JPH07307113A - マイクロ波用誘電体セラミックス - Google Patents
マイクロ波用誘電体セラミックスInfo
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Abstract
度係数(τf)が、0ppm/℃付近になるようにした
組成比率でも、無負荷Q(Qu)が非常に大きい値を有
するマイクロ波用誘電体セラミックスを提供する。 【構成】 酸化バリウム(BaO)、酸化コバルト(C
oO)、酸化ニオブ(Nb2 O5 )よりなる主成分の組
成式が、 (BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )z で表され、x、y、zがそれぞれモル%で、59.5≦
x≦61.8モル%、19.1≦y≦20.6モル%、
19.1≦z≦20.1モル%の範囲にあり、前記主成
分1モルに対して、副成分として、0.1モル以下(但
し、0モルを含まず)の二酸化チタン(TiO2 )及び
0.008モル以下(但し、0モルを含まず)の酸化ニ
ッケル(NiO)を添加してなることを特徴とするマイ
クロ波用誘電体セラミックス。
Description
ラミックスに係り、特に、大きな比誘電率(εr )を持
ち、無負荷Q(Qu)が大きく、かつ組成を変化させる
ことにより、共振周波数の温度係数(τf)を、0pp
m/℃を中心にして、任意の値に変化させることができ
るマイクロ波用誘電体セラミックスに関するものであ
る。
電体フィルタが、自動車電話、携帯電話、衛星放送の受
信機に数多く用いられている。このような用途に用いら
れる誘電体材料は、比誘電率(εr )及び無負荷Q(Q
u)が大きく、かつ、組成を変えることにより、共振周
波数の温度係数(τf)が0ppm/℃を中心にして、
正又は負の任意の値に設定できるものが望まれていた。
従来このような誘電体セラミックスとしては、BaO−
TiO2 系、ZrO2 −SnO−TiO2 系等があっ
た。
た従来の誘電体セラミックスでは、共振周波数の温度係
数(τf)が、0ppm/℃付近の値を示すものでは、
比誘電率(εr )に関しては満足できる値であるもの
の、無負荷Q(Qu)は十分大きいとはいえなかった。
そのために、これらの材料を使用したデバイスを組み込
んだ装置は、送受信においてロスが大きくなる等の不都
合を有し、十分満足できる特性を有しているとは言えな
かった。
たものであり、比誘電率(εr )が大きく、共振周波数
の温度係数(τf)が、0ppm/℃付近になるように
した組成比率でも、無負荷Q(Qu)が非常に大きい値
を有するマイクロ波用誘電体セラミックスを提供するこ
とを目的とする。
に、本発明のマイクロ波用誘電体セラミックスは、酸化
バリウム(BaO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニ
オブ(Nb2 O5 )よりなる主成分の組成式が、 (BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )z で表され、x,y,zがそれぞれモル%で、59.5≦
x≦61.8モル%、19.1≦y≦20.6モル%、
19.1≦z≦20.1モル%の範囲にあり、 (1)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.008モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化ニッケル(NiO)を添加して成ること
を特徴とする。
として、0.1モル以下(但し、0モルを含まず)の二
酸化チタン(TiO2 )及び0.003モル以下(但
し、0モルを含まず)の酸化インジウム(In2 O3 )
を添加してなることを特徴とする。 (3)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.005モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化鉄(Fe2 O3 )を添加してなることを
特徴とする。
れる組成とし、 (1)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.008モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化ニッケル(NiO)を添加することによ
り、マイクロ波領域において、比誘電率(εr )及び無
負荷Q(Qu)が大きく、共振周波数の温度係数(τ
f)を、正又は負の任意の値に容易に変化させることが
できる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とNiOを添加した
誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20モル
%、z=20モル%の付近、特に、BaOがやや過剰の
x=60.7モル%、y=19.6モル%、z=19.
6モル%にTiO2 を0.005モル、NiOを0.0
02モル添加した組成において、最も大きな無負荷Q
(Qu)を得ることができ、また、TiO2 及びNiO
の添加量を変えることにより、共振周波数の温度係数
(τf)を、負から正の値へと任意に変化させることが
できる。
0ppm/℃付近となる組成とした場合でも、無負荷Q
(Qu)が非常に大きい値を持っている。このため、マ
イクロ波用の誘電体共振器、誘電体フィルタの小型化、
低損失化が達成できる。 (2)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )、及び0.003モル以下(但し、0モル
を含まず)の酸化インジウム(In2 O3 )を添加する
ことにより、マイクロ波領域において、比誘電率
(εr )及び無負荷Q(Qu)が大きく、共振周波数の
温度係数(τf)を、正又は負の任意の値に容易に変化
させることができる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とIn2 O3 を添加
した誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20
モル%、z=20モル%の付近、特にBaOがやや過剰
のx=60.7モル%、y=19.6モル%、z=1
9.6モル%にTiO2 を0.005モル、In2 O3
を0.001モル添加した組成において、最も大きな無
負荷Q(Qu)を得ることができ、また、TiO2 及び
In2 O3 の添加量を変えることにより、共振周波数の
温度係数(τf)を、0ppm/℃を中心として、その
付近の正又は負の任意の値に変化させることができる。
0ppm/℃付近となる組成とした場合でも、無負荷Q
(Qu)が非常に大きい値を持っている。このため、マ
イクロ波用の誘電体共振器、誘電体フィルタの小型化、
低損失化が達成できる。 (3)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.005モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化鉄(Fe2 O3 )を添加することによ
り、マイクロ波領域において、比誘電率(εr )及び無
負荷Q(Qu)が大きく、その組成を変えることによ
り、共振周波数の温度係数(τf)を、0ppm/℃を
中心として、その付近の正又は負の任意の値に容易に変
化させることができる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とFe2 O3 を添加
した誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20
モル%、z=20モル%の付近、特に、BaOがやや過
剰のx=61.4モル%、y=19.3モル%、z=1
9.3モル%に、TiO2 を0.005モル、Fe2O
3 を0.001モル添加した組成において、最も大きな
無負荷Q(Qu)を得ることができる。
変えることにより、共振周波数の温度係数(τf)を、
0ppm/℃を中心として、その付近の正又は負の任意
の値に変化させることができる。更に、共振周波数の温
度係数(τf)を、0ppm/℃付近となる組成とした
場合でも、無負荷Q(Qu)が非常に大きい値を持って
いる。このため、マイクロ波用の誘電体共振器、誘電体
フィルタの小型化、低損失化が達成できる。
る。まず、本発明の第1実施例について詳細に説明す
る。出発原料には、化学的に高純度の炭酸バリウム(B
aO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニオブ(Nb2
O5 )、二酸化チタン(TiO2 )、酸化ニッケル(N
iO)を使用し、下記に示す表1の、試料No.1〜N
o.15の組成に成るように正確に秤量した。引き続き
プラスチック製のポットミルとジルコニアボールを用
い、純水と共に20時間湿式混合した。
シア容器を用いて、空気中で1200℃の温度で3時間
仮焼した。この仮焼物を上記混合工程と同様な方法にて
湿式粉砕し、その後、脱水し、乾燥し、微粒子の粉体を
得た。この粉体にバインダを添加して十分に粉体と混合
し造粒粉とした。この造粒粉を金型と油圧プレスを用い
て、成形圧力1〜3t/cm2 で、直径20mm、高さ
12mmの円板状の成形体を作製した。
シア製の容器に入れて、1350〜1500℃の温度で
5時間空気中で焼成して誘電体セラミックスを得た。こ
の誘電体セラミックスを所定の周波数になるように研磨
した後、誘電特性を下記の方法で測定した。この誘電体
セラミックスの比誘電率(εr )及び無負荷Q(Qu)
は、ハッキ・コールマン法により測定した。また、共振
周波数の温度係数(τf)は、20℃における共振周波
数f(20)を基準として、−40℃と80℃の温度に
おける、それぞれの共振周波数f(−40),f(8
0)と、温度差ΔT〔ここでは−40℃と80℃でΔT
=120℃〕から、下記の式(1)に従い求めた。な
お、これらの測定における測定周波数は約5GHzであ
った。
の測定結果を次の表1に示す。
o.は、本発明の範囲外の比較例であり、それ以外の試
料No.が本発明の実施例の範囲のものである。主成分
の組成に関して、表1に示す結果によれば、BaOは5
9.5モル%より少なくなると、試料No.1及びN
o.15に示すように、無負荷Q(Qu)が小さくな
り、61.8モル%を越えると、試料No.7に示すよ
うに、やはり無負荷Q(Qu)が小さくなり、不適当で
ある。
くなると、試料No.7に示すように、無負荷Q(Q
u)が小さくなり、20.6モル%を越えると、試料N
o.15に示すように、やはり無負荷Q(Qu)が小さ
くなり、不適当である。更に、Nb2 O5 は、19.1
モル%より少なくなると、試料No.7に示すように、
無負荷Q(Qu)が小さくなり、20.1モル%を越え
ると、試料No.1に示すように、やはり無負荷Q(Q
u)が小さくなり不適当である。
モル%の範囲、CoOは19.1〜20.6モル%の範
囲、Nb2 O5 は19.1〜20.1モル%の範囲がそ
れぞれ好適な範囲である。また、主成分1モルに対する
副成分としてのTiO2 については、試料No.8〜1
2に示すように、添加量が増していくと、比誘電率(ε
r )は、増加傾向を示し、しかも十分大きな値を示す。
また、共振周波数の温度係数(τf)は、TiO2 の添
加量0.005モル(試料No.8)での−9.5pp
m/℃から、0.5モル(試料No.12)での61.
0ppm/℃へと、プラスの勾配を持って大きくなる。
加量0.005モル(試料No.8)での7,000か
ら0.1モル(試料No.11)での4,500へと小
さくなり、TiO2 添加量が、0.5モル(試料No.
12)になると、無負荷Q(Qu)は2,100と急激
に小さくなり、本発明の目的に合わなくなる。したがっ
て、TiO2 の添加量は0.1モルまでが適切である。
のNiOについては、試料No.2〜7に示すように、
添加量が増していくと、比誘電率(εr )は、NiO添
加量0.003モル(試料No.4)での33.7の極
大値を示すが、NiO添加量0.001モル〜0.01
モルの範囲量で32.5以上の十分大きな値である。ま
た、共振周波数の温度係数(τf)は、NiO添加量
0.001モル(試料No.2)の−3.0ppm/℃
から、0.008モル(試料No.6)での−7.5p
pm/℃へと、小さなマイナスの勾配を持って変化す
る。また、無負荷Q(Qu)は、NiOの添加量0.0
01モル(試料No.2)での6,400から0.00
8モル(試料No.6)での3,500と小さくなり、
NiO添加量が0.01モル(試料No.7)になる
と、無負荷Q(Qu)は500と急激に小さくなり、本
発明の目的に合わなくなる。
モルまでが適切である。以上の表1から明らかなよう
に、本発明の(BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O
5 )zに、TiO2 とNiOを添加した誘電体セラミッ
クスは、x=60モル%、y=20モル%、z=20モ
ル%の付近、特にBaOがやや過剰のx=60.7モル
%、y=19.6モル%、z=19.6モル%に、Ti
O2 を0.005モル、NiOを0.002モル添加し
た組成において、最も大きな無負荷Q(Qu)を得るこ
とができ、また、TiO2 及びNiOの添加量を変える
ことにより、共振周波数の温度係数(τf)を、負から
正の値へと任意に変化させることができる。
説明する。出発原料には、化学的に高純度の炭酸バリウ
ム(BaO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニオブ
(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )、酸化イン
ジウム(In2 O3 )を使用し、下記に示す表2の、試
料No.の組成に成るように正確に秤量した。引き続き
プラスチック製のポットミルとジルコニアボールを用
い、純水と共に20時間湿式混合した。
シア容器を用いて、空気中で1200℃の温度で3時間
仮焼した。この仮焼物を上記混合工程と同様な方法にて
湿式粉砕し、その後、脱水し、乾燥し、微粒子の粉体を
得た。この粉体にバインダを添加して十分に粉体と混合
し造粒粉とした。この造粒粉を金型と油圧プレスを用い
て、成形圧力1〜3t/cm2 で、直径20mm、高さ
12mmの円板状の成形体を作製した。
シア製の容器に入れて、1350〜1500℃の温度で
5時間空気中で焼成して、誘電体セラミックスを得た。
この誘電体セラミックスを所定の周波数になるように研
磨した後、誘電特性を下記の方法で測定した。この誘電
体セラミックスの比誘電率(εr )及び無負荷Q(Q
u)は、ハッキ・コールマン法により測定した。また、
共振周波数の温度係数(τf)は、20℃における共振
周波数f(20)を基準として、−40℃と80℃の温
度における、それぞれの共振周波数f(−40),f
(80)と温度差ΔT〔ここでは、−40℃と80℃で
ΔT=120℃〕から、下記の式(2)に従い求めた。
なお、これらの測定における測定周波数は約5GHzで
あった。
の測定結果を次の表2に示す。
o.は、本発明の範囲外の比較例であり、それ以外の試
料No.が本発明の実施例の範囲のものである。主成分
の組成に関して、表2に示す結果によれば、BaOは5
9.5モル%より少なくなると、試料No.1及びN
o.15に示すように、無負荷Q(Qu)が小さくな
り、61.8モル%を越えると、試料No.7に示すよ
うに、やはり無負荷Q(Qu)が小さくなり、不適当で
ある。
くなると、試料No.7に示すように、無負荷Q(Q
u)が小さくなり、20.6モル%を越えると、試料N
o.15に示すように、やはり無負荷Q(Qu)が小さ
くなり、不適当である。更に、Nb2 O5 は、19.1
モル%より少なくなると、試料No.7に示すように、
無負荷Q(Qu)が小さくなり、20.1モル%を越え
ると、試料No.1に示すように、やはり無負荷Q(Q
u)が小さくなり不適当である。
モル%の範囲、CoOは19.1〜20.6モル%の範
囲、Nb2 O5 は19.1〜20.1モル%の範囲がそ
れぞれ好適な範囲である。また、主成分1モルに対する
副成分としてのTiO2 については、試料No.8〜1
2に示すように、添加量が増していくと、比誘電率(ε
r )は増加傾向を示し、しかも十分大きな値を示す。ま
た、共振周波数の温度係数(τf)は、TiO2 の添加
量0.005モル(試料No.8)での−4.2ppm
/℃から、0.5モル(試料No.12)での82.0
ppm/℃へと、プラスの勾配を持って大きくなる。
加量0.005モル(試料No.8)での5,800か
ら0.1モル(試料No.11)での3,300へと小
さくなり、TiO2 添加量が0.5モル(試料No.1
2)になると、無負荷Q(Qu)は1,500と急激に
小さくなり、本発明の目的に合わなくなる。したがっ
て、TiO2 の添加量は0.1モルまでが適切である。
のIn2 O3 については、試料No.2〜7に示すよう
に、添加量が増していくと、比誘電率(εr )はIn2
O3添加量0.001モル(試料No.2)の32.7
からIn2 O3 添加量0.003モル(試料No.6)
での30.8へと僅かに小さくなるが、In2 O3 添加
量0.001モル〜0.003モルの範囲量で30以上
の十分大きな値である。また、共振周波数の温度係数
(τf)は、In2 O3 添加量0.001モル(試料N
o.2)の5.2ppm/℃から、0.003モル(試
料No.6)での1.8ppm/℃へと、小さなマイナ
スの勾配を持って変化する。
添加量0.001モル(試料No.2)での5,000
から0.003モル(試料No.6)での3,000へ
と小さくなり、In2 O3 添加量が0.01モル(試料
No.7)になると、Quは450と急激に小さくな
り、本発明の目的に合わなくなる。したがって、In2
O3 の添加量は0.003モルまでが適切である。
(BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )zに、T
iO2 とIn2 O3 を添加した誘電体セラミックスは、
x=60モル%、y=20モル%、z=20モル%の付
近、特にBaOがやや過剰のx=60.7モル%、y=
19.6モル%、z=19.6モル%に、TiO2 を
0.005モル、In2 O3 を0.001モル添加した
組成において、最も大きな無負荷Q(Qu)を得ること
ができ、また、TiO2 及びIn2 O3 の添加量を変え
ることにより、共振周波数の温度係数(τf)を、0p
pm/℃を中心として、その付近の正又は負の任意の値
に変化させることができる。
説明する。出発原料には、化学的に高純度の炭酸バリウ
ム(BaO)、酸化コバルト(CoO)、酸化ニオブ
(Nb2 O5 )、二酸化チタン(TiO2 )、酸化鉄
(Fe 2 O3 )を使用し、下記に示す表3の、試料N
o.1〜No.15の組成に成るように正確に秤量し
た。引き続きプラスチック製のポットミルとジルコニア
ボールを用い、純水と共に20時間湿式混合した。
シア容器を用いて、空気中で1200℃の温度で3時間
仮焼した。この仮焼物を上記混合工程と同様な方法にて
湿式粉砕し、その後、脱水し、乾燥し、微粒子の粉体を
得た。この粉体にバインダを添加して十分に粉体と混合
し造粒粉とした。この造粒粉を金型と油圧プレスを用い
て、成形圧力1〜3t/cm2 で、直径20mm、高さ
12mmの円板状の成形体を作製した。
ア製の容器に入れて、1400〜1550℃の温度で5
時間空気中で焼成して誘電体セラミックスを得た。この
誘電体セラミックスを所定の周波数になるように研磨し
た後、誘電特性を下記の方法で測定した。この誘電体セ
ラミックスの比誘電率(εr )及び無負荷Q(Qu)
は、ハッキ・コールマン法により測定した。また、共振
周波数の温度係数(τf)は、20℃における共振周波
数f(20)を基準として、−40℃と80℃の温度に
おける、それぞれの共振周波数f(−40),f(8
0)と温度差ΔT〔ここでは、−40℃と80℃でΔT
=120℃〕から、下記の式(3)に従い求めた。な
お、これらの測定における測定周波数は約5GHzであ
った。
の測定結果を次の表3に示す。
o.は、本発明の範囲外の比較例であり、それ以外の試
料No.が本発明の実施例の範囲のものである。主成分
の組成に関して、表3に示す結果によれば、BaOは5
9.5モル%より少なくなると、試料No.1及びN
o.15に示すように、無負荷Q(Qu)が小さくな
り、61.8モル%を越えると、試料No.7に示すよ
うに、やはり無負荷Q(Qu)が小さくなり、不適当で
ある。
くなると、試料No.7に示すように、無負荷Q(Q
u)が小さくなり、20.6モル%を越えると、試料N
o.15に示すように、やはり無負荷Q(Qu)が小さ
くなり、不適当である。更に、Nb2 O5 は、19.1
モル%より少なくなると、試料No.7に示すように、
無負荷Q(Qu)が小さくなり、20.1モル%を越え
ると、試料No.1に示すように、やはり無負荷Q(Q
u)が小さくなり不適当である。
モル%の範囲、CoOは19.1〜20.6モル%の範
囲、Nb2 O5 は19.1〜20.1モル%の範囲がそ
れぞれ好適な範囲である。また、主成分1モルに対する
副成分としてのTiO2 については、試料No.8〜1
2に示すように、添加量が増していくと、比誘電率(ε
r )は増加傾向を示し、しかも十分大きな値を示す。ま
た、共振周波数の温度係数(τf)は、TiO2 の添加
量0.005モル(試料No.8)での−7.5ppm
/℃から、0.5モル(試料No.12)での88.5
ppm/℃へと、プラスの勾配を持って大きくなる。
加量0.005モル(試料No.8)での7,400か
ら0.1モル(試料No.11)での4,700へと小
さくなり、TiO2 添加量が0.5モル(試料No.1
2)になると、Quは2,200と急激に小さくなり、
本発明の目的に合わなくなる。したがって、TiO2 の
添加量は0.1モルまでが適切である。
のFe2 O3 については、試料No.2〜7に示してい
るように、添加量が増していくと、比誘電率(εr )
は、Fe2 O3 添加量0.003モル(試料No.5)
での33.9の極大値を示すが、Fe2 O3 添加量0.
001モル〜0.01モルの範囲量で33.1以上の十
分大きな値である。また、共振周波数の温度係数(τ
f)は、Fe2 O3 添加量0.0005モル(試料N
o.2)の−3.5ppm/℃から、0.005モル
(試料No.6)での18.9ppm/℃へと、プラス
の勾配を持って変化する。
添加量0.0005モル(試料No.2)での6,20
0から0.005モル(試料No.6)での4,200
へと小さくなり、Fe2 O3 の添加量が、0.01モル
(試料No.7)になると、Quは500と急激に小さ
くなり、本発明の目的に合わなくなる。したがって、F
e2 O3 の添加量は0.005モルまでが適切である。
(BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )zに、T
iO2 とFe2 O3 を添加した誘電体セラミックスは、
x=60モル%、y=20モル%、z=20モル%の付
近、特にBaOがやや過剰のx=61.4モル%、y=
19.3モル%、z=19.3モル%に、TiO2 を
0.005モル、Fe2 O3 を0.001モル添加した
組成において、最も大きな無負荷Q(Qu)を得ること
ができ、また、TiO2 及びFe2 O3 の添加量を変え
ることにより、共振周波数の温度係数(τf)を、0p
pm/℃を中心として、その付近の正又は負の任意の値
に変化させることができる。
のではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能で
あり、それらを本発明の範囲から排除するものではな
い。
よれば、次に示すような効果を奏することができる。 (1)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.008モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化ニッケル(NiO)を添加することによ
り、マイクロ波領域において、比誘電率(εr )及び無
負荷Q(Qu)が大きく、共振周波数の温度係数(τ
f)を、正又は負の任意の値に容易に変化させることが
できる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とNiOを添加した
誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20モル
%、z=20モル%の付近、特にBaOがやや過剰のx
=60.7モル%、y=19.6モル%、z=19.6
モル%にTiO2 を0.005モル、NiOを0.00
2モル添加した組成において、最も大きな無負荷Q(Q
u)を得ることができ、また、TiO2 及びNiOの添
加量を変えることにより、共振周波数の温度係数(τ
f)を、負から正の値へと任意に変化させることができ
る。
0ppm/℃付近となる組成とした場合でも、無負荷Q
(Qu)が非常に大きい値を持っている。このため、マ
イクロ波用の誘電体共振器、誘電体フィルタの小型化、
低損失化が達成できる。 (2)前記主成分1モルに対して、副成分として、0.
1モル以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン
(TiO2 )及び0.003モル以下(但し、0モルを
含まず)の酸化インジウム(In2 O3 )を添加するこ
とにより、マイクロ波領域において、比誘電率(εr )
及び無負荷Q(Qu)が大きく、共振周波数の温度係数
(τf)を、正又は負の任意の値に容易に変化させるこ
とができる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とIn2 O3 を添加
した誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20
モル%、z=20モル%の付近、特にBaOがやや過剰
のx=60.7モル%、y=19.6モル%、z=1
9.6モル%にTiO2 を0.005モル、In2 O3
を0.001モル添加した組成において、最も大きな無
負荷Q(Qu)を得ることができる。また、TiO2 及
びIn2 O3 の添加量を変えることにより、共振周波数
の温度係数(τf)を、0ppm/℃を中心として、そ
の付近の正又は負の任意の値に変化させることができ
る。
として、0.1モル以下(但し、0モルを含まず)の二
酸化チタン(TiO2 )及び0.005モル以下(但
し、0モルを含まず)の酸化鉄(Fe2 O3 )を添加す
ることにより、マイクロ波領域において、比誘電率(ε
r )及び無負荷Q(Qu)が大きく、その組成を変える
ことにより、共振周波数の温度係数(τf)を正又は負
の任意の値に容易に変化させることができる。
y・(Nb2 O5 )zに、TiO2とFe2 O3 を添加
した誘電体セラミックスは、x=60モル%、y=20
モル%、z=20モル%の付近、特に、BaOがやや過
剰のx=61.4モル%、y=19.3モル%、z=1
9.3モル%に、TiO2 を0.005モル、Fe2O
3 を0.001モル添加した組成において、最も大きな
無負荷Q(Qu)を得ることができる。
Claims (3)
- 【請求項1】 酸化バリウム(BaO)、酸化コバルト
(CoO)、酸化ニオブ(Nb2 O5 )よりなる主成分
の組成式が、 (BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )z で表され、x、y、zがそれぞれモル%で、 59.5≦x≦61.8モル%、 19.1≦y≦20.6モル%、 19.1≦z≦20.1モル%の範囲にあり、 前記主成分1モルに対して、副成分として、0.1モル
以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン(TiO
2 )及び0.008モル以下(但し、0モルを含まず)
の酸化ニッケル(NiO)を添加してなることを特徴と
するマイクロ波用誘電体セラミックス。 - 【請求項2】 酸化バリウム(BaO)、酸化コバルト
(CoO)、酸化ニオブ(Nb2 O5 )よりなる主成分
の組成式が、 (BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )z で表され、x、y、zがそれぞれモル%で、 59.5≦x≦61.8モル%、 19.1≦y≦20.6モル%、 19.1≦z≦20.1モル%の範囲にあり、 前記主成分1モルに対して、副成分として、0.1モル
以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン(TiO
2 )及び0.003モル以下(但し、0モルを含まず)
の酸化インジウム(In2 O3 )を添加してなることを
特徴とするマイクロ波用誘電体セラミックス。 - 【請求項3】 酸化バリウム(BaO)、酸化コバルト
(CoO)、酸化ニオブ(Nb2 O5 )よりなる主成分
の組成式が、 (BaO)x・(CoO)y・(Nb2 O5 )z で表され、x、y、zがそれぞれモル%で、 59.5≦x≦61.8モル%、 19.1≦y≦20.6モル%、 19.1≦z≦20.1モル%の範囲にあり、 前記主成分1モルに対して、副成分として、0.1モル
以下(但し、0モルを含まず)の二酸化チタン(TiO
2 )及び0.005モル以下(但し、0モルを含まず)
の酸化鉄(Fe2 O3 )を添加してなることを特徴とす
るマイクロ波用誘電体セラミックス。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06097437A JP3113494B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | マイクロ波用誘電体セラミックス |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP06097437A JP3113494B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | マイクロ波用誘電体セラミックス |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07307113A true JPH07307113A (ja) | 1995-11-21 |
JP3113494B2 JP3113494B2 (ja) | 2000-11-27 |
Family
ID=14192343
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP06097437A Expired - Fee Related JP3113494B2 (ja) | 1994-05-11 | 1994-05-11 | マイクロ波用誘電体セラミックス |
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Country | Link |
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JP (1) | JP3113494B2 (ja) |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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-
1994
- 1994-05-11 JP JP06097437A patent/JP3113494B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JP3113494B2 (ja) | 2000-11-27 |
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