JPH0731626U - 嵌合子を用いた把手付ブロー成形ボトル - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】把手部材をボトル本体の把手取付用凹陥部に係
着した把手付ブロー成形ボトルの、使用時の把手のガタ
つきや脱離の危惧をなくし、しかも使用後の分別回収が
容易でリサイクル性を向上する。 【構成】ボトル本体の周壁の一側に複数個の把手取付用
嵌合子を嵌着し、これら嵌合子に把手部材を取り付けて
なる把手付ブロー成形ボトルであって、これらの嵌合子
の嵌合子基板の片面に、把手部材との嵌合部をもつ把手
部材取付部を形成し、且つ、他面に、底部より先端が小
さい係止柱と、その係止柱と嵌合部を形成する係止部と
を形成する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は、果汁飲料、液体調味料、液体洗剤及びトイレタリーなどの液体内容 物に使用される把手付ブロー成形ボトルに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】

最近、プラスチックボトルは、液体内容物の容器として適用範囲が拡大するに つれて一本に充填する内容量も増え、１リットル以上の把手付ボトルの需要が増 えて来た。プラスチックボトルに把手を付ける方法としては、従来から、ブロー 成形法で、ボトルの成形時にボトル胴部の一部を凹部に形成して把手状にしたも の、把手内側のパリソン（溶融管状の成形材料）を押し潰して成形し、この押し 潰した把手の内側を切り取って把手を形成したもの、または、実開平１−１３７ ８３１号公報などで開示されたように、ボトル胴部に嵌合凸部を形成して、この 凸部に別体の把手を嵌合係止する方法や、さらには、実開平１−９１７４４号公 報などで開示されたように、ボトル胴部の把手取付け部分の上下二箇所に別体の 把手取付部材を埋設し、これらの把手取付部材に別体の把手を取付けて把手付ボ トルを作製していた。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】

しかしながら、ボトル胴部の一部を凹部に形成して把手状にしたボトルは、使 用時に持ちにくく、また、滑り易い問題があった。把手内側を潰して成形し切り 取って把手を形成した把手付きボトルは、材質にポリエチレンテレフタレートを 用いた延伸ブロー成形法によるＰＥＴボトルでは、成形法の形状の制約と把手内 部に出来るピンチオフ（溶融したパリソンの食い切り部の外縁の融着部）の融着 不十分のため、適用することが無理であった。実開平１−１３７８３１号公報な どで開示されたボトル胴部に嵌合凸部を形成して把手を嵌合係止する方法は、ボ トル胴部の嵌合凸部をしっかりと形成することに成形上の難点があり、また、実 開平１−９１７４４号公報などで開示されたボトル胴部の把手取付け部分の上下 二箇所に把手取付部材を埋設する方法は、埋設する位置によっては、強固に把手 取付部材を埋設することが難しいことがあった。本考案は、上述の従来の把手付 きボトルの問題点を解決し、把手部材のボトル本体への係着状態を良好し、使用 時に把手のガタつきや脱離の危惧をなくし、しかも使用後の分別回収が容易でリ サイクル性を向上した把手付きボトルを提供するものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】

第１の考案は、図３に示すように、ボトル本体（１１）の周壁の一側に複数個 の把手取付用嵌合子（１００）を嵌着し、これら嵌合子（１００）に把手部材（ ５０）を取り付けてなる把手付ブロー成形ボトルであって、これらの嵌合子（１ ００）の嵌合子基板（１１０）の片面に、把手部材（５０）との嵌合部（１２１ ）をもつ把手部材取付部（１２０）を形成し、且つ、他面に、底部より先端方向 が細い係止柱（１３０）と、この係止柱（１３０）とボトル周壁（３３）との嵌 合部（１４１）を形成する係止板（１４０）とを形成したことを特徴とする嵌合 子（１００）を用いた把手付ブロー成形ボトル（１０）である。

【０００５】 第２の考案は、図５に示すように、ボトル本体（３０）の周壁の一側に把手取 付用凹陥部（３２）を設け、この把手取付用凹陥部（３２）のボトル周壁に複数 個の把手取付用嵌合子（２００及び３００）を嵌着し、これら嵌合子（２００及 び３００）に把手部材（７０）を取り付けてなる把手付ブロー成形ボトルであっ て、これらの嵌合子（２００及び３００）のボトル周壁形状に合わせた嵌合子基 板（２１０及び３１０）の片面に、把手部材（７０）との嵌合部（２２１）をも つ把手部材取付部（２２０）を形成し、且つ、他面に、底部より先端方向が細い 係止柱（２３０）と、その係止柱（２３０）とボトル周壁（３３）との嵌合部（ ２４１及び３４１）を形成する係止板（２４０及び３４０）とを形成したことを 特徴とする嵌合子（２００及び３００）を用いた把手付ブロー成形ボトル（３０ ）である。

【０００６】 上述の把手取付用嵌合子は、ボトル本体のブロー成形金型内の所定位置に挿着 され、ボトル本体が成形されると同時にボトル本体の把手取付位置に熱融着及び 嵌着するものである。または、ボトル本体のブロー成形時に、ボトル本体の嵌合 子取付位置に嵌合凹部を形成し、ボトル成形後に嵌合子をこの嵌合凹部に嵌着し てもよい。そして、この嵌合子の材質は、ボトル使用後の廃棄時に、ボトル本体 と一緒に回収され易いように、ボトル本体と同系統の樹脂を成形材料に用いるこ とが好ましい。

【０００７】 また、ボトル本体は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタ レートなどの合成樹脂を成形材料として、ブロー成形法、延伸ブロー成形法、イ ンジェクションブロー成形法などにより成形するものである。

【０００８】 また、把手部材は、成形材料としてポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエチ レンテレフタレートなどを成形材料として、通常はインジェクション成形法によ り成形するものである。

【０００９】 そして、把手部材は、嵌合子に嵌着、螺着などにより係着して取り付けるもの である。

【００１０】

【作用】

本考案の嵌合子を用いた把手付ブロー成形ボトルにおいては、剛性をもつ別体 の把手取付用嵌合子が、ボトル本体の周壁の一側に又はボトル本体の周壁の一側 に設けられた把手取付用凹陥部に、嵌合子の嵌合子基板のボトル側に設けられた 係止柱と係止板とで形成する嵌合部によって、しっかりとボトル本体の周壁と嵌 合しており、また、把手部材が、この嵌合子の嵌合子基板の外側に設けられた把 手部材取付部の嵌合部に、剛性をもつ別体の把手部材がしっかりと嵌着している ため、ボトル使用時に、把手部材がガタついたり、ボトル本体から把手部材が離 脱することが極めて少ない。

【００１１】 また、本考案の把手付ブロー成形ボトルは、把手取付用嵌合子の材質をボトル の材質と同系の樹脂を使用すると、使用後の把手付ボトルを廃棄処理する場合に 、材質の異なる把手部材を使用していても、この把手部材を嵌合子から嵌合を外 せば離脱可能であるため、分別回収が容易となる。

【００１２】

【実施例】

＜実施例１＞ 図１は、本実施例に用いた把手取付用嵌合子の側面図である。図２は、本実施 例に用いた把手取付用嵌合子の側面図で、（ａ）は、上部用で、（ｂ）は、下部 用である。図３は、本実施例の把手付ブロー成形ボトルの一部を切欠いた側面図 である。次に、これら図面を用いて本実施例を詳細に説明する。

【００１３】 まず、図１に示すように、片面に、把手部材との嵌合部（１２１）をもつ把手 部材取付部（１２０）を形成し、他面に、底部より先端方向が細い係止柱（１３ ０）と、この係止柱（１３０）とボトル周壁との嵌合部（１４１）を形成する係 止板（１４０）とを形成した嵌合子基板（１１０）よりなる嵌合子（１００）を 、インジェクション成形法でボトル本体と同じ材質のポリエチレンテレフタレー トを用いて作製した。

【００１４】 次に、材質がポリエチレンテレフタレートで加熱されたプリフォームを、頸部 金型に吊着して延伸ブロー成形金型の所定位置に装着し、また、把手取付用凹陥 部形成キャビティ面の上端及び下端に、前記作製した二個の嵌合子を、把手部材 取付部の形成側の把手取付板面をバキュームで吸引して装着し、型締めし、プリ フォームを延伸、ブロー成形して、ボトル本体を成形すると同時に、図３に示す ように、ボトル本体（１１）の把手取付用凹陥部（１２）の上端及び下端に、二 個の嵌合子（１００）を、ボトル周壁（１３）との熱融着と嵌合とによって係着 し、本実施例に係わる嵌合子付ボトルを作製した。そして、しっかりとボトル本 体（１１）に係着している嵌合子（１００）の把手取付部（１２０）に、別途作 製したポリエチレンテレフタレート製の把手部材（５０）を嵌合して嵌着し、本 実施例の嵌合子を用いた把手付ブロー成形ボトル（１０）を作製した。

【００１５】 作製した本実施例の把手付ブロー成形ボトルを評価するため、４０°Ｃの充填 温度で温水を充填して注出口をキャップで密栓し、冷却後、通常の流通過程を経 て後、通常の使用状態でボトルを使用してみたが、把手部材がガタついたり、離 脱することはなかった。なお、本実施例では、ボトル、嵌合子及び把手部材が同 系の材質を使用しているため、そのままボトルを廃棄処理できるが、把手部材の 材質が他と異なる場合でも、把手部材は、嵌合子に嵌着したものであるため、取 り外して分別回収することが容易である。

【００１６】 ＜実施例２＞ 図１は、本実施例に用いた把手取付用嵌合子の側面図である。図４は、嵌合子 の嵌着位置を示すための把手側から見た把手付ブロー成形ボトルの側面図であり 、（ａ）は、実施例１の場合であり、（ｂ）は、本実施例の場合である。次に、 これら図面を用いて本実施例を詳細に説明する。

【００１７】 まず、実施例１と同様に、図１に示すように、片面に、把手部材との嵌合部（ １２１）をもつ把手部材取付部（１２０）を形成し、他面に、底部より先端方向 が細い係止柱（１３０）と、この係止柱（１３０）とボトル周壁との嵌合部（１ ４１）を形成する係止板（１４０）とを形成した嵌合子基板（１１０）よりなる 嵌合子（１００）を、インジェクション成形法でボトル本体と同じ材質のポリエ チレンテレフタレートを用いて作製した。

【００１８】 次に、材質がポリエチレンテレフタレートで加熱されたプリフォームを、頸部 金型に吊着して延伸ブロー成形金型の所定位置に装着し、また、把手取付用凹陥 部形成キャビティ面の上端及び下端に、前記作製した嵌合子を、上端には実施例 １と同様に一個、下端には実施例１と異なり二個、把手部材取付部の形成側の把 手取付板面をバキュームで吸引して装着し、型締めし、プリフォームを延伸、ブ ロー成形して、ボトル本体を成形すると同時に、図４（ｂ）に示すように、ボト ル本体（１１）の把手取付用凹陥部（１２）の上端及び下端に、三個の嵌合子（ １００）を、ボトル周壁との熱融着と嵌合とによって係着し、本実施例に係わる 嵌合子付ボトルを作製した。そして、しっかりとボトル本体（２１）に係着して いる嵌合子（１００）の把手取付部（１２０）に、別途作製したポリエチレンテ レフタレート製の把手部材（６０）を嵌合して嵌着し、本実施例の嵌合子を用い た把手付ブロー成形ボトル（２０）を作製した。

【００１９】 作製した本実施例の把手付ブロー成形ボトルを評価するため、４０°Ｃの充填 温度で温水を充填して注出口をキャップで密栓し、冷却後、通常の流通過程を経 て後、通常の使用状態でボトルを使用してみたが、把手部材がガタついたり、離 脱することはなかった。なお、本実施例では、把手取付用凹陥部の上端に一個、 下端に二個の嵌合子（１００）を用いるため、把手の安定感や使用し易さがさら に向上し、大型の把手付ボトルに適していた。また、本実施例では、ボトル、嵌 合子及び把手部材が同系の材質を使用しているため、そのままボトルを廃棄処理 できるが、把手部材の材質が他と異なる場合でも、把手部材は、嵌合子に嵌着し たものであるため、取り外して分別回収することが容易である。

【００２０】 ＜実施例３＞ 図２は、本実施例に用いた把手取付用嵌合子の側面図で、（ａ）は、上部用で 、（ｂ）は、下部用である。図５は、本実施例の把手付ブロー成形ボトルの一部 を切欠いた側面図である。次に、これら図面を用いて本実施例を詳細に説明する 。

【００２１】 まず、図２（ａ）に示すように、片面に、把手部材との嵌合部（２２１）をも つ把手部材取付部（２２０）を形成し、他面に、底部より先端方向が細い係止柱 （２３０）と、この係止柱（２３０）とボトル周壁との嵌合部（２４１）を形成 する係止板（２４０）とを形成し、ボトル周壁形状に合わせた嵌合子基板（２１ ０）よりなる上部用の嵌合子（２００）と、この嵌合子（２００）とは逆向きの 図２（ｂ）に示す下部用の嵌合子（３００）とを、インジェクション成形法でボ トル本体と同じ材質のポリエチレンテレフタレートを用いて作製した。

【００２２】 次に、材質がポリエチレンテレフタレートで加熱されたプリフォームを、頸部 金型に吊着して延伸ブロー成形金型の所定位置に装着し、また、把手取付用凹陥 部形成キャビティ面の上端及び下端に、前記作製した二つの嵌合子を、上端には 上部用の嵌合子（２００）を、下端には下部用の嵌合子（３００）を、それぞれ の嵌合子の把手部材取付部の形成側の把手取付板面をバキュームで吸引して装着 し、型締めし、プリフォームを延伸、ブロー成形して、ボトル本体を成形すると 同時に、図５に示すように、ボトル本体（３１）の把手取付用凹陥部（３２）の 上端及び下端に、上部用及び下部用の二つの嵌合子（２００と３００）を、ボト ル周壁（３３）との熱融着と嵌合とによって係着し、本実施例に係わる嵌合子付 ボトルを作製した。そして、しっかりとボトル本体（３１）に係着している上記 の二つの嵌合子（２００と３００）のそれぞれの把手取付部（１２０）に、別途 作製したポリエチレンテレフタレート製の把手部材（７０）を嵌合して嵌着し、 本実施例の嵌合子を用いた把手付ブロー成形ボトル（３０）を作製した。

【００２３】 作製した本実施例の把手付ブロー成形ボトルを評価するため、４０°Ｃの充填 温度で温水を充填して注出口をキャップで密栓し、冷却後、通常の流通過程を経 て後、通常の使用状態でボトルを使用してみたが、把手部材がガタついたり、離 脱することはなかった。なお、本実施例では、ボトル、嵌合子及び把手部材が同 系の材質を使用しているため、そのままボトルを廃棄処理できるが、把手部材の 材質が他と異なる場合でも、把手部材は、嵌合子に嵌着したものであるため、取 り外して分別回収することが容易である。

【００２４】

【考案の効果】

本考案の嵌合子を用いた把手付ブロー成形ボトルを用いると、ボトル本体の周 壁の一側に又はボトル本体の周壁の一側に設けられた把手取付用凹陥部に、剛性 をもつ別体の把手取付用嵌合子が、嵌合子の嵌合子基板のボトル側に設けられた 係止柱と係止板とで形成する嵌合部によって、しっかりとボトル本体の周壁と嵌 合しており、また、把手部材が、この嵌合子の嵌合子基板の外側に設けられた把 手部材取付部の嵌合部に、剛性をもつ別体の把手部材がしっかりと嵌着している ため、ボトル使用時に、把手部材がガタついたり、ボトル本体から把手部材が離 脱する危惧がない。

【００２５】 また、本考案の把手付ブロー成形ボトルは、把手取付用嵌合子の材質をボトル の材質と同系の樹脂を使用すると、使用後の把手付ボトルを廃棄処理する場合に 、材質の異なる把手部材を使用していても、この把手部材を嵌合子から嵌合を外 せば容易に離脱可能であるため、分別回収がし易い。

【図面の簡単な説明】

【図１】実施例１及び実施例２に用いた把手取付用嵌合
子の側面図である。

【図２】実施例３に用いた把手取付用嵌合子の側面図
で、（ａ）は、上部用で、（ｂ）は、下部用である。

【図３】実施例１の把手付ブロー成形ボトルの一部を切
欠いた側面図である。

【図４】（ａ）は、実施例１の把手付ブロー成形ボトル
の把手側から見た側面図であり、（ｂ）は、実施例２の
把手付ブロー成形ボトルの把手側から見た側面図であ
る。

【図５】実施例３の把手付ブロー成形ボトルの一部を切
欠いた側面図である。

【符号の説明】

１０，２０，３０……把手付ブロー成形ボトル １１，３１……ボトル本体 １２，２２，３２……把手取付用凹陥部 １３，３３……周壁 ５０，６０，７０……把手部材 ５１，５２，６１，６２，７１，７２，１２１，２２
１，３２１……嵌合部 １００，２００，３００……把手取付用嵌合子 １１０，２１０，３１０……嵌合子基板 １２０，２２０，３２０……把手部材取付部 １３０，２３０，３３０……係止柱 １４０，２４０，３４０……係止板 １４１，２４１，３４１……嵌合部

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】ボトル本体の周壁の一側に複数個の把手取
   付用嵌合子を嵌着し、これら嵌合子に把手部材を取り付
   けてなる把手付ブロー成形ボトルであって、これらの嵌
   合子の嵌合子基板の片面に、把手部材との嵌合部をもつ
   把手部材取付部を形成し、且つ、他面に、底部より先端
   方向が細い係止柱と、この係止柱とボトル周壁との嵌合
   部を形成する係止板とを形成したことを特徴とする嵌合
   子を用いた把手付ブロー成形ボトル。
2. 【請求項２】ボトル本体の周壁の一側に把手取付用凹陥
   部を設け、この把手取付用凹陥部のボトル周壁に複数個
   の把手取付用嵌合子を嵌着し、これら嵌合子に把手部材
   を取り付けてなる把手付ブロー成形ボトルであって、こ
   れらの嵌合子のボトル周壁形状に合わせた嵌合子基板の
   片面に、把手部材との嵌合部をもつ把手部材取付部を形
   成し、且つ、他面に、底部より先端方向が細い係止柱
   と、この係止柱とボトル周壁との嵌合部を形成する係止
   板とを形成したことを特徴とする嵌合子を用いた把手付
   ブロー成形ボトル。