JPH07312503A - 積層型誘電体アンテナ共用器および誘電体フィルタ - Google Patents

積層型誘電体アンテナ共用器および誘電体フィルタ

Info

Publication number
JPH07312503A
JPH07312503A JP19505694A JP19505694A JPH07312503A JP H07312503 A JPH07312503 A JP H07312503A JP 19505694 A JP19505694 A JP 19505694A JP 19505694 A JP19505694 A JP 19505694A JP H07312503 A JPH07312503 A JP H07312503A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dielectric
electrode
laminated
resonator
stripline
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP19505694A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3529848B2 (ja
Inventor
Toshio Ishizaki
俊雄 石崎
Atsushi Sasaki
厚 佐々木
Hiroki Satou
祐己 佐藤
Hiroshi Kushitani
洋 櫛谷
Hideaki Nakakubo
英明 中久保
Toshiaki Nakamura
俊昭 中村
Kimio Aizawa
公男 相澤
Takashi Fujino
貴司 藤野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority to JP19505694A priority Critical patent/JP3529848B2/ja
Publication of JPH07312503A publication Critical patent/JPH07312503A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3529848B2 publication Critical patent/JP3529848B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Control Of Motors That Do Not Use Commutators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】携帯電話機などの高周波無線機器で用いられる
誘電体アンテナ共用器とそれを構成する誘電体フィルタ
に関して、特に誘電体シートと電極層を積層して一体焼
成した積層構造を持つ積層型誘電体アンテナ共用器と積
層型誘電体フィルタ及びブロック型誘電体フィルタを提
供する。 【構成】厚い誘電体シート10a の上にはストリップライ
ン共振器電極11a,11bが、誘電体シート10cの上には容量
電極12a,12bが形成されている。ストリップライン共振
器電極11a,11b は一端が接地された特性インピーダンス
が高い第1の伝送線路部17a,17b と一端が開放された特
性インピーダンスが低い第2の伝送線路部18a,18b の他
端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4分の1
波長より短いSIR構造を持っており、それぞれの電磁
界結合量を独立に設定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主として携帯電話機な
どの高周波無線機器で用いられる誘電体アンテナ共用器
と誘電体フィルタに関するものである。さらに詳しく
は、誘電体シートと電極層を積層して一体焼成した積層
構造を持つ積層型誘電体アンテナ共用器、及びそれを構
成する積層型誘電体フィルタとブロック型誘電体フィル
タに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、移動体通信の発展にともない、ア
ンテナ共用器は多数の携帯電話機や自動車電話機で使用
されている。アンテナ共用器は1本のアンテナを送信機
と受信機で共用するための装置であり、送信フィルタと
受信フィルタの組み合わせにより構成される。以下に図
面を参照しながら、従来のアンテナ共用器の一例につい
て説明する。
【0003】図46は従来のアンテナ共用器の分解斜視
図を示すものである。図46において、701から70
6は誘電体同軸共振器、707は結合基板、708は金
属製ケース、709は金属製カバー、710から712
は直列キャパシタ、713と714はインダクタ、71
5から718は結合キャパシタ、721から726は結
合ピン、731は送信端子、732はアンテナ端子、7
33は受信端子、741から747は結合基板707上
に形成された電極パターンである。
【0004】誘電体同軸共振器701、702、703
と、直列キャパシタ710、711、712と、インダ
クタ713、714は送信バンドエリミネーションフィ
ルタを構成する。また、誘電体同軸共振器704、70
5、706と、結合キャパシタ715、716、71
7、718は受信バンドパスフィルタを構成する。
【0005】送信フィルタの一端は送信機と電気的に接
続される送信端子に接続され、送信フィルタの他端は受
信フィルタの一端と接続されると共に、アンテナに電気
的に接続されるアンテナ端子に接続される。受信フィル
タの他端は受信機に電気的に接続される受信端子に接続
される。
【0006】以上のように構成されたアンテナ共用器に
ついて、以下その動作について説明する。まず、送信バ
ンドエリミネーションフィルタは送信周波数帯域の送信
信号に対して小さな挿入損失を示し、送信信号をほとん
ど減衰させることなく送信端子からアンテナ端子へと伝
達させることができる。また、受信周波数帯域の受信信
号に対しては大きな挿入損失を示し、受信周波数帯域の
入力信号はほとんど反射されるため、アンテナ端子から
入力された受信信号は受信バンドパスフィルタの方へ戻
ってくるという動作を示す。
【0007】一方、これに対して、受信バンドパスフィ
ルタは受信周波数帯域の受信信号に対して小さな挿入損
失を示し、受信信号をほとんど減衰させることなくアン
テナ端子から受信端子へと伝達させることができる。ま
た、送信周波数帯域の送信信号に対しては大きな挿入損
失を示し、送信周波数帯域の入力信号はほとんど反射さ
れるため、送信フィルタからやってきた送信信号はアン
テナ端子の方へ送り出されるという動作を示す。
【0008】しかしながら上記のような構成では、誘電
体同軸共振器の製造において、セラミックの微細加工に
限界があるため、小型化が難しいという問題点を有して
いた。また、キャパシタやインダクタなどの部品を多数
使用するため、同じく小型化が難しいという問題点を有
するほかに、組立コストの低減も困難であるという問題
点を有していた。
【0009】一方、誘電体フィルタは上記したアンテナ
共用器の構成要素であると共に、携帯電話機などの無線
機器において、単独のフィルタとしても多数使用され、
一層の小型化、高性能化が要望されている。以下に図面
を参照しながら、上記した構成例とは異なる別の構成を
有する従来のブロック型誘電体フィルタの例について説
明する。
【0010】図47は従来例のブロック型誘電体フィル
タの透視斜視図を示すものである。図47において、1
200は誘電体ブロック、1201から1204は貫通
孔、1211から1214及び1221、1222、1
230は電極である。誘電体ブロック1200は、電極
1221、1222などが形成されている面のそれらの
電極の周辺部を除いて、貫通孔1201から1204の
表面も含めて全面が電極に覆われている。
【0011】以上のように構成された誘電体フィルタに
ついて、以下その動作について説明する。貫通孔120
1から1204の中の表面電極は共振器の役割を果た
し、電極1230はシールド電極の役割を果たしてい
る。電極1211から1214は貫通孔の電極で構成さ
れる共振器の共振周波数を下げるためのものであり、ロ
ーディング容量電極の働きをしている。本来、4分の1
波長先端短絡伝送線路は共振周波数において結合せずバ
ンドストップ特性を示すが、この様にして共振周波数を
下げることにより、フィルタの通過帯域で伝送線路どう
しの電磁界結合が生じバンドパスフィルタを構成でき
る。電極1221、1222は入出力結合容量電極であ
り、これら電極と共振器及びローディング容量電極との
間の容量により入出力の結合が行われる。
【0012】このフィルタの動作原理は文献(G.L.Matt
haei、"Comb-Line Band-Pass Filters of Narrow or Mo
derate Bandwidth":the microwave journal,August,196
3)などに示されている、いわゆるコムラインフィルタ
と呼ばれるものの変形である。ここで示した従来例のブ
ロック型フィルタは、コムラインフィルタを誘電体セラ
ミックで構成したものである(例えば、米国特許明細書
第4431977 号参照)。コムラインフィルタでは、バンド
パス特性を実現するために必ず共振周波数を下げるロー
ディング容量が必要である。
【0013】図48は従来例のコムライン型誘電体フィ
ルタの伝達特性を示すものである。伝達特性は、帯域外
の減衰量が中心周波数から離れるにしたがって単調に増
加するチェビシェフ特性を示している。
【0014】しかしながら上記のような構成では、伝達
特性の通過帯域近傍に減衰極を有する楕円関数特性を実
現することはできないので、フィルタの性能として選択
度が十分でないという問題点を有していた。
【0015】さらに、このような誘電体フィルタにおい
ても小型化、薄型化のために、同軸型に比べて薄くでき
る平面型の積層型誘電体フィルタが今後有望視されてお
り、実現のためのいくつかの試みが為されている。以下
に図面を参照しながら、従来の積層型誘電体フィルタの
例について説明する。まず、集中定数型キャパシタとイ
ンダクタを積層構造にした、積層型誘電体フィルタとし
て最初に実用化された積層型LCフィルタについて説明
する。
【0016】図49は従来の積層型LCフィルタの構造
を示す分解斜視図である。図49において、1と2は厚
い誘電体層である。誘電体シート3の上にはインダクタ
電極3a,3bが、誘電体シート4の上にはキャパシタ
電極4a,4bが、誘電体シート5の上にはキャパシタ
電極5a,5bが、また、誘電体シート7の上にはシー
ルド電極7a,7bが形成されている。電極保護の誘電
体シート6とこれら誘電体層と誘電体シートを全て重ね
て、全体が積層化された構造になる。
【0017】以上のように構成された誘電体フィルタに
ついて、以下その動作を説明する。まず、対向するキャ
パシタ電極4aと5a及び4bと5bはそれぞれ平行平
板キャパシタを構成する。各平行平板キャパシタは、イ
ンダクタ電極3a、3bと側面電極8a、8bを介して
直列に接続され共振回路として働く。2つのインダクタ
は磁気的に結合している。側面電極8bは接地電極と
し、側面電極8cはインダクタ電極につながった端子3
c、3dと接続されて入出力端子となるバンドパスフィ
ルタが構成される(例えば、特開平3−72706号公
報)。
【0018】さらに別の例の従来の積層型誘電体フィル
タについて、以下に図面を参照しながら説明する。図5
0は従来の積層型誘電体フィルタの構造を示す分解斜視
図である。図50において、4分の1波長ストリップラ
イン820、821が誘電体基板819の上に形成され
ている。入出力電極823、824はストリップライン
820、821と同じ平面上に形成されている。ストリ
ップライン820は、入出力電極823と対向する第1
の線路幅w1を持つ第1の部分820aと、第1の線路
幅より狭い第2の線路幅を持つ第2の部分820bと、
第1の線路幅w1より狭く第2の線路幅w2より広い第
3の線路幅を持つ第3の部分820cで構成されてい
る。同様に、ストリップライン821は、入出力電極8
24と対向する第1の線路幅w1を持つ第1の部分82
1aと、第1の線路幅より狭い第2の線路幅を持つ第2
の部分821bと、第1の線路幅w1より狭く第2の線
路幅w2より広い第3の線路幅を持つ第3の部分821
cで構成されている。ストリップライン820、821
は短絡電極822で接続され、共振器801bはπ型の
形状になっている。誘電体基板819は接地電極82
5、826で挟み込まれている。一方の側面819aに
は側面電極827、828が形成され、接地電極82
5、826と短絡電極822を接続する。他方の側面8
19bには入出力電極823、824とそれぞれ接続さ
れる側面電極が形成される。ストリップライン820、
821は入出力電極823、824とそれぞれ容量結合
して、フィルタが構成されている(例えば、米国特許第
5248949 号明細書参照)。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記従
来の特開平3−72706号公報で提案されている例で
は、小型化のためにインダクタ電極どうしを近づけて間
隔を狭くすると、共振器間の磁界結合が大きくなりすぎ
て帯域の狭い良好なバンドパス特性が実現しにくくなる
という問題点を有していた。また、インダクタ電極の無
負荷Q値を高くすることは困難であるため、フィルタの
挿入損失が大きいという問題点を有していた。また、米
国特許第5248949 号明細書で提案されている例では、従
来のブロック型誘電体フィルタと同様に、伝達特性の通
過帯域近傍に減衰極を有する楕円関数特性を実現するこ
とはできないので、フィルタの性能として選択度が十分
でないという問題点を有していた。
【0020】本発明は、前記従来の問題を解決するた
め、低損失で高選択度を有する良好なバンドパス特性を
持ち、低コストなアンテナ共用器及び誘電体フィルタを
提供することを目的とする。特に、小型で薄い平面型構
造を持つ積層型誘電体アンテナ共用器及び積層型誘電体
フィルタを提供することを目的とする。また、本発明の
別の目的は、前記積層型誘電体フィルタと同じ回路構成
により、低損失で高選択度を有する低コストなブロック
型誘電体フィルタを提供することを目的とする。
【0021】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明の第1番目の誘電体フィルタは、一端が接地
された第1の伝送線路部と一端が開放され前記第1の伝
送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線路
部の他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4
分の1波長より短いSIR(Stepped Impedance Resona
tor) 構造を持つ少なくとも2つ以上のTEM(transve
rse electromagnetic)モード共振器を具備し、前記第1
の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させると共に、
前記第2の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、
両者の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することによ
り、伝達特性に通過帯域と減衰極を発生させたことを特
徴とする。
【0022】前記構成においては、TEMモード共振器
の開放端を電気的容量を介して接地したことが好まし
い。また前記構成においては、少なくとも2つのTEM
モード共振器と入出力端子を容量結合させたことが好ま
しい。
【0023】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の線路間距離と第2の伝送線路部の線路間距離を変え
ることにより、伝達特性の減衰極周波数を調整したこと
が好ましい。
【0024】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の線路長と第2の伝送線路部の線路長を等しくしたこ
とが好ましい。また前記構成においては、TEMモード
共振器を誘電体ブロックに設けた貫通孔で形成される一
体型同軸共振器で構成したことが好ましい。
【0025】また前記構成においては、TEMモード共
振器を誘電体シート上に形成されたストリップライン共
振器で構成したことが好ましい。また前記構成において
は、第1の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モ
ードインピーダンスで割った値を第2の伝送線路部の偶
モードインピーダンスを奇モードインピーダンスで割っ
た値より大きくしたことが好ましい。
【0026】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の偶モードインピーダンスを奇モードインピーダンス
で割った値を第2の伝送線路部の偶モードインピーダン
スを奇モードインピーダンスで割った値より小さくした
ことが好ましい。
【0027】また前記構成においては、第2の伝送線路
部の偶モードインピーダンスを第1の伝送線路部の偶モ
ードインピーダンスで割った値を0.2以上、0.8以
下としたことが好ましい。
【0028】また前記構成においては、第2の伝送線路
部の偶モードインピーダンスを第1の伝送線路部の偶モ
ードインピーダンスで割った値を0.4以上、0.6以
下としたことが好ましい。
【0029】また前記構成においては、少なくとも2つ
のTEMモード共振器の間を、さらに別に設けた容量結
合手段にて容量結合させ、TEMモード共振器間の結合
を電磁界結合と容量結合の組み合わせにより行うことが
好ましい。
【0030】また前記構成においては、容量結合手段に
よる容量結合を第2の伝送線路部で行うことが好まし
い。また前記構成においては、容量結合手段による容量
結合をTEMモード共振器の開放端で行うことが好まし
い。
【0031】また前記構成においては、TEMモード共
振器の開放端を容量を介して接地したことが好ましい。
また前記構成においては、少なくとも2つのTEMモー
ド共振器と入出力端子を容量結合させたことが好まし
い。
【0032】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の線路間距離と第2の伝送線路部の線路間距離を変え
ることにより、伝達特性の減衰極周波数を調整したこと
が好ましい。
【0033】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の線路長と第2の伝送線路部の線路長を等しくしたこ
とが好ましい。また前記構成においては、TEMモード
共振器を誘電体ブロックに設けた貫通孔で形成される一
体型同軸共振器で構成したことが好ましい。
【0034】また前記構成においては、TEMモード共
振器を誘電体シート上に形成されたストリップライン共
振器で構成したことが好ましい。また前記構成において
は、第1の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モ
ードインピーダンスで割った値を第2の伝送線路部の偶
モードインピーダンスを奇モードインピーダンスで割っ
た値より大きくしたことが好ましい。
【0035】また前記構成においては、第1の伝送線路
部の偶モードインピーダンスを奇モードインピーダンス
で割った値を前記第2の伝送線路部の偶モードインピー
ダンスを奇モードインピーダンスで割った値より小さく
したことが好ましい。
【0036】また前記構成においては、中心周波数の正
負15%以内の周波数範囲に伝達特性の減衰極を有する
ことことが好ましい。また前記構成においては、第2の
伝送線路部の偶モードインピーダンスを第1の伝送線路
部の偶モードインピーダンスで割った値を0.2以上、
0.8以下としたことが好ましい。
【0037】また前記構成においては、第2の伝送線路
部の偶モードインピーダンスを第1の伝送線路部の偶モ
ードインピーダンスで割った値を0.4以上、0.6以
下としたことが好ましい。
【0038】次に本発明の第2番目の積層型誘電体フィ
ルタは、複数のストリップライン共振器が形成されたス
トリップライン共振器電極層と容量電極層を具備し、ス
トリップライン共振器電極層と容量電極層を2枚のシー
ルド電極層で挟み込み、2枚のシールド電極層間を誘電
体で充填すると共に、ストリップライン共振器電極層と
容量電極層の間の厚さをストリップライン共振器電極層
とシールド電極層の間の厚さ、及び容量電極層とシール
ド電極層の間の厚さより薄くしたものである。
【0039】前記構成においては、ストリップライン共
振器とシールド電極層の間の誘電体及び容量電極層とシ
ールド電極層の間の誘電体は、それぞれ薄い誘電体シー
トを複数枚積層することによって形成することが好まし
い。
【0040】また前記構成においては、ストリップライ
ン共振器は先端短絡型の構造を有し、短絡端を前記スト
リップライン共振器電極層と同じ電極層上に形成された
幅広の共通接地電極を介して、誘電体の側面に形成され
た接地端子に電気的に接続し接地したことが好ましい。
【0041】また前記構成においては、容量電極層上に
形成された段間結合容量電極または入出力結合容量電極
またはローディング容量電極が、ストリップライン共振
器電極層のストリップライン共振器電極の外縁と重なる
領域において電極の幅を狭くしたくびれ形状を有するこ
とが好ましい。
【0042】また前記構成においては、積層型誘電体フ
ィルタは容量電極層上に入出力結合容量電極を有し、ス
トリップライン共振器は先端短絡型の構造を有するとと
もに、ストリップライン共振器の開放端と短絡端の中間
の位置で入出力結合容量電極とストリップライン共振器
を容量結合させたことが好ましい。
【0043】また前記構成においては、入出力結合容量
電極に電気的に接続された入出力端子を、ストリップラ
イン共振器の横方向に設けた側面電極で形成したことが
好ましい。
【0044】また前記構成においては、誘電体の焼成時
の収縮の倍率を、ストリップライン共振器電極層及び容
量電極層を構成する電極材料の焼成時の収縮の倍率より
小さく設定したことが好ましい。
【0045】また前記構成においては、積層型誘電体フ
ィルタは少なくとも2枚の容量電極層を有し、ストリッ
プライン共振器電極層をそれぞれ容量電極層にて上下か
ら挟み込んだことが好ましい。
【0046】次に本発明の第3番目の積層型誘電体フィ
ルタは、第1のシールド電極の上に厚さt1 の第1の誘
電体シートを介して第1のストリップライン共振器を隔
置し、第1のストリップライン共振器の上に厚さt2
らtn (ただし、nは2以上のストリップライン共振器
の数)の第2から第nの誘電体シートを介して第2から
第nのストリップライン共振器をそれぞれ隔置し、第n
のストリップライン共振器の上に厚さtn+1 の第(n+
1)の誘電体シートを介して第2のシールド電極を隔置
し、厚さt2 からtn までと厚さt1 またはtn+1 を異
なる値に設定したものである。
【0047】前記構成においては、厚さt2 からtn
うちの最大値を、厚さt1 及びtn+ 1 のいずれよりも小
さくしたことが好ましい。また前記構成においては、厚
さt2 からtn までの合計値を、厚さt1 とtn+ 1 の合
計値よりも小さくしたことが好ましい。
【0048】また前記構成においては、厚さt2 からt
n までの合計値を、厚さt1 及びt n+1 のいずれよりも
小さくしたことが好ましい。また前記構成においては、
前記ストリップライン共振器の数nを3以上とすると共
に、前記厚さt2 からtn までをすべて等しくしたこと
が好ましい。
【0049】また前記構成においては、第1のシールド
電極及び第2のシールド電極を誘電体シートに挟まれた
内層電極で形成したことが好ましい。また前記構成にお
いては、第1の誘電体シートと第(n+1)の誘電体シ
ートを薄い誘電体シートを複数枚積層したことが好まし
い。
【0050】また前記構成においては、第1の誘電体シ
ートを構成する薄い誘電体シートのひとつと、第(n+
1)の誘電体シートを構成する薄い誘電体シートのひと
つに、それぞれ入出力結合容量電極を形成したことが好
ましい。
【0051】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器の中心線の位置を前記第1
から第nまでの誘電体シート毎に横方向に平行にずらし
たことが好ましい。
【0052】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器を先端短絡ストリップライ
ン共振器とし、短絡端の方向を揃えて積層したことが好
ましい。
【0053】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器の短絡端側に幅広の接地電
極を形成し、第1から第(n+1)までの誘電体シート
で構成される積層体の前記ストリップライン共振器の短
絡端側の側面に外電極にて接地面シールド電極を設け、
ストリップライン共振器の短絡端を接地電極を介して接
地面シールド電極に接続して接地したことが好ましい。
【0054】また前記構成においては、第1の誘電体シ
ートを構成する薄い誘電体シートのひとつと、第(n+
1)の誘電体シートを構成する薄い誘電体シートのひと
つに、それぞれ入出力結合容量電極を形成し、前記入出
力結合容量電極の取り出し方向を、ひとつはストリップ
ライン共振器の右側面方向とし、他のひとつはストリッ
プライン共振器の左側面方向として、第1から第(n+
1)までの誘電体シートで構成される積層体の左右両側
面に設けた外電極で形成された側面入出力電極にそれぞ
れ接続して入出力端子としたことが好ましい。
【0055】また前記構成においては、第1から第(n
+1)までの誘電体シートで構成される積層体の側面
に、側面シールド電極を外電極にて形成したことが好ま
しい。また前記構成においては、第1から第(n+1)
までの誘電体シートで構成される積層体の前記ストリッ
プライン共振器の開放端側の側面に、開放面シールド電
極を外電極にて形成したことが好ましい。
【0056】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器の短絡端側の線路幅を開放
端側の線路幅よりも狭くしたことが好ましい。また前記
構成においては、第1から第nまでのストリップライン
共振器の短絡端側幅狭部の線路間距離と開放端側幅広部
の線路間距離を変えたことが好ましい。
【0057】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器の開放端側幅広部の線路中
心線の位置を上下に揃えて並べ、短絡端側幅狭部の線路
中心線の位置を前記第1から第nまでの誘電体シート毎
に横方向に平行にずらしたことが好ましい。
【0058】また前記構成においては、第1から第nま
でのストリップライン共振器の短絡端側の線路幅を開放
端側の線路幅よりも広くしたことが好ましい。また前記
構成においては、第1から第nまでのストリップライン
共振器の短絡端側幅広部の線路間距離と開放端側幅狭部
の線路間距離を変えたことが好ましい。
【0059】また前記構成においては、前記第1から第
nまでのストリップライン共振器の短絡端側幅広部の線
路中心線の位置を上下に揃えて並べ、開放端側幅狭部の
線路中心線の位置を前記第1から第nまでの誘電体シー
ト毎に横方向に平行にずらしたことが好ましい。
【0060】次に本発明の第4番目の積層型誘電体フィ
ルタは、複数枚の第1の誘電体シートの上に先端短絡ス
トリップライン共振器をそれぞれ形成し、別の複数枚の
第5の誘電体シートの上に電界結合窓もしくは磁界結合
窓を有する結合シールド電極をそれぞれ形成し、前記第
1の誘電体シートと前記第5の誘電体シートを前記スト
リップライン共振器の短絡端の方向を揃えて交互に重ね
て積層すると共に、前記結合シールド電極を接地し、さ
らに上下に積層した第2の誘電体シートを介してそれぞ
れシールド電極を設けたものである。
【0061】次に本発明の積層型誘電体アンテナ共用器
は、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以上のシ
ールド電極層と、少なくとも2層以上のストリップライ
ン共振器電極層を積層して一体焼成することにより積層
体を構成し、少なくとも一層の前記シールド電極層によ
り前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、一方の
前記積層体部分には少なくとも一層の前記ストリップラ
イン共振器電極層にて受信フィルタを構成し、他方の前
記積層体部分には少なくとも一層の別の前記ストリップ
ライン共振器電極層にて送信フィルタを構成し、それぞ
れ積層体の上下を前記シールド電極層を用いてシールド
することにより、前記受信フィルタと前記送信フィルタ
を上下に積み重ねて一体構造にしたものである。
【0062】前記構成においては、送信端子と受信端子
を異なる側面の側面電極で形成したことが好ましい。ま
た前記構成においては、ストリップライン共振器電極層
はそれぞれ複数の先端短絡ストリップライン共振器で構
成され、送信端子と直接結合するストリップライン共振
器と受信端子と直接結合するストリップライン共振器の
短絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定したことが
好ましい。
【0063】また前記構成においては、シールド電極層
は少なくとも4層以上を有し、少なくとも2層のシール
ド電極層に複数枚の誘電体シートを挟み込んだで構成し
た分離層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区
切り、分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整
合素子を電極パターンにより形成したことが好ましい。
【0064】
【作用】本発明の誘電体フィルタは、SIRの第1の伝
送線路部どうし及び第2の伝送線路部どうしをそれぞれ
互いに電磁界結合させ、さらに好ましくは、前記SIR
間を別に設けた結合手段を介して容量結合させることと
する。或いは、ストリップライン共振器を上下に積層
し、シールド電極とストリップライン共振器間の層間距
離をストリップライン共振器どうしの層間距離より大き
くすることとする。さらに、本発明の積層型誘電体アン
テナ共用器は、複数枚の誘電体シートと、3層以上のシ
ールド電極層と、2層以上のストリップライン共振器電
極層から成る積層体を、一層の前記シールド電極層によ
り上下2つの積層体部分に区切り、一方の前記積層体部
分には受信フィルタを構成し、他方の前記積層体部分に
は送信フィルタを構成して上下に積み重なった一体構造
とするものである。
【0065】前記した本発明の第1番目の誘電体フィル
タの構成によれば、一端が接地された第1の伝送線路部
と一端が開放され前記第1の伝送線路部より特性インピ
ーダンスが低い第2の伝送線路部の他端どうしを縦続接
続して構成される全線路長が4分の1波長より短いSI
R構造を持つ少なくとも2つ以上のTEMモード共振器
を具備し、前記第1の伝送線路部どうしを互いに電磁界
結合させると共に、前記第2の伝送線路部どうしを互い
に電磁界結合させ、両者の電磁界結合量をそれぞれ独立
に設定することにより、伝達特性に通過帯域と減衰極を
発生させたことにより、低損失で高選択度を有する良好
なバンドパス特性を持ち、低コストな誘電体フィルタを
実現できる。特に、小型で薄い平面型構造を持つ積層型
誘電体フィルタを実現できる。また、SIR構造により
共振器長を短くできるだけでなく、設計した周波数に通
過帯域と減衰極を自在に形成することができ、小型でよ
り優れた選択度を実現できる。
【0066】前記において、TEMモード共振器の開放
端を電気的容量を介して接地したという好ましい例によ
れば、ローディング容量により共振周波数をさらに低く
でき、共振器線路長が短くなるためフィルタの小型化を
実現できる。
【0067】また前記において、少なくとも2つのTE
Mモード共振器と入出力端子を容量結合させたという好
ましい例によれば、従来のコムラインフィルタの磁界結
合線路が不要なためフィルタを小型にできる。さらに開
放端で容量結合させることにより小さな結合容量で済
む。
【0068】また前記において、第1の伝送線路部の線
路間距離と第2の伝送線路部の線路間距離を変えること
により、伝達特性の減衰極周波数を調整でき、伝送線路
部の偶奇モードインピーダンス比を線路間距離で調整す
ることにより、電極パターンの変更のみで結合度の調整
が可能なため、実現が容易で、共振器の無負荷Q値の劣
化がない。る。
【0069】また前記において、第1の伝送線路部の線
路長と第2の伝送線路部の線路長を等しくすることで、
SIRの各伝送線路部の線路長を同じにでき、共振器長
を最も短くできるだけでなく、非常に複雑な設計式が簡
単な形に整理され、解析的に設計することが可能にな
る。
【0070】また前記において、TEMモード共振器
を、誘電体ブロックに設けた貫通孔で形成される一体型
同軸共振器で構成し、或いは、誘電体シート上に形成さ
れたストリップライン共振器で構成することにより、ブ
ロック型同軸共振器を用いた場合には、誘電体セラミッ
クをプレス成形し焼成すればよいので製造し易く、焼成
温度の高い高誘電率の材料を選択できてフィルタを小型
化することができ、また、無負荷Q値が高いため挿入損
失を減らすことができる。一方、ストリップライン共振
器を用いた場合には、平面構造により大幅な薄型化が可
能になる。
【0071】また前記において、第1の伝送線路部の偶
モードインピーダンスを奇モードインピーダンスで割っ
た値を第2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇
モードインピーダンスで割った値より大きくし、または
小さくした構成にしたことにより、第1の伝送線路部の
偶奇モードインピーダンス比が第2の伝送線路部の偶奇
モードインピーダンス比より小さい時、下側極を有する
バンドパスフィルタを構成することができ、逆に、第1
の伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比が第2の伝
送線路部の偶奇モードインピーダンス比より大きい時、
上側極を有するバンドパスフィルタを構成することがで
きる。
【0072】また前記において、ブロック型同軸共振器
を用いた場合には、誘電体セラミックをプレス成形し焼
成すればよいので製造し易く、焼成温度の高い高誘電率
の材料を選択できてフィルタを小型化することができ、
また、無負荷Q値が高いため挿入損失を減らすことがで
きる。一方、ストリップライン共振器を用いた場合に
は、平面構造により大幅な薄型化が可能になる。
【0073】また前記において、第1の伝送線路部の偶
奇モードインピーダンス比が第2の伝送線路部の偶奇モ
ードインピーダンス比より小さい時、下側極を有するバ
ンドパスフィルタを構成することができ、逆に、第1の
伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比が第2の伝送
線路部の偶奇モードインピーダンス比より大きい時、上
側極を有するバンドパスフィルタを構成することができ
る。
【0074】また前記において、偶モードインピーダン
ス比を0.2から0.8の範囲、望ましくは、0.4か
ら0.6の範囲に設定することにより、実際に作製可能
な線路幅とギャップの大きさと、共振器長の短縮の両立
が可能となり、製作が容易になる。
【0075】また前記において、少なくとも2つの前記
TEMモード共振器の間を、さらに別に設けた容量結合
手段にて容量結合させ、前記TEMモード共振器間の結
合を前記電磁界結合と前記容量結合の組み合わせにより
行ってもよい。さらに、容量結合手段による容量結合を
第2の伝送線路部で行い、さらに好ましくは、開放端で
行ってもよい。また、TEMモード共振器の開放端を容
量を介して接地し、または少なくとも2つのTEMモー
ド共振器と入出力端子を容量結合させる構成にしてもよ
い。この様な構成とすることにより、伝達特性の通過帯
域の極めて近傍に減衰極を発生させることができ、また
共振器線路長をさらに短くできるため、小型で高選択度
を有する誘電体フィルタを実現できる。
【0076】また前記において、第1の伝送線路部の線
路間距離と第2の伝送線路部の線路間距離を変え、伝送
線路部の偶奇モードインピーダンス比を線路間距離で調
整することにより、電極パターンの変更のみで結合度の
調整が可能なため、実現が容易で、共振器の無負荷Q値
の劣化がない。
【0077】また前記において、前記第1の伝送線路部
の線路長と前記第2の伝送線路部の線路長を等しくする
ことにより、SIRの各伝送線路部の線路長を同じにす
ることができ、共振器長を最も短くできるだけでなく、
非常に複雑な設計式が簡単な形に整理され、解析的に設
計することが可能になる。
【0078】また前記において、TEMモード共振器
を、誘電体ブロックに設けた貫通孔で形成される一体型
同軸共振器で構成するか、または誘電体シート上に形成
されたストリップライン共振器で構成することにより、
ブロック型同軸共振器を用いた場合には、誘電体セラミ
ックをプレス成形し焼成すればよいので製造し易く、焼
成温度の高い高誘電率の材料を選択できてフィルタを小
型化することができ、また、無負荷Q値が高いため挿入
損失を減らすことができる。一方、ストリップライン共
振器を用いた場合には、平面構造により大幅な薄型化が
可能になる。
【0079】また前記において、第1の伝送線路部の偶
モードインピーダンスを奇モードインピーダンスで割っ
た値を第2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇
モードインピーダンスで割った値より大きくするか、ま
たは小さくしたことにより、下側極や上側極を有するバ
ンドパスフィルタを自在に構成することができる。
【0080】また前記において、中心周波数の正負15
%以内の周波数範囲に伝達特性の減衰極を有することに
より、高選択度を有するフィルタを実現できる。また前
記において、第2の伝送線路部の偶モードインピーダン
スを第1の伝送線路部の偶モードインピーダンスで割っ
た値を0.2以上、0.8以下とし、さらに好ましく
は、0.4以上、0.6以下の範囲に設定することによ
り、実際に作製可能な線路幅とギャップの大きさと、共
振器長の短縮の両立が可能となり、製作が容易になる。
【0081】次に本発明の第2番目の積層型誘電体フィ
ルタによれば、薄いグリーンシートを何枚か積層して厚
い誘電体シートを構成することにより、全ての誘電体シ
ートを規格化された同一の厚さで構成することができ、
製造し易くなる。また、シールド電極層とストリップラ
イン共振器電極層の間の誘電体シートが厚いと共振器の
無負荷Q値が高くなり、低損失なフィルタを実現するこ
とができる。
【0082】また前記において、ストリップライン共振
器電極層と同じ電極層に幅広の共通接地電極を形成し、
前記ストリップライン共振器の短絡端を前記共通接地電
極を介して側面電極の接地端子に電気的に接続したこと
により、接地を確実にできると共に、誘電体シートを切
断する際の切断誤差による共振周波数のばらつきを低減
することができる。
【0083】また前記において、容量電極がストリップ
ライン共振器電極層の共振器電極の外縁と重なる領域に
おいて、容量電極にくびれを形成して電極の幅を狭くす
ることにより、容量電極に形成されたくびれにより、ス
トリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれが
生じた際に起きる両者が重なり合う領域の面積の変化を
小さくすることができる。その結果、製造工程において
ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれ
によるフィルタ特性のばらつきを抑えられる。
【0084】また前記において、ストリップライン共振
器と入出力端子間の容量結合を前記ストリップライン共
振器の開放端と短絡端の間で行い、さらに、入出力端子
を前記ストリップライン共振器の横方向に設けた側面電
極で形成することにより、ストリップライン共振器の開
放端側線路部分とローディングキャパシタで構成される
直列共振回路により、フィルタの伝達特性に別の減衰極
が追加され、さらに優れた選択特性を実現することがで
きる。また、2つの入出力電極の距離を離すことができ
るため、入出力間の空間的な結合を低減することができ
てアイソレーションを大きくできる。
【0085】また前記において、誘電体シートの焼成時
の収縮の倍率より小さい焼成時の収縮の倍率を有する電
極材料を用いてストリップライン共振器電極とシールド
電極を形成することにより、積層体の端面に電極の端子
が数μmから数十μm突き出た状態になって側面に形成
される端子電極との接続が良好かつ確実にできる。
【0086】また前記において、2枚の第2の誘電体シ
ートの上にそれぞれ容量電極を構成し、ストリップライ
ン共振器が形成された第1の誘電体シートの上下にそれ
ぞれ第2の誘電体シートを積層して容量電極を接地し、
または容量電極を入出力結合容量として用いるか、また
は、容量電極を段間結合容量として用いることにより、
小型で、低損失、製造容易な積層型誘電体フィルタを実
現できる。
【0087】次に本発明の第3番目の積層型誘電体フィ
ルタによれば、第1のシールド電極の上に厚さt1 の第
1の誘電体シートを介して第1のストリップライン共振
器を隔置し、第1のストリップライン共振器の上に厚さ
2 からtn (ただし、nは2以上のストリップライン
共振器の数)の第2から第nの誘電体シートを介して第
2から第nのストリップライン共振器をそれぞれ隔置
し、第nのストリップライン共振器の上に厚さtn+1
第(n+1)の誘電体シートを介して第2のシールド電
極を隔置し、厚さt2 からtn までと厚さt1 またはt
n+1 を異なる値に設定したことにより、共振器間の大き
な結合度と高い無負荷Q値が得られ、低損失で高選択度
を持つ優れたフィルタ特性を有し、多段化しても床面積
が大きくならない小型のフィルタを実現できる。
【0088】前記において、厚さt2 からtn の最大値
を前記厚さt1 及びtn+1 のいずれよりも小さくし、或
いは厚さt2 からtn の合計値を前記厚さt1 とtn+1
の合計値よりも小さくし、或いは厚さt2 からtn の合
計値を前記厚さt1 及びtn+ 1 のいずれよりも小さくす
るか、ストリップライン共振器の数nを3以上とすると
共に、厚さt2 からtn までをすべて等しくすることに
より、さらに共振器間の大きな結合度と高い無負荷Q値
が得られ、低損失で高選択度を持つ優れたフィルタ特性
を有し、多段化しても床面積が大きくならない小型のフ
ィルタを実現できる。
【0089】また前記において、2つのシールド電極を
誘電体シートに挟まれた内層電極で形成することによ
り、シールド電極をストリップライン共振器電極や容量
電極と同じ工法で形成できるため製造が容易になる。ま
た、第1と第(n+1)の誘電体シートを薄い誘電体シ
ートを複数枚積層して形成し、厚い誘電体シートを規格
化された厚さの薄い誘電体シートで形成することによ
り、さらに製造コストを下げることができる。
【0090】また前記において、第1の誘電体シートを
構成する薄い誘電体シートのひとつと、第(n+1)の
誘電体シートを構成する薄い誘電体シートのひとつに、
それぞれ入出力結合容量電極を形成し、ストリップライ
ン共振器と入出力端子との結合を容量結合方式とするこ
とにより、磁界結合方式よりもフィルタを小型にするこ
とができる。また、結合量の計算が簡単で、入出力結合
量の調整は電極パターンの面積を変えるだけでよいので
設計しやすい。
【0091】また前記において、第1から第nまでのス
トリップライン共振器の中心線の位置を横方向に平行に
ずらしたことにより、ストリップライン共振器間の結合
量を大変容易に調整できる。
【0092】また前記において、共振器を先端短絡スト
リップライン共振器とし、短絡端の方向を揃えて積層す
ることにより、設計が容易で、しかも小型のフィルタを
実現することができる。
【0093】また前記において、ストリップライン共振
器の短絡端側に幅広の接地電極を形成し、共振器の短絡
端側の積層体側面に外電極にて接地面シールド電極を設
けて接地することにより、幅の広い接地電極の長さの変
化の方がストリップライン共振器電極の長さの変化より
共振周波数に与える影響が小さいため、誘電体シートを
切断する際の精度による共振周波数のばらつきを抑える
ことができる。また、接地端接地端子の側面電極により
側面のシールドが行われるため、フィルタ特性は外部の
影響を受けにくい。
【0094】また前記において、第1の誘電体シートを
構成する薄い誘電体シートのひとつと、第(n+1)の
誘電体シートを構成する薄い誘電体シートのひとつに、
それぞれ入出力結合容量電極を形成し、前記入出力結合
容量電極の取り出し方向をそれぞれストリップライン共
振器の右側面方向と左側面方向として、積層体の左右両
側面に設けた外電極の入出力端子に接続することによ
り、入出力端子の取り出し方向を、ストリップラインの
右側面方向と左側面方向とすることができ、入出力端子
間のアイソレーションをとることができる。
【0095】また前記において、積層体の側面に側面シ
ールド電極を外電極にて形成し、或いは積層体の開放端
側の側面に開放面シールド電極を外電極で形成すること
により、シールド効果により外部の影響でフィルタ特性
が変化するのを防ぐことができ、またシールド電極の共
振を抑えフィルタ特性が劣化することを防ぐことができ
る。
【0096】また前記において、ストリップライン共振
器の短絡端側の線路幅を開放端側の線路幅よりも狭くし
たことにより、ストリップラインは幅広部と幅狭部によ
りSIR構造を構成し、共振器の長さは4分の1波長よ
りも短くなりフィルタの小型化を実現できる。
【0097】また前記において、ストリップライン共振
器の短絡端側幅狭部の線路間距離と開放端側幅広部の線
路間距離を変え、またはストリップライン共振器の開放
端側幅広部の線路中心線の位置を上下に揃えて並べ、短
絡端側幅狭部の線路中心線の位置を誘電体シート毎に横
方向に平行にずらしたことにより、ストリップラインの
幅広部どうしの電磁界結合量と幅狭部どうしの電磁界結
合量をそれぞれ独立に設定できるため、所望の周波数に
減衰極を設計することが可能である。また、ストリップ
ラインの幅広部の線路中心線の位置を上下に揃えて並べ
ることにより、幅広部間で最大の結合量を実現すること
ができ、しかもフィルタの横幅を最も小さくできる。
【0098】また前記において、ストリップライン共振
器の短絡端側の線路幅を開放端側の線路幅よりも広くし
たことにより、ストリップライン共振器の接地端側を幅
広部とすることにより高周波電流の抵抗損を減らすこと
ができるため、無負荷Q値を改善することができる。
【0099】また前記において、ストリップライン共振
器の短絡端側幅広部の線路間距離と開放端側幅狭部の線
路間距離を変え、或いはストリップライン共振器の短絡
端側幅広部の線路中心線の位置を上下に揃えて並べ、開
放端側幅狭部の線路中心線の位置を誘電体シート毎に横
方向に平行にずらしたことにより、幅広部間で最大の結
合量を実現することができ、しかもフィルタの横幅を最
も小さくできる。
【0100】次に本発明の第4番目の積層型誘電体フィ
ルタによれば、複数枚の第1の誘電体シートの上に先端
短絡ストリップライン共振器をそれぞれ形成し、別の複
数枚の第5の誘電体シートの上に電界結合窓もしくは磁
界結合窓を有する結合シールド電極をそれぞれ形成し、
第1の誘電体シートと第5の誘電体シートをストリップ
ライン共振器の短絡端の方向を揃えて交互に重ねて積層
すると共に、結合シールド電極を接地し、さらに上下に
積層した第2の誘電体シートを介してそれぞれシールド
電極を設けたことにより、共振器間の大きな結合度と高
い無負荷Q値が得られ、低損失で高選択度を持つ優れた
フィルタ特性を有し、多段化しても床面積が大きくなら
ない小型のフィルタを実現できる。
【0101】次に本発明の積層型誘電体アンテナ共用器
によれば、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以
上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリッ
プライン共振器電極層を積層して一体焼成した積層体に
おいて、一層の前記シールド電極層により上下2つの積
層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には受信フィ
ルタを構成し、他方の前記積層体部分には送信フィルタ
を構成し、受信フィルタと送信フィルタを上下に積み重
ねた一体構造にしたことにより、小型、薄型で低コスト
のアンテナ共用器を実現することができる。また、全体
がシールドされた表面実装デバイス(SMD)になって
おり、入出力の結合素子などは全て内層電極パターンで
構成されるため、外付けの部品が不要になる。
【0102】前記構成において、送信端子と受信端子を
異なる側面の側面電極で形成することにより、送信端子
と受信端子間に十分なアイソレーションをとることがで
きる。また、ストリップライン共振器電極層はそれぞれ
複数の先端短絡ストリップライン共振器で構成され、送
信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器と受
信端子と直接結合する前記ストリップライン共振器の短
絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定したことによ
り、同様に送信端子と受信端子間に十分なアイソレーシ
ョンをとることができる。
【0103】また前記構成において、さらに容量電極層
を加えたことにより、結合キャパシタを介した容量結合
方式を構成できるため、コムラインフィルタで必要な磁
界結合線路が不要となり、送信フィルタ、受信フィルタ
ともに小型にできる。
【0104】また前記構成において、積層体を上下2つ
の積層体部分に区切る2層のシールド電極層間の誘電体
シート上にインピーダンス整合素子を電極パターンによ
り形成したことにより、分離層の間の誘電体シート上に
インピーダンス整合素子としてインダクタもしくはキャ
パシタを形成することにより、送信フィルタと受信フィ
ルタとアンテナ端子間の良好な整合特性を実現すること
ができる。
【0105】
【実施例】以下実施例を用いて本発明をさらに具体的に
説明する。アンテナ共用器は、送信フィルタと受信フィ
ルタの組み合わせにより構成される。本実施例では、ま
ずアンテナ共用器を構成する個々のフィルタに関して、
本発明の技術を適用した積層型及びブロック型誘電体フ
ィルタについて記述し、最後にそれらを組み合わせた積
層型アンテナ共用器について記述する。
【0106】(実施例1)以下本発明の第1の実施例の
積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しながら説
明する。図1は本発明の第1の実施例における誘電体フ
ィルタの分解斜視図を示すものである。図1において、
10a、10bは厚い誘電体シートである。誘電体シー
ト10aの上にはストリップライン共振器電極11a,
11bが、誘電体シート10cの上には容量電極12
a、12bが形成されている。
【0107】ストリップライン共振器電極11a、11
bは、一端が接地された特性インピーダンスが高い第1
の伝送線路部17a、17bと一端が開放された特性イ
ンピーダンスが低い第2の伝送線路部18a、18bの
他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が4分の
1波長より短いSIR(Stepped Impedance Resonato
r)構造を持っている。SIR構造については、文献
(M.Makimoto et al., "Compact Bandpass Filters Usi
ng Stepped Impedance Resonators", Proceedings of T
he IEEE, VOL.67, NO.1, pp.16-19, January 1979)或
いは米国特許(USP4506241号明細書)に詳細に記述され
ている。SIRにより共振器の線路長を4分の1波長よ
り短くできることは既知の技術である。
【0108】これに対して本発明の構造が従来技術と大
きく異なる点は、各共振器がSIR構造であると同時
に、第1の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させる
と共に、第2の伝送線路部どうしも互いに電磁界結合さ
せ、各伝送線路どうしの線路間距離を変えるなどして、
それぞれの電磁界結合量を独立に設定している点であ
る。
【0109】第1の伝送線路の短絡端側は共通接地電極
16を介して接地される。共通接地電極16を介して接
地することにより、接地を確実にできると共に、誘電体
シートを切断する際の切断誤差による共振周波数のばら
つきを低減することができる。
【0110】ストリップライン共振器電極11a、11
bと入出力端子14a、14bは、ストリップライン共
振器電極の開放端で容量電極12a、12bを介して容
量結合している。容量結合方式は、コムラインフィルタ
で通常用いられている磁界結合方式と比べて、結合線路
が不要なためフィルタを小型にできるという利点を有す
る。本フィルタ構造への容量結合方式の適用は、後述の
設計法確立によって初めて可能になった。さらに、結合
容量は開放端で結合させることにより、小さな容量で済
むという特徴がある。
【0111】また、誘電体シート10bの上にはシール
ド電極13a,誘電体シート10dの上にはシールド電
極13bが形成されている。各シールド電極は、側面電
極で形成された接地端子15a、15b、15c、15
dにより接地される。本発明の構造ではフィルタ全体が
シールド電極に覆われているため、フィルタ特性が外部
の影響を受けにくいと。
【0112】電極保護の誘電体シート10eとこれら誘
電体シートを全て重ねて、全体を積層化した構造とす
る。誘電体材料としては、例えば文献(H.Kagata et a
l., "Low-fire Microwave Dielectric Ceramics and Mu
ltilayer Devices with SilverInternal Electrode", C
eramic Transactions, vol.32, The American CeramicS
ociety Inc., pp.81-90)で示される比誘電率58のB
i−Ca−Nb−O系のセラミックなど、約950℃以
下で焼成可能なセラミック材料を用いてグリーンシート
化し、銀、銅、金などの導電率の高い金属ペーストで電
極パターンを印刷すると共に、積層し一体焼成する。こ
のように、ストリップライン共振器を用いて積層構造に
した場合には、大幅な薄型化が可能になる。
【0113】以上のように構成された誘電体フィルタに
ついて、以下図1及び図2を用いてその動作を説明す
る。まず図2は第1の実施例の誘電体フィルタの等価回
路図を示すものである。図2のフィルタの伝達特性は並
行結合伝送線路の偶奇モードインピーダンスを用いて計
算することができる。図2において、21、22は入出
力端子、17a、17bはストリップライン共振器の第
1の伝送線路部、18a、18bはストリップライン共
振器の第2の伝送線路部、キャパシタ23、24はスト
リップライン共振器電極11a、11bと容量電極12
a、12bの間で構成される入出力結合容量である。
【0114】以下、2段フィルタの場合について、本発
明第1の実施例のフィルタ設計方法について説明する。
第1の伝送線路部の偶奇モードインピーダンスをそれぞ
れZe1、Zo1とし、第2の伝送線路部の偶奇モードイン
ピーダンスをそれぞれZe2、Zo2とする。各々の伝送線
路部の4ポートインピーダンスマトリクスは、例えば文
献(T.Ishizakiet al.,"A Very Small Dielectric Plan
ar Filter for Portable Telephones":1993 IEEE MTT-
S Digest H-1)を参照して、下記式(数1)で与えられ
る。
【0115】
【数1】
【0116】したがって、2端子対回路25の2ポート
アドミタンスマトリクスは、これらを縦続接続し、一端
側を接地し、他端側を入出力端子とする事により、本発
明の構造に対して下記式(数2)の様に新たに導出し
た。
【0117】
【数2】
【0118】但し、第1の伝送線路部と第2の伝送線路
部の線路長は同じ線路長Lに設定した。線路長を同じに
することによって、共振器長を最も短くできるだけでな
く、非常に複雑な計算式が簡単な形に整理され、解析的
に設計することが可能になる。また、Ke 、Ko 、α、
β、t´は下記式(数3)で定義した。
【0119】
【数3】
【0120】フィルタの設計は、まず、設計仕様から中
心周波数fo 、減衰極周波数fp 、帯域幅bw、帯域内
リップル量Lr などを決める。これらの値からフィルタ
設計に必要なgパラメータの値が求まり、したがって段
間アドミタンスY3 と変形アドミタンスインバータの並
列アドミタンスY01 e 及び入出力結合容量(C01)2
3、24が求まる。gパラメータ、Y3 、Y01 e 、C01
の導出は文献(G.L.Matthaei et al.,"Microwave Filte
rs, Impedance-Matching Networks, and Coupling Stru
ctures": McGraw-Hill, 1964)に示されている。
【0121】ここで、(数3)のt´においてfをfo
またはfp とおいたものをそれぞれt´o 、t´p と定義
する。したがって、設計するフィルタ特性を実現するた
めに必要な式は、減衰極周波数fp を与える下記式(数
4)と、フィルタ中心周波数fo を与える下記式(数
5)と、段間アドミタンスY3 を与える下記式(数6)
である。これらの3式を同時に満たす解が、本発明第1
の実施例の誘電体フィルタの設計値である。
【0122】
【数4】
【0123】
【数5】
【0124】
【数6】
【0125】次に、ストリップラインの構造パラメータ
を考慮しつつ、Ze1とZe2すなわちZe1とKe (=Ze2
/Ze1)を適当に任意に定める。前記式(数2)と前記
式(数3)からβが消去できて、t´o とt´p が求ま
る。したがって各伝送線路部の線路長Lが決定される。
【0126】ストリップラインの開放端にローディング
容量が存在する場合は、フィルタの設計式で前記式(数
5)を下記式(数7)に変更すればよい。
【0127】
【数7】
【0128】ここで、YL はローディング容量によるア
ドミタンスである。次に、本実施例のフィルタの設計例
を示す。表1は中心周波数fo を1000MHz、帯域
幅bwを50MHz、帯域内リップルLr を0.2dB
とし、減衰極の周波数fp をそれぞれ第1の試作フィル
タでは800MHz、第2の試作フィルタでは1200
MHzとして設計した場合の回路パラメータ設計値であ
る。
【0129】
【表1】
【0130】ここで誘電体シートの比誘電率は58であ
る。ゆえに、kは0.131、Ze1は20Ω、Ke
0.5とした。また、開放端の不連続部によるローディ
ング容量は3pFと見積もった。
【0131】任意の偶モードインピーダンス・ステップ
比Ke の値に対しては、Ke と規格化された共振器線路
長Sの関係は図3の様になる。規格化された共振器線路
長Sとは、本フィルタの共振器線路長を伝搬波長の4分
の1波長で割った値である。このように、本実施例のフ
ィルタでは共振器をSIR構造にすることにより、ロー
ディング容量がなくても線路長を4分の1波長より短く
できて、フィルタの小型化が実現できる。すなわち、偶
モードインピーダンス・ステップ比Ke が小さいほど共
振器線路長は短くなる。
【0132】また、Ke と第1の伝送線路部の偶奇モー
ドインピーダンス比P1 (=Ze1/Zo1)及び第2の伝
送線路部の偶奇モードインピーダンス比P2 (=Ze2
o2)の関係は図4の様になる。Ke が大きいと第2の
伝送線路部の偶奇モードインピーダンス比P2 が大きく
なりストリップライン共振器間のギャップを小さくしな
ければならないため、実現が難しい。逆にKe が小さい
と第1の伝送線路部の偶モードインピーダンスZe1がか
なり高くなりストリップラインの線路幅を狭くしなけれ
ばならないため、これも実現が難しい。したがって、K
e には実現し易い適当な値の範囲がある。また、本実施
例の構成で良好なフィルタ特性を実現するためには、図
4で示されるように、第1の伝送線路部の偶奇モードイ
ンピーダンス比P1 及び第2の伝送線路部の偶奇モード
インピーダンス比P2 がそれぞれ1.05以上、1.1以上必
要であることがわかる。
【0133】図5は、偶モードインピーダンスZe 偶奇
モードインピーダンス比Pの関係をストリップラインの
構造をパラメータとして説明した設計チャートである。
図5は、比誘電率を58、ストリップラインと上下のシ
ールド電極の間の誘電体シートの厚さをそれぞれ0.8
mmにした場合に、ストリップラインの線路幅wが0.
2mmから2.0mm、並行ストリップライン間のギャ
ップgが0.1mmから2.0mmについて計算したも
のである。
【0134】図5を用いて、図4で求めた伝送線路部の
偶奇モードインピーダンス比Pが実現可能かどうかをチ
ェックする事ができる。その結果、前述の表1の回路パ
ラメータを実現する構造パラメータの値は、図5を用い
て表2の様に求まる。
【0135】
【表2】
【0136】表2の設計では、伝送線路部の偶奇モード
インピーダンス比Pは、線路間距離、すなわちギャップ
gを変えることによって調整されている。線路間距離に
よる結合度の調整は電極パターンの変更のみで調整可能
なため、誘電体シートの厚さを変えるやり方などに比べ
てはるかに容易に実現でき、かつ、共振器の無負荷Q値
の劣化がないという利点を有する。
【0137】図6は、第1の実施例における誘電体フィ
ルタの伝達特性の設計値のシミュレーション結果を示す
グラフである。また、図7は試作した本実施例のフィル
タの特性を示し、実線は実測値、破線は試作した形状に
ついての計算値である。いずれも、(a)は下側極を持
つ第1の試作フィルタの特性で、(b)は上側極を持つ
第2の試作フィルタの特性である。これらの図では設計
の周波数に減衰極が発生していることが示されている。
【0138】本発明で明らかになったことは、SIR構
造の共振器の第1の伝送線路部どうし及び第2の伝送線
路部どうしをそれぞれ互いに電磁界結合させることによ
り、共振器長を短くできるだけでなく、設計した周波数
に減衰極を形成でき、より優れた選択度を実現できると
いう新たな効果が得られるということである。
【0139】以上のように本実施例によれば、一端が接
地された第1の伝送線路部と一端が開放され前記第1の
伝送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線
路部の他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が
4分の1波長より短いSIR構造を持つ少なくとも2つ
以上のTEMモード共振器を具備し、第1の伝送線路部
どうしを互いに電磁界結合させると共に、第2の伝送線
路部どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合
量をそれぞれ独立に設定することにより、伝達特性に通
過帯域と減衰極を発生させ、小型で高選択度を有する誘
電体フィルタを実現することができる。
【0140】なお、本実施例においては、共振器として
ストリップライン共振器を例示して説明したが、TEM
モード共振器であればいかなる構成の共振器でも良く、
これは以下の実施例についても同様である。
【0141】(実施例1の応用例)以下本発明の第1の
実施例の変形の積層型誘電体フィルタについて図面を参
照しながら説明する。図8は本発明の第1の実施例の変
形を示す積層型誘電体フィルタの分解斜視図である。図
8において、図1の構成と同じものについては同じ参照
番号を付している。
【0142】本実施例の動作原理は第1の実施例と同じ
である。本実施例が、図1で示される第1の実施例と異
なる点は、容量電極29a、29bをストリップライン
共振器電極層と同じ誘電体シート10a上に形成したこ
とである。そのために、第1の実施例の誘電体シート1
0cが不要になり、電極の印刷回数を1回減らすことが
できると共に、フィルタ特性のばらつきの要因となって
いた誘電体シート10cの厚さの管理が要らなくなると
いう大きな利点がある。
【0143】また、容量電極で構成されるキャパシタを
インターディジタル型のキャパシタとして形成すること
により、大きな容量を簡単に得ることができるため、広
帯域な特性も実現することができる。
【0144】(実施例2)以下本発明の第2の実施例の
ブロック型誘電体フィルタについて図面を参照しながら
説明する。図9(a)は本発明の第2の実施例を示すブ
ロック型誘電体フィルタの透視斜視図、図9(b)は本
発明の第2の実施例を示すブロック型誘電体フィルタの
A−A´面の断面図である。本実施例において第1の実
施例と異なるのは、TEMモード共振器としてストリッ
プライン共振器の代わりに誘電体ブロックの貫通孔で形
成されるブロック型同軸共振器を用いた点である。
【0145】図9において、1010は誘電体ブロッ
ク、1011、1012、1013、1014は共振器
電極、1015、1016は入出力結合容量電極、10
17はシールド電極である。各共振器電極は特性インピ
ーダンスが高い第1の伝送線路部1031、1032、
1033、1034と、特性インピーダンスが低い第2
の伝送線路部1021、1022、1023、1024
から構成され、それぞれが互いに電磁界結合をしてい
る。
【0146】電磁界結合の大きさは各伝送線路部の間の
距離を変えるか、もしくは、誘電体ブロックに切り欠き
や小孔を設けて誘電体を削り取ることにより調整でき
る。本実施例では第1の実施例と同様の効果を有するほ
かに、同軸共振器を用いることにより、誘電体セラミッ
クをプレス成形し焼成すればよいので製造し易い。ま
た、焼成温度の高いセラミック材料でよいため、高誘電
率の材料を使用することができ、フィルタを小型化する
ことができる。また、ストリップライン共振器より無負
荷Q値が少し高いため、フィルタの挿入損失を減らすこ
とができる。
【0147】(実施例3)以下本発明の第3の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図10は本発明の第3の実施例を示す積層型誘電
体フィルタの分解斜視図である。図10において、図1
の構成と同じものについては同じ参照番号を付してい
る。図1と異なるのは、ローディング容量電極19をス
トリップライン共振器電極11a、11bと開放端部分
において対向するように設けた点である。本実施例で
は、ストリップライン共振器と並列に挿入されたローデ
ィング容量により、共振周波数をさらに低くすることが
できる。
【0148】本実施例におけるフィルタの設計式は、前
記式(数4)と前記式(数6)は第1の実施例と同じ
で、前記式(数5)だけを前記式(数7)に変更すれば
よい。図11は、第3の実施例におけるローディング容
量と共振器線路長の関係を説明するグラフである。ロー
ディング容量を付加することによって、共振器線路長が
さらに短くなることが確認できる。
【0149】以上のように、ローディング容量電極19
をストリップライン共振器電極11a、11bと開放端
部分において対向するように設けることにより、共振器
線路長をさらに短くすることができて、フィルタの小型
化を実現できる。
【0150】(実施例4)以下本発明の第4の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図12は本発明の第4の実施例を示す積層型誘電
体フィルタの分解斜視図である。また、図13は第4の
実施例の積層型誘電体フィルタの等価回路図を示すもの
である。図12において、図1の構成と同じものについ
ては同じ参照番号を付している。本実施例において、第
1の実施例の図1と異なるのは、結合容量電極20とロ
ーディング容量電極19をストリップライン共振器電極
11a、11bと開放端部分において対向するように設
けた点である。
【0151】まず、本実施例の誘電体フィルタの動作を
説明する前に、前述の第1の実施例で通過帯域近傍に減
衰極を形成する場合の困難さについて説明する。図14
は第1の実施例における誘電体フィルタの減衰極周波数
に対する必要な偶奇モードインピーダンス比を示すグラ
フである。(a)は下側極を有するフィルタの場合で、
(b)は上側極を有するフィルタの場合を示す。減衰極
周波数が中心周波数に近づくにつれて、必要な偶奇モー
ドインピーダンス比P1 、P2 が大きくなる。
【0152】実際のフィルタ製作の大体の目安として、
作製可能な線路幅wとギャップgの最小値を0.2mm
とし、また、フィルタの大きさの要請からくるそれらの
最大値を2mmとすると、実現可能な偶モードインピー
ダンスZe は、図5で示されるように、7Ωから35Ω
である。すなわち、最小の偶モードインピーダンス・ス
テップ比Ke は0.2である。また、Ke が大きいと共
振器長が短くできないため、Ke には適当な範囲があ
り、ストリップラインの構造パラメータとの関係によ
り、0.2から0.8の範囲、望ましくは、0.4から
0.6の範囲が適当である。そして、実現可能な偶奇モ
ードインピーダンス比Pは、偶モードインピーダンスが
7Ωのときは約1.4以下、20Ωのときは約1.9以
下、35Ωの時は約2.2以下である。
【0153】これらの値の制限は、中心周波数の近傍に
減衰極をどれだけ近づけられるかということに対しての
制約となる。図14においてP2 が1.4以下という条
件から、第1の実施例の誘電体フィルタでは下側極の最
高周波数は814MHz、上側極の最低周波数は115
4MHzであることがわかる。
【0154】この制限を緩和するため、結合容量とロー
ディング容量を導入したのが、図12に示される本発明
の第4の実施例の誘電体フィルタである。以下、第4の
実施例の積層型誘電体フィルタについて、図12及び図
13を用いてその動作を説明する。図13で示される第
4の実施例のフィルタの伝達特性は並行結合伝送線路の
偶奇モードインピーダンスを用いて図2の第1の実施例
のフィルタと同様に計算することができる。図13にお
いて、図2の構成と同じものについては同じ参照番号を
付している。図2と異なるのは、結合容量電極20とス
トリップライン共振器電極11a、11bの間で形成さ
れる結合容量(CC)28と、ローディング容量電極1
9とストリップライン共振器電極11a、11bの間で
形成されるローディング容量(CL)26、27が新た
に付加された点である。
【0155】第4の実施例の2段フィルタの場合につい
て設計方法を以下に説明する。並行結合SIR共振器の
2端子対回路25の2ポートアドミタンスマトリクス
は、前述のように(数2)で与えられている。したがっ
て、本実施例の構造では設計のフィルタ特性を実現する
ために必要な式として、第1の実施例で与えられた前記
式(数4)、前記式(数5)、前記式(数6)を以下の
式に置き換えれば良い。すなわち、減衰極周波数fp
与える下記式(数8)と、フィルタ中心周波数fo を与
える下記式(数9)と、段間アドミタンスY3 を与える
下記式(数10)である。これらの3式を同時に満たす
解が、本発明の第4の実施例の誘電体フィルタの設計値
である。
【0156】
【数8】
【0157】
【数9】
【0158】
【数10】
【0159】ここで、第4の実施例における下側極を有
する誘電体フィルタの結合容量CCに対応する偶奇モー
ドインピーダンス比(P1 、P2 )と規格化された共振
器線路長Sの関係を図15に示す。また、ローディング
容量CL に対応する偶奇モードインピーダンス比
(P1 、P2 )と規格化された共振器線路長Sの関係を
図16に示す。これらの図は中心周波数fo が1000
MHz、減衰極周波数fp が800MHz、偶モードイ
ンピーダンス・ステップ比Ke が0.2として計算され
たものである。また、図15ではローディング容量(C
L )26、27は0pFに固定され、図16では結合容
量(CC )28は0pFに固定されている。
【0160】結合容量CC が増加する時、P1 は大きく
なり、P2 は小さくなり、Sは変化しない。一方、ロー
ディング容量CL が増加する時、P1 は小さくなり、P
2 は大きくなり、Sは小さくなる。したがって、結合容
量(CC )28とローディング容量(CL )26、27
の組み合わせにより、偶奇モードインピーダンス比(P
1 、P2 )を実現可能な値に調整することができる。よ
って、通過帯域近傍に減衰極を作ることが可能になる。
【0161】図14(a)では、第1の伝送線路部の偶
奇モードインピーダンス比P1 が第2の伝送線路部の偶
奇モードインピーダンス比P2 より小さい時、第1の実
施例の誘電体フィルタで下側極が形成されることが示さ
れている。また、第1の伝送線路部の偶奇モードインピ
ーダンス比P1 が第2の伝送線路部の偶奇モードインピ
ーダンス比P2 より大きい時、第1の実施例の誘電体フ
ィルタで上側極が形成されることが示されている。一
方、第4の実施例の図15、図16では、これらの関係
は結合容量とローディング容量の大きさによって入れ替
わる可能性があることも示されている。したがって、こ
のようにP1 とP2 の関係を適切に設定することによっ
て、本発明の構造では所要の周波数に自在に減衰極を形
成することができる。
【0162】図17(a)は第4の実施例における下側
極を有する誘電体フィルタの減衰極周波数に対する必要
な最小の結合容量値とローディング容量値を示すグラフ
である。また、図17(b)は第4の実施例における上
側極を有する誘電体フィルタの減衰極周波数に対する必
要な最小の結合容量値とローディング容量値を示すグラ
フである。グラフの曲線より、第1の実施例の構造の誘
電体フィルタでは作成できなかった中心周波数の正負そ
れぞれ15%以内の周波数範囲の減衰極、具体的には8
14MHzから1154MHzの間の周波数範囲の減衰
極が、第4の実施例の構造の誘電体フィルタでは作成可
能であることがわかる。そして、ローディング容量は、
通過帯域のごく近傍で必須になることが示されている。
中心周波数の正負15%以内の周波数範囲のひとつの減
衰極を形成することにより、高選択度を持つバンドパス
フィルタを実現することができる。
【0163】さらに、図18は第1の実施例と第4の実
施例における誘電体フィルタの通過帯域近傍の減衰量の
改善を示すための伝達特性シミュレーション結果を示す
グラフである。(a)は下側極を有するフィルタの場
合、(b)は上側極を有するフィルタの場合である。い
ずれも、実線は第1の実施例のフィルタで減衰極を最も
通過帯域に近づけたときの特性を示し、破線は第4の実
施例のフィルタで得られる特性である。第4の実施例の
フィルタにおいては、第1の実施例のフィルタよりも優
れた選択特性が得られている。
【0164】以上のように本実施例によれば、一端が接
地された第1の伝送線路部と一端が開放され前記第1の
伝送線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線
路部の他端どうしを縦続接続して構成される全線路長が
4分の1波長より短いSIR構造を持つ少なくとも2つ
以上のTEMモード共振器を具備し、第1の伝送線路部
どうしを互いに電磁界結合させ、かつ、第2の伝送線路
部どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量
をそれぞれ独立に設定するとともに、少なくとも2つの
前記TEMモード共振器間を別に設けた結合手段を介し
て容量結合させることにより、伝達特性の通過帯域近傍
に減衰極を発生させることができるという優れた特徴を
有している。また、第4の実施例では、ストリップライ
ン共振器と並列に挿入されたローディング容量により、
共振器線路長をさらに短くできるため、フィルタの小型
化も実現できる。したがって、小型で高選択度を有する
誘電体フィルタを実現することができ、このような特性
は、例えば、携帯電話用の高周波フィルタの特性として
非常に好ましいものである。
【0165】(実施例5)以下本発明の第5の実施例の
ブロック型誘電体フィルタについて図面を参照しながら
説明する。図19(a)は本発明の第5の実施例を示す
ブロック型誘電体フィルタの透視斜視図、図19(b)
は本発明の第5の実施例を示すブロック型誘電体フィル
タのA−A´面の断面図である。第5の実施例において
第4の実施例と異なるのは、TEMモード共振器として
ストリップライン共振器の代わりに誘電体ブロックの貫
通孔で形成される一体型同軸共振器を用いた点である。
【0166】図19において、図9の構成と同じものに
ついては同じ参照番号を付している。1010は誘電体
ブロック、1011、1012、1013、1014は
共振器電極、1015、1016は入出力結合容量電
極、1017はシールド電極、1018a、1018
b、1018cは結合容量電極である。各共振器電極は
特性インピーダンスが高い第1の伝送線路部1031、
1032、1033、1034と、特性インピーダンス
が低い第2の伝送線路部1021、1022、102
3、124から構成され、それぞれが互いに電磁界結合
をしている。また、結合容量電極1018a、1018
b、1018cの隙間で構成される容量により、容量結
合を行っている。
【0167】電磁界結合の大きさは各伝送線路部の間の
距離を変えるか、もしくは、誘電体ブロックに切り欠き
や小孔を設けて誘電体を削り取ることにより調整でき
る。第5の実施例では第4の実施例と同様の効果を有す
るほかに、一体型同軸共振器を用いることにより、誘電
体セラミックをプレス成形し焼成すればよいので製造し
易い。また、焼成温度の高いセラミック材料でよいた
め、高誘電率の材料を使用することができる。また、ス
トリップライン共振器より無負荷Q値が少し高いため、
フィルタの挿入損失を減らすことができる。
【0168】(実施例6)以下本発明の第6の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図20(a)は本発明の第6の実施例を示す積層
型誘電体フィルタの分解斜視図、図20(b)は本発明
の第6の実施例を示す積層型誘電体フィルタのA−A´
面の断面図である。また、図21は図20で示す第6の
実施例の積層型誘電体フィルタにおける動作説明のため
の等価回路図である。
【0169】本実施例のフィルタ回路構成は外見上第4
の実施例と共通な点を多く有している。しかしながら、
各共振器は必ずしも第1の伝送線路部と前記第1の伝送
線路部より特性インピーダンスが低い第2の伝送線路部
で構成されるSIRである必要はない。したがって、本
実施例の構成では、第1の伝送線路部どうし或いは第2
の伝送線路部どうしのそれぞれ独立な電磁界結合量は全
く考慮されていない。
【0170】図20において、200a、200bは厚
い誘電体シートである。誘電体シート200aの上には
ストリップライン共振器電極201a,201bが、誘
電体シート200cの上には平行平板キャパシタの第2
の電極202aと第3の電極202bと第4の電極20
2c、202dが形成されている。
【0171】また、誘電体シート200bの上にはシー
ルド電極203a,誘電体シート200dの上にはシー
ルド電極203bが形成されている。電極保護の誘電体
シート200eとこれら誘電体シートを全て重ねて、全
体を積層化した構造とする。誘電体材料としては、例え
ば比誘電率58のBi−Ca−Nb−O系のセラミック
など、約950℃以下で焼成可能なセラミック材料を用
い、グリーンシート化し、銀、銅、金などの導電率の高
い金属ペーストで電極パターンを印刷すると共に、積層
し一体焼成する。
【0172】焼成により、誘電体シートと各電極層は縦
方向と横方向にそれぞれ10から20%程度収縮して
0.8倍から0.9倍程度の大きさになる。もし、電極
層の収縮の倍率が誘電体シートの収縮の倍率よりも大き
いと電極の端子が積層体の端面において内部に引っ込ん
でしまうため、側面に形成する端子電極との接続ができ
なくなってしまう。これを避けるために、焼成時の収縮
の倍率が誘電体シートよりわずかに小さい電極材料を用
いて、複数枚の誘電体シートの上にそれぞれストリップ
ライン共振器電極とシールド電極を形成し、誘電体シー
トを積層して一体焼成を行う。この様にすることによ
り、積層体の端面に電極の端子が数μmから数十μm突
き出た状態になって側面に形成される端子電極との接続
がうまくできることになる。
【0173】厚い誘電体シート200a、200bは薄
いグリーンシートを何枚か積層する事により所定の厚さ
にする事ができる。この様にすると、全ての誘電体シー
トを規格化された同一の厚さで構成することができ、製
造し易くなる。
【0174】第4の電極202c、202dは入出力端
子の側面電極204a、204bと接続される。上下の
シールド電極203a、203bは接地端子の側面電極
205a、205bに接続される。接地端子となる側面
電極を、それぞれストリップライン共振器の開放端側の
側面と短絡端側の側面の2側面に設けて接地することに
より、シールド電極の共振を抑え、フィルタ特性が劣化
することを防ぐことができる。また、入力端子と出力端
子の間に接地端子となる側面電極205aを形成する事
により、入出力端子間のアイソレーションが取れるとい
う効果がある。さらに、2つの側面に設けた側面電極の
数もしくは形状を違えて非対称にすることにより、誘電
体積層フィルタの取付方向を容易に確認できる。
【0175】シールド電極203a、203bの形状
は、接地端子となる側面電極が接続される箇所とその周
辺部を除いて、シールド電極の外周辺が誘電体シートの
外周辺よりも内側にくるように周辺に余白を残し、シー
ルド電極の大きさを誘電体シートの大きさより一回り小
さくする。積層されたセラミックのグリーンシート間の
接着強度は、電極パターンを形成する金属ペーストを挟
む箇所では弱くなるため、特に誘電体シートの外周辺に
おいて、セラミックどうしが直接接着するようにシール
ド電極の余白部を設ける。
【0176】また、2層のシールド電極の形状を同じに
することにより、シールド電極パターン印刷用のスクリ
ーンが1種類で済むという利点がある。さらに、上下2
層のシールド電極はどちらも内層電極にて形成すること
により、ストリップライン共振器電極層及び容量電極層
と同じ工法でできるため、製造し易い。最上層には電極
保護用誘電体シート200eを積層することにより、機
械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シ
ールド電極層203aを保護することができる。もちろ
ん、下部シールド電極層203bも誘電体シート200
dの上に印刷されているため外部環境から保護されてい
る。
【0177】ストリップライン共振器は、ストリップラ
インの短絡端側の線路幅をストリップラインの途中で、
幅広部211a、211bから幅細部212a、212
bへとステップ状に狭くして小型化を図っている。スト
リップライン共振器の幅細部の電極212a、212b
の短絡端側は、幅の広い共通接地電極213を介して接
地端子の側面電極205bに接続され、接地される。幅
の広い共通接地電極213の長さの変化は、ストリップ
ライン共振器電極201a,201bの長さの変化と比
べて、共振周波数に与える影響が小さいため、誘電体シ
ートを切断する際の精度による共振周波数のばらつきを
抑えることができる。
【0178】なお、本実施例ではストリップライン共振
器の線路幅をストリップラインの途中でステップ状に変
化させたが、第1から第5までの実施例とは異なり、線
路幅を一定としたストリップライン共振器でも構わな
い。その他、線路幅を傾斜的に変化させるなどの変形も
もちろん可能である。
【0179】以上のように構成された第6の実施例の積
層型誘電体フィルタについて、以下図20(a)、図2
0(b)、図21を参照しながらその動作を説明する。
まず、ストリップライン共振器電極201a,201b
と、それに対向する第2、第3及び第4の電極202
a、202b、202c、202dはそれぞれの間で平
行平板キャパシタを221、222、223、224、
225、226を構成する。第2の電極202aとスト
リップライン共振器電極201aの間で構成される平行
平板キャパシタ221と、第2の電極202aとストリ
ップライン共振器電極201bの間で構成される平行平
板キャパシタ222は、段間結合キャパシタとして働
く。したがって、共振器間の段間結合は、ストリップラ
イン共振器間の電磁界結合と直列接続された平行平板キ
ャパシタ221と222を介した電界結合の組み合わせ
で行われる。
【0180】小型化のためにストリップライン共振器電
極間の距離を小さくすると、通常、電磁界結合による段
間結合が大きくなりすぎて、良好な狭帯域特性を実現す
ることが困難になってくるが、本発明の構成においては
電磁界結合と電界結合の組み合わせによる結合の相殺で
段間結合を小さくすることができ、狭帯域な特性を実現
することができる。また、同時に電磁界結合と電界結合
の組み合わせによる共振現象によって、伝達特性に減衰
極を構成することができて、より一層優れた選択特性を
得ることができる。
【0181】ここで留意すべき点は、本実施例における
伝達特性の減衰極の発生方法は、第1から第5までの実
施例の誘電体フィルタにおける減衰極の発生方法と根本
的に異なっているということである。すなわち、第1か
ら第5までの実施例の誘電体フィルタではSIR構造の
共振器の第1の伝送線路部どうし及び第2の伝送線路部
どうしを互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量を
それぞれ独立に設定することにより減衰極を発生させて
いるが、本実施例の構成では共振器間の電磁界結合と段
間結合キャパシタによる電界結合の組み合わせによる並
列共振により減衰極を発生させている。本実施例による
減衰極の発生原理は、特開平5−95202号公報もし
くは文献(T.Ishizaki et al., "A Very Small Dielect
ric Planar Filter for Portable Telephones", 1993 I
EEE MTT-S Digest, H-1, pp.177-180, 1993)に詳細に説
明されている。また、これに関連した技術は米国特許第
4742562 号明細書及び文献(R.Pregla, "Microwave Fil
ters of Coupled Lines and Lumped Capacitances", IE
EE Trans. on Microwave Theory and Tech., vol.MTT-1
8, No.5, pp.278-280, May 1970)にも記述されている。
【0182】段間結合キャパシタの容量電極は、容量電
極層に設けたいずれの端子電極にも電気的に接続されな
い浮き電極である第2の電極202aにより構成されて
いる。本実施例における構成の特徴は、平行平板キャパ
シタを構成する第1の電極をストリップライン共振器の
電極面201a、201bで共用した点と、平行平板キ
ャパシタ221、222を直列接続する形にすることに
より段間結合キャパシタを積層可能な平面構造で実現し
たことである。
【0183】第3の電極202bとストリップライン共
振器電極201aの間で構成される平行平板キャパシタ
223と、第3の電極202bとストリップライン共振
器電極201bの間で構成される平行平板キャパシタ2
24は、ストリップライン共振器の共振周波数を下げる
並列ローディングキャパシタとして働く。したがって、
ストリップライン共振器201a,201bの長さは、
4分の1波長よりも短くすることができフィルタの小型
化が実現できる。
【0184】図20では、第3の電極202bは2つの
ストリップライン共振器電極201aと201bに対し
て一体となっているが、第3の電極202bを2つに分
離して、ストリップライン共振器電極201aと201
bそれぞれに第3の電極を設けて接地してもよい。
【0185】また、第4の電極202cとストリップラ
イン共振器電極201aの間で構成される平行平板キャ
パシタ225と、第4の電極202dとストリップライ
ン共振器電極201bの間で構成される平行平板キャパ
シタ226は、それぞれ入出力結合キャパシタとして働
く。
【0186】本実施例の構成においては、シールド電極
層と容量電極層が別々の層で構成されているため、高い
無負荷Q値を得るためにストリップライン共振器電極層
とシールド電極層の間の誘電体シートの厚さを厚くした
まま、ストリップライン共振器電極と容量電極の間に大
きな結合容量を形成することができて、入出力結合もし
くは段間結合に利用するために必要な大きな容量を取る
ことができるという特徴を有している。仮に、シールド
電極層と同じ層に容量電極を形成する構成であれば、シ
ールド電極層と容量電極層の間の誘電体シートを薄くし
なければならず、無負荷Q値は劣化して、かつ、本発明
のフィルタで必要な結合度を実現することは大変困難で
ある。しかし、本発明の構成は、シールド電極層とは別
に設けられた容量電極層を薄い誘電体シートを挟んでス
トリップライン共振器電極層に対向させることによっ
て、かかる問題を巧みに解決したものである。
【0187】また、本構成においては、ストリップライ
ン共振器電極は全て誘電体シート200aの上に、容量
電極は全て誘電体シート200cの上に印刷されている
ため、電極印刷はこの2枚の誘電体シートとシールド電
極層2枚だけで済むことになり、印刷の工数が少なく、
また、フィルタ特性のばらつきが抑えられる。すなわ
ち、ストリップライン共振器電極層を一層の電極層で構
成することにより、ストリップライン共振器電極間の相
対的な位置精度高めることができるため、ばらつきを低
減できる。また、容量電極層を一層の電極層で構成する
ことにより、フィルタの特性ばらつきに影響の大きい誘
電体シートの厚さの管理は、ストリップライン共振器電
極層と容量電極層の間の一層の誘電体シート200cだ
けを行えば済むため、製造管理がやり易くなると言う大
きな利点がある。
【0188】また、図22は、本発明の第6の実施例に
おける積層型誘電体フィルタの容量電極とストリップラ
イン共振器電極の配置透視図である。積層型誘電体フィ
ルタの製造工程において、ストリップライン共振器電極
層と容量電極層の位置ずれにより、フィルタ特性のばら
つきを生じることが考えられる。
【0189】この影響を少なくするために、図22で示
すように、各々の容量電極がストリップライン共振器電
極の外縁と重なる領域において、容量電極にくびれを形
成して電極の幅を狭くする。第2の電極202aにはく
びれ231を形成し、第3の電極202bにはくびれ2
32、233、234を形成し、第4の電極202c、
202dにはそれぞれくびれ235、236を形成す
る。この様な幅の狭いくびれ領域を設けることにより、
ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれ
が生じた際に起きる両者が重なり合う領域の面積の変化
を、くびれがない場合に比べて小さくすることができ
る。
【0190】なお、図22の電極配置図で示されている
ように、段間結合キャパシタの電極202aは、電極パ
ターン配置の都合上、ストリップライン共振器電極20
1a,201bの開放端ではなくて、開放端と短絡端の
間に位置しており、厳密に言えば、図21の等価回路と
は異なっている。段間結合キャパシタの位置が開放端か
ら短絡端側へ移動して行った場合、等価的に段間結合キ
ャパシタの容量値を減ずるのと同じ効果を生じる。すな
わち、減衰極の周波数が高い方へ移動して設計値と合わ
なくなってくる。しかし、ここではフィルタの動作説明
のため、便宜的に図21の等価回路で表示している。
【0191】(実施例7)以下本発明の第7の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図23は本発明の第7の実施例を示す積層型誘電
体フィルタの分解斜視図である。図23において、図2
0と同じ構成要素には同じ参照番号を付している。
【0192】第6の実施例と異なるのは、第6の実施例
の第4の電極202c、202dの代わりに、ストリッ
プライン共振器電極の横方向から取りだした第4の電極
202e、202fを用いたことである。それに合わせ
て、入出力端子となる側面電極を204a、204bか
ら204c、204dに変更し、接地端子となる側面電
極を205aから205cに変更している。
【0193】入出力電極となる第4の電極を横方向から
取り出すことにより、入出力電極間の距離を離すことが
できるため、入出力間の空間的な結合を低減することが
できてアイソレーションを大きく取ることができる。
【0194】また、第7の実施例において、第4の電極
の結合位置はストリップライン共振器電極の開放端と短
絡端の間に位置させている。第7の実施例の積層型誘電
体フィルタの等価回路図は図24のようになる。入出力
結合キャパシタ225、226はタップダウンされてス
トリップライン共振器に接続されている。したがって、
ストリップライン共振器電極の幅広部211aと211
bは、それぞれ電極213aと214a、213bと2
14bに分けて考えることができる。
【0195】ここで、電極213aとローディングキャ
パシタ223で構成される直列回路251、及び電極2
13bとローディングキャパシタ224で構成される直
列回路252はそれぞれ直列共振回路として動作する。
直列回路251、252が共振する周波数においては、
インピーダンスがゼロになるため、フィルタの伝達特性
に減衰極を生じることになる。すなわち、第7の実施例
においては、第6の実施例が有する共振器の電磁界結合
と電界結合の組み合わせで生じる減衰極の他に、直列回
路251、252の直列共振によって生じる減衰極を有
することになるため、さらに優れた選択特性を実現する
ことができる。
【0196】(実施例8)以下本発明の第8の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図25は本発明の第8の実施例を示す積層型誘電
体フィルタの分解斜視図である。図25において、図2
0、図23と同じ構成要素には同じ参照番号を付してい
る。また、図26は、図25で示す第8の実施例の積層
型誘電体フィルタにおける動作説明のための等価回路図
である。
【0197】第8の実施例において第7の実施例と異な
る点は、3段構成のフィルタとした点である。ストリッ
プライン共振器電極261a、261b、261cはそ
れぞれ幅広部214a、214b、214cと幅狭部2
15a、215b、215cからなり、幅狭部の短絡端
側は幅の広い共通接地電極216を介して接地端子とな
る側面電極205bに接続され接地される。
【0198】第2の電極262aは、誘電体シート20
0cの上に、ストリップライン共振器電極261a、2
61b、261c全てと部分的に対向し、段間の電界結
合を実現する。
【0199】また、誘電体シート200cの上でストリ
ップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域におい
て、第2の電極が形成された残りの領域に部分的に第3
の電極262bを形成し接地する。第3の電極262b
とストリップライン共振器電極の間で構成される平行平
板キャパシタは、ストリップライン共振器の共振周波数
を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。した
がって、ストリップライン共振器261a,261b、
261cの長さは、4分の1波長よりも短くすることが
できフィルタの小型化が実現できる。
【0200】シールド電極263a、263bは、それ
ぞれ誘電体シート200b、200dの上に全体を覆う
ように形成される。最上層には電極保護用誘電体シート
200eを積層することにより、機械的強度が十分でな
い内層電極で形成されている上部シールド電極層263
bを保護することができる。
【0201】また、本実施例において、第4の電極の結
合位置はストリップライン共振器電極の開放端と短絡端
の間に位置するため、本実施例の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図は図26のようになる。入出力結合キャパ
シタ225、226はタップダウンされてストリップラ
イン共振器に接続されている。したがって、ストリップ
ライン共振器電極の幅広部214aと214bは、それ
ぞれ電極217aと218a、217bと218bに分
けて考えることができる。
【0202】ここで、電極217aとローディングキャ
パシタ274で構成される直列回路277、及び電極2
17bとローディングキャパシタ275で構成される直
列回路278が共振する周波数においては、フィルタの
伝達特性に減衰極を生じる。これは、第7の実施例と同
じである。
【0203】隣接するストリップライン共振器どうしは
電磁界結合させると共に、段間結合キャパシタ271、
272、273を介して電界結合が行われ、ストリップ
ライン共振器間の結合を電磁界結合と電界結合の組み合
わせで行うことにより、電磁界結合と電界結合の組み合
わせによる共振現象によって、伝達特性に2つの減衰極
を構成することができて、より一層優れた選択特性を得
ることができる。
【0204】第8の実施例における基本構成は第7の実
施例と同じであるが、もちろん入出力端子の取り出し方
向をストリップライン共振器電極の開放端の方向にし
て、第6の実施例と同じ構成としても構わない。
【0205】この様に第8の実施例においては、フィル
タを3段構成にしたことにより、さらに優れた選択度を
得ることができる。さらに、4段、5段と多段化するこ
とにより一層選択度をあげることができることは言うま
でもない。
【0206】(実施例9)以下本発明の第9の実施例の
積層型誘電体フィルタについて図面を参照しながら説明
する。図27は本発明の第9の実施例を示す積層型誘電
体フィルタの分解斜視図である。図27において、図2
0、図23、図25と同じ構成要素には同じ参照番号を
付している。また、図28は、図27で示す第9の実施
例の積層型誘電体フィルタにおける動作説明のための等
価回路図である。
【0207】第9の実施例における動作は、ほとんど第
8の実施例と同じである。第9の実施例において第8の
実施例と異なる点は、段間結合キャパシタの接続方法で
ある。第8の実施例では段間結合キャパシタを形成する
第2の電極は全てのストリップライン共振器電極に対向
するひとつの電極262aで構成されているが、本実施
例では第2の電極は隣接するストリップライン共振器電
極毎に設けられた電極281、282で構成されてい
る。
【0208】隣接するストリップライン共振器どうしは
電磁界結合させると共に、直列接続されたキャパシタ2
83と284及び285と286で構成される段間結合
キャパシタを介して電界結合が行われ、ストリップライ
ン共振器間の結合を電磁界結合と電界結合の組み合わせ
で行うことにより、電磁界結合と電界結合の組み合わせ
による共振現象によって、伝達特性に2つの減衰極を構
成することができる。
【0209】この様に第9の実施例においては、第8の
実施例と同様の効果を得ることができると共に、隣接す
るストリップライン共振器ごとに電磁界結合と電界結合
の組み合わせによる共振特性を設計できるため、第8の
実施例よりも設計が容易であるという利点を有する。
【0210】(実施例10)以下、本発明の第10の実
施例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しな
がら説明する。図29は本発明の第10の実施例におけ
る積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものであ
る。図29において、230、200bは厚い誘電体シ
ート、231、200bから200eは薄い誘電体シー
ト、203a、203bはシールド電極、202e、2
02f、232e、232fは入出力結合容量電極、2
02b、232bはローディング容量電極、201a、
201bはストリップライン共振器電極、202a、2
32aは段間結合容量電極、204c、204dは入出
力端子、205b、205cは接地端子、213は共通
接地電極である。ストリップライン共振器201a、2
01bはそれぞれ幅広部211a、211bと幅狭部2
12a、212bからなるSIR構造を有し、共振器長
の短縮が図られている。
【0211】以上の様に構成された第10の実施例の積
層型誘電体フィルタの動作について以下に説明する。本
実施例のフィルタの基本的な動作原理は、第6及び第7
の実施例のフィルタとほぼ同じである。本実施例のフィ
ルタがそれらの実施例と異なる点は、入出力結合容量電
極202e、202f、232e、232f及びローデ
ィング容量電極202b、232b及び段間結合容量電
極202a、232aをそれぞれストリップライン共振
器電極201a、201bの上下2層の誘電体シート2
30、200c上にストリップライン共振器電極を挟み
込むように形成したことである。
【0212】ところで、ストリップラインの導体損は、
文献(小西良弘著、「マイクロ波回路の基礎とその応
用」、第52頁、総合電子出版社、1990年)に示さ
れているように、縁効果のない場合には下記式(数1
1)で示される。
【0213】
【数11】
【0214】すなわち、ストリップラインの導体損は、
特性インピーダンスと反比例の関係にある。したがっ
て、ローディング容量電極を設けることによってその領
域の特性インピーダンスが小さくなり導体損が大きくな
ることが一般に予想される。
【0215】本実施例の積層型誘電体フィルタにおいて
は、ローディング容量を構成するローディング容量電極
202b、232bをストリップライン共振器電極の上
下両方に構成した結果、片方のみに構成した場合に比べ
て、同一のローディング容量を実現する電極面積を半分
にすることができる。そのため、導体損の増大によるフ
ィルタの挿入損失を低減できることになる。
【0216】また本実施例では、ストリップライン共振
器電極の上下両方に入出力結合容量電極202e、20
2f、232e、232fを構成することによって、片
方だけに構成したときに比べて入出力結合容量が大きく
できるので、小型でも広帯域なフィルタを構成すること
ができる。
【0217】さらに、ストリップライン共振器電極の上
下両方に段間結合容量電極202a、232aを形成す
ることにより、同一電極面積でも段間結合容量を大きく
することができるので、フィルタ設計パラメータの実現
範囲が広く取れて、様々な仕様のフィルタ特性を実現す
ることができるようになる。
【0218】また、本実施例の入出力結合容量電極、ロ
ーディング容量電極、段間結合容量電極の電極パターン
は上下2層で同じにしているので、電極パターンの印刷
スクリーンを共用することができ、製造工程の管理が容
易となる。
【0219】以上のように本実施例によれば、小型で、
低損失、製造容易な積層型誘電体フィルタを実現するこ
とができる。 (実施例11)以下本発明の第11の実施例の積層型誘
電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。
図30は本発明の第11の実施例における積層型誘電体
フィルタの分解斜視図を示すものである。図31は図3
0におけるA−A´を含む面の断面図を示すものであ
る。
【0220】図30において、誘電体シート310a、
310b、310c、310d、310e、310f、
310g、310hは低温焼結誘電体セラミック等から
形成され、誘電体材料としては、例えば比誘電率58の
Bi−Ca−Nb−O系のセラミックなど、約950℃
以下で焼成可能なセラミック材料を用いてグリーンシー
ト化する。ストリップライン共振器電極311a、31
1b、311cと入出力結合容量電極313a、313
b及びローディング容量電極314a、314bを構成
する内電極は、銀、銅、金などの導電率の高い金属ペー
ストで電極パターンを印刷すると共に、誘電体シートを
積層し一体焼成する。シールド電極315a、315b
と側面電極316a、316bと317a、317b、
317c、317dを構成する外電極は、本実施例で
は、金属ペーストを後から焼き付けしている。
【0221】各ストリップライン共振器電極層の間の誘
電体シートの厚さt2 、t3 、・・・、tn (nはスト
リップライン共振器の数)、すなわち、誘電体シート3
10cと310dを合わせた厚さ、或いは、誘電体シー
ト310eと310fを合わせた厚さよりも、ストリッ
プライン共振器電極層とシールド電極層の間の誘電体シ
ートの厚さt1 、tn+1 、すなわち、誘電体シート31
0aと310bを合わせた厚さ、或いは、誘電体シート
310gと310hを合わせた厚さを異なる値に設定す
ることにより、共振器の無負荷Q値を下げることなく大
きな結合量を得ることができる。具体的には、厚さt2
からtn の内の最大値を厚さt1 及びt n+1 のいずれよ
りも小さくし、好ましくは、厚さt2 からtn までの合
計値を厚さt1 とtn+1 の合計値よりも小さくし、さら
に好ましくは、厚さt2 からtnまでの合計値を厚さt
1 及びtn+1 のいずれよりも小さくする。また、ストリ
ップライン共振器の数が3個以上の場合に、厚さt2
らtn までをすべて等しくすることにより、誘電体シー
トの厚さを特定値に規格化できるので、製造コストを下
げることができる。
【0222】さらに、厚い誘電体シート310a、31
0hを薄い誘電体シートを複数枚積層して形成すること
によって、全ての誘電体シートを厚さが規格化された同
一の薄い誘電体シートで形成することができるので、さ
らに製造コストを下げることができる。
【0223】ストリップライン共振器電極311a、3
11b、311cは一端が接地電極312a、312
b、312cを介して、接地端接地端子の側面電極31
7dに接続され、接地される。幅の広い接地電極の長さ
の変化は、ストリップライン共振器電極の長さの変化と
比べて、共振周波数に与える影響が小さいため、誘電体
シートを切断する際の精度による共振周波数のばらつき
を抑えることができる。また、接地端接地端子の側面電
極317dは側面のシールドを行う接地面側のシールド
電極としても作用するため、フィルタ特性は外部の影響
を受けにくい。
【0224】本実施例では、共振器を4分の1波長先端
短絡型ストリップライン共振器とし、短絡端の方向を揃
えて積層する構造としているため、コムラインフィルタ
と同様に、設計が容易で、しかも小型のフィルタを実現
することができる。
【0225】入出力結合容量電極313aとストリップ
ライン共振器電極311aの間で構成される平行平板キ
ャパシタと、入出力結合容量電極313bとストリップ
ライン共振器電極311cの間で構成される平行平板キ
ャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働
く。各々の入出力結合容量電極313a、313bは、
側面電極で形成された入出力端子316a、316bに
接続されている。
【0226】ストリップライン共振器と入出力端子との
結合を容量結合方式とすることにより、磁界結合方式よ
りもフィルタを小型にすることができる。また、容量結
合方式では、結合量の計算が簡単で、入出力結合量の調
整は電極パターンの面積を変えるだけでよいので設計し
やすいという利点を有する。
【0227】入出力端子316a、316bの取り出し
方向を、ひとつはストリップラインの右側面方向とし、
他のひとつはストリップラインの左側面方向とすること
により、入出力端子間のアイソレーションをとることが
できる。
【0228】ローディング容量電極314a、314b
とストリップライン共振器電極311a、311b、3
11cの間で構成される平行平板キャパシタは、ストリ
ップライン共振器の共振周波数を下げる並列ローディン
グキャパシタとして働く。したがって、ストリップライ
ン共振器311a,311b、311cの長さは、4分
の1波長よりも短くすることができ、コムラインフィル
タとして動作させることができる。
【0229】入出力結合容量電極313a、313b及
びローディング容量電極314a、314bがストリッ
プライン共振器電極311a、311b、311cの外
縁と重なる領域において、入出力結合容量電極及びロー
ディング容量電極にくびれを形成して電極の幅を狭くす
る。この様な幅の狭いくびれ領域を設けることにより、
ストリップライン共振器電極層と容量電極層の位置ずれ
が生じた際に起きる両者が重なり合う領域の面積の変化
を、くびれがない場合に比べて小さくすることができ
る。
【0230】外電極で形成された上下のシールド電極3
15a、315bでフィルタ全体がシールドされている
ため、外部の影響によりフィルタ特性が変化するのを防
ぐことができる。シールド電極は接地端側の接地端子の
側面電極317dの他に側面の接地端子の側面電極31
7a、317b及び開放端側の接地端子の側面電極31
7cに接続され接地される。接地端子となる側面電極
を、それぞれストリップライン共振器の開放端と接地端
と側面において接地することにより、シールド電極の共
振を抑え、フィルタ特性が劣化することを防ぐことがで
きる。
【0231】側面の接地端子の側面電極317a、31
7bは側面シールド電極として働くので、側面電極31
7c、317dと同様にフィルタ特性が外部の影響を受
けないようにシールド効果を持つ。
【0232】開放端側の接地端子の側面電極317cと
ストリップライン共振器電極311a、311b、31
1cの間に生じる開放端容量は、ローディング容量と並
列に挿入されるため、ストリップライン共振器の線路長
をさらに短くできるという効果を持つ。
【0233】以上のように構成された積層型誘電体フィ
ルタについて、その動作を説明する。本実施例のフィル
タの電気的な動作原理は、コムラインフィルタと呼ばれ
るものとほぼ同じである。コムラインフィルタの動作原
理は前出の文献(G.L.Matthaei,"Comb-Line Band-Pass
Filters of Narrow or Moderate Bandwidth":the micro
wave journal, August, 1963)に示されている。
【0234】まず、ストリップライン共振器電極311
a、311b、311cは接地端の方向を揃えて配置さ
れ、お互いが電磁界結合することにより、コムラインフ
ィルタとしての動作をする。各ストリップライン間の電
磁界結合量は、ストリップラインの中心線の位置を上下
に積層した誘電体シート毎にずらすことにより調整され
ている。したがって、結合量の調整は大変容易である。
結合量はストリップラインの中心線の位置を一致させた
ときが最も大きくなる。
【0235】従来のストリップラインを同一平面上に左
右に並べる方法では、印刷精度の限界から線路間のギャ
ップは最小200μm程度であり、結合量の大きさには
限界があった。しかし、本発明のストリップラインを上
下に重ねる方法では、ストリップライン間の誘電体シー
ト310d、310fの厚さは20μm程度に薄くする
ことができるため、非常に大きい結合量を実現できる。
また、2つのストリップライン共振器電極面が幅広い面
で対向するため、結合量はさらに大きくなる。
【0236】ストリップライン間の電磁界結合は通常4
分の1波長に相当する周波数においてゼロになってしま
うため、このままではバンドパスフィルタが構成できな
いが、ローディング容量電極314a、314bとスト
リップライン共振器電極311a、311b、311c
で構成されるローディング容量により共振周波数をシフ
トさせることにより、必要な段間結合量を得ている。ま
た、本実施例では、ひとつのローディング容量電極の上
下両方向に容量を形成することにより、ローディング容
量電極層の数を減らしており、この様にすることにより
製造し易いという利点が生じる。
【0237】入出力結合は、入出力端子とストリップラ
インを入出力結合容量電極313a、313bで電界結
合させることにより行っている。入出力結合容量はアド
ミタンスインバータの一部を構成する。容量結合方式
は、比較的狭帯域なバントパスフィルタの結合方法とし
て、簡単で小型に実現できるという利点を有する。
【0238】さらに、ストリップラインを左右に並べる
方法では高周波電流が線路のエッジに集中するために無
負荷Q値の低下を招くが、本発明のストリップラインを
上下に積み重ねる方法では、高周波電流は線路全体に渡
って比較的均等に分布することになるため高い無負荷Q
値を実現することができる。したがって、フィルタの挿
入損失を低減できることになる。
【0239】以上のように本実施例によれば、低損失な
フィルタ特性を有し、小型で薄い平面型の積層型誘電体
フィルタを実現することが出来る。 (実施例12)以下本発明の第12の実施例の積層型誘
電体フィルタについて、図面を参照しながら説明する。
図32は本発明の第12の実施例における積層型誘電体
フィルタの分解斜視図を示すものである。図33(a)
は図32におけるA−A´を含む面の断面図を、図33
(b)はB−B´を含む面の断面図を示すものである。
【0240】図32において、330a、330b、3
30c、330d、330e、330f、330g、3
30hは誘電体シートである。331a、331b、3
31cはストリップライン共振器電極、335a、33
5bは入出力結合容量電極、336a、336bはシー
ルド電極であり、誘電体シート上に積層された内電極で
形成されている。
【0241】第12の実施例では第11の実施例と異な
り、シールド電極が内電極で形成されている。本実施例
では、シールド電極もストリップライン共振器電極や容
量電極と同じ工法で形成できるため製造が容易である。
また、内電極で形成された上下のシールド電極336
a、336bでフィルタ全体がシールドされているた
め、第11の実施例と同じように、外部の影響によりフ
ィルタ特性が変化するのを防ぐことができる。
【0242】入出力端子となる側面電極337a、33
7bと、接地端子となる側面電極338a、338b、
338c、338dは、金属ペーストを後から焼き付け
た外電極で形成されている。
【0243】シールド電極は接地端側の接地端子の側面
電極338dの他に側面接地端子の側面電極338a、
338b及び開放端側の接地端子の側面電極338cに
接続され接地される。接地端子となる側面電極を、それ
ぞれストリップライン共振器の開放端と接地端と側面に
おいて接地することにより、シールド電極の共振を抑
え、フィルタ特性が劣化することを防ぐことができる。
【0244】ストリップライン共振器電極331a、3
31b、331cは、接地端側において線路幅を狭くし
た接地端側幅狭部333a、333b、333cと、開
放端側において線路幅を広くした開放端側幅広部332
a、332b、332cから構成されている。ストリッ
プライン共振器電極331a、331b、331cの接
地端は接地電極334a、334b、334cを介し
て、接地端側の接地端子の側面電極338dに接続さ
れ、接地される。
【0245】入出力結合容量電極335aとストリップ
ライン共振器電極331aの間で構成される平行平板キ
ャパシタと、入出力結合容量電極335bとストリップ
ライン共振器電極331cの間で構成される平行平板キ
ャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働
く。各々の入出力結合容量電極335a、335bは、
側面電極で形成された入出力端子337a、337bに
接続されている。
【0246】本実施例でも第11の実施例と同様に、各
ストリップライン共振器電極層の間の誘電体シートの厚
さt2 、t3 、・・・、tn (nはストリップライン共
振器の数)、すなわち、誘電体シート330d、330
eの厚さよりも、ストリップライン共振器電極層とシー
ルド電極層の間の誘電体シートの厚さt1 、tn+1 、す
なわち、誘電体シート330bと330cを合わせた厚
さ、または誘電体シート330fと330gを合わせた
厚さを厚くすることにより、共振器の無負荷Q値を下げ
ることなく大きな結合量を得ることができる。例えば、
試作した例では、誘電体シート330b、330gの厚
さは500μm、誘電体シート330c、330fの厚
さは55μm、誘電体シート330d、330eの厚さ
は44μmであり、このときに良好なフィルタ特性を得
ることができた。すなわち、厚さt2 、t3 、・・・、
n の最大値をtmax とした場合、tmax は厚さt1
n+1 のいずれよりも小さいことが望ましい。さらに好
ましくは、厚さt2 、t3、・・・、tn の合計値が厚
さt1 、tn+1 の合計値よりも小さいことが望ましい。
さらに好ましくは、厚さt2 、t3 、・・・、tn の合
計値が厚さt1 、t n+1 のいずれよりも小さいことが望
ましい。このような条件において、フィルタ設計に必要
な大きな結合度と、高い無負荷Q値を同時に得ることが
できる。
【0247】また、厚い誘電体シート330b、330
gを薄い誘電体シートを複数枚積層して形成し、さらに
ストリップライン共振器間の誘電体シート330d、3
30eの厚さをすべて同じにすることによって、全ての
誘電体シートを厚さが規格化された同一の薄い誘電体シ
ートで形成することができるので、製造コストを下げる
ことができる。
【0248】以上のように構成された積層型誘電体フィ
ルタについて、その動作を説明する。本実施例のフィル
タの電気的な動作原理は、第11の実施例のフィルタの
原理とは少し異なる。すなわち、第11の実施例では動
作原理は基本的にコムラインフィルタである。しかし、
第12の実施例では、ローディング容量ではなくSIR
構造で、第1の伝送線路部と第2の伝送線路部の電磁界
結合量を独立に設定して、伝達特性に通過帯域と減衰極
を発生させる方法が取られている。この基本構成は、第
1の実施例の積層型誘電体フィルタと同じである。
【0249】まず、ストリップライン共振器電極331
a、331b、331cは接地端の方向を揃えて配置さ
れ、開放端側幅広部332a、332b、332cと接
地端側幅狭部333a、333b、333cはそれぞれ
お互いが電磁界結合している。各ストリップラインは幅
広部と幅狭部によりSIR構造を構成している。したが
って、ストリップライン共振器331a,331b、3
31cの長さは、4分の1波長よりも短くすることがで
きる。
【0250】各ストリップライン間の電磁界結合量は、
ストリップラインの位置を上下方向でずらすことにより
調整されている。ストリップラインの幅広部と幅狭部の
線路中心線を同一線上からずらすことにより、ストリッ
プラインの幅広部どうしの電磁界結合量と幅狭部どうし
の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することができる
ようになる。この様に独立に結合量を設定することによ
って、初めて減衰極の周波数を所望の周波数に持ってく
る設計が可能である。この動作原理は、第1の実施例の
フィルタにおいて説明されたものである。
【0251】ストリップラインの幅広部の線路中心線を
上下に積層した誘電体シートで全て同じ位置にすること
により、幅広部間で最大の結合量を実現することができ
る。しかも電極の上下位置が揃うためにフィルタの横幅
を最も小さくできることから、フィルタの小型化が達成
できる。一方、幅狭部の結合量は線路中心線の位置を誘
電体シート毎にずらすことによって調整できる。
【0252】この様に、開放端側幅広部と接地端側幅狭
部がそれぞれ電磁界結合することにより、通過帯域にお
いてバンドパス特性を示すだけでなく、伝達特性の所望
の周波数に減衰極を形成することができる。したがっ
て、チェビシェフ特性より優れた選択特性を実現するこ
とができる。
【0253】以上のように本実施例によれば、第1の実
施例及び第11の実施例と同様の効果を有するほかに、
それぞれを組み合わせた効果を生じ、伝達特性の所望の
周波数に減衰極を形成して優れた選択特性を得ることが
できるだけでなく、小型で低損失なフィルタ特性を実現
することができる。
【0254】(実施例13)以下本発明の第13の実施
例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しなが
ら説明する。図34は本発明の第13の実施例における
積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。
図35(a)は図34におけるA−A´を含む面の断面
図を、図35(b)はB−B´を含む面の断面図を示す
ものである。
【0255】図34において、350a、350b、3
50c、350d、350e、350f、350g、3
50h、350i、350jは誘電体シートである。3
51a、351b、351cはストリップライン共振器
電極、353a、353bは入出力結合容量電極、35
4a、354bはシールド電極、355a、355bは
結合シールド電極であり、誘電体シート上に積層された
内電極で形成されている。入出力端子となる側面電極3
57a、357bと、接地端子となる側面電極358
a、358b、358c、358dは、金属ペーストを
後から焼き付けた外電極で形成されている。
【0256】シールド電極は接地端側の接地端子の側面
電極358dの他に側面接地端子の側面電極358a、
358b及び開放端側の接地端子の側面電極358cに
接続され接地される。ストリップライン共振器電極35
1a、351b、351cの接地端は接地電極352
a、352b、352cを介して、接地端側の接地端子
の側面電極358dに接続され、接地される。
【0257】入出力結合容量電極353aとストリップ
ライン共振器電極351aの間で構成される平行平板キ
ャパシタと、入出力結合容量電極353bとストリップ
ライン共振器電極351cの間で構成される平行平板キ
ャパシタは、それぞれ入出力結合キャパシタとして働
く。各々の入出力結合容量電極353a、353bは、
側面電極で形成された入出力端子357a、357bに
接続されている。
【0258】第13の実施例では第11の実施例及び第
12の実施例と異なり、ストリップライン共振器間の結
合量が結合シールド電極355a、355bに形成され
た電界結合窓もしくは磁界結合窓356a、356bで
制御されている。結合窓の大きさ、形状、位置により、
大きな結合度から小さな結合度まで容易に制御できるた
め、広帯域から狭帯域まで広範囲なフィルタ特性を実現
することができる。また、入出力結合を容量結合とする
ことにより、設計が容易となり、フィルタの小型化が実
現できる。
【0259】以上のように本実施例によれば、第11の
実施例及び第12の実施例と同様な効果を有する他に、
簡単な設計で、広帯域から狭帯域まで広範囲なフィルタ
特性を実現することができる。
【0260】(実施例14)以下本発明の第14の実施
例の積層型誘電体フィルタについて、図面を参照しなが
ら説明する。図36は本発明の第14の実施例における
積層型誘電体フィルタの分解斜視図を示すものである。
図37(a)は図36におけるA−A´を含む面の断面
図を、図37(b)はB−B´を含む面の断面図を示す
ものである。
【0261】図36において、370a、370b、3
70c、370d、370e、370fは誘電体シート
である。371a、371b、371cはストリップラ
イン共振器電極、375a、375bは入出力結合容量
電極、377a、377bはシールド電極であり、誘電
体シート上に積層された内電極で形成されている。
【0262】入出力端子となる側面電極378a、37
8bと、接地端子となる側面電極379a、379b、
379c、379dは、金属ペーストを後から焼き付け
た外電極で形成されている。シールド電極は接地端側の
接地端子の側面電極379dの他に側面接地端子の側面
電極379a、379b及び開放端側の接地端子の側面
電極379cに接続され接地される。
【0263】ストリップライン共振器電極371a、3
71b、371cは、接地端側において線路幅を広くし
た接地端側幅広部373a、373b、373cと、開
放端側において線路幅を狭くした開放端側幅狭部372
a、372b、372cから構成されている。ストリッ
プライン共振器電極371a、371b、371cの接
地端は接地電極374a、374b、374cを介し
て、接地端側の接地端子の側面電極379dに接続さ
れ、接地される。第14の実施例では、幅広部がストリ
ップライン共振器の接地端側にくる構成を取っており、
第12の実施例と逆の構成になっている。
【0264】各々のストリップラインの接地端側幅広部
の線路中心線と開放端側幅狭部の線路中心線を同一線上
とせず、ずらすことにより、本実施例においても第12
の実施例と同じように、ストリップライン共振器の幅広
部と幅狭部の電磁界結合量をそれぞれ独立に制御するこ
とができる。したがって、フィルタの伝達特性の所望の
周波数に減衰極を形成することができて、優れた選択度
を得ることができる。
【0265】また、ストリップライン共振器の接地端側
を幅広部とすることによって、ストリップラインを流れ
る高周波電流の抵抗損を減らすことができるため、無負
荷Q値を改善することができる。さらに、ストリップラ
インの幅広部の線路中心線を上下に積層した誘電体シー
トで全て同じ位置にすることにより、幅広部間で最大の
結合量を実現することができ、しかも電極の上下位置が
揃うためにフィルタの横幅を最も小さくできることか
ら、フィルタの小型化が達成できる。
【0266】入出力結合容量電極375aとストリップ
ライン共振器電極371aの間で構成されるインターデ
ィジタル型キャパシタ376aと、入出力結合容量電極
375bとストリップライン共振器電極371cの間で
構成されるインターディジタル型キャパシタ376b
は、それぞれ入出力結合キャパシタとして働く。各々の
入出力結合容量電極375a、375bは、側面電極で
形成された入出力端子378a、378bに接続されて
いる。入出力結合容量をインターディジタル型キャパシ
タで構成することにより大きな結合容量が得られて、広
帯域なバンドパスフィルタ特性が実現できる。
【0267】以上のように本実施例によれば、低損失な
特性を持ち、小型で薄い平面構造の誘電体積層フィルタ
を実現できるという第11の実施例から第13の実施例
までと同様な効果を有する他に、誘電体シートの枚数と
電極印刷回数を減らすことができて、製造し易くなる。
【0268】(実施例15)以下本発明の第15の実施
例の積層型誘電体アンテナ共用器について、図面を参照
しながら説明する。図38は本発明の第15の実施例に
おける積層型誘電体アンテナ共用器500の分解斜視図
を示すものである。図38において、401から408
は誘電体シート、411から413及び421から42
3はストリップライン共振器電極、431と432と4
41と442は結合キャパシタ電極、433と443は
ローディングキャパシタ電極、451から453はシー
ルド電極、461はアンテナ端子電極、471は送信端
子電極、481は受信端子電極、462と472から4
74及び482から484は接地端子電極である。各誘
電体シートと各電極層は、図38に示す順序でそれぞれ
積層され、一体焼成される。
【0269】また、図39は第15の実施例の積層型誘
電体アンテナ共用器500の等価回路図を示すものであ
る。以上のように構成された積層型誘電体アンテナ共用
器について、以下図38及び図39を用いてその動作を
説明する。
【0270】ストリップライン共振器電極411、41
2、413で構成されるストリップライン共振器51
1、512、513は4分の1波長より短い先端短絡伝
送線路により構成される共振器であり、誘電体シート4
02上に互いに近接して形成されている。各ストリップ
ライン共振器は、ローディングキャパシタ電極433と
各ストリップライン共振器電極411、412、413
との間で形成されるローディングキャパシタ533、5
34、535により共振周波数を下げられると共に、隣
接するストリップライン共振器どうしが電磁界結合して
バンドパス特性を示す。結合電極431とストリップラ
イン共振器電極411間では結合キャパシタ531が形
成され、アンテナ端子551を介してアンテナ503に
電気的に接続される。また、結合電極432とストリッ
プライン共振器電極413間では結合キャパシタ532
が形成され、送信端子552を介して送信機504に電
気的に接続される。このようにして、バンドパス特性を
持つコムライン型の送信フィルタ501が構成される。
【0271】一方、ストリップライン共振器電極42
1、422、423で構成されるストリップライン共振
器521、522、523は4分の1波長より短い先端
短絡伝送線路により構成される共振器であり、誘電体シ
ート405上に互いに近接して形成されている。各スト
リップライン共振器は、ローディングキャパシタ電極4
43と各ストリップライン共振器電極421、422、
423との間で形成されるローディングキャパシタ54
3、544、545により共振周波数を下げられると共
に、隣接するストリップライン共振器どうしが電磁界結
合してバンドパス特性を示す。結合電極441とストリ
ップライン共振器電極421間では結合キャパシタ54
1が形成され、アンテナ端子551を介してアンテナ5
03に電気的に接続される。また、結合電極442とス
トリップライン共振器電極423間では結合キャパシタ
542が形成され、受信端子553を介して受信機50
5に電気的に接続される。このようにして、バンドパス
特性を持つコムライン型の受信フィルタ502が構成さ
れる。
【0272】結合キャパシタ531、532及び54
1、542を介した容量結合方式は、コムラインフィル
タで通常用いられている磁界結合方式と比べて結合線路
が不要なため、送信フィルタ、受信フィルタともに小型
にできるという利点を有している。
【0273】送信フィルタ501の一端は送信機504
と電気的に接続される送信端子552に接続され、送信
フィルタ501の他端は受信フィルタ502の一端と接
続されると共に、アンテナ503と電気的に接続される
アンテナ端子551に接続される。受信フィルタ502
の他端は受信機505に電気的に接続される受信端子5
53に接続される。
【0274】送信フィルタ501は通過帯域である送信
周波数帯域の送信信号に対して小さな挿入損失を示し、
送信信号をほとんど減衰させることなく送信端子552
からアンテナ端子551へと伝達させることができる。
また、受信周波数帯域の受信信号に対しては大きな挿入
損失を示し、受信周波数帯域の入力信号はほとんど反射
されるため、アンテナ端子551から入力された受信信
号は受信フィルタ502の方へ戻ってくるという動作を
示す。
【0275】受信フィルタ502は受信周波数帯域の受
信信号に対して小さな挿入損失を示し、受信信号をほと
んど減衰させることなくアンテナ端子551から受信端
子553へと伝達させることができる。また、送信周波
数帯域の送信信号に対しては大きな挿入損失を示し、送
信周波数帯域の入力信号はほとんど反射されるため、送
信フィルタ501からやってきた送信信号はアンテナ端
子551の方へ送り出されるという動作を示す。
【0276】また、図38で示す第15の実施例におい
て、送信フィルタ501を構成するストリップライン共
振器電極411、412、413の短絡端の方向と、受
信フィルタ502を構成するストリップライン共振器電
極421、422、423の短絡端の方向はちょうど反
対方向になっている。それによって、アンテナ端子55
1に接続される結合キャパシタ531と541を構成す
る結合電極431と441の取り出し方向を同じ側面方
向にした時に、送信端子552に接続される結合キャパ
シタ532を構成する結合電極432の取り出し方向
と、受信端子553に接続される結合キャパシタ542
を構成する結合電極442の取り出し方向を反対方向の
側面にすることができる。したがって、送信端子電極4
71と受信端子電極481の距離を離すことができるた
め、送信端子と受信端子間に十分なアイソレーションを
とることができる。
【0277】ここで、従来例においてアンテナ共用器の
送信フィルタブロックと受信フィルタブロックを単純に
上下に重ねて接着する構造にした場合と、本実施例の構
造による積層型誘電体アンテナ共用器とを比較してみ
る。
【0278】まず、従来例では、送信フィルタブロック
及び受信フィルタブロックの高さはセラミックの同軸形
成の微細加工の限界から最小2mm程度である。したが
って、これを上下に重ねると全体の高さは4mm以上に
なってしまう。これに対して、本実施例の構成では、各
誘電体シートの厚さは30μm程度であるため、全体の
高さを2mm以下にすることも容易である。
【0279】また、従来例では各端子の取り出しや接続
を、フィルタブロックの外を引き回して、外付けの部品
で行わなければならず、さらに全体をシールドするため
のシールドケースが必要となってくるのに対して、本実
施例の構成では、各端子の接続は内層電極のパターンを
側面電極に接続する構造として、それ自体を全体がシー
ルドされた表面実装デバイス(SMD)にする事ができ
る。
【0280】さらに、本実施例の構成では、入出力の結
合素子などは全て内層電極パターンで構成されるため、
外付けの部品が不要であるという特徴を有している。以
上のように本実施例によれば、複数枚の誘電体シート
と、少なくとも3層以上のシールド電極層と、少なくと
も2層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、
少なくとも一層の前記シールド電極層により上下を仕切
り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記スト
リップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞ
れ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、
前記受信フィルタと前記送信フィルタを一体にして上下
に積み重なった構造にできるため、小型、薄型で低コス
トのアンテナ共用器を実現することができる。
【0281】また、受信フィルタを構成するストリップ
ライン共振器電極層において受信端子と結合している先
端短絡ストリップライン共振器の短絡端が形成される側
面と、送信フィルタを構成するストリップライン共振器
電極層において送信端子と結合している先端短絡ストリ
ップライン共振器の短絡端が形成される側面とを異なる
方向に設定し、送信端子と受信端子を異なる側面の側面
電極で形成することにより、送信端子と受信端子間に十
分なアイソレーションをとることができる。なお、本実
施例では、送信フィルタの上に受信フィルタを積層する
構成としたが、逆に、受信フィルタの上に送信フィルタ
を積層する構成にできることは言うまでもない。これ
は、以下の実施例においても同様である。
【0282】(実施例16)以下本発明の第16の実施
例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照し
ながら説明する。図40は本発明の第16の実施例を示
す積層型誘電体アンテナ共用器554の分解斜視図であ
り、図38の各素子に対応するものには同じ参照番号を
付している。また、図41は第16の実施例の積層型誘
電体アンテナ共用器554の等価回路図を示すものであ
り、図39の各素子に対応するものには同じ参照番号を
付している。
【0283】図40において、図38と異なるのは、2
層のシールド電極層452、488で2枚の誘電体シー
ト485、486を挟み込んで構成した分離層489に
より上下を仕切るとともに、分離層489の間の誘電体
シート485上にインピーダンス整合素子として電極4
87で形成されるインダクタ555を付加した点であ
る。
【0284】以上のように構成された積層型誘電体アン
テナ共用器554の動作は、インダクタ555が付加さ
れた以外は、第15の実施例と同じである。インダクタ
555が、アンテナ端子とグランドの間に挿入されるこ
とにより、アンテナ503と送信フィルタ501と受信
フィルタ502の間のインピーダンス整合をより良好に
とることができる。
【0285】以上のように、複数枚の誘電体シートと、
少なくとも4層以上のシールド電極層と、少なくとも2
層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、少な
くとも2層の前記シールド電極層で複数枚の前記誘電体
シートを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切
り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記スト
リップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞ
れ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、
前記受信フィルタと前記送信フィルタが一体になって上
下に積み重なった構造とするとともに、前記分離層の間
の誘電体シート上にインピーダンス整合素子としてイン
ダクタを形成することにより、第15の実施例と同様の
効果を得られるほかに、良好な整合特性を実現すること
ができる。
【0286】(実施例17)以下本発明の第17の実施
例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照し
ながら説明する。図42は本発明の第17の実施例を示
す積層型誘電体アンテナ共用器556の分解斜視図であ
り、図38及び図40の各素子に対応するものには同じ
参照番号を付している。また、図43は第17の実施例
の積層型誘電体アンテナ共用器556の等価回路図を示
すものであり、図39及び図41の各素子に対応するも
のには同じ参照番号を付している。
【0287】図42において、図40と異なるのは2層
のシールド電極層452、495で3枚の誘電体シート
490、491、492を挟み込んで構成した分離層4
96により上下を仕切るとともに、分離層496の間の
誘電体シート490、491上にインピーダンス整合素
子として電極493、494で形成されるキャパシタ5
57を付加した点である。
【0288】以上のように構成された積層型誘電体アン
テナ共用器556の動作は、キャパシタ557が付加さ
れた以外は、第15の実施例と同じである。キャパシタ
557が、アンテナ端子とグランドの間に挿入されるこ
とにより、アンテナ503と送信フィルタ501と受信
フィルタ502の間のインピーダンス整合をより良好に
とることができる。
【0289】以上のように、複数枚の誘電体シートと、
少なくとも4層以上のシールド電極層と、少なくとも2
層以上のストリップライン共振器電極層を具備し、少な
くとも2層の前記シールド電極層で複数枚の前記誘電体
シートを挟み込んで構成した分離層により上下を仕切
り、前記誘電体シートと前記シールド電極層と前記スト
リップライン共振器電極層を積層して一体焼成しそれぞ
れ受信フィルタと送信フィルタを構成することにより、
前記受信フィルタと前記送信フィルタが一体になって上
下に積み重なった構造とするとともに、前記分離層の間
の誘電体シート上にインピーダンス整合素子としてキャ
パシタを形成することにより、第15の実施例及び第1
6の実施例と同様の効果を得ることができる。
【0290】なお、第15から第17の実施例の積層型
誘電体アンテナ共用器において、送信フィルタ及び受信
フィルタは、各ストリップライン共振器が電磁界結合す
るコムライン型のバンドパスフィルタとしたが、インダ
クタやキャパシタで結合させるコムライン以外の他の方
式のバンドパスフィルタでも構わないし、バンドエリミ
ネーションフィルタやローパスフィルタとしても構わな
い。送信フィルタ及び受信フィルタの構成に対する様々
な変形は自明であり、本発明の範疇に含まれることはい
うまでもない。このような変形を取り入れた実施例とし
て、第9の実施例の積層型誘電体フィルタを送信フィル
タ及び受信フィルタとして用いた積層型誘電体アンテナ
共用器の実施例と、第12の実施例の変形の積層型誘電
体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用い
た積層型誘電体アンテナ共用器の実施例を以下の実施例
において説明する。
【0291】(実施例18)以下本発明の第18の実施
例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照し
ながら説明する。図44は本発明の第18の実施例を示
す積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。前
述のように、本実施例では第9の実施例の積層型誘電体
フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとして用いて
いる。
【0292】送信フィルタ及び受信フィルタの構成は、
誘電体シート600aと誘電体シート600f上にスト
リップライン共振器電極611aから611fが形成さ
れ、それぞれが幅広部612aから612fと幅狭部6
13aから613fよりなる。幅狭部の短絡端側は幅の
広い共通接地電極616a、616bを介して接地端子
となる側面電極605aから605fに接続され接地さ
れる。
【0293】隣接するストリップライン共振器間の電界
結合は、誘電体シート600cの上に形成された第2の
電極641a、642a、及び誘電体シート600hの
上に形成された第2の電極641b、642bにより行
われる。隣接するストリップライン共振器どうしは電磁
界結合すると共に、段間結合キャパシタを介して電界結
合が行われ、ストリップライン共振器間の結合を電磁界
結合と電界結合の組み合わせで行う。その結果、電磁界
結合と電界結合の組み合わせによる共振現象によって、
伝達特性に減衰極を構成することができる。
【0294】誘電体シート600c、600hの上でス
トリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領域にお
いて、第2の電極が形成された残りの領域に部分的に第
3の電極643a、643bを形成し接地する。第3の
電極とストリップライン共振器電極の間で構成される平
行平板キャパシタは、ストリップライン共振器の共振周
波数を下げる並列ローディングキャパシタとして働く。
したがって、ストリップライン共振器の長さは、4分の
1波長よりも短くすることができフィルタの小型化が実
現できる。
【0295】また、誘電体シート600c、600hの
上でストリップライン共振器電極とそれぞれ対向する領
域に形成された第4の電極602aから602dは、ス
トリップライン共振器電極との間で入出力結合キャパシ
タを構成する。第4の電極602aは受信端子となる側
面電極604bに接続され、第4の電極602cは送信
端子となる側面電極604cに接続され、第4の電極6
02b、602dはアンテナ端子となる側面電極604
aに接続される。
【0296】本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器の
構成では、2層のシールド電極層644b、644cで
2枚の誘電体シート600j、600dを挟み込んで構
成した分離層により上下を仕切るとともに、誘電体シー
ト600j上にインピーダンス整合素子として電極61
7でインダクタが形成される。シールド電極644a、
644dは、それぞれ誘電体シート600b、600i
の上に全体を覆うように形成される。最上層には電極保
護用誘電体シート600eを積層することにより、機械
的強度が十分でない内層電極で形成されている上部シー
ルド電極層644aを保護している。各シールド電極6
44aから644dは側面電極605aから605gに
接続されて接地される。
【0297】誘電体シート600aから600eとそれ
らの上に形成された電極で受信フィルタが構成され、誘
電体シート600fから600iとそれらの上に形成さ
れた電極で送信フィルタが構成される。そして、誘電体
シート600jの上に形成された電極617で構成され
たインダクタがアンテナ端子とグランドの間に挿入され
ることにより、アンテナと送信フィルタと受信フィルタ
の間のインピーダンス整合をより良好にとることができ
る。
【0298】以上のように、本実施例の積層型誘電体ア
ンテナ共用器は、第16の実施例と同様の効果を得られ
るほかに、送信フィルタと受信フィルタに第9の実施例
の積層型誘電体フィルタを用いることにより、伝達特性
に減衰極を有し優れた選択特性を実現することができ
る。
【0299】(実施例19)以下本発明の第19の実施
例の積層型誘電体アンテナ共用器について図面を参照し
ながら説明する。図45は本発明の第19の実施例を示
す積層型誘電体アンテナ共用器の分解斜視図である。前
述のように、本実施例では第12の実施例の変形の積層
型誘電体フィルタを送信フィルタ及び受信フィルタとし
て用いている。
【0300】送信フィルタ及び受信フィルタの構成は、
誘電体シート650c、650e、650gと誘電体シ
ート650n、650q、650s上にストリップライ
ン共振器電極651aから651fが形成され、それぞ
れが幅広部652aから652fと幅狭部653aから
653fよりなる。幅狭部の短絡端側は幅の広い接地電
極654aから654fを介して接地端子となる側面電
極658cから658eに接続され接地される。
【0301】また、誘電体シート650b、650h、
650m、650tの上にはストリップライン共振器電
極とそれぞれ対向する入出力結合容量電極655aから
655dが形成されている。入出力結合容量電極655
dは受信端子となる側面電極657cに接続され、入出
力結合容量電極655aは送信端子となる側面電極65
7bに接続され、入出力結合容量電極655b、655
cはアンテナ端子となる側面電極657aに接続され
る。
【0302】誘電体シート650d、650f、650
p、650rの上でストリップライン共振器電極とそれ
ぞれ対向する領域において、ローディングキャパシタ電
極659a、650dが形成されている。各ローディン
グキャパシタ電極659a、650dは側面電極658
a、658bに接続され接地される。これらのキャパシ
タはストリップライン共振器の共振周波数を下げる働き
をする。したがって、ストリップライン共振器の長さ
は、SIR構造による短縮よりもさらに短くすることが
できフィルタの一層の小型化が実現できる。この点が第
12の実施例の積層型誘電体フィルタを少し変形したと
ころである。
【0303】本実施例の送信フィルタ及び受信フィルタ
は、SIR構造で第1の伝送線路部と第2の伝送線路部
の電磁界結合量を独立に設定して、伝達特性に通過帯域
と減衰極を発生させる方法が取られている。ストリップ
ライン共振器電極651a、651fは接地端の方向を
揃えて上下に積層され、幅広部652aから652f及
び幅狭部653aから653fはそれぞれがお互いに電
磁界結合している。各ストリップライン間の電磁界結合
量は、ストリップラインの位置を上下方向でずらすこと
により調整されている。ストリップラインの幅広部と幅
狭部の線路中心線を同一線上からずらすことにより、ス
トリップラインの幅広部どうしの電磁界結合量と幅狭部
どうしの電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することが
できる。この様に独立に結合量を設定することによっ
て、減衰極の周波数を所望の周波数に持ってくるように
設計できる。開放端側幅広部と接地端側幅狭部がそれぞ
れ電磁界結合することにより、通過帯域においてバンド
パス特性を示すだけでなく、伝達特性の所望の周波数に
減衰極を形成することができる。したがって、チェビシ
ェフ特性より優れた選択特性を実現することができる。
【0304】本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器の
構成では、2層のシールド電極層656b、656cで
2枚の誘電体シート650j、650kを挟み込んで構
成した分離層により上下を仕切るとともに、誘電体シー
ト650j上にインピーダンス整合素子として電極66
0でインダクタが形成されている。シールド電極656
a、656dは、それぞれ誘電体シート650a、65
0uの上に全体を覆うように形成される。最上層には電
極保護用誘電体シート650vを積層することにより、
機械的強度が十分でない内層電極で形成されている上部
シールド電極層656dを保護している。各シールド電
極656aから656dは側面電極658aから658
iに接続されて接地される。
【0305】本実施例の積層型誘電体アンテナ共用器で
は、誘電体シート650kから650vとそれらの上に
形成された電極で受信フィルタが構成され、誘電体シー
ト650aから650iとそれらの上に形成された電極
で送信フィルタが構成される。そして、誘電体シート6
50jの上に形成された電極660で構成されたインダ
クタがアンテナ端子とグランドの間に挿入されることに
より、アンテナと送信フィルタと受信フィルタの間のイ
ンピーダンス整合をより良好にとることができる。
【0306】以上のように、本実施例の積層型誘電体ア
ンテナ共用器は、第16の実施例と同様の効果を得られ
るほかに、送信フィルタと受信フィルタに第12の実施
例の変形の積層型誘電体フィルタを用いることにより、
伝達特性に減衰極を有し優れた選択特性を実現すること
ができる。
【0307】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の第1番目の
誘電体フィルタによれば、一端が接地された第1の伝送
線路部と一端が開放され前記第1の伝送線路部より特性
インピーダンスが低い第2の伝送線路部の他端どうしを
縦続接続して構成される全線路長が4分の1波長より短
いSIR構造を持つ少なくとも2つ以上のTEMモード
共振器を具備し、前記第1の伝送線路部どうしを互いに
電磁界結合させると共に、前記第2の伝送線路部どうし
を互いに電磁界結合させ、両者の電磁界結合量をそれぞ
れ独立に設定することにより、伝達特性に通過帯域と減
衰極を発生させたことにより、低損失で高選択度を有す
る良好なバンドパス特性を持ち、低コストな誘電体フィ
ルタを実現できる。特に、小型で薄い平面型構造を持つ
積層型誘電体フィルタを実現できる。また、SIR構造
により共振器長を短くできるだけでなく、設計した周波
数に通過帯域と減衰極を自在に形成することができ、小
型でより優れた選択度を実現できる。
【0308】次に本発明の第2番目の積層型誘電体フィ
ルタによれば、薄いグリーンシートを何枚か積層して厚
い誘電体シートを構成することにより、全ての誘電体シ
ートを規格化された同一の厚さで構成することができ、
製造し易くなる。また、シールド電極層とストリップラ
イン共振器電極層の間の誘電体シートが厚いと共振器の
無負荷Q値が高くなり、低損失なフィルタを実現するこ
とができる。
【0309】次に本発明の第3番目の積層型誘電体フィ
ルタによれば、第1のシールド電極の上に厚さt1 の第
1の誘電体シートを介して第1のストリップライン共振
器を隔置し、第1のストリップライン共振器の上に厚さ
2 からtn (ただし、nは2以上のストリップライン
共振器の数)の第2から第nの誘電体シートを介して第
2から第nのストリップライン共振器をそれぞれ隔置
し、第nのストリップライン共振器の上に厚さtn+1
第(n+1)の誘電体シートを介して第2のシールド電
極を隔置し、厚さt2 からtn までと厚さt1 またはt
n+1 を異なる値に設定したことにより、共振器間の大き
な結合度と高い無負荷Q値が得られ、低損失で高選択度
を持つ優れたフィルタ特性を有し、多段化しても床面積
が大きくならない小型のフィルタを実現できる。
【0310】次に本発明の積層型誘電体アンテナ共用器
によれば、複数枚の誘電体シートと、少なくとも3層以
上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のストリッ
プライン共振器電極層を積層して一体焼成した積層体に
おいて、一層の前記シールド電極層により上下2つの積
層体部分に区切り、一方の前記積層体部分には受信フィ
ルタを構成し、他方の前記積層体部分には送信フィルタ
を構成し、受信フィルタと送信フィルタを上下に積み重
ねた一体構造にしたことにより、小型、薄型で低コスト
のアンテナ共用器を実現することができる。また、全体
がシールドされた表面実装デバイス(SMD)になって
おり、入出力の結合素子などは全て内層電極パターンで
構成されるため、外付けの部品が不要になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタの
分解斜視図である。
【図2】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタの
等価回路図である。
【図3】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタに
おける偶モードインピーダンスステップ比と規格化され
た共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図4】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタに
おける偶モードインピーダンスステップ比と偶奇モード
インピーダンス比の関係を示すグラフである。
【図5】 本発明の実施例1の並行結合ストリップライ
ンの構造パラメータに対する偶モードインピーダンスと
偶奇モードインピーダンス比の関係を示すグラフであ
る。
【図6】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタの
伝達特性の設計値のシミュレーション結果を示すグラフ
であり、図6(a)は下側極を有する第1の試作フィル
タの特性を示し、図6(b)は上側極を有する第2の試
作フィルタの特性を示す。
【図7】 本発明の実施例1の積層型誘電体フィルタの
伝達特性の実測値と計算値を示すグラフであり、図7
(a)は下側極を有する第1の試作フィルタの特性を示
し、図7(b)は上側極を有する第2の試作フィルタの
特性を示す。
【図8】 本発明の実施例1の変形の積層型誘電体フィ
ルタの分解斜視図である。
【図9】 本発明の実施例2のブロック型誘電体フィル
タの透視斜視図(a)と、(a)のA−A´面における
断面図(b)である。
【図10】 本発明の実施例3の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図である。
【図11】 本発明の実施例3の積層型誘電体フィルタ
におけるローディング容量と規格化された共振器線路長
の関係を示すグラフである。
【図12】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図である。
【図13】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図14】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
の減衰極周波数と偶奇モードインピーダンス比の関係を
示すグラフであり、(a)は下側極の場合、(b)は上
側極の場合を示す。
【図15】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
における結合容量値と偶奇モードインピーダンス比及び
規格化された共振器線路長の関係を示すグラフである。
【図16】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
におけるローディング容量値と偶奇モードインピーダン
ス比及び規格化された共振器線路長の関係を示すグラフ
である。
【図17】 本発明の実施例4の積層型誘電体フィルタ
の減衰極周波数と結合容量値及びローディング容量の関
係を示すグラフであり、(a)は下側極の場合、及び
(b)は上側極の場合を示す。
【図18】 本発明の実施例1と4の積層型誘電体フィ
ルタの伝達特性のシミュレーション結果を示すグラフで
あり、(a)は下側極を有する特性を示し、(b)は上
側極を有する特性を示す。
【図19】 本発明の実施例5のブロック型誘電体フィ
ルタの透視斜視図(a)、及び(a)のA−A´面にお
ける断面図(b)である。
【図20】 本発明の実施例6の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図(a)、及び(a)のA−A´面における
断面図(b)を示す。
【図21】 本発明の実施例6の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図22】 本発明の実施例6の積層型誘電体フィルタ
の共振器電極と容量電極の電極パターンの配置透視図で
ある。
【図23】 本発明の実施例7の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図である。
【図24】 本発明の実施例7の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図25】 本発明の実施例8の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図である。
【図26】 本発明の実施例8の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図27】 本発明の実施例9の積層型誘電体フィルタ
の分解斜視図である。
【図28】 本発明の実施例9の積層型誘電体フィルタ
の等価回路図である。
【図29】 本発明の実施例10の積層型誘電体フィル
タの分解斜視図である。
【図30】 本発明の実施例11の積層型誘電体フィル
タの分解斜視図である。
【図31】 図30のA−A´面の断面図を示す。
【図32】 本発明の実施例12の積層型誘電体フィル
タの分解斜視図である。
【図33】 図32のA−A´面の断面図(a)、及び
B−B´面の断面図(b)を示す。
【図34】 本発明の実施例13の積層型誘電体フィル
タの分解斜視図である。
【図35】 図34のA−A´面の断面図(a)、及び
B−B´面の断面図(b)を示す。
【図36】 本発明の実施例14の積層型誘電体フィル
タの分解斜視図である。
【図37】 図36のA−A´面の断面図(a)、及び
B−B´面の断面図(b)を示す。
【図38】 本発明の実施例14の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の分解斜視図である。
【図39】 本発明の実施例15の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の等価回路図である。
【図40】 本発明の実施例16の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の分解斜視図である。
【図41】 本発明の実施例16の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の等価回路図である。
【図42】 本発明の実施例17の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の分解斜視図である。
【図43】 本発明の実施例17の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の等価回路図である。
【図44】 本発明の実施例18の積層型誘電体アンテ
ナ共用器の分解斜視図である。
【図45】 本発明の実施例18の実施例の積層型誘電
体アンテナ共用器の分解斜視図である。
【図46】 従来例の誘電体アンテナ共用器の分解斜視
図である。
【図47】 従来例のブロック型誘電体フィルタの斜視
図である。
【図48】 従来例のコムライン型誘電体フィルタの伝
達特性と反射特性を示すグラフである。
【図49】 従来例の積層型LCフィルタの分解斜視図
である。
【図50】 従来例の積層型誘電体フィルタの分解斜視
図である。
【符号の説明】
10a,10b,10c,10d,10e 誘電体シー
ト 11a,11b ストリップライン共振器電極 12a,12b 容量電極 13a,13b シールド電極 14a,14b 入出力端子 15a,15b,15c,15d 接地端子 16 共通接地電極 17a,17b 第1の伝送線路部 18a,18b 第2の伝送線路部 21,22 入出力端子 23,24 キャパシタ 25 2端子対回路 29a,29b 容量電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願平6−55534 (32)優先日 平6(1994)3月25日 (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 櫛谷 洋 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中久保 英明 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 中村 俊昭 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 相澤 公男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 藤野 貴司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (58)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一端が接地された第1の伝送線路部と一
    端が開放され前記第1の伝送線路部より特性インピーダ
    ンスが低い第2の伝送線路部の他端どうしを縦続接続し
    て構成される全線路長が4分の1波長より短いSIR
    (Stepped Impedance Resonator) 構造を持つ少なくと
    も2つ以上のTEMモード共振器を具備し、前記第1の
    伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させると共に、前
    記第2の伝送線路部どうしを互いに電磁界結合させ、両
    者の電磁界結合量をそれぞれ独立に設定することによ
    り、伝達特性に通過帯域と減衰極を発生させたことを特
    徴とする誘電体フィルタ。
  2. 【請求項2】 前記TEMモード共振器の開放端を電気
    的容量を介して接地した請求項1に記載の誘電体フィル
    タ。
  3. 【請求項3】 少なくとも2つの前記TEMモード共振
    器と入出力端子を容量結合させた請求項1に記載の誘電
    体フィルタ。
  4. 【請求項4】 前記第1の伝送線路部の線路間距離と前
    記第2の伝送線路部の線路間距離を変えることにより、
    伝達特性の減衰極周波数を調整した請求項1に記載の誘
    電体フィルタ。
  5. 【請求項5】 前記第1の伝送線路部の線路長と前記第
    2の伝送線路部の線路長を等しくした請求項1に記載の
    誘電体フィルタ。
  6. 【請求項6】 前記TEMモード共振器を誘電体ブロッ
    クに設けた貫通孔で形成される一体型同軸共振器で構成
    した請求項1に記載の誘電体フィルタ。
  7. 【請求項7】 前記TEMモード共振器を誘電体シート
    上に形成されたストリップライン共振器で構成した請求
    項1に記載の誘電体フィルタ。
  8. 【請求項8】 前記第1の伝送線路部の偶モードインピ
    ーダンスを奇モードインピーダンスで割った値を前記第
    2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モードイ
    ンピーダンスで割った値より大きくした請求項1に記載
    の誘電体フィルタ。
  9. 【請求項9】 前記第1の伝送線路部の偶モードインピ
    ーダンスを奇モードインピーダンスで割った値を前記第
    2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モードイ
    ンピーダンスで割った値より小さくした請求項1に記載
    の誘電体フィルタ。
  10. 【請求項10】 前記第2の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを前記第1の伝送線路部の偶モードインピー
    ダンスで割った値を0.2以上、0.8以下とした請求
    項1に記載の誘電体フィルタ。
  11. 【請求項11】 前記第2の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを前記第1の伝送線路部の偶モードインピー
    ダンスで割った値を0.4以上、0.6以下とした請求
    項1に記載の誘電体フィルタ。
  12. 【請求項12】 少なくとも2つの前記TEMモード共
    振器の間を、さらに別に設けた容量結合手段にて容量結
    合させ、前記TEMモード共振器間の結合を前記電磁界
    結合と前記容量結合の組み合わせにより行った請求項1
    に記載の誘電体フィルタ。
  13. 【請求項13】 前記容量結合手段による容量結合を前
    記第2の伝送線路部で行った請求項12に記載の誘電体
    フィルタ。
  14. 【請求項14】 前記容量結合手段による容量結合を前
    記TEMモード共振器の開放端で行った請求項12に記
    載の誘電体フィルタ。
  15. 【請求項15】 前記TEMモード共振器の開放端を容
    量を介して接地した請求項12に記載の誘電体フィル
    タ。
  16. 【請求項16】 少なくとも2つの前記TEMモード共
    振器と入出力端子を容量結合させた請求項12に記載の
    誘電体フィルタ。
  17. 【請求項17】 前記第1の伝送線路部の線路間距離と
    前記第2の伝送線路部の線路間距離を変えることによ
    り、伝達特性の減衰極周波数を調整した請求項12に記
    載の誘電体フィルタ。
  18. 【請求項18】 前記第1の伝送線路部の線路長と前記
    第2の伝送線路部の線路長を等しくした請求項12に記
    載の誘電体フィルタ。
  19. 【請求項19】 前記TEMモード共振器を誘電体ブロ
    ックに設けた貫通孔で形成される一体型同軸共振器で構
    成した請求項12に記載の誘電体フィルタ。
  20. 【請求項20】 前記TEMモード共振器を誘電体シー
    ト上に形成されたストリップライン共振器で構成した請
    求項12に記載の誘電体フィルタ。
  21. 【請求項21】 前記第1の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを奇モードインピーダンスで割った値を前記
    第2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モード
    インピーダンスで割った値より大きくした請求項12に
    記載の誘電体フィルタ。
  22. 【請求項22】 前記第1の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを奇モードインピーダンスで割った値を前記
    第2の伝送線路部の偶モードインピーダンスを奇モード
    インピーダンスで割った値より小さくした請求項12に
    記載の誘電体フィルタ。
  23. 【請求項23】 中心周波数の正負15%以内の周波数
    範囲に伝達特性の減衰極を有する請求項12に記載の誘
    電体フィルタ。
  24. 【請求項24】 前記第2の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを前記第1の伝送線路部の偶モードインピー
    ダンスで割った値を0.2以上、0.8以下とした請求
    項12に記載の誘電体フィルタ。
  25. 【請求項25】 前記第2の伝送線路部の偶モードイン
    ピーダンスを前記第1の伝送線路部の偶モードインピー
    ダンスで割った値を0.4以上、0.6以下とした請求
    項12に記載の誘電体フィルタ。
  26. 【請求項26】 複数のストリップライン共振器が形成
    されたストリップライン共振器電極層と容量電極層を具
    備し、前記ストリップライン共振器電極層と容量電極層
    を2枚のシールド電極層で挟み込み、前記2枚のシール
    ド電極層間を誘電体で充填すると共に、前記ストリップ
    ライン共振器電極層と前記容量電極層の間の厚さを前記
    ストリップライン共振器電極層と前記シールド電極層の
    間の厚さおよび前記容量電極層と前記シールド電極層の
    間の厚さより薄くした積層型誘電体フィルタ。
  27. 【請求項27】 前記ストリップライン共振器と前記シ
    ールド電極層の間の誘電体および前記容量電極層と前記
    シールド電極層の間の誘電体は、それぞれ薄い誘電体シ
    ートを複数枚積層することによって形成した請求項26
    記載の積層型誘電体フィルタ。
  28. 【請求項28】 前記ストリップライン共振器は先端短
    絡型の構造を有し、前記短絡端を前記ストリップライン
    共振器電極層と同じ電極層上に形成された幅広の共通接
    地電極を介して、前記誘電体の側面に形成された接地端
    子に電気的に接続し接地した請求項26記載の積層型誘
    電体フィルタ。
  29. 【請求項29】 前記容量電極層上に形成された段間結
    合容量電極または入出力結合容量電極またはローディン
    グ容量電極が、前記ストリップライン共振器電極層のス
    トリップライン共振器電極の外縁と重なる領域において
    電極の幅を狭くしたくびれ形状を有する請求項26記載
    の積層型誘電体フィルタ。
  30. 【請求項30】 前記積層型誘電体フィルタは前記容量
    電極層上に入出力結合容量電極を有し、前記ストリップ
    ライン共振器は先端短絡型の構造を有するとともに、前
    記ストリップライン共振器の開放端と短絡端の中間の位
    置で前記入出力結合容量電極と前記ストリップライン共
    振器を容量結合させた請求項26記載の積層型誘電体フ
    ィルタ。
  31. 【請求項31】 前記入出力結合容量電極に電気的に接
    続された入出力端子を、前記ストリップライン共振器の
    横方向に設けた側面電極で形成した請求項30記載の積
    層型誘電体フィルタ。
  32. 【請求項32】 前記誘電体の焼成時の収縮の倍率を、
    前記ストリップライン共振器電極層および前記容量電極
    層を構成する電極材料の焼成時の収縮の倍率より小さく
    設定した請求項26記載の積層型誘電体フィルタ。
  33. 【請求項33】 前記積層型誘電体フィルタは少なくと
    も2枚の容量電極層を有し、前記ストリップライン共振
    器電極層をそれぞれ前記容量電極層にて上下から挟み込
    んだ請求項26記載の積層型誘電体フィルタ。
  34. 【請求項34】 第1のシールド電極の上に厚さt1
    第1の誘電体シートを介して第1のストリップライン共
    振器を隔置し、前記第1のストリップライン共振器の上
    に厚さt2 からtn (ただし、nは2以上のストリップ
    ライン共振器の数)の第2から第nの誘電体シートを介
    して第2から第nのストリップライン共振器をそれぞれ
    隔置し、前記第nのストリップライン共振器の上に厚さ
    n+1 の第(n+1)の誘電体シートを介して第2のシ
    ールド電極を隔置し、前記厚さt 2 からtn までと前記
    厚さt1 またはtn+1 を異なる値に設定した積層型誘電
    体フィルタ。
  35. 【請求項35】 前記厚さt2 からtn の内の最大値を
    前記厚さt1 及びtn+ 1 のいずれよりも小さくした請求
    項34記載の積層型誘電体フィルタ。
  36. 【請求項36】 前記厚さt2 からtn までの合計値を
    前記厚さt1 とtn+1の合計値よりも小さくした請求項
    34記載の積層型誘電体フィルタ。
  37. 【請求項37】 前記厚さt2 からtn までの合計値を
    前記厚さt1 及びtn+ 1 のいずれよりも小さくした請求
    項34記載の積層型誘電体フィルタ。
  38. 【請求項38】 前記ストリップライン共振器の数nを
    3以上とすると共に、前記厚さt2 からtn までをすべ
    て等しくした請求項34記載の積層型誘電体フィルタ。
  39. 【請求項39】 前記第1のシールド電極及び前記第2
    のシールド電極を誘電体シートに挟まれた内層電極で形
    成した請求項34記載の積層型誘電体フィルタ。
  40. 【請求項40】 前記第1の誘電体シートと前記第(n
    +1)の誘電体シートを薄い誘電体シートを複数枚積層
    して構成した請求項34記載の積層型誘電体フィルタ。
  41. 【請求項41】 前記第1の誘電体シートを構成する薄
    い誘電体シートのひとつと、前記第(n+1)の誘電体
    シートを構成する薄い誘電体シートのひとつに、それぞ
    れ入出力結合容量電極を形成した請求項40記載の積層
    型誘電体フィルタ。
  42. 【請求項42】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の中心線の位置を前記第1から第nまでの誘
    電体シート毎に横方向に平行にずらした請求項34記載
    の積層型誘電体フィルタ。
  43. 【請求項43】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器を先端短絡ストリップライン共振器とし、短
    絡端の方向を揃えて積層した請求項34記載の積層型誘
    電体フィルタ。
  44. 【請求項44】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側に幅広の接地電極を形成し、前記
    第1から第(n+1)までの誘電体シートで構成される
    積層体の前記ストリップライン共振器の短絡端側の側面
    に外電極にて接地面シールド電極を設け、前記ストリッ
    プライン共振器の短絡端を前記接地電極を介して前記接
    地面シールド電極に接続して接地した請求項43記載の
    積層型誘電体フィルタ。
  45. 【請求項45】 前記第1の誘電体シートを構成する薄
    い誘電体シートのひとつと、前記第(n+1)の誘電体
    シートを構成する薄い誘電体シートのひとつに、それぞ
    れ入出力結合容量電極を形成し、前記入出力結合容量電
    極の取り出し方向を、ひとつは前記ストリップライン共
    振器の右側面方向とし、他のひとつは前記ストリップラ
    イン共振器の左側面方向として、前記第1から第(n+
    1)までの誘電体シートで構成される積層体の左右両側
    面に設けた外電極で形成された側面入出力電極にそれぞ
    れ接続して入出力端子とした請求項43記載の積層型誘
    電体フィルタ。
  46. 【請求項46】 前記第1から第(n+1)までの誘電
    体シートで構成される積層体の側面に、側面シールド電
    極を外電極にて形成した請求項43記載の積層型誘電体
    フィルタ。
  47. 【請求項47】 前記第1から第(n+1)までの誘電
    体シートで構成される積層体の前記ストリップライン共
    振器の開放端側の側面に、開放面シールド電極を外電極
    にて形成した請求項43記載の積層型誘電体フィルタ。
  48. 【請求項48】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側の線路幅を開放端側の線路幅より
    も狭くした請求項43記載の積層型誘電体フィルタ。
  49. 【請求項49】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側幅狭部の線路間距離と開放端側幅
    広部の線路間距離を変えた請求項48記載の積層型誘電
    体フィルタ。
  50. 【請求項50】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の開放端側幅広部の線路中心線の位置を上下
    に揃えて並べ、短絡端側幅狭部の線路中心線の位置を前
    記第1から第nまでの誘電体シート毎に横方向に平行に
    ずらした請求項48記載の積層型誘電体フィルタ。
  51. 【請求項51】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側の線路幅を開放端側の線路幅より
    も広くした請求項43記載の積層型誘電体フィルタ。
  52. 【請求項52】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側幅広部の線路間距離と開放端側幅
    狭部の線路間距離を変えた請求項51記載の積層型誘電
    体フィルタ。
  53. 【請求項53】 前記第1から第nまでのストリップラ
    イン共振器の短絡端側幅広部の線路中心線の位置を上下
    に揃えて並べ、開放端側幅狭部の線路中心線の位置を前
    記第1から第nまでの誘電体シート毎に横方向に平行に
    ずらした請求項51記載の積層型誘電体フィルタ。
  54. 【請求項54】 複数枚の第1の誘電体シートの上に先
    端短絡ストリップライン共振器をそれぞれ形成し、別の
    複数枚の第5の誘電体シートの上に電界結合窓もしくは
    磁界結合窓を有する結合シールド電極をそれぞれ形成
    し、前記第1の誘電体シートと前記第5の誘電体シート
    を前記ストリップライン共振器の短絡端の方向を揃えて
    交互に重ねて積層すると共に、前記結合シールド電極を
    接地し、さらに上下に積層した第2の誘電体シートを介
    してそれぞれシールド電極を設けた積層型誘電体フィル
    タ。
  55. 【請求項55】 複数枚の誘電体シートと、少なくとも
    3層以上のシールド電極層と、少なくとも2層以上のス
    トリップライン共振器電極層を積層して一体焼成するこ
    とにより積層体を構成し、少なくとも一層の前記シール
    ド電極層により前記積層体を上下2つの積層体部分に区
    切り、一方の前記積層体部分には少なくとも一層の前記
    ストリップライン共振器電極層にて受信フィルタを構成
    し、他方の前記積層体部分には少なくとも一層の別の前
    記ストリップライン共振器電極層にて送信フィルタを構
    成し、それぞれ積層体の上下を前記シールド電極層を用
    いてシールドすることにより、前記受信フィルタと前記
    送信フィルタを上下に積み重ねて一体構造にした積層型
    誘電体アンテナ共用器。
  56. 【請求項56】 送信端子と受信端子を異なる側面の側
    面電極で形成した請求項55記載の積層型誘電体アンテ
    ナ共用器。
  57. 【請求項57】 前記ストリップライン共振器電極層は
    それぞれ複数の先端短絡ストリップライン共振器で構成
    され、送信端子と直接結合する前記ストリップライン共
    振器と受信端子と直接結合する前記ストリップライン共
    振器の短絡端の方向をそれぞれ違う側面方向に設定した
    請求項55記載の積層型誘電体アンテナ共用器。
  58. 【請求項58】 前記シールド電極層は少なくとも4層
    以上を有し、少なくとも2層の前記シールド電極層に複
    数枚の前記誘電体シートを挟み込んだで構成した分離層
    により前記積層体を上下2つの積層体部分に区切り、前
    記分離層の間の誘電体シート上にインピーダンス整合素
    子を電極パターンにより形成した請求項55に記載の積
    層型誘電体アンテナ共用器。
JP19505694A 1993-08-24 1994-08-19 誘電体フィルタ Expired - Lifetime JP3529848B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP19505694A JP3529848B2 (ja) 1993-08-24 1994-08-19 誘電体フィルタ

Applications Claiming Priority (9)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5-209292 1993-08-24
JP20929293 1993-08-24
JP5-290800 1993-10-19
JP28794893 1993-11-17
JP5-287948 1993-11-17
JP29080093 1993-11-19
JP6-55534 1994-03-25
JP5553494 1994-03-25
JP19505694A JP3529848B2 (ja) 1993-08-24 1994-08-19 誘電体フィルタ

Related Child Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003171249A Division JP3735354B2 (ja) 1993-08-24 2003-06-16 誘電体フィルタ
JP2003171250A Division JP3696864B2 (ja) 1993-08-24 2003-06-16 積層型誘電体アンテナ共用器

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07312503A true JPH07312503A (ja) 1995-11-28
JP3529848B2 JP3529848B2 (ja) 2004-05-24

Family

ID=27523225

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP19505694A Expired - Lifetime JP3529848B2 (ja) 1993-08-24 1994-08-19 誘電体フィルタ

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3529848B2 (ja)

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10200306A (ja) * 1997-01-08 1998-07-31 Nec Corp 分波・合成器
US6127905A (en) * 1997-10-30 2000-10-03 U.S. Philips Corporation Dielectric filter and method for adjusting bandpass characteristics of same
US6222431B1 (en) 1998-02-27 2001-04-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Balanced dielectric filter
KR100303435B1 (ko) * 1996-12-12 2001-09-29 무라타 야스타카 유전체 공진기, 유전체 필터, 유전체 듀플렉서 및 발진기
JP2002252330A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Mitsubishi Electric Corp 高周波直列容量素子およびこれを用いた高域通過フィルタ
JP2003046358A (ja) * 2001-05-16 2003-02-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 積層フィルタ、積層複合デバイス、および通信装置
US6603372B1 (en) 1999-11-29 2003-08-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Laminated notch filter and cellular phone using the same
US6784759B2 (en) 2001-07-27 2004-08-31 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Antenna duplexer and communication apparatus
JP2007500465A (ja) * 2003-07-28 2007-01-11 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 高周波構成部品
KR100716156B1 (ko) * 2005-10-31 2007-05-10 엘지이노텍 주식회사 저온 동시 소성 세라믹 다층 기판을 이용한 초광대역통신용대역통과필터
US7432786B2 (en) 2006-01-31 2008-10-07 Tdk Corporation High frequency filter
JP2009177799A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Samsung Electro Mech Co Ltd 無線通信モジュール
US8203401B2 (en) 2008-10-15 2012-06-19 Murata Manufacturing Co., Ltd. Strip line filter
US8358184B2 (en) 2009-01-15 2013-01-22 Murata Manufacturing Co., Ltd. Stripline filter
WO2020159810A1 (en) * 2019-01-28 2020-08-06 Avx Corporation Multilayer ceramic capacitor having ultra-broadband performance

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR101247673B1 (ko) * 2011-06-27 2013-04-01 강인호 소형 λ/4 전송선로를 이용한 소형 대역 통과 필터

Cited By (17)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR100303435B1 (ko) * 1996-12-12 2001-09-29 무라타 야스타카 유전체 공진기, 유전체 필터, 유전체 듀플렉서 및 발진기
JPH10200306A (ja) * 1997-01-08 1998-07-31 Nec Corp 分波・合成器
US6127905A (en) * 1997-10-30 2000-10-03 U.S. Philips Corporation Dielectric filter and method for adjusting bandpass characteristics of same
US6222431B1 (en) 1998-02-27 2001-04-24 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Balanced dielectric filter
US6603372B1 (en) 1999-11-29 2003-08-05 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Laminated notch filter and cellular phone using the same
JP2002252330A (ja) * 2001-02-23 2002-09-06 Mitsubishi Electric Corp 高周波直列容量素子およびこれを用いた高域通過フィルタ
JP2003046358A (ja) * 2001-05-16 2003-02-14 Matsushita Electric Ind Co Ltd 積層フィルタ、積層複合デバイス、および通信装置
US6784759B2 (en) 2001-07-27 2004-08-31 Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. Antenna duplexer and communication apparatus
JP2007500465A (ja) * 2003-07-28 2007-01-11 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 高周波構成部品
KR100716156B1 (ko) * 2005-10-31 2007-05-10 엘지이노텍 주식회사 저온 동시 소성 세라믹 다층 기판을 이용한 초광대역통신용대역통과필터
US7432786B2 (en) 2006-01-31 2008-10-07 Tdk Corporation High frequency filter
JP2009177799A (ja) * 2008-01-23 2009-08-06 Samsung Electro Mech Co Ltd 無線通信モジュール
US8203401B2 (en) 2008-10-15 2012-06-19 Murata Manufacturing Co., Ltd. Strip line filter
US8358184B2 (en) 2009-01-15 2013-01-22 Murata Manufacturing Co., Ltd. Stripline filter
WO2020159810A1 (en) * 2019-01-28 2020-08-06 Avx Corporation Multilayer ceramic capacitor having ultra-broadband performance
CN113330527A (zh) * 2019-01-28 2021-08-31 阿维科斯公司 具有超宽带性能的多层陶瓷电容器
CN113330527B (zh) * 2019-01-28 2022-07-05 京瓷Avx元器件公司 具有超宽带性能的多层陶瓷电容器

Also Published As

Publication number Publication date
JP3529848B2 (ja) 2004-05-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5719539A (en) Dielectric filter with multiple resonators
JP3529848B2 (ja) 誘電体フィルタ
US6294967B1 (en) Laminated type dielectric filter
JP3115149B2 (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH07142902A (ja) 積層型誘電体フィルタ
US5412358A (en) Layered stripline filter
JP3735354B2 (ja) 誘電体フィルタ
JPH0697705A (ja) 誘電体フィルタ
JP3696864B2 (ja) 積層型誘電体アンテナ共用器
JPH088605A (ja) 積層誘電体フィルタ
JP2721626B2 (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP3464820B2 (ja) 誘電体積層共振器および誘電体フィルタ
JPH08288706A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH05283906A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH05251905A (ja) 積層型誘電体フィルター
JPH0677703A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP2710904B2 (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH05243812A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP2568149B2 (ja) 誘電体フィルタ及び誘電体分波器
JPH08181506A (ja) 誘電体フィルター
JPH05243810A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JP2002280806A (ja) デュアルモード・バンドパスフィルタ及びデュアルモード・バンドパスフィルタの特性調整方法並びにデュプレクサ及び無線通信装置
JP4493225B2 (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH0690102A (ja) 積層型誘電体フィルタ
JPH05283904A (ja) 積層型誘電体フィルタ

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20031126

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20040224

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Effective date: 20040226

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

R150 Certificate of patent (=grant) or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 4

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 5

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090305

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100305

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110305

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120305

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130305

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140305

Year of fee payment: 10

EXPY Cancellation because of completion of term