JPH07316849A - 地表及び土中包気帯で土に接触させて使用される耐食性鋼材及びその製造方法 - Google Patents

地表及び土中包気帯で土に接触させて使用される耐食性鋼材及びその製造方法

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JPH07316849A
JPH07316849A JP13782794A JP13782794A JPH07316849A JP H07316849 A JPH07316849 A JP H07316849A JP 13782794 A JP13782794 A JP 13782794A JP 13782794 A JP13782794 A JP 13782794A JP H07316849 A JPH07316849 A JP H07316849A
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JP
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corrosion
steel material
soil
metal
steel
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JP13782794A
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Yoichi Ito
陽一 伊藤
Keita Suzumura
恵太 鈴村
Kiyoshi Nishida
清 西田
Kensho Yuasa
健正 湯浅
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 地下燃料タンク,地上タンク底板,鉄塔類脚
部,鋼構造物土中基礎等の地表及び土中包気帯で土に接
触させて使用される鋼材の腐食を防止する簡易な耐食性
鋼材およびその製造方法を提供すること。 【構成】 鋼材5よりも電位的に卑な金属を40μm〜
500μm被覆させた耐食性鋼材で、前記被膜中に前記
金属の粒径が鋼材面に対する平行成分dH 3として40
μm以上、かつ平行成分と垂直成分dV 2の比dH /d
V が1〜10からなる、膜厚が40μm以上の被膜制御
層を有することを特徴とする。鋼材5よりも電位的に卑
な金属としては、亜鉛、亜鉛−アルミ合金あるいはアル
ミ等が有効であり、これらの金属溶射によって被膜を形
成することが適している。地表及び土中包気帯で土に接
触させて使用する鋼材の耐用年数を大幅に向上させるこ
とができる。従来の方法に比べ簡易に、低コストで長期
の耐久性を得ることができ、トータルしての経済効果は
非常に大きい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、地下燃料タンク,地上
タンク底板,鉄塔類脚部,鋼構造物土中基礎等の地表及
び土中包気帯で土に接触させて使用される鋼材の簡易な
防食方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】経済の発達と共に、安価で信頼性高く構
造を支える材料としての鋼材の使用量は大きく伸びてき
た。その使われ方には多種類のものがあるが、その中で
例えば、地下燃料タンク,地上タンク底板,鉄塔類脚
部,鋼構造物土中基礎等の地表及び土中包気帯で土に接
触させて使用されるケースが多数存在する。鋼材は、特
殊な環境を除くと腐食することが欠点の一つであり、土
と接触する環境の場合にも土壌腐食という問題がある。
従来、例えば、鋼杭に関する調査研究等の結果による
と、地下水位より上になる包気帯での腐食は比較的小さ
いとされていた。しかし、地上タンクの底板などの例で
は、必ずしも常に腐食は小さいとは限らないことが知ら
れている。また、その他の場合でも、より長期間メンテ
ナンスフリーな状態を求めて多くの技術開発が重ねられ
ている。従来、この腐食を防ぐために広く使用されてい
るのは、電気防食法である。すなわち、外部電源方式
や、犠牲陽極方式によって鋼材をカソードにする事で防
食しようとするものである。しかし、包気帯ではその下
の飽和水帯に比較すると土中の水分濃度が必ずしも高く
ないために、鋼材面全面にわたって均一な電流分布が得
られず、全面的な防食には必ずしも万全ではないこと、
またカソード反応によって水素が発生し、鋼板の水素脆
性等の問題が懸念されることなどいくつかの問題点を有
している。この他、塗覆装による方法もあるが、パイプ
ラインの例にみられるように欠陥部に対する懸念から電
気防食と併用する必要があるなど必ずしも簡易な防食方
法であるとはいい難い。近年、例えば特開昭57−17
1658号公報、特開平05−33969号公報、等に
は、アルミや亜鉛+アルミ亜鉛被覆等を溶射によって施
す方法が公開されている。これらは、被覆をすれば例え
ば電気防食などが必須ではなく簡易な方法と考えられる
が、より長期のメンテフリーの観点からはさらに寿命を
のばす方法が必要とされる。溶射被膜を使用する方法と
しては、この他に特開平06−33276号公報に、亜
鉛溶射をし、土中の水分濃度(含水比)を制御する方法
も公開されている。しかしながら、この方法も接触する
土が周囲から切り放されていない環境では使用できな
い。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、地表
及び土中包気帯で土に接触させて使用される鋼材を防食
する従来の方法では、簡易であることと長期間信頼性を
保つ点で不完全なのが現状である。本発明の目的は、上
述の既存防食法の欠点を解決し、地表及び土中包気帯で
使用される鋼材に対し、従来法のコスト以下でより長期
間信頼性を保ちメンテフリー期間を鉛直する簡易な防食
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】このような目的を達成す
るための本発明の要旨は、地表及び土中包気帯で土に接
触させて使用される、鋼材よりも電位的に卑な金属を4
0μm〜500μm被膜させた耐食性鋼材であって、前
記被膜中に前記金属の粒径が鋼材面に対する平行成分d
H として40μm以上、かつ平行成分dH と垂直成分d
V の比dH /dV が1〜10からなる膜厚が40μm以
上の被膜制御層を有することを特徴とする耐食性鋼材で
ある。そして、上記の鋼材よりも電位的に卑な金属は溶
射によって被膜形成する方法が好適である。
【0005】次に本発明の作用について説明する。本発
明者らは、包気帯で土と接触させた場合の鋼材5の腐食
を土中の土との接触状態に着目して研究した。その結
果、腐食は土の粒と鋼材5が接触する部分での局部腐食
であることを見いだした。すなわち土中に含まれる水分
が、毛管現象をおこし易い小さな隙間である土と鋼材5
の接触部で水膜を形成し、鋼材表面の水膜部分と土との
接触部分の間にミクロな通気差腐食セルを生じ腐食が進
展するものと考えられる。この機構からすると鋼材5に
対し、電位的に卑な金属をミクロなセル以内の位置で電
気的に接触することで犠牲防食作用により鋼材5が腐食
から守られることになる。しかし、例えば単純に電位的
な卑な金属を被覆しただけでは、その金属がこの環境中
で腐食される期間のみしか鋼材に対する防食効果は期待
できないことになる。
【0006】そこで、本発明者らは、鋼材5に対し電位
的に卑な金属を用い、特に被膜を構成する粒の大きさと
形状に着目し、さらに種々研究を重ねた。その結果、こ
のような環境においては、一般的に被膜は緻密であるほ
どよい耐食性を与えるという従来の知見とは全く異な
り、金属粒1の大きさがある適当なサイズで、かつ粒と
粒との間にあるサイズの気孔が存在すると、非常に優れ
た耐食性を示すという非常に新規な事実を発見した。こ
れは、従来知られていた気孔率と言うパラメーターのみ
では整理できず、金属粒のサイズと形状によって規定さ
れる気孔4を保有するような被膜の場合に特性が十分に
発揮されるということである。本発明においては、この
金属粒1のサイズを制御した被膜層を被膜制御層と称
し、被膜内の金属の粒径を鋼材面に対する平行成分dH
3と垂直成分dV 2に区分し、その平行成分dH 3およ
び平行成分と垂直成分比dH /dV を規定する。金属粒
1のサイズおよび気孔4の作用メカニズムについては明
確にはわからない。しかし、有効な気孔4の大きさと腐
食セルの大きさとがほぼ同じオーダーであると考えられ
ることから、ミクロな腐食セルの生成が表面形状の違い
に影響されて腐食速度が大きく低下するものと思われ
る。耐食性を得るためには金属粒径の平行成分dH 3は
40μm以上とする。これを下回ると急激に耐食性は低
下する。金属粒径の平行成分dH 3と垂直成分dV 2の
比dH /dV は1〜10とする。粒の偏平度が小さいほ
ど耐食性がよくなるのでdH /dV の下限は1とする。
しかし10を越えると効果は低下するので上限は10と
する。偏平度dH /dVは1〜5の範囲が好ましい。
【0007】本発明においては、上述のように金属粒径
のサイズを特定して被膜を形成させるがそのように制御
された層の被膜全体に占める比率について実験した結果
では、必ずしも全ての被膜がこのように制御されなくと
も効果がある。そこで本発明では粒径を制御した層の被
膜厚みは40μm以上とする。制御されない被膜部分は
通常の腐食速度を示しても、制御された被膜層に到達し
た瞬間から耐食性効果が働く。この制御された被膜層の
被膜全体に対する位置としては上層にあるほど好適であ
る。
【0008】次に全体の被膜厚みは40〜500μmと
する。被膜厚みは大きいほど効果が期待できるが、実験
からは膜厚が40μm以上になると効果が顕著であるの
で40μmを下限とする。これも腐食セルのサイズと関
連しているものと思われる。一方、膜厚があまり厚くな
ると、必要な密着力が得られなくなるために上限は50
0μmとする。
【0009】次に、鋼材よりも電位的に卑な金属として
は、亜鉛あるいは亜鉛−アルミ合金等が好適である。ま
た、鋼材よりも電位的に卑な金属としてアルミを用いて
も効果がある。被膜の形成は、溶射法で行うのが好適で
ある。溶射法は、溶滴を飛ばして被膜を形成する方法で
あり、本被膜を作製するために非常に好都合な方法であ
る。方式としては、通常のアーク溶射(線材、粉体)、
フレーム溶射、プラズマ溶射等いずれの方法によっても
よい。被膜の制御方法としては、各方法の通常のパラメ
ーターを制御することにより容易に実施できる。例えば
フレーム溶射では、材料サイズと熱源パワーにより溶滴
サイズを整え、熱源からの距離を変化させることで最適
条件を設定できる。その設定のポイントは、通常緻密な
気孔率の低い被膜を作製する場合とはおおよそ逆方向へ
パラメーターを探すことにある。なお、本発明による防
食法と電気防食との併用はとくには問題ない。
【0010】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。図1は本発明例の被膜の断面図である。1は金
属粒、2は粒の垂直成分(dV)、3は平行成分dH
4は気孔、5は鋼材である。図1は被膜構成において、
被膜の組成、総膜厚および制御層の膜厚、平行成分dH
3と垂直成分dV 2の比dH /dV 、制御層の位置を変
化させた種々の試験材を作製した。試験材の母材は、普
通鋼でサイズ100×50×3mmを用いた。この母材
に表1に示すような条件で金属を溶射し被膜を形成させ
た。その後、試験材を土中に埋設して耐食性を調査し
た。土中への埋設条件は、土の含水比を16%と一定に
し、その土中50mmのところに試験材を埋設し、50
℃の環境で1年間経過させた。その後試験材を取り出
し、目視で耐食性を評価した。耐食性は ☆:腐食ほとんど認められず ◎:一部極軽微な腐食あり ○:一部軽微な腐食あり △:腐食あり ×:一部鉄の溶出あり で評価し、その結果を表1,表2に示す。
【表1】
【表2】
【0011】比較例No.6〜8はそれぞれ総膜厚、制御
層厚が本発明の値以下であり耐食性は劣る。また比較例
No.17では、粒の偏平度を示すdH /dV が大きく本
発明例に比較すると偏平な度合いが大きく耐食性も劣っ
ている。これに対し、全体を制御層としたNo.1〜5で
は非常に効果があり、ほとんど腐食が認められない結果
であった。また、被膜全体の中で上から40μm以上を
制御したNo.9,10,13〜15,20〜23及び2
4,25,26では、一部極軽微な腐食が認められるだ
けであった。被膜全体の中で40μmを制御した部分
が、被膜全体に対して中部および下部にあるNo.11,
12はは一部軽微な腐食が認められるだけであった。被
膜の制御部でのdH /dV =10であるNo.16でも、
一部軽微な腐食が認められるだけであった。これらは、
比較例に比べて非常に優れた防食効果を示していた。
【0012】
【発明の効果】本発明によれば、通常の溶射方法のパラ
メーターを通常の範囲で制御することにより、鋼材5の
土に接触する面を鋼材5よりも電位的に卑な金属を用
い、被膜の40μm以上の部分の金属の粒径の鋼材面に
対する平行成分(dH )3と垂直成分dV 2の比dH
V が1〜10であり、かつdH が40μm以上である
被膜を40〜500μm溶射法によって被覆すること
で、地表及び土中包気帯で土に接触させて使用する鋼材
5の耐用年数を大幅に向上させることができる。従来の
方法に比べて簡易に、低コストで長期の耐久性を得るこ
とができ、トータルしての経済効果は非常に大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の防食法を施した鋼材の断面図である。
【符号の説明】 1 金属粒 2 粒の垂直成分(dV ) 3 粒の平行成分(dH ) 4 気孔 5 鋼材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 湯浅 健正 千葉県富津市新富20−1 新日本製鐵株式 会社技術開発本部内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 地表及び土中包気帯で土に接触させて使
    用される、鋼材よりも電位的に卑な金属を40μm〜5
    00μm被膜させた耐食性鋼材であって、前記被膜中に
    前記金属の粒径が鋼材面に対する平行成分dH として4
    0μm以上、かつ平行成分dH と垂直成分dV の比dH
    /dV が1〜10からなる、膜厚が40μm以上の被膜
    制御層を有することを特徴とする耐食性鋼材。
  2. 【請求項2】 鋼材よりも電位的に卑な金属が亜鉛ある
    いは亜鉛−アルミ合金であることを特徴とする請求項1
    の耐食性鋼材。
  3. 【請求項3】 鋼材よりも電位的に卑な金属がアルミで
    あることを特徴とする請求項1の耐食性鋼材。
  4. 【請求項4】 金属粒径の鋼材面に対する平行成分(d
    H )と垂直成分(dV )の比dH /dV が1〜5である
    請求項1、2、3のいずれかの耐食性鋼材。
  5. 【請求項5】 被膜制御層が耐食性鋼材の被膜表面に位
    置することを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれ
    かの耐食性鋼材。
  6. 【請求項6】 被膜制御層が耐食性鋼材の被膜全体を占
    めることを特徴とする請求項1、2、3、4のいずれか
    の耐食性鋼材。
  7. 【請求項7】 鋼材よりも電位的に卑な金属を溶射して
    被膜を形成することを特徴とする請求項1、2、3、
    4、5、6のいずれかの耐食性鋼材を製造する方法。
JP13782794A 1994-05-30 1994-05-30 地表及び土中包気帯で土に接触させて使用される耐食性鋼材及びその製造方法 Withdrawn JPH07316849A (ja)

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