって画成されており、支持
弾性体4とは内筒2及び外筒3間において並列関係にあ
る。
【0025】一方、支持弾性体4のオリフィス構成体6
に囲まれた部分の内筒2を挟んだ上側には、支持弾性体
4の一部分を切り取ることにより第1副流体室8が形成
されるとともに、その第1副流体室8の下面側には、支
持弾性体4と一体に、第1隔壁用弾性体としてのダイア
フラム9が形成されている。なお、ダイアフラム9の下
側には、軸方向端面において大気圧に通じた空間10が
形成されている。
【0026】従って、第1副流体室8は、その両端面は
支持弾性体4によって画成され、その上面及び両側面は
オリフィス構成体6によって画成され、その底面はダイ
アフラム9によって画成されていて、ダイアフラム9は
その下側に空間10が形成されているため伸縮自在であ
るから、この第1副流体室8の容積は可変となってい
る。
【0027】そして、主流体室7と第1副流体室8との
間は、オリフィス構成体6の肉厚内を図1の右下から右
上に連続する第1オリフィス11を介して連通してい
る。また、外筒3の外周面には、第1副流体室8が形成
された側を覆うように、第2隔壁用弾性体としてのダイ
アフラム12が配設されている。このダイアフラム12
は、縁部分の全体が外筒3外周面に密着していて、その
ダイアフラム12及び外筒3外周面で挟まれた空間に、
第2副流体室13が画成されている。
【0028】さらに、ダイアフラム12の外面側には、
このダイアフラム12全体を包囲するように容積変化規
制手段としての箱型のキャップ14が配設されている。
これらダイアフラム12及びキャップ14は、第2副流
体室13の気密性が確保されるように外筒3に固定され
ている。具体的には、フランジ部14aと外筒3外周面
との間にダイアフラム12の縁部分を挟み込んだ状態
で、そのフランジ部14aを外筒3外周面に押し当てて
密着させ、そしてフランジ部14a及びダイアフラム1
2縁部分を一体に貫通する図示しないボルト或いはリベ
ットで両者を外筒3に固定している。
【0029】ただし、キャップ14には図示しない貫通
孔が形成されていて、これによりダイアフラム12外面
とキャップ14内面とで画成された空間15には大気圧
が導入されている。従って、ダイアフラム12で画成さ
れた第2副流体室13の容積は、ダイアフラム12の変
形が可能な範囲内(つまりダイアフラム12の変形がキ
ャップ14で規制されない限り)において、可変となっ
ている。
【0030】そして、主流体室7と第2副流体室13と
は、オリフィス構成体6の肉厚内を図1の左下から右上
に連続する(つまり、第1オリフィス11の略対象位置
に形成された)第2オリフィス16を介して連通してい
る。さらに、主流体室7,第1副流体室8,第1オリフ
ィス11,第2副流体室13及び第2オリフィス16内
には、油等の流体が封入されている。
【0031】ここで、ダイアフラム9及び12のばね定
数は、支持弾性体4のばね定数に比べて充分小さくなっ
ている。従って、第1副流体室及び第2副流体室の容積
の変化は、主流体室7の容積変動に伴う第1オリフィス
11又は第2オリフィス16を通じての流体の移動に依
存することになる。ただし、本実施例では、ダイアフラ
ム9とダイアフラム12との関係においては、前者のば
ね定数を後者のばね定数よりも充分大きくしている。
【0032】また、主流体室7の拡張方向のばね定数
(具体的には、支持弾性体4のうち、主流体室7の軸方
向端面を形成する部分の軸方向のばね定数)と、第1オ
リフィス11内の流体質量とで略決まる流体共振周波数
を、サスペンションメンバ(ここでは、このパワーユニ
ット支持装置1が固定される車体に結合されたサスペン
ションメンバを指す)の共振周波数(通常、40〜50
Hz程度)に一致又は略一致させるとともに、主流体室
7の拡張方向のばね定数と、第2オリフィス16内の流
体質量とで決まる流体共振周波数を、アイドル振動の周
波数(通常、20〜30Hz程度)に一致又は略一致さ
せている。
【0033】ここで、キャップ14は、ダイアフラム1
2を包囲するような箱型であることから、第2副流体室
13の容積の変化は、そのキャップ14の大きさによっ
て決まる範囲内に規制されることになる。そして、本実
施例のキャップ14は、リアエンジンマウントとして用
いられるパワーユニット支持装置1に、アイドル状態で
最も荷重が加わる状態(例えば、自動変速機を備えた車
両において、その変速機のシフト位置がドライブレンジ
に入っている場合等)であっても、第2副流体室13の
容積変化が可能である一方で、さらに大きな負荷が加わ
る車両発進時(エンジンに、1/4負荷以下の負荷が掛
かっている通常の発進時)には、第2副流体室13の容
積変化を規制するような寸法となっている。なお、キャ
ップ14の具体的な寸法は、ダイアフラム12のばね定
数や大きさ,エンジンの形式,パワーユニットの質量等
によって異なるため、実験等に基づいて適宜決定するこ
とになる。
【0034】次に、本実施例の作用を説明する。即ち、
このパワーユニット支持装置1を実際にパワーユニット
及び車体間に配設すると、このパワーユニット支持装置
1はパワーユニットの荷重の一部を受け持つことにな
り、パワーユニット支持装置1に荷重が加わると、内筒
2及び外筒3間には支持弾性体4の弾性変形を伴った相
対変位が生じる。
【0035】そして、例えば、図1の上下関係のまま、
内筒2をパワーユニット側に固定し且つ外筒3を車体側
に固定しているのであれば、パワーユニットの荷重によ
る支持弾性体4の弾性変形は、主流体室7の容積を縮小
する方向に作用することになるが、主流体室7内には流
体が封入されているため、縮小した容積分の流体は主流
体室7から流出することになる。
【0036】主流体室7には第1副流体室8及び第2副
流体室13が連通しているから、主流体室7内の流体
は、それら第1副流体室8,第2副流体室13の何れか
一方或いは両方に流出することになるが、本実施例で
は、ダイアフラム9をダイアフラム12よりも硬くして
いるから、第2副流体室13の方が小さな力で容積が変
化するようになっているし、しかもエンジン停止時の荷
重が加わった程度では第2副流体室13の容積変化は特
に規制されることはないので、エンジン停止時に主流体
室7から排出される流体のほとんどは、第2副流体室1
3に流入することになる。
【0037】この状態でエンジンを始動させてアイドル
状態になるとともに、ドライブレンジにシフト位置が切
り換わった結果、リアエンジンマウントであるパワーユ
ニット支持装置1に比較的大きな荷重が加わったとす
る。しかし、そのような荷重が加わった状態でも、キャ
ップ14の寸法を上述したように設定しているため、第
2副流体室13の容積変化は可能な状態である。
【0038】つまり、アイドル状態で最も荷重が加わっ
た状態であっても、第1副流体室8及び第2副流体室1
3の両方の容積が変化可能となっているから、パワーユ
ニット支持装置1にアイドル振動が伝達されて支持弾性
体4にアイドル振動に同期した変形が生じ、主流体室7
に容積変動が生じると、第1オリフィス11を通じて主
流体室7及び第1副流体室8間で流体が移動するととも
に、第2オリフィス16を通じて主流体室7及び第2副
流体室13間で流体が移動することができる。しかも、
第2オリフィス16を通過する流体の流体共振周波数を
アイドル振動領域にチューニングしているから、このア
イドル状態におけるパワーユニット支持装置1のばね定
数は、図2の実線で示すような特性となり、アイドル振
動を抑制することができる。
【0039】次に、このアイドル状態から車両が走行を
開始して発進状態となると、リアエンジンマウントとし
てのパワーユニット支持装置1には、さらに大きな荷重
が加わり、第2副流体室13にさらに多量の流体が主流
体室7から供給され、ダイアフラム12の拡張がキャッ
プ14によって阻止される。従って、主流体室7及び第
2副流体室13間での流体の移動が不可能になるから、
パワーユニット側から振動が伝達され、その伝達された
振動によって支持弾性体4に弾性変形が生じて主流体室
7に容積変動が生じると、第1オリフィス11を通じて
の主流体室7及び第1副流体室8間での流体の移動が生
じることになる。
【0040】ここで、従来の流体封入式エンジンマウン
トをリアエンジンマウントとして用いると、アイドル状
態における振動伝達率を低減するためにそのばね定数を
大きくすることができないため、発進時に大荷重が加わ
ると大きく変位してしまうことから、その発進時の荷重
が加わった程度でもパワーユニットの傾斜を規制するス
トッパが働くようになっていた。従って、発進時には流
体封入式エンジンマウントとしての機能は発揮できず、
従来のエンジンマウントにおけるサスペンションメンバ
から車体への入力特性を表す図3破線に示すように、サ
スペンションメンバの剛体共振を励起してしまう結果と
なっていた。
【0041】これに対し、本実施例の構成であれば、ア
イドル時には第2オリフィス16を通じての主流体室7
及び第2副流体室13間での流体の移動が可能であり、
その第2副流体室13を画成するダイアフラム12のば
ね定数を低い値としているから、パワーユニット支持装
置1の低ばね定数は確保される一方、発進時の大荷重が
加わった状態では、その第2副流体室13の容積変化が
規制されるとともに、第1オリフィス11を通じて主流
体室7との間で流体が移動する第1副流体室8を画成す
るダイアフラム12のばね定数が、比較的高い値である
から、車両発進時のパワーユニット支持装置1の静ばね
定数は高い値となる。つまり、本実施例の構成であれ
ば、アイドル時の振動伝達率の低減に寄与できる一方
で、発進時におけるパワーユニットの姿勢変化を抑制す
ることができるのである。
【0042】従って、この車両発進時になっても流体封
入式エンジンマウントとしての動作は可能であり、しか
も第1オリフィス11を通過する流体の流体共振周波数
を、サスペンションメンバの共振周波数にチューニング
しているから、本実施例の構成によるサスペンションメ
ンバから車体への入力特性を表す第3図実線に示すよう
に、サスペンションメンバの剛体共振による入力を大幅
に低減することができるのである。
【0043】そして、急発進時等のように極端に大きな
荷重がリアエンジンマウントとしてのパワーユニット支
持装置1に加わった場合に、パワーユニットの傾きを防
止する通常のストッパ(図示せず)が働くようにしてお
けば、パワーユニットの極端な傾斜を防止することがで
きる。ただし、その状態での流体封入式エンジンマウン
トとしての機能は発揮し得なくなるが、通常の発進時と
異なり急発進時はエンジン騒音を特に問題とする状況と
も思えないから、流体封入式エンジンマウントとしての
機能しなくなっても構わないと考えられる。
【0044】このように、本実施例の構成によれば、ア
イドル時及び発進時の両方において問題となっていた振
動を、一つのパワーユニット支持装置1によって低減す
ることができる。しかも、状況に応じてオリフィスを機
械的に遮断する等の構造は不要であるから、装置の大幅
な複雑化,高価格化を招くこともないし、高い耐久性や
信頼性を容易に確保することができる。
【0045】なお、上記実施例では、内筒2をパワーユ
ニット側に取り付けるとともに、外筒3を車体側に取り
付ける場合について作用を説明したが、内筒2を車体側
に、外筒3をパワーユニット側に取り付けてもよい。た
だし、その場合に、図1の上下関係でパワーユニット支
持装置1をパワーユニット及び車体間に配設すると、パ
ワーユニット支持装置1に加わるパワーユニットの静荷
重は、主流体室7を拡大させる方向に作用し、その時の
拡大分の流体が主として第2副流体室13から供給され
ることになるから、大荷重が加わった場合に第2副流体
室13の容積変化を規制する容積変化規制手段は、キャ
ップ14ではなくダイアフラム12内面が対向する外筒
3の外周面となる。なお、図1の上下関係を逆にしてパ
ワーユニット支持装置1をパワーユニット及び車体間に
配設するとともに、内筒2を車体側に、外筒3をパワー
ユニット側に取り付ければ、静荷重は主流体室7を縮小
させる方向に作用するから、上記実施例と同様の作用効
果が得られる。
【0046】また、上記実施例では、車両のパワーユニ
ット及び車体間に介在するパワーユニット支持装置1に
ついて説明したが、本発明はそれ以外の防振支持装置で
あっても適用可能である。そして、パワーユニット支持
装置1以外に適用した場合であっても、第2副流体室1
3の容積変化を所定範囲内に限定するキャップ14の寸
法を適宜選定するとともに、第1オリフィスを通過する
流体の流体共振周波数と、第2オリフィスを通過する流
体の流体共振周波数とを、問題となる振動の周波数に応
じて個別にチューニングすることにより、上記実施例の
ように、広い周波数帯域に渡って良好な防振効果を得る
ことができる。
【0047】さらに、上記実施例では、本発明に係るパ
ワーユニット支持装置1(防振支持装置)を、二重に配
設された内筒2及び外筒3間に支持弾性体4を介在させ
た構造に適用した場合について説明しているが、本発明
の適用可能な構造はこれに限定されるものではなく、例
えば上記公報に開示されるような構造、即ち上下に離隔
した二つの部材間に支持弾性体を介在させた構造であっ
ても構わない。
【0048】また、第2副流体室13の容積変化を規制
する手段として、上記実施例ではダイアフラム12の外
面側を覆うようにストッパ14を設けているが、そのよ
うな手段は上記実施例のストッパ14に限定されるもの
ではなく、要はダイアフラム12の一定以上の変形を阻
止できる構造であればよい。例えば、軽量化を図るため
に、ストッパ14を板部材からではなく網状の部材から
形成してもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明によれば、主流体室と、第1副流体室,第2副流体室
との間を第1オリフィス,第2オリフィスを介して個別
に連通させるとともに、第1副流体室を画成する弾性体
のばね定数を、第2副流体室を画成する弾性体のばね定
数よりも大きくし、そして第2副流体室の容積変化を所
定範囲に規制する手段を設けたため、広い周波数帯域に
渡って良好な防振効果が得られるという効果がある。
【0050】特に、請求項2に係る発明のように、第1
オリフィス側の流体共振周波数と、第2オリフィス側の
流体共振周波数とを別個に適宜設定するようにすれば、
それら流体共振による良好な防振効果を二つの周波数帯
域において発揮することができるから、上記請求項1に
係る発明の効果をより確実に得ることができる。そし
て、請求項3に係る発明によれば、パワーユニット支持
装置を上記請求項1に係る発明である防振支持装置と同
等の構成としたため、車体に伝搬される振動を広い周波
数帯域に渡って防振することができる。
【0051】特に、請求項4に係る発明のようにすれ
ば、パワーユニット支持装置の静ばね定数を、アイドル
時には低く、発進時には高くすることができるから、ア
イドル時の振動伝達率の低減に寄与できる一方で、発進
時におけるパワーユニットの姿勢変化を抑制することが
できる。さらに、請求項5に係る発明であれば、サスペ
ンションメンバの共振は第1オリフィスを通過する流体
の流体共振によって低減され、アイドル振動は第2オリ
フィスを通過する流体の流体共振によって低減されるか
ら、より良好な防振効果を得ることができる。
【0052】そして、請求項6に係る発明であれば、請
求項3〜5に係る発明であるパワーユニット支持装置の
作用効果を最も有効に発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例の構成を示す断面図である。
【図2】パワーユニット支持装置のばね定数の周波数特
性図である。
【図3】サスペンションメンバから車体への入力の周波
数特性図である。
【符号の説明】
1 パワーユニット支持装置(防振支持装置) 2 内筒 3 外筒 4 支持弾性体 6 オリフィス構成体 7 主流体室 8 第1副流体室 9 ダイアフラム(第1隔壁用弾性体) 11 第1オリフィス 12 ダイアフラム(第2隔壁用弾性体) 13 第2副流体室 14 キャップ(容積変化規制手段) 16 第2オリフィス

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体及び振動体間に介装される支持弾
    性体と、この支持弾性体と並列関係に構成され且つ前記
    支持体及び振動体間の相対変位により容積が変化する主
    流体室と、第1オリフィスを介して前記主流体室に連通
    し且つ第1隔壁用弾性体によって画成された容積可変の
    第1副流体室と、第2オリフィスを介して前記主流体室
    に連通し且つ第2隔壁用弾性体によって画成された容積
    可変の第2副流体室と、それら主流体室,第1副流体
    室,第2副流体室,第1オリフィス及び第2オリフィス
    内に封入された流体と、を備え、前記第1隔壁用弾性体
    のばね定数を前記第2隔壁用弾性体のばね定数よりも大
    きくするとともに、前記第2副流体室の容積の変化を所
    定範囲内に規制する容積変化規制手段を設けたことを特
    徴とする防振支持装置。
  2. 【請求項2】 前記第1オリフィスを通過する流体の流
    体共振周波数と、前記第2オリフィスを通過する流体の
    流体共振周波数とを個別に設定した請求項1記載の防振
    支持装置。
  3. 【請求項3】 車体及びパワーユニット間に介装される
    支持弾性体と、この支持弾性体と並列関係に構成され且
    つ前記車体及びパワーユニット間の相対変位により容積
    が変化する主流体室と、第1オリフィスを介して前記主
    流体室に連通し且つ第1隔壁用弾性体によって画成され
    た容積可変の第1副流体室と、第2オリフィスを介して
    前記主流体室に連通し且つ第2隔壁用弾性体によって画
    成された容積可変の第2副流体室と、それら主流体室,
    第1副流体室,第2副流体室,第1オリフィス及び第2
    オリフィス内に封入された流体と、を備え、前記第1隔
    壁用弾性体のばね定数を前記第2隔壁用弾性体のばね定
    数よりも大きくするとともに、前記第2副流体室の容積
    の変化を所定範囲内に規制する容積変化規制手段を設け
    たことを特徴とするパワーユニット支持装置。
  4. 【請求項4】 前記容積変化規制手段は、車両発進時に
    加わる荷重による前記第2副流体室の容積の変化を前記
    所定範囲の一方の限界とした請求項3記載のパワーユニ
    ット支持装置。
  5. 【請求項5】 前記第1オリフィスを通過する流体の流
    体共振周波数を、前記車体に弾性体を介して結合される
    サスペンションメンバの共振周波数に一致又は略一致さ
    せ、前記第2オリフィスを通過する流体の流体共振周波
    数を、アイドル振動の周波数に一致又は略一致させた請
    求項3又は請求項4記載のパワーユニット支持装置。
  6. 【請求項6】 フロントエンジン・フロントドライブ形
    式の車両のエンジンのリアエンジンマウントとして適用
    する請求項3乃至請求項5のいずれかに記載のパワーユ
    ニット支持装置。
JP11293394A 1994-05-26 1994-05-26 防振支持装置及びパワーユニット支持装置 Pending JPH07317832A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0811785A3 (de) * 1996-06-04 2000-01-05 Firma Carl Freudenberg Hydraulisch dämpfende Hülsengummifeder

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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