JPH073065A - 発泡性熱可塑性樹脂組成物および発泡成形品の製造方法 - Google Patents

発泡性熱可塑性樹脂組成物および発泡成形品の製造方法

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JPH073065A
JPH073065A JP16836593A JP16836593A JPH073065A JP H073065 A JPH073065 A JP H073065A JP 16836593 A JP16836593 A JP 16836593A JP 16836593 A JP16836593 A JP 16836593A JP H073065 A JPH073065 A JP H073065A
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JP
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thermoplastic resin
resin composition
foaming agent
inorganic filler
molding
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JP16836593A
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Yukihiro Yoshida
幸弘 吉田
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Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 発泡剤及び重量平均粒径が5〜500μmで
且つ重量平均アスペクト比が10以上の鱗片状無機充填
材を含有する発泡性熱可塑性樹脂組成物、並びに該発泡
性熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形品を製造する方
法。 【効果】 本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成物を用いて
発泡成形品を製造すると、短い冷却時間で2次膨張のな
い高い寸法精度を有する品質の良好な発泡成形品を製造
することができ、発泡成形サイクルが短縮されて、高い
生産性で発泡成形品を製造することができ、特に射出成
形による発泡成形に適している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は発泡性熱可塑性樹脂組成
物および発泡成形品の製造方法に関する。詳細には、本
発明は成形品取り出しまでの冷却時間の短縮が可能な発
泡性熱可塑性樹脂組成物および該組成物を用いる発泡成
形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性樹脂成形品を製造するに当た
り、発泡させて軽量化をはかると共にヒケをなくすこと
は、例えば、「プラスチックス」第28巻、第5号、p
5〜17(1977)にも記載されているように従来か
ら知られている。発泡成形品の製造に当たって射出成形
法が広く採用されているが、成形品を充分に冷却してか
ら型から取り出さないと、成形品内部のガス圧によって
型から取り出した時に二次膨張を生じて目的とする寸法
よりも大きくなり寸法精度の低い成形品になる。また、
射出発泡成形などのモールド発泡成形では、いわゆるシ
ョートショット(型キャビテー内での樹脂の不完全充
填)を防止するために発泡剤を多めに添加することが広
く行われているが、その場合には加熱溶融時に発泡剤の
一部が分解せずに残り、それが成形品中で逐次分解して
ガスを発生させることが多く、成形品を取り出した際に
2次膨張を生じ易い。特に、発泡剤として狭い温度範囲
でシャープに分解せず広い温度範囲で徐々に分解してガ
スを発生する発泡剤を用いた場合には、そのような2次
膨張が起こり易い。
【0003】発泡成形品における上記した2次膨張を防
止するためには、成形品を型内で充分に冷却して成形品
表面に成形品内部のガス圧に耐えられる剛性の固化層を
形成させることが必要であり、そのため発泡成形による
場合は通常の非発泡成形に比べて成形品を型から取り出
すまでに長い冷却時間を要する。更に、発泡成形品では
その内部に熱伝導性の小さい気泡が多数存在するため
に、非発泡成形品に比べて一般に熱の伝わり方が遅く、
かかる点からも非発泡成形に比べて冷却速度が遅く、2
次膨張が生じないようにするためには長い冷却時間が必
要である。そのため、発泡成形は軽量化、ヒケ防止など
で優れた特性を有しているにも拘わらず、通常の非発泡
成形に比べて成形サイクルが長くなり生産性が低下し
て、成形コストが高くつくという欠点がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、2次膨張がなく寸法精度に優れた発泡成形品を
短かい冷却時間で製造することのできる発泡性熱可塑性
樹脂組成物を提供することである。更に、本発明の目的
は、2次膨張のない寸法精度に優れた発泡成形品を短い
冷却時間で効率よく製造することのできる発泡成形方法
を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成すべく
本発明者らが研究を続けた結果、発泡性熱可塑性樹脂組
成物中に特定の重量平均粒径と重量平均アスペクト比を
持つ鱗片状無機充填材を含有させると、発泡成形品を従
来の発泡成形におけるよりも短い冷却時間で型などから
取り出しても2次膨張を生じず、寸法精度の高い良好な
発泡成形品を短い成形サイクルで生産性よく製造できる
ことを見出して本発明を完成した。
【0006】したがって、本発明は、熱可塑性樹脂、発
泡剤および重量平均粒径が5〜500μmで且つ重量平
均アスペクト比が10以上である鱗片状無機充填材を含
有することを特徴とする発泡性熱可塑性樹脂組成物であ
る。そして本発明は、熱可塑性樹脂、発泡剤および重量
平均粒径が5〜500μmで且つ重量平均アスペクト比
が10以上である鱗片状無機充填材を含有する発泡性熱
可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形を行うことを特徴と
する発泡成形品の製造方法である。
【0007】本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成物を用い
た場合に、短い冷却時間にも拘わらず発泡成形品を型な
どから取り出した時に2次膨張が生じない理由は必ずし
も明確ではないが、鱗片状無機充填材を配合したことに
よって、薄くても成形品内部のガス圧に耐え得る剛性を
有する固化層が短時間の冷却によって発泡成形品の表面
に形成されることによるものと考えられる。
【0008】本発明では、発泡成形し得る熱可塑性樹脂
であればいずれも使用でき、熱可塑性樹脂の種類は特に
限定されない。そのような熱可塑性樹脂の例としては、
ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレン−プロピレン
共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−
プロピレン−ジエン共重合体などのオレフィン系熱可塑
性樹脂、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重
合体、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリ
塩化ビニルなどを挙げることができる。それらの熱可塑
性樹脂のうちでも、ポリプロピレン、ポリエチレンなど
のオレフィン系熱可塑性樹脂は種々の発泡成形が適用で
き、採用できる成形温度範囲も広く発泡成形が行い易い
ことから好ましく用いられる。熱可塑性樹脂は1種類の
みを使用しても、または2種以上をブレンドして使用し
てもよい。また、熱可塑性樹脂の重合度、平均分子量、
メルトフローレートなどは発泡成形可能な範囲であれば
よく、特に制限されない。
【0009】そして、本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成
物は、重量平均粒径が5〜500μmで且つ重量平均ア
スペクト比が10以上である鱗片状無機充填材を含有す
ることが必要である。鱗片状無機充填材の重量平均粒径
が5μm未満であると、発泡成形品の冷却固化層に剛性
が付与されず短時間の冷却で成形品を取り出すことがで
きず、一方500μmよりも大きいと成形品の表面が荒
れ、しかも成形品のウエルド部の物性が極端に低下して
例えばウエルド強度の著しい低下を招く。鱗片状無機充
填材の重量平均粒径が20〜300μmであると一層良
好な結果が得られる。更に、鱗片状無機充填材の重量平
均アスペクト比が10未満であると発泡成形品の冷却固
化層に剛性が付与されず短時間の冷却で成形品を取り出
すことが困難になる。鱗片状無機充填材の重量平均アス
ペクト比は50以上であるのが好ましく、その上限値は
特に制限されない。
【0010】上記の重量平均粒径および重量平均アスペ
クト比を有し且つ鱗片状を呈する無機充填材であればそ
の種類を問わずいずれも使用することができ、好ましい
例としてはマイカ、ガラスフレーク、タルク、グラファ
イトなどを挙げることができ、それらのうちでも発泡成
形品の弾性率を向上させることができる点、冷却時の固
化層の剛性の向上効果が大きい点で特にマイカが好まし
い。
【0011】ここで、本発明でいう鱗片状無機充填材の
重量平均粒径および重量平均アスペクト比は、以下のよ
うにして求めたときの値である。
【0012】鱗片状無機充填材の重量平均粒径の測定
:目開きが異なる篩を複数用意する。これら複数の篩
を目開きが最大の篩が最初で、目開きが最小の篩が最後
になるように目開きの大きい順に使用して、まず目開き
が最大の第1の篩で分級してその篩上に残留する鱗片状
無機充填材の重量を測定する。次いで、第1の篩上に残
留した鱗片状無機充填材をそれよりも目開きの小さい第
2の篩で分級してその篩上に残留した鱗片状無機充填材
の重量を測定する。この操作を順次繰り返して各篩上に
残留する鱗片状無機充填材の積算重量をRosin Rammler
線図(篩の目開きの大きさを横軸とし、残留鱗片状無機
充填材の積算重量を縦軸とするグラフ)にプロットす
る。鱗片状無機充填材の総重量の50%が通過する篩
(すなわち篩上に残留する鱗片状無機充填材の積算重量
が50%に達した篩)の目開きをL50(μm)として、
鱗片状無機充填材の重量平均粒径L(μm)を下記の数
式により求める。
【0013】
【数3】L(μm)=21/250
【0014】鱗片状無機充填材の重量平均アスペクト比
の測定法:鱗片状無機充填材の重量平均アスペクト比
(AR)とは、上記で求めた重量平均粒径(L)(μ
m)と、下記の方法により測定される鱗片状無機充填材
の重量平均厚さ(d)(μm)から、下記の数式を用
いて算出された値をいう。
【0015】
【数4】AR=L/d
【0016】鱗片状無機充填材の重量平均厚さd(μm)
は、C.E.Capesらの報告による水面単粒子膜法[C.
E.Capes and R.C.Coleman.,Ind.Eng.Chem.Funda
m.,12,124(1973)]により測定される鱗片状無機充
填材の水面での占有面積(S)(cm2)を用いて、下記
の数式により算出される値である。
【0017】
【数5】 d(μm)=[W/{ρ(1−ε)・S}]×104 式中、W=測定に供した鱗片状無機充填材の重量(g) ρ=鱗片状無機充填材の比重 (1−ε)=鱗片状無機充填材が水面上で最密充填状態を
とった時の占有率 [上記式において、鱗片状無機充填材がマイカ粉末の
場合にはρ=2.85g/cm3、(1−ε)=0.9が
用いられる。]
【0018】鱗片状無機充填材の含有量は、発泡性熱可
塑性樹脂組成物の全重量に基づいて、5〜65重量%で
あるのが好ましく、10〜50重量%がより好ましく、
20〜50重量%が更に好ましい。鱗片状無機充填材の
含有量が5重量%未満であると発泡成形品の冷却固化層
に剛性が付与されず短時間の冷却で成形品を取り出すこ
とが困難になり、一方65重量%を超えると樹脂組成物
の溶融混練が困難となり、しかも流動性が低下して発泡
成形性が劣るようになる。
【0019】そして、本発明では発泡剤として加熱によ
り分解してガスを発生するいわゆる化学発泡剤が好まし
く用いられる。一般に化学発泡剤は、単独で用いる場合
と、適当な発泡助剤と組み合わせてその分解温度や分解
挙動を調節して用いる場合とがあり、本発明における
「発泡剤」とは、化学発泡剤単独、および化学発泡剤と
発泡助剤とを組み合わせたものの両方を包含し、両者を
含めて「発泡剤」と表現する。
【0020】本発明で使用し得る発泡剤の例としては、
アゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、
バリウム−アゾジカルボキシラート、p−トルエンスル
ホニルセミカルバジドなどのアゾ系発泡剤;ベンゼンス
ルホニルヒドラジド、p−トルエンスルホニルヒドラジ
ド、4,4’−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジ
ドなどのスルホヒドラジド系発泡剤;ジニトロソペンタ
メチレンテトラミンなどのニトロソ系発泡剤;5−メチ
ル−1−ヒドロ−テトラゾール、5−フェニル−1−ヒ
ドロ−タテトラゾ−ルなどのテトラゾール系発泡剤、重
炭酸ナトリウムなどの無機系発泡剤を挙げることがで
き、これらの発泡剤は単独で使用しても、または2種以
上を組み合わせて使用しても、或いは発泡助剤と組み合
わせて使用してもよい。発泡助剤としては、例えばアゾ
ジカルボンアミドに対してはステアリン酸カルシウム、
ラウリン酸亜鉛などの脂肪酸の金属塩、金属炭酸塩、金
属酸化物などが、ジニトロソペンタメチレンテトラミン
に対しては尿素系化合物や有機酸などが挙げられる。
【0021】発泡剤や発泡助剤の種類は熱可塑性樹脂の
種類、成形温度などに応じて選択して使用することが必
要であり、本発明では、発泡剤の分解温度Tb(℃)
が、下記の式および;
【0022】
【数6】Tb≧Tm Tc≧Tb≧Tc−35 より好ましくは、下記の式および;
【0023】
【数7】Tb≧Tm Tc≧Tb≧Tc−20 [上記式、および中、Tb=発泡剤の分解温度
(℃)、Tm=熱可塑性樹脂の融点(℃)、Tc=発泡性
熱可塑性樹脂組成物の成形温度(℃)を示す]を満足
し、且つ分解終了温度と分解開始温度との差(△Td)
が小さく狭い温度範囲で一挙に分解するものを使用する
のがよい。
【0024】発泡剤の分解温度(Tb)が熱可塑性樹脂
の融点(Tm)よりも低いと熱可塑性樹脂が完全に溶融
しないうちに発泡剤が分解してしまって発生したガスが
樹脂中に充分に保持されず発泡状態の良好な発泡成形品
が得られなくなる。また、発泡剤の分解温度(Tb)が
熱可塑性樹脂の融点(Tm)よりも高い場合であっても
(Tc−35)よりも低いと、キャビティ内の樹脂温度
が発泡剤の分解温度(Tb)以下に冷却されるまでに時
間がかかり好ましくない。一方、発泡剤の分解温度(T
b)が発泡性熱可塑性樹脂組成物の成形品温度(Tc)
よりも高いと、溶融成形時に発泡剤の分解が生じずガス
が発生しないために、発泡が行われず、ショートショッ
トやヒケが発生し易くなる。また本発明では、上記した
分解終了温度と分解開始温度との差(△Td)が20℃
以下の狭い温度範囲で極めてシャープな分解挙動を示す
発泡剤を使用するのが一層好ましい。
【0025】なお、上記において発泡性熱可塑性樹脂組
成物の成形温度(Tc)とは、発泡性熱可塑性樹脂組成
物を溶融成形する際の溶融混練温度をいい、例えば射出
成形や押出成形による場合は射出成形機または押出成形
機におけるシリンダー温度で代表される。
【0026】発泡剤の添加量は、発泡剤の種類(発泡剤
のガス発生量)、製造を目的とする発泡成形品の発泡倍
率、成形方法の種類、成形条件、発泡成形品の形状や大
きさなどに応じて適宜調節する必要があり一概に決まら
ないが、一般に、発泡性熱可塑性樹脂組成物の全重量に
基づいて、発泡剤または発泡剤と発泡助剤との合計量
が、約0.1〜10重量%の範囲になるようにするの
が、成形性や得られる発泡成形品の物性などの点から好
ましい。
【0027】組成物中への発泡剤の添加方法は特に制限
されず、発泡剤が組成物中に均一に混合分散され且つ添
加時に発泡剤の分解が生じないような方法であればいず
れも採用でき、例えば熱可塑性樹脂と鱗片状無機充填材
との混合物から製造されたペレットやチップに発泡剤粉
末を添加する方法、熱可塑性樹脂と発泡剤とから発泡剤
入りのマスターバッチを予め製造しておいてそれを残り
の熱可塑性樹脂や鱗片状無機充填材と混合する方法など
を挙げることができる。
【0028】本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成物は、組
成物の成形加工性および得られる発泡成形品の物性を損
なわない限り、上記した成分の以外に必要に応じて、鱗
片状無機充填材以外の無機充填剤、可塑剤、滑剤、結晶
核剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、染顔料などを含有す
ることができる。
【0029】本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成物の調製
法は特に制限されず任意の方法を採用することができ
る。例えば、発泡剤以外の成分を単軸押出機、二軸押出
機、ニーダー、バンバリーミキサーなどの混練機を使用
して、鱗片状無機充填材が著しく破壊されないようにし
ながら均一に混合・混練してペレットやチップなどを製
造した後に、発泡剤を添加する方法、熱可塑性樹脂の一
部と発泡剤とからマスターペレットをつくり、これを残
りの熱可塑性樹脂や鱗片状無機充填材などとタンブラー
などで混ぜる方法などを採用することができる。また、
発泡剤と発泡助剤とは熱可塑性樹脂中に一緒に混合して
も、別々に混合してもよい。
【0030】そして、上記の発泡性熱可塑性樹脂組成物
を用いて、射出成形、押出成形、射出ブロー成形などに
よって各種の発泡成形品を製造することができる。例え
ば射出成形による場合には、2次膨張がなく寸法精度に
優れ且つその他の物性にも優れた発泡成形品を従来より
も短かい冷却時間で効率よく製造することができる。ま
た場合によっては金型の温度を従来よりも多少高めにし
て射出成形を行っても2次膨張のない発泡成形品を得る
ことが可能である。また、押出成形によって厚肉の発泡
した管状物、板状物、棒状体などを製造する場合は、押
出された発泡成形品を冷却してその寸法を規制するため
の冷却マンドレルに通す冷却媒体の温度を従来よりも高
くしたり、または冷却マンドレルの長さを従来よりも短
くしても2次膨張のない発泡成形品を製造することがで
き、それによって熱効率や設備面での改良を同時に達成
することができる。
【0031】上記した成形法のうちでも、本発明は特に
射出成形に適しており、射出成形時のショートショッ
ト、得られる発泡成形品のヒケなどを防止しながら、短
い冷却時間で2次膨張のない寸法精度に優れた発泡成形
品を高い生産性で製造することができ、特に肉厚が3m
m以上の発泡成形品を射出成形により製造する場合に有
効である。その際の射出成形装置の種類は特に限定され
ず、従来の射出発泡成形機のいずれもが使用できる。ま
た成形温度、成形圧力などの成形条件、発泡剤の種類や
添加量、鱗片状無機充填材の配合量などは、使用する熱
可塑性樹脂の種類、製造を目的とする発泡成形品の種
類、用途、形状、寸法などに応じて、適宜選択採用する
のがよい。
【0032】限定されるものではないが、例えばプロピ
レンホモポリマーを用いて厚さ3mm以上の板状ポリプ
ロピレン発泡成形品を射出成形する場合には、上記した
重量平均粒径および重量平均アスペクト比を有するマイ
カ粉末を5〜65重量%および分解温度約195〜21
0℃(195〜200℃で主に分解)のアゾジカルボン
アミドを0.1〜0.8重量%添加して発泡性熱可塑性
樹脂組成物を調製し、これを用いて射出成形機のシリン
ダー温度200〜235℃の範囲内の温度で溶融混練し
て温度45℃の金型に射出すると、ショートショットが
生じず、しかも40〜60秒程度の短い冷却時間で2次
膨張のない板状発泡成形品を円滑に得ることができる。
【0033】そして、本発明の発泡成形方法による場合
は、音響機器用製品(音響機器のボックスなど)、その
他の電気・電子製品の部品、その他各種の型物、管状
体、板状体などの種々の発泡成形品を円滑に製造するこ
とができる。
【0034】
【実施例】以下に実施例などにより本発明を具体的に説
明するが、本発明はそれにより限定されない。
【0035】《実施例 1》 (1) プロピレンホモポリマー(メルトインデックス
=15g/10分)および重量平均粒径230μmで重
量平均アスペクト比65の金マイカを下記の表1に示し
た割合で配合して押出機で溶融混練してペレットを製造
した。 (2) 上記(1)で製造した各々のペレット100重
量部に対してアゾジカルボンアミド[永和化成工業
(株)製;「ビニホールAC#3」;分解温度208
℃;主として195〜200℃でシャープに分解)0.
25重量部を添加し、この混合物を射出成形機に供給し
て、射出成形機のシリンダー温度230℃で発泡倍率が
1.2倍となるように計量値を調整して、温度45℃の
金型(キャビティーサイズ;長さ100mm、幅100
mm、厚さ6mm;ゲートは長さ2mm、厚さ2mmの
フイルムゲート)内に射出して、金型内で冷却後取り出
して平板状の発泡成形品を製造した。
【0036】(3) 上記(2)の射出成形において、
金型から取り出した発泡成形品の厚さが6mm±0.1
mmの範囲に納まるのに必要な金型内での冷却時間(す
なわち2次膨張のほとんどない発泡成形品を得るのに必
要な金型内での冷却時間)(「最低冷却時間」という)
を調べたところ表1に示す結果を得た。 (4) 上記(2)の射出成形において、最低冷却時間
で射出成形を行ったときのシリンダーにおける発泡性熱
可塑性樹脂組成物の混練状態(流動性)および得られた
発泡成形品の表面状態を下記の表1の欄外に示した評価
基準に従って評価したところ、表1に示すとおりであっ
た。
【0037】
【表1】 実 験 番 号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 配合割合(重量部) ポリプロピレン 100 97 90 80 60 50 40 35 30 マイカ 0 3 10 20 40 50 60 65 70 最低冷却時間(秒) 80 75 60 50 45 43 40 37 −1) 組成物の混練状態 2) ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ △ × 発泡成形品の表面状態 3) ◎ ◎ ◎ ◎ ○ ○ ○ △ × 1) 組成物の混練状態および得られる発泡成形品の表面
状態が不良なため、最低冷却時間は短いが成形全体とし
てあまり意味がない。 2) 組成物の混練状態の評価内容: ◎:流動性が極めて良好で溶融混練時に圧力の異常な上
昇が全くない。 ○:流動性が良好で溶融混練時に圧力の異常な上昇がな
い。 △:流動性がやや不良で溶融混練時に圧力がやや上昇す
る。 ×:流動性が不良で溶融混練時に圧力がかなり上昇す
る。 3) 発泡成形品の表面状態の評価内容: ◎:表面が極めて滑らかで凹凸が全くない。 ○:表面が滑らかで凹凸がほとんどない。 △:表面がやや粗く凹凸が多少ある。 ×:表面が粗く凹凸が多くある。
【0038】上記表1の結果から、マイカを含有する実
験番号2〜9の発泡性熱可塑性樹脂組成物を用いた場合
にはマイカを含有しない実験番号1の発泡性熱可塑性樹
脂組成物を用いた場合に比べて、2次膨張を防止するの
に必要な金型内での最低冷却時間が短くて済み、短い成
形サイクルで成形できること、特にマイカの含有量が1
0〜20である実験番号3、4では、最低冷却時間が短
く且つ成形時の混練状態も良好で外観の優れた発泡成形
品が得られることがわかる。
【0039】《実施例2〜4および比較例1》 (1) 実施例1で用いたのと同じプロピレンホモポリ
マー60重量部に、下記の表2に示す重量平均粒径およ
び重量平均アスペクト比を有する金マイカ40重量部を
配合して押出機で溶融混練してペレットを製造した。 (2) 上記(1)で製造した各々のペレット100重
量部に対して実施例1で用いたのと同じアゾジカルボン
アミド0.25重量部を添加し、この混合物から射出成
形機を用いて、シリンダー温度230℃で発泡倍率が
1.2倍となるように計量値を調整して、実施例1で使
用したのと同じ金型を用いて、金型温度45℃で射出成
形を繰り返して、最低冷却時間を見つけたところ表2に
示すとおりであった。またそのときに得られた発泡成形
品の表面状態を上記表1の場合と同様にして評価したと
ころ、表2のとおりであった。
【0040】《比較例 2》金マイカの代わりに、重量
平均粒径2μm、重量平均アスペクト比8のタルクを用
いた以外は実施例2〜4と同様にしてペレットの製造お
よび発泡成形品の製造を行ったところ、その最低冷却時
間は表2に示すとおりであった。またそのときに得られ
た発泡成形品の表面状態を上記表1の場合と同様にして
評価したところ、表2のとおりであった。
【0041】
【表2】 鱗片状無機充填材 最低冷却時間 発泡成形品 例 種類 重量平均粒径 アスペクト比 の表面状態 実施例2 金マイカ 20μm 20 55秒 ◎ 実施例3 金マイカ 90μm 50 50秒 ◎ 実施例4 金マイカ 230μm 65 45秒 ◎ 比較例1 金マイカ 650μm 90 40秒 × 比較例2 タルク 2μm 8 70秒 ◎
【0042】上記表2の結果から、鱗片状無機充填材の
重量平均粒径が5μm未満であると、発泡成形品の冷却
に長い時間を要すること、また500μmより大きいと
冷却時間は短縮するものの、得られる発泡成形品の表面
状態が粗れ、不良になること、更に重量平均アスペクト
比が10未満であると冷却時間が長くなることがわか
る。
【0043】《実施例 5》 (1) 実施例1で用いたのと同じプロピレンホモポリ
マー90重量部に、重量平均粒径が230μmで重量平
均アスペクト比が65の金マイカ10重量部を配合して
押出機で溶融混練してペレットを製造した。 (2) 上記(1)で製造した各々のペレット100重
量部に対して実施例1で用いたのと同じアゾジカルボン
アミド0.25重量部を添加し、この混合物を射出成形
機に供給して、シリンダー温度210℃で発泡倍率が
1.2倍となるように計量値を調整して、実施例1で使
用したのと同じ金型を用いて、金型温度45℃、冷却時
間40秒で平板状の発泡成形品を製造した。
【0044】(3) アゾジカルボンアミドの代わり
に、重炭酸ナトリウムなどの無機炭酸塩と有機酸発泡助
剤とからなる発泡剤[大日精化(株)製;「ダイブロー
HC」;分解温度150〜160℃と200〜210℃
付近で2段階発泡]0.4重量部[アゾジカルボンアミ
ドを用いる上記(2)の場合と発泡剤からの全体のガス
発生量をほぼ等しくした量]を添加した以外は上記
(2)と同様にして平板状の発泡成形品を製造した。 (4) 上記(2)および(3)で得られた発泡成形品
の厚さを測定したところ、上記(2)で得られた発泡成
形品の厚さは6mmでほとんど2次膨張が生じていなか
ったのに対して、上記(3)で得られた発泡成形品の厚
さは7mmであり、かなりの2次膨張が発生した。
【0045】
【発明の効果】上記した特定の重量平均粒径および重量
平均アスペクト比を有する鱗片状無機充填材を含有する
本発明の発泡性熱可塑性樹脂組成物を用いて発泡成形品
を製造すると、短い冷却時間で2次膨張のない高い寸法
精度を有する品質の良好な発泡成形品を製造することが
でき、発泡成形サイクルが短縮されて、高い生産性で発
泡成形品を製造することができる。特に上記発泡性熱可
塑性樹脂組成物を用いて射出成形を行った場合には、短
縮された冷却時間で各種の発泡成形品を効率よく製造す
ることができる。上記の発泡成形を行うに当たって、特
に発泡剤としてその分解温度が熱可塑性樹脂の融点以上
で、且つ(発泡性熱可塑性樹脂組成物の成形品温度−3
5℃)〜(発泡性熱可塑性樹脂組成物の成形温度)の範囲
のものを使用した場合には、ショートショットおよびヒ
ケの防止、冷却時間の短縮に一層優れた効果が奏され
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱可塑性樹脂、発泡剤および重量平均粒
    径が5〜500μmで且つ重量平均アスペクト比が10
    以上である鱗片状無機充填材を含有することを特徴とす
    る発泡性熱可塑性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 鱗片状無機充填材の含有量が発泡性熱可
    塑性樹脂組成物の全重量に基づいて5〜65重量%であ
    る請求項1の発泡性熱可塑性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 発泡剤の分解温度Tb(℃)が、下記の
    式および; 【数1】Tb≧Tm Tc≧Tb≧Tc−35 [式中、Tb=発泡剤の分解温度(℃)、Tm=熱可塑性
    樹脂の融点(℃)、Tc=発泡性熱可塑性樹脂組成物の
    成形温度(℃)を示す]を満足する請求項1または2の
    発泡性熱可塑性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 熱可塑性樹脂、発泡剤および重量平均粒
    径が5〜500μmで且つ重量平均アスペクト比が10
    以上である鱗片状無機充填材を含有する発泡性熱可塑性
    樹脂組成物を用いて発泡成形を行うことを特徴とする発
    泡成形品の製造方法。
  5. 【請求項5】 鱗片状無機充填材の含有量が発泡性熱可
    塑性樹脂組成物の全重量に基づいて5〜65重量%であ
    る請求項4の製造方法。
  6. 【請求項6】 発泡剤として、その分解温度Tb(℃)
    が、下記の式および; 【数2】Tb≧Tm Tc≧Tb≧Tc−35 [式中、Tb=発泡剤の分解温度(℃)、Tm=熱可塑性
    樹脂の融点(℃)、Tc=発泡性熱可塑性樹脂組成物の
    成形温度(℃)を示す]を満足する発泡剤を用いる請求
    項4または5の製造方法。
  7. 【請求項7】 射出成形により発泡成形品を製造する請
    求項4〜6のいずれか1項の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2002018495A1 (fr) * 2000-08-29 2002-03-07 Otsuka Chemical Co., Ltd. Composition de resine, objet moule fabrique a partir d'une telle composition et utilisation correspondante
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JP2017516885A (ja) * 2014-04-17 2017-06-22 イメリス タルク ユーロープ 無機微粒子充填剤を含むポリマーベースの発泡体組成物

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