JPH07305166A - マグネトロンスパッタリング方法 - Google Patents
マグネトロンスパッタリング方法Info
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- JPH07305166A JPH07305166A JP20507694A JP20507694A JPH07305166A JP H07305166 A JPH07305166 A JP H07305166A JP 20507694 A JP20507694 A JP 20507694A JP 20507694 A JP20507694 A JP 20507694A JP H07305166 A JPH07305166 A JP H07305166A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 低圧力で、小投入電力密度のマグネトロンス
パッタリングを実現することである。 【構成】 マグネトロンスパッタリング方法において、
カソード表面上の空間は非平衡マグネトロン形をもつ磁
界により左右され、投入電力は最小自己スパッタリング
投入電力以上の値をもち、動作圧力は最大自己スパッタ
リング圧力よりも低い値をもち、カソード物質はスパッ
タリングされる原子とプロセス雰囲気中で安定してスパ
ッタリングされる。プロセスガスの圧力は1.5×10
−2Paよりも低く、カソードの投入電力負荷は2〜2
50W/cm2の範囲にある。非平衡マグネトロン形を
もつ磁界は、少なくとも2つの磁界、すなわちマグネト
ロン型の磁界と非平衡磁界の組合せにより得られる。ス
パッタリングされる物質は銅、銀、金、鉛、などの元素
またはこれらの合金である。
パッタリングを実現することである。 【構成】 マグネトロンスパッタリング方法において、
カソード表面上の空間は非平衡マグネトロン形をもつ磁
界により左右され、投入電力は最小自己スパッタリング
投入電力以上の値をもち、動作圧力は最大自己スパッタ
リング圧力よりも低い値をもち、カソード物質はスパッ
タリングされる原子とプロセス雰囲気中で安定してスパ
ッタリングされる。プロセスガスの圧力は1.5×10
−2Paよりも低く、カソードの投入電力負荷は2〜2
50W/cm2の範囲にある。非平衡マグネトロン形を
もつ磁界は、少なくとも2つの磁界、すなわちマグネト
ロン型の磁界と非平衡磁界の組合せにより得られる。ス
パッタリングされる物質は銅、銀、金、鉛、などの元素
またはこれらの合金である。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、カソード物質のマグネ
トロンスパッタリング方法に関し、特に、たとえば1.
5×10−2Paから、真空装置の基底圧力までの非常
に低い圧力におけるグロー放電の維持とカソードにおけ
る投入電力密度の最小化の問題を解決するものである。
トロンスパッタリング方法に関し、特に、たとえば1.
5×10−2Paから、真空装置の基底圧力までの非常
に低い圧力におけるグロー放電の維持とカソードにおけ
る投入電力密度の最小化の問題を解決するものである。
【0002】
【従来の技術】直流グロー放電におけるカソードスパッ
タリングは、たとえば薄膜の形成に用いられる公知のプ
ロセスである。カソードとアノード間のグロー放電にお
ける従来の二極型スパッタリングでは、ガスのイオン化
度が低く、10〜100Pa程度の高圧の作動ガスにお
いてのみ動作が可能であり、効果的ではなかった。より
低い動作圧力を達成するために、さまざまな方法が用い
られている。最も一般的に用いられているのは、米国特
許第3878085号(1975年)および米国特許第
4166018号(1979年)に開示されたマグネト
ロン原理に基づくものである。平板マグネトロンにおい
ては、磁界が、カソード上に、2つの同心状に配置され
た磁極間の磁力線による閉トンネルの形で発生する。交
差した電界と磁界における電子ドリフトの結果として、
電子の軌道はかなり長くなり、そのイオン化能力は増加
する。通常5×10−1Pa〜10Paの放電開始圧力
に少なくとも等しい圧力において、通常約500V〜1
000Vの電圧をカソードと真空室との間に与えると、
安定したグロー放電が開始され、次いで、動作圧力を、
放電が自然停止する放電停止圧力よりも大きい値に設定
する。マグネトロンにおける放電停止圧力は、通常2×
10−1〜1Paの範囲にある。例外として、J.L.
VossenおよびW.Kern編「Thin Fil
m Processes(薄膜プロセス)」(アカデミ
ック・プレス、ニューヨーク、1978年発行)によれ
ば、マグネトロングロー放電は、約10−1Paより低
い動作圧力において安定であり、下限は約5×10−2
Paである。この理由は、安定した放電開始には、カソ
ード上の分子の、特定の最小分子密度が必要であること
である。
タリングは、たとえば薄膜の形成に用いられる公知のプ
ロセスである。カソードとアノード間のグロー放電にお
ける従来の二極型スパッタリングでは、ガスのイオン化
度が低く、10〜100Pa程度の高圧の作動ガスにお
いてのみ動作が可能であり、効果的ではなかった。より
低い動作圧力を達成するために、さまざまな方法が用い
られている。最も一般的に用いられているのは、米国特
許第3878085号(1975年)および米国特許第
4166018号(1979年)に開示されたマグネト
ロン原理に基づくものである。平板マグネトロンにおい
ては、磁界が、カソード上に、2つの同心状に配置され
た磁極間の磁力線による閉トンネルの形で発生する。交
差した電界と磁界における電子ドリフトの結果として、
電子の軌道はかなり長くなり、そのイオン化能力は増加
する。通常5×10−1Pa〜10Paの放電開始圧力
に少なくとも等しい圧力において、通常約500V〜1
000Vの電圧をカソードと真空室との間に与えると、
安定したグロー放電が開始され、次いで、動作圧力を、
放電が自然停止する放電停止圧力よりも大きい値に設定
する。マグネトロンにおける放電停止圧力は、通常2×
10−1〜1Paの範囲にある。例外として、J.L.
VossenおよびW.Kern編「Thin Fil
m Processes(薄膜プロセス)」(アカデミ
ック・プレス、ニューヨーク、1978年発行)によれ
ば、マグネトロングロー放電は、約10−1Paより低
い動作圧力において安定であり、下限は約5×10−2
Paである。この理由は、安定した放電開始には、カソ
ード上の分子の、特定の最小分子密度が必要であること
である。
【0003】上述した従来の平衡マグネトロンのほか
に、非平衡マグネトロンも開発されており、「Jour
nal of Vacuum Science and
Technology」A4(1986年発行)の1
96頁に掲載されたB.WindowおよびN.Sav
videsの論文、および、「Journal ofV
acuum Science and Technol
ogy」A9(1991年発行)の1171頁に掲載さ
れたJ.Musil、S.Kadleca、W.D.M
uenzの論文などに記載されている。平衡マグネトロ
ンおよび非平衡マグネトロンの差異は、平衡マグネトロ
ンの場合にはカソード中心部の磁界が周縁部と同程度の
強さをもつのに対し、非平衡マグネトロンの場合には、
中心部(非平衡マグネトロン1型)もしくは周縁部(非
平衡マグネトロン2型)のいずれかにおける磁界がより
強くなっていることである。非平衡マグネトロン2型に
おいて、軸における磁界の方向は、カソードから特定の
距離のところで反転し、ここで外側磁極の磁界は内側磁
極の磁界よりも優勢になる。実際のところ、「非平衡マ
グネトロン」という名称は、非平衡マグネトロン2型に
対して用いられはじめたものである。これは、平衡マグ
ネトロンおよび非平衡マグネトロン1型の両者に比べ
て、非平衡マグネトロン2型では、基板におけるプラズ
マ密度が高いからである。これらすべての型のマグネト
ロンは、カソード近傍においては、2つの同心磁極のあ
いだの磁力線の閉トンネルの形をした、むしろ同様な磁
界を有している。したがって、これらのマグネトロンの
磁界を「マグネトロン型の磁界」と呼ぶことができる。
ところで、非平衡マグネトロンにおいてさえ、従来のも
のよりも低い放電停止圧力は知られていない。また、カ
ソード表面におけるマグネトロン放電の平均出力密度
は、従来のおよび非平衡マグネトロンの場合の双方にお
いて、通常1〜20W/cm2の程度の値である。
に、非平衡マグネトロンも開発されており、「Jour
nal of Vacuum Science and
Technology」A4(1986年発行)の1
96頁に掲載されたB.WindowおよびN.Sav
videsの論文、および、「Journal ofV
acuum Science and Technol
ogy」A9(1991年発行)の1171頁に掲載さ
れたJ.Musil、S.Kadleca、W.D.M
uenzの論文などに記載されている。平衡マグネトロ
ンおよび非平衡マグネトロンの差異は、平衡マグネトロ
ンの場合にはカソード中心部の磁界が周縁部と同程度の
強さをもつのに対し、非平衡マグネトロンの場合には、
中心部(非平衡マグネトロン1型)もしくは周縁部(非
平衡マグネトロン2型)のいずれかにおける磁界がより
強くなっていることである。非平衡マグネトロン2型に
おいて、軸における磁界の方向は、カソードから特定の
距離のところで反転し、ここで外側磁極の磁界は内側磁
極の磁界よりも優勢になる。実際のところ、「非平衡マ
グネトロン」という名称は、非平衡マグネトロン2型に
対して用いられはじめたものである。これは、平衡マグ
ネトロンおよび非平衡マグネトロン1型の両者に比べ
て、非平衡マグネトロン2型では、基板におけるプラズ
マ密度が高いからである。これらすべての型のマグネト
ロンは、カソード近傍においては、2つの同心磁極のあ
いだの磁力線の閉トンネルの形をした、むしろ同様な磁
界を有している。したがって、これらのマグネトロンの
磁界を「マグネトロン型の磁界」と呼ぶことができる。
ところで、非平衡マグネトロンにおいてさえ、従来のも
のよりも低い放電停止圧力は知られていない。また、カ
ソード表面におけるマグネトロン放電の平均出力密度
は、従来のおよび非平衡マグネトロンの場合の双方にお
いて、通常1〜20W/cm2の程度の値である。
【0004】磁界および電界の組合せを用い、マグネト
ロンカソードにおいて特に例外的に良好なプラズマ閉じ
込めを可能としたマグネトロンシステムにおいて、ほぼ
2×10−2Pa〜3×10−2Paの放電停止圧力値
が得られた。このようなシステムの1つとして、反対向
きにならべた複数個の磁石を備えた、同じ大きさの2つ
の円形マグネトロンの組合せがある。「Journal
of Applied Physics」60号(1
986年発行)の2096頁に掲載されたM.Mats
uoka、Y.Hoshi、M.Naoeによる論文を
参照されたい。チェコ特許出願第PV4804−89号
には、マグネトロンスパッタリングにおいて低い放電停
止圧力を達成するための別の方法が記載されており、こ
れは、従来のまたは非平衡マグネトロンの磁界と多極磁
界に組合せたものを利用している。上述の2つのシステ
ムにおけるものとほぼ等しい、約1.5×10−2Pa
までの低圧が、S.Kadlec、J.Musil、
A.Rajskyのチェコ特許出願第PV1542−9
3号によるシステムにおいて得られる。このシステムに
おいて、スパッタリングされるカソード表面上の空間
は、磁界により左右され、カソード表面と2回交わる磁
界の磁力線は、できるだけ広いカソード領域に、たとえ
ば、カソード表面積全体の80%より大きい領域に広が
る。すなわち、磁界は、ターゲット周縁部から生じる磁
力線の大多数がカソードの中心部と交わり、同様に、カ
ソードの中心部から生じる磁力線の大多数がターゲット
周縁部と交わるという形状を有している。この状態にお
いて、マグネトロン放電の最小放電開始圧力と最小放電
停止圧力が達成される。
ロンカソードにおいて特に例外的に良好なプラズマ閉じ
込めを可能としたマグネトロンシステムにおいて、ほぼ
2×10−2Pa〜3×10−2Paの放電停止圧力値
が得られた。このようなシステムの1つとして、反対向
きにならべた複数個の磁石を備えた、同じ大きさの2つ
の円形マグネトロンの組合せがある。「Journal
of Applied Physics」60号(1
986年発行)の2096頁に掲載されたM.Mats
uoka、Y.Hoshi、M.Naoeによる論文を
参照されたい。チェコ特許出願第PV4804−89号
には、マグネトロンスパッタリングにおいて低い放電停
止圧力を達成するための別の方法が記載されており、こ
れは、従来のまたは非平衡マグネトロンの磁界と多極磁
界に組合せたものを利用している。上述の2つのシステ
ムにおけるものとほぼ等しい、約1.5×10−2Pa
までの低圧が、S.Kadlec、J.Musil、
A.Rajskyのチェコ特許出願第PV1542−9
3号によるシステムにおいて得られる。このシステムに
おいて、スパッタリングされるカソード表面上の空間
は、磁界により左右され、カソード表面と2回交わる磁
界の磁力線は、できるだけ広いカソード領域に、たとえ
ば、カソード表面積全体の80%より大きい領域に広が
る。すなわち、磁界は、ターゲット周縁部から生じる磁
力線の大多数がカソードの中心部と交わり、同様に、カ
ソードの中心部から生じる磁力線の大多数がターゲット
周縁部と交わるという形状を有している。この状態にお
いて、マグネトロン放電の最小放電開始圧力と最小放電
停止圧力が達成される。
【0005】10−2Paより低いレベルの圧力におけ
る直流マグネトロングロー放電の閉じ込めのメカニズム
は、第8回国際真空会議(カンヌ、1980年)論文集
第1巻に掲載されたN.Hosokawa、T.Tsu
kada、H.Kitaharaの論文に開示されてい
る。このグロー放電は、銅製の円筒カソードを備えたマ
グネトロンにおいて観察された。著者らの示すところに
よれば、10−1Pa程度の通常の放電開始圧力におい
て、マグネトロン放電が開始され、カソードにおける投
入電力密度が約100W/cm2の特定の最小値を越え
て増加した後、スパッタリングされる銅粒子の密度は、
動作圧力が10−2Paより低くなった後でも放電が持
続する程度に増加する。この放電は、「自己維持型スパ
ッタリング放電」と名付けられている。これは、放電中
にイオン化されていく、スパッタリングされた物質自身
の雲の中で放電が開始されて持続し、ふたたびカソード
表面に戻ってスパッタリングするからである。そこで、
このような自己スパッタリング放電は、非常に低い圧
力、たとえば、真空装置の到達圧力において開始するこ
とができる。その安定性のためには、以下の3つの条件
が必須である。
る直流マグネトロングロー放電の閉じ込めのメカニズム
は、第8回国際真空会議(カンヌ、1980年)論文集
第1巻に掲載されたN.Hosokawa、T.Tsu
kada、H.Kitaharaの論文に開示されてい
る。このグロー放電は、銅製の円筒カソードを備えたマ
グネトロンにおいて観察された。著者らの示すところに
よれば、10−1Pa程度の通常の放電開始圧力におい
て、マグネトロン放電が開始され、カソードにおける投
入電力密度が約100W/cm2の特定の最小値を越え
て増加した後、スパッタリングされる銅粒子の密度は、
動作圧力が10−2Paより低くなった後でも放電が持
続する程度に増加する。この放電は、「自己維持型スパ
ッタリング放電」と名付けられている。これは、放電中
にイオン化されていく、スパッタリングされた物質自身
の雲の中で放電が開始されて持続し、ふたたびカソード
表面に戻ってスパッタリングするからである。そこで、
このような自己スパッタリング放電は、非常に低い圧
力、たとえば、真空装置の到達圧力において開始するこ
とができる。その安定性のためには、以下の3つの条件
が必須である。
【0006】1.スパッタリング率Sが充分高いこと。
【0007】2.スパッタリングされる金属イオン化の
確率aが充分高いこと。
確率aが充分高いこと。
【0008】3.イオン化された金属がカソードに戻る
確率bが充分高いこと。
確率bが充分高いこと。
【0009】安定した自己スパッタリング放電を持続す
るためには、次式の関係が成り立つことが必要である。
るためには、次式の関係が成り立つことが必要である。
【0010】a・b・S > 1 第1の条件は、カソード物質と放電電圧の選択に関連す
る。第2の条件は、実際のところ、自己スパッタリング
を充分な高電流とカソードにおける高投入電力密度に制
限する。なぜなら、確率aは、カソードにおける投入電
力密度にほぼ直接的に比例するからである。放電中のプ
ラズマ閉じ込めの善し悪しは、第2および第3の条件の
組み合わせによって決められる。自己スパッタリング放
電技術における従来技術の基本的な問題は、最適なプラ
ズマ閉じ込め方法を見つけることであった。
る。第2の条件は、実際のところ、自己スパッタリング
を充分な高電流とカソードにおける高投入電力密度に制
限する。なぜなら、確率aは、カソードにおける投入電
力密度にほぼ直接的に比例するからである。放電中のプ
ラズマ閉じ込めの善し悪しは、第2および第3の条件の
組み合わせによって決められる。自己スパッタリング放
電技術における従来技術の基本的な問題は、最適なプラ
ズマ閉じ込め方法を見つけることであった。
【0011】安定した持続性自己スパッタリング放電
は、上述した円筒マグネトロンのほかにも、ドイツ特許
公開公報第3527626号に開示されたM.Geis
ler、J.Kieser、R.Kuklaの発明によ
る、広い侵食ゾーンを備えた従来の平板マグネトロンに
おいても達成された。「Vacuum」第41巻(19
90年発行)1968頁に掲載されたR.Kukla、
T.Krug、R.Ludwig、K.Wilmers
の論文を参照されたい。従来の平板マグネトロンにおけ
るさらに別の実験が、W.Posadowskiにより
実施され、「Surface and Coating
s Technology」第49巻(1991年発
行)290頁に記載されている。これらの事例すべてに
おいて、銅製のカソードを用いた場合にのみ実験は成功
した。その他の物質を用いての自己スパッタリング放電
はまだ知られていない。完全を期すために、さらに別の
安定した放電が開示されていることを付け加える。この
方法では、銅蒸気中で励起され、直流およびマイクロ波
放電を縦方向磁界中の電子サイクロトロン共振に組み合
わせている。「Journal of Vacuum
Science andTechnology」A9
(1991年発行)466頁を参照されたい。
は、上述した円筒マグネトロンのほかにも、ドイツ特許
公開公報第3527626号に開示されたM.Geis
ler、J.Kieser、R.Kuklaの発明によ
る、広い侵食ゾーンを備えた従来の平板マグネトロンに
おいても達成された。「Vacuum」第41巻(19
90年発行)1968頁に掲載されたR.Kukla、
T.Krug、R.Ludwig、K.Wilmers
の論文を参照されたい。従来の平板マグネトロンにおけ
るさらに別の実験が、W.Posadowskiにより
実施され、「Surface and Coating
s Technology」第49巻(1991年発
行)290頁に記載されている。これらの事例すべてに
おいて、銅製のカソードを用いた場合にのみ実験は成功
した。その他の物質を用いての自己スパッタリング放電
はまだ知られていない。完全を期すために、さらに別の
安定した放電が開示されていることを付け加える。この
方法では、銅蒸気中で励起され、直流およびマイクロ波
放電を縦方向磁界中の電子サイクロトロン共振に組み合
わせている。「Journal of Vacuum
Science andTechnology」A9
(1991年発行)466頁を参照されたい。
【0012】自己スパッタリング放電と従来のスパッタ
リングとを区別するには、放電電力と使用されるプロセ
スガスの動作圧力の値が重要である。圧力値が最大自己
スパッタリング圧力よりも高い場合において、放電の自
然停止を招くことなく、放電に供給される電力を実質的
に無制限に減少することができる(図1参照)。すなわ
ち、放電は、充分高圧のガス中で開始され、スパッタリ
ングは通常と同じである。圧力値が最大自己スパッタリ
ング圧力よりも低い場合には、安定した放電維持のため
に必要な最小自己スパッタリング投入電力が必ず存在す
る。ここで、最小自己スパッタリング投入電力は動作圧
力に対応する。放電に供給される電力が最小自己スパッ
タリング投入電力よりも低い値に下がったときには、放
電は停止する。動作圧力が下がると、最小自己スパッタ
リング投入電力は増加する。図1を参照して、放電に供
給される電力が充分高いときには、動作圧力を無制限に
減少できる。すなわち、最大自己スパッタリング圧力よ
りも低い動作圧力と、最小自己スパッタリング投入電力
よりも高い電力の領域は、安定した自己スパッタリング
放電維持の領域である。たとえば、「Surface
and Coatings Technology」第
49巻(1991年発行)290頁に掲載されたW.P
osadowskiの論文において、この領域は、最大
自己スパッタリング圧力−アルゴン中で約7×10−2
Pa−よりも低い圧力と、この圧力において37W/c
m2を越え、真空装置の極限圧力において67W/cm
2を越える、銅カソードにおける投入電力密度値に対応
する。
リングとを区別するには、放電電力と使用されるプロセ
スガスの動作圧力の値が重要である。圧力値が最大自己
スパッタリング圧力よりも高い場合において、放電の自
然停止を招くことなく、放電に供給される電力を実質的
に無制限に減少することができる(図1参照)。すなわ
ち、放電は、充分高圧のガス中で開始され、スパッタリ
ングは通常と同じである。圧力値が最大自己スパッタリ
ング圧力よりも低い場合には、安定した放電維持のため
に必要な最小自己スパッタリング投入電力が必ず存在す
る。ここで、最小自己スパッタリング投入電力は動作圧
力に対応する。放電に供給される電力が最小自己スパッ
タリング投入電力よりも低い値に下がったときには、放
電は停止する。動作圧力が下がると、最小自己スパッタ
リング投入電力は増加する。図1を参照して、放電に供
給される電力が充分高いときには、動作圧力を無制限に
減少できる。すなわち、最大自己スパッタリング圧力よ
りも低い動作圧力と、最小自己スパッタリング投入電力
よりも高い電力の領域は、安定した自己スパッタリング
放電維持の領域である。たとえば、「Surface
and Coatings Technology」第
49巻(1991年発行)290頁に掲載されたW.P
osadowskiの論文において、この領域は、最大
自己スパッタリング圧力−アルゴン中で約7×10−2
Pa−よりも低い圧力と、この圧力において37W/c
m2を越え、真空装置の極限圧力において67W/cm
2を越える、銅カソードにおける投入電力密度値に対応
する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、先行
技術の欠点を解決し、特に、できるかぎり低い範囲の放
電電力における安定した自己スパッタリング放電を達成
すると共に、この放電の特性の最適化の問題を解決する
ことである。
技術の欠点を解決し、特に、できるかぎり低い範囲の放
電電力における安定した自己スパッタリング放電を達成
すると共に、この放電の特性の最適化の問題を解決する
ことである。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明によるマグネトロ
ンスパッタリング方法において、物質は、磁界中の異常
グロー放電中、アノードおよび/または真空室に対して
負の直流電圧が印加されたカソードからスパッタリング
される。本発明の本質は、スパッタリングされるカソー
ド表面上の空間が非平衡マグネトロン状の磁界により影
響を受け、上記放電に供給される投入電力が、少なくと
も、最小自己スパッタリング投入電力以上の値をもち、
選択されたプロセスガスの動作圧力が、最大自己スパッ
タリング圧力よりも低い値をもち、上記カソード物質
が、スパッタリングされた原子の雰囲気中あるいは上記
スパッタリングされた原子と上記プロセスガスとの混合
雰囲気中で持続される安定した自己スパッタリング放電
中でスパッタリングされることにある。すなわち、本発
明は、安定した自己スパッタリング放電励起と組み合わ
せた非平衡マグネトロン磁界を利用したものである。
ンスパッタリング方法において、物質は、磁界中の異常
グロー放電中、アノードおよび/または真空室に対して
負の直流電圧が印加されたカソードからスパッタリング
される。本発明の本質は、スパッタリングされるカソー
ド表面上の空間が非平衡マグネトロン状の磁界により影
響を受け、上記放電に供給される投入電力が、少なくと
も、最小自己スパッタリング投入電力以上の値をもち、
選択されたプロセスガスの動作圧力が、最大自己スパッ
タリング圧力よりも低い値をもち、上記カソード物質
が、スパッタリングされた原子の雰囲気中あるいは上記
スパッタリングされた原子と上記プロセスガスとの混合
雰囲気中で持続される安定した自己スパッタリング放電
中でスパッタリングされることにある。すなわち、本発
明は、安定した自己スパッタリング放電励起と組み合わ
せた非平衡マグネトロン磁界を利用したものである。
【0015】本方法において、さまざまな種類のプロセ
スガスと動作圧力を用いることができる。一例によれ
ば、プロセスガスは残留ガスであり、動作圧力は到達圧
力である。また、プロセスガスは、ネオン、アルゴン、
クリプトン、キセノンなどの不活性ガス、または、酸
素、窒素、一酸化炭素、炭化水素などの反応ガス、また
は、これらのガスの混合ガスでもよい。この場合には、
放電に供給される投入電力が、到達圧力におけるものよ
りも低くても、自己スパッタリングを達成すること、あ
るいは、反応性スパッタリングにより複合薄膜のスパッ
タリングを達成することが可能である。動作圧力値は、
非平衡マグネトロンにおいてこれまで用いられてきた圧
力値よりも低い値である1.5×10−2Paよりも低
く、さらに、最大自己スパッタリング圧力よりも低くす
ることができる。
スガスと動作圧力を用いることができる。一例によれ
ば、プロセスガスは残留ガスであり、動作圧力は到達圧
力である。また、プロセスガスは、ネオン、アルゴン、
クリプトン、キセノンなどの不活性ガス、または、酸
素、窒素、一酸化炭素、炭化水素などの反応ガス、また
は、これらのガスの混合ガスでもよい。この場合には、
放電に供給される投入電力が、到達圧力におけるものよ
りも低くても、自己スパッタリングを達成すること、あ
るいは、反応性スパッタリングにより複合薄膜のスパッ
タリングを達成することが可能である。動作圧力値は、
非平衡マグネトロンにおいてこれまで用いられてきた圧
力値よりも低い値である1.5×10−2Paよりも低
く、さらに、最大自己スパッタリング圧力よりも低くす
ることができる。
【0016】上記放電に供給される投入電力は、上記ス
パッタリングされるカソードの全領域に関して、たとえ
ば、2〜250W/cm2の範囲の電力負荷に対応す
る。この場合、上記電力負荷の値は、上記カソード物質
により決定される。
パッタリングされるカソードの全領域に関して、たとえ
ば、2〜250W/cm2の範囲の電力負荷に対応す
る。この場合、上記電力負荷の値は、上記カソード物質
により決定される。
【0017】また、本発明は、3つの連続するステージ
からなる自己スパッタリング放電の放電開始プロセスを
提供する。第1ステージにおいて、プロセスガス、たと
えば、アルゴンを、スパッタリング室に導入し、その放
電開始圧力を3×10−2Pa〜100Paの範囲に調
節し、アノードおよび/または真空室に関して300V
〜10kVの範囲の負の直流電圧を上記カソードに印加
し、これにより、上記カソードと、上記アノードおよび
/または上記真空室の間にグロー放電を開始させる。第
2ステージにおいて、上記グロー放電の投入電力を、少
なくとも、上記最小自己スパッタリング投入電力以上の
値に増加させる。第3ステージにおいて、上記選択され
たプロセスガスの上記動作圧力を、上記最大自己スパッ
タリング圧力よりも低い値に調節し、上記放電投入電力
は、特定の動作圧力において、上記最小自己スパッタリ
ング投入電力以上の値に保たれる。すなわち、上記第3
ステージにおいて、自己スパッタリング放電開始のため
のすべてのパラメータが調節される。
からなる自己スパッタリング放電の放電開始プロセスを
提供する。第1ステージにおいて、プロセスガス、たと
えば、アルゴンを、スパッタリング室に導入し、その放
電開始圧力を3×10−2Pa〜100Paの範囲に調
節し、アノードおよび/または真空室に関して300V
〜10kVの範囲の負の直流電圧を上記カソードに印加
し、これにより、上記カソードと、上記アノードおよび
/または上記真空室の間にグロー放電を開始させる。第
2ステージにおいて、上記グロー放電の投入電力を、少
なくとも、上記最小自己スパッタリング投入電力以上の
値に増加させる。第3ステージにおいて、上記選択され
たプロセスガスの上記動作圧力を、上記最大自己スパッ
タリング圧力よりも低い値に調節し、上記放電投入電力
は、特定の動作圧力において、上記最小自己スパッタリ
ング投入電力以上の値に保たれる。すなわち、上記第3
ステージにおいて、自己スパッタリング放電開始のため
のすべてのパラメータが調節される。
【0018】上記非平衡マグネトロン状の磁界は、少な
くとも2つの磁界、すなわち、マグネトロン型磁界と非
平衡磁界の組合せにより、形成することが好ましい。上
記自己スパッタリング放電の放電特性は、上記2つの磁
界の少なくとも一方の磁界の強さを変えることを利用し
て、上記非平衡マグネトロン状の磁界の形状と強さを変
化させることにより調節される。
くとも2つの磁界、すなわち、マグネトロン型磁界と非
平衡磁界の組合せにより、形成することが好ましい。上
記自己スパッタリング放電の放電特性は、上記2つの磁
界の少なくとも一方の磁界の強さを変えることを利用し
て、上記非平衡マグネトロン状の磁界の形状と強さを変
化させることにより調節される。
【0019】本発明による方法の別の例によれば、放電
が開始される上記第1ステージにおいて、上記非平衡磁
界の強さに対する上記マグネトロン型磁界の強さの比率
を、上記非平衡マグネトロン状の磁界の磁力線がカソー
ド表面積全体の80%よりも大きい領域を占めるような
比率に調節することができる。したがって、これは、最
小放電開始圧力におけるマグネトロン放電開始である。
つぎに、早ければ上記第2ステージ中に遅くとも自己ス
パッタリング放電が開始される上記第3ステージ中に、
上記マグネトロン型磁界の強さまたは上記非平衡磁界の
強さあるいはその両方の強さを調節して、自己スパッタ
リングに用いられる上記非平衡磁界の強さに対する上記
マグネトロン型磁界の強さの比率を、上記第1ステージ
において用いられる比率以下とする。
が開始される上記第1ステージにおいて、上記非平衡磁
界の強さに対する上記マグネトロン型磁界の強さの比率
を、上記非平衡マグネトロン状の磁界の磁力線がカソー
ド表面積全体の80%よりも大きい領域を占めるような
比率に調節することができる。したがって、これは、最
小放電開始圧力におけるマグネトロン放電開始である。
つぎに、早ければ上記第2ステージ中に遅くとも自己ス
パッタリング放電が開始される上記第3ステージ中に、
上記マグネトロン型磁界の強さまたは上記非平衡磁界の
強さあるいはその両方の強さを調節して、自己スパッタ
リングに用いられる上記非平衡磁界の強さに対する上記
マグネトロン型磁界の強さの比率を、上記第1ステージ
において用いられる比率以下とする。
【0020】プロセス制御の簡素化の見地から、自己ス
パッタリングに用いられる上記マグネトロン型磁界の強
さと上記非平衡磁界の強さの両方が、上記第1ステージ
において用いられる上記2つの磁界のそれぞれの強さに
等しいことが好ましい。
パッタリングに用いられる上記マグネトロン型磁界の強
さと上記非平衡磁界の強さの両方が、上記第1ステージ
において用いられる上記2つの磁界のそれぞれの強さに
等しいことが好ましい。
【0021】放電開始および自己スパッタリングステー
ジ中の最適の状態のためには、さらに別の例にしたがっ
て進行させることが好ましい。すなわち、自己スパッタ
リングに用いられる上記マグネトロン型磁界の強さを、
上記第1ステージにおいて用いられる上記マグネトロン
型磁界の強さよりも減少させる。一方、自己スパッタリ
ングに用いられる上記非平衡磁界の強さを、上記第1ス
テージにおいて用いられる上記非平衡磁界の強さと等し
くする。このようにして、上記最小自己スパッタリング
投入電力の調節および/または上記最小放電電流の低減
および/または上記放電電圧の増加を行なうことができ
る。
ジ中の最適の状態のためには、さらに別の例にしたがっ
て進行させることが好ましい。すなわち、自己スパッタ
リングに用いられる上記マグネトロン型磁界の強さを、
上記第1ステージにおいて用いられる上記マグネトロン
型磁界の強さよりも減少させる。一方、自己スパッタリ
ングに用いられる上記非平衡磁界の強さを、上記第1ス
テージにおいて用いられる上記非平衡磁界の強さと等し
くする。このようにして、上記最小自己スパッタリング
投入電力の調節および/または上記最小放電電流の低減
および/または上記放電電圧の増加を行なうことができ
る。
【0022】本発明によるスパッタリング方法によれ
ば、多様な物質の自己スパッタリングが可能となる。上
記スパッタリングされる物質として、銅、銀、金のいず
れかの元素、あるいは、これらの元素のうち少なくとも
2つの元素の合金を用いることができる。また、鉛およ
びカドミウムのいずれかの元素、あるいは、これらの元
素の合金などの低融点物質を用いてもよい。
ば、多様な物質の自己スパッタリングが可能となる。上
記スパッタリングされる物質として、銅、銀、金のいず
れかの元素、あるいは、これらの元素のうち少なくとも
2つの元素の合金を用いることができる。また、鉛およ
びカドミウムのいずれかの元素、あるいは、これらの元
素の合金などの低融点物質を用いてもよい。
【0023】また、自己スパッタリングは、銅と、亜鉛
および/または鉛の合金である、各種の真鍮などの銅合
金についても可能である。ここで、亜鉛含有量は50重
量以下、鉛含有量は10重量%以下である。
および/または鉛の合金である、各種の真鍮などの銅合
金についても可能である。ここで、亜鉛含有量は50重
量以下、鉛含有量は10重量%以下である。
【0024】また、本方法によれば、ある種の青銅、特
にアルミニウム、マンガン、ニッケルをベースとした青
銅の自己スパッタリングも可能となる。特に、銅と、ア
ルミニウムと、マンガンと、ニッケルと、鉄の合金があ
げられ、ここで、アルミニウム含有量は11重量%以
下、アルミニウムおよびマンガン含有量の合計は16重
量%以下、ニッケル含有量は5重量%以下、鉄含有量は
2重量%以下である。このような物質として、たとえ
ば、アルミニウム青銅、イザベリン、ノボコンスタンタ
ンなどがある。
にアルミニウム、マンガン、ニッケルをベースとした青
銅の自己スパッタリングも可能となる。特に、銅と、ア
ルミニウムと、マンガンと、ニッケルと、鉄の合金があ
げられ、ここで、アルミニウム含有量は11重量%以
下、アルミニウムおよびマンガン含有量の合計は16重
量%以下、ニッケル含有量は5重量%以下、鉄含有量は
2重量%以下である。このような物質として、たとえ
ば、アルミニウム青銅、イザベリン、ノボコンスタンタ
ンなどがある。
【0025】本発明による方法は、非平衡マグネトロン
を備えた公知の装置により実現でき、これは、たとえ
ば、S.Kadlec、J.Musil、A.Rajs
kyのチェコ特許出願第1542−93号に記載されて
いる。
を備えた公知の装置により実現でき、これは、たとえ
ば、S.Kadlec、J.Musil、A.Rajs
kyのチェコ特許出願第1542−93号に記載されて
いる。
【0026】
【実施例】実施例1 図2は、本方法を実施するために用いられる装置を示し
ている。ガス導入口2およびガス排気口3を設けた真空
室1の内部に電気的に絶縁された平板円形カソード4が
配置されている。直流電源5がカソード4と真空室1の
間に接続されている。2つの電磁石からなる磁界供給源
が、冷却水路6を設けたカソード4の裏側に配置されて
いる。マグネトロン型磁界供給源として、第1のコイル
7が、第1の電源8に接続されている。第1のコイル7
の内側には、軟磁性材からなる第1のコア9が配置され
ている。非平衡磁界の供給源として、第2のコイル11
が、第2の電源12に接続されている。カソード4の裏
側には、第1のコイル7の周囲で且つ第2のコイル11
の内側に、軟磁性材から構成されたリング状の第2のコ
ア13が配置されている。第1のコア9は第2のコア1
3とともに、透磁率の高い材料からなるプレート14を
用いて、第1のコイル7の裏側に磁気的に接続されてい
る。マグネトロン型磁界の強さは、電流I1の値により
調節することができる。ここでI1は第1の電源8から
第1のコイル7への電流である。非平衡磁界の強さは、
電流I2の値により調節することができる。ここで、I
2は第2の電源12から第2のコイル11への電流であ
る。すなわち、電流比I2/I1は、両磁界の比率の尺
度である。カソード4の表面と2回交わる磁力線15お
よび16は、電流比I2/I1=2.13の場合が描か
れており、このとき、これらの磁力線はカソード表面の
ほぼ全面を占める。したがって、S.Kadlec、
J.Musil、A.Rajskyのチェコ特許出願第
PV1542−93号によれば、まさにこの構成におい
て、最小放電開始圧力が達成される。
ている。ガス導入口2およびガス排気口3を設けた真空
室1の内部に電気的に絶縁された平板円形カソード4が
配置されている。直流電源5がカソード4と真空室1の
間に接続されている。2つの電磁石からなる磁界供給源
が、冷却水路6を設けたカソード4の裏側に配置されて
いる。マグネトロン型磁界供給源として、第1のコイル
7が、第1の電源8に接続されている。第1のコイル7
の内側には、軟磁性材からなる第1のコア9が配置され
ている。非平衡磁界の供給源として、第2のコイル11
が、第2の電源12に接続されている。カソード4の裏
側には、第1のコイル7の周囲で且つ第2のコイル11
の内側に、軟磁性材から構成されたリング状の第2のコ
ア13が配置されている。第1のコア9は第2のコア1
3とともに、透磁率の高い材料からなるプレート14を
用いて、第1のコイル7の裏側に磁気的に接続されてい
る。マグネトロン型磁界の強さは、電流I1の値により
調節することができる。ここでI1は第1の電源8から
第1のコイル7への電流である。非平衡磁界の強さは、
電流I2の値により調節することができる。ここで、I
2は第2の電源12から第2のコイル11への電流であ
る。すなわち、電流比I2/I1は、両磁界の比率の尺
度である。カソード4の表面と2回交わる磁力線15お
よび16は、電流比I2/I1=2.13の場合が描か
れており、このとき、これらの磁力線はカソード表面の
ほぼ全面を占める。したがって、S.Kadlec、
J.Musil、A.Rajskyのチェコ特許出願第
PV1542−93号によれば、まさにこの構成におい
て、最小放電開始圧力が達成される。
【0027】図3〜図7には、直径124mmの真鍮製
円形カソードを備えた、このマグネトロンにおける自己
スパッタリング放電の特性が示されている。その組成
は、概ね、銅58重量%、亜鉛40重量%、鉛2重量%
であった。この場合、プロセスガスは残留ガスであり、
動作圧力は約2×10−3Paの到達圧力であった。図
3および図4は、それぞれ、最小放電電流とこの電流に
おける放電電圧が、電流I1、すなわち、マグネトロン
型の磁界の強さに依存する状況を示す。電流I2は、こ
こでは、曲線のパラメータである。小さい円で囲んだ点
は、電流比I2/I1=2.13を示し、このとき、最
小放電開始圧力が達成される。図3および図4は、電流
I1の減少によるマグネトロン型磁界の強さの減少を利
用して、最小放電電流を低下させ、放電電圧を上げるこ
とができる様相を示す。さらに、電流比I2/I1が
2.13より高い値に維持されることを条件として、特
に、マグネトロン型磁界の強さ、すなわち電流I1を利
用してマグネトロン放電電流を調節できることは明らか
である。逆に、電流比I2/I1が2.13より低い値
に維持されることを条件として、最小放電電流は急激な
増加を始める。このような磁界は、非常に弱い非平衡マ
グネトロンまたは従来のマグネトロンに典型的なもので
ある。したがって、本発明の方法は、従来のマグネトロ
ンの使用よりも、低い最小放電電流における安定した自
己スパッタリング放電に適していることはいうまでもな
い。
円形カソードを備えた、このマグネトロンにおける自己
スパッタリング放電の特性が示されている。その組成
は、概ね、銅58重量%、亜鉛40重量%、鉛2重量%
であった。この場合、プロセスガスは残留ガスであり、
動作圧力は約2×10−3Paの到達圧力であった。図
3および図4は、それぞれ、最小放電電流とこの電流に
おける放電電圧が、電流I1、すなわち、マグネトロン
型の磁界の強さに依存する状況を示す。電流I2は、こ
こでは、曲線のパラメータである。小さい円で囲んだ点
は、電流比I2/I1=2.13を示し、このとき、最
小放電開始圧力が達成される。図3および図4は、電流
I1の減少によるマグネトロン型磁界の強さの減少を利
用して、最小放電電流を低下させ、放電電圧を上げるこ
とができる様相を示す。さらに、電流比I2/I1が
2.13より高い値に維持されることを条件として、特
に、マグネトロン型磁界の強さ、すなわち電流I1を利
用してマグネトロン放電電流を調節できることは明らか
である。逆に、電流比I2/I1が2.13より低い値
に維持されることを条件として、最小放電電流は急激な
増加を始める。このような磁界は、非常に弱い非平衡マ
グネトロンまたは従来のマグネトロンに典型的なもので
ある。したがって、本発明の方法は、従来のマグネトロ
ンの使用よりも、低い最小放電電流における安定した自
己スパッタリング放電に適していることはいうまでもな
い。
【0028】図5〜図7は、それぞれ、最小投入電力密
度と、最小放電電流と、最小放電電流における放電電圧
を、電流I2、すなわち、非平衡磁界の強さの調節を利
用して、どのように調節できるかを示す。電流I1は、
ここでは、曲線のパラメータである。小さい円で囲んだ
点は、ここでも、電流比I2/I1=2.13を示して
おり、このとき、最小放電開始圧力が達成される。図5
および図6は、やはり電流比I2/I1が2.13より
高い値に維持されることを条件として、自己スパッタリ
ングにおけるマグネトロン放電電流と最小投入電力密度
がほぼ一定であることを示す。これらの値は、電流I2
がほぼ2.13×I1よりも下がる場合よりも、一定値
I1をもつ各曲線について低い。マグネトロン放電開始
の最適な状態は、たとえば、つぎの手順を用いて達成さ
れた。
度と、最小放電電流と、最小放電電流における放電電圧
を、電流I2、すなわち、非平衡磁界の強さの調節を利
用して、どのように調節できるかを示す。電流I1は、
ここでは、曲線のパラメータである。小さい円で囲んだ
点は、ここでも、電流比I2/I1=2.13を示して
おり、このとき、最小放電開始圧力が達成される。図5
および図6は、やはり電流比I2/I1が2.13より
高い値に維持されることを条件として、自己スパッタリ
ングにおけるマグネトロン放電電流と最小投入電力密度
がほぼ一定であることを示す。これらの値は、電流I2
がほぼ2.13×I1よりも下がる場合よりも、一定値
I1をもつ各曲線について低い。マグネトロン放電開始
の最適な状態は、たとえば、つぎの手順を用いて達成さ
れた。
【0029】マグネトロン放電は、圧力4×10−2P
aおよび電流I1=2AならびにI2=4A、すなわ
ち、電流比I2/I1=2において、アルゴン中で開始
された。すなわち、放電が点弧される第1ステージにお
いて用いられた、非平衡磁界の強さに対するマグネトロ
ン型磁界の強さの比率は、得られる磁界の磁力線がカソ
ード表面積全体の80%より大きい領域を占めるような
比率であった。第2ステージにおいて、アルゴン圧力4
×10−2Paのもとで、グロー放電の投入電力を、
0.1kWから4.4kWまで増加させ、電流I1はた
とえば1Aまで、すなわち、電流比I2/I1=4まで
減少させた。したがって、この場合、自己スパッタリン
グに用いられる、非平衡磁界の強さに対するマグネトロ
ン型磁界の強さの比率は、第1ステージにおいて用いら
れるこの比率よりも小さい。第3ステージにおいて、プ
ロセスガスの動作圧力は、2×10−3Paの到達圧力
に調節された。これらの条件下で、安定した持続性自己
スパッタリング放電が、4.1kW以上の投入電力値に
おいて行なわれた。これは、放電が開始される第1ステ
ージにおける磁界と同等の磁界が維持されることを条件
として得られる値よりも、低い値である。
aおよび電流I1=2AならびにI2=4A、すなわ
ち、電流比I2/I1=2において、アルゴン中で開始
された。すなわち、放電が点弧される第1ステージにお
いて用いられた、非平衡磁界の強さに対するマグネトロ
ン型磁界の強さの比率は、得られる磁界の磁力線がカソ
ード表面積全体の80%より大きい領域を占めるような
比率であった。第2ステージにおいて、アルゴン圧力4
×10−2Paのもとで、グロー放電の投入電力を、
0.1kWから4.4kWまで増加させ、電流I1はた
とえば1Aまで、すなわち、電流比I2/I1=4まで
減少させた。したがって、この場合、自己スパッタリン
グに用いられる、非平衡磁界の強さに対するマグネトロ
ン型磁界の強さの比率は、第1ステージにおいて用いら
れるこの比率よりも小さい。第3ステージにおいて、プ
ロセスガスの動作圧力は、2×10−3Paの到達圧力
に調節された。これらの条件下で、安定した持続性自己
スパッタリング放電が、4.1kW以上の投入電力値に
おいて行なわれた。これは、放電が開始される第1ステ
ージにおける磁界と同等の磁界が維持されることを条件
として得られる値よりも、低い値である。
【0030】実施例2 直径124mmの純銅製カソードを有する円形平板マグ
ネトロンにおいて、特に、マグネトロン型磁界の強さお
よび非平衡磁界の強さに依存して、実施例1と質的に非
常に類似した結果が達成された。圧力2×10−3Pa
の残留ガス雰囲気における自己スパッタリングは、最小
放電電流値9.8A以上において、および、放電電圧値
585V〜750Vにおいて達成された。電流I1=
1.0AおよびI2=4Aにおいて、銅カソードを用い
た安定した自己スパッタリング放電が、わずか56.7
W/cm2の最小投入電力密度において達成された。こ
れは、従来のマグネトロンを用いてこれまでに発表され
た最低投入電力密度、すなわち、67W/cm2よりも
かなり低い値である。
ネトロンにおいて、特に、マグネトロン型磁界の強さお
よび非平衡磁界の強さに依存して、実施例1と質的に非
常に類似した結果が達成された。圧力2×10−3Pa
の残留ガス雰囲気における自己スパッタリングは、最小
放電電流値9.8A以上において、および、放電電圧値
585V〜750Vにおいて達成された。電流I1=
1.0AおよびI2=4Aにおいて、銅カソードを用い
た安定した自己スパッタリング放電が、わずか56.7
W/cm2の最小投入電力密度において達成された。こ
れは、従来のマグネトロンを用いてこれまでに発表され
た最低投入電力密度、すなわち、67W/cm2よりも
かなり低い値である。
【0031】図8は、一定磁界(I1=1.6Aおよび
I2=8A)中での、銅カソードを備えたマグネトロン
における自己スパッタリング放電の電流−電圧特性を示
す。アルゴン圧力は、曲線のパラメータである。矢印
は、選択された圧力値に対する最小放電電流値を示す。
この特性の示すところによれば、最大自己スパッタリン
グ圧力は、この場合5×10−2Pa〜1×10−1P
aである。圧力5×10−2Paにおいて、安定した自
己スパッタリング放電は、放電電流9Aおよび放電電圧
600Vにおいてもなお維持された。また、この特性の
示すところによれば、最大自己スパッタリング圧力より
も高い圧力においても、スパッタリングされるカソード
上の銅原子の集中が促進されることは明白である。した
がって、4〜7Aなどのより低い放電電流の範囲と比べ
て、約10Aよりも高い放電電流の範囲において、放電
電圧の明らかな増加が観察される。
I2=8A)中での、銅カソードを備えたマグネトロン
における自己スパッタリング放電の電流−電圧特性を示
す。アルゴン圧力は、曲線のパラメータである。矢印
は、選択された圧力値に対する最小放電電流値を示す。
この特性の示すところによれば、最大自己スパッタリン
グ圧力は、この場合5×10−2Pa〜1×10−1P
aである。圧力5×10−2Paにおいて、安定した自
己スパッタリング放電は、放電電流9Aおよび放電電圧
600Vにおいてもなお維持された。また、この特性の
示すところによれば、最大自己スパッタリング圧力より
も高い圧力においても、スパッタリングされるカソード
上の銅原子の集中が促進されることは明白である。した
がって、4〜7Aなどのより低い放電電流の範囲と比べ
て、約10Aよりも高い放電電流の範囲において、放電
電圧の明らかな増加が観察される。
【0032】実施例3 実施例1と同様な、ただし、直径100mmの純銀カソ
ードを備えた円形平板マグネトロンを用いた場合、圧力
2×10−3Paの残留ガス雰囲気内での自己スパッタ
リングは、最小放電電流約3Aおよび放電電圧約760
Vにおいて、すなわち、投入電力密度約29W/cm2
において達成された。
ードを備えた円形平板マグネトロンを用いた場合、圧力
2×10−3Paの残留ガス雰囲気内での自己スパッタ
リングは、最小放電電流約3Aおよび放電電圧約760
Vにおいて、すなわち、投入電力密度約29W/cm2
において達成された。
【0033】実施例4 直径100mmの純鉛製カソードを備えた、実施例3と
同様な円形平板マグネトロンにおいて、放電停止アルゴ
ン圧力および放電電圧が、最小放電電流の関数として測
定され、得られた結果が図9に示されている。安定した
自己スパッタリング放電が、約2.3×10−2Paよ
りも低いアルゴン圧力において、および、0.4A〜
0.75Aの範囲の最小放電電流値において、スパッタ
リングされる鉛原子とアルゴンガスとの混合雰囲気中で
観察された。これは、2.4〜6.6W/cm2の範囲
の最小投入電力密度における自己スパッタリング放電の
達成に相当する。磁界が最適化されると、このカソード
を用いて、アルゴン圧力2.2×10−2Paにおいて
最小投入電力密度2.1W/cm2が、圧力2.3×1
0−3Paにおいて最小投入電力密度4.9W/cm2
が達成された。
同様な円形平板マグネトロンにおいて、放電停止アルゴ
ン圧力および放電電圧が、最小放電電流の関数として測
定され、得られた結果が図9に示されている。安定した
自己スパッタリング放電が、約2.3×10−2Paよ
りも低いアルゴン圧力において、および、0.4A〜
0.75Aの範囲の最小放電電流値において、スパッタ
リングされる鉛原子とアルゴンガスとの混合雰囲気中で
観察された。これは、2.4〜6.6W/cm2の範囲
の最小投入電力密度における自己スパッタリング放電の
達成に相当する。磁界が最適化されると、このカソード
を用いて、アルゴン圧力2.2×10−2Paにおいて
最小投入電力密度2.1W/cm2が、圧力2.3×1
0−3Paにおいて最小投入電力密度4.9W/cm2
が達成された。
【0034】実施例5 実施例4と同様な、ただし純カドミウム製のカソードを
用いた実験において、自己スパッタリング放電は、約2
×10−2Paよりも低いアルゴン圧力において、およ
び、0.8〜1.5Aの範囲の最小放電電流において達
成された。
用いた実験において、自己スパッタリング放電は、約2
×10−2Paよりも低いアルゴン圧力において、およ
び、0.8〜1.5Aの範囲の最小放電電流において達
成された。
【0035】実施例6 さらに別の測定が、実施例3と同様な円形平板マグネト
ロンにおいて実施された。このカソードは、直径100
mmのアルミニウム青銅製で以下の組成を備えていた。
アルミニウム9重量%、ニッケル4重量%、マンガン
1.2重量%、鉄1重量%。残りは銅からなる。圧力約
2×10−3Paの残留ガス雰囲気においても、安定し
た自己スパッタリング放電が達成された。最小投入電力
密度は77W/cm2であった。このように、本発明の
方法は、純粋な形では自己スパッタリングが不可能な元
素を含む合金の自己スパッタリングを可能とする。この
元素の集中度は、合金の構成要素に応じた特定の限界を
越えてはならない。
ロンにおいて実施された。このカソードは、直径100
mmのアルミニウム青銅製で以下の組成を備えていた。
アルミニウム9重量%、ニッケル4重量%、マンガン
1.2重量%、鉄1重量%。残りは銅からなる。圧力約
2×10−3Paの残留ガス雰囲気においても、安定し
た自己スパッタリング放電が達成された。最小投入電力
密度は77W/cm2であった。このように、本発明の
方法は、純粋な形では自己スパッタリングが不可能な元
素を含む合金の自己スパッタリングを可能とする。この
元素の集中度は、合金の構成要素に応じた特定の限界を
越えてはならない。
【0036】
【発明の効果】本発明は、特に、5×10−2Paから
真空装置の到達圧力までの範囲の、非常に低い圧力にお
ける自己スパッタリングの放電開始と持続に適用するこ
とができる。このような放電の利点は、加えられる投入
電力の値を高くし、スパッタリング速度を上げることが
できることにある。さらに、スパッタリングされる原子
の大部分がイオン化される。本発明の方法は、特に高品
質の薄膜を高速度で形成するのに適用できる。たとえ
ば、ガスによる膜の汚染を排除または抑制でき、スパッ
タリングされる原子とガスとの衝突の確率を最小化し、
これにより原子の熱上昇を排除し、粒子の直線的移動を
可能とする。
真空装置の到達圧力までの範囲の、非常に低い圧力にお
ける自己スパッタリングの放電開始と持続に適用するこ
とができる。このような放電の利点は、加えられる投入
電力の値を高くし、スパッタリング速度を上げることが
できることにある。さらに、スパッタリングされる原子
の大部分がイオン化される。本発明の方法は、特に高品
質の薄膜を高速度で形成するのに適用できる。たとえ
ば、ガスによる膜の汚染を排除または抑制でき、スパッ
タリングされる原子とガスとの衝突の確率を最小化し、
これにより原子の熱上昇を排除し、粒子の直線的移動を
可能とする。
【図1】従来のスパッタリングと自己スパッタリングの
対比を含め、放電投入電力の関数として、マグネトロン
放電の安定した持続の領域を示す図である。
対比を含め、放電投入電力の関数として、マグネトロン
放電の安定した持続の領域を示す図である。
【図2】本発明の方法を実行するために用いられる装置
を示す図である。
を示す図である。
【図3】真鍮カソードを用いたマグネトロンにおける自
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、マグネト
ロン型の磁界の強さの関数として最小放電電流を示す。
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、マグネト
ロン型の磁界の強さの関数として最小放電電流を示す。
【図4】真鍮カソードを用いたマグネトロンにおける自
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、マグネト
ロン型の磁界の強さの関数として放電電圧を示す。
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、マグネト
ロン型の磁界の強さの関数として放電電圧を示す。
【図5】真鍮カソードを用いたマグネトロンにおける自
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として最小投入電力密度を示す。
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として最小投入電力密度を示す。
【図6】真鍮カソードを用いたマグネトロンにおける自
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として最小放電電流を示す。
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として最小放電電流を示す。
【図7】真鍮カソードを用いたマグネトロンにおける自
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として放電電圧を示す。
己スパッタリング放電の特性を示す図であり、非平衡磁
界の強さの関数として放電電圧を示す。
【図8】銅カソードを用いたマグネトロンにおける自己
スパッタリング放電の電流−電圧特性を示す図である。
スパッタリング放電の電流−電圧特性を示す図である。
【図9】純鉛製のカソードを用いたマグネトロンにおけ
る放電電流の関数として、最小アルゴン圧力と放電電圧
を示す図である。
る放電電流の関数として、最小アルゴン圧力と放電電圧
を示す図である。
1 真空室 2 ガス導入口 3 ガス排気口 4 カソード 5 電源 6 冷却水路 7 第1のコイル 8 第1の電源 9 第1のコア 11 第2のコイル 12 第2の電源 13 第2のコア 14 プレート 15 磁力線 16 磁力線
Claims (14)
- 【請求項1】 磁界中の異常グロー放電中、アノードお
よび/または真空室に対して負の直流電圧が印加された
カソードから物質をマグネトロンスパッタリングする方
法において、スパッタリングされるカソード表面上の空
間は、非平衡マグネトロン状の磁界により影響を受け、
上記放電に供給される投入電力は、少なくとも最小自己
スパッタリング投入電力以上の値をもち、選択されたプ
ロセスガスの動作圧力は、最大自己スパッタリング圧力
よりも低い値をもち、上記カソード物質は、スパッタリ
ングされた原子の雰囲気中あるいは上記スパッタリング
された原子と上記プロセスガスとの混合雰囲気中で持続
される安定した自己スパッタリング放電中でスパッタリ
ングされることを特徴とするマグネトロンスパッタリン
グ方法。 - 【請求項2】 上記プロセスガスは残留ガスであり、上
記動作圧力は上記真空室内の到達圧力であることを特徴
とする請求項1の方法。 - 【請求項3】 上記プロセスガスは、ネオン、アルゴ
ン、クリプトン、キセノンなどの不活性ガス、または、
酸素、窒素、一酸化炭素、炭化水素などの反応ガス、ま
たは、これらのガスの混合ガスであることを特徴とする
請求項1の方法。 - 【請求項4】 上記プロセスガスの上記動作圧力は、
1.5×10−2Paよりも低い値をもつことを特徴と
する請求項1の方法。 - 【請求項5】 上記放電に供給される投入電力は、上記
スパッタリングされるカソードの全領域に関して、2〜
250W/cm2の範囲の電力負荷に対応し、上記電力
負荷の値は、上記カソード物質により決定されることを
特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項6】 上記自己スパッタリング放電の放電開始
プロセスは、第1ステージから第3ステージまでの3つ
の連続するステージからなり、上記第1ステージにおい
て、プロセスガスをスパッタリング室に導入し、その放
電開始圧力を3×10−2Pa〜100Paの範囲に調
節し、アノードおよび/または真空室に関して300V
〜10kVの範囲の負の直流電圧を上記カソードに印加
し、これにより、上記カソードと、上記アノードおよび
/または上記真空室の間にグロー放電を開始させ、上記
第2ステージにおいて、上記グロー放電の投入電力を、
少なくとも、上記最小自己スパッタリング投入電力以上
の値に増加させ、上記第3ステージにおいて、上記選択
されたプロセスガスの上記動作圧力を、上記最大自己ス
パッタリング圧力よりも低い値に調節し、上記放電投入
電力は、特定の動作圧力において、上記最小自己スパッ
タリング投入電力以上の値に保たれることを特徴とする
請求項1の方法。 - 【請求項7】 上記非平衡マグネトロン状の磁界は、少
なくとも2つの磁界、すなわち、マグネトロン型磁界と
非平衡磁界の組合せにより形成され、かつ、上記2つの
磁界の少なくとも一方の磁界の強さを変えることを利用
して、上記非平衡マグネトロン状の磁界の形状と強さを
変化させることにより、上記自己スパッタリング放電の
放電特性を調節することを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項8】 放電が開始される上記第1ステージにお
いて、上記非平衡磁界の強さに対する上記マグネトロン
型磁界の強さの比率を、上記非平衡マグネトロン状の磁
界の磁力線がカソード表面積全体の80%よりも大きい
領域を占めるような比率に調節し、つぎに、早ければ上
記第2ステージ中に遅くとも自己スパッタリング放電が
開始される上記第3ステージ中に、上記マグネトロン型
磁界の強さまたは上記非平衡磁界の強さあるいはその両
方の強さを調節して、自己スパッタリングに用いられる
上記非平衡磁界の強さに対する上記マグネトロン型磁界
の強さの比率を、上記第1ステージにおいて用いられる
比率以下にすることを特徴とする請求項6または7の方
法。 - 【請求項9】 自己スパッタリングに用いられる上記マ
グネトロン型磁界の強さと上記非平衡磁界の強さの両方
が、上記第1ステージにおいて用いられる上記2つの磁
界のそれぞれの強さと等しいことを特徴とする請求項8
の方法。 - 【請求項10】 自己スパッタリングに用いられる上記
マグネトロン型の磁界の強さを、上記第1ステージにお
いて用いられる上記マグネトロン型磁界の強さよりも減
少させるとともに、自己スパッタリングに用いられる上
記非平衡磁界の強さを、上記第1ステージにおいて用い
られる上記平衡磁界の強さと等しくすることによって、
上記最小自己スパッタリング投入電力の調節および/ま
たは上記最小放電電流の低減および/または上記放電電
圧の増加を可能にすることを特徴とする請求項8の方
法。 - 【請求項11】 上記スパッタリングされる物質は、
銅、銀、金のいずれかの元素、あるいは、これらの元素
のうち少なくとも2つの元素の合金であることを特徴と
する請求項1の方法。 - 【請求項12】 上記スパッタリングされる物質は、鉛
およびカドミウムのいずれかの元素、あるいは、これら
の元素の合金であることを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項13】 上記スパッタリングされる物質は、銅
と、亜鉛および/または鉛との合金であり、亜鉛含有量
は50重量%以下、鉛含有量は10重量%以下であるこ
とを特徴とする請求項1の方法。 - 【請求項14】 上記スパッタリングされる物質は、銅
と、アルミニウムと、ニッケルと、マンガンと、鉄の合
金であり、アルミニウム含有量は11重量%以下、アル
ミニウムおよびマンガン含有量の合計は16重量%以
下、ニッケル含有量は5重量%以下、鉄含有量は2重量
%以下であることを特徴とする請求項1の方法。
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
CZ1820-93 | 1993-09-03 | ||
CZ931820A CZ281073B6 (cs) | 1993-09-03 | 1993-09-03 | Způsob rozprašování materiálu katody |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07305166A true JPH07305166A (ja) | 1995-11-21 |
Family
ID=5463872
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP20507694A Withdrawn JPH07305166A (ja) | 1993-09-03 | 1994-08-30 | マグネトロンスパッタリング方法 |
Country Status (2)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07305166A (ja) |
CZ (1) | CZ281073B6 (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11315374A (ja) * | 1998-05-08 | 1999-11-16 | Ulvac Corp | 銅薄膜形成方法 |
WO2001002619A1 (fr) * | 1999-07-06 | 2001-01-11 | Applied Materials Inc. | Dispositif de pulverisation cathodique et procede de formation de film |
US6423192B1 (en) | 1999-10-29 | 2002-07-23 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Sputtering apparatus and film forming method |
WO2006049328A1 (ja) * | 2004-11-05 | 2006-05-11 | Ulvac, Inc. | プラズマ発生方法及び装置並びに該方法及び装置を利用した低圧マグネトロンスパッタリング方法及び装置 |
JP2009542918A (ja) * | 2006-07-13 | 2009-12-03 | ティーア コーティングズ リミテッド | コーティング装置および方法 |
JPWO2015115249A1 (ja) * | 2014-01-30 | 2017-03-23 | 株式会社島津製作所 | 構造体および成膜方法 |
CN113906154A (zh) * | 2020-04-20 | 2022-01-07 | Tvel 股份公司 | 锆合金产品上溅射耐锈蚀薄膜保护层的离子等离子体方法 |
-
1993
- 1993-09-03 CZ CZ931820A patent/CZ281073B6/cs not_active IP Right Cessation
-
1994
- 1994-08-30 JP JP20507694A patent/JPH07305166A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11315374A (ja) * | 1998-05-08 | 1999-11-16 | Ulvac Corp | 銅薄膜形成方法 |
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US6423192B1 (en) | 1999-10-29 | 2002-07-23 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Sputtering apparatus and film forming method |
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JP2009542918A (ja) * | 2006-07-13 | 2009-12-03 | ティーア コーティングズ リミテッド | コーティング装置および方法 |
JP2014062325A (ja) * | 2006-07-13 | 2014-04-10 | Teer Coatings Ltd | コーティング装置および方法 |
JPWO2015115249A1 (ja) * | 2014-01-30 | 2017-03-23 | 株式会社島津製作所 | 構造体および成膜方法 |
CN113906154A (zh) * | 2020-04-20 | 2022-01-07 | Tvel 股份公司 | 锆合金产品上溅射耐锈蚀薄膜保护层的离子等离子体方法 |
CN113906154B (zh) * | 2020-04-20 | 2024-02-20 | Tvel 股份公司 | 锆合金产品上溅射耐锈蚀薄膜保护层的离子等离子体方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
CZ281073B6 (cs) | 1996-06-12 |
CZ182093A3 (en) | 1995-08-16 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20011106 |