JPH07304256A - 光記録媒体及び光記録再生装置 - Google Patents

光記録媒体及び光記録再生装置

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JPH07304256A
JPH07304256A JP6098499A JP9849994A JPH07304256A JP H07304256 A JPH07304256 A JP H07304256A JP 6098499 A JP6098499 A JP 6098499A JP 9849994 A JP9849994 A JP 9849994A JP H07304256 A JPH07304256 A JP H07304256A
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洋子 松澤
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 透明基板1上に光学的に情報の記録及び再生
が可能な記録層2が形成されてなる光記録媒体におい
て、記録層をポルフィリン誘導体と、配位能を持つ分子
構造を側鎖に有する高分子により構成する。 【効果】 上記光記録媒体は、青色光領域において高感
度な光記録が可能であり、また記録ピットの破壊なしで
高い変調度の信号再生ができ、しかもスピンコート法に
よる記録層の成膜が可能である。したがって、信頼性の
高い高密度記録が可能であるとともに光記録媒体の生産
性の向上の大きく貢献できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、光学的に情報の記録,
再生が行われる光記録媒体及び光記録再生装置に関する
ものであり、特に有機色素を記録材料とする光記録媒体
の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】レーザー光の照射により情報の記録再生
を行なう光記録媒体は、磁気記録媒体等と比較してトラ
ック幅を狭くすることができ、高密度記録が可能である
ことから、大量情報保存用の記録媒体として注目され、
記録情報量の向上を図るべく盛んに研究が行われてい
る。
【0003】一般に、このような光記録媒体に対して記
録,再生を行うレーザー光としては、赤〜赤外領域のも
のが用いられ、これに対応した記録媒体が広く普及して
いる。例えば、追記型の光記録媒体(いわゆるCDW
O:CD write once )のようなユーザーによる書き込み
が可能であるディスク状光記録媒体もその一例である。
【0004】このCDWOは、基板上に例えば有機色素
等よりなる記録層が形成された構成とされ、通常,ヒー
トモードで信号記録が行われる。すなわち、記録層にレ
ーザ光を照射すると、有機色素の光吸収によって光のエ
ネルギーが熱に変換され、この発生した熱によってピッ
トが形成される。そして、このピットは、レーザ光を照
射したときの、当該ピットが形成された部分と形成され
ていない部分との反射率の差によって検出される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、従来のCD
WOでは記録用のレーザ光と再生用のレーザ光の波長は
同一とされているが、この場合、長期に亘る再生を行う
と、再生用レーザ光による記録ピットの破壊もしくは記
録層材料の光劣化の虞れがある。
【0006】このような再生用レーザ光による記録ピッ
トの破壊,記録層材料の光劣化を防止するために、例え
ば記録用レーザ光と再生用レーザ光の波長は異なる方が
望ましい。
【0007】また、レーザ光において、レーザスポット
の最小径はその波長に依存し、波長の短いレーザ光程レ
ーザスポットを小さくできる。したがって、赤〜赤外線
領域の波長の長いレーザ光ではレーザスポットの小径化
に制限があり、一定面積に記録される情報量を増加させ
るためには、いわゆる超解像の様な工夫が必要である。
【0008】このような工夫なしで記録情報量を増加さ
せるには、レーザ光を例えば青色光領域(波長400〜
500nm)にまで短波長化する必要がある。
【0009】さらに、従来のCDWOは感度が低く、高
速記録再生に対応するために高感度化が望まれている。
【0010】すなわち、CDWOでは、信頼性の向上及
び高密度記録化に向けて記録用レーザ光と再生用レーザ
光の波長を異ならしめること、レーザ光を例えば青色光
領域にまで短波長化すること、そして記録層の感度を上
げることが課題として挙げられる。
【0011】これら課題を解決し得る材料の1つとし
て、ポルフィリンがある。ポルフィリンは、中心金属に
原子団が配位した構造の金属錯体であり、最低38個の
π電子を含む(このπ電子の数は置換基によって増加す
る)。
【0012】このポルフィリンでは、分子吸光スペクト
ルにおいて、その16員環(18個π電子系)に由来し
た,ソーレー帯(soret帯)と称される吸収帯を短
波長側に有している。このソーレー帯は、数十万ともい
われる非常に大きな分子吸光係数を有しており、この大
きな吸収帯を利用することで青色光領域での高感度な光
記録が可能である。
【0013】またこのポルフィリンを用いた記録層で
は、記録用レーザ光と再生用レーザ光の波長を異ならし
めることで記録ピットの破壊なしで高い変調度をもって
信号再生できることが確認されており、信頼性の高い高
密度記録用の記録材料として期待される。
【0014】しかし、ポルフィリンは、その構造の対称
性から結晶化し易く,溶剤に溶け難い。このため、溶液
としてスピンコートするのが困難であることから、記録
層として成膜するにあたっては、真空装置等の大掛かり
な装置を必要とする真空蒸着法によらなければならな
い。このため、生産性の向上に不利であるといった問題
がある。
【0015】そこで、本発明はこのような従来の実情に
鑑みて提案されたものであり、青色光領域において高感
度な光記録が可能であり、また記録ピットの破壊なしで
高い変調度をもって信号再生することができ、しかもス
ピンコート法による記録層の成膜が可能な光記録媒体及
びそれを適用する光記録再生装置を提供することを目的
とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述の目的を達成するた
めに、本発明の光記録媒体は透明基板上に光学的に情報
の記録及び再生が可能な記録層が形成されてなり、上記
記録層は、化4で示されるポルフィリン誘導体と、配位
能を持つ分子構造を側鎖に有する高分子よりなることを
特徴とするものである。
【0017】
【化4】
【0018】本発明が適用される光記録媒体は、例えば
図1にしめした様な構造を有するものである。すなわ
ち、基板1上に記録層2及び反射層3を順次成膜し、さ
らにその上に保護層4を形成してなるものである。この
光記録媒体では、記録層2にレーザ光5を照射したとき
に発生する熱によってピットを形成する,ヒートモード
方式によって記録が行われる。
【0019】本発明では、このような光記録媒体の記録
層を、ポルフィリン誘導体と、配位能を持つ分子構造を
側鎖に有する高分子によって構成する。
【0020】ポルフィリン誘導体は、上記化4の構造式
で表されるものであり、波長400〜500nmの青色
光領域に、ソーレー帯と称される強く鋭い吸収帯を有し
ている。
【0021】ポルフィリン誘導体を含有する光記録層で
は、この大きな吸収帯を利用することで青色光領域での
高感度な光記録が可能である。また、記録用レーザ光と
再生用レーザ光の波長を異ならしめることで記録ピット
の破壊なしで高い変調度をもって信号再生することがで
きる。したがって、信頼性の高い高密度記録がなし得
る。
【0022】本発明では、光記録層を、このようなポル
フィリン誘導体と、配位能を持つ分子構造を側鎖に有す
る高分子によって構成することとする。これはスピンコ
ート法による記録層の形成を可能ならしめるためであ
る。
【0023】すなわち、ポルフィリン誘導体は、その構
造の対称性から結晶化しやすくそれだけでは溶剤に溶け
難い。
【0024】このポルフィリン誘導体を、配位能を持つ
分子構造を側鎖に有する高分子とともに溶剤(沸点のあ
る程度低い有機溶媒)に溶解させると、ポルフィリン誘
導体が結晶化することなく良好な溶解性で溶解する。そ
して、このように調製された色素溶液を基板にスピンコ
ートすると、ポルフィリン同士のスタックのない分散性
に優れた記録層が形成される。
【0025】また、さらに上記記録層では、ポルフィリ
ン誘導体の中心金属に各々の高分子の側鎖が配位してお
り、これによってソーレー帯の吸収波長が長波長側にシ
フトする。したがって、ポルフィリン誘導体単独では吸
収をほとんど持たない波長においても書き込みが可能に
なる。
【0026】すなわち、ポルフィリン誘導体の中心金属
に配位子が配位すると、紫外−可視吸収スペクトルに変
化が現れることは良く知られたことである。その変化
は、特に上述のソーレー帯に顕著に現れ、ソーレー帯が
若干長波長側にシフトし、ソーレー帯の分子吸光係数が
増加する。
【0027】したがって、ポルフィリン誘導体と配位能
を持つ分子構造を側鎖に有する高分子からなる記録層で
は、このようなポルフィリン金属錯体の配位子が配位す
ることによるソーレー帯の長波長シフトと分子吸光係数
の増大を利用することによって、ポルフィリン誘導体単
独では吸収をほとんどもたない波長においても書き込み
が可能であり、レーザ光波長の選択の自由度が広がると
いった副次的効果が得られる。
【0028】なお、ポルフィリン誘導体としては、ポル
フィリン骨格を有するものなら何れでも良い。例えば、
化4のBn 〜Bn+1 (n:1,3,5,7)がC6 4
で環状に結合した,化5で示されるポルフィリン誘導
体、特に化6で示されるテトラベンゾポルフィンが好ま
しい。中でもテトラベンゾポルフィン亜鉛錯体が好適で
ある。
【0029】
【化5】
【0030】
【化6】
【0031】また、高分子としては、ポルフィリン誘導
体の中心金属に配位できる側鎖を有するもの,たとえば
イミダゾール誘導体,ピリジン誘導体,キノリン誘導
体,フェノール誘導体を側鎖に有する高分子のうち、ポ
ルフィリン誘導体との相溶性を考慮して選択することが
望ましい。
【0032】上記ポルフィリン誘導体と高分子の組成比
は、高分子を構成するモノマーが、ポルフィリン誘導体
に対して50倍以上のモル比で存在するように設定する
ことが好ましい。この組成比で、ポルフィリン誘導体と
高分子を混合することにより、ポルフィリンをスタック
させることなく記録層中に良好に分散できる。なお、さ
らに最適な組成比は、用いる高分子とポルフィリン誘導
体の種類によって多少値が異なる。高分子としてポリビ
ニルピリジンを用いる場合には、ビニルピリジンモノマ
ーがポルフィリン誘導体に対して67倍以上のモル比で
存在するように組成比を設定することが好ましい。
【0033】また、上記配位能を持つモノマーの高分子
全体に対する比率は、モル比で50%以上であることが
望ましい。配位能を持つモノマーをこの範囲で含有する
高分子は、配位子としてポルフィリンと良好に相互作用
し、ソーレー帯を長波長シフトさせ分子吸光係数を増大
させる。
【0034】なお、このような記録層には、ポルフィリ
ン誘導体,高分子の他に、耐光性向上の目的でヒンダー
ドアミン類,ニッケル錯体等を30重量部以内の量,好
ましくは0.1〜10重量部添加しても良い。
【0035】以上のような記録層が形成される透明基板
は、通常の光記録媒体に用いられているものが使用可能
であり、例えば、ガラス、ポリカーボネート(PC)、
ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられ
る。
【0036】反射層も、通常の光記録媒体において用い
られているものが使用可能であり、例えば、アルミニウ
ムの蒸着膜,金の蒸着膜などが挙げられる。
【0037】また、本発明の光記録媒体には、走行特
性,耐光性,耐薬品性,耐摩耗性の向上のために、潤滑
層および保護層を設けても構わない。例えば、保護層と
しては、紫外線硬化樹脂(例えば,商品名SD17,大
日本インキ化学社製)をスピンコートし、紫外線照射に
よって硬化することで得られる紫外線硬化膜が適当であ
る。
【0038】このような光記録媒体への記録再生は、図
2に示すような光学ピックアップ装置によって行われ
る。
【0039】すなわち、この光学ピックアップ装置は、
レーザ光源11,コリメータレンズ12,整形プリズム
13,対物レンズ14,1/4波長板15,偏光ビーム
スプリッター16,光検出器17よりなり、記録再生が
行われる光ディスク18は上記対物レンズ14と対向し
て配置される。
【0040】この光学ピックアップ装置での記録は、レ
ーザ光源11から発散されたレーザ光Lを、コリメータ
レンズ12,整形プリズム13,対物レンズ14を通過
させることで円形に集光し、対物レンズ13と対向して
配置された光ディスク18に照射することで行う。円形
に集光されたレーザ光が照射された光ディスク18は、
記録層に含有される色素の光吸収によって光のエネルギ
ーが熱に変換され、この発生した熱によってピットが形
成される。
【0041】また、再生は、同様にして円形に集光した
レーザ光を光ディスク18に照射し、この光ディスク1
8から反射した反射光を1/4波長板15,偏光ビーム
スプリッター16によって光検出器17に導き、この光
検出器17でその光量変化を検出することで行う。光デ
ィスク18の反射率は、ピットが形成された部分と形成
されていない部分とで異なるので、反射光量の変化によ
ってピットの有無が検出できることになる。
【0042】
【作用】ポルフィリン誘導体と配位能を持つ分子構造を
側鎖に有する高分子よりなる記録層は、ポルフィリン誘
導体が400〜500nmの青色光領域に強く鋭い吸収
帯を有していることから、この青色光領域で高感度な光
記録がなされる。また、記録用レーザ光と再生用レーザ
光の波長を異ならしめることで記録ピットの破壊なしで
高い変調度の信号再生がなされる。
【0043】また、ポルフィリン誘導体は、配位能を持
つ分子構造を側鎖に有する高分子とともに溶剤に溶解さ
せると、結晶化することなく良好な溶解性で溶解する。
したがって、上記記録層は、大掛かりな装置が必要な真
空蒸着法によらなくともスピンコート法によって形成し
得る。
【0044】さらに上記記録層では、ポルフィリン誘導
体の中心金属に各々の高分子の側鎖が配位しており、こ
れによってソーレー帯の吸収波長が長波長側にシフトす
る。したがって、ポルフィリン単独では吸収をほとんど
持たない波長においても書き込みが可能である。
【0045】
【実施例】本発明の好適な実施例について実験結果に基
づいて説明する。
【0046】本実施例で用いた透明基板及び記録層材
料,反射層材料を以下に示す。これら材料を用いて光記
録媒体を作製した。
【0047】基板:スライド硝子(松浪硝子社製,但
し、ディスポーザ液,混酸,ミリポア水の順で洗浄済
み) 記録層材料: ポルフィリン誘導体:テトラフェニルテトラベンゾポル
フィン亜鉛錯体(Zn〔TPTBT〕;分子量877) 高分子:ポリ−4−ビニルピリジン(P−4−Vip
y;POLYSCIENCES社製,ビニルピリジンモ
ノマー分子量105) ポリ−4−ビニルピリジンの構造を化7に示す。
【0048】
【化7】
【0049】反射層材料:Au
【0050】まず、ポルフィリン誘導体と高分子を、表
1に示す重量比でクロロホルムに溶解して色素溶液を調
製した。
【0051】この色素溶液を、スピンナー(MIKAS
A社製)を用いて回転数1000rpmで基板上にスピ
ンコートした。そして、この色素溶液が塗布された基板
を、温度60度の真空オーブン中に一昼夜放置すること
で溶媒を完全に除去し、記録層を形成した。
【0052】そして、この記録層上に金を蒸着すること
で反射層を形成し、光記録媒体(サンプルディスク1〜
サンプルディスク7)を作製した。
【0053】このようにして作製されたサンプルディス
ク1〜サンプルディスク7について、紫外−可視吸収ス
ペクトルを観測した。そして、最大吸収波長λmax及
びλmaxでの半値幅を測定し、テトラフェニルテトラ
ベンゾポルフィン亜鉛錯体の分散状態及び高分子の側鎖
の配位による最大吸収波長λmaxのシフトの程度を評
価した。
【0054】各サンプルディスクの最大吸収波長λma
xを色素溶液の組成と併せて表1に示す。
【0055】
【表1】
【0056】また、高分子を構成するモノマーのポルフ
ィリン誘導体に対するモル比と最大吸収波長λmaxの
関係を図3に、高分子を構成するモノマーのポルフィリ
ン誘導体に対するモル比とλmaxにおける半値幅の関
係を図4に示す。さらに、参考のため、側鎖に配位能を
持つ分子を有しない高分子中にポルフィリンを分散した
記録層を有するサンプルディスクの紫外−可視吸収スペ
クトルを図5に、側鎖に配位能を持つ分子を有する高分
子中にポルフィリン誘導体を含有させたサンプルディス
ク6の紫外−可視吸収スペクトルを図6にそれぞれ示
す。
【0057】なお、分散状態の評価は、分子の凝集によ
る以下の現象を基にして評価できる。すなわち、一般に
紫外−可視吸収スペクトルは分子単独(希薄溶液中等)
で測定した場合と分子凝集体(固体膜等)で測定した場
合とで異なったものとなる。分子凝集体でのスペクトル
は、分子同士の相互作用によって新たな振動準位が生成
し、分子単独でのスペクトルよりもブロードになる。さ
らに、分子凝集体でのスペクトルは分子単独でのスペク
トルよりも長波長側にシフトするのが常である。
【0058】したがって、上記最大吸収波長λmaxと
λmaxの半値幅には、ポルフィリン誘導体の分散状態
が反映されることになる。すなわち、ポルフィリン誘導
体の分散状態の向上は、最大吸収波長λmaxを短波長
側にシフトさせ、λmaxでの半値幅を狭くする。
【0059】そこで、このような分散状態のスペクトル
への影響と配位子の配位によるソーレー帯の長波長シフ
トの点から、まず、図3を見ると、最大吸収波長λma
xは、高分子の組成比が小さい範囲では、高分子の組成
比が大きくなるのに伴って一旦長波長側にシフトした
後、短波長側にシフトする。そして、高分子を構成する
モノマーのポルフィリン誘導体に対するモル比が50以
上になったところで安定になる。高分子組成比の増大に
伴った最大吸収波長λmaxの長波長側へのシフトはポ
ルフィリン誘導体への高分子の配位によるものであり、
短波長側へのシフトはポルフィリン誘導体の分散性が向
上したことによるものである。
【0060】一方、図4を見ると、λmaxでの半値幅
は、高分子の組成比が大きくなる程狭くなり、高分子を
構成するモノマーのポルフィリン誘導体に対するモル比
が50以上になったところでほぼ安定になる。この高分
子組成比の増大に伴った半値幅の狭小変化は、主にポル
フィリン誘導体の分散性が向上したことによるものであ
る。
【0061】以上の結果から、記録層を、ポルフィリン
誘導体と配位能を有する高分子によって構成すると、ポ
ルフィリン誘導体の分散性が向上し、スタックのない記
録層が得られることがわかる。また、ポルフィリン誘導
体へ高分子が配位し、これによって紫外−可視吸収スペ
クトルが変化することがわかる。そして、最大吸収波長
λmax及びλmaxでの半値幅の変化が、ポルフィリ
ン誘導体に対する高分子を構成するモノマーのモル比が
50になったところで飽和していることから、ポルフィ
リン誘導体と高分子の組成比は、ポルフィリン誘導体に
対する高分子を構成するモノマーのモル比が50以上と
なるように設定すれば良いことがわかる。
【0062】次に、上記光記録媒体のうちサンプルディ
スク6について、書き込みによる反射スペクトルの変化
を調べた。
【0063】なお、書き込み及びピットの生成の確認、
ピットの生成による記録層の反射スペクトルの測定には
図7に示すように、Arレーザ21,パルスジェネレー
タ22,音響光学変換器(AOM)23,試料部24に
対向して配置された光学顕微鏡25,顕微分光光度計2
6及びCCDモニター27よりなる評価システムによっ
て行った。
【0064】ここで、Arレーザの波長は488nmで
あり、レーザ出力は14mWである。レーザ光照射前の
反射スペクトル,レーザ光照射後の反射スペクトルを併
せて図8に示す。
【0065】図8から、反射スペクトルがレーザ光照射
前後で変化しており、テトラフェニルテトラベンゾポル
フィンとポリ−4−ビニルピリジンよりなる記録層は、
488nm波長のレーザ光の照射によって書き込み可能
であることが確認される。
【0066】因みに、側鎖に配位能を持つ分子を有しな
い高分子中にポルフィリンを分散した記録層を有するサ
ンプルディスクは、図5に示すように488nmにほと
んど吸収を有していない。したがって、波長488nm
のレーザ光では書き込みは不可能である。
【0067】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように本発明
の光記録媒体は、透明基板上に光学的に情報の記録及び
再生が可能な記録層が形成されてなり、上記記録層がポ
ルフィリン誘導体と、配位能を持つ分子構造を側鎖に有
する高分子よりなるので、青色光領域において高感度な
光記録が可能であり、また記録ピットの破壊なしで高い
変調度の信号再生ができ、しかもスピンコート法による
記録層の成膜が可能で、さらにポルフィリン誘導体単独
ではほとんど吸収を持たない波長においての書き込みが
可能である。したがって、信頼性の高い高密度記録が可
能であるとともに光記録媒体の生産性の向上に大きく貢
献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した光記録媒体の一構成例を示す
模式図である。
【図2】光記録媒体に対して記録再生を行うために記録
再生装置の一構成例を示す模式図である。
【図3】記録層の高分子組成比と紫外−可視吸収スペク
トルの最大吸収波長λmaxの関係を示す特性図であ
る。
【図4】記録層の高分子組成比と紫外−可視吸収スペク
トルの最大吸収波長λmaxでの半値幅の関係を示す特
性図である。
【図5】側鎖に配位能を持つ分子を有しない高分子中に
ポルフィリンを分散した記録層を有する光記録媒体の紫
外−可視吸収スペクトルを示す特性図である。
【図6】側鎖に配位能を持つ分子を有する高分子中にポ
ルフィリンを分散した記録層を有する光記録媒体の紫外
−可視吸収スペクトルを示す特性図である。
【図7】光記録媒体へのピットの書き込み状況を評価す
るのに用いた評価システムの構成を示す模式図である。
【図8】記録層に高分子が含有された光記録媒体の書き
込み前後の反射スペクトルを併せて示す特性図である。
【符号の説明】
1 基板 2 記録層 3 反射層 4 保護層

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基板上に光学的に情報の記録及び再
    生が可能な記録層が形成されてなり、 上記記録層は、化1で示されるポルフィリン誘導体と、
    前記ポルフィリン誘導体に対して配位能を持つ分子構造
    を側鎖に有する高分子よりなることを特徴とする光記録
    媒体。 【化1】
  2. 【請求項2】 ポルフィリン化合物が化2で示されるテ
    トラベンゾポルフィンであることを特徴とする請求項1
    記載の光記録媒体。 【化2】
  3. 【請求項3】 テトラベンゾポルフィンが亜鉛錯体であ
    ることを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
  4. 【請求項4】 400〜500nmの記録波長で記録が
    行われることを特徴とする請求項1〜請求項3いずれか
    記載の光記録媒体。
  5. 【請求項5】 レーザ光源,レンズ,光検出器よりなる
    光学ピックアップ装置と、該光学ピックアップ装置のレ
    ンズと対向して配置される光記録媒体より構成される光
    記録再生装置において、 上記レーザ光源のレーザ波長が、400〜500nmで
    あり、 上記光記録媒体が、透明基板上に、化3で示されるポル
    フィリン誘導体、前記ポルフィリン誘導体に対して配位
    能を持つ分子化合物及び高分子よりなる記録層が形成さ
    れてなるものであることを特徴とする光記録再生装置。 【化3】
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JPH1086517A (ja) * 1996-09-19 1998-04-07 Konica Corp 金属錯体メチン色素を用いた光記録媒体及び記録方法
EP1262966A2 (en) 1999-12-28 2002-12-04 Mitsui Chemicals, Inc. Optical recording medium and novel azaporphyrin compound
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EP1930339A2 (en) 2001-10-22 2008-06-11 Mitsui Chemicals, Inc. Imide compound

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