JPH07312341A - 電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法 - Google Patents

電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法

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JPH07312341A
JPH07312341A JP2078695A JP2078695A JPH07312341A JP H07312341 A JPH07312341 A JP H07312341A JP 2078695 A JP2078695 A JP 2078695A JP 2078695 A JP2078695 A JP 2078695A JP H07312341 A JPH07312341 A JP H07312341A
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Satoru Yamazaki
悟 山崎
Satoru Sago
覚 佐合
Juichi Sakamoto
樹一 坂本
Hiroshi Yasuda
洋 安田
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Abstract

(57)【要約】 【目的】電子ビーム露光マスクに関し、荷電粒子透過部
が島状又は半島状に形成されるようなパターンを含んで
いても精度良いパターンを形成すること。 【構成】1ショットによりパターンを形成する電子ビー
ム露光マスクにおいて、荷電粒子を遮蔽する電子ビーム
遮蔽パターン21と、前記荷電粒子遮蔽パターン21の周縁
に沿って梁24, 25,27を挟んで一列に配置された複数の
開孔部22, 23, 26とを含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子ビーム露光マスク
及びその製造方法及び電子ビーム露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年ますます半導体集積回路(IC)の
集積度が向上し、機能が増えしているので、ICが使用
される計算機、通信、機械制御等広く産業全般に渡る技
術進歩が期待されている。ICは、例えばDRAMのよ
うに2〜3年で4倍の高集積化が達成されているものも
ある。このような高集積化は微細加工技術の進歩によっ
てもたらされる。
【0003】電子ビーム露光においては、0.02μm
以下の露光マスクの位置合わせ精度があれば0.05μ
m以下のパターンの微細加工が実現できるが、これま
で、スループットが低くてLSIの量産には使用できな
いであろうと考えられてきた。しかし、近年、ブロック
露光やブランキングアパーチャアレー(BAA)方式に
より1時間当たり2枚程度のスループットが期待できる
ようになった。
【0004】この場合、パターン幅、パターン間隔が
0.20μmを下回るような超微細なパターン形成が半
導体装置形成のためのリソグラフィー技術に求められて
いる。このようなパターン形成のためにレジストを露光
する場合、ネガ型レジストを用いるよりもポジ型を用い
る方が有利なことが多い。ネガ型レジストは、電子線照
射によってレジスト材料に架橋反応を起こさせるがもの
である、現像過程においては現像液を吸収して膨潤する
ために、現像を経て形成されたパターンが膨れる方向に
向かい、寸法精度が出なくなってしまうからである。一
方、ポジ型レジストは、架橋しているレジスト材料をエ
ネルギー線で切断するもので、現像によってその部分を
溶かし出すため、寸法精度が出やすい。
【0005】シリコンよりなる透過マスクを用いて電子
ビームを整形するいわゆる“ブロック露光”を用いて、
トランジスタのゲート電極やキャパシタ電極を露光する
場合でも、ポジ型レジストを用いて露光する方がゲート
電極の寸法精度を出し易いし、キャパシタ電極の表面積
を大きくし易い。キャパシタは例えばメモリ素子の電荷
蓄積容量として使用されるので大きい方が良い。
【0006】ポジ型レジストを用いる場合に、ゲート電
極やキャパシタのパターンをブロック露光用の透過マス
ク(以下、ブロックマスクともいう)に形成しようとす
ると、キャパシタのパターンは図26(a) に示すように
環状に抜かれた開孔部101 で囲む必要があり、また、ト
ランジスタのゲート電極のパターンの周囲は図26(b)
に示すようなU字状に抜かれたパターン102 が形成され
る。なお、環状の開孔部で囲まれるパターンを、以下に
島状のパターンともいう。また、一部をU字状の開孔部
で囲むパターンを、以下に半島状のパターン或いは舌状
のパターンともいう。
【0007】しかし、環状の開孔部101 に囲まれた島状
部分101aはそのままでは浮いた状態になっているので、
現実的でない。また、U字状の開孔部102 に囲まれた半
島状部分102aは機械的強度が小さい。そこで、露光用の
電子ビームを十分に遮れない程度の細い梁(以下、架橋
部ともいう)によって島状部分101aや半島状部分102aの
一部を支持したり、或いは、図26(c),(d) に示すよう
に、分割されたパターンを有する複数のマスク103,104
を使用して2ショット以上で露光する方法がある。その
技術は、例えば特公昭61─11657号公報に記載さ
れている。しかし、この技術はスループットが約半分以
下になることは明らかである。
【0008】一方、感光されない程度の細い線からなる
格子状のメッシュを用い、そのうち電子線を透過させた
くない網目を薄膜により塞ぎ、これにより島状パターン
や半島状パターンを形成した露光マスクも存在する。ま
た、光の回折を利用してパターンを形成する露光マスク
が特公昭61─34667号公報に記載されている。こ
の露光マスクは、図27(a) に示すように“隣設する孔
による回折波が互いに重なり合うようにそれらの小孔を
密に配置した複数の孔105 ”によって1つのパターンを
構成したものである。
【0009】上記したようなメッシュを用いた露光マス
クと複数の小孔でパターンを形成する露光マスクにおい
ては、1つのパターンを複数の開孔部で構成し、それら
の開口部間を分ける梁の裏側には光を回折により通過さ
せている。これにより、ウェハ上のレジストには梁に対
応する部分が実質的に解像しないことになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】これらの露光マスク
は、紫外線やX線などの光を用いている場合は、特に問
題は生じない。しかし、電子ビームなど高エネルギーの
電離放射線が照射された場合には、熱によりマスク全体
が高温となって、延びたり融けたりする。特に、スルー
プット向上のために電子ビーム電流密度を40A/cm2
以上にして照射時間を短くした場合や、40kV以上に
加速される電子ビームを用いることを考えた場合、電荷
粒子線用の露光マスクには上記したメッシュを適用する
ことはできない。
【0011】通常、電子線など、荷電粒子線を用いる露
光のためのマスク材料としては、シリコン板を使用し、
孔部分は異方性エッチングとトレンチエッチングを使用
して開口したマスクが提案されている。シリコン板は、
金属薄板よりも剛性があり、さらに、結晶構造を持つの
でエネルギー線が当たっても溶けないマスクが作成され
る。
【0012】ところで、シリコン基板を材料とした露光
マスクを用いて、前述した島状パターン、半島状パター
ンを露光する場合に、次のような問題が生じる。 (1) 露光マスクでの開口部を有しない部分(エネルギー
線を遮る部分)には、熱が蓄積されてくるので、この熱
を効率良く逃すことが必要である。熱が蓄積されると、
熱膨張によってマスク寸法の精度が低下したり、熱膨張
によるストレスによってマスク破壊を惹起する。
【0013】(2) 島状パターン、半島状パターンの力学
的な強度を十分に持たせる必要がある。このためには、
複数の開口部を区画する梁の部分を太くすればよいが、
太すぎるとレジストにパターンとして解像されてしま
い、目的が達成できなくなる。 (3) 露光したいパターン形状を忠実に実現するような梁
のレイアウトにしなければならない。即ち、上記したよ
うにメッシュや孔を使用した露光マスクについて、荷電
粒子(電子ビーム)による露光後のレジストパターン形
状を精度良く得るための条件が明らかになっていない。
例えば、メッシュで区画された複数の領域を選択的に薄
膜で覆うようなパターンでは、精度良い形状が得にく
い。
【0014】また、図27(a) のように、多数の孔を縦
横に配置しただけでは、図27(b)に示すようにパター
ン106 の縁が波状になるので、精度の良いパターンを形
成することができない。また、露光マスクの開口部を透
過して照射されたレジストの荷電粒子の分布は、開口部
に対応する領域のエッジで不均一になってパターン精度
低下の原因になっている。これは、島状パターン或いは
半島状パターンを囲む開口部に限るものではない。
【0015】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであって、精度良いパターンを形成することができ
る電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビー
ム露光方法を提供する。
【0016】
【課題を解決するための手段】上記した課題は、図5に
例示するように、1ショットによりパターンを形成する
電子ビーム露光マスクにおいて、荷電粒子を遮蔽する電
子ビーム遮蔽パターン21と、前記荷電粒子遮蔽パターン
21の周縁に沿って梁24, 25,27を挟んで一列に配置され
た複数の開孔部22, 23, 26とを有することを特徴とする
電子ビーム露光マスクにより解決する。
【0017】前記開孔部22, 23, 26の配列方向の前記梁
24, 25, 27の幅は、前記梁24, 25,27が荷電粒子散乱に
より解像されない大きさであり、かつ、該配列方向に直
交する方向の前記開孔部22, 23, 26の幅は、該荷電粒子
散乱による太る幅だけ細くなっていることを特徴とする
電子ビーム露光マスクにより解決する。または、複数の
前記開孔部22, 23, 26は直交する複数の方向に配置さ
れ、直交点では前記梁27により挟まれて孤立した前記開
孔部26が1つ存在することを特徴とする電子ビーム露光
マスクにより解決する。
【0018】前記直交部分に存在する前記開孔部26は、
他の領域に存在する前記開孔部22,23よりも狭いことを
特徴とする電子ビーム露光マスクにより解決する。前記
荷電粒子遮蔽パターン21は、島状又は半島状であること
を特徴とする電子ビーム露光マスクにより解決する。前
記開孔部22,23の列方向の長さは、前記梁24,25の列方
向の長さに対して1.5倍以上になっていることを特徴と
する電子ビーム露光マスクにより解決する。
【0019】1回の電子ビーム照射範囲内にある複数の
前記開孔部22, 23, 26は、略同一の面積を有することを
特徴とする電子ビーム露光マスクにより解決する。前記
いずれかの電子ビーム露光マスクを透過させた電子ビー
ムのパターンによってレジストに潜像を形成する工程を
有することを特徴とする電子ビーム露光方法により解決
する。
【0020】上記した課題は、図13(a) ,(b) に例示
するように、第一の荷電粒子の照射によってレジストに
形成される潜像パターンのうち反射電子強度が傾斜する
領域に、該反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分布の
第二の荷電粒子を照射することを特徴とする電子ビーム
露光方法によって解決する。または、前記第二の荷電粒
子を照射する際に、前記第二の荷電粒子の透過量に比例
した開口面積を有する複数の孔を備えた露光マスク63
を使用することを特徴とする電子ビーム露光方法によっ
て達成する。
【0021】または、図15に例示するように、1ショ
ットの荷電粒子が照射される領域に開口面積が不均一で
あって、かつ解像されない幅の電子ビーム遮断領域を介
して隣設される複数の孔64a〜64e,65a〜65
eを有することを特徴とする電子ビーム露光用マスクに
よって達成する。または、図12〜図15に例示するよ
うに、レジストに形成しようとするパターン61Aとそ
の周辺を該パターンよりも小さな複数の矩形状の領域X
11〜X43に区分する工程と、前記パターン61Aをレジ
ストに露光する場合に生じる反射電子強度を前記矩形状
の領域X11〜X43のそれぞれの頂点a〜t毎に求める工
程と、各前記矩形状の領域X11〜X43の4つの頂点での
前記反射電子強度を比較して、前記反射電子強度が2つ
に分けられ且つ同じ前記反射電子強度となる頂点を結ぶ
線が平行になる前記矩形状の領域X42を第1の領域とし
て選択し、異なる前記反射強度を有する第1及び第2の
頂点間の前記反射強度の第1の変化率を求める工程と、
各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度
を比較して、前記反射電子強度が3つ又は4つに分けら
れる前記矩形状の領域X43 を第2の領域として選択
し、前記反射電子強度の最大値と最小値となる第3及び
第4の頂点間の前記反射電子強度の第2の変化率を求め
る工程と、前記第1及び第2の頂点のうち前記反射強度
の大きな前記第1の頂点を最小の開口面積とし、前記第
2の頂点を最大の開口面積とし、前記第1の頂点と前記
第2の頂点の間に前記第1の変化率の割合で開口面積が
変化する複数の孔65a〜65eを前記第1の領域が区
画された基板63に形成する工程と、前記第3及び第4
の頂点のうち前記反射強度の大きな前記第3の頂点を最
小の開口面積とし、前記第4の頂点を最大の開口面積と
し、前記第3の頂点と前記第2の頂点の間に前記第2の
変化率の割合で開口面積が変化する複数の孔64a〜6
4eを前記第2の領域が区画された基板63に形成する
工程とを有することを特徴とする電子ビーム露光マスク
の製造方法によって解決する。
【0022】上記した課題は、図7、図18に例示する
ように、マトリクス状に複数形成した孔77を有する露
光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成領
域を露光することにより、現像の際に該パターン非形成
領域にある該ポジ型レジストを除去する量の荷電粒子を
該パターン非形成領域に付与することを特徴とする電子
ビーム露光方法によって解決する。
【0023】または、前記ポジ型レジストの前記パター
ン非形成領域の露光と、前記パターン非形成領域に隣設
するパターン形成領域の露光は、露光量を異ならせて行
われることを特徴とする請求項*記載の電子ビーム露光
方法。または、露光領域の全域に対して1ショットの電
子ビームを照射する領域内を単位として該露光領域を複
数の区画に区分し、各区画毎に露光面積を区画面積で割
った露光面積比を求め、前記露光領域において、パター
ン形成領域の外にあるパターン非形成領域の前記露光面
積比が、前記パターン形成領域の外周近傍の第1の領域
の前記露光面積比と同じか、現像処理を経た後にポジ型
レジストが残らない範囲内で最も該第1の領域の前記露
光面積比に近い値となる大きさとピッチで、マトリクス
状に孔を複数配置する工程を有することを特徴とする露
光マスクの形成方法によって解決する。
【0024】
【作 用】本発明によれば、電子ビーム遮蔽パターン
と、前記荷電粒子遮蔽パターンの周縁に沿って梁を挟ん
で一列に配置された複数の開孔部とを有している。この
露光マスクによれば、開孔部間に存在する梁(架橋部)
のパターンは、露光に際してレジストで解像されること
なく消滅し、しかも、開孔部の太りは孤立した開孔部に
よる近接効果から容易に予測され、パターン精度が良く
なる。
【0025】また、梁がパターンとして解像されない場
合の開孔部の太り分を狭くしてその開孔部の大きさを決
めることによってパターン精度がさらに向上する。別の
発明によれば、レジストに形成される潜像パターンのう
ち反射電子強度が傾斜する領域に、反射電子強度分布の
傾斜を平坦化する分布の荷電粒子を照射するようにして
いる。このため、反射電子強度分布の減少によって露光
不足となる領域に解像に必要な電子強度が付与され、精
度の良い潜像パターンがレジストに形成される。
【0026】また、分布の異なる荷電粒子を照射する場
合には、透過量に比例した開口面積を有する複数の孔を
有する露光マスクを使用しているので、1ショットの電
子ビームでも電子強度分布の不均一な荷電粒子をレジス
トに照射することができる。さらに、そのような露光マ
スクを形成する場合に、レジストに形成しようとするパ
ターンを複数の矩形状の領域に区分して、その矩形状の
領域の4つ角毎に反射強度を求め、それらを比較して反
射電子強度の変化の有無を選択しかつ変化率を求め、そ
の変化率に比例した孔を露光マスクに形成するようにし
ている。このため、露光マスクの孔の大きさや配置が比
較的容易に決定される。
【0027】さらに別の発明によれば、マトリクス状に
複数形成した孔を有する露光マスクを使用してポジ型レ
ジストのパターン非形成領域を露光するようにしてい
る。このため、パターン非形成領域の露光量を小さくし
て、隣設するパターン形成領域への露光による近接効果
が抑制され、精度良いパターンがポジ型レジストに形成
される。 この場合、パターン形成領域の露光量とパタ
ーン非形成領域の露光量を異ならせることによってさら
に精度良いパターンが形成される。
【0028】また、マトリクス状に複数形成した孔を有
する露光マスクは、露光領域の全体を複数に区画し、そ
れらの区画された領域における露光量面積比を基準にし
て孔の大きさやピッチを決定している。このため、パタ
ーン非形成領域の荷電粒子密度をパターン形成領域の外
側寄りの荷電粒子密度に等しく又はこれに近づけること
ができ、その露光マスクを使用する場合にパターン形成
領域の領域の過露光の判断が容易になる。
【0029】
【実施例】そこで、以下に本発明の実施例を図面に基づ
いて説明する。 (第1実施例) (1)本実施例に係る露光マスクのパターンの説明 図1〜図6は、本発明の実施例に係る電子ビーム露光マ
スクのパターンと、それらの露光マスクを使用して得ら
れたEBレジストのパターンを示す平面図である。
【0030】本発明者らは、露光マスクの最適パターン
を得るために種々の実験を試みた。まず、ブロック露光
(又はセルプロフェクション)として提案されている方
法において、露光マスク(透過マスクともいう)上で
“解像限界以下の間隔”を実現できるかどうかを確認す
る。以下に説明する露光マスクは、シリコン基板に広い
凹部を形成し、その薄層化された領域をメンブレンとし
て使用している。そのメンブレンの厚さは、機械的強
度、電子阻止能などを考慮した下限値、即ち20μmと
した。
【0031】また、1回でビームが照射される範囲内
に、1つ以上の島形状若しくは半島状の非露光部分と、
その周辺の荷電粒子(電子ビーム)透過用の開孔部がこ
の露光マスク上に形成されている。また、ビーム透過部
分には、実質的にウェハ上に露光されない程度の架橋部
(梁)が配置されることで、島形状若しくは半島形状か
らなる非露光部分を保持している。
【0032】露光マスクの第1の試料とその露光結果 第1の露光マスクとして、図1(a) に示すようなパター
ンをメンブレンに作成したものを用いる。その露光マス
クは、ポジ型EBレジストに矩形状のパターンを連続し
て形成するためのパターンを有している。図1(a) にお
いて、島状のパターンとなる矩形状の電子ビーム遮蔽パ
ターン1を区画する40μm×100μmの区画線上に
は複数の開孔部3,4が形成され、電子ビーム遮蔽パタ
ーン1の2つの長辺側には、それぞれ幅(W0 )8μm
の架橋部(橋状の未開孔部)2により分離された幅(W
1 )15μmの四角形の第一の開孔部3が2つ形成さ
れ、また、2つの短辺側には幅(W2 )15μmの第二
の開孔部4が形成されている。電子ビーム遮蔽パターン
1を区画する縦横の仮想線は第一及び第二の開孔部3,
4の中心を通っている。
【0033】さらに、第一の開孔部3の配列と第二の開
孔部4の配列の交差部分には、隣接する電子ビーム遮蔽
パターン1相互の四隅を分離するための四角形の第三の
開孔部5が、架橋部6により第一及び第二の開孔部2,
4から仕切られて存在している。このような露光マスク
を使用して、電子ビームによってポジ型のEBレジスト
を露光したところ、図1(b) に示すようなEBレジスト
パターンが得られ、幅8μmの架橋部2に対応する部分
は電子ビームをもっても解像してしまうことがわかる。
【0034】露光マスクのパターン倍率は100倍であ
るので、露光マスク上での第一の開孔部3、第三の開孔
部5を仕切る架橋部2,6の幅W0 は8μmであり、E
Bレジスト上では0.08μmとなる。なお、架橋部
(梁)の幅W0 は、電子ビーム遮蔽パターンの縁線に沿
った方向(開孔部の配列方向)の架橋部の長さを示し、
また、開孔部の幅W1 は、電子ビーム遮蔽パターンの縁
線(開孔部の配列方向)と直交する方向の開孔部の長さ
を示す(以下の説明でも同様である)。
【0035】 露光マスクの第2試料とその露光結果 図2(a) は、第2の露光マスクの露光マスクのパターン
の一部を示し、第一の開孔部3、第三の開孔部5を仕切
る架橋部2,6の幅を6μmとした以外は第1の試料と
同じパターン構成となっている。この露光マスクを使用
して最適露光量より僅かに多い露光量を与えてオーバー
露光したところ、図2(b) に示すようなポジ型EBレジ
ストのパターンが得られた。
【0036】この試料においては、第1の試料と異なり
架橋部2,6に対応するパターンが解像されていない
が、その痕跡がEBレジストパターンに残ってしまうこ
とが確認された。即ち、架橋部2,6の幅を狭くして6
μm程度になると解像されなくなることがわかる。 露光マスクの第3の試料とその露光結果 図3(a) は、第3の露光マスクの露光マスクのパターン
の一部を示し、第一の開孔部3、第三の開孔部5を仕切
る架橋部2,6の幅を2μmとした以外は第1の試料と
同じ構成となっている。
【0037】この露光マスクを使用して、最適露光量よ
り僅かに多い露光量を与えてオーバー露光したところ、
図3(b) に示すようなEBレジストパターンが得られ
た。これによれば、架橋部2に対応するパターンが解像
されず、その痕跡も見られず、電子ビーム遮蔽パターン
1に対応するパターンの周囲には直線状のストライプが
形成される。これは電子ビームの近接効果による。
【0038】 露光マスクの第4の試料とその露光結
果 第4の露光マスクとして、図4(a) に示すようなパター
ンをメンブレンに作成したものを用いる。その露光マス
クは、第1〜第3の試料と同じように、ポジ型EBレジ
ストに矩形状のパターンを形成するためのパターンを有
している。
【0039】図4(a) において、島状のパターン領域で
ある矩形状の電子ビーム遮蔽パターン11を区画する4
0μm×100μmの区画線上には複数の開孔部12,
13が形成され、電子ビーム遮蔽パターン11の長辺側
には、それぞれ架橋部(梁)14を介して分離された複
数の四角形の第一の開孔部12が形成され、また、短辺
にも架橋部15を介して分離された複数の第二の開孔部
13が形成されている。第一及び第二の開孔部12,1
3のうち電子ビーム遮蔽パターン11の縁線に沿った方
向の辺の長さは6μmであり、これに隣接する(直交す
る)辺の長さは11μmである。また、第一の開孔部1
2相互の間隔、及び第二の開孔部13相互の間隔、即ち
架橋部14,15の幅は2μmである。
【0040】電子ビーム遮蔽パターン11を区画する仮
想線が、第一及び第二の開孔部12,13の中心を通っ
ている。この場合、露光マスクのパターンの倍率を10
0倍とした。電子ビーム遮蔽パターン11を囲む第一及
び第二の開孔部12,13の幅はマスク上で11μmで
あり、試料上で0.11μmに相当する。
【0041】図4(b) は、30%程度の90μC/cm2
でオーバー露光したものである。この場合、ウェハ上の
EBレジストにおいて架橋部14,15の太さは0.0
2μm相当となるが、20%程度のオーバー露光では架
橋部14,15は解像せず、電子ビーム遮蔽パターン1
1に対応する矩形状のパターンの縁線には直線ストライ
プ状にレジストが除去される。
【0042】第4の試料では、第1〜第3の試料に比べ
て電子ビーム遮蔽パターン11を囲む開孔部12,13
の長さが短く、数が多く形成されている。これにより、
EBレジストにおける電子ビーム遮蔽パターン11に対
応する矩形状のパターンの縁線は、直線性が向上するこ
とが実験的に確かめられた。 露光マスクの第5の試料とその露光結果 第5の露光マスクとして、図5(a) に示すパターンをメ
ンブレンに作成したものを用いる。その露光マスクを使
用してポジ型EBレジストに矩形状のパターンが形成さ
れる。
【0043】図5(a) において、島状のパターンとなる
電子ビーム遮蔽パターン21を区画する40μm×10
0μmの区画線上には複数の開孔部22,23が形成さ
れ、電子ビーム遮蔽パターン21の長辺側には、それぞ
れ架橋部(橋状の未開孔部)24を介して分離された複
数の四角形の第一の開孔部22が形成され、また、短辺
側には架橋部25を介して分離された複数の第二の開孔
部23が形成されている。
【0044】第一及び第二の開孔部22,23のうち電
子ビーム遮蔽パターン21の縁線に沿った方向の辺の長
さは6μmであり、これに隣接する(直交する)辺の幅
は13μmである。また、第一の開孔部22相互の間
隔、及び第二の開孔部23相互の間隔、即ち架橋部2
4,25の幅は4μmである。電子ビーム遮蔽パターン
21を区画する仮想線は、第一及び第二の開孔部22,
23の中心を通っている。
【0045】また、第一の開孔部22と第二の開孔部2
3が配置される2つの直線方向の交差領域に配置された
矩形(正方形)状の第三の開孔部26の一辺の長さは、
第一及び第二の開孔部22,23の幅よりも小さい9μ
mとした。このとき、15%程度のオーバー露光でも架
橋部24,25はEBレジストには解像しなかった。図
5(b) は、第5の試料を使用して、20%程度の80μ
C/cm2 でオーバー露光を経てパターニングされたEB
レジストパターンであり、架橋部24,25に対応する
部分は解像されずに、電子ビーム遮蔽パターン21に対
応する形状の良好な矩形状パターンが得られた。
【0046】ところで、直線の交差領域に矩形状の第三
の開孔部26を配置することによって、第三の開孔部2
6の回りに架橋部27が存在することになるので、その
領域のマスクの強度が大きくなる。ところで、その交差
領域でその架橋部27が存在せずに、十字状の開孔パタ
ーンが形成される場合には、近接効果によって矩形パタ
ーンの角が顕著に丸くなってしまう。しかし、第5の試
料では、架橋部27の存在により交差点部分の露光量を
低下させる効果が生じ、パターンの角が丸くなるのが抑
制されている。これは例えば図5(b) の露光結果を見て
も明らかである。
【0047】これは、第1〜第4の試料でも同じであ
る。しかし、電子ビーム遮蔽パターンの周囲に配置する
開孔部の数が少ない場合、即ち開孔部が長い場合には図
1(b)、図2(b) に示すように開孔部の中央が太り、ま
た、その開孔部が短くその数が多いほど、即ち架橋部の
数が多いほど第4、第5の試料のようにEBレジストに
おけるパターンのエッジの直線性が良くなる傾向にあ
る。
【0048】以上のことから、次のことが導き出され
る。ウェハに塗布されたポジ型EBレジスト上で露光マ
スクの架橋部が露光解像されてはいけないので架橋部の
幅を無制限に大きくすることはできない。この場合、細
い架橋部の数を多く配置すればするほど、熱的、機械的
強度は増し、開孔部の中央での太りが少なくなるが、一
方で、架橋部の数が多過ぎると遮蔽パターンの面積が大
きくなって露光量不足となってしまう。
【0049】発明者の実験では、架橋部幅に対する開孔
部長が最低限度1.5倍以上必要なことがわかった。例
えば、架橋部の幅が4μmならば、ビーム透過部の幅
(開孔部長)は6μm以上必要となる。ピッチでいえ
ば、架橋部をその幅の2.5倍以上のピッチで配置する
必要がある。したがって、露光されるべき範囲に形成さ
れる架橋部の幅に対する実際のビーム透過部の幅の関係
が1.5倍以上である電子ビーム露光用マスク、或い
は、架橋部の配置ピッチが架橋部の幅の2.5倍以上の
ピッチで配置される露光用マスクが必要となる。
【0050】なお、以上の露光マスクの説明では、島状
パターンを形成する場合について説明したが、EBレジ
ストに半島状パターンを形成するための露光マスクのパ
ターンの一例を図6に示す。この例でもU字の形状に沿
って複数の開孔部31を一列に並べることにより、上記
したような良好な露光が行える。この場合には、U字の
角の部分の開孔部31aは近接効果による広がりが小さ
いので他の開孔部31と同じ大きさにしてもよい。ま
た、以上の露光マスクは1つのパターンを1ショットで
形成することができる。 (2)本発明の実施例の露光マスクのパターン幅と近接
効果の関係 上記した露光マスクは、図7に示すような構成の電子ビ
ーム露光装置による露光の際に使用される。この電子ビ
ーム露光装置においては、グリッドG、アノードA、ビ
ーム整形用スリットBS1 、収束レンズL1 、ビーム位
置偏向用のスリットデフレクタSD1 、第2のレンズL
4 などを通過したカソード電極Kからの電子(荷電粒
子)ビームは、露光マスクを通過してパターン化され
る。さらに、パターン化された電子ビームは、レンズL
2 ,L3 、アパーチャAP等を通して基板W表面のEB
レジストRに照射して潜像パターンを形成する。なお、
図7中符号TDは、露光マスクのパターンを選択するた
めに電子ビームを偏向する偏向器を示している。
【0051】このように露光を終えた後に、EBレジス
トを現像すると、上記したようにパターンが顕像化す
る。ところで、上記した露光マスクの架橋部を消すため
には、架橋部の周囲の開孔部(ビーム透過部)を透過し
た電子ビームの近接効果によって架橋部が解像しないよ
うにする必要がある。露光マスクの梁がレジストの現像
時にパターンとなって現れないためには、露光マスクで
の回折波効果ではなく、近接効果による。
【0052】近接効果は、レジストに照射された荷電粒
子が散乱することにより露光領域を広げることである。
散乱には前方散乱と後方散乱がある。前方散乱は、レジ
ストに照射された荷電粒子がレジスト内で散乱すること
であり、後方散乱は、レジストを通過してその下のウェ
ハ内に入射した荷電粒子が跳ね返って飛び出したり弾き
出されてしまった電子による散乱である。
【0053】近接効果が及ぶ範囲は、電子線の加速電圧
などに依存するが、前方散乱による影響は0.01〜
0.1μm程度、後方散乱による影響は3〜5μm程度
の範囲となる。どちらもガウシャン分布をしているの
で、実際にレジストが受ける要因、いわゆる解像度の阻
害成分となる要因は図8(a) に示すように前方及び後方
散乱の和となる。ただし、レジストが解像するか否か
は、図8(b) に示すように、露光量が境界値(閾値とも
いう)を越えるか否かによるので、パターンの縁部はそ
の境界値が存在する位置によって決まる。なお、境界値
を越える場合には解像することになる。
【0054】一般に、荷電粒子が照射される部分のパタ
ーン同士が近いほど互いの近接効果による荷電粒子(露
光量)が重なりあってそれらのパターンが一体化するよ
うになる。例えば、図9に示すように、4μm間隔で分
離された開孔部42,43を矩形状の電子ビーム遮蔽パ
ターン44の周囲に架橋部41を介して2列に配置した
ものを露光マスクに使用して露光すると、特に図示しな
いが、レジストには近接効果により2つの開口部42,
43が一体化したパターンが形成される。しかし、この
ように開孔部42,43を2列配置すると、例えば図中
右側の開孔部42の近接効果が左側の開孔部43の左側
にも及んでしまいレジストでのパターン幅が広がって寸
法精度が低下するので好ましくない。
【0055】したがって、上記したように島状或いは半
島状のパターンを複数の開孔部によって囲む場合には、
近接効果を考慮して開口部を並列に配置してはいけな
い、という条件が必要となる。
【0056】ところで、図10に示すように、近接効果
によってレジストで解像しないように露光マスクの架橋
部51の幅を決めている。近接効果は、開孔部52のう
ちの架橋部51が存在しない側にも生じるので、EBレ
ジストでは開孔部52に対応するパターンの幅に太り分
(シフト分)W21が生じる。また、露光マスクの架橋部
51では、その前後にある2つの開孔部52の近接効果
の相乗効果によって露光量が多くなりやすい。したがっ
て、架橋部51の幅W0 を、開孔部52の太り分W21
2倍よりも僅かに大きくしても架橋部51はレジストで
は解像せず、パターンとして現れないはずである。
【0057】例えば、EBレジストにおいて近接効果に
よる開孔部52の太り分W21を0.02μmとし、露光
したいパターンの幅を0.15μmとすると、両側への
シフト分を考慮して開孔部52の幅W1 を0.11μm
とすればよい。この場合、架橋部51の幅W0 を少なく
とも0.04μmとして露光すれば、その架橋部51は
パターンとして現れないことになる。
【0058】この論理に従って露光マスクを作ってレジ
ストを露光したところ、荷電粒子が照射された領域の開
孔部52に対応するパターン幅が0.15μmとなった
ところで架橋部51に対応するパターンは消えずに残っ
ている。さらに、架橋部51が解像されないように露光
量を増やしていったところ、開孔部52のパターン幅W
1 は0.20μmとなり、予測よりも0.05μmの太
りが生じた。
【0059】これにより、論理的条件のみによって開孔
部のパターン幅を決めることは困難であることがわかっ
たので、架橋部51が消える場合のパターンの太りW21
を予め調査し、そのデータに基づいて開孔部(ビーム透
過孔)52の幅W1 を小さくする方向(オフセットする
方向)に設計する必要がある。例えば、そのオフセット
量は、開孔部52の太り分W21を架橋部51の幅W0
上の長さにする。 (3)本発明の実施例の露光マスクにおける電子ビーム
遮蔽領域の四隅の形状 既に説明したが、複数の開孔部を2方向(例えば縦方向
と横方向)に配置する場合に、2つの方向のうちの交差
部分に存在する開孔部を十字状に形成すると、近接効果
の影響が他の部分よりも多くなって、露光量オーバーと
なり、開孔部に囲まれた矩形状領域の角の部分がレジス
トでは角がとれて丸くなってしまう。逆に、交差部分に
透過孔を設けないと(又は透過孔を設けても小さ過ぎる
と)、隣接する矩形状領域のレジストパターンは、互い
に接触し合おうとして図1(b) のようにコーナー部分が
鋭角になってしまい、所望するパターンの形成が困難に
なる。そこで、その交差部分では、その中心部分にビー
ムを透過させる適当な大きさの孔を設けることが必須と
なる。
【0060】露光マスクに島状パターンを3つ以上隣合
って配置する場合に、露光マスクで非透過孔部分が近接
しあういわゆる交差点部分の中心には、図4(a) に示す
ようなビーム透過孔部を設けることを特徴とする。 (4)本発明の実施例の露光マスクの1ショットにおけ
る開孔部の面積 露光マスクを使用して実際に露光する場合には、通常の
露光領域に対して若干の露光量を多くして露光を行う。
架橋部をEBレジスト上で消してしまうのは、近接効果
によるものであるが、交差領域以外の開孔面積をほぼ一
定にしておかないと近接効果の影響がばらついてしま
い、結果的にある部分はオーバーぎみに露光されたり、
全体に寸法精度がでなかったりして、意図したパターン
が得られなくなる。
【0061】そこで、露光マスク上のパターンのうち、
レジストでの露光部分に相当する開孔部(ビームが抜け
てくる部分)の各々、即ち架橋部と架橋部の間にある個
々の開孔部は1回のビーム照射範囲内(1ショットの大
きさ内)において、略同一の開孔面積にする必要があ
る。また、マスクのパターンのうち、レジストで露光さ
れない部分に相当する個々の架橋部(ビームの陰りとな
る部分)の幅は、1回のビーム照射範囲内で略同一の幅
にする必要がある。 (第2実施例) (1)上記した第1実施例の露光マスク(ブロックマス
クともいう)では、島状又は半島状のパターンを囲む開
口部を複数の梁(電子ビーム遮断領域)で分割して、そ
れらのパターンが露光マスクから抜け落ちないようにし
ている。梁によって開口部を分割する技術については、
島状又は半島状のパターンの周囲の開口部に適用する他
に、図11(a) に示すように、露光マスク60に形成さ
れる1つの矩形状の開口パターン61の内部に適用して
もよい。即ち、所定位置の開口パターン61を透過する
電子の量が多くなることもあるので、開口パターン61
内を梁(電子ビーム遮断領域)62で複数に分割するこ
とによってその内部を透過する露光量(電子ビームの電
流量)を低減させることが可能になる。この場合の梁6
2の幅は、第1実施例と同じようにレジストに解像しな
い程度に小さくする必要がある。
【0062】ところが、1つの開口パターン61を透過
してレジスト(不図示)に照射された荷電粒子(電子強
度)の分布が近接効果によって異なってくることがあ
る。即ち、図11(b) に示すように、開口パターン61
のエッジ及びその周辺では、他の領域に比べて荷電粒子
の量が低減する。これは、近接効果によって開口パター
ン61の外側から進入する荷電粒子が少ないからであ
る。
【0063】開口パターン61のエッジを透過した電子
強度が、図11(b) に示すような解像境界値よりも大き
くならない場合には、レジストに形成されるパターンが
狭くなってしまう。そこで、この実施例では、開口パタ
ーン61のエッジ及びその周辺に対応するレジストの領
域(図11(a) の破線で囲んだ領域)に局所的に電子ビ
ームを照射して、レジストの電子強度を補正することに
した。このような局部的な電子ビームの照射を、以下に
補助露光又は傾斜補助露光という。補助露光は、開口パ
ターン全体を露光する前か後に行う。
【0064】補助露光を行うことによって、図11(c)
に示すように、開口パターン61のエッジ及びその周辺
の領域の荷電粒子を局部的にかつ適正な量で増加させ、
これにより、開口パターン61の潜像が精度良くレジス
ト(不図示)に転写されることになる。傾斜補助露光
は、露光マスクの開口パターン61内を梁62で分割し
ない場合にも必要になってくる。開口パターン61にお
いては梁62が無い場合にも、そのエッジ及びその周辺
では荷電粒子の分布が小さくなるからである。
【0065】そこで、内部に梁のない開口パターンを有
する露光マスクを使用する場合を例に挙げてその補助露
光について詳細に説明する。 (2)図12は、シリコン板よりなる露光マスクに形成
された矩形状の開口パターン61Aを示している。その
開口パターンはKx ×Ly の大きさとする。このような
開口パターン61Aは1ショットの電子ビームによって
露光されるが、パターンを精度良く形成するためには、
上記したような補助露光が必要となる場合がある。以下
にその補助露光のための露光マスクの形成方法を説明す
る。
【0066】まず、図12の破線に示すように、開口パ
ターン61Aとその周辺を格子状の仮想線によりに複数
の領域X11〜X43に区分する。開口パターン61Aの縁
部と仮想線とは重なっても、重ならなくてもよい。区分
された1つの領域は1つの矩形状ブロックであり、黒丸
a〜tは矩形状ブロックの4つの頂点を示す。矩形状ブ
ロックの少なくとも3つの頂点は隣の矩形状ブロックの
頂点と重なっている。また、矩形状ブロックは、当然の
ことながらKx ×Ly よりも小さくなる。
【0067】このように矩形状ブロックにより開口パタ
ーン61A及びその周辺を区分した後に、各頂点a〜t
毎に反射電子強度を計算する。近接効果によって生じた
反射電子強度は、例えば図13(a) に示すようになって
いる。なお、図13(a),b)においては、図12のように
区分された3つの領域X22,X32, X42の反射電子強度
と、それらの領域の中央において照射された電子ビーム
の電子強度を示している。
【0068】このような計算結果から、図13(a) に示
すように、開口部パターン61Aの縁部近傍では反射電
子強度が傾斜するように減少することがわかる。各矩形
状ブロックの頂点の反射電子強度を求めた後に、各矩形
状ブロック毎に電子反射強度の減少の変化を求める。ま
ず、分割された各領域(矩形状ブロック)X11〜X43
おいて、反射電子強度が2種類に分かれるか、3種類以
上に分かれるかを判断する。
【0069】2種類に分かれる場合とは、1つの矩形状
ブロックの4つの頂点での反射電子強度が2つの大きさ
に分けられることをさしている。そして、この場合に
は、同じ大きさの反射電子強度を有する頂点を結ぶ2つ
の直線(例えば領域X42においてL1 ,L2 )が平行に
なる場合だけを考え、それ以外には補助露光用のパター
ンを形成しないことにする。そして、それらの2つの直
線に直交する方向で、反射電子強度の異なる2つの頂点
間の反射電子強度の傾きAを求める。反射電子強度の変
化率(傾きA)は、反射電子強度の差を頂点間の距離で
割った値である。
【0070】一方、3種類以上に分かれる場合とは、矩
形状ブロックの4つの頂点の反射電子強度が3つ又は4
つの大きさに分けられことをさす。この場合には、最大
値と最小値の反射電子強度の2つの頂点を選択し、それ
らの反射電子強度の差を頂点間の距離で割って反射電子
強度の変化率(傾きA)を求める。例えば、図12の矩
形状の領域X43では反射電子強度は3種類以上に分か
れ、反射電子強度の最大値と最小値が領域X43の対角線
上にあるとすると、その対角線上の反射強度は概ね図1
4(a) のような分布となる。
【0071】ところで、反射電子強度が2種類に分かれ
る場合、3種類以上に分かれる場合のそれぞれの反射電
子強度の変化率はともにともに次の式で求まる。ただ
し、2つの頂点において大きい方の反射電子強度をRma
x 、小さい方の反射電子強度をRmin とし、また2つの
頂点間の距離をBとする。 A=(Rmax −Rmin )/B …… 傾斜補助露光用のマスクはシリコン板からなり、そのシ
リコン板には、上記したように反射電子強度が二種類に
分かれる領域(例えばX42)と三種類以上に分かれる領
域(例えばX43)にそれぞれ以下に述べるような複数の
孔が形成される。
【0072】補助露光用のマスクは、図15に示すよう
に、図12の矩形状の領域に対応した領域に矩形状の孔
を複数個有している。それらの孔は、図14(a) に示し
たような反射電子強度の傾斜をほぼ零にするように開口
面積が異なっている。例えば図12、図14(a) におい
て最も傾斜補助露光が必要となるRmin の頂点Bに対応
する部分の孔の面積を最も大きくし、Rmax の頂点Oに
対応する部分の孔の面積を最も小さくする。また、それ
らの2つの孔の間には、傾斜Aに比例して面積を変化さ
せた複数の孔を配置する。これにより、補助露光用のマ
スクでは、頂点Bの近傍では最も多くの電子が透過する
一方で、頂点0の近傍では最も少なく電子を透過させる
ことになる。
【0073】補助露光用のマスクの1つの矩形状の領域
において最小の孔の面積を1とし、最大の孔の面積をS
とし、露光量(電子ビームの電流値)をRとすると、次
式の関係にあれば、反射電子強度の低下を抑制する露
光量が得られる。 SR+Rmin =R+Rmax …… これから最大の孔の面積Sは、次式によって求まる。
【0074】 S=〔(Rmax −Rmin )/R〕+ 1 …… また、最小の孔と最大の孔の間の領域において、最小の
孔からDだけ離れた孔の面積Sx は式で求められる。 Sx =(AD/R) + 1 …… このような計算は、反射露光強度が2種類に分けられる
領域と、3種類以上に分けられる領域について個々に行
う。
【0075】以上のような関係から、図12の開口パタ
ーンを形成するための露光マスクに使用する補助露光用
のマスク60Aは図15に示すようになる。即ち、図1
2の領域X43に対応する領域Y43には右下のような矩形
状の孔64a〜64eを複数形成し、また領域X42に対
応する領域Y42には左下のように大きさが変化した矩形
状の孔65a〜65eを複数形成し、さらに、図示しな
いが他の領域Y11〜Y 13、Y21、Y23、Y31、Y33、Y
41にも孔を複数形成する。ただし、開口パターン61A
の中央の領域X22,X32では4つの頂点の反射電子強度
が同じなので、図15に示す中央の2つの矩形状の領域
22、Y32では補助露光が不用となって補助露光用の孔
は形成されない。なお、補助露光は荷電粒子量が少ない
ので、これだけでは解像されない。
【0076】このような補助露光用のマスク63を使用
すると、図14(a) の反射電子強度分布を有するレジス
トには図14(b) に示すような補助露光がなされる。こ
の結果、レジストの電子強度分布は、図13(a) の状態
から図13(b) の状態へと補正され、開口パターン61
Aの縁部とその周辺に対応する領域の反射電子強度の傾
斜がほぼ平坦になる。これにより開口パターン61Aの
エッジ部分の電子強度が解像境界値よりも大きくなって
適正な露光量となり、補助露光が加わったレジストのパ
ターンの精度が向上する。補助露光は、開口パターンを
露光する前であっても後であってもよい。補助露光は、
図7に示すような構造を備えた電子ビーム露光装置を使
用して行われる。
【0077】なお、補助露光を行う領域において、反射
電子強度が最も大きい部分に露光量Rで補助露光される
ので、開口パターン61Aを露光する場合にはその露光
量Rだけ小さい露光量とする必要がある。以上のような
補助露光は、部分的に行われるので、電子ビームの照射
時間も短く問題になるほとスループットを低下させるこ
とはない。また、補助露光用のマスクは、孔を有するだ
けなので、強度が低下することはなく、丈夫である。さ
らに、補助露光は、大きさの異なる孔を有しているの
で、1ショット内でも露光量の分布を変えることがで
き、パターン精度が良くなる。
【0078】なお、四角以外の開口パターンをレジスト
に転写する場合であっても、傾斜分布のある電子ビーム
を用いてその開口パターンのエッジとその周辺の領域を
補正露光してもよい。上記した反射強度を求める方法の
一例を次に説明する。まず、矩形面積A矩形分解して求
めた露光面積比率Sを基にして各計測点と各矩形の中心
の距離rを測り、ついで以下の式によって求める。
【0079】ある計測点における反射電子強度ηは、次
式で表される。
【0080】
【数1】
【0081】(a,b,c,dはレジストの種類や膜厚
等の条件によって決まる定数) (第3実施例)ポジレジストにレジストパターンを形成
する場合に、レジスシストを残さないい領域では、電子
ビームを照射して荷電粒子により塗り潰す必要がある。
しかし、大きな径の電子ビームでその領域を塗りつぶす
場合にはクーロンインターラクションによってパターン
が形成される領域に電荷粒子が広がることがあるので、
これを防止することが必要になる。
【0082】そこで、荷電粒子を塗り潰す領域に、第1
実施例のような梁を形成して複数に区分することが考え
られるが、その梁によって区分する領域が広い場合に
は、図16(a) の電子強度分布に示すように、クーロン
インターラクションによる周囲への悪影響がある。しか
し、梁によって区分する領域が狭い場合には電子ビーム
の電流密度が同じであっても、図16(b) に示すよう
に、荷電粒子を照射した領域からのクロスインターラク
ションによる周囲への影響は殆ど見られない。
【0083】図17は、レジストからマトリクス状に形
成される島状パターン71を示し、各島状パターン71
は溝72によって区分され、また島状パターン71の集
合領域の周辺にはパターンを形成しない領域(パターン
非形成領域)73が広く存在している。図17の島状パ
ターン71を形成するために、本実施例では図18のよ
うな開口パターンの有る露光マスクを使用する。図18
の露光マスクは、ポジ型レジストをパターニングするた
めに使用される。
【0084】図18中符号74は、第1実施例で説明し
たような梁(荷電粒子遮蔽領域)75により区画された
開口部77に囲まれた島状パターンであり、マトリクス
状に複数配置されている。複数の島状パターン74は梁
75によって互いに繋げられている。島状パターン74
の集合領域の回りには、矩形状の小さな孔77がマトリ
クス状に配置され、その孔77を仕切る梁(荷電粒子遮
蔽領域)78は解像しない程度の幅を有している。
【0085】マトリクス状の孔77の大きさは次のよう
にして決定される。まず、複数の島状パターン74を形
成する領域(以下にパターン形成領域という)を第2実
施例のように1ショットで電子ビームが照射される大き
さの矩形状の領域に複数に区分し、各矩形状の領域毎に
露光面積比を求める。露光面積比は、その矩形状の領域
において電子ビームを通過させる総面積を矩形の領域の
面積で割った値(電子ビーム照射面積/矩形状の領域の
面積)である。
【0086】次に、パターン周辺領域においては、パタ
ーン形成領域の周辺の露光面積比と等しくなるか、これ
に近い値になるような露光面積比でマトリクス状の孔7
7の大きさとピッチを決定する。この場合の近い値とい
うのは、露光工程において複数の孔77を透過した荷電
粒子がポジ型レジストに照射された場合に、マトリクス
状の孔77がレジストに解像されず、しかもその領域の
レジストが現像により完全に除去される露光量が得られ
る値のうちで最もパターン形成領域の周辺の露光面積比
に近い値をさす。
【0087】例えば、次に説明する図19(a)での露
光面積比の範囲が14.5%、(b)での露光面積比は36
%である。ただし、図19(a)と(b)では図21で
示すように露光量が異なる。ここで、島状パターン74
とそのパターン形成領域外側の複数の孔77のそれぞれ
の大きさの一例を示す。図19(a)〜19(c)に露
光マスクの一例を説明する。これらの図に記入した寸法
は一例であり、レジストには例えば、1/100に縮小
される。
【0088】図19(a) に示すように、1μm×1μm
の矩形状の領域に2つの島状パターン74が形成される
とともに、2つの島状パターン74の一側と上端にそれ
ぞれ幅0.05μmの開口部形成領域79が存在する。
また、図19(b) に示すように、1μm×1μmの矩形
状の領域に梁78に囲まれた孔77がマトリクス状に1
00個形成されている。その孔77は、図19(c) に示
すように、0.06μm×0.06μmの矩形状の大き
さを有し、その周辺には0.1μm×0.1μmの範囲
で梁78が枠状に形成されている。なお、孔77と孔7
7の間の梁78は0.04μmの幅を有しているが、こ
の程度の大きさでは梁78はポジ型レジストには解像し
ない。
【0089】ところで、露光マスクの開口部の面積と電
子ビームの電流量の関係を示すと図20のようになり、
開口部を通る電流量は開口部の面積が増えるとともに増
加することがわかる。その開口部に梁を形成しない状態
(全開口)での開口部を通る電流量を1とすると、その
開口部を図19(b) のような梁で仕切って多数の孔77
を形成した場合にはその孔77を通る電流量は1/3〜
1/4になっていることがわかる。なお、全開口の場合
に比べて電子ビームの1ショットの露光時間を長くする
必要がある。
【0090】なお、上記した説明では図18に示すよう
に島状パターン74とマトリクス状の孔77を1つの露
光マスクに形成しているが、それらを別々の露光マスク
としてもよい。以上のような露光マスクを使用してポジ
型レジストを露光する。露光の場合には、パターン形成
領域の周辺に近い部分の露光面積比とパターン形成領域
の外部の露光面積比とが異なる場合には、それらの露光
量を相違させて近接効果の補正を行う。露光量は、実験
によって定めた値とする。
【0091】例えば、図21に示すように、パターン形
成領域80のエッジから4μm内側の領域での荷電粒子
のドーズ量を7.3μC/cm2 とし、それからさらに中
央寄りの領域での荷電粒子のドーズ量を7.8μC/cm
2 とする。また、パターン形成領域80の外側の領域8
1には6.8μC/cm2 のドーズ量となるように荷電粒
子を照射する。
【0092】このようなドーズ量で、図18のパターン
を有する露光マスクを使用してポジ型レジストを露光
し、過現像したところ、図22の写真に見られるような
結果が得られた。露光は、図7に示すような露光装置を
使用した。図22中黒い部分がレジストパターンであ
る。パターン形成領域の外側寄り島状パターンを拡大し
て写真観察したところ、図23(a) に示すような結果が
得られ、良好な形状の島状パターンが得られた。また、
パターン形成領域の中央寄りの島状パターンを拡大して
写真観察したところ、図23(b) に示すような結果が得
られた。なお、電子ビームの線幅は約1.4μmとし
た。
【0093】これに対して、パターン形成領域80の外
側の領域81を露光する際に、図19(b) に示すような
マトリクス状の孔77を有しない露光マスクを使用し、
しかも、露光量を変化させない場合には図24に示すよ
うな結果が得られ、パターン形成領域の外側寄り島状パ
ターンの一部が消失し、しかも、図25(a) に示すよう
に、島状パターンが細くなっていることが分かった。ま
た、パターン形成領域の中央寄りの島状パターンには細
りは生じないものの、島状パターン同士の間隔が狭く、
しかも島状パターン同士の一部が繋がっている領域も存
在した。
【0094】以上のことから、電子ビームでレジストの
広い領域を塗りつぶす場合に、本実施例のようなマトリ
クス状に配列された孔を有する露光マスクを使用する
と、クーロンインタラクションが少なく、パターンへの
悪影響を大幅に抑制することができた。しかも、その露
光マスクは、シリコン基板に孔77を開けるだけなの
で、プロセス的にも簡単に形成でき、しかも丈夫であ
る。また、この露光マスクにおいて、ある単位面積当た
りの露光量が均一になるようにパターン形成領域に対し
て孔77の大きさや位置を決めてやれば、反射電子強度
を無視してもよい。なお、マトリクス状の孔を有する露
光マスクを使用する場合には、1回の電子ビーム照射で
十分でありスループットを低下させることはない。
【0095】本実施例ではポジ型レジストの露光につい
て説明したが、クロスインタラクションを抑えるという
意味においてはネガ型レジスト露光にも本実施例を適用
することができる。
【0096】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、電子
ビーム遮蔽パターンと、前記荷電粒子遮蔽パターンの周
縁に沿って梁を挟んで一列に配置された複数の開孔部と
を露光マスク内に有しているので、この露光マスクによ
れば、開孔部間に存在する梁(架橋部)のパターンは、
露光に際してレジストで解像されることなく消滅し、し
かも、開孔部の太りは孤立した開孔部による近接効果か
ら容易に予測され、パターン精度を良くすることができ
る。
【0097】また、梁がパターンとして解像されない場
合の開孔部の太り分を狭くしてその開孔部の幅を決める
ようにしているので、パターン精度をさらに向上でき
る。別の本発明によれば、レジストに形成される潜像パ
ターンのうち反射電子強度が傾斜する領域に、反射電子
強度分布の傾斜を平坦化する分布の荷電粒子を照射する
ようにしているので、反射電子強度分布の減少によって
露光不足となる領域に解像に必要な強度の荷電粒子が存
在し、精度の良い潜像パターンをレジストに形成でき
る。
【0098】また、分布の異なる荷電粒子を照射する場
合には、透過量に比例した開口面積を有する複数の孔を
有する露光マスクを使用しているので、1ショットの電
子ビームでも電子強度分布の不均一な荷電粒子をレジス
トに容易に照射することができる。さらに、そのような
露光マスクを形成する場合に、レジストに形成しようと
するパターンを複数の矩形状の領域に区分して、その矩
形状の領域の4角毎に反射強度を求め、それらを比較し
て反射電子強度の変化の有無を選択しかつ変化率を求
め、その変化率に比例した孔を露光マスクに形成するよ
うにしているので、露光マスクの孔の大きさや配置を比
較的容易に決定できる。
【0099】さらに別の本発明によれば、マトリクス状
に複数形成した孔を有する露光マスクを使用してポジ型
レジストのパターン非形成領域を露光するようにしたの
で、パターン非形成領域の露光量を小さくして、隣設す
るパターン形成領域への露光による近接効果を抑制で
き、精度良いパターンをポジ型レジストに形成できる。
この場合、パターン形成領域の露光量とパターン非形成
領域の露光量を異ならせることによってさらに精度良い
パターンを形成することが可能になる。
【0100】また、マトリクス状に複数形成した孔を有
する露光マスクは、露光領域の全体を複数に区画し、そ
れらの区画された領域における露光量面積比を基準にし
て孔の大きさやピッチを決定しているので、パターン非
形成領域の荷電粒子密度をパターン形成領域の外側寄り
の荷電粒子密度に等しく又はこれに近づけることがで
き、その露光マスクを使用する場合にパターン形成領域
の過露光の判断が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実験に際して用いた第1の露光マスク
を示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジ
ストパターンの平面状態を示す写真である。
【図2】本発明の実験に際して用いた第2の露光マスク
を示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジ
ストパターンの平面状態を示す写真である。
【図3】本発明の一実施例に係る第1の露光マスクを示
す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジスト
パターンの平面状態を示す写真である。
【図4】本発明の一実施例に係る第2の露光マスクを示
す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジスト
パターンの平面状態を示す写真である。
【図5】本発明の一実施例に係る第3の露光マスクを示
す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジスト
パターンの平面状態を示す写真である。
【図6】本発明の一実施例の第4の露光マスクを示す開
孔パターンの平面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る露光マスクを使用する
露光装置の概要構成図である。
【図8】本発明に使用する電子ビームの近接効果を示す
露光量分布図である。
【図9】本発明の比較のために使用する露光マスクの平
面図である。
【図10】本発明に係る露光マスクの梁の幅とパターン
の太りの関係を示す平面図である。
【図11】図11(a) は、本発明の第2実施例の電子ビ
ーム露光方法に使用する露光マスクの第1例と補助露光
領域を示す平面図、図11(b) は、補助露光がされない
場合のレジストの電子強度分布図、図11(c) は、補助
露光がされた場合のレジストの電子強度分布図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施例の電子ビーム
露光方法に使用する露光マスクの第2例と、これを仮想
線によって複数の矩形状の領域に分割した状態を示す平
面図である。
【図13】図13(a) は、図12の露光マスクを使用し
て露光されたレジストの電子強度分布図、図13(b)
は、図13(a) に補助露光を行った場合のレジストの電
子強度分布図である。
【図14】図14(a) は、図12の露光マスクを使用し
て露光される場合のレジストの反射電子強度の変化を示
す電子強度分布図、図14(b) は、補助露光により照射
される電子強度の分布図である。
【図15】図15は、本発明の第2実施例の電子ビーム
露光方法に使用される補助露光用マスクを示す平面図で
ある。
【図16】図16(a) は、電子ビームが照射された領域
の周辺のボケを示す電子強度分布図、図16(b) は、電
子ビームが照射された領域にボケが無い状態示す電子強
度分布図である。
【図17】図17は、レジストに形成しようとするパタ
ーンの一部を示す平面図である。
【図18】図18は、本発明の第3実施例に使用する露
光マスクの一部を示す平面図である。
【図19】図19(a) は、図18に示した島状パターン
の大きさの一例を示す平面図、図19(b) は、パターン
非形成領域に配置するマトリクス状の孔の大きさの一例
を示す平面図、図19(c) は、図19(b) の孔とその周
辺の梁を示す拡大平面図である。
【図20】図20は、開口面積と露光マスクを透過する
電流量との関係を示す特性図である。
【図21】図21は、図18に示した露光マスクのうち
の荷電粒子の分布を示す平面図である。
【図22】図22は、本発明の第3実施例の露光マスク
を使用して露光工程を経て形成されたレジストパターン
を示す写真である。
【図23】図23(a) 及び(b) は、図22の写真に移っ
たパターンを部分的に拡大した撮った写真である。
【図24】図24は、本発明の第3実施例の露光マスク
を使用しない露光工程を経て形成されたレジストパター
ンを示す写真である。
【図25】図25(a) 及び(b) は、図24の写真に移っ
たパターンを部分的に拡大した撮った写真である。
【図26】従来の露光マスクのパターンを示す平面図
(その1)である。
【図27】従来の露光マスクのパターンを示す平面図
(その2)である。
【符号の説明】
1、11、44 非露光領域 2、14、15、24、25、41、51 架橋部
(梁) 3、4、5、12、13、22、23、42、43、5
2 開孔部 60、60A 露光マスク 61、61A 開口パターン 62 梁(電子ビーム遮断領域) 63 補助露光用マスク 64a〜64e 孔 65a〜65e 孔 71 島状パターン 72 溝 73 パターン非形成領域 74 島状パターン 75 梁(荷電粒子遮蔽領域) 76 開口部 77 孔 78 梁 79 露光領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 1/16 B (72)発明者 佐合 覚 愛知県春日井市高蔵寺町二丁目1844番2 富士通ヴィエルエスアイ株式会社内 (72)発明者 坂本 樹一 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内 (72)発明者 安田 洋 神奈川県川崎市中原区上小田中1015番地 富士通株式会社内

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】1ショットによりパターンを形成する電子
    ビーム露光マスクにおいて、 荷電粒子を遮蔽する電子ビーム遮蔽パターンと、 前記荷電粒子遮蔽パターンの周縁に沿って梁を挟んで一
    列に配置された複数の開孔部とを有することを特徴とす
    る電子ビーム露光マスク。
  2. 【請求項2】前記開孔部の配列方向の前記梁の幅は、前
    記梁が荷電粒子散乱により解像されない大きさであり、
    かつ、該配列方向に直交する方向の前記開孔部の幅は、
    該荷電粒子散乱による太る幅だけ細くなっていることを
    特徴とする請求項1記載の電子ビーム露光マスク。
  3. 【請求項3】複数の前記開孔部は直交する複数の方向に
    配置され、直交点では前記梁により挟まれて孤立した前
    記開孔部が1つ存在することを特徴とする請求項1又は
    2記載の電子ビーム露光マスク。
  4. 【請求項4】前記直交部分に存在する前記開孔部は、他
    の領域に存在する前記開孔部よりも狭いことを特徴とす
    る請求項3記載の電子ビーム露光マスク。
  5. 【請求項5】前記荷電粒子遮蔽パターンは、島状又は半
    島状であることを特徴とする請求項1又は2記載の電子
    ビーム露光マスク。
  6. 【請求項6】前記開孔部の列方向の長さは、前記梁の列
    方向の長さに対して1.5倍以上になっていることを特
    徴とする請求項1又は2記載の電子ビーム露光マスク。
  7. 【請求項7】1回の電子ビーム照射範囲内にある複数の
    前記開孔部は、略同一の面積を有することを特徴とする
    請求項1又は2記載の電子ビーム露光マスク。
  8. 【請求項8】請求項1〜6のいずれかに記載の電子ビー
    ム露光マスクを透過させた電子ビームのパターンによっ
    てレジストに潜像を形成する工程を有することを特徴と
    する電子ビーム露光方法。
  9. 【請求項9】第一の荷電粒子の照射によってレジストに
    形成される潜像パターンのうち反射電子強度分布が傾斜
    する領域に、該反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分
    布で第二の荷電粒子を照射することを特徴とする電子ビ
    ーム露光方法。
  10. 【請求項10】前記第二の荷電粒子を照射する際に、前
    記第二の荷電粒子の透過量に比例した開口面積を有する
    複数の孔を備えた露光マスクを使用することを特徴とす
    る請求項9記載の電子ビーム露光方法。
  11. 【請求項11】1ショットの荷電粒子が照射される領域
    に開口面積が不均一であって、かつ解像されない幅の電
    子ビーム遮断領域を介して隣設される複数の孔を有する
    ことを特徴とする電子ビーム露光用マスク。
  12. 【請求項12】レジストに形成しようとするパターンと
    その周辺を該パターンよりも小さな複数の矩形状の領域
    に区分する工程と、 前記パターンをレジストに露光する場合に生じる反射電
    子強度を前記矩形状の領域のそれぞれの頂点毎に求める
    工程と、 各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度
    を比較して、前記反射電子強度が2つに分けられ且つ同
    じ前記反射電子強度となる頂点を結ぶ線が平行になる前
    記矩形状の領域を第1の領域として選択し、異なる前記
    反射強度を有する第1及び第2の頂点間の前記反射強度
    の第1の変化率を求める工程と、 各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度
    を比較して、前記反射電子強度が3つ又は4つに分けら
    れる前記矩形状の領域を第2の領域として選択し、前記
    反射電子強度の最大値と最小値となる第3及び第4の頂
    点間の前記反射電子強度の第2の変化率を求める工程
    と、 前記第1及び第2の頂点のうち前記反射強度の大きな前
    記第1の頂点を最小の開口面積とし、前記第2の頂点を
    最大の開口面積とし、前記第1の頂点と前記第2の頂点
    の間に前記第1の変化率の割合で開口面積が変化する複
    数の孔を前記第1の領域が区画された基板に形成する工
    程と、 前記第3及び第4の頂点のうち前記反射強度の大きな前
    記第3の頂点を最小の開口面積とし、前記第4の頂点を
    最大の開口面積とし、前記第3の頂点と前記第2の頂点
    の間に前記第2の変化率の割合で開口面積が変化する複
    数の孔を前記第2の領域が区画された基板に形成する工
    程とを有することを特徴とする電子ビーム露光マスクの
    製造方法。
  13. 【請求項13】マトリクス状に複数形成した孔を有する
    露光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成
    領域を露光することにより、現像の際に該パターン非形
    成領域にある該ポジ型レジストを除去する量の荷電粒子
    を該パターン非形成領域に付与することを特徴とする電
    子ビーム露光方法。
  14. 【請求項14】前記ポジ型レジストの前記パターン非形
    成領域の露光と、前記パターン非形成領域に隣設するパ
    ターン形成領域の露光は、露光量を異ならせて行われる
    ことを特徴とする請求項13記載の電子ビーム露光方
    法。
  15. 【請求項15】露光領域の全域に対して1ショットの電
    子ビームを照射する領域内を単位として該露光領域を複
    数の区画に区分し、 各区画毎に露光面積を区画面積で割った露光面積比を求
    め、 前記露光領域において、パターン形成領域の外にあるパ
    ターン非形成領域の前記露光面積比が、前記パターン形
    成領域の外周近傍の第1の領域の前記露光面積比と同じ
    か、現像処理を経た後にポジ型レジストが残らない範囲
    内で最も該第1の領域の前記露光面積比に近い値となる
    大きさとピッチで、マトリクス状に孔を複数配置する工
    程を有することを特徴とする露光マスクの製造方法。
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