JP2004090372A - 光記録媒体 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、430nmよりも短い波長(青紫色)で記録・再生可能な光記録媒体であって、CDやDVDよりも高密度で記録できる支持基板上に色素を含有する記録層を有する構造の高密度光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
色素を記録層とし、且つ反射率を大きくするための記録層の上に反射層を設けた記録可能な光記録媒体は、例えば、Optical Data Storage 1989 Technical Digest series vol. 1, 45(1989)に開示されて以来、記録層にシアニン色素やフタロシアニン色素を用いた媒体はCDRとして広く市場に供されてきている。これらの媒体は780nmの半導体レーザーで記録する事ができ、且つ780nmの半導体レーザーを搭載している市販のCD−ROMプレーヤーと再生互換を有するという特徴をもつ。更に、近年、映像、動画などの大容量データに対して630〜680nmの赤色半導体レーザーで記録できる4.7GB容量を有すDVDR媒体が提案され市場に供給され出した。そして更に、昨今では、390〜430nmの青紫色半導体レーザーの供試に伴い高精細動画をも対象とした15GB以上の高密度を有するHD−DVDR(High Density DVDR)媒体の検討もスタートしている。
【0003】
かかる中、次世代高密度光ディスクの統一規格「Blu−ray Disc」が日欧韓9社により策定され、発表された。この規格によると、青紫色レーザーとNA=0.85の高開口レンズとを組み合わせ、12cm円板の片面に最大27GBの映像データを繰り返し記録・再生でき、同規格のレコーダを使えば、ディスク1枚にHDTV映像を2時間以上録画できるようになる。これは、現行放送NTSC方式の映像データなら録画時間は13時間以上に相当する。
【0004】
同規格のディスク厚みは1.2mmで、100μm程度の光透過層越しに形成された記録膜にレーザー光を合焦させ、23.3、25、27GBの3種類の記録容量が提案されている。
【0005】
同規格媒体への有機色素の適用可能性について言及された例としてはISOM2001SONY講演「Organic Write Once Disk for a Blue Laser Diode」がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、記憶容量の増大を図るためには高密度に記録を行う必要があり、如何に小さな記録ピットが安定にレーザー記録・形成できるかがキーとなり、このため記録に使用する光学ビームを絞る目的で光源レーザーを短波長化し対物レンズの開口数(NA)を高めた光学系の適用が容量アップのための一つの方策となる。
【0007】
しかしながら、実際に青紫レーザー搭載のNA=0.7以上の高開口レンズ光学系において達成可能な最小情報ピットの記録再生を実証し得た媒体は有機色素系ではまだ限られていた。更に色素系記録膜に対して当該光学系を適用し、ランド・グルーブ記録を施して高容量化を達成した具体例もなかった。
【0008】
本発明では、波長390〜430nmの範囲から選択される青紫色レーザーを用いて22〜27GB相当の高密度記録及び再生が可能である光記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、支持基板上に反射層及びポリアセンジイミド系色素を主成分とした記録層を選択し、且つ、それらの適正な膜厚設定と基板上の案内溝の設計により、青紫色レーザーを用いた高NAを有する光学ヘッドにて変調伝達関数(MTF)の遮断空間周波数に相当する最小ピットサイズの情報信号がより良好に記録・再生できることを初めて検証し、本発明を達成した。
【0010】
即ち、本発明は、
(1) 溝深さが30nm〜150nmの範囲内から選択され、且つ溝幅(半値幅)がトラックピッチに対する比率で20%〜50%の範囲から選択される案内溝を有す支持基板上に、少なくとも膜厚が10nm〜200nmの範囲から選択される反射層、一般式(1)で表されるポリアセンジイミド系色素骨格を主成分として含有してなり且つ膜厚が25〜70nmの範囲から選択される記録層、透明な保護層、光透過層がこの順に形成された光記録媒体;
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、モノ置換アミノカルボニル基、ジ置換アミノカルボニル基、アシルオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基またはヘテロアリールチオ基を表す。x及びyはそれぞれ0〜2のいずれかの整数から選択される。)
【0013】
(2) 波長λが390nm〜430nmの範囲から選択されるレーザー光を用い対物レンズの開口数(NA)の範囲が0.70〜0.90範囲から選択される光学系で厚さが20μm〜200μmの範囲から選択される光透過層側から記録・再生が可能なことを特徴とする(1)記載の光記録媒体;
(3) 前記反射層の材質が少なくとも、Au,Ag,Pt,Al,Ni、Rhから選択される金属、またはそれらの合金からなることを特徴とする(1)又は(2)記載の光記録媒体;
(4) 透明な保護層は、SiO2またはTiO2またはAl2O3から選択され、その膜厚が10〜50nmから選択される(1)〜(3)の何れか1項に記載の光記録媒体;
(5) グルーブ(溝中)及び又はランド(溝間)記録が可能な(1)〜(4)の何れか1項に記載の光記録媒体;
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光記録媒体は、図1に示すように、光入射とは反対面側から板厚1.15〜1.25mmの支持基板1上に、反射層2、有機色素を主成分としてなる記録層3がこの順で積層されたような構造を有し、この記録層の上には保護層である透明な薄膜層4、及び光透過層5が貼り合わされた構造をとる。ここで、支持基板1と反射層2との間、反射層2と記録層3との間などには他の層が存在していても良い。
【0015】
ここで、本発明によれば、一般式(1)に示すポリアセンジイミド系色素を記録層として用いれば、波長390〜430nmの青紫色レーザー搭載の開口数(Numerical Aperture)が0.85の光学ヘッドで達成可能な最大記録容量が25GBの高密度で安定に記録及び/又は再生可能となる光記録媒体が実現される。すなわち該ヘッドでは検出可能な最小ピットサイズ(λ=405nmとすると、λ/(2・NA)=238nm)以下近傍でも良好な信号コントラスト(変調度、CNR)が得られることによって初めて、上記大容量の情報記録・再生が実現できる。
【0016】
本発明に用いられる支持基板1は、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等の高分子材料、ガラスなどの無機材料等を用いることができる。特に機械強度、耐熱性に良好で、平滑性にすぐれた基板の選択が好ましいが、量産性実績からポリカーボネート系樹脂の適用が望ましい。
【0017】
これら支持基板表面には記録位置を表す案内溝やピット、一部再生専用情報(アドレス情報等も含む)のためのプリピットを有していてもよい。これらの案内溝やピット等は射出成形により基板を作る際に付与するのが通常とられる方法であるが、レーザーカッティング法や2P法により作製しても良い。
【0018】
当該基板上には溝中(グルーブ)に記録する場合、隣り合うグルーブ中心間の距離をトラックピッチと定義し、該トラックピッチが0.25〜0.65μmの範囲から限定されたグルーブが形成される。このとき形成されるグルーブの半値幅は、青紫色レーザーによる記録安定性も考慮すればトラックピッチ(グルーブ記録時)に対する比率にして20%〜50%(より望ましくは30〜40%)の範囲から選ばれ、溝深さは30nm〜150nm(より望ましくは45〜75nm)の範囲から選ばれる。溝深さが30nm未満ではトラッキングが不安定であったし、150nmを超える場合では反射率が減少するうえ、信号波形が歪みやすくなり好ましくなかった。また溝幅が20%未満の場合は記録時のトラッキングサーボ信号が不安定になり記録ができなかった。溝幅が50%を超える時は基板形成時の溝転写性が悪く実生産に向かなかった。
【0019】
本発明に用いられる反射層の材質としてはAu,Ag,Pt,Al,Ni、Rh等の金属やその合金を用いても良い。反射層は蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって成膜される。反射層の膜厚は、10〜200nm、より望ましくは30〜100nmである。膜厚が10nm未満の場合は、透過率が増大して反射率が大幅に低下し、200nmを超える場合は、反射層の光入射側の界面に溝形状の転写ができずトラッキングエラー信号が大幅に減少して、トラッキングサーボがかからなくなる場合があった。
【0020】
この反射層と記録層との間に層間の密着力を向上させるため、または反射率を上げるため等の目的で中間層を設けてもよい。
【0021】
本発明に用いられる記録層は、基本的には一般式(1)で表示される化合物からなり、390〜430nmの波長範囲で記録される光記録媒体用記録膜に用いる場合のポリアセン母核の構造としては、x=0〜2、y=0〜2のいずれかから選ばれ、より好ましくはx=0、y=0のナフタレンジイミド構造若しくは、x=1、y=0のアントラセンジイミド構造、x=1、y=1のテトラセンジイミド構造が好ましかった。式中のR1〜R6に導入する各種置換基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、モノ置換アミノカルボニル基、ジ置換アミノカルボニル基、アシルオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基またはヘテロアリールチオ基から適宜、光学特性、熱分解特性に鑑み選択され、母核であるポリアセンジイミド核に機能修飾される。むろん、以上の置換基は更に前述の置換基を有してもよい。ここで、機能修飾団としては、とりわけ390〜430nmで適正な光吸収をもたせるために当該波長域でd−d遷移を有するようなフェロセン誘導体等の金属化合物の分子内修飾が有効であった。
【0022】
また記録層としては、一般式(1)の色素に1種または2種以上の色素を混合して使用してもよいし、記録特性や耐久性を改善するために、一般式(1)の色素または他の色素との混合物に更に光吸収物質以外のものを添加しても良い。
【0023】
この記録層に混合される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、アゾ系色素やメタロセン化合物などが挙げられる。
【0024】
色素を用いた記録層は単層でなく2層以上積層してもよい。このとき一般式(1)に表示される色素を1層のみに用いても良いし2層以上に加えても良い。
【0025】
積層される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン色素、ポリメチン系色素、アゾ系色素などがある。
【0026】
前記の色素を含有する記録層は、通常スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布方法での成膜することが可能である。塗布に際しては、色素やレジナスバインダーその他の記録層を形成する物質を、基板にダメージを与えない溶剤に溶かして用い、塗布後乾燥する。用いられる溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族や脂環式炭化水素系;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、メチルセロソルブ等のアルコール系;クロロホルム、ジクロルメタン等のハロゲン化合物系の溶剤を好ましく用いる事ができる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし混合して用いても良い。また記録層を2層以上積層する場合には先に塗布した層を浸食しない溶剤を選択する。
【0027】
記録層を形成する方法としては真空蒸着法を用いてもよい。この方法は記録層物質が溶剤に溶け難い場合や、基板や反射層にダメージを与えない溶剤が選択できない場合に有効である。この場合、真空度と試料が載るボート上の加熱電流(ジュール熱)により成膜スピードが制御でき低ノイズ品質制御が適う。記録層の膜厚としては、25nm〜70nm、より望ましくは30〜60nmである。この膜厚選択は極めて重要であり適正膜厚範囲を選択することにより、実施例に示すように、グルーブ及びランド共に良好な信号の記録再生が確認された。膜厚が25nm未満の場合は、グルーブ未記録の反射率が良好な膜厚時に比べて3分の1に低下し、且つ膜厚が薄いためにピット形成に必要な膜温度に達せず、グルーブ及びランドともに安定再生に必要な大きさの信号が記録されなかった。また膜厚が70nmを超える場合は隣接トラック(グルーブとランド)間において、特に最小ピット信号間のクロストークが大きくなり、そのノイズ上昇のためグルーブ、ランド記録両方の信号CN比が大幅に劣化した。
【0028】
上記記録層の上には、光透過層との界面保護と記録時のノイズ低減を目的として、例えば、SiO2,TiO2,Al2O3等の透明な薄膜層を保護層として用いることが可能である。これらは単独で用いても良いし混合しても良い。また2種以上を積層して使用しても構わない。また該保護層は、反射率や信号振幅などの光学的増強及び又は再生時のレーザーパワーによる記録層の劣化防止としても機能する。
【0029】
この保護層の膜厚としては、10nm〜50nm、より望ましくは20〜30nmである。膜厚が50nmを超える場合は、記録感度が大幅に不足し記録ができなかったり、一方、10nm未満の場合は、機械強度が不足して記録時に該無機層が破壊されたりする場合がある。
【0030】
上記保護層の上には通常光透過層を設ける。当該光透過層は、光透過性の紫外線硬化樹脂を塗布、延伸後、UV照射により硬化させて形成してもよいし、光透過性のフィルムシートを別途均一な厚みに形成しておき、紫外線硬化樹脂などからなる接着層を介して貼り合わせ形成してもよい。なお、上記保護層は、該紫外線硬化樹脂中に記録層を構成する有機色素が溶け出すことを回避する効果もある。該光透過層の厚みは、本発明で想定する高NA対物レンズ搭載の青色光学系を想定したときには、媒体チルトによって生じる収差抑制のため20〜200μmの範囲で形成され、より好ましくは80〜120μmの範囲で形成されることが望ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の実施形態はこれにより限定されるものではない。
【0032】
実施例1
厚さ0.6mm,直径120mmΦのスパイラルグルーブ(トラックピッチ=0.60μm、深さ=50nm,半値幅=0.20μm:トラックピッチの33%)を有する射出成形ポリカーボネート基板にAgPdCu反射膜をバルザース製スパッタ装置(CDI−900)を用いて膜厚50nmで形成し、下記式(A)で示されるナフタレンジイミド系有機色素を真空蒸着装置(昭和真空製:型番=SGC−8M)を用い膜厚45nmとなるように成膜した後、更に、無機SiO2膜を徳田製作所製スパッタ装置(CFS−8EP)を用いて膜厚25nmで成膜し、更に100μmの光透過性シートを貼り、UV硬化接着剤にてUV硬化・固定し、光記録媒体を作製した。
【0033】
【化3】
【0034】
この光記録媒体を青紫色レーザーピックアップ搭載のシバソク製ディスクテスター「LM330A」(搭載波長=405nm,NA=0.85)を用い、線速度=5.72 m/sにて1−7RLLの2T相当(最小ピット長=0.17μm)でのON・OFF繰り返し信号をパルストレーン型の記録ストラテジー条件にてグルーブ(溝中)へ記録を実施した。なお記録前のグルーブ反射電位は345mVであった(記録パワー=8.0mW、バイアスパワー=3.5mW、Ttop=1.5T,Tmp=0.33T)。その記録部位を同じ光学ピック(再生パワー=0.35mW)で再生した結果、CNR=52.7dB、変調度=0.30が観測された。
【0035】
更にひき続いて、同じ光学ピックアップを用い、1−7RLLの8T相当(最大ピット長=0.69μm)でのON・OFF繰り返し信号をパルストレーン型の記録ストラテジー条件にて実施した(記録パワー=5.0mW、バイアスパワー=4.0mW、Ttop=1.5T,Tmp=0.33T)。その記録部位を同じ光学ピック(再生パワー=0.35mW)で再生した結果、CNR=51.6dB、変調度=0.53が観測された。
【0036】
次にランド(溝間)にグルーブと同条件で記録再生したところ、2T信号でCNR=50.8dB、変調度=0.29、及び8T信号でCNR=51.2dB、変調度=0.51が観測された。なお記録前のランド反射電位は355mVであった。表−1に結果をまとめた。
【0037】
比較例1
実施例1の媒体で、色素層を膜厚75nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0038】
比較例2
実施例1の媒体で、色素層を膜厚20nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0039】
比較例3
実施例1の媒体で、色素層を膜厚150nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0040】
比較例4
実施例1の媒体で、案内溝深さが25nmの支持基板を用いた以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0041】
比較例5
実施例1の媒体で、案内溝深さが155nmの支持基板を用いた以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0042】
比較例6
実施例1の媒体で、案内溝幅を0.11μm(トラックピッチの18%)の条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0043】
比較例7
実施例1の媒体で、案内溝幅を0.33μm(トラックピッチの55%)の条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0044】
比較例8
実施例1の媒体で、反射層膜厚を5nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0045】
比較例9
実施例1の媒体で、反射層膜厚を210nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0046】
比較例10
実施例1の媒体で、無機薄膜層厚を5nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0047】
比較例11
実施例1の媒体で、無機薄膜層厚を55nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0048】
比較例12
実施例1の媒体で、光透過シートの膜厚を15μmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0049】
比較例13
実施例1の媒体で、光透過シートの膜厚を210μmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0050】
比較例14
実施例1の媒体で、記録層を下記式(B)の化合物にして膜厚45nmで蒸着成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0051】
【化4】
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、特異なポリアセンジイミド化合物を記録層として用い、特定の基板形状及び記録層膜厚の制御された記録媒体と390〜430nmの単一青紫色レーザー高NA光学ヘッドの併用により、高密度記録に必要な情報信号の安定な記録再生が達成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 反射層
3 記録層
4 保護層(薄膜層)
5 光透過層
【発明の属する技術分野】
本発明は、430nmよりも短い波長(青紫色)で記録・再生可能な光記録媒体であって、CDやDVDよりも高密度で記録できる支持基板上に色素を含有する記録層を有する構造の高密度光記録媒体に関する。
【0002】
【従来技術】
色素を記録層とし、且つ反射率を大きくするための記録層の上に反射層を設けた記録可能な光記録媒体は、例えば、Optical Data Storage 1989 Technical Digest series vol. 1, 45(1989)に開示されて以来、記録層にシアニン色素やフタロシアニン色素を用いた媒体はCDRとして広く市場に供されてきている。これらの媒体は780nmの半導体レーザーで記録する事ができ、且つ780nmの半導体レーザーを搭載している市販のCD−ROMプレーヤーと再生互換を有するという特徴をもつ。更に、近年、映像、動画などの大容量データに対して630〜680nmの赤色半導体レーザーで記録できる4.7GB容量を有すDVDR媒体が提案され市場に供給され出した。そして更に、昨今では、390〜430nmの青紫色半導体レーザーの供試に伴い高精細動画をも対象とした15GB以上の高密度を有するHD−DVDR(High Density DVDR)媒体の検討もスタートしている。
【0003】
かかる中、次世代高密度光ディスクの統一規格「Blu−ray Disc」が日欧韓9社により策定され、発表された。この規格によると、青紫色レーザーとNA=0.85の高開口レンズとを組み合わせ、12cm円板の片面に最大27GBの映像データを繰り返し記録・再生でき、同規格のレコーダを使えば、ディスク1枚にHDTV映像を2時間以上録画できるようになる。これは、現行放送NTSC方式の映像データなら録画時間は13時間以上に相当する。
【0004】
同規格のディスク厚みは1.2mmで、100μm程度の光透過層越しに形成された記録膜にレーザー光を合焦させ、23.3、25、27GBの3種類の記録容量が提案されている。
【0005】
同規格媒体への有機色素の適用可能性について言及された例としてはISOM2001SONY講演「Organic Write Once Disk for a Blue Laser Diode」がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
一般に、記憶容量の増大を図るためには高密度に記録を行う必要があり、如何に小さな記録ピットが安定にレーザー記録・形成できるかがキーとなり、このため記録に使用する光学ビームを絞る目的で光源レーザーを短波長化し対物レンズの開口数(NA)を高めた光学系の適用が容量アップのための一つの方策となる。
【0007】
しかしながら、実際に青紫レーザー搭載のNA=0.7以上の高開口レンズ光学系において達成可能な最小情報ピットの記録再生を実証し得た媒体は有機色素系ではまだ限られていた。更に色素系記録膜に対して当該光学系を適用し、ランド・グルーブ記録を施して高容量化を達成した具体例もなかった。
【0008】
本発明では、波長390〜430nmの範囲から選択される青紫色レーザーを用いて22〜27GB相当の高密度記録及び再生が可能である光記録媒体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、支持基板上に反射層及びポリアセンジイミド系色素を主成分とした記録層を選択し、且つ、それらの適正な膜厚設定と基板上の案内溝の設計により、青紫色レーザーを用いた高NAを有する光学ヘッドにて変調伝達関数(MTF)の遮断空間周波数に相当する最小ピットサイズの情報信号がより良好に記録・再生できることを初めて検証し、本発明を達成した。
【0010】
即ち、本発明は、
(1) 溝深さが30nm〜150nmの範囲内から選択され、且つ溝幅(半値幅)がトラックピッチに対する比率で20%〜50%の範囲から選択される案内溝を有す支持基板上に、少なくとも膜厚が10nm〜200nmの範囲から選択される反射層、一般式(1)で表されるポリアセンジイミド系色素骨格を主成分として含有してなり且つ膜厚が25〜70nmの範囲から選択される記録層、透明な保護層、光透過層がこの順に形成された光記録媒体;
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、R1〜R6は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、モノ置換アミノカルボニル基、ジ置換アミノカルボニル基、アシルオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基またはヘテロアリールチオ基を表す。x及びyはそれぞれ0〜2のいずれかの整数から選択される。)
【0013】
(2) 波長λが390nm〜430nmの範囲から選択されるレーザー光を用い対物レンズの開口数(NA)の範囲が0.70〜0.90範囲から選択される光学系で厚さが20μm〜200μmの範囲から選択される光透過層側から記録・再生が可能なことを特徴とする(1)記載の光記録媒体;
(3) 前記反射層の材質が少なくとも、Au,Ag,Pt,Al,Ni、Rhから選択される金属、またはそれらの合金からなることを特徴とする(1)又は(2)記載の光記録媒体;
(4) 透明な保護層は、SiO2またはTiO2またはAl2O3から選択され、その膜厚が10〜50nmから選択される(1)〜(3)の何れか1項に記載の光記録媒体;
(5) グルーブ(溝中)及び又はランド(溝間)記録が可能な(1)〜(4)の何れか1項に記載の光記録媒体;
である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の光記録媒体は、図1に示すように、光入射とは反対面側から板厚1.15〜1.25mmの支持基板1上に、反射層2、有機色素を主成分としてなる記録層3がこの順で積層されたような構造を有し、この記録層の上には保護層である透明な薄膜層4、及び光透過層5が貼り合わされた構造をとる。ここで、支持基板1と反射層2との間、反射層2と記録層3との間などには他の層が存在していても良い。
【0015】
ここで、本発明によれば、一般式(1)に示すポリアセンジイミド系色素を記録層として用いれば、波長390〜430nmの青紫色レーザー搭載の開口数(Numerical Aperture)が0.85の光学ヘッドで達成可能な最大記録容量が25GBの高密度で安定に記録及び/又は再生可能となる光記録媒体が実現される。すなわち該ヘッドでは検出可能な最小ピットサイズ(λ=405nmとすると、λ/(2・NA)=238nm)以下近傍でも良好な信号コントラスト(変調度、CNR)が得られることによって初めて、上記大容量の情報記録・再生が実現できる。
【0016】
本発明に用いられる支持基板1は、例えばポリカーボネート、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、エポキシ樹脂等の高分子材料、ガラスなどの無機材料等を用いることができる。特に機械強度、耐熱性に良好で、平滑性にすぐれた基板の選択が好ましいが、量産性実績からポリカーボネート系樹脂の適用が望ましい。
【0017】
これら支持基板表面には記録位置を表す案内溝やピット、一部再生専用情報(アドレス情報等も含む)のためのプリピットを有していてもよい。これらの案内溝やピット等は射出成形により基板を作る際に付与するのが通常とられる方法であるが、レーザーカッティング法や2P法により作製しても良い。
【0018】
当該基板上には溝中(グルーブ)に記録する場合、隣り合うグルーブ中心間の距離をトラックピッチと定義し、該トラックピッチが0.25〜0.65μmの範囲から限定されたグルーブが形成される。このとき形成されるグルーブの半値幅は、青紫色レーザーによる記録安定性も考慮すればトラックピッチ(グルーブ記録時)に対する比率にして20%〜50%(より望ましくは30〜40%)の範囲から選ばれ、溝深さは30nm〜150nm(より望ましくは45〜75nm)の範囲から選ばれる。溝深さが30nm未満ではトラッキングが不安定であったし、150nmを超える場合では反射率が減少するうえ、信号波形が歪みやすくなり好ましくなかった。また溝幅が20%未満の場合は記録時のトラッキングサーボ信号が不安定になり記録ができなかった。溝幅が50%を超える時は基板形成時の溝転写性が悪く実生産に向かなかった。
【0019】
本発明に用いられる反射層の材質としてはAu,Ag,Pt,Al,Ni、Rh等の金属やその合金を用いても良い。反射層は蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング法等によって成膜される。反射層の膜厚は、10〜200nm、より望ましくは30〜100nmである。膜厚が10nm未満の場合は、透過率が増大して反射率が大幅に低下し、200nmを超える場合は、反射層の光入射側の界面に溝形状の転写ができずトラッキングエラー信号が大幅に減少して、トラッキングサーボがかからなくなる場合があった。
【0020】
この反射層と記録層との間に層間の密着力を向上させるため、または反射率を上げるため等の目的で中間層を設けてもよい。
【0021】
本発明に用いられる記録層は、基本的には一般式(1)で表示される化合物からなり、390〜430nmの波長範囲で記録される光記録媒体用記録膜に用いる場合のポリアセン母核の構造としては、x=0〜2、y=0〜2のいずれかから選ばれ、より好ましくはx=0、y=0のナフタレンジイミド構造若しくは、x=1、y=0のアントラセンジイミド構造、x=1、y=1のテトラセンジイミド構造が好ましかった。式中のR1〜R6に導入する各種置換基は、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、置換もしくは無置換のアルキル基、アラルキル基、アリール基、アルケニル基、アルコキシ基、アラルキルオキシ基、アリールオキシ基、アルケニルオキシ基、アルキルチオ基、アラルキルチオ基、アリールチオ基、アルケニルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、モノ置換アミノカルボニル基、ジ置換アミノカルボニル基、アシルオキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリールオキシ基またはヘテロアリールチオ基から適宜、光学特性、熱分解特性に鑑み選択され、母核であるポリアセンジイミド核に機能修飾される。むろん、以上の置換基は更に前述の置換基を有してもよい。ここで、機能修飾団としては、とりわけ390〜430nmで適正な光吸収をもたせるために当該波長域でd−d遷移を有するようなフェロセン誘導体等の金属化合物の分子内修飾が有効であった。
【0022】
また記録層としては、一般式(1)の色素に1種または2種以上の色素を混合して使用してもよいし、記録特性や耐久性を改善するために、一般式(1)の色素または他の色素との混合物に更に光吸収物質以外のものを添加しても良い。
【0023】
この記録層に混合される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン系色素、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、アズレニウム系色素、アゾ系色素やメタロセン化合物などが挙げられる。
【0024】
色素を用いた記録層は単層でなく2層以上積層してもよい。このとき一般式(1)に表示される色素を1層のみに用いても良いし2層以上に加えても良い。
【0025】
積層される色素の具体例としては、大環状アザアヌレン色素、ポリメチン系色素、アゾ系色素などがある。
【0026】
前記の色素を含有する記録層は、通常スピンコート、スプレーコート、ロールコート等の塗布方法での成膜することが可能である。塗布に際しては、色素やレジナスバインダーその他の記録層を形成する物質を、基板にダメージを与えない溶剤に溶かして用い、塗布後乾燥する。用いられる溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、シクロヘキサン等の脂肪族や脂環式炭化水素系;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系、メタノール、エタノール、イソプロパノール、テトラフルオロプロパノール、メチルセロソルブ等のアルコール系;クロロホルム、ジクロルメタン等のハロゲン化合物系の溶剤を好ましく用いる事ができる。これらの溶剤は単独で用いてもよいし混合して用いても良い。また記録層を2層以上積層する場合には先に塗布した層を浸食しない溶剤を選択する。
【0027】
記録層を形成する方法としては真空蒸着法を用いてもよい。この方法は記録層物質が溶剤に溶け難い場合や、基板や反射層にダメージを与えない溶剤が選択できない場合に有効である。この場合、真空度と試料が載るボート上の加熱電流(ジュール熱)により成膜スピードが制御でき低ノイズ品質制御が適う。記録層の膜厚としては、25nm〜70nm、より望ましくは30〜60nmである。この膜厚選択は極めて重要であり適正膜厚範囲を選択することにより、実施例に示すように、グルーブ及びランド共に良好な信号の記録再生が確認された。膜厚が25nm未満の場合は、グルーブ未記録の反射率が良好な膜厚時に比べて3分の1に低下し、且つ膜厚が薄いためにピット形成に必要な膜温度に達せず、グルーブ及びランドともに安定再生に必要な大きさの信号が記録されなかった。また膜厚が70nmを超える場合は隣接トラック(グルーブとランド)間において、特に最小ピット信号間のクロストークが大きくなり、そのノイズ上昇のためグルーブ、ランド記録両方の信号CN比が大幅に劣化した。
【0028】
上記記録層の上には、光透過層との界面保護と記録時のノイズ低減を目的として、例えば、SiO2,TiO2,Al2O3等の透明な薄膜層を保護層として用いることが可能である。これらは単独で用いても良いし混合しても良い。また2種以上を積層して使用しても構わない。また該保護層は、反射率や信号振幅などの光学的増強及び又は再生時のレーザーパワーによる記録層の劣化防止としても機能する。
【0029】
この保護層の膜厚としては、10nm〜50nm、より望ましくは20〜30nmである。膜厚が50nmを超える場合は、記録感度が大幅に不足し記録ができなかったり、一方、10nm未満の場合は、機械強度が不足して記録時に該無機層が破壊されたりする場合がある。
【0030】
上記保護層の上には通常光透過層を設ける。当該光透過層は、光透過性の紫外線硬化樹脂を塗布、延伸後、UV照射により硬化させて形成してもよいし、光透過性のフィルムシートを別途均一な厚みに形成しておき、紫外線硬化樹脂などからなる接着層を介して貼り合わせ形成してもよい。なお、上記保護層は、該紫外線硬化樹脂中に記録層を構成する有機色素が溶け出すことを回避する効果もある。該光透過層の厚みは、本発明で想定する高NA対物レンズ搭載の青色光学系を想定したときには、媒体チルトによって生じる収差抑制のため20〜200μmの範囲で形成され、より好ましくは80〜120μmの範囲で形成されることが望ましい。
【0031】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明の実施形態はこれにより限定されるものではない。
【0032】
実施例1
厚さ0.6mm,直径120mmΦのスパイラルグルーブ(トラックピッチ=0.60μm、深さ=50nm,半値幅=0.20μm:トラックピッチの33%)を有する射出成形ポリカーボネート基板にAgPdCu反射膜をバルザース製スパッタ装置(CDI−900)を用いて膜厚50nmで形成し、下記式(A)で示されるナフタレンジイミド系有機色素を真空蒸着装置(昭和真空製:型番=SGC−8M)を用い膜厚45nmとなるように成膜した後、更に、無機SiO2膜を徳田製作所製スパッタ装置(CFS−8EP)を用いて膜厚25nmで成膜し、更に100μmの光透過性シートを貼り、UV硬化接着剤にてUV硬化・固定し、光記録媒体を作製した。
【0033】
【化3】
【0034】
この光記録媒体を青紫色レーザーピックアップ搭載のシバソク製ディスクテスター「LM330A」(搭載波長=405nm,NA=0.85)を用い、線速度=5.72 m/sにて1−7RLLの2T相当(最小ピット長=0.17μm)でのON・OFF繰り返し信号をパルストレーン型の記録ストラテジー条件にてグルーブ(溝中)へ記録を実施した。なお記録前のグルーブ反射電位は345mVであった(記録パワー=8.0mW、バイアスパワー=3.5mW、Ttop=1.5T,Tmp=0.33T)。その記録部位を同じ光学ピック(再生パワー=0.35mW)で再生した結果、CNR=52.7dB、変調度=0.30が観測された。
【0035】
更にひき続いて、同じ光学ピックアップを用い、1−7RLLの8T相当(最大ピット長=0.69μm)でのON・OFF繰り返し信号をパルストレーン型の記録ストラテジー条件にて実施した(記録パワー=5.0mW、バイアスパワー=4.0mW、Ttop=1.5T,Tmp=0.33T)。その記録部位を同じ光学ピック(再生パワー=0.35mW)で再生した結果、CNR=51.6dB、変調度=0.53が観測された。
【0036】
次にランド(溝間)にグルーブと同条件で記録再生したところ、2T信号でCNR=50.8dB、変調度=0.29、及び8T信号でCNR=51.2dB、変調度=0.51が観測された。なお記録前のランド反射電位は355mVであった。表−1に結果をまとめた。
【0037】
比較例1
実施例1の媒体で、色素層を膜厚75nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0038】
比較例2
実施例1の媒体で、色素層を膜厚20nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0039】
比較例3
実施例1の媒体で、色素層を膜厚150nmで成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様の記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0040】
比較例4
実施例1の媒体で、案内溝深さが25nmの支持基板を用いた以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0041】
比較例5
実施例1の媒体で、案内溝深さが155nmの支持基板を用いた以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0042】
比較例6
実施例1の媒体で、案内溝幅を0.11μm(トラックピッチの18%)の条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0043】
比較例7
実施例1の媒体で、案内溝幅を0.33μm(トラックピッチの55%)の条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行った結果を表−1に示した。
【0044】
比較例8
実施例1の媒体で、反射層膜厚を5nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0045】
比較例9
実施例1の媒体で、反射層膜厚を210nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0046】
比較例10
実施例1の媒体で、無機薄膜層厚を5nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0047】
比較例11
実施例1の媒体で、無機薄膜層厚を55nmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0048】
比較例12
実施例1の媒体で、光透過シートの膜厚を15μmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0049】
比較例13
実施例1の媒体で、光透過シートの膜厚を210μmの条件にした以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0050】
比較例14
実施例1の媒体で、記録層を下記式(B)の化合物にして膜厚45nmで蒸着成膜した以外は全て同様の条件で媒体作製し、上記同様のグルーブ記録評価を行なった結果を表−1に示した。
【0051】
【化4】
【0052】
【表1】
【0053】
【表2】
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、特異なポリアセンジイミド化合物を記録層として用い、特定の基板形状及び記録層膜厚の制御された記録媒体と390〜430nmの単一青紫色レーザー高NA光学ヘッドの併用により、高密度記録に必要な情報信号の安定な記録再生が達成された。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の一例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 支持基板
2 反射層
3 記録層
4 保護層(薄膜層)
5 光透過層
Claims (5)
- 溝深さが30nm〜150nmの範囲内から選択され、且つ溝幅(半値幅)がトラックピッチに対する比率で20%〜50%の範囲から選択される案内溝を有す支持基板上に、少なくとも膜厚が10nm〜200nmの範囲から選択される反射層、一般式(1)で表されるポリアセンジイミド系色素骨格を主成分として含有してなり且つ膜厚が25〜70nmの範囲から選択される記録層、透明な保護層、光透過層がこの順に形成された光記録媒体。
- 波長λが390nm〜430nmの範囲から選択されるレーザー光を用い対物レンズの開口数(NA)の範囲が0.70〜0.90範囲から選択される光学系で厚さが20μm〜200μmの範囲から選択される光透過層側から記録・再生が可能なことを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
- 前記反射層の材質が少なくとも、Au,Ag,Pt,Al,Ni、Rhから選択される金属、またはそれらの合金からなることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録媒体。
- 透明な保護層は、SiO2またはTiO2またはAl2O3から選択され、その膜厚が10〜50nmから選択される請求項1〜3の何れか1項に記載の光記録媒体。
- グルーブ(溝中)及び又はランド(溝間)記録が可能な請求項1〜4の何れか1項に記載の光記録媒体。
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