JPH07308998A - Ｐｔｐ包装用多層ポリプロピレンシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 透明性、成形性、剛性、耐衝撃性に優れ、か
つアルミシール後のカールが小さく、さらに耐油性に優
れｎ−ヘプタン等による溶出試験にも問題のないＰＴＰ
包装用の多層ポリプロピレンシートを提供することを目
的とする。 【構成】 外層（Ａ）がポリプロピレンホモポリマー７
０〜９０重量％及びエチレン比率０．１〜５．０重量％
のエチレンプロピレンコポリマー３０〜１０重量％から
なる混合物、シール層（Ｃ）が、ポリプロピレンホモポ
リマー４０〜９０重量％及びエチレン比率０．１〜５．
０重量％のエチレンプロピレンコポリマー６０〜１０重
量％、中間層（Ｂ）がポリプロピレンホモポリマー３０
〜７０重量％、エチレン比率０．１〜５．０重量％のエ
チレンプロピレンコポリマー１０〜５０重量％、石油樹
脂３〜２０重量％及びゴム成分を５〜２０重量％からな
る混合物、からなる３層構成のＰＴＰ包装用多層ポリプ
ロピレンシート。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は錠剤、カプセル等の医薬
品、その他食品などに用いられるプレススルーパック包
装（以下ＰＴＰ包装と略す）用のポリプロピレン多層シ
ートに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】ＰＴＰ包装とは医薬品、食品等の包装に
用いられプラスチックシートを成形して作成したポケッ
トに内容物を収納し、接着剤を塗布したアルミ箔を蓋の
ごとく熱シールして包装する包装形態であり、シート成
形部を指で押すことによりアルミ箔を突き破って内容物
を取り出して使用している。従来よりＰＴＰ包装用のプ
ラスチックシートとしては透明性・成形性・腰・コスト
面などから主としてポリ塩化ビニル樹脂が用いられてき
た。しかし内容物が吸湿性がある場合ポリ塩化ビニル樹
脂では防湿性に劣るため、ポリ塩化ビニリデン樹脂をコ
ーティングして対応してきたが、これらは高価な物とな
りコスト面で問題であった。また近年、環境問題より焼
却処理の際の含塩素ガスの発生などからポリ塩化ビニル
樹脂およびポリ塩化ビニリデン樹脂が敬遠されることも
あり、そこで、最近の成形機の改良に伴い以前は成形が
難しかったポリプロピレンシートが防湿性、低コスト性
及び易処理性に注目されて種々の用途で使用されるよう
になり、ＰＴＰ包装用としても用いられたが、ポリプロ
ピレンはポリ塩化ビニル樹脂と比較して線膨張が大きい
ためアルミシール後の収縮が大きく製品がカールして外
観上または自動包装ラインの適合性の面で問題が生じ
た。カールを改良するためにポリプロピレンの結晶化度
を高くすることが試みられ、結晶化剤を用いたりシーテ
ィング時に徐冷したり、さらにシートをアニールするな
どの方法が行われた。これによりカールは改良されたが
その反面、シートの成形性・透明性が著しく悪くなり、
実使用に耐えれるものではなかった。これらの欠点を改
良し、さらにシートの剛性を改良するため、ポリプロピ
レン樹脂の単層ポリプロピレンシートに、石油樹脂、造
核剤等を添加することも考えられるが、石油樹脂を添加
した単層のポリプロピレンシートでは、耐油性が悪くｎ
−ヘプタンによる溶出試験で石油樹脂が溶出し問題があ
った。また、石油樹脂のみを添加したものは、耐衝撃性
に劣り実用に耐えるものではなく、耐衝撃性を補うた
め、ゴム成分のみを添加すると、シート自体の剛性が低
下し実用に耐えるものではなかった。ＰＴＰ成形機に錠
剤もしくはカプセル充填時に一定のテンションをかけて
いるがシートの剛性が低いと充填が不十分になる。また
シートの剛性が低いと打ち抜き後カールが大きくなった
り、成形品自体が柔らかくなり自動包装ラインの適合上
問題になった。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、前述の問題
を解決するために鋭意研究した結果、ポリプロピレンに
造核剤、石油樹脂を添加することにより、シートの剛性
を向上させ、また剛性を悪化させない程度の比率の、ゴ
ム成分でも充分に耐衝撃性に効果があることを見いだ
し、また３層の多層シートとすることで石油樹脂のｎ−
ヘプタンによる抽出をふせぎ、完成に至ったもので、透
明性、成形性、剛性、耐衝撃性に優れ、かつアルミシー
ル後のカールが小さく、さらに耐油性に優れｎ−ヘプタ
ン等による溶出試験にも問題のないＰＴＰ包装用の多層
ポリプロピレンシートを提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明は、外層（Ａ）が
ポリプロピレンホモポリマー７０〜９０重量％及びエチ
レン比率０.１〜５.０重量％のエチレンプロピレンコポ
リマー３０〜１０重量％からなる混合物、シール層
（Ｃ）が、ポリプロピレンホモポリマー４０〜９０重量
％及びエチレン比率０.１〜５.０重量％のエチレンプロ
ピレンコポリマー６０〜１０重量％、中間層（Ｂ）がポ
リプロピレンホモポリマー３０〜７０重量％、エチレン
比率０.１〜５.０重量％のエチレンプロピレンコポリマ
ー１０〜５０重量％、石油樹脂３〜２０重量％及びゴム
成分を５〜２０重量％からなる混合物であり、外層
（Ａ）、中間層（Ｂ）及びシール層（Ｃ）の各々のポリ
プロピレン混合物１００重量部に対して、結晶核剤０.
０５〜０.３重量部を各々添加し、外層（Ａ）及び
（Ｃ）の厚み比率が各々１０〜３０％、中間層（Ｂ）の
厚み比率が８０〜４０％の範囲であるＰＴＰ包装用多層
ポリプロピレンシートである。

【０００５】本発明に用いられる外層（Ａ）のポリプロ
ピレンはポリプロピレンホモポリマー７０〜９０重量％
とエチレン比率０.１〜５.０重量％のエチレンプロピレ
ンコポリマー３０〜１０重量％の混合物１００重量部に
対して結晶核剤０.０５〜０.３重量部を添加した物が用
いられる。ポリプロピレンホモポリマーの比率が７０重
量％以下になればカールが大きくなり、９０重量％以上
では成形性が悪化する。結晶核剤を添加しないと剛性が
低下し実用上問題がある。本発明に用いられるシール層
（Ｃ）のポリプロピレンはポリプロピレンホモポリマー
４０〜９０重量％とエチレン比率０.１〜５.０重量％の
エチレンプロピレンコポリマー６０〜１０重量％の混合
物１００重量部に対して結晶核剤０.０５〜０.３重量部
を添加した物が用いられる。エチレンプロピレンコポリ
マーの比率が１０重量％以下もしくは６０重量％以上で
あると成形性が悪化する。結晶核剤としては公知の物が
用いられ、例えばソルビトール系、ジカルボン酸系、モ
ノカルボン酸の金属塩、リン酸の金属塩などが用いられ
る。

【０００６】中間層（Ｂ）のポリプロピレンとしてはポ
リプロピレンホモポリマー３０〜７０重量％、エチレン
比率０.１〜５.０重量％のエチレンプロピレンコポリマ
ー１０〜５０重量％、石油樹脂３〜２０重量％及びゴム
成分を５〜２０重量％からなる混合物１００重量部に対
して結晶核剤０.０５〜０.３重量部を添加した組成物が
用いられる。防湿性、剛性を向上させるためには、ポリ
プロピレンホモポリマーの混合比率を大きくすればよい
が、ポリプロピレンホモポリマーの混合比率が７０重量
％以上をこえると成形性が悪化し、３０重量％以下であ
ると防湿性、剛性が劣る。石油樹脂は、透明性、成形
性、防湿性、及び剛性を向上させるために添加され、添
加量としては３〜２０重量％、好ましくは６〜１８重量
％である。石油樹脂の添加量が３重量％以下であると透
明性、成形性、防湿性、剛性の向上に効果が無く、２０
重量％をこえると耐衝撃性が悪化し実用に耐えられるも
のにはならない。石油樹脂としては公知ものが用いら
れ、例えば芳香族炭化水素樹脂系、テルペン樹脂系、脂
肪族飽和炭素樹脂系、水素添加シクロペンタジエン系脂
肪族などが用いられる。

【０００７】また、ゴム成分は、耐衝撃性を向上させる
ために添加され、添加量としては５〜２０重量％であ
る。添加量が５重量％以下であると耐衝撃性が悪く実用
に耐えものにはならなく、２０重量％以上では剛性が低
下し、実用上問題が起こる。本発明で用いられるゴム成
分は、室内で弾性体である天然及び合成の重合体材料
で、その具体例としては、天然ゴム、ブタジエン重合
体、ブタジエン−スチレン共重合体（ランダム共重合
体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などすべて含
まれる）、イソプレン重合体、クロロブタジエン重合
体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、イソブチ
レン重合体、イソブチレン−ブタジエン共重合体、イソ
ブチレン−イソプレン共重合体、アクリル酸エステル共
重合体、エチレン−プロピレン系共重合体、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体、チオロールゴム、多加流
ゴム、ポリウレタンゴム、ポリエーテルゴム（例えばポ
リプロピレンオキシド等）、エピクロルヒドリンゴム等
が挙げられる。また、これらのゴム用物質を水素添加し
た（共）重合体、例えば、水添スチレン−ブタジエン−
スチレン共重合体（ＳＥＢＳ）、水添スチレン−イソプ
レン共重合体（ＳＥＰ、ＳＥＰＳ）等を用いてもかまわ
ない。これらのゴム物質はいかなる製造方法（例えば乳
化重合、溶液重合）、いかなる触媒（例えば過酸化物、
トリアルキルアルミニウム、ハロゲン化リチウム、ニッ
ケル系触媒）でつくられたものでもよく、水素添加触媒
としては、パラジウム、白金等の貴金属をシリカ、カー
ボン、ケイソウ土、等に担持した触媒、チタン化合物と
有機金属化合物（リチウム、アルミニウム等）からなる
触媒が用いられる。

【０００８】外層（Ａ）、中間層（Ｂ）及びシール層
（Ｃ）に用いられるポリプロピレンには必要に応じて、
安定剤酸化防止剤、帯電防止剤、スリップ剤などを添加
しても差し支えない。本発明の多層シートの製造方法に
は特に限定されるものではなく、共押出法、押出ラミネ
ート法、ドライラミネート法などが用いられる。各層の
厚みの比率は外層（Ａ）及び（Ｃ）が１０〜３０％、中
間層（Ｂ）が８０〜４０％の範囲であり、特に外層
（Ａ）が１５％、中間層（Ｂ）が７０％、シール層
（Ｃ）が１５％が好ましい。外層（Ａ）及びシール層
（Ｃ）の厚み比率が１０％以下であると、ｎ−ヘプタン
による溶出試験等で中間層（Ｂ）の石油樹脂の溶出の問
題が有り、逆に３０％をこえると耐衝撃性、成形性が悪
くなる。

【０００９】

【実施例】

（実施例１〜６、比較例１〜３）Ａ（スクリュー径５０
mm）、Ｂ（スクリュー径５０mm）Ｃ（スクリュー径５０
mm）３台の押出し機を用いて３種類のポリプロピレン樹
脂を押し出し、多層ダイスに導いて共押出法によって積
層した樹脂を、水に冷却したチルロール［実施例１及び
４ではチルロール温度３０℃、実施例２、３、５及び６
ではチルロール温度４０℃、比較例１、２及び３ではチ
ルロール温度６０℃］に通して冷却、引き取りし、表
１、表２又は表３に示す層構成の多層シートを作製し
た。 （比較例４）たスクリュー径９０mmの押出し機を用いて
溶融押出ししたポリプロピレン樹脂（使用樹脂ホＰ５）
を、水で冷却したチルロール（チルロール温度６０℃）
に通して冷却引き取り、０．３mm厚みの単層シートを作
製した。以上得られたシートの評価結果を表４及び表５
に示す。

【００１０】各評価は下記に示す方法で行った ・シートの透明度として曇度（ＪＩＳ−Ｋ−７０１５）
により評価した。 ・耐油性については厚生省公示２０号試験に準じ、ｎ−
ヘプタン溶出試験により１５０ppm以下のものは合格
（○）、１５０ppm以上のものは不合格（×）と評価し
た。 ・耐衝撃性はデュポン衝撃試験（ＪＩＳ−Ｋ−７２１
１）により評価した。 ・剛性はオルゼン曲げ剛性（ＪＩＳ−Ｋ−７１０６）に
より評価した。 ・成形性はシーケーディ（株）ＦＢＰーＭ２ブリスター
パック包装機を用い、プラグ温度１２０℃、シール温度
２００℃、機械速度３．０ｍ／分で行った。ポケット形
状が底部１０mm 上部９mm、深さ４.１mm、１ショット
１０ポケット２面の型を用いてプラグ圧空方式で成形を
行った。評価は型決まり度として成形ポケットの内容積
で評価し、２５０μｍポリ塩化ビニル樹脂シートを同じ
型で成形したものを１００％として相対値で表した。型
決まり度が９０％以上のものになるときの加熱盤温度の
温度を記載した。 ・カールの評価は上記条件で成形し、内容物を充填せず
にアルミ箔と熱シールした後、幅３７mm長さ９４mm、コ
ーナー５mmＲに打ち抜いた製品形態においてフラット面
に成形品を置き、幅方向のソリを測定した。１０個の成
形品について各成形ポケットの横の１０箇所を測定し平
均値を求めて評価した。１０分後のカールが３.０mm未
満のものを＊、３.０mm以上３.５mm未満のものを○、
３.５mm以上４.０mm未満を△、４.０mm以上のものを×
とした。

【００１１】使用した樹脂の種類は下記のとおり ＊ＮＡ入りホＰ１：ポリプロピレンホモポリマー（ＭＩ
＝２．２） 結晶核剤 ０．２％添加 ＊ＮＡ入りホＰ２：ポリプロピレンホモポリマー（ＭＩ
＝７．０） 結晶核剤 ０．２％添加 ＊ＮＡ入りホＰ３：ポリプロピレンホモポリマー（ＭＩ
＝３．０） 結晶核剤 ０．２％添加 石油樹脂 ８．０％添加 ＊ＮＡ入りホＰ４：ポリプロピレンホモポリマー（ＭＩ
＝２．３） 結晶核剤 ０．２％添加 ＊ホＰ５： ポリプロピレンホモポリマー（ＭＩ
＝２．０） 石油樹脂 ８．０％添加 ＊ラＰ１： ポリプロピレンランダムコポリマー
（ＭＩ＝７．０） ＊ラＰ２： ポリプロピレンランダムコポリマー
（ＭＩ＝１．５） ＊ラＰ３： ポリプロピレンランダムコポリマー
（ＭＩ＝２．６） ＊ゴム１： 水素添加スチレン−ブタジエンゴム
共重合体（スチレン含量３０％） ＊ゴム２： 水素添加スチレン−ブタジエンゴム
共重合体（スチレン含量１０％） ＊石油樹脂： 脂環族飽和炭化水素樹脂

【００１２】

【表１】

【００１３】

【表２】

【００１４】

【表３】

【００１５】

【表４】

【００１６】

【表５】

【００１７】

【発明の効果】本発明に従うと透明性、透明性、成形
性、剛性、耐衝撃性、アルミシール後のカールが小さ
く、さらに耐油性に優れｎ−ヘプタン等による溶出試験
にも問題のないＰＴＰ包装用多層ポリプロピレンシート
を得ることができる。

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 外層（Ａ）がポリプロピレンホモポリマ
   ー７０〜９０重量％及びエチレン比率０.１〜５.０重量
   ％のエチレンプロピレンコポリマー３０〜１０重量％か
   らなる混合物、シール層（Ｃ）がポリプロピレンホモポ
   リマー４０〜９０重量％及びエチレン比率０.１〜５.０
   重量％のエチレンプロピレンコポリマー６０〜１０重量
   ％、中間層（Ｂ）がポリプロピレンホモポリマー３０〜
   ７０重量％、エチレン比率０.１〜５.０重量％のエチレ
   ンプロピレンコポリマー１０〜５０重量％、石油樹脂３
   〜２０重量％及びゴム成分を５〜２０重量％からなる混
   合物、からなる３層構成のＰＴＰ包装用多層ポリプロピ
   レンシート。
2. 【請求項２】 外層（Ａ）、中間層（Ｂ）及びシール層
   （Ｃ）の各々のポリプロピレン混合物１００重量部に対
   して、結晶核剤０.０５〜０.３重量部を各々添加した組
   成物からなる請求項１記載のＰＴＰ包装用多層ポリプロ
   ピレンシート。
3. 【請求項３】 外層（Ａ）及び（Ｃ）の厚み比率が１０
   〜３０％並びに中間層（Ｂ）の厚み比率が８０〜４０％
   の範囲である請求項１又は２記載のＰＴＰ包装用多層ポ
   リプロピレンシート。