JP3544235B2 - 電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法 - Google Patents

電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年ますます半導体集積回路(IC)の集積度が向上し、機能が増えしているので、ICが使用される計算機、通信、機械制御等広く産業全般に渡る技術進歩が期待されている。ICは、例えばDRAMのように2〜3年で4倍の高集積化が達成されているものもある。このような高集積化は微細加工技術の進歩によってもたらされる。
【0003】
電子ビーム露光においては、0.02μm以下の露光マスクの位置合わせ精度があれば0.05μm以下のパターンの微細加工が実現できるが、これまで、スループットが低くてLSIの量産には使用できないであろうと考えられてきた。しかし、近年、ブロック露光やブランキングアパーチャアレー(BAA)方式により1時間当たり2枚程度のスループットが期待できるようになった。
【0004】
この場合、パターン幅、パターン間隔が0.20μmを下回るような超微細なパターン形成が半導体装置形成のためのリソグラフィー技術に求められている。このようなパターン形成のためにレジストを露光する場合、ネガ型レジストを用いるよりもポジ型を用いる方が有利なことが多い。
ネガ型レジストは、電子線照射によってレジスト材料に架橋反応を起こさせるがものである、現像過程においては現像液を吸収して膨潤するために、現像を経て形成されたパターンが膨れる方向に向かい、寸法精度が出なくなってしまうからである。一方、ポジ型レジストは、架橋しているレジスト材料をエネルギー線で切断するもので、現像によってその部分を溶かし出すため、寸法精度が出やすい。
【0005】
シリコンよりなる透過マスクを用いて電子ビームを整形するいわゆる“ブロック露光”を用いて、トランジスタのゲート電極やキャパシタ電極を露光する場合でも、ポジ型レジストを用いて露光する方がゲート電極の寸法精度を出し易いし、キャパシタ電極の表面積を大きくし易い。キャパシタは例えばメモリ素子の電荷蓄積容量として使用されるので大きい方が良い。
【0006】
ポジ型レジストを用いる場合に、ゲート電極やキャパシタのパターンをブロック露光用の透過マスク(以下、ブロックマスクともいう)に形成しようとすると、キャパシタのパターンは図26(a) に示すように環状に抜かれた開孔部101 で囲む必要があり、また、トランジスタのゲート電極のパターンの周囲は図26(b) に示すようなU字状に抜かれたパターン102 が形成される。なお、環状の開孔部で囲まれるパターンを、以下に島状のパターンともいう。また、一部をU字状の開孔部で囲むパターンを、以下に半島状のパターン或いは舌状のパターンともいう。
【0007】
しかし、環状の開孔部101 に囲まれた島状部分101aはそのままでは浮いた状態になっているので、現実的でない。また、U字状の開孔部102 に囲まれた半島状部分102aは機械的強度が小さい。
そこで、露光用の電子ビームを十分に遮れない程度の細い梁(以下、架橋部ともいう)によって島状部分101aや半島状部分102aの一部を支持したり、或いは、図26(c),(d) に示すように、分割されたパターンを有する複数のマスク103,104 を使用して2ショット以上で露光する方法がある。その技術は、例えば特公昭61─11657号公報に記載されている。しかし、この技術はスループットが約半分以下になることは明らかである。
【0008】
一方、感光されない程度の細い線からなる格子状のメッシュを用い、そのうち電子線を透過させたくない網目を薄膜により塞ぎ、これにより島状パターンや半島状パターンを形成した露光マスクも存在する。
また、光の回折を利用してパターンを形成する露光マスクが特公昭61─34667号公報に記載されている。この露光マスクは、図27(a) に示すように“隣設する孔による回折波が互いに重なり合うようにそれらの小孔を密に配置した複数の孔105 ”によって1つのパターンを構成したものである。
【0009】
上記したようなメッシュを用いた露光マスクと複数の小孔でパターンを形成する露光マスクにおいては、1つのパターンを複数の開孔部で構成し、それらの開口部間を分ける梁の裏側には光を回折により通過させている。これにより、ウェハ上のレジストには梁に対応する部分が実質的に解像しないことになる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これらの露光マスクは、紫外線やX線などの光を用いている場合は、特に問題は生じない。しかし、電子ビームなど高エネルギーの電離放射線が照射された場合には、熱によりマスク全体が高温となって、延びたり融けたりする。
特に、スループット向上のために電子ビーム電流密度を40A/cm以上にして照射時間を短くした場合や、40kV以上に加速される電子ビームを用いることを考えた場合、電荷粒子線用の露光マスクには上記したメッシュを適用することはできない。
【0011】
通常、電子線など、荷電粒子線を用いる露光のためのマスク材料としては、シリコン板を使用し、孔部分は異方性エッチングとトレンチエッチングを使用して開口したマスクが提案されている。シリコン板は、金属薄板よりも剛性があり、さらに、結晶構造を持つのでエネルギー線が当たっても溶けないマスクが作成される。
【0012】
ところで、シリコン基板を材料とした露光マスクを用いて、前述した島状パターン、半島状パターンを露光する場合に、次のような問題が生じる。
(1) 露光マスクでの開口部を有しない部分(エネルギー線を遮る部分)には、熱が蓄積されてくるので、この熱を効率良く逃すことが必要である。熱が蓄積されると、熱膨張によってマスク寸法の精度が低下したり、熱膨張によるストレスによってマスク破壊を惹起する。
【0013】
(2) 島状パターン、半島状パターンの力学的な強度を十分に持たせる必要がある。このためには、複数の開口部を区画する梁の部分を太くすればよいが、太すぎるとレジストにパターンとして解像されてしまい、目的が達成できなくなる。
(3) 露光したいパターン形状を忠実に実現するような梁のレイアウトにしなければならない。即ち、上記したようにメッシュや孔を使用した露光マスクについて、荷電粒子(電子ビーム)による露光後のレジストパターン形状を精度良く得るための条件が明らかになっていない。例えば、メッシュで区画された複数の領域を選択的に薄膜で覆うようなパターンでは、精度良い形状が得にくい。
【0014】
また、図27(a) のように、多数の孔を縦横に配置しただけでは、図27(b) に示すようにパターン106 の縁が波状になるので、精度の良いパターンを形成することができない。
また、露光マスクの開口部を透過して照射されたレジストの荷電粒子の分布は、開口部に対応する領域のエッジで不均一になってパターン精度低下の原因になっている。これは、島状パターン或いは半島状パターンを囲む開口部に限るものではない。
【0015】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであって、精度良いパターンを形成することができる電子ビーム露光マスク及びその製造方法及び電子ビーム露光方法を提供する。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記した課題は、図13(a),(b)、図15に例示するように、第1の荷電粒子の照射によってレジストに形成される潜像パターンのうち反射電子強度分布が傾斜する領域に、複数の孔を備えた露光マスクを使用することにより、前記反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分布で第二の荷電粒子を照射する電子ビーム露光方法であって、前記反射電子強度が低い部分の前記孔の開口面積を、前記反射電子強度が高い部分の前記孔の前記開口面積よりも大きくすることを特徴とする電子ビーム露光方法によって解決する。
【0021】
または、図15に例示するように、1ショットの荷電粒子が照射される領域に、解像されない幅の電子ビーム遮断領域を介して隣設される複数の孔64a〜64e,65a〜65eを有し、前記領域の内側ほど前記孔64a〜64e,65a〜65eの開口面積が小さくなることを特徴とする電子ビーム露光用マスクによって達成する。
または、図12〜図15に例示するように、レジストに形成しようとするパターン61Aとその周辺を該パターンよりも小さな複数の矩形状の領域X11〜X43に区分する工程と、前記パターン61Aをレジストに露光する場合に生じる反射電子強度を前記矩形状の領域X11〜X43のそれぞれの頂点a〜t毎に求める工程と、各前記矩形状の領域X11〜X43の4つの頂点での前記反射電子強度を比較して、前記反射電子強度が2つに分けられ且つ同じ前記反射電子強度となる頂点を結ぶ線が平行になる前記矩形状の領域X42を第1の領域として選択し、異なる前記反射強度を有する第1及び第2の頂点間の前記反射強度の第1の変化率を求める工程と、各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度を比較して、前記反射電子強度が3つ又は4つに分けられる前記矩形状の領域X43を第2の領域として選択し、前記反射電子強度の最大値と最小値となる第3及び第4の頂点間の前記反射電子強度の第2の変化率を求める工程と、前記第1及び第2の頂点のうち前記反射強度の大きな前記第1の頂点を最小の開口面積とし、前記第2の頂点を最大の開口面積とし、前記第1の頂点と前記第2の頂点の間に前記第1の変化率の割合で開口面積が変化する複数の孔65a〜65eを前記第1の領域が区画された基板63に形成する工程と、前記第3及び第4の頂点のうち前記反射強度の大きな前記第3の頂点を最小の開口面積とし、前記第4の頂点を最大の開口面積とし、前記第3の頂点と前記第2の頂点の間に前記第2の変化率の割合で開口面積が変化する複数の孔64a〜64eを前記第2の領域が区画された基板63に形成する工程とを有することを特徴とする電子ビーム露光マスクの製造方法によって解決する。
【0022】
上記した課題は、図7、図18に例示するように、マトリクス状に複数形成した孔77を有する露光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成領域を露光することにより、現像の際に該パターン非形成領域にある該ポジ型レジストを除去する量の荷電粒子を該パターン非形成領域に付与することを特徴とする電子ビーム露光方法によって解決する。
【0023】
または、前記ポジ型レジストの前記パターン非形成領域の露光と、前記パターン非形成領域に隣設するパターン形成領域の露光は、露光量を異ならせて行われることを特徴とする電子ビーム露光方法によって解決する。
または、露光領域の全域に対して1ショットの電子ビームを照射する領域内を単位として該露光領域を複数の区画に区分し、各区画毎に露光面積を区画面積で割った露光面積比を求め、前記露光領域において、パターン形成領域の外にあるパターン非形成領域の前記露光面積比が、前記パターン形成領域の外周近傍の第1の領域の前記露光面積比と同じか、現像処理を経た後にポジ型レジストが残らない範囲内で最も該第1の領域の前記露光面積比に近い値となる大きさとピッチで、マトリクス状に孔を複数配置する工程を有することを特徴とする露光マスクの形成方法によって解決する。
【0024】
【作 用】
本発明によれば、電子ビーム遮蔽パターンと、前記荷電粒子遮蔽パターンの周縁に沿って梁を挟んで一列に配置された複数の開孔部とを有している。
この露光マスクによれば、開孔部間に存在する梁(架橋部)のパターンは、露光に際してレジストで解像されることなく消滅し、しかも、開孔部の太りは孤立した開孔部による近接効果から容易に予測され、パターン精度が良くなる。
【0025】
また、梁がパターンとして解像されない場合の開孔部の太り分を狭くしてその開孔部の大きさを決めることによってパターン精度がさらに向上する。
別の発明によれば、レジストに形成される潜像パターンのうち反射電子強度が傾斜する領域に、反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分布の荷電粒子を照射するようにしている。このため、反射電子強度分布の減少によって露光不足となる領域に解像に必要な電子強度が付与され、精度の良い潜像パターンがレジストに形成される。
【0026】
また、分布の異なる荷電粒子を照射する場合には、透過量に比例した開口面積を有する複数の孔を有する露光マスクを使用しているので、1ショットの電子ビームでも電子強度分布の不均一な荷電粒子をレジストに照射することができる。
さらに、そのような露光マスクを形成する場合に、レジストに形成しようとするパターンを複数の矩形状の領域に区分して、その矩形状の領域の4つ角毎に反射強度を求め、それらを比較して反射電子強度の変化の有無を選択しかつ変化率を求め、その変化率に比例した孔を露光マスクに形成するようにしている。このため、露光マスクの孔の大きさや配置が比較的容易に決定される。
【0027】
さらに別の発明によれば、マトリクス状に複数形成した孔を有する露光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成領域を露光するようにしている。このため、パターン非形成領域の露光量を小さくして、隣設するパターン形成領域への露光による近接効果が抑制され、精度良いパターンがポジ型レジストに形成される。 この場合、パターン形成領域の露光量とパターン非形成領域の露光量を異ならせることによってさらに精度良いパターンが形成される。
【0028】
また、マトリクス状に複数形成した孔を有する露光マスクは、露光領域の全体を複数に区画し、それらの区画された領域における露光量面積比を基準にして孔の大きさやピッチを決定している。このため、パターン非形成領域の荷電粒子密度をパターン形成領域の外側寄りの荷電粒子密度に等しく又はこれに近づけることができ、その露光マスクを使用する場合にパターン形成領域の領域の過露光の判断が容易になる。
【0029】
【実施例】
そこで、以下に本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
(1)本実施例に係る露光マスクのパターンの説明
図1〜図6は、本発明の実施例に係る電子ビーム露光マスクのパターンと、それらの露光マスクを使用して得られたEBレジストのパターンを示す平面図である。
【0030】
本発明者らは、露光マスクの最適パターンを得るために種々の実験を試みた。
まず、ブロック露光(又はセルプロフェクション)として提案されている方法において、露光マスク(透過マスクともいう)上で“解像限界以下の間隔”を実現できるかどうかを確認する。
以下に説明する露光マスクは、シリコン基板に広い凹部を形成し、その薄層化された領域をメンブレンとして使用している。そのメンブレンの厚さは、機械的強度、電子阻止能などを考慮した下限値、即ち20μmとした。
【0031】
また、1回でビームが照射される範囲内に、1つ以上の島形状若しくは半島状の非露光部分と、その周辺の荷電粒子(電子ビーム)透過用の開孔部がこの露光マスク上に形成されている。また、ビーム透過部分には、実質的にウェハ上に露光されない程度の架橋部(梁)が配置されることで、島形状若しくは半島形状からなる非露光部分を保持している。
【0032】
▲1▼露光マスクの第1の試料とその露光結果
第1の露光マスクとして、図1(a) に示すようなパターンをメンブレンに作成したものを用いる。その露光マスクは、ポジ型EBレジストに矩形状のパターンを連続して形成するためのパターンを有している。
図1(a) において、島状のパターンとなる矩形状の電子ビーム遮蔽パターン1を区画する40μm×100μmの区画線上には複数の開孔部3,4が形成され、電子ビーム遮蔽パターン1の2つの長辺側には、それぞれ幅(W)8μmの架橋部(橋状の未開孔部)2により分離された幅(W)15μmの四角形の第一の開孔部3が2つ形成され、また、2つの短辺側には幅(W)15μmの第二の開孔部4が形成されている。電子ビーム遮蔽パターン1を区画する縦横の仮想線は第一及び第二の開孔部3,4の中心を通っている。
【0033】
さらに、第一の開孔部3の配列と第二の開孔部4の配列の交差部分には、隣接する電子ビーム遮蔽パターン1相互の四隅を分離するための四角形の第三の開孔部5が、架橋部6により第一及び第二の開孔部2,4から仕切られて存在している。
このような露光マスクを使用して、電子ビームによってポジ型のEBレジストを露光したところ、図1(b) に示すようなEBレジストパターンが得られ、幅8μmの架橋部2に対応する部分は電子ビームをもっても解像してしまうことがわかる。
【0034】
露光マスクのパターン倍率は100倍であるので、露光マスク上での第一の開孔部3、第三の開孔部5を仕切る架橋部2,6の幅Wは8μmであり、EBレジスト上では0.08μmとなる。
なお、架橋部(梁)の幅Wは、電子ビーム遮蔽パターンの縁線に沿った方向(開孔部の配列方向)の架橋部の長さを示し、また、開孔部の幅Wは、電子ビーム遮蔽パターンの縁線(開孔部の配列方向)と直交する方向の開孔部の長さを示す(以下の説明でも同様である)。
【0035】
▲2▼ 露光マスクの第2試料とその露光結果
図2(a) は、第2の露光マスクの露光マスクのパターンの一部を示し、第一の開孔部3、第三の開孔部5を仕切る架橋部2,6の幅を6μmとした以外は第1の試料と同じパターン構成となっている。
この露光マスクを使用して最適露光量より僅かに多い露光量を与えてオーバー露光したところ、図2(b) に示すようなポジ型EBレジストのパターンが得られた。
【0036】
この試料においては、第1の試料と異なり架橋部2,6に対応するパターンが解像されていないが、その痕跡がEBレジストパターンに残ってしまうことが確認された。即ち、架橋部2,6の幅を狭くして6μm程度になると解像されなくなることがわかる。
▲3▼ 露光マスクの第3の試料とその露光結果
図3(a) は、第3の露光マスクの露光マスクのパターンの一部を示し、第一の開孔部3、第三の開孔部5を仕切る架橋部2,6の幅を2μmとした以外は第1の試料と同じ構成となっている。
【0037】
この露光マスクを使用して、最適露光量より僅かに多い露光量を与えてオーバー露光したところ、図3(b) に示すようなEBレジストパターンが得られた。
これによれば、架橋部2に対応するパターンが解像されず、その痕跡も見られず、電子ビーム遮蔽パターン1に対応するパターンの周囲には直線状のストライプが形成される。これは電子ビームの近接効果による。
【0038】
▲4▼ 露光マスクの第4の試料とその露光結果
第4の露光マスクとして、図4(a) に示すようなパターンをメンブレンに作成したものを用いる。
その露光マスクは、第1〜第3の試料と同じように、ポジ型EBレジストに矩形状のパターンを形成するためのパターンを有している。
【0039】
図4(a) において、島状のパターン領域である矩形状の電子ビーム遮蔽パターン11を区画する40μm×100μmの区画線上には複数の開孔部12,13が形成され、電子ビーム遮蔽パターン11の長辺側には、それぞれ架橋部(梁)14を介して分離された複数の四角形の第一の開孔部12が形成され、また、短辺にも架橋部15を介して分離された複数の第二の開孔部13が形成されている。第一及び第二の開孔部12,13のうち電子ビーム遮蔽パターン11の縁線に沿った方向の辺の長さは6μmであり、これに隣接する(直交する)辺の長さは11μmである。また、第一の開孔部12相互の間隔、及び第二の開孔部13相互の間隔、即ち架橋部14,15の幅は2μmである。
【0040】
電子ビーム遮蔽パターン11を区画する仮想線が、第一及び第二の開孔部12,13の中心を通っている。
この場合、露光マスクのパターンの倍率を100倍とした。電子ビーム遮蔽パターン11を囲む第一及び第二の開孔部12,13の幅はマスク上で11μmであり、試料上で0.11μmに相当する。
【0041】
図4(b) は、30%程度の90μC/cmでオーバー露光したものである。
この場合、ウェハ上のEBレジストにおいて架橋部14,15の太さは0.02μm相当となるが、20%程度のオーバー露光では架橋部14,15は解像せず、電子ビーム遮蔽パターン11に対応する矩形状のパターンの縁線には直線ストライプ状にレジストが除去される。
【0042】
第4の試料では、第1〜第3の試料に比べて電子ビーム遮蔽パターン11を囲む開孔部12,13の長さが短く、数が多く形成されている。これにより、EBレジストにおける電子ビーム遮蔽パターン11に対応する矩形状のパターンの縁線は、直線性が向上することが実験的に確かめられた。
▲5▼ 露光マスクの第5の試料とその露光結果
第5の露光マスクとして、図5(a) に示すパターンをメンブレンに作成したものを用いる。その露光マスクを使用してポジ型EBレジストに矩形状のパターンが形成される。
【0043】
図5(a) において、島状のパターンとなる電子ビーム遮蔽パターン21を区画する40μm×100μmの区画線上には複数の開孔部22,23が形成され、電子ビーム遮蔽パターン21の長辺側には、それぞれ架橋部(橋状の未開孔部)24を介して分離された複数の四角形の第一の開孔部22が形成され、また、短辺側には架橋部25を介して分離された複数の第二の開孔部23が形成されている。
【0044】
第一及び第二の開孔部22,23のうち電子ビーム遮蔽パターン21の縁線に沿った方向の辺の長さは6μmであり、これに隣接する(直交する)辺の幅は13μmである。また、第一の開孔部22相互の間隔、及び第二の開孔部23相互の間隔、即ち架橋部24,25の幅は4μmである。
電子ビーム遮蔽パターン21を区画する仮想線は、第一及び第二の開孔部22,23の中心を通っている。
【0045】
また、第一の開孔部22と第二の開孔部23が配置される2つの直線方向の交差領域に配置された矩形(正方形)状の第三の開孔部26の一辺の長さは、第一及び第二の開孔部22,23の幅よりも小さい9μmとした。
このとき、15%程度のオーバー露光でも架橋部24,25はEBレジストには解像しなかった。図5(b) は、第5の試料を使用して、20%程度の80μC/cmでオーバー露光を経てパターニングされたEBレジストパターンであり、架橋部24,25に対応する部分は解像されずに、電子ビーム遮蔽パターン21に対応する形状の良好な矩形状パターンが得られた。
【0046】
ところで、直線の交差領域に矩形状の第三の開孔部26を配置することによって、第三の開孔部26の回りに架橋部27が存在することになるので、その領域のマスクの強度が大きくなる。
ところで、その交差領域でその架橋部27が存在せずに、十字状の開孔パターンが形成される場合には、近接効果によって矩形パターンの角が顕著に丸くなってしまう。しかし、第5の試料では、架橋部27の存在により交差点部分の露光量を低下させる効果が生じ、パターンの角が丸くなるのが抑制されている。これは例えば図5(b) の露光結果を見ても明らかである。
【0047】
これは、第1〜第4の試料でも同じである。しかし、電子ビーム遮蔽パターンの周囲に配置する開孔部の数が少ない場合、即ち開孔部が長い場合には図1(b) 、図2(b) に示すように開孔部の中央が太り、また、その開孔部が短くその数が多いほど、即ち架橋部の数が多いほど第4、第5の試料のようにEBレジストにおけるパターンのエッジの直線性が良くなる傾向にある。
【0048】
以上のことから、次のことが導き出される。
ウェハに塗布されたポジ型EBレジスト上で露光マスクの架橋部が露光解像されてはいけないので架橋部の幅を無制限に大きくすることはできない。この場合、細い架橋部の数を多く配置すればするほど、熱的、機械的強度は増し、開孔部の中央での太りが少なくなるが、一方で、架橋部の数が多過ぎると遮蔽パターンの面積が大きくなって露光量不足となってしまう。
【0049】
発明者の実験では、架橋部幅に対する開孔部長が最低限度1.5倍以上必要なことがわかった。例えば、架橋部の幅が4μmならば、ビーム透過部の幅(開孔部長)は6μm以上必要となる。ピッチでいえば、架橋部をその幅の2.5倍以上のピッチで配置する必要がある。
したがって、露光されるべき範囲に形成される架橋部の幅に対する実際のビーム透過部の幅の関係が1.5倍以上である電子ビーム露光用マスク、或いは、架橋部の配置ピッチが架橋部の幅の2.5倍以上のピッチで配置される露光用マスクが必要となる。
【0050】
なお、以上の露光マスクの説明では、島状パターンを形成する場合について説明したが、EBレジストに半島状パターンを形成するための露光マスクのパターンの一例を図6に示す。この例でもU字の形状に沿って複数の開孔部31を一列に並べることにより、上記したような良好な露光が行える。この場合には、U字の角の部分の開孔部31aは近接効果による広がりが小さいので他の開孔部31と同じ大きさにしてもよい。また、以上の露光マスクは1つのパターンを1ショットで形成することができる。
(2)本発明の実施例の露光マスクのパターン幅と近接効果の関係
上記した露光マスクは、図7に示すような構成の電子ビーム露光装置による露光の際に使用される。この電子ビーム露光装置においては、グリッドG、アノードA、ビーム整形用スリットBS、収束レンズL、ビーム位置偏向用のスリットデフレクタSD、第2のレンズLなどを通過したカソード電極Kからの電子(荷電粒子)ビームは、露光マスクを通過してパターン化される。さらに、パターン化された電子ビームは、レンズL,L、アパーチャAP等を通して基板W表面のEBレジストRに照射して潜像パターンを形成する。なお、図7中符号TDは、露光マスクのパターンを選択するために電子ビームを偏向する偏向器を示している。
【0051】
このように露光を終えた後に、EBレジストを現像すると、上記したようにパターンが顕像化する。
ところで、上記した露光マスクの架橋部を消すためには、架橋部の周囲の開孔部(ビーム透過部)を透過した電子ビームの近接効果によって架橋部が解像しないようにする必要がある。露光マスクの梁がレジストの現像時にパターンとなって現れないためには、露光マスクでの回折波効果ではなく、近接効果による。
【0052】
近接効果は、レジストに照射された荷電粒子が散乱することにより露光領域を広げることである。散乱には前方散乱と後方散乱がある。前方散乱は、レジストに照射された荷電粒子がレジスト内で散乱することであり、後方散乱は、レジストを通過してその下のウェハ内に入射した荷電粒子が跳ね返って飛び出したり弾き出されてしまった電子による散乱である。
【0053】
近接効果が及ぶ範囲は、電子線の加速電圧などに依存するが、前方散乱による影響は0.01〜0.1μm程度、後方散乱による影響は3〜5μm程度の範囲となる。どちらもガウシャン分布をしているので、実際にレジストが受ける要因、いわゆる解像度の阻害成分となる要因は図8(a) に示すように前方及び後方散乱の和となる。ただし、レジストが解像するか否かは、図8(b) に示すように、露光量が境界値(閾値ともいう)を越えるか否かによるので、パターンの縁部はその境界値が存在する位置によって決まる。なお、境界値を越える場合には解像することになる。
【0054】
一般に、荷電粒子が照射される部分のパターン同士が近いほど互いの近接効果による荷電粒子(露光量)が重なりあってそれらのパターンが一体化するようになる。例えば、図9に示すように、4μm間隔で分離された開孔部42,43を矩形状の電子ビーム遮蔽パターン44の周囲に架橋部41を介して2列に配置したものを露光マスクに使用して露光すると、特に図示しないが、レジストには近接効果により2つの開口部42,43が一体化したパターンが形成される。しかし、このように開孔部42,43を2列配置すると、例えば図中右側の開孔部42の近接効果が左側の開孔部43の左側にも及んでしまいレジストでのパターン幅が広がって寸法精度が低下するので好ましくない。
【0055】
したがって、上記したように島状或いは半島状のパターンを複数の開孔部によって囲む場合には、近接効果を考慮して開口部を並列に配置してはいけない、という条件が必要となる。
【0056】
ところで、図10に示すように、近接効果によってレジストで解像しないように露光マスクの架橋部51の幅を決めている。近接効果は、開孔部52のうちの架橋部51が存在しない側にも生じるので、EBレジストでは開孔部52に対応するパターンの幅に太り分(シフト分)W21が生じる。また、露光マスクの架橋部51では、その前後にある2つの開孔部52の近接効果の相乗効果によって露光量が多くなりやすい。したがって、架橋部51の幅Wを、開孔部52の太り分W21の2倍よりも僅かに大きくしても架橋部51はレジストでは解像せず、パターンとして現れないはずである。
【0057】
例えば、EBレジストにおいて近接効果による開孔部52の太り分W21を0.02μmとし、露光したいパターンの幅を0.15μmとすると、両側へのシフト分を考慮して開孔部52の幅Wを0.11μmとすればよい。この場合、架橋部51の幅Wを少なくとも0.04μmとして露光すれば、その架橋部51はパターンとして現れないことになる。
【0058】
この論理に従って露光マスクを作ってレジストを露光したところ、荷電粒子が照射された領域の開孔部52に対応するパターン幅が0.15μmとなったところで架橋部51に対応するパターンは消えずに残っている。さらに、架橋部51が解像されないように露光量を増やしていったところ、開孔部52のパターン幅Wは0.20μmとなり、予測よりも0.05μmの太りが生じた。
【0059】
これにより、論理的条件のみによって開孔部のパターン幅を決めることは困難であることがわかったので、架橋部51が消える場合のパターンの太りW21を予め調査し、そのデータに基づいて開孔部(ビーム透過孔)52の幅Wを小さくする方向(オフセットする方向)に設計する必要がある。例えば、そのオフセット量は、開孔部52の太り分W21を架橋部51の幅W以上の長さにする。
(3)本発明の実施例の露光マスクにおける電子ビーム遮蔽領域の四隅の形状
既に説明したが、複数の開孔部を2方向(例えば縦方向と横方向)に配置する場合に、2つの方向のうちの交差部分に存在する開孔部を十字状に形成すると、近接効果の影響が他の部分よりも多くなって、露光量オーバーとなり、開孔部に囲まれた矩形状領域の角の部分がレジストでは角がとれて丸くなってしまう。逆に、交差部分に透過孔を設けないと(又は透過孔を設けても小さ過ぎると)、隣接する矩形状領域のレジストパターンは、互いに接触し合おうとして図1(b) のようにコーナー部分が鋭角になってしまい、所望するパターンの形成が困難になる。そこで、その交差部分では、その中心部分にビームを透過させる適当な大きさの孔を設けることが必須となる。
【0060】
露光マスクに島状パターンを3つ以上隣合って配置する場合に、露光マスクで非透過孔部分が近接しあういわゆる交差点部分の中心には、図4(a) に示すようなビーム透過孔部を設けることを特徴とする。
(4)本発明の実施例の露光マスクの1ショットにおける開孔部の面積
露光マスクを使用して実際に露光する場合には、通常の露光領域に対して若干の露光量を多くして露光を行う。架橋部をEBレジスト上で消してしまうのは、近接効果によるものであるが、交差領域以外の開孔面積をほぼ一定にしておかないと近接効果の影響がばらついてしまい、結果的にある部分はオーバーぎみに露光されたり、全体に寸法精度がでなかったりして、意図したパターンが得られなくなる。
【0061】
そこで、露光マスク上のパターンのうち、レジストでの露光部分に相当する開孔部(ビームが抜けてくる部分)の各々、即ち架橋部と架橋部の間にある個々の開孔部は1回のビーム照射範囲内(1ショットの大きさ内)において、略同一の開孔面積にする必要がある。
また、マスクのパターンのうち、レジストで露光されない部分に相当する個々の架橋部(ビームの陰りとなる部分)の幅は、1回のビーム照射範囲内で略同一の幅にする必要がある。
(第2実施例)
(1)上記した第1実施例の露光マスク(ブロックマスクともいう)では、島状又は半島状のパターンを囲む開口部を複数の梁(電子ビーム遮断領域)で分割して、それらのパターンが露光マスクから抜け落ちないようにしている。梁によって開口部を分割する技術については、島状又は半島状のパターンの周囲の開口部に適用する他に、図11(a) に示すように、露光マスク60に形成される1つの矩形状の開口パターン61の内部に適用してもよい。即ち、所定位置の開口パターン61を透過する電子の量が多くなることもあるので、開口パターン61内を梁(電子ビーム遮断領域)62で複数に分割することによってその内部を透過する露光量(電子ビームの電流量)を低減させることが可能になる。この場合の梁62の幅は、第1実施例と同じようにレジストに解像しない程度に小さくする必要がある。
【0062】
ところが、1つの開口パターン61を透過してレジスト(不図示)に照射された荷電粒子(電子強度)の分布が近接効果によって異なってくることがある。即ち、図11(b) に示すように、開口パターン61のエッジ及びその周辺では、他の領域に比べて荷電粒子の量が低減する。これは、近接効果によって開口パターン61の外側から進入する荷電粒子が少ないからである。
【0063】
開口パターン61のエッジを透過した電子強度が、図11(b) に示すような解像境界値よりも大きくならない場合には、レジストに形成されるパターンが狭くなってしまう。
そこで、この実施例では、開口パターン61のエッジ及びその周辺に対応するレジストの領域(図11(a) の破線で囲んだ領域)に局所的に電子ビームを照射して、レジストの電子強度を補正することにした。このような局部的な電子ビームの照射を、以下に補助露光又は傾斜補助露光という。補助露光は、開口パターン全体を露光する前か後に行う。
【0064】
補助露光を行うことによって、図11(c) に示すように、開口パターン61のエッジ及びその周辺の領域の荷電粒子を局部的にかつ適正な量で増加させ、これにより、開口パターン61の潜像が精度良くレジスト(不図示)に転写されることになる。
傾斜補助露光は、露光マスクの開口パターン61内を梁62で分割しない場合にも必要になってくる。開口パターン61においては梁62が無い場合にも、そのエッジ及びその周辺では荷電粒子の分布が小さくなるからである。
【0065】
そこで、内部に梁のない開口パターンを有する露光マスクを使用する場合を例に挙げてその補助露光について詳細に説明する。
(2)図12は、シリコン板よりなる露光マスクに形成された矩形状の開口パターン61Aを示している。その開口パターンはKx ×Ly の大きさとする。
このような開口パターン61Aは1ショットの電子ビームによって露光されるが、パターンを精度良く形成するためには、上記したような補助露光が必要となる場合がある。以下にその補助露光のための露光マスクの形成方法を説明する。
【0066】
まず、図12の破線に示すように、開口パターン61Aとその周辺を格子状の仮想線によりに複数の領域X11〜X43に区分する。開口パターン61Aの縁部と仮想線とは重なっても、重ならなくてもよい。区分された1つの領域は1つの矩形状ブロックであり、黒丸a〜tは矩形状ブロックの4つの頂点を示す。矩形状ブロックの少なくとも3つの頂点は隣の矩形状ブロックの頂点と重なっている。また、矩形状ブロックは、当然のことながらKx ×Ly よりも小さくなる。
【0067】
このように矩形状ブロックにより開口パターン61A及びその周辺を区分した後に、各頂点a〜t毎に反射電子強度を計算する。
近接効果によって生じた反射電子強度は、例えば図13(a) に示すようになっている。なお、図13(a),b)においては、図12のように区分された3つの領域X22,X32, X42の反射電子強度と、それらの領域の中央において照射された電子ビームの電子強度を示している。
【0068】
このような計算結果から、図13(a) に示すように、開口部パターン61Aの縁部近傍では反射電子強度が傾斜するように減少することがわかる。
各矩形状ブロックの頂点の反射電子強度を求めた後に、各矩形状ブロック毎に電子反射強度の減少の変化を求める。
まず、分割された各領域(矩形状ブロック)X11〜X43において、反射電子強度が2種類に分かれるか、3種類以上に分かれるかを判断する。
【0069】
2種類に分かれる場合とは、1つの矩形状ブロックの4つの頂点での反射電子強度が2つの大きさに分けられることをさしている。そして、この場合には、同じ大きさの反射電子強度を有する頂点を結ぶ2つの直線(例えば領域X42においてL,L)が平行になる場合だけを考え、それ以外には補助露光用のパターンを形成しないことにする。そして、それらの2つの直線に直交する方向で、反射電子強度の異なる2つの頂点間の反射電子強度の傾きAを求める。反射電子強度の変化率(傾きA)は、反射電子強度の差を頂点間の距離で割った値である。
【0070】
一方、3種類以上に分かれる場合とは、矩形状ブロックの4つの頂点の反射電子強度が3つ又は4つの大きさに分けられことをさす。この場合には、最大値と最小値の反射電子強度の2つの頂点を選択し、それらの反射電子強度の差を頂点間の距離で割って反射電子強度の変化率(傾きA)を求める。例えば、図12の矩形状の領域X43では反射電子強度は3種類以上に分かれ、反射電子強度の最大値と最小値が領域X43の対角線上にあるとすると、その対角線上の反射強度は概ね図14(a) のような分布となる。
【0071】
ところで、反射電子強度が2種類に分かれる場合、3種類以上に分かれる場合のそれぞれの反射電子強度の変化率はともにともに次の式▲1▼で求まる。ただし、2つの頂点において大きい方の反射電子強度をRmax 、小さい方の反射電子強度をRmin とし、また2つの頂点間の距離をBとする。
A=(Rmax −Rmin )/B …… ▲1▼
傾斜補助露光用のマスクはシリコン板からなり、そのシリコン板には、上記したように反射電子強度が二種類に分かれる領域(例えばX42)と三種類以上に分かれる領域(例えばX43)にそれぞれ以下に述べるような複数の孔が形成される。
【0072】
補助露光用のマスクは、図15に示すように、図12の矩形状の領域に対応した領域に矩形状の孔を複数個有している。それらの孔は、図14(a) に示したような反射電子強度の傾斜をほぼ零にするように開口面積が異なっている。例えば図12、図14(a) において最も傾斜補助露光が必要となるRmin の頂点Bに対応する部分の孔の面積を最も大きくし、Rmax の頂点Oに対応する部分の孔の面積を最も小さくする。また、それらの2つの孔の間には、傾斜Aに比例して面積を変化させた複数の孔を配置する。これにより、補助露光用のマスクでは、頂点Bの近傍では最も多くの電子が透過する一方で、頂点0の近傍では最も少なく電子を透過させることになる。
【0073】
補助露光用のマスクの1つの矩形状の領域において最小の孔の面積を1とし、最大の孔の面積をSとし、露光量(電子ビームの電流値)をRとすると、次式▲2▼の関係にあれば、反射電子強度の低下を抑制する露光量が得られる。
SR+Rmin =R+Rmax …… ▲2▼
これから最大の孔の面積Sは、次式▲3▼によって求まる。
【0074】
S=〔(Rmax −Rmin )/R〕+ 1 ……▲3▼
また、最小の孔と最大の孔の間の領域において、最小の孔からDだけ離れた孔の面積Sx は式▲4▼で求められる。
Sx =(AD/R) + 1 ……▲4▼
このような計算は、反射露光強度が2種類に分けられる領域と、3種類以上に分けられる領域について個々に行う。
【0075】
以上のような関係から、図12の開口パターンを形成するための露光マスクに使用する補助露光用のマスク60Aは図15に示すようになる。即ち、図12の領域X43に対応する領域Y43には右下のような矩形状の孔64a〜64eを複数形成し、また領域X42に対応する領域Y42には左下のように大きさが変化した矩形状の孔65a〜65eを複数形成し、さらに、図示しないが他の領域Y11〜Y13、Y21、Y23、Y31、Y33、Y41にも孔を複数形成する。ただし、開口パターン61Aの中央の領域X22,X32では4つの頂点の反射電子強度が同じなので、図15に示す中央の2つの矩形状の領域Y22、Y32では補助露光が不用となって補助露光用の孔は形成されない。なお、補助露光は荷電粒子量が少ないので、これだけでは解像されない。
【0076】
このような補助露光用のマスク63を使用すると、図14(a) の反射電子強度分布を有するレジストには図14(b) に示すような補助露光がなされる。この結果、レジストの電子強度分布は、図13(a) の状態から図13(b) の状態へと補正され、開口パターン61Aの縁部とその周辺に対応する領域の反射電子強度の傾斜がほぼ平坦になる。これにより開口パターン61Aのエッジ部分の電子強度が解像境界値よりも大きくなって適正な露光量となり、補助露光が加わったレジストのパターンの精度が向上する。補助露光は、開口パターンを露光する前であっても後であってもよい。補助露光は、図7に示すような構造を備えた電子ビーム露光装置を使用して行われる。
【0077】
なお、補助露光を行う領域において、反射電子強度が最も大きい部分に露光量Rで補助露光されるので、開口パターン61Aを露光する場合にはその露光量Rだけ小さい露光量とする必要がある。
以上のような補助露光は、部分的に行われるので、電子ビームの照射時間も短く問題になるほとスループットを低下させることはない。また、補助露光用のマスクは、孔を有するだけなので、強度が低下することはなく、丈夫である。さらに、補助露光は、大きさの異なる孔を有しているので、1ショット内でも露光量の分布を変えることができ、パターン精度が良くなる。
【0078】
なお、四角以外の開口パターンをレジストに転写する場合であっても、傾斜分布のある電子ビームを用いてその開口パターンのエッジとその周辺の領域を補正露光してもよい。
上記した反射強度を求める方法の一例を次に説明する。
まず、矩形面積A矩形分解して求めた露光面積比率Sを基にして各計測点と各矩形の中心の距離rを測り、ついで以下の式によって求める。
【0079】
ある計測点における反射電子強度ηは、次式で表される。
【0080】
【数1】
Figure 0003544235
【0081】
(a,b,c,dはレジストの種類や膜厚等の条件によって決まる定数)
(第3実施例)
ポジレジストにレジストパターンを形成する場合に、レジスシストを残さないい領域では、電子ビームを照射して荷電粒子により塗り潰す必要がある。しかし、大きな径の電子ビームでその領域を塗りつぶす場合にはクーロンインターラクションによってパターンが形成される領域に電荷粒子が広がることがあるので、これを防止することが必要になる。
【0082】
そこで、荷電粒子を塗り潰す領域に、第1実施例のような梁を形成して複数に区分することが考えられるが、その梁によって区分する領域が広い場合には、図16(a) の電子強度分布に示すように、クーロンインターラクションによる周囲への悪影響がある。しかし、梁によって区分する領域が狭い場合には電子ビームの電流密度が同じであっても、図16(b) に示すように、荷電粒子を照射した領域からのクロスインターラクションによる周囲への影響は殆ど見られない。
【0083】
図17は、レジストからマトリクス状に形成される島状パターン71を示し、各島状パターン71は溝72によって区分され、また島状パターン71の集合領域の周辺にはパターンを形成しない領域(パターン非形成領域)73が広く存在している。図17の島状パターン71を形成するために、本実施例では図18のような開口パターンの有る露光マスクを使用する。図18の露光マスクは、ポジ型レジストをパターニングするために使用される。
【0084】
図18中符号74は、第1実施例で説明したような梁(荷電粒子遮蔽領域)75により区画された開口部77に囲まれた島状パターンであり、マトリクス状に複数配置されている。複数の島状パターン74は梁75によって互いに繋げられている。島状パターン74の集合領域の回りには、矩形状の小さな孔77がマトリクス状に配置され、その孔77を仕切る梁(荷電粒子遮蔽領域)78は解像しない程度の幅を有している。
【0085】
マトリクス状の孔77の大きさは次のようにして決定される。
まず、複数の島状パターン74を形成する領域(以下にパターン形成領域という)を第2実施例のように1ショットで電子ビームが照射される大きさの矩形状の領域に複数に区分し、各矩形状の領域毎に露光面積比を求める。露光面積比は、その矩形状の領域において電子ビームを通過させる総面積を矩形の領域の面積で割った値(電子ビーム照射面積/矩形状の領域の面積)である。
【0086】
次に、パターン周辺領域においては、パターン形成領域の周辺の露光面積比と等しくなるか、これに近い値になるような露光面積比でマトリクス状の孔77の大きさとピッチを決定する。この場合の近い値というのは、露光工程において複数の孔77を透過した荷電粒子がポジ型レジストに照射された場合に、マトリクス状の孔77がレジストに解像されず、しかもその領域のレジストが現像により完全に除去される露光量が得られる値のうちで最もパターン形成領域の周辺の露光面積比に近い値をさす。
【0087】
例えば、次に説明する図19(a)での露光面積比の範囲が14.5%、(b)での露光面積比は36%である。ただし、図19(a)と(b)では図21で示すように露光量が異なる。
ここで、島状パターン74とそのパターン形成領域外側の複数の孔77のそれぞれの大きさの一例を示す。図19(a)〜19(c)に露光マスクの一例を説明する。これらの図に記入した寸法は一例であり、レジストには例えば、1/100に縮小される。
【0088】
図19(a) に示すように、1μm×1μmの矩形状の領域に2つの島状パターン74が形成されるとともに、2つの島状パターン74の一側と上端にそれぞれ幅0.05μmの開口部形成領域79が存在する。また、図19(b) に示すように、1μm×1μmの矩形状の領域に梁78に囲まれた孔77がマトリクス状に100個形成されている。その孔77は、図19(c) に示すように、0.06μm×0.06μmの矩形状の大きさを有し、その周辺には0.1μm×0.1μmの範囲で梁78が枠状に形成されている。なお、孔77と孔77の間の梁78は0.04μmの幅を有しているが、この程度の大きさでは梁78はポジ型レジストには解像しない。
【0089】
ところで、露光マスクの開口部の面積と電子ビームの電流量の関係を示すと図20のようになり、開口部を通る電流量は開口部の面積が増えるとともに増加することがわかる。その開口部に梁を形成しない状態(全開口)での開口部を通る電流量を1とすると、その開口部を図19(b) のような梁で仕切って多数の孔77を形成した場合にはその孔77を通る電流量は1/3〜1/4になっていることがわかる。なお、全開口の場合に比べて電子ビームの1ショットの露光時間を長くする必要がある。
【0090】
なお、上記した説明では図18に示すように島状パターン74とマトリクス状の孔77を1つの露光マスクに形成しているが、それらを別々の露光マスクとしてもよい。
以上のような露光マスクを使用してポジ型レジストを露光する。露光の場合には、パターン形成領域の周辺に近い部分の露光面積比とパターン形成領域の外部の露光面積比とが異なる場合には、それらの露光量を相違させて近接効果の補正を行う。露光量は、実験によって定めた値とする。
【0091】
例えば、図21に示すように、パターン形成領域80のエッジから4μm内側の領域での荷電粒子のドーズ量を7.3μC/cmとし、それからさらに中央寄りの領域での荷電粒子のドーズ量を7.8μC/cmとする。また、パターン形成領域80の外側の領域81には6.8μC/cmのドーズ量となるように荷電粒子を照射する。
【0092】
このようなドーズ量で、図18のパターンを有する露光マスクを使用してポジ型レジストを露光し、過現像したところ、図22の写真に見られるような結果が得られた。露光は、図7に示すような露光装置を使用した。図22中黒い部分がレジストパターンである。
パターン形成領域の外側寄り島状パターンを拡大して写真観察したところ、図23(a) に示すような結果が得られ、良好な形状の島状パターンが得られた。また、パターン形成領域の中央寄りの島状パターンを拡大して写真観察したところ、図23(b) に示すような結果が得られた。なお、電子ビームの線幅は約1.4μmとした。
【0093】
これに対して、パターン形成領域80の外側の領域81を露光する際に、図19(b) に示すようなマトリクス状の孔77を有しない露光マスクを使用し、しかも、露光量を変化させない場合には図24に示すような結果が得られ、パターン形成領域の外側寄り島状パターンの一部が消失し、しかも、図25(a) に示すように、島状パターンが細くなっていることが分かった。また、パターン形成領域の中央寄りの島状パターンには細りは生じないものの、島状パターン同士の間隔が狭く、しかも島状パターン同士の一部が繋がっている領域も存在した。
【0094】
以上のことから、電子ビームでレジストの広い領域を塗りつぶす場合に、本実施例のようなマトリクス状に配列された孔を有する露光マスクを使用すると、クーロンインタラクションが少なく、パターンへの悪影響を大幅に抑制することができた。しかも、その露光マスクは、シリコン基板に孔77を開けるだけなので、プロセス的にも簡単に形成でき、しかも丈夫である。また、この露光マスクにおいて、ある単位面積当たりの露光量が均一になるようにパターン形成領域に対して孔77の大きさや位置を決めてやれば、反射電子強度を無視してもよい。なお、マトリクス状の孔を有する露光マスクを使用する場合には、1回の電子ビーム照射で十分でありスループットを低下させることはない。
【0095】
本実施例ではポジ型レジストの露光について説明したが、クロスインタラクションを抑えるという意味においてはネガ型レジスト露光にも本実施例を適用することができる。
【0096】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、電子ビーム遮蔽パターンと、前記荷電粒子遮蔽パターンの周縁に沿って梁を挟んで一列に配置された複数の開孔部とを露光マスク内に有しているので、この露光マスクによれば、開孔部間に存在する梁(架橋部)のパターンは、露光に際してレジストで解像されることなく消滅し、しかも、開孔部の太りは孤立した開孔部による近接効果から容易に予測され、パターン精度を良くすることができる。
【0097】
また、梁がパターンとして解像されない場合の開孔部の太り分を狭くしてその開孔部の幅を決めるようにしているので、パターン精度をさらに向上できる。
別の本発明によれば、レジストに形成される潜像パターンのうち反射電子強度が傾斜する領域に、反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分布の荷電粒子を照射するようにしているので、反射電子強度分布の減少によって露光不足となる領域に解像に必要な強度の荷電粒子が存在し、精度の良い潜像パターンをレジストに形成できる。
【0098】
また、分布の異なる荷電粒子を照射する場合には、透過量に比例した開口面積を有する複数の孔を有する露光マスクを使用しているので、1ショットの電子ビームでも電子強度分布の不均一な荷電粒子をレジストに容易に照射することができる。
さらに、そのような露光マスクを形成する場合に、レジストに形成しようとするパターンを複数の矩形状の領域に区分して、その矩形状の領域の4角毎に反射強度を求め、それらを比較して反射電子強度の変化の有無を選択しかつ変化率を求め、その変化率に比例した孔を露光マスクに形成するようにしているので、露光マスクの孔の大きさや配置を比較的容易に決定できる。
【0099】
さらに別の本発明によれば、マトリクス状に複数形成した孔を有する露光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成領域を露光するようにしたので、パターン非形成領域の露光量を小さくして、隣設するパターン形成領域への露光による近接効果を抑制でき、精度良いパターンをポジ型レジストに形成できる。この場合、パターン形成領域の露光量とパターン非形成領域の露光量を異ならせることによってさらに精度良いパターンを形成することが可能になる。
【0100】
また、マトリクス状に複数形成した孔を有する露光マスクは、露光領域の全体を複数に区画し、それらの区画された領域における露光量面積比を基準にして孔の大きさやピッチを決定しているので、パターン非形成領域の荷電粒子密度をパターン形成領域の外側寄りの荷電粒子密度に等しく又はこれに近づけることができ、その露光マスクを使用する場合にパターン形成領域の過露光の判断が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実験に際して用いた第1の露光マスクを示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジストパターンの平面状態を示す写真である。
【図2】本発明の実験に際して用いた第2の露光マスクを示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジストパターンの平面状態を示す写真である。
【図3】本発明の一実施例に係る第1の露光マスクを示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジストパターンの平面状態を示す写真である。
【図4】本発明の一実施例に係る第2の露光マスクを示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジストパターンの平面状態を示す写真である。
【図5】本発明の一実施例に係る第3の露光マスクを示す開孔パターンの平面図とその露光結果を示すレジストパターンの平面状態を示す写真である。
【図6】本発明の一実施例の第4の露光マスクを示す開孔パターンの平面図である。
【図7】本発明の一実施例に係る露光マスクを使用する露光装置の概要構成図である。
【図8】本発明に使用する電子ビームの近接効果を示す露光量分布図である。
【図9】本発明の比較のために使用する露光マスクの平面図である。
【図10】本発明に係る露光マスクの梁の幅とパターンの太りの関係を示す平面図である。
【図11】図11(a) は、本発明の第2実施例の電子ビーム露光方法に使用する露光マスクの第1例と補助露光領域を示す平面図、図11(b) は、補助露光がされない場合のレジストの電子強度分布図、図11(c) は、補助露光がされた場合のレジストの電子強度分布図である。
【図12】図12は、本発明の第2実施例の電子ビーム露光方法に使用する露光マスクの第2例と、これを仮想線によって複数の矩形状の領域に分割した状態を示す平面図である。
【図13】図13(a) は、図12の露光マスクを使用して露光されたレジストの電子強度分布図、図13(b) は、図13(a) に補助露光を行った場合のレジストの電子強度分布図である。
【図14】図14(a) は、図12の露光マスクを使用して露光される場合のレジストの反射電子強度の変化を示す電子強度分布図、図14(b) は、補助露光により照射される電子強度の分布図である。
【図15】図15は、本発明の第2実施例の電子ビーム露光方法に使用される補助露光用マスクを示す平面図である。
【図16】図16(a) は、電子ビームが照射された領域の周辺のボケを示す電子強度分布図、図16(b) は、電子ビームが照射された領域にボケが無い状態示す電子強度分布図である。
【図17】図17は、レジストに形成しようとするパターンの一部を示す平面図である。
【図18】図18は、本発明の第3実施例に使用する露光マスクの一部を示す平面図である。
【図19】図19(a) は、図18に示した島状パターンの大きさの一例を示す平面図、図19(b) は、パターン非形成領域に配置するマトリクス状の孔の大きさの一例を示す平面図、図19(c) は、図19(b) の孔とその周辺の梁を示す拡大平面図である。
【図20】図20は、開口面積と露光マスクを透過する電流量との関係を示す特性図である。
【図21】図21は、図18に示した露光マスクのうちの荷電粒子の分布を示す平面図である。
【図22】図22は、本発明の第3実施例の露光マスクを使用して露光工程を経て形成されたレジストパターンを示す写真である。
【図23】図23(a) 及び(b) は、図22の写真に移ったパターンを部分的に拡大した撮った写真である。
【図24】図24は、本発明の第3実施例の露光マスクを使用しない露光工程を経て形成されたレジストパターンを示す写真である。
【図25】図25(a) 及び(b) は、図24の写真に移ったパターンを部分的に拡大した撮った写真である。
【図26】従来の露光マスクのパターンを示す平面図(その1)である。
【図27】従来の露光マスクのパターンを示す平面図(その2)である。
【符号の説明】
1、11、44 非露光領域
2、14、15、24、25、41、51 架橋部(梁)
3、4、5、12、13、22、23、42、43、52 開孔部
60、60A 露光マスク
61、61A 開口パターン
62 梁(電子ビーム遮断領域)
63 補助露光用マスク
64a〜64e 孔
65a〜65e 孔
71 島状パターン
72 溝
73 パターン非形成領域
74 島状パターン
75 梁(荷電粒子遮蔽領域)
76 開口部
77 孔
78 梁
79 露光領域

Claims (6)

  1. 第1の荷電粒子の照射によってレジストに形成される潜像パターンのうち反射電子強度分布が傾斜する領域に、複数の孔を備えた露光マスクを使用することにより、前記反射電子強度分布の傾斜を平坦化する分布で第二の荷電粒子を照射する電子ビーム露光方法であって、
    前記反射電子強度が低い部分の前記孔の開口面積を、前記反射電子強度が高い部分の前記孔の前記開口面積よりも大きくすることを特徴とする電子ビーム露光方法。
  2. 1ショットの荷電粒子が照射される領域に、解像されない幅の電子ビーム遮断領域を介して隣設される複数の孔を有し、前記領域の内側ほど前記孔の開口面積が小さくなることを特徴とする電子ビーム露光用マスク。
  3. レジストに形成しようとするパターンとその周辺を該パターンよりも小さな複数の矩形状の領域に区分する工程と、
    前記パターンをレジストに露光する場合に生じる反射電子強度を前記矩形状の領域のそれぞれの頂点毎に求める工程と、
    各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度を比較して、前記反射電子強度が2つに分けられ且つ同じ前記反射電子強度となる頂点を結ぶ線が平行になる前記矩形状の領域を第1の領域として選択し、異なる前記反射強度を有する第1及び第2の頂点間の前記反射強度の第1の変化率を求める工程と、
    各前記矩形状の領域の4つの頂点での前記反射電子強度を比較して、前記反射電子強度が3つ又は4つに分けられる前記矩形状の領域を第2の領域として選択し、前記反射電子強度の最大値と最小値となる第3及び第4の頂点間の前記反射電子強度の第2の変化率を求める工程と、
    前記第1及び第2の頂点のうち前記反射強度の大きな前記第1の頂点を最小の開口面積とし、前記第2の頂点を最大の開口面積とし、前記第1の頂点と前記第2の頂点の間に前記第1の変化率の割合で開口面積が変化する複数の孔を前記第1の領域が区画された基板に形成する工程と、
    前記第3及び第4の頂点のうち前記反射強度の大きな前記第3の頂点を最小の開口面積とし、前記第4の頂点を最大の開口面積とし、前記第3の頂点と前記第2の頂点の間に前記第2の変化率の割合で開口面積が変化する複数の孔を前記第2の領域が区画された基板に形成する工程と
    を有することを特徴とする電子ビーム露光マスクの製造方法。
  4. マトリクス状に複数形成した孔を有する露光マスクを使用してポジ型レジストのパターン非形成領域を露光することにより、現像の際に該パターン非形成領域にある該ポジ型レジストを除去する量の荷電粒子を該パターン非形成領域に付与することを特徴とする電子ビーム露光方法。
  5. 前記ポジ型レジストの前記パターン非形成領域の露光と、前記パターン非形成領域に隣設するパターン形成領域の露光は、露光量を異ならせて行われることを特徴とする請求項4に記載の電子ビーム露光方法。
  6. 露光領域の全域に対して1ショットの電子ビームを照射する領域内を単位として該露光領域を複数の区画に区分し、
    各区画毎に露光面積を区画面積で割った露光面積比を求め、
    前記露光領域において、パターン形成領域の外にあるパターン非形成領域の前記露光面積比が、前記パターン形成領域の外周近傍の第1の領域の前記露光面積比と同じか、現像処理を経た後にポジ型レジストが残らない範囲内で最も該第1の領域の前記露光面積比に近い値となる大きさとピッチで、マトリクス状に孔を複数配置する工程を有することを特徴とする露光マスクの製造方法。
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