JPH07314443A - 炭素繊維織物、プリプレグ、繊維強化複合材料、およびそれらの製造方法 - Google Patents

炭素繊維織物、プリプレグ、繊維強化複合材料、およびそれらの製造方法

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JPH07314443A
JPH07314443A JP7064077A JP6407795A JPH07314443A JP H07314443 A JPH07314443 A JP H07314443A JP 7064077 A JP7064077 A JP 7064077A JP 6407795 A JP6407795 A JP 6407795A JP H07314443 A JPH07314443 A JP H07314443A
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俊夫 村木
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竜治 澤岡
Masahiko Hayashi
政彦 林
Toshiaki Azuma
利昭 東
Tokuo Tazaki
徳雄 田崎
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Abstract

(57)【要約】 【構成】形態安定化剤が、織物の繊維材料重量あたり
0.5〜10重量%付与されてなることを特徴とする炭
素繊維織物、その炭素繊維織物を用いたプリプレグ、及
びそのプリプレグを硬化してなる繊維強化複合材料、並
びにそれらの製造方法。 【効果】プリプレグにおける、表層部のマトリックス樹
脂の炭素繊維織物内部への沈降が防止されるので、プリ
プレグとしてのタック性が長時間保持され、また、その
プリプレグを硬化させることにより成形品表面の樹脂欠
損のない表面平滑性の優れた繊維強化複合材料を提供す
ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は炭素繊維強化複合材料を
成形するために使用される炭素繊維織物、プリプレグ、
それを用いて得られた繊維強化複合材料、およびそれら
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維とマトリックス樹脂からなるプ
リプレグを成形して得られる複合材料は、特にその力学
的特性が優れていることから、ゴルフクラブ、テニスラ
ケット、釣り竿などのスポーツ用途をはじめ、航空機な
どの構造材料の分野に至る幅広い用途に使用されてい
る。
【0003】炭素繊維強化複合材料に使用される強化繊
維としては、成形加工性や成形品の力学的特性が優れて
いるといった理由から、炭素繊維織物が多く使用されて
いる。このような複合材料は、中間材料であるプリプレ
グを複数枚積み重ねた後に、成形工程でマトリックス樹
脂を加熱硬化させることによって製造することができ
る。この時、炭素繊維の繊維方向が、所望の方向になる
ように積層し、かつボイドのない緻密な成形品を得るた
めには、プリプレグが適度のタック性とドレープ性を有
したハンドリング性の良いものであることが必要であ
る。
【0004】炭素繊維織物は経糸と緯糸とから構成され
ており、それぞれが織物の厚さ方向にクリンプしてい
る。このような炭素繊維織物は、マトリックスである樹
脂に含浸されプリプレグとなされるときに、含浸圧力に
より扁平化することより、プリプレグとなした直後には
その表層部に樹脂の層が形成され、その樹脂の粘度特性
に基づいて、そのプリプレグは適度のタック性を有す
る。しかし、本来クリンプを有する経糸あるいは緯糸
は、復元力により元の形態に戻る、いわゆるスプリング
バックし、この結果、プリプレグの表層部の樹脂が、織
物の内部に沈降し易い。そのために、かかるプリプレグ
を常温で放置するとプリプレグの表層部の樹脂量が減少
してプリプレグのタック性が低下する。また、このよう
なプリプレグを積層・成形すると、成形品表面に樹脂欠
損部が発生し平滑性が損われる。
【0005】従来、炭素繊維織物の形態を安定化させる
方法としては、例えば、特開昭61−34244号公報
に記載されているように、経糸と緯糸との交錯部を共重
合ナイロンによって接着する方法がある。この方法は炭
素繊維織物自体の、目ずれや織糸のほぐれを起こしにく
くする方法として有効であるが、かかる技術を適用して
もプリプレグのタック性を長時間保持することはできな
かった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、スプ
リングバックを防止して形態安定性に優れた炭素繊維織
物を提供することにある。
【0007】また、本発明の別の目的は、、形態安定
性、タック安定性に優れたプリプレグであって、かつ表
面平滑性に優れた繊維強化複合材料を得るのに適したプ
リプレグ、およびかかる優れた表面平滑性を有する繊維
強化複合材料を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、本発明の炭素繊維織物は、次のいずれかの構成を有
する。すなわち、形態安定化剤が、織物の繊維材料重量
あたり0.5〜10重量%付与されてなることを特徴と
する炭素繊維織物、または、形態安定化剤であるエポキ
シ樹脂硬化物を、織物の繊維材料重量あたり0.5〜1
0重量%付与せしめ得るように、エポキシ樹脂の硬化剤
が付与されてなることを特徴とする炭素繊維織物であ
る。
【0009】また、前記課題を解決するために、本発明
の炭素繊維織物の製造方法は、次の構成を有する。すな
わち、炭素繊維束を製織して得た織物に、織物の繊維材
料重量あたり形態安定化剤を0.5〜10重量%付与せ
しめることを特徴とする炭素繊維織物の製造方法であ
る。
【0010】また、前記課題を解決するために、本発明
のプリプレグは、次の構成を有する。すなわち、上記炭
素繊維織物とエポキシ樹脂組成物とからなるプリプレグ
である。
【0011】また、前記課題を解決するために、本発明
のプリプレグの製造方法は、次のいずれかの構成を有す
る。すなわち、炭素繊維織物に、織物の繊維材料重量あ
たり形態安定化剤を0.5〜10重量%付与せしめて
後、エポキシ樹脂組成物を含浸せしめることを特徴とす
るプリプレグの製造方法、または、エポキシ樹脂用低温
型硬化剤が付与された炭素繊維織物に、エポキシ樹脂組
成物を含浸しつつ、またはエポキシ樹脂組成物を含浸し
て後、該エポキシ樹脂組成物の一部を前記硬化剤で硬化
せしめることを特徴とするプリプレグの製造方法であ
る。
【0012】さらに、前記課題を解決するために、本発
明の繊維強化複合材料は、次の構成を有する。すなわ
ち、上記プリプレグを硬化してなることを特徴とする繊
維強化複合材料である。
【0013】以下、本発明について詳細に説明する。
【0014】本発明において使用される炭素繊維織物と
しては、炭素繊維束を製織して得られるものであって、
従来公知の二次元織物を用いることができる。織物組織
としては、平織、朱子織など、経糸と緯糸が一定の法則
にしたがって直角に交錯した二軸織物が好ましい。更
に、これらの織物は、炭素繊維の交錯部における織り糸
の曲り、すなわちクリンプの度合いが小さく、また、表
面平滑性に優れたものとするために、好ましくは、織物
のカバーファクターが90〜99.8%、より好ましく
は、95〜99.8%の範囲にあるのがよい。
【0015】ここで織物のカバーファクターは次のよう
にして測定した値をいう。すなわち、まず実体顕微鏡を
使用して、織物の裏面側から光を当てながら織物の表面
を写真撮影する。これにより織糸部分は黒く、織目部分
は白いという織物の透過光パターンが撮影される。光量
はハレーションを起こさない範囲に設定する。撮影倍率
は、後の画像解析において解析範囲に経糸および緯糸が
それぞれ2〜20本入るように設定する。次に、得られ
た写真をCCD(チャージ・カップル・デバイス)カメ
ラで撮影し、撮画像を白黒の明暗を表わすデジタルデー
タに変換してメモリに記憶し、それを画像処理装置で解
析し、全体の面積S1 と、白い部分(織目部分)の面積
2 とから次式のカバーファクターCf (%)を計算す
る。
【0016】Cf =[(S1 −S2 )/S1 ]×100 本発明の炭素繊維織物には、形態安定化剤が付与されて
いる。本発明でいう形態安定化剤は、織物の経糸と緯糸
との交絡部を接着するだけでなく、織物を構成する経糸
および緯糸のそれぞれの炭素繊維束を集束、または該炭
素繊維束を構成する単繊維同士の位置関係を固定する機
能を有する。形態安定化剤は、炭素繊維織物の実質的に
全面にわたって付与されているのが好ましく、炭素繊維
束を構成する単繊維の実質的に全面にわたって付与され
ているのが好ましい。本発明の炭素繊維織物は、このよ
うな機能を有する形態安定化剤が付与されてなるため、
炭素繊維織物のスプリングバックが防止され、形態が安
定化される。かかる炭素繊維織物を使用したプリプレグ
は、プリプレグ表層部のマトリックス樹脂が織物内部に
沈降しにくくなり、プリプレグのタック性が長時間保持
される。
【0017】本発明で用いる形態安定化剤としては、熱
硬化性樹脂、または熱可塑性樹脂を使用することができ
る。熱硬化性樹脂は硬化物として炭素繊維織物に付与さ
れていることが好ましい。
【0018】熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビ
スマレイミド樹脂、ポリイミド樹脂などが挙げられる
が、エポキシ樹脂であるのが好ましい。エポキシ樹脂の
具体例としては、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリ
グリシジル−m−アミノフェノールなどのアミン類を前
駆体とするエポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ
樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノー
ルS型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ
樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのフェ
ノール類を前駆体とするエポキシ樹脂などが使用でき
る。
【0019】熱硬化性樹脂組成物としては、エポキシ樹
脂などの熱硬化性樹脂組成物と、硬化剤とを混合したも
のが好ましく使用される。エポキシ樹脂と組合わせて使
用される硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド、
ジアミノジフェニルスルホン、アミノ安息香酸エステル
類、各種酸無水物などが挙げられる。また、脂肪族アミ
ン、キシリレンジアミン、ピペラジンあるいはイミダゾ
ール化合物などの低温硬化型のアミン化合物も好ましく
使用される。
【0020】熱硬化性樹脂組成物には、織物の剛軟度や
形態安定性を調節するために、ニトリルゴムや後述する
熱可塑性樹脂などを含有することもできる。
【0021】形態安定化剤としては、熱可塑性樹脂も使
用可能であり、その具体例として、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリエー
テルスルホン、ポリビニルホルマールなどが挙げられ
る。
【0022】形態安定化剤のガラス転移温度が低すぎる
と、プリプレグを製造する際の熱履歴によって織物の形
態安定性が損なわれる場合があるため、70℃以上であ
ることが好ましい。
【0023】本発明における形態安定化剤の付着量は、
織物の繊維材料重量に対して0.5〜10重量%、好ま
しくは、0.5〜5重量%、より好ましくは1〜4重量
%の範囲であることが必要である。付着量が0.5重量
%より少ないと織物の形態安定性が不十分であり、一
方、付着量が10重量%を超えると、プリプレグを製造
する際にマトリックス樹脂の含浸性が阻害され、プリプ
レグの品質が低下する。炭素繊維織物に対する形態安定
化剤の付着量は、硝酸分解法または溶剤抽出法により、
次のようにして測定することができる。
【0024】(硝酸分解法)形態安定化剤の付着した炭
素繊維織物を、10cm×10cmに裁断して秤量し
(W1 )、300mL容のビーカーに入れ、硝酸50m
Lを加えて50℃で15分間撹拌する。炭素繊維が流出
しないように注意しながら、硝酸を捨てる。硝酸による
分解処理を、さらに2回繰り返した後、水で洗浄する。
洗浄水が中性になるまで、洗浄を繰り返す。残った炭素
繊維を熱風乾燥機中で120℃30分間乾燥した後に秤
量する(W2 )。
【0025】(溶媒抽出法)形態安定化剤の付着した炭
素繊維織物を、10cm×10cmに裁断して秤量し
(W1 )、300mL容のビーカーに入れ、溶剤として
メチルエチルケトン100mLを加えて室温で15分間
撹拌する。炭素繊維が流出しないように注意しながら溶
剤を捨てる。メチルエチルケトンによる抽出処理をさら
に1回繰り返した後に、溶剤を塩化メチレンに変更して
同様の操作を2回繰り返す。残った炭素繊維を熱風乾燥
機中で120℃30分間乾燥した後に秤量する
(W2 )。
【0026】硝酸分解法、溶媒抽出法いずれの場合も、
形態安定化剤の付着量は、次式で求めることができる。
【0027】 付着量(%)={(W1 −W2 )/W2 }×100 形態安定化剤の付与された炭素繊維織物の剛軟度は、そ
れを用いて得られるプリプレグのドレープ性に影響する
特性である。織物の剛軟度が、あまり大きすぎると織物
の形態安定性が劣り、この織物から得られるプリプレグ
はタック性が短時間の間に低下する場合があるととも
に、織物自体のハンドリング性が悪くなる。また、織物
の剛軟度が小さすぎると織物が剛直になり、織物自体の
ドレープ性が損なわれるとともに、この織物から得られ
るプリプレグのドレープ性が損なわれてしまう場合があ
るため、織物の剛軟度は20〜150mmであることが
好ましく、プリプレグの含浸性をより良好なものとする
ためには、30〜100mmであることがより好まし
い。
【0028】炭素繊維織物の剛軟度は、次のようにして
測定した変位量で表わされる。炭素繊維織物の緯糸が長
手方向となるように、幅30mm、長さ200mmのサ
ンプルを切り取る。このサンプルを水平な試験台上に先
端から150mmの部分が空中に突き出るようにしてセ
ットして10分間保持した後に、サンプル先端部分の変
位量を測定する。
【0029】本発明の炭素繊維織物は、例えば次のよう
にして製造することができる。
【0030】まず、通常の織成操作により、炭素繊維の
マルチフィラメント糸を織糸、すなわち経糸および緯糸
とする織物を得る。なお、織物の目付は任意に選び得る
が、通常120〜250g/m2 の範囲のものが好まし
い。
【0031】このような織物は、次に述べるような開繊
処理に供することが好ましい。これにより、織物のカバ
ーファクターを好ましくは90.0〜99.8%、より
好ましくは95.0〜99.8%の範囲にすることがで
きる。
【0032】すなわち、まず、炭素繊維織物の緯糸のほ
つれを防止するために、または、開繊処理をより効果的
に行い、緯糸の目曲り量の少ない織物を得るために、拘
束糸により、織物の両側端部に沿って緯糸を拘束する。
拘束糸は、緯糸を拘束できる限り、各側端部について1
本だけでもよいが、好ましくは、平組織や絡み組織のよ
うに、2本を一対として緯糸を拘束するのが良い。織物
の側端に用いる拘束糸の本数が多すぎると、この織物を
後述する開繊処理に供して得られる開繊織物において、
側端部の拘束が強くなって十分に開繊・拡幅が行われな
くなる結果、織物の側端部と、中央部(側端部以外の部
位)とで開繊・拡幅の程度が異なってしまう。また、開
繊処理の過程で生じる炭素繊維織物の伸びは、中央部の
方が側端部より大きくなってしまい緯糸の目曲りが発生
することになる。従って、かかる拘束糸の本数は、各側
端部について10本以下とすることにより、後述する開
繊処理をより効果的に行うことができる。
【0033】次に炭素繊維織物を開繊処理する。好まし
くは、このような炭素繊維織物を縦糸配列方向に連続的
に走行させながら、その織物の緯糸配列方向に列状に配
置した複数個のノズルから噴出したウオータージェット
流により開繊処理するのがよい。ウオータージェット流
により開繊処理された織物に付着した水分は、乾燥して
除去される。この時、炭素繊維の水分を除去するために
使用する乾燥機としては特に限定されるものではなく、
横形、縦形、熱風循環式、赤外線加熱式等いかなるもの
であっても使用可能であるが、乾燥工程で必要以上に織
物に対して張力が掛かったりすると、炭素繊維織物の側
端部と中央部との伸びが顕在化してしまう場合があるの
で、必要以上に織物に対して張力が掛からない乾燥方式
として、好ましくはベルト搬送式の乾燥機などを用いる
のが良い。
【0034】このようにして得た炭素繊維織物に、形態
安定化剤を付与する。
【0035】炭素繊維織物に形態安定化剤を付与する一
つの方法は、炭素繊維織物を、形態安定化剤が溶解した
有機溶剤溶液中に浸漬した後、溶剤を除去する方法であ
る。例えば、エポキシ樹脂と硬化剤をメチルエチルケト
ンやアセトンなどの溶剤に溶解した溶液に織物を浸漬
し、次いで室温あるいは加熱下に溶剤を除去し、更に加
熱してエポキシ樹脂を硬化剤で硬化させる。また、予め
エポキシ樹脂を付着させた織物を、硬化剤を含有する水
あるいは有機溶剤の溶液で処理した後、溶媒を除去、加
熱してエポキシ樹脂を硬化させる方法も好ましく使用で
きる。
【0036】形態安定化剤として、ポリエーテルイミド
などの熱可塑性樹脂を使用する場合には、塩化メチレ
ン、クロロホルム等の塩素系溶剤やジメチルアセトアミ
ド、N−メチル−2−ピロリドンなどの溶剤に溶解した
溶液に炭素繊維織物を浸漬し、次いで溶剤を除去し、必
要に応じて加熱処理することにより、形態安定化剤を織
物に付与することができる。
【0037】形態安定化剤を付与する他の方法として、
エポキシ樹脂の水エマルジョンと硬化剤の混合物や熱可
塑性樹脂の水エマルジョンを使用して織物を処理した
後、水を除去し、必要に応じて加熱処理する方法が挙げ
られる。この方法では、ポリビニルアルコールなどの乳
化剤を水に添加して安定性の良いエマルジョンを使用す
ることが好ましい。
【0038】形態安定化剤の付着量は、溶液やエマルジ
ョンの濃度を調整することにより、あるいは溶液やエマ
ルジョンに浸漬した後の織物を絞りロール等を使用して
溶液やエマルジョンのピックアップ量を調節することな
どの方法により制御できる。また、織物の剛軟度は、形
態安定化剤の種類や付着量などを選択することによっ
て、前記した好ましい範囲に調整することができる。
【0039】本発明の炭素繊維織物は、エポキシ樹脂と
硬化剤を必須成分とするエポキシ樹脂組成物をマトリッ
クスとしたプリプレグとなされる。
【0040】本発明のプリプレグに使用するエポキシ樹
脂には、特に制限がなく、アミン類、フェノール類など
を前駆体とするエポキシ樹脂が好ましく使用される。
【0041】具体的には、アミン類を前駆体とするエポ
キシ樹脂として、テトラグリシジルジアミノジフェニル
メタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、トリ
グリシジル−m−アミノフェノール、トリグリシジルア
ミノクレゾ−ルなどが挙げられる。テトラグリシジルジ
アミノジフェニルメタンは、耐熱性の優れた硬化物が得
られることから特に好ましく使用される。
【0042】フェノール類を前駆体とするエポキシ樹脂
として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノ
ールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹
脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール
ノボラック型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ
樹脂などが挙げられる。この内、液状のビスフェノール
A型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂は
低粘度であるために、他のエポキシ樹脂や添加剤と配合
してエポキシ樹脂組成物のタック性や粘度を調節するた
めに好ましく使用される。
【0043】また、これらのエポキシ樹脂は、単独で用
いてもよいし、適宜配合して用いてもよい。グリシジル
アミン型エポキシ樹脂とグリシジルエーテル型エポキシ
樹脂の混合物は、プリプレグのタック性、ドレープ性と
硬化物の耐熱性などを併せ持つために好ましく使用され
る。
【0044】エポキシ樹脂と組合わせて使用される硬化
剤には、特に制限はなく一般に使用されるエポキシ樹脂
用硬化剤を使用することができ、例えば、ジシアンジア
ミド、ジアミノジフェニルスルホン、アミノ安息香酸エ
ステル類、各種酸無水物などが挙げられる。ジシアンジ
アミドは、プリプレグの保存安定性に優れるため好まし
く用いられる。また、ジアミノジフェニルスルホンなど
の芳香族ジアミンを硬化剤として用いると、耐熱性の良
好なエポキシ樹脂硬化物が得られる。また、これらの硬
化剤と併用して、あるいは単独で尿素化合物、三フッ化
ほう素のアミン塩やイミダゾール化合物なども使用する
ことができる。
【0045】このようなエポキシ樹脂と硬化剤からなる
エポキシ樹脂組成物には、ポリエーテルスルホン、ポリ
エーテルイミド、ポリビニルホルマールなどの熱可塑性
樹脂やニトリルゴムのような高分子化合物を配合して使
用することが可能である。これらの高分子化合物を配合
することにより、硬化物の靭性を向上させることができ
る。また、樹脂の粘度を上げることにより、プリプレグ
の表層部の樹脂の沈降を抑える効果もある。このような
高分子化合物の中で、柔軟性の高い固形のニトリルゴム
はマトリックス樹脂自体のタック性を損うことなく、高
粘度の樹脂が得られることから好ましく使用される。
【0046】プリプレグにおける炭素繊維織物への形態
安定化剤の付着量は、プリプレグのエポキシ樹脂をメチ
ルエチルケトンを用いて抽出除去して得られた、形態安
定化剤が付着残存した織物を、前記の炭素繊維織物にお
ける形態安定化剤の付着量の測定方法と同様にして求め
ることができる。
【0047】プリプレグの剛軟度については、小さすぎ
ると柔軟性に欠ける場合があり、また、剛軟度が大きす
ぎると逆に柔らか過ぎて、プリプレグのハンドリング性
が悪くなる場合があるため、好ましくは50〜150m
m、より好ましくは70〜120mmであるのがよい。
【0048】なお、プリプレグの剛軟度は、織物の剛軟
度の測定法と同じく、プリプレグを構成する織物の緯糸
が長手方向となるように、幅30mm、長さ200mm
のサンプルを切り取り、このサンプルを水平な試験台上
に先端から150mmの部分が空中に突き出るようにし
てセットして10分間保持した後に、サンプル先端部分
の変位量を測定して求められる。
【0049】本発明のプリプレグは、表層部の樹脂の沈
降を防止して長時間のタック性を保持し、また、成形品
の表面平滑性を良くするために、プリプレグのカバーフ
ァクターが95%以上、より好ましくは97%以上であ
ることが望ましい。ここでプリプレグのカバーファクタ
ーは、織物のカバーファクターと同様にして測定するこ
とができる。
【0050】本発明のプリプレグを製造する方法として
は、形態の安定化された炭素繊維織物を使用する以外
は、マトリックス樹脂を加熱・加圧下に含浸するホット
メルト法、あるいは有機溶剤に溶解したマトリックス樹
脂の溶液を使用して含浸するウエット法のいずれも適用
することができる。
【0051】本発明のプリプレグを製造するに特に好ま
しい方法を次に説明する。すなわち、好ましくは約12
0℃以下、より好ましくは約100℃以下でエポキシ樹
脂を硬化せしめ得るような低温型硬化剤が付与された炭
素繊維織物に、マトリックスであるエポキシ樹脂組成物
を含浸しつつ、またはエポキシ樹脂組成物を含浸して
後、該エポキシ樹脂組成物の一部、例えば、該エポキシ
樹脂組成物の20重量%以下を該低温型硬化剤で部分的
に、例えば、90%以上の硬化度で硬化せしめるのであ
る。このエポキシ樹脂組成物の硬化物が、織物の形態を
安定化させるのである。
【0052】この方法によれば、予め形態の安定化した
織物を使用してエポキシ樹脂組成物を含浸させる方法に
比べて、穏やかな含浸温度あるいは圧力条件で含浸性の
優れたプリプレグを製造することが可能である。
【0053】エポキシ樹脂用低温型硬化剤とは、マトリ
ックスとして用いるエポキシ樹脂組成物に含まれる硬化
剤に比べて、エポキシ樹脂がより低温で硬化する硬化剤
を意味する。エポキシ樹脂の硬化が高温で起こる硬化剤
を使用した場合、織物近傍のマトリックス樹脂を硬化さ
せるためには、プリプレグを製造する通常の条件より高
温または長時間の加熱処理が必要となる。その結果、マ
トリックス中に含まれる硬化剤によってマトリックスで
あるエポキシ樹脂組成物全体の硬化が同時に進行し、プ
リプレグのドレープ性が損なわれてしまう。
【0054】マトリックスとして用いるエポキシ樹脂組
成物に含まれる硬化剤が、150℃以上200℃以下、
より好ましくは170℃以上190℃以下のものが使用
されることが多いので、低温型硬化剤としては、0℃以
上約120℃以下、好ましくは室温(約20℃)以上約
100℃以下、特に好ましくは約90℃以下の温度でエ
ポキシ樹脂が硬化する硬化剤であるのが良く、その代表
的な例として、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレント
リアミンなどの脂肪族アミン類、キシリレンジアミン、
ピペラジン、イミダゾール化合物などが挙げられる。こ
れらの低温型硬化剤の、織物の繊維材料重量に対する付
着量は、硬化剤の種類や所望するプリプレグの性能の度
合いにより調整されるが、通常、0.1〜1.0重量%
程度が適当である。
【0055】本発明のプリプレグは、積層、硬化される
ことにより表面平滑性の優れた繊維強化複合材料を与え
る。
【0056】以下、本発明を実施例に基づき説明する
が、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0057】なお、本実施例において、サイジング剤の
付着量は、塩化メチレンによる抽出を行なわない以外
は、溶剤抽出法による形態安定化剤の付着量の測定方法
と同様にして測定した。
【0058】[実施例1]油化シェルエポキシ(株)社
製“エピコート828”19重量部を、ケン化度90%
のポリビニルアルコールの2%水溶液1200重量部に
入れ、ホモミキサーで撹拌してエポキシ樹脂のエマルジ
ョンを調製し、この水エマルジョンに硬化剤としてピペ
ラジン4.3重量部を加えて溶解させた。この水エマル
ジョンと硬化剤からなる溶液中に、東レ(株)社炭素繊
維“トレカ”T300の平織織物CO7373Z(織物
のカバーファクター:91.0%、サイジング剤の炭素
繊維重量あたりの付着量:1.2重量%)を浸漬した
後、熱風乾燥機を用いて150℃で10分間熱処理して
水を除くとともにエポキシ樹脂を硬化させることによ
り、炭素繊維織物に形態安定化剤を付与した。得られた
織物のカバーファクターは94.0%、織物の剛軟度は
80mmであった。また、硝酸分解法で求めた形態安定
化剤の、織物の繊維材料重量あたりの付着量は2.1重
量%であった。なお、“エピコート828”とピペラジ
ンを上記の割合で混合して、150℃で10分間熱処理
した硬化物のガラス転移温度は95℃であった。
【0059】テトラグリシジルジアミノジフェニルメタ
ン(住友化学工業(株)社製ELM434)40重量
部、ビスフェノールF型エポキシ(大日本インキ化学
(株)社製Epc830)20重量部、臭素化ビスフェ
ノールA型エポキシ(大日本インキ化学(株)社製Ep
c152)63重量部、ビスフェノールA型エポキシ
(油化シェルエポキシ(株)社製Ep828)127重
量部および4,4’−ジアミノジフェニルスルホン80
重量部、固形ニトリルゴム(日本ゼオン(株)社製ニッ
ポール1072)25重量部をニーダーで混練して、プ
リプレグ用エポキシ樹脂組成物を調製した。次いで、こ
の組成物を80℃に加熱し離型紙上にコーティングして
樹脂フィルムを作製した。この樹脂フィルムを上記の織
物の上下両面に積層し、プリプレグ装置を使用して温度
100℃、含浸圧力4kgf/cm2 の条件で含浸させ
た。得られたプリプレグのカバーファクター、剛軟度お
よびプリプレグ重量あたりの炭素繊維含有率は、それぞ
れ95.4%、120mm、60重量%であった。
【0060】このプリプレグは適度のドレープ性、タッ
ク性を有していた。また、このプリプレグは、25℃、
相対湿度40%の雰囲気中に10日間放置した後も適度
のドレープ性、タック性を保持していた。
【0061】[実施例2]GEプラスチック(株)社製
のポリエーテルイミド“ウルテム1000”(ガラス転
移温度215℃)をジメチルアセトアミドに溶解し、濃
度2%の溶液を調製した。この溶液に炭素繊維織物CO
7373Zを浸漬した後、熱風乾燥機を用いて200℃
で2時間乾燥した。このようにして得られた織物の、溶
剤抽出法で求めた形態安定化剤の、織物の繊維重量あた
りの付着量は1.8%、織物のカバーファクターは9
2.5%、織物の剛軟度は60mmであった。
【0062】この炭素繊維織物を使用して、実施例1と
同様にしてプリプレグを作製した。得られたプリプレグ
のカバーファクター、剛軟度およびプリプレグ重量あた
りの炭素繊維含有率は、それぞれ93.5%、100m
m、60重量%であった。
【0063】このプリプレグは適度のドレープ性、タッ
ク性を有していた。また、このプリプレグは、25℃、
相対湿度40%の雰囲気中に10日間放置した後も、適
度のドレープ性とタック性を保持していた。
【0064】[比較例1]ポリエーテルイミドのジメチ
ルアセトアミド溶液濃度を0.3%とした他は、実施例
2と同様にして形態安定化剤が付与された炭素繊維織物
を得た。得られた織物の、溶剤抽出法で求めた形態安定
化剤の、織物の繊維材料重量あたりの付着量は0.05
%、織物のカバーファクターは93.0%、織物の剛軟
度は130mmであった。
【0065】この炭素繊維織物を使用して、実施例1と
同様にしてプリプレグを作製した。得られたプリプレグ
のカバーファクター、剛軟度およびプリプレグ重量あた
りの炭素繊維含有率は、それぞれ96.0%、136m
m、60重量%であった。また、得られたプリプレグ
は、初期は適度のタック性を有していたが、25℃、相
対湿度40%の雰囲気中に放置したところ、5日後には
タック性はほとんどなくなっていた。
【0066】[実施例3]ポリエーテルイミドのジメチ
ルアセトアミド溶液濃度を4.0%とした他は、実施例
2と同様にして形態安定化剤が付与された炭素繊維織物
を得た。得られた織物の、溶剤抽出法で求めた形態安定
化剤の、織物の繊維材料重量あたりの付着量は5.5
%、織物のカバーファクターは93.1%、織物の剛軟
度は15mmであった。
【0067】この炭素繊維織物を使用して、実施例1と
同様にしてプリプレグを作製した。得られたプリプレグ
のカバーファクター、剛軟度およびプリプレグ重量あた
りの炭素繊維含有率はそれぞれ93.1%、30mm、
60重量%であった。また、得られたプリプレグは、適
度のタック性はあるが、ドレープ性の劣った剛直なプリ
プレグであった。また、このプリプレグを、25℃、相
対湿度40%の雰囲気中に10日間放置した後も、適度
のタック性は保持していたが、ドレープ性の劣ってい
た。
【0068】[実施例4]東レ(株)社製炭素繊維平織
織物CO7373Zを、経方向に連続的に走行させなが
ら、織物の緯方向に列状に配置した複数個のノズルから
噴出した、水温35℃、ウオータージェット噴流圧5.
0Kgf/cm2 のウオータージェット流により、経糸
および緯糸を開繊・拡幅させた後、横型熱風乾燥機を用
いて140℃で3分間乾燥した。乾燥後、織物の繊維材
料あたりのサイジング剤の付着量は、0.7重量%であ
った。この織物をメタキシリレンジアミン0.5重量%
を溶解した水溶液中に浸漬した後、熱風乾燥機で乾燥し
て繊維表面にメタキシリレンジアミンを付着させた。得
られた炭素繊維織物のカバーファクターおよび剛軟度
は、それぞれ99.0%、70mmであった。
【0069】次に、実施例1で積層に用いたものと同じ
エポキシ樹脂フィルムを用いて、上記した織物の上下両
面に積層し、プリプレグ装置を使用して温度100℃、
含浸圧力4kgf/cm2 の条件で含浸させた。得られ
たプリプレグの炭素繊維含有率は58重量%であり、プ
リプレグの剛軟度は103mmで、プリプレグのカバー
ファクタ−が99.5%であった。このプリプレグは、
適度のタック性、ドレープ性を有していた。また、この
プリプレグは、25℃、相対湿度40%の雰囲気中に1
0日間放置した後も適度のドレープ性、タック性を保持
していた。
【0070】また、このプリプレグのエポキシ樹脂をメ
チルエチルケトンを用いて抽出除去したところ、炭素繊
維束の内部および表面にエポキシ樹脂硬化物が付着した
織物が得られた。この硬化物の付着量を硝酸分解法によ
り測定したところ、織物の繊維重量あたりのエポキシ樹
脂硬化物の付着量は2.1重量%であった。
【0071】[実施例5]シリコーン系離型剤を塗布し
たアルミニウム製ツール板の上に、実施例4で作製した
プリプレグ5枚を積層し、その上にFEPフィルムとプ
レッシャープレートをセットした。この全体をナイロン
バッグフィルムで包み込んだ後、オートクレーブに入
れ、バッグフィルム内部を減圧にしながら、3kgf/
cm2 の加圧下に、1.5℃/分の速度で180℃に加
熱し、同温度で2時間保持した。冷却後、硬化成形した
複合材料パネルのツール板サイドの表面を観察した結
果、凸凹のない極めて平滑性の良いものであった。
【0072】[実施例6]東レ(株)製炭素繊維、トレ
カ(登録商標)T300−3K(フィラメント数3,0
00本、サイジング剤の付着量:1.2重量%)を緯糸
および経糸とし、炭素繊維目付193g/m2 となるよ
うに織成した炭素繊維平織物(織物幅103cm)の両
側端部にそれぞれ、拘束糸として日東紡(株)製ガラス
繊維ヤーン、ECD 450 1/2 4.4S(外径0.08mm)
を、4本づつ織物の側端から内側に7〜10mmの範囲
に織り込んだ。この時、2本のガラス繊維ヤーンが対に
なって絡み組織を形成するようにした。この炭素繊維織
物をウオータージェットパンチングを用いて、水温35
℃、ウオータージェット噴流圧5.0Kgf/cm2
条件で開繊処理を施した後、横型熱風乾燥機を用いて1
40℃で3分間乾燥した。乾燥後、織物におけるサイジ
ング剤の付着量は、0.7重量%であった。
【0073】このようにして得られた炭素繊維織物に、
実施例1と同様にして形態安定化剤を付与した。
【0074】得られた炭素繊維織物は、織物の繊維材料
重量あたり形態安定化剤の付着量が2.1%、カバーフ
ァクターが98.0%、剛軟度が75mmであった。
【0075】次に、実施例1で使用したものと同じエポ
キシ樹脂フィルムを用いて、上記した織物の上下両面に
積層し、プリプレグ装置を使用して温度100℃、含浸
圧力4kgf/cm2 の条件で含浸させた。得られたプ
リプレグのプリプレグ重量あたりの炭素繊維含有率は5
8重量%であり、プリプレグの剛軟度は110mmであ
り、プリプレグのカバーファクタ−が99.2%であっ
た。
【0076】このプリプレグは適度のドレープ性、タッ
ク性を有していた。また、このプリプレグは、25℃、
相対湿度40%の雰囲気中に10日間放置した後も適度
のドレープ性、タック性を保持していた。
【0077】
【発明の効果】本発明の炭素繊維織物を用いたプリプレ
グは、表層部のマトリックス樹脂の炭素繊維織物内部へ
の沈降が防止されるので、プリプレグとしてのタック性
が長時間保持され、また、そのプリプレグを硬化させる
ことにより成形品表面の樹脂欠損のない表面平滑性の優
れた繊維強化複合材料を提供することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29K 307:04 (72)発明者 林 政彦 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内 (72)発明者 東 利昭 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内 (72)発明者 田崎 徳雄 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形態安定化剤が、織物の繊維材料重量あた
    り0.5〜10重量%付与されてなることを特徴とする
    炭素繊維織物。
  2. 【請求項2】形態安定化剤が、熱硬化性樹脂または熱可
    塑性樹脂であることを特徴とする請求項1記載の炭素繊
    維織物。
  3. 【請求項3】形態安定化剤である熱硬化性樹脂が、エポ
    キシ樹脂硬化物であることを特徴とする請求項2記載の
    炭素繊維織物。
  4. 【請求項4】織物の剛軟度が、20〜150mmであるこ
    とを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊
    維織物。
  5. 【請求項5】形態安定化剤がガラス転移温度70℃以上
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載
    の炭素繊維織物。
  6. 【請求項6】織物のカバーファクターが、90〜99.
    8%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいず
    れかに記載の炭素繊維織物。
  7. 【請求項7】形態安定化剤であるエポキシ樹脂硬化物
    を、織物の繊維材料重量あたり0.5〜10重量%付与
    せしめ得るように、エポキシ樹脂の硬化剤が付与されて
    なることを特徴とする炭素繊維織物。
  8. 【請求項8】炭素繊維束を製織して得た織物に、織物の
    繊維材料重量あたり形態安定化剤を0.5〜10重量%
    付与せしめることを特徴とする炭素繊維織物の製造方
    法。
  9. 【請求項9】形態安定化剤が、熱硬化性樹脂または熱可
    塑性樹脂であることを特徴とする請求項8記載の炭素繊
    維織物の製造方法。
  10. 【請求項10】形態安定化剤である熱硬化性樹脂が、エ
    ポキシ樹脂硬化物であることを特徴とする請求項9記載
    の炭素繊維織物の製造方法。
  11. 【請求項11】形態安定化剤がガラス転移温度70℃以
    上であることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに
    記載の炭素繊維織物の製造方法。
  12. 【請求項12】形態安定化剤の付与前に、ウオータージ
    ェットパンチングを用いて織物を開繊処理することを特
    徴とする請求項8〜11のいずれかに記載の炭素繊維織
    物の製造方法。
  13. 【請求項13】エポキシ樹脂組成物と請求項1〜7のい
    ずれかに記載の炭素繊維織物とからなるプリプレグ。
  14. 【請求項14】プリプレグの剛軟度が50〜150mmで
    あることを特徴とする請求項13記載のプリプレグ。
  15. 【請求項15】プリプレグのカバーファクターが、95
    %以上であることを特徴とする請求項13または請求項
    14記載のプリプレグ。
  16. 【請求項16】エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂、硬
    化剤および固形ニトリルゴムを主成分とすることを特徴
    とする請求項13〜15のいずれかに記載のプリプレ
    グ。
  17. 【請求項17】炭素繊維織物に、織物の繊維材料重量あ
    たり形態安定化剤を0.5〜10重量%付与せしめて
    後、エポキシ樹脂組成物を含浸せしめることを特徴とす
    るプリプレグの製造方法。
  18. 【請求項18】形態安定化剤が、熱硬化性樹脂または熱
    可塑性樹脂であることを特徴とする請求項17記載のプ
    リプレグの製造方法。
  19. 【請求項19】形態安定化剤である熱硬化性樹脂が、エ
    ポキシ樹脂硬化物であることを特徴とする請求項18記
    載のプリプレグの製造方法。
  20. 【請求項20】形態安定化剤が、ガラス転移温度70℃
    以上であることを特徴とする請求項17〜19のいずれ
    かに記載のプリプレグの製造方法。
  21. 【請求項21】エポキシ樹脂用低温型硬化剤が付与され
    た炭素繊維織物に、エポキシ樹脂組成物を含浸しつつ、
    またはエポキシ樹脂組成物を含浸して後、該エポキシ樹
    脂組成物の一部を前記硬化剤で硬化せしめることを特徴
    とするプリプレグの製造方法。
  22. 【請求項22】前記硬化剤により硬化したエポキシ樹脂
    組成物の硬化物の、織物の繊維材料重量に対する付着量
    が、0.5〜10重量%であることを特徴とする請求項
    21記載のプリプレグの製造方法。
  23. 【請求項23】前記硬化剤により硬化したエポキシ樹脂
    組成物の硬化物のガラス転移温度が70℃以上であるこ
    とを特徴とする請求項21または請求項22記載のプリ
    プレグの製造方法。
  24. 【請求項24】エポキシ樹脂組成物がエポキシ樹脂、硬
    化剤および固形ニトリルゴムを主成分とすることを特徴
    とする請求項17〜23のいずれかに記載のプリプレグ
    の製造方法。
  25. 【請求項25】プリプレグの剛軟度が50〜150mmで
    あることを特徴とする請求項17〜24のいずれかに記
    載のプリプレグの製造方法。
  26. 【請求項26】プリプレグのカバーファクターが、95
    %以上であることを特徴とする請求項17〜25のいず
    れかに記載のプリプレグの製造方法。
  27. 【請求項27】炭素繊維織物が、ウォータージェットパ
    ンチングにより開繊処理されたものであることを特徴と
    する請求項17〜26のいずれかに記載のプリプレグの
    製造方法。
  28. 【請求項28】請求項13〜16のいずれかに記載のプ
    リプレグを硬化してなることを特徴とする繊維強化複合
    材料。
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