JPH073061B2 - パイロット杭 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は鋼管杭、鋼管矢板等をウオータージエツトを利
用して堅硬な地盤に打設する方法に使用されるパイロッ
ト杭に係るものである。

（従来の技術） ウオタージエツトを利用して堅硬な地盤に杭を打設する
工法においては、同地盤に貫入される杭躯体に直接圧力
水噴射パイプ等の装置を取り付け、杭の打設が完了した
のち、この装置だけを引抜くか、または杭躯体とともに
地盤中に埋め殺す方法がある。

第３図は埋め殺し型式の従来の杭を示し、杭躯体（ａ）
に、先端に圧力水噴射ノズル（ｂ）を具えた圧力水噴射
パイプ（ｃ）及び同各パイプ（Ｃ）に接続する圧力水供
給配管（ｄ）が固定され、杭の打設完了後、杭躯体
（ａ）とともに埋め殺される。

第４図及び第５図は夫々外籠式並に内籠式の従来の杭を
示し、前記圧力水噴射パイプ（ｃ）及び圧力水供給配管
（ｄ）を具えた籠状体（ｅ）が杭躯体（ａ）の外周面、
または内周面に取付金具（ｆ）、バンド（ｇ）等を介し
て着脱自在に装着され、杭打完了後、杭躯体より引き抜
かれるように構成されている。

（発明が解決しようとする課題） 杭躯体とともに圧力水噴射装置を地中に埋め殺す方法で
は、同装置を杭全数に取付けるために多大の時間と費用
とを要する他に、前記圧力水噴射装置が転用できず、コ
スト高となる。

また杭打設後、圧力水噴射装置を撤収する方法では、同
装置を杭の施工数量全部に取り付け、撤収するために、
多大の時間と費用とを要する。

更に前記両方法のいずれの場合においても、杭躯体先端
から噴出させるウオータージエツトの数は、圧力水噴射
パイプ及び圧力水噴射ノズルの数で決まり、同ノズルか
らの噴出水の数を増大させるにはパイプ数等が増大し、
重量が増加するとともに、材料費、取付費用及び時間も
増大する。

更にまた、圧力水噴射ノズルまでの装備、即ち圧力水供
給用ジェットポンプやパイプ等の部分的な不具合が発生
した場合、各ノズルからの噴射水に不均衡を生起した場
合、地盤の形状、硬度、性状に即応して前記ノズルの数
などを調整することは困難であった。

本発明は前記従来技術の有する問題点に鑑みて提案され
たもので、その目的とする処は、圧力水噴射装置の転用
が可能で、工期の短縮と工費の節減が図られ、地盤の性
状に即応して施工され、装置の一部故障等に対応できる
パイロツト杭を提供する点にある。

（課題を解決するための手段） 前記の目的を達成するため、本発明に係るパイロット杭
によれば、杭駆体に剛強に取り付けられた圧力水供給管
に接続され、且つ前記杭駆体の下端に接続され、同駆体
の全周に延びる環状の水室の下底部に、所定間隔毎に圧
力水噴射ノズル及び盲ノズルを着脱自在に装着して構成
されている。

（作用） 本発明によればパイロット杭駆体に剛強に接続された圧
力水供給管を介して、同管に接続され、且つ前記杭駆体
下端の全周に延びる環状の水室の下底部に所定間隔毎に
装着された圧力水噴射ノズルより他盤内に圧力水を噴射
することによって、同地盤を所定深度まで先行掘削した
のち、前記パイロット杭を引き抜き、同パイロット杭に
よる掘削孔内に本設杭を圧力水供給設備を設けることな
く打設し、以下この工程を反覆して、所要数の本設杭を
所要位置に打設するものである。

また前記パイロット杭における杭躯体の下端部に配設さ
れ、同躯体に装架された圧力水供給配管に接続する水室
の下底部に着脱自在に装着された圧力水噴射ノズルを、
地盤に即応してその径、取付数量、位置を調整すること
によって、また盲ノズルを適宜位置に装着することと相
俟って圧力水噴射による効果的な削孔が行なわれるもの
である。

（実施例） 以下、本発明を図示の実施例について説明する。

（１）はパイロツト杭の杭躯体で、本設杭と類似した形
状を有し、反覆使用に耐えるように材質、肉厚が選定さ
れ、下端部に躯体全周に亘って延びる環状の水室（２）
が配設され、同水室（２）は前記杭躯体（１）に溶接等
によって剛強に取付けられた圧力水供給パイプ（３）等
の圧力水供給装置に接続されている。更に前記水室
（２）の下底部には所定位置毎に、圧力水噴射ノズル
（４）が着脱自在に装着されている。

なお前記圧力水供給装置も反覆使用に耐え得るように、
材質、肉厚等が選定される。

このように構成されたパイロツト杭を、前記ノズル
（４）より圧力水を噴射するとともに、振動杭打機等の
補助手段を使用して、所定の位置に所定深さまで地盤内
に打設する。

前記パイロツト杭の打設が完了すると、同パイロツト杭
を引き抜き、地盤に形成された削孔部内に本設杭を、圧
力水噴射装置を設けることなく、振動杭打機等の補助機
械のみによって打設し、以下前記工程を反覆して多数の
本設杭を打設する。

なお前記パイロツト杭における水室の下底部に装着され
る圧力水噴射ノズル（４）の径を各種用意し、また噴出
口のない盲ノズルも準備して、これらを地盤に合わせて
配置し、効果的な削孔が行なわれるようにする。

即ち従来の杭で、圧力水噴出口の数は同杭に装架された
圧力水噴射パイプの数によって制限されたが、前記パイ
ロツト杭においては、地盤の性質に即応して圧力水噴射
ノズル（４）間の距離ｌを、盲ノズルを適当に配置する
ことによって自由に調整し、適正な削孔を行なうことが
できる。また打設中に生起する杭の傾斜に対しては、前
記ノズル（４）の間隔、径等を調整することによってこ
の傾斜を矯正することができる。

（発明の効果〕 本発明によれば前記したように、本設杭の打設に先行し
て、圧力水供給設備を杭躯体に一体に装備したパイロツ
ト杭から地盤内に圧力水を噴射することによって、同パ
イロツト杭により地盤を掘削したのち、同パイロツト杭
による掘削孔に前記本設杭を打設するようにしたので、
同本設杭の打設には圧力水供給装置等を一切使用するこ
となく施工が可能となり、従って同圧力水供給装置を本
設杭に装着するための資材費、労務費、機械設備費が節
減され、且つ工期を短縮することがでる。

また前記パイロツト杭の先端部を地盤の性質に合わせて
補強し、同地盤を削孔することによって、同削孔部に打
設される本設杭自体は打設時に抵抗を考慮することな
く、本設杭の本来の目的に対応する強度で設計できるの
で、本設杭の経済的な設計が可能となる。

更にパイロツト杭を使用して先行掘削することによっ
て、本設杭には打設のための圧力水噴射装置等の取付加
工が不要となり、近年この種の杭に用いられる防蝕等の
被覆を毀傷することなく施工することが可能となり、鋼
管杭や矢板が広範囲に利用できるようになる。

本発明に係るパイロツト杭は前記したように、杭の杭躯
体下端部に、同躯体に装架された圧力水供給配管に接続
された杭駆体の全周に延びる水室を設けるとともに、同
水室の下底部に圧力水噴射ノズルを着脱自在に装着して
パイロツト杭を構成したので、地盤の性質に即応してノ
ズル径及び同ノズル間の間隔を調整することによって、
パイロツト杭による効果的な削孔が行なわれるものであ
る。また杭打設中に生起する杭の傾動に対しても、前記
ノズルの径、ノズル間隔を調整することによって対応す
ることが可能となる。

また杭躯体下端部に前記水室を設けたことによって、同
水室よりその下底部に装着された各圧力水噴射ノズルに
供給される圧力水の水圧は平均化され、従来工法におい
て生起した前記各ノズルまでの設備に一部不具合があっ
た場合の圧力水吐出圧、吐出量の片寄りに起因する杭打
設時の弊害を回避することができる。

更に鋼管矢板のように継手部を有する杭の打設には、従
来工法で対応が困難であったが、前記水室部分の形状を
継手部の形状に合わせて製作し、この部分に圧力水噴射
ノズルを配置することによって、継手等の異形部を有す
る削孔部の施工が有効に行なわれる。

更にまた口径が大きく、長尺の杭では、従来工法によれ
ば、圧力水噴射装置は圧力水噴射ノズルの数に合わせて
配置するのが普通であるが、前記したようにパイロツト
杭躯体下端部に水室を設けたことによって、水室までの
最低限の圧力水供給パイプを装備するだけでよいので、
資材費が節減され、重量が軽減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係るパイロツト杭の一部を欠截して示
した部分斜視図、第２図はその圧力水噴射ノズルの配置
図、第３図乃至第５図は夫々従来の圧力水噴射設備を有
する杭の部分斜視図、第６図はその圧力水噴射ノズルの
配置図である。 （１）……パイロツト杭の杭躯体、 （２）……水室、 （３）……圧力水供給パイプ、 （４）……圧力水噴射ノズル。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】杭駆体に剛強に取り付けられた圧力水供給
   管に接続され、且つ前記杭駆体の下端に接続され、同駆
   体の全周に延びる環状の水室の下底部に、所定間隔毎に
   圧力水噴射ノズル及び盲ノズルを着脱自在に装着してな
   ることを特徴とするパイロット杭。