JPH07309977A - ゴム加硫物の製造法 - Google Patents

ゴム加硫物の製造法

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JPH07309977A
JPH07309977A JP7015337A JP1533795A JPH07309977A JP H07309977 A JPH07309977 A JP H07309977A JP 7015337 A JP7015337 A JP 7015337A JP 1533795 A JP1533795 A JP 1533795A JP H07309977 A JPH07309977 A JP H07309977A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 硫黄/オレフィン付加物より成る加硫剤を用
いて良好な物性、特に耐ブルーム性に優れたゴム加硫物
を製造する。 【構成】 ポリイソプレン天然ゴム、ヘキサメトキシメ
ラミン、遅延剤、酸化防止剤、酸化亜鉛、促進剤、第二
促進剤、及び硫黄とジシクロペンタジエンとスチレンと
のカルボキシメチルセルロース(分散剤)及び炭酸カル
シウム(触媒)の存在下における水中での反応生成物で
ある付加物(加硫剤)をバンバリーミキサー中で混合す
ると、加硫剤が良好に分散、混入されたゴムコンパウン
ドが得られる。このゴムコンパウンドをゴムプレス機で
150℃において40分間硬化させて耐ブルーム性に優
れた加硫ゴムを得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は新規な加硫剤を使用して
改良された物性を有するゴム加硫物を製造する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】ゴムストック中に元素状硫黄を均一に分
散させることはゴム工業にとって重大な問題で、ずっと
大きな注意がはらわれてきた問題である。ゴム中の硫黄
の分散不良が原因となる問題に、“ブルーム”と一般に
称される硫黄がゴムストックの表面へマイグレーション
する問題、ゴムストックの表面において粘着性が低下す
に問題、バッチ毎に加硫物の物性が変化する問題、その
他がある。
【0003】硫黄の含有レベルが高いコンパウンドの場
合、未加硫ゴムの表面における硫黄のブルームによる問
題が起こる可能性がある。この硫黄表面層は結晶化し、
粘着性の発現を失わせる。これはタイヤの製造に問題を
引き起こす可能性がある。
【0004】硫黄のブルーム傾向を最少限に抑えるのに
標準的なゴム加工技術を修正した多数の方法が用いられ
てきた。これら従来技術の方法論はコンパウンド中で不
溶性硫黄を使用する;硫黄の添加段階中はコンパウンド
の混合温度を制限するようにする;及びコンパウンドが
加工中に暴露される熱履歴を最少限に抑えるようにする
というものである。
【0005】不溶性硫黄は159℃より高い温度(好ま
しくは200〜250℃)にある溶融硫黄を急冷するこ
とによって形成される。この生成物は主として長鎖硫黄
分子とそれより少量の可溶性S8 リング化合物とから成
る。長鎖分子はより高温、長い貯蔵時間及び/又は悪い
(hostile)貯蔵環境にさらされるとより安定な
可溶性形態に戻る傾向がある。
【0006】市販の不溶性硫黄製品はこの傾向を低下さ
せる安定剤を含有している。不溶性硫黄がゴムコンパウ
ンドに混入されると、それはゴム相の中で多少は色々な
サイズを持つばらばらの粒子として存在する。約118
℃より高い温度で可溶性形態への実質的な転換が起こ
り、これには硫黄のブルームが伴う。
【0007】多年にわたって取られてきた1つのアプロ
ーチは硫黄を非共役ジエンと結合させようと言うもの
で、これによってゴムとの相溶性が高められると考えら
れている。この高分子構造はまた硫黄鎖の安定性を改良
し、加硫温度で架橋を起こすために硫黄を容易に放出さ
せるようにする通常の貯蔵、加工温度における可溶性S
8 単位への分解に抗するようになる。
【0008】英国特許第1,232,056号明細書
は、3〜50重量部の硫黄と1重量部の共役ジオレフィ
ンとを触媒量のアミン、例えばジメチル−置換三級アミ
ンの存在下で100〜250℃の温度において一緒に加
熱することから成る天然ゴム及び合成ゴム用の加硫剤の
製造法を開示する。
【0009】米国特許第2,989,513号明細書
は、天然エラストマー又は合成エラストマー、及びスチ
レン、α−メチルスチレン、ブテン、イソブチレン、ジ
イソブチレン、トリイソブチレン、エチレン及びプロピ
レンから選ばれるオレフィン系炭化水素と硫黄とのイン
ターポリマー少なくとも1種から成る、前記ゴムの重量
を基準として約1〜12重量%の硬化剤から成るゴム組
成物を開示する。
【0010】米国特許第3,544,492号明細書
は、1種又は2種以上のオレフィン系物質と、活性化さ
れた末端不飽和及び硫黄を含有する3個の基で置換され
たS−トリアジンとの反応で形成された樹脂状組成物で
ある改良された硬化剤を開示する。
【0011】米国特許第3,264,239号明細書
は、硫黄、アマニ油及びジシクロペンタジエンの混合物
を調製し、得られた混合物を125〜135℃で少なく
とも5時間加熱してインターポリマーを形成し、そして
そのインターポリマー生成物を冷却、単離することから
成る方法及び加硫剤を開示する。
【0012】米国特許第3,523,926号明細書
は、共役ジオレフィンを硫黄と一緒に触媒量のアミンの
存在下で加熱することによって製造されるゴム用加硫剤
を開示する。
【0013】米国特許第4,564,670号明細書
は、粒状硫黄を液状のポリ(シス−イソプレン)分散剤
に分散することによって形成した分散硫黄生成物につい
て記載している。この生成物は液状のポリ(シス−イソ
プレン)分散剤と過半量の硫黄とを目的の生成物が得ら
れるまで単に混合するだけで形成させることができる。
【0014】カナダ特許第965,231号明細書は、
可溶性硫黄を約70重量%以下含有する不溶性硫黄を硫
黄の全重量基準で約0.3〜5重量%の、特定の群のア
ルキル−フェノキシポリ(エチレンオキシ)−エタノー
ル化合物から選ばれる分散助剤と混合することから成る
不溶性硫黄のゴム中分散能を改良する方法を特許請求し
ている。
【0015】特公昭57−133135号公報は、トリ
イソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、
モノイソプロパノールアミン又はそれらのブレンドを、
天然ゴム、合成ゴム又は両者の配合ゴムから選ばれるゴ
ム100部にブレンドされた加硫剤としての硫黄2〜1
0重量部から構成されるゴム組成物に添加することを特
徴とする改良された硫黄ブルーム性を持つゴム組成物を
開示している。
【0016】硫黄−オレフィン付加物を製造する従来技
術の方法論の検討から、硫黄とオレフィンとの反応生成
物は粘稠な液体又は固体の物質をもたらし、あるいはも
たらし得ることは極めて明白である。例えば、米国特許
第3,259,598号明細書は、硫黄、アマニ油、ス
チレンの反応生成物はゴムを可硫するのに用いることが
できることを教示する。この反応混合物から得られる生
成物は硫黄−オレフィン付加物の物性に基因して粉砕し
なければならず粉砕後に初めてエラストマーに配合可能
となる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】硫黄をゴム中に均一分
散させることは均一な加硫と、最適の機械的性質を持つ
加硫物にとっての前提条件である一方、従来法の多くの
硫黄−オレフィン加硫用組成物は、硫黄−オレフィン付
加物をゴムの中で使用する前にその付加物について粉砕
又はミリング工程を実施することを必要とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】上記の問題は硫黄−オレ
フィン付加物を、硫黄とオレフィンとを、所望によって
触媒としての塩基及び分散剤を含有する水中で攪拌しな
がら140〜160℃で反応させることによって製造す
る本発明により克服された。従来法は、硫黄、オレフィ
ン、水、塩基及び任意成分としの分散剤を攪拌しながら
120〜200℃に加熱し、その反応混合物を冷却し、
そして硫黄/オレフィン付加物のビーズを濾過すること
を特徴とする硫黄−オレフィン付加物の製造法を開示
も、示唆もしていない。
【0019】水は、硫黄が溶融し、オレフィンと反応し
て粒状形態の付加物を形成することができる媒体として
役立つ。反応混合物を冷却すると、硫黄−オレフィン付
加物は凍結されてビーズ形態になる。水はまた発熱反応
のヒートシンクとしても作用する。
【0020】本願は天然及び合成ゴム用の新規な加硫剤
を開示するものである。この加硫剤は1〜50重量部の
硫黄と1重量部のオレフィン又はオレフィン類とを水性
反応媒体中で塩基性触媒及び分散剤の存在下において1
20〜200℃の温度で攪拌しながら一緒に加熱するこ
とによって製造される。
【0021】本願は更に、i)水とオレフィンとそのオ
レフィン1重量部当り1〜50重量部の硫黄との混合物
であって、オレフィン及び硫黄対水の重量比が1:2.
5〜1:60の範囲である前記混合物を調製し、ii)
その混合物を攪拌しながら120〜200℃に加熱して
加硫剤を形成し、iii)反応混合物を冷却し、そして
粒状加硫剤を単離することから成る加硫剤の製造法を開
示する。
【0022】本願はまた、i)硫黄硬化性ゴムと、この
ゴムに対して0.5〜12重量%の硬化剤であって水、
硫黄及びオレフィンの混合物を任意に塩基性触媒及び分
散剤の存在下で攪拌しながら120〜200℃に加熱す
ることによって製造したその硬化剤とを混合し;次いで
ii)このゴム/硬化剤混合物を加硫することから成る
耐ブルーム性の加硫物の製造法を開示する。
【0023】本願は、また更に、(イ)過半割合の、天
然及び合成のポリイソプレン類、ポリブタジエン類、ポ
リクロロブレン類、イソブチレンとイソプレンとのコポ
リマー類、ブタジエン−1,3とスチレンとのコポリマ
ー類及びブタジエン−1,3とアクリロニトリルとのコ
ポリマー類より成る群から選ばれる有効不飽和を有する
ゴム状物質、及びこのゴム状物質の重量に基いて0.5
〜12重量%の、硫黄と、スチレン、α−メチルスチレ
ン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレン、ジイソブ
チレン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエン、
シクロペンタジエン及びプロピレンより成る群から選ば
れる少なくとも1種のオレフィン系炭化水素との付加物
であって水、硫黄及びオレフィン系炭化水素の混合物を
攪拌しながら120〜200℃の温度で1〜3時間加熱
することによって製造したその付加物を混合し、そして
(ロ)そのゴム状物質−硫黄付加物の混合物を加硫する
ことから成るゴムの加硫物を製造する方法を開示する。
【0024】本発明の加硫物の成分として有用なゴムに
は、天然及び合成の加硫可能のゴム及びジエン類、好ま
しくは炭素原子数4〜8個の開鎖共役ジエンのゴム状ポ
リマー等の有効不飽和を有するゴム状物質がある。本発
明の硫黄−オレフィン付加物から利益を受け得るゴム状
物質の特定の例を示すと、天然ゴム、ポリブタジエン−
1,3、ポリイソプレン、ポリ−2,3−ジメチル−ブ
タジエン−1,3、ポリ−2−クロロブタジエン−1,
3等である。その他の有用なゴムは1,3−ジエンから
重合で得られたもの、又はこれらの1,3−ジエン及び
同様の共役ジエンの相互の、又はこれらジエンと少なく
とも1種の共重合可能のモノマー、例えばイソブチレ
ン、スチレン、アクリロニトリル、メチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、4−
ビニルピリジン等とのゴム状コポリマー、同ターポリマ
ー等の合成ゴムである。高分子ジエンゴムは一般に少な
くとも50重量%のジエン、好ましくは約55〜85重
量%のジエンを含有する。しかし、35重量%以下程度
の少量のジエンしか含有しないコポリマー、ターポリマ
ー、その他の多成分系ポリマーも用いることができる。
更に他のゴム状物質、例えば過半量の共役ジエンとエチ
レン性不飽和カルボン酸との共重合で得られる酸基含有
不飽和ポリマーも本発明の実施において用いることがで
きる。更に他のゴム類、例えばジエンとアルキルアクリ
レートとの共重合で、及びアルキルアクリレートと少な
くとも1種の他の不飽和モノマーとを重合し、次いで加
水分解して形成されるもののようなゴムも用いることが
できる。硬化可能の二重結合、すなわち有効不飽和を有
するゴム状のポリエステルウレタン、ポリエーテルウレ
タン及びポリエステルアミドウレタン、並びに前記ゴム
類から再生したゴムもまた使用することができる。前記
ゴム類の2種又は3種以上の混合物も本発明の加硫物に
おける成分として用いることができる。好ましいゴムは
天然及び合成のポリイソプレン、ポリブタジエン、ポリ
クロロプレン、イソブチレンとイソプレンとのコポリマ
ー、ブタジエン−1,3とスチレンとのコポリマー及び
ブタジエン−1,3とアクリロニトリルとのコポリマー
である。
【0025】本発明により製造される新規な硫黄−オレ
フィン付加物は硫黄と1種又は2種以上のオレフィン系
化合物とのアダクト(adduct)、すなわち付加物
から成る。本発明において有用な特定のオレフィン系化
合物を挙げると、エチレン、プロピレン、ブテン、イソ
ブチレン、イソペンテン、ジイソブチレン、トリイソブ
チレン、ヘキシル−2−デセン−1及びヘプタデセン−
7等のオレフィン系炭化水素;シクロペンテン及びシク
ロヘキセン等のシクロアルケン;ピネン、カンフエン及
びミルセン等の不飽和テルペン;スチレン、ジヒドロナ
フタレン、インデン、α−メチルスチレン等のアラルケ
ン;及びブタジエン、イソプレン、クロロプレン、シク
ロペンタジエン、ジシクロペンタジエン、シクロヘキサ
ジエン、ビニルシクロヘキセン、1,7−オクタジエ
ン、シクロオクタジエン等のポリオレフィン、並びに同
様のオレフィン系化合物があるが、これらに限定される
訳ではない。好ましいオレフィン系化合物はスチレン、
α−メチルスチレン、シクロペンタジエン及びジシクロ
ペンタジエンである。
【0026】本発明の硫黄−オレフィン付加物から成る
硬化剤の製造においては元素状硫黄が用いられる。
【0027】硫黄−オレフィン付加物の形成を促進する
ために触媒を用いてもよいが、触媒は必ずしも必要なも
のではない。硫黄−オレフィン付加物の形成を触媒する
のに用いることができる塩基性物質の代表例には炭酸カ
ルシウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、テトラ
メチルエチレンジアミン等が含まれる。
【0028】硫黄−オレフィン付加物の製造において用
いることができる分散剤の代表例にはポリエチレンオキ
シド、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコ
ール等が含まれる。
【0029】硫黄−オレフィン付加物を形成するための
反応は本発明の利点を達成するために水中で有利に、そ
して必然的に行われる。
【0030】水対硫黄プラスオレフィンの重量比は2.
5:1から60:1まで変えることができる。7:1〜
4:1の重量比が好ましく、そして5:1が最も好まし
い。硫黄対オレフィンの重量比は1:1から50:1ま
で変えることができるが、6:1が好ましい。
【0031】本発明の硫黄−オレフィン付加物から成る
硬化剤は120〜200℃の範囲、好ましくは140〜
160℃の範囲の温度で製造される。最も好ましくは、
反応は少なくとも150℃で行われる。145℃より低
い温度では、もしジビニルベンゼンのような架橋性モノ
マーが反応混合物中でペルオキシドと共に用いられてい
ないならば単離後にビーズが凝集してしまうだろう。反
応は水の沸点より高い温度で行われるから、必然的にオ
ートクレーブのような密閉容器で行われることになる。
【0032】本発明の加硫物は過半割合の単一ゴム状物
質又は2種若しくは3種以上のゴム状物質の混合物と少
割合の単一硫黄−オレフィン付加物硬化剤又はその硬化
剤混合物とを本質的成分として含む。他の適当な配合成
分、例えば強化剤、フイラー、促進剤、可塑剤、酸化防
止剤、老化防止剤、樹脂、染料、着色顔料等もゴム工業
において普通に用いられる量で本発明に開示されるゴム
組成物と共に用いてもよい。
【0033】本発明の硫黄−オレフィン硬化剤は加硫す
べきゴム状物質100重量部当り約0.5〜約12重量
部の範囲で用いるのが有効である。好ましい範囲はゴム
状物質100部当り約1〜約5重量部である。この硬化
剤及び他の適当な配合成分を含有するゴムストックはミ
ル又は他の適当な混合装置、例えばバンバリーミキサー
で混合することができ、また得られるブレンドは約12
0〜約180℃の温度、好ましくは約130〜160℃
の温度で硬化させることができる。
【0034】本発明の加硫物はタイヤトレッド、タイヤ
側壁、カーカス用ストック、V−ベルト、グローブ、靴
のかかと、靴底、印刷機用ローラー、着色ゴム物品にお
いて、及び硫黄のブルームを示さない安定なエラストマ
ーを提供することが望まれるどんな場合にも有用であ
る。
【0035】
【実施例】次の例示実施例において、成分の量は別に記
載がなければ重量部で与えられるものとする。
【0036】加硫剤の製造 従 来 法 比較例1:DCPDと硫黄との反応 温度コントローラー、窒素導入管及び機械的攪拌機を備
えた500mlのフラスコに225gの硫黄、75gの
ジシクロペンタジエン(DCPD)及び3gのN,N,
N′,N′−テトラメチルエチレンジアミン(TMED
A)を入れた。フラスコを窒素でフラッシュし、混合物
を140℃に加熱した。硫黄が溶融したとき攪拌を開始
した。この反応で発熱し、165℃まで昇温し、そして
混合物は25分で攪拌するには粘稠過ぎる状態になっ
た。生成物は165℃で固化し、冷却するとコンクリー
ト様になった。
【0037】比較例2 温度コントローラー、窒素導入管及び機械的攪拌機を備
えた500mlのフラスコに270gの硫黄、30gの
DCPD及び0.6gのTMEDAを入れた。フラスコ
を窒素でフラッシュし、混合物を140℃に昇温し、4
5分間加熱した。その熱い生成物をアルミニウムのパン
に注加したが、最後には固化した。反応フラスコはその
中の生成物を洗い出すことが困難なため捨てた。
【0038】本発明の方法 参考例1 1リットルのオートクレーブに75gの硫黄、25gの
DCPD、500mlの水、10gの炭酸カルシウム
(触媒)及び6.5gのカルボキシメチルセルロース
(分散剤)を入れた。オートクレーブを窒素でフラッシ
ュし、攪拌しながら140℃に昇温し、3時間加熱し
た。オートクレーブを13℃まで冷却し、その水から小
さい褐色のビーズ状生成物を濾過した。示差走査測熱法
で調べると、硫黄とオレフィンとの間で反応が起きてい
たことが示された。
【0039】参考例2 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のDCPD、2500mlの水、20gの炭酸カルシウ
ム(触媒)及び32gのカルボキシメチルセルロース
(分散剤)を入れた。オートクレーブを窒素でフラッシ
ュし、攪拌しながら150℃に昇温し、3時間加熱し
た。室温まで冷却した後、褐色生成物の小さいビーズを
水から濾過した。示差走査測熱法で調べると、反応が起
っていたことが示された。
【0040】参考例3 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のα−メチルスチレン、2500mlの水、20gの炭
酸カルシウム(触媒)及び32gのカルボキシメチルセ
ルロース(分散剤)を入れた。オートクレーブを窒素で
フラッシュし、攪拌しながら150℃に昇温し、3時間
加熱した。室温まで冷却した後、生成物を澄色粉末とし
て単離した。
【0041】参考例4 1.0gのポリビニルアルコール(ビノール〔Vino
l:登録商標〕203、エア・プロダクツ社〔Air
Products〕から市販)を2500mlの水に溶
解した。この溶液を425gの硫黄、75gのDCPD
及び20gの炭酸カルシウムが入っている4リットルの
反応器に加えた。反応器をシールし、攪拌しながら15
0℃に昇温し、3時間加熱した。室温まで冷却した後、
硫黄/DCPD付加物の小ビーズを濾過した。
【0042】参考例5 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のDCPD、2500mlの水、20gの炭酸カルシウ
ム及び5.0gのイゲパール(Igepal:登録商
標)−630(GAF)を入れた。反応器をシールし、
攪拌しながら150℃に昇温し、3時間加熱した。室温
まで冷却した後、硫黄/DCPD付加物を小ないリボン
として単離した。
【0043】参考例6:分散剤なし 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のDCPD、2500mlの水及び20gの炭酸カルシ
ウムを入れた。反応器を次にシールし、攪拌しながら1
50℃に昇温し、3時間加熱した。外囲温度まで冷却し
た後、硫黄/DCPD付加物を小ビーズとして単離し
た。
【0044】参考例7:過酸化物及びジビニルベンゼン 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、50g
のDCPD、20gのスチレン、5gのジビニルベンゼ
ン、2500mlの水、20gのCaCO3 、32gの
カルボキシメチルセルロース及び7.1gのt−ブチル
ヒドロペルオキシド70%水溶液を入れた。反応器をシ
ールし、140℃に昇温し、3時間加熱した。外囲温度
まで冷却した後、硫黄/オレフィン付加物をビーズとし
て単離した。
【0045】参考例8:触媒なし 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のDCPD、2500mlの水及び32gのカルボキシ
メチルセルロースを入れた。オートクレーブをシール
し、攪拌しながら150℃に昇温し、3時間加熱した。
外囲温度まで冷却した後、硫黄/オレフィン付加物をビ
ーズとして単離した。
【0046】参考例9 4リットルのオートクレーブに1800gの水、478
gの硫黄、84gのDCPD、36gのカルボキシメチ
ルセルロース及び15gの炭酸カルシウムを入れた。反
応器をシールし、攪拌しながら150℃に昇温し、3時
間加熱した。室温まで冷却した後、硫黄/オレフィン付
加物のビーズを単離した。
【0047】参考例10 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、75g
のDCPD、2500mlの水、20gの炭酸カルシウ
ム及び32gのカルボキシメチルセルロースを入れた。
反応器をシールし、攪拌しながら150℃に昇温し、3
時間加熱した。外囲温度まで冷却した後、ビーズを濾過
した。
【0048】参考例11 4リットルのオートクレーブに425gの硫黄、60g
のDCPD、15gのスチレン、2500mlの水、2
0gの炭酸カルシウム及び32gのカルボキシメチルセ
ルロースを入れた。反応器をシールし、攪拌しながら1
50℃に昇温し、3時間加熱した。外囲温度まで冷却し
た後、ビーズを単離した。
【0049】実施例 参考例10及び11により製造した硫黄−オレフィン付
加物のゴムに対する硬化能を不溶性硫黄の硬化能と天然
及び合成のポリイソプレンゴムの調製された未加硫ブレ
ンドを用いて比較した。
【0050】表1に記載の処方を用いて2種のゴムスト
ックを調製した。部は全て重量部である。
【0051】
【表1】 成分をバンバリーミキサーで混合した。使用量と使用物
質は加硫ゴムを製造するのにこの技術分野で普通に用い
られているものであった。硫黄−オレフィン付加物の使
用量はその有効硫黄が対照における硫黄の使用重量と実
質的に同等の重量となるような量であった。硫黄−オレ
フィン付加物を配合するバンバリーミキサーの所要混合
時間は不溶性硫黄を配合する所要混合時間と同様であっ
た。
【0052】追加の比較例として、ワイラフ・アンド・
ローザー社(Wyrough and Loser,I
nc.)から得られるチオーキュアーBR(Thio−
Cure−BR)として知られる市販の硫黄−オレフィ
ン付加物を不溶性硫黄及び参考例10及び11の付加物
の代りに用いた。ただし、その量は2.83部の代りに
3.0部とした。
【0053】これらの加硫性組成物をゴムプレス機で1
50℃において約40分間プレス成形及び硬化させて試
験用の硬化したスラブを得た。対照試料及び実験試料の
物性を表2に示す。
【0054】ゴム化学薬品を使用する場合の臨界的因子
はそれらをいかによくゴムの中に分散させ得るかという
ことである。それらの薬品が十分に分散されない場合、
明らかに、それらは硬化に十分にあずかることはできな
い。分散試験で、本発明によって調製した硫黄/DCP
D/スチレン付加物は硫黄/DCPD付加物より良好に
ゴムに分散されることが見い出された。試験は物質をゴ
ムにバンバリーミキサーを用いて混入し、ゴムをミルで
シートに形成し、そして標準寸法領域内の未破壊ビーズ
を目視観察することから成る。分散値は0〜5の範囲に
分けられ、0は完全分散を、5は最低の分散を表わす。
表2の対照及び参考例10及び11についての分散値
は、対照−0、硫黄/DCPD−4、硫黄/DCPD/
スチレン−0、チオーキュア−BR−5であった。この
試験は本発明により製造された硫黄硬化剤は、DCPD
及びスチレンがオレフィンとして用いられるとき、不溶
性硫黄に比敵する分散能を有し、市販のチオ−キュアよ
りはるかに良好な分散能を有することを証明している。
【0055】データーは本発明により製造された硫黄−
オレフィン付加物は対照より良好なスコーチ遅延性を有
するが、硬化速度は遅いことを示している。更に、参考
例10及び11の硬化剤は市販のチオーキュアーBRよ
りははるかに高度の硬化状態に達した。
【0056】更に、本発明によって製造された硫黄−オ
レフィン付加物を含有する加硫可能の組成物は不溶性硫
黄を用いて製造した組成物と同様の耐ブルーム性を有す
ることが見い出された。
【0057】本発明により製造された硫黄−オレフィン
付加物について行った研究から、本発明の生成物により
硬化されたエラストマーは斜方晶系硫黄よりはブルーム
性がはるかに小さく、不溶性硫黄とは同等のブルーム性
を示すことが証明された。
【0058】産業上の利用可能性 上記の実施例は本発明の硫黄−オレフィン硬化剤の有用
性を明白に証明している。これらの硬化剤は広範囲のゴ
ムストックに用いることができ、一方得られる加硫物は
従来の硫黄による硬化で達成される物性に匹敵する物性
を有するが、ブルームに関連する付隋の欠点は持たな
い。本発明の硫黄−オレフィン付加物の硬化剤は従って
現在知られている市販の硫黄含有硬化剤よりも改良され
た結果を与える。
【0059】以上の実施例は単に例示説明するためのも
のに過ぎず、前記特許請求の範囲に定義される本発明の
精神から逸脱しない範囲で本明細書に具体的に開示され
る成分、割合及び条件には多数の変更を加え得ることは
勿論理解されるところであろう。
【0060】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 チャールズ・リー・ブル・ジュニアー アメリカ合衆国オハイオ州44320,アクロ ン,グリーンウッド・アベニュー 752

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次の: (1)硫黄硬化性のゴムと、該ゴムに対して0.5〜1
    2重量%の硬化剤であって、水、硫黄及びオレフィンの
    混合物を所望によって塩基性触媒及び分散剤の存在下で
    攪拌しながら120〜200℃の温度で加熱することに
    よって製造した該硬化剤とを混合し、次いで(2)該ゴ
    ム/硬化剤混合物を加硫する工程を含んで成る耐ブルー
    ム性加硫物の製造法。
  2. 【請求項2】 オレフィンがジシクロペンタジエンとス
    チレンとの混合物である、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 塩基性触媒が炭酸カルシウム、炭酸ナト
    リウム、水酸化ナトリウム及びテトラメチルエチレンジ
    アミンより成る群から選ばれたものであり、そして分散
    剤がポリエチレンオキシド類、カルボキシメチルセルロ
    ース及びポリビニルアルコールより成る群から選ばれた
    ものである請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 ゴムが天然及び合成のポリイソプレン
    類、ポリブタジエン類、ポリクロロプレン類、イソブチ
    レンとイソプレンとのコポリマー類、ブタジエン−1,
    3とスチレンとのコポリマー類及びブタジエン−1,3
    とアクリロニトリルとのコポリマー類より成る群から選
    ばれたものであり、そしてオレフィンがスチレン、α−
    メチルスチレン、ブテン−1、ブテン−2、イソブチレ
    ン、ジイソブチレン、ジシクロペンタジエン、シクロオ
    クタジエン、シクロペンタジエン及びプロピレンより成
    る群から選ばれる少なくとも1種のオレフィン系炭化水
    素であり、そして水、硫黄及びオレフィン系炭化水素の
    混合物の加熱時間が1〜3時間である、請求項1に記載
    の方法。
  5. 【請求項5】 オレフィンがジシクロペンタジエンとス
    チレンとの混合物である、請求項4に記載の方法。
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