JPH0731330A - 線虫類の培養方法 - Google Patents

線虫類の培養方法

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JPH0731330A
JPH0731330A JP5182307A JP18230793A JPH0731330A JP H0731330 A JPH0731330 A JP H0731330A JP 5182307 A JP5182307 A JP 5182307A JP 18230793 A JP18230793 A JP 18230793A JP H0731330 A JPH0731330 A JP H0731330A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高い殺虫性を有するクシダイを大量に培養す
る。 【構成】 スタイナーネマクシダイをコレステロールを
含む培地で培養する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、線虫類の培養方法に関
し、詳しくは、スタイナーネマ・クシダイ(Steinernema
kushidai)( 以下、クシダイと略称する)を培地で培養
する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】昆虫寄生性線虫は、宿主となる昆虫と夾
雑する状態では、昆虫の口器、肛門、足関節等から昆虫
の血体腔中に侵入し、体内に保持している共生細菌を放
出することで、宿主昆虫の免疫機構を破壊して、その宿
主昆虫を死に至らせる。この性質を利用して、農作物等
の植物に被害を与える害虫を殺虫して、前記植物の被害
を防ぐ方法が知られている。また、従来このような性質
をもつ線虫を大量に培養することも行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、本発明に関
与するクシダイは1984年静岡県浜北市で林業試験場
の串田らによって単離同定された比較的新しい種の線虫
であり、前記クシダイは例えばコガネムシ等の鞘翅目昆
虫の幼虫に強い殺虫力をもつなど、従来知られているス
タイナーネマ・カルポカプサエ(Steinernema carpocaps
ae) 、スタイナーネマ・フェルティアエ(Steinernema f
eltiae) 、ヘテロラブディティス・バクテリフォーラ
(Heterorhabditis bacteriphora) 等の昆虫寄生性線虫
が主に鱗翅目昆虫に強い殺虫性をもつのに対し、異なる
特有の性質をもつことから、他の線虫とは異なる殺虫メ
カニズムを持っていることが示唆され、従来知られてい
る他の昆虫寄生性線虫の培養技術とは培養に適した条件
が異なるものと思われる。本発明は、クシダイを培地で
培養する場合に、ステロイドを含む培地を用いて培養す
れば、前記クシダイは高い殺虫性を発揮するという事実
を発見したことに基づき、なされたものであって、その
目的は、高い殺虫性を有するクシダイを大量に培養する
方法を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
の第一発明の特徴手段は、クシダイを、ステロイドを含
む培地で培養することにあり、第二発明の特徴手段は、
ステロイドを含む培地を支持体に吸着保持させた後、そ
の支持体の複数を互いに空隙を設けた状態に積層して積
層物を作り、クシダイを、前記積層物で培養することに
あり、第3発明の特徴手段は、ステロイドを含む培地を
液体培地とし、その液体培地を、前記液体培地内への酸
素供給、及び、攪拌操作自在な状態で培養容器に収容
し、クシダイを前記培養容器内で培養することにあり、
尚、ステロイドを加温した油に溶解させた溶液を作製
し、その溶液を培地に添加して、前記ステロイドを含む
培地を形成してあってもよく、また、ステロイドを有機
溶媒に溶解させた溶液を作製し、その溶液に油を添加し
た後、乳化、懸濁した懸濁液を調整し、その懸濁液を培
地に添加して前記ステロイドを含む培地を形成してあっ
てもよく、前記ステロイドがコレステロールもしくは4
−コレステン−3−オンの少なくとも一種であれば尚良
く、その作用効果は以下のとおりである。
【0005】
【作用】本発明者らは、従来から知られているスタイナ
ーネマ・カルポカプサエ・ストレイン・ALL(以下、
ALLと略称する)等の昆虫寄生性線虫を培養する場合
には、ステロイドを含む培地で培養したとしてもその殺
虫性は増大しないものの、クシダイをステロイドを含む
培地で培養した場合には、ステロイドを含まない通常の
培地で培養した場合に比べて著しく殺虫性が増大する場
合があるという事実を実験的に証明した。これにより、
クシダイを培養する培地にステロイドを含ませておくこ
とで、ステロイドはクシダイに特異的に作用して、他の
線虫類では見られない殺虫性の増大効果を生じ、その培
地で培養したクシダイは高い殺虫性を発揮するというこ
とがわかった。つまり、ステロイドを含む培地でクシダ
イを培養することで、殺虫性の高いクシダイを得ること
ができるようになった。
【0006】また、ステロイドを含む培地を支持体に吸
着保持させた後、その支持体の複数を互いに空隙を設け
た状態に積層して積層物を作り、その積層物でクシダイ
を培養すると、前記空隙により酸素供給が充分行われる
ようになるので、クシダイを高効率で培養することがで
きる。また、ステロイドを含む培地が液体培地であり、
攪拌して、酸素供給しつつ、培養を行えば、クシダイを
高効率で培養することができる。
【0007】さらに、ステロイドを加温した油に溶解さ
せた溶液を作製し、その溶液を培地に添加して前記ステ
ロイドを含む培地を形成してあれば、もしくはステロイ
ドを有機溶媒に溶解させた溶液を作製し、その溶液に油
を添加した後、乳化、懸濁した懸濁液を調整し、その懸
濁液を培地に添加して、ステロイドを含む培地を調整し
てあれば、容易にステロイドを培地中に均一に分散させ
ることができ、クシダイを増殖効率高く培養することが
できるとともに、培地中に均一に分散させやすくなった
ことで、液体培地であってもステロイドを容易に分散さ
せることができるようになり、一般に固体培地よりも液
体培地のほうが栄養分の利用効率が良いので、クシダイ
をさらに増殖効率高く培養することができるようになっ
た。さらには、前記ステロイドがコレステロール、4−
コレステン−3−オンの少なくとも一種であれば、クシ
ダイの増殖性を高く維持しつつ高い前記殺虫性の増大効
果が得られる。
【0008】
【発明の効果】従って、高い殺虫性をもつクシダイを増
殖効率高く培養して増殖することが出来、しかも、前記
クシダイは、さつまいも等の農作物に被害を与える害虫
を殺虫するための生物農薬として用いることができるの
で、前記クシダイを生物農薬として用いれば、前記農作
物の害虫による被害を大幅に減少することができ、前記
農作物の収穫の増加に役立てることができる等、線虫を
利用する技術に対して、大量のクシダイを提供すること
が可能になった。
【0009】
【実施例】SGPY培地(後述)にコーン油を3%及び
コレステロールを0.1%添加した寒天培地20mlに
クシダイ2000頭を接種し、25℃、相対湿度70%
で20日間培養増殖を行ったところ、235倍に増殖す
ることがわかり、ドウガネブイブイ3齢幼虫を供試昆虫
として生物検定を行ったところ、このクシダイはコレス
テロールを含まない培地、(SGPY培地にコーン油を
3%添加した寒天培地)において増殖したクシダイに比
べ大きく殺虫性が増大していることがわかった。尚、S
GPY培地とは、 可溶性デンプン 0.6% D−グルコース 1.0% バクトペプトン 1.5% 酵母抽出物 1.5% の水溶液を水酸化ナトリウムでpH7.0に調整し、寒
天0.3%を添加したものであり、この培地は、常法に
従って滅菌処理を施した後用いられるものである。
【0010】また、生物検定は以下のようにして行う。
濾紙接触法においては、まず増殖した線虫をベルマン法
により回収、カウントしておき、その線虫の培養物から
所定量の線虫を含む線虫懸濁液を調整するとともに、5
0mm径シャーレに濾紙を置いた容器を複数用意してお
く。次にそのそれぞれの容器に前記線虫懸濁液及び供試
昆虫を一頭づつ入れて飼育し、その生死を観察して、そ
の殺虫性を調べる。土壌混和法においては、まず濾紙接
触法の場合と同様に、線虫懸濁液を調整するとともに、
滅菌した腐葉土2gと、蒸留水2gとを混和して入れた
プラスチックカップを複数用意しておく。次に、そのプ
ラスチックカップに供試昆虫1頭と、線虫懸濁液を入れ
て飼育し、その生死を観察する。
【0011】以下に、様々な条件でクシダイの培養を行
った試験例を示す。
【0012】〔試験例1〕:コレステロールの添加によ
るクシダイの殺虫活性への影響 クシダイの増殖性、及び殺虫性にコレステロールがどの
ように関与しているかを検討した。
【0013】(1) クシダイ2000頭をSGPY培
地、コーン油を3%含むSGPY培地(以下SGPY−
CO培地と略称する)、ナタネ油を3%含むSGPY培
地(以下SGPY−RO培地と略称する)、アマニ油を
3%含むSGPY培地(以下SGPY−LO培地と略称
する)、ゴマ油を3%含むSGPY培地(以下SGPY
−SO培地と略称する)、オリーブ油を3%含むSGP
Y培地(以下SGPY−OO培地と略称する)で培養し
て、増殖性を調べるとともに、コレステロールを0.1
%添加したSGPY培地(以下SGPY−CS培地と略
称する)及びコレステロールを0.1%添加したSGP
Y−CO培地(以下SGPY−CO−CS培地と略称す
る)で培養して、増殖性を調べた。その結果を表1に示
す。尚、平均増殖数とは同じ条件の5つの容器で培養を
行った際のクシダイの増殖数の平均値である。
【0014】
【表1】
【0015】その結果、SGPY培地及びSGPY−S
O培地ではクシダイは増殖しないものの、様々な条件下
でクシダイは増殖することがわかった。また、SGPY
培地、SGPY−CO培地、SGPY−CS培地、SG
PY−CO−CS培地での増殖数を比較すれば、植物油
はクシダイの増殖率を向上させるが、コレステロールは
クシダイの増殖には役立つものの植物油を添加した培地
での増殖率をさらに向上させることには関与していない
ことがわかる。
【0016】また、SGPY−CO−CS培地で増殖し
たクシダイを顕微鏡で観察すると、ほとんどが次世代の
完染態幼虫にまで成長しており、成長の度合いにばらつ
きは見られない。一方、SGPY−CO培地で増殖した
クシダイについても同様に観察すると、やはり成長の度
合いにはばらつきが見られなかった。その結果、クシダ
イはコレステロールの有無に関わらず、ばらつきなく成
長し、コレステロールはクシダイの形態的成長に影響を
及ぼしていないことがわかる。
【0017】(2) 前述のSGPY−CO培地、SG
PY−RO培地、SGPY−LO培地、SGPY−OO
培地、SGPY−CS培地において増殖させたクシダイ
1000頭づつを用い、ドウガネブイブイの3齢幼虫を
供試昆虫として、土壌混和法により生物検定を行った。
その結果を表2に示す。尚、表2において殺虫率とは2
5℃で前記供試昆虫10頭をそれぞれ10日間飼育した
ときの前記供試昆虫の平均死亡数を10頭に対する百分
率で示したものである。
【0018】
【表2】
【0019】表2より、コレステロールを含まない培地
で培養したクシダイは低い殺虫性しか示さないものの、
コレステロールを含む培地で培養したクシダイは高い殺
虫性を示すことがわかった。また、SGPY−CO培地
で培養したクシダイを、ブイブイの幼虫1頭あたり40
00頭にまで増加させて同様に検定を行ったところ殺虫
性の向上はみられず、コーン油の有無は殺虫性に影響を
与えないということもわかり、コレステロールに代表さ
れるステロイドが存在すればクシダイの殺虫活性を高め
ることが出来るといえる。
【0020】(3) ドウガネブイブイ3齢幼虫を殺虫
する殺虫性とクシダイ数依存性を調べるために前記幼虫
に対して、前述のSGPY−CO−CS培地で増殖させ
たクシダイのを与える量を幼虫1頭あたり250頭〜1
000頭にして行った。その結果、試験例1−(2)と
同様に土壌混和法により生物検定を行ったところ、表3
のようになった。
【0021】
【表3】
【0022】その結果、コレステロールを含む培地で増
殖したクシダイは、少ない接種頭数であっても高い殺虫
率を示すことがわかる。
【0023】〔比較例〕:他の線虫に対するコレステロ
−ルの影響 ALLの増殖性と殺虫性についてコレステロールがどの
ように関与しているかを検討した (1) SGPY培地、SGPY−CO培地、SGPY
−CS培地、SGPY−CO−CS培地で、それぞれA
LLを2000頭培養して、その増殖性を調べたとこ
ろ、表4のようになった。
【0024】
【表4】
【0025】この結果、試験例1とは異なり、コーン油
の添加はALLの増殖には役立っているもののコーン油
のみでは、その効果は小さく、さらにコレステロールを
添加することにより、その増殖性は大きく向上している
ことがわかる。
【0026】(2) 前述のSGPY−CO培地、SG
PY−CO−CS培地において、増殖させたALLの接
触頭数を500頭、1000頭、2000頭と変化させ
つつ、ハスモンヨトウの6齢幼虫に対する殺虫性を、濾
紙接触法により12時間ごとの殺虫率を調べることで平
均死亡時間を算出して評価した。その結果を表5に示
す。
【0027】
【表5】
【0028】表5よりALLを培養する場合には、コレ
ステロールが培地中に含まれているか否かはハスモンヨ
トウの幼虫に対する殺虫性には影響しないことがわかっ
た。
【0029】(3) (1),(2)と同様の試験をスタ
イナーネマ・カルポカプサエ DD−136 (Steinern
ema carpocapsae DD-136) で行ったところALLの場合
と同様の結果が得られた。試験例1及び比較例により、
昆虫寄生性線虫をコレステロールを含む培地で増殖させ
た場合に、その殺虫性が増大するという効果はクシダイ
に特有のものであることを示唆し、かつ、このようにし
て増殖されたクシダイが、高い殺虫性を有することを明
らかにした。つまり、このようにして増殖されたクシダ
イはドウガネブイブイの幼虫等に対して高い殺虫活性を
有する生物農薬として用いることが出来るということが
わかった。
【0030】〔試験例2〕:殺虫活性のコレステロール
添加量依存性 クシダイの殺虫活性は、どの程度のコレステロールの添
加量で向上出来るのかを調べた。コレステロールをエタ
ノールに溶解して飽和溶液を調整した後、この飽和溶液
に所定量のコーン油を加え乳濁液とし、この乳濁液に前
述のSGPY培地を加え、コレステロール含有量が10
00μg/ml(0.1%)、コーン油含有量が3%と
なるように調整した。尚、このようにして培地を調整す
れば、コレステロールはエタノールに溶解してあること
によって培地中に均一に分散させることが出来、線虫を
増殖させる際に培地中で均一に増殖させることが出来、
効率良く増殖させることが出来るものである。
【0031】同様にして、コレステロール含有量が2
5,50,100,200,400μg/mlとなるコ
レステロール含有培地を調整し、これらの培地でそれぞ
れ1000頭のクシダイを25℃相対湿度70%で20
日間培養し、その増殖性を夫々調べるとともに、増殖し
たクシダイを1000頭づつ用いてドウガネブイブイの
幼虫に対する殺虫性を土壌混和法によって調べた。その
結果を表6に示す。
【0032】
【表6】
【0033】表6から、コレステロールはクシダイの増
殖数の向上にはあまり影響を与えないことがわかる。一
方、ドウガネブイブイに対する殺虫性は、コレステロー
ルの添加量の増加に伴い向上していることがわかる。ま
た、この表によればコレステロール含有量が50μg/
ml以上であれば、10日後の殺虫率が100%となっ
ているので、ドウガネブイブイに対して十分高い殺虫性
を発揮出来ることがわかる。
【0034】〔試験例3〕:コレステロール以外のステ
ロイドの殺虫性に対する影響 コレステロール以外のステロイドとして、4−コレステ
ン−3−オンを含む培地を用いてクシダイの増殖性及び
殺虫性を調べた。即ち、4−コレステン−3−オン0.
1%と、コーン油3%とを含む培地(SGPY−CO−
CSN培地)を調整し、クシダイ1000頭を25℃相
対湿度70%で培養し、その増殖性を調べるとともに、
増殖したクシダイを1000頭づつ用いてドウガネブイ
ブイの幼虫に対する殺虫性を土壌混和法によって10日
後のドウガネブイブイの幼虫に対する殺虫率によって調
べた。また、比較のためSGPY−CO−CS培地及び
SGPY−CO培地でも同様に、増殖性及び殺虫性を調
べた。その結果を表7に示す。
【0035】
【表7】
【0036】表7から、4−コレステン−3−オンを用
いたとしても増殖性を高く維持した状態で、クシダイの
殺虫性を向上させることが出来ることがわかった。つま
り、ステロイドはコレステロールに限らず、様々なもの
が用いられることがわかり、本発明に用いるステロイド
は、コレステロール、4−コレステン−3−オンに限ら
れるものではない。
【0037】〔試験例4〕:支持体を利用してのクシダ
イの培養 前述の試験例においては、いずれも通常の寒天培地の形
態で培養を行ったが、支持体に培地を吸着させ、支持体
の積層物において培養を行い、増殖性と殺虫性を調べ
た。以下図面に従って説明を行う。図1に示すように、
上部に通気口1aを有する370mm(W)×510m
m(L)×120mm(H)の容器1内に支持体2とし
て3cm角の立方体状ポリウレタンフォームを複数入
れ、これら複数の支持体2を互いに空隙を設けた状態に
積層するとともに、この支持体2に前記SPGY−CO
−CS培地3を3000ml吸着支持させて積層物を形
成した。この積層物を定法に従って滅菌処理した後、ク
シダイ50万頭を接種し、25℃、相対温度75で20
日間培養を行い、その増殖性を調べるとともに、増殖し
たクシダイを1000頭づつ用いてドウガネブイブイの
幼虫に対する殺虫性を、土壌混和法によって10日後の
ドウガネブイブイの幼虫に対する殺虫率によって調べ
た。
【0038】その結果、増殖したクシダイは10500
万頭に達し、増殖率は200倍以上であることがわかっ
た。また、殺虫率は100%となり、高い殺虫率が得ら
れた。
【0039】従って、前記積層物を用いて増殖を行う
と、空間を有効に利用しつつ、高い増殖率で殺虫性の高
いクシダイを得ることが出来ることがわかった。
【0040】〔試験例5〕:液体培地による増殖性の検
討 試験例4においては固体積層培地による培養を行った
が、液体培地においても高い増殖性と殺虫性が得られる
かどうかを調べた。
【0041】即ち、可溶性デンプン0.6%、D−グル
コース1.0%、バクトペプトン1.5%、酵母抽出物
1.5%の水溶液に、コレステロールを加温したコーン
油に溶解したものを添加し、コレステロール0.1%、
コーン油3%となるように調製したものをSGPY液体
培地とした。このSGPY液体培地を用い、培養タンク
内において、クシダイを培養した。以下図面に従って説
明する。
【0042】図2に示すように、培養タンク4は、内部
に空気供給用のスパージャー5及び酸素溶解用の攪拌羽
根6を供え、スパージャー5からは、一定量の空気を供
給可能にしてあり、また、培養タンク4内から連設して
ある溶存酸素濃度計7によりSGPY液体培地8中の溶
存酸素の過不足を検知して攪拌羽根6の回転数を適切に
制御可能にしてある。また、SGPY液体培地8のpH
を培養タンク4内から連設したpH計9により培地8の
pH値を検知しながら、必要に応じて酸、アルカリ薬液
ポット10,11から酸、アルカリを添加して適切な範
囲(pH6.5〜7.5)になるように制御可能になっ
ている。
【0043】前記SGPY液体培地に培地1ml当たり
クシダイ250頭を接種し、25℃で20日間前記培養
タンク4内で培養を行い、クシダイに充分な酸素を供給
しつつ、その増殖性を調べるとともに、増殖したクシダ
イを1000頭づつ用いて、ドウガネブイブイの幼虫に
対する殺虫性を土壌混和法によって10日後のドウガネ
ブイブイの幼虫の殺虫率によって調べた。その結果、増
殖したクシダイは10万頭に達しており、増殖率は40
0倍以上であることがわかった。また、殺虫率は100
%となり、高い殺虫性が得られた。従って、本発明の線
虫類の増殖方法に用いる培地としては、固体培地のみな
らず液体培地を用いることも出来る。また、培養容器4
についてもスパジャー、攪拌羽根6を備えた培養タンク
に限らず、単に、フラスコを培養容器4として振とう、
攪拌可能にして用い、その振とう又は攪拌により、液体
培地を空気に接触させ、酸素供給可能にすることも可能
であり、液体培地8中に酸素を供給する手段は本実施例
の方法以外にも、公知の技術を用いることが可能であ
る。
【0044】〔別実施例〕本実施例においては、クシダ
イを用いてドウガネブイブイの幼虫を試験的に殺虫する
例を示したが、以下のようにして実施しても良い。
【0045】前述のSGPY−CO−CS培地で培養し
たクシダイを10万頭/ml含むように調整した生物農
薬を33万頭/m2となるように土壌に混在させた圃場
にサツマイモを植え付けて、このサツマイモの収穫時に
害虫による被害度を調べた。
【0046】その結果、通常の化学農薬(日本バイエル
アグロケム社バイジット粒剤)を通常の方法で用いた場
合(植え付け時に9kg/10aの割合で圃場に散布、
生育期に9kg/10aの割合で圃場に3度散布使用)
に比して、被害度が大きく減少することがわかった。
【0047】尚、各実施例及び試験例において用いたS
GPY培地等の培地、ドウガネブイブイの3齢幼虫に代
表される害虫、サツマイモに代表される農作物等は、実
施形態を示す一例であって、本発明はこれら実施例、試
験例の実施形態に限られる訳ではない。
【0048】尚、特許請求の範囲の項に図面との対照を
便利にするために符号を記すが、該記入により本発明は
添付図面の構成に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】試験例4における培養方法を示す概略図
【図2】試験例5における培養方法を示す概略図
【符号の説明】
2 支持体 3 培地 4 培養容器 8 液体培地
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 河杉 忠昭 茨城県竜ケ崎市向陽台5丁目6番地 株式 会社クボタ技術開発研究所つくば研究室内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スタイナーネマ・クシダイ(Steinernema
    kushidai)を、ステロイドを含む培地で培養する線虫類
    の培養方法。
  2. 【請求項2】 ステロイドを含む培地(3)を支持体
    (2)に吸着保持させた後、その支持体(2)の複数を
    互いに空隙を設けた状態に積層して積層物を作り、スタ
    イナーネマ・クシダイ(Steinernema kushidai)を、前記
    積層物で培養する線虫類の培養方法。
  3. 【請求項3】 ステロイドを含む培地を液体培地(8)
    とし、その液体培地(8)を前記液体培地(8)内への
    酸素供給、及び、攪拌操作自在な状態で培養容器(4)
    に収容し、スタイナーネマ・クシダイ(Steinernema kus
    hidai)を、前記培養容器(4)内で培養する線虫類の培
    養方法。
  4. 【請求項4】 ステロイドを加温した油に溶解させた溶
    液を作製し、その溶液を培地に添加して、前記ステロイ
    ドを含む培地を形成してある請求項1〜3いずれか一項
    に記載の線虫類の培養方法。
  5. 【請求項5】 ステロイドを有機溶媒に溶解させた溶液
    を作製し、その溶液に油を添加した後、乳化、懸濁した
    懸濁液を調製し、その懸濁液を培地に添加して、前記ス
    テロイドを含む培地を形成してある請求項1〜3いずれ
    か一項に記載の線虫類の培養方法。
  6. 【請求項6】 前記ステロイドが、コレステロール(cho
    lesterol) もしくは4−コレステン−3−オン(4-chole
    sten-3-one) の少なくとも一種である請求項1〜5いず
    れか一項に記載の線虫類の培養方法。
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