JPH07302886A - 量子メモリおよびそれに用いられる針状電極 - Google Patents

量子メモリおよびそれに用いられる針状電極

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JPH07302886A
JPH07302886A JP6114468A JP11446894A JPH07302886A JP H07302886 A JPH07302886 A JP H07302886A JP 6114468 A JP6114468 A JP 6114468A JP 11446894 A JP11446894 A JP 11446894A JP H07302886 A JPH07302886 A JP H07302886A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 従来の半導体メモリと全く異なる動作原理に
基づく、超高集積度の量子メモリを実現し、また、それ
に用いる針状電極を提供する。 【構成】 順次積層された三段の量子ドットQDj-1
QDj-2 、QDj-3 により一つのメモリセルを構成し、
このメモリセルを二次元的に複数配列してメモリセルア
レーを構成する。量子ドットQDj-1 、QDj-2 、QD
j-3 は化合物半導体ヘテロ接合により形成する。また、
メモリセルアレーの量子ドットQDj-1側の主面にバッ
クゲートBGを設け、針状電極により印加される外部電
場を局所化する。針状電極は、中心電極の周囲に絶縁体
を介して外部電極を設けた構造とする。書き込みや読み
出しは、書き込みや読み出しを行うべきメモリセルを含
む領域にレーザー光を照射しながら、そのメモリセルに
針状電極を接近させて外部電場を印加することにより行
う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、量子メモリおよびそ
れに用いられる針状電極に関し、特に、量子箱(量子ド
ットとも呼ばれる)を用いた量子メモリおよびその書き
込み、読み出しまたは初期化を行うために用いられる針
状電極に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ダイナミックRAMやスタティッ
クRAMなどの半導体メモリの集積度は益々増大してい
るが、これらの半導体メモリは、トランジスタやキャパ
シタなどによりメモリセルを構成し、これらのメモリセ
ル間を配線で接続し、メモリセルに対する書き込みや読
み出しも同じく配線を介して行う点で本質的に同一であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来の半導体メ
モリにおいては、より一層の集積度の向上を図るべく引
き続き研究努力が払われているが、メモリセルの基本構
造が変わらず、メモリセル間を接続する配線なども不可
欠であるため、集積度に限界が来ることは明白である。
【0004】したがって、この発明の目的は、従来の半
導体メモリとは全く異なる動作原理に基づく、超高集積
度の量子メモリを提供することにある。この発明の他の
目的は、量子メモリのメモリセルに対する書き込み、読
み出しまたは初期化を行うために用いられる針状電極を
提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明による量子メモリは、順次積層された第1
の量子箱(QDj-1 )、第2の量子箱(QDj-2 )およ
び第3の量子箱(QDj-3 )によりメモリセルが構成さ
れ、第1の量子箱(QDj-1 )および第2の量子箱(Q
j-2 )の間の結合の強さと第2の量子箱(QDj-2
および第3の量子箱(QDj-3 )の間の結合の強さとが
互いに異なり、針状電極(NE)を用いてメモリセルに
対する書き込み、読み出しまたは初期化が行われる側の
主面と反対側の主面に、針状電極(NE)により印加さ
れる外部電場を書き込み、読み出しまたは初期化が行わ
れるメモリセルの近傍に局所化するための電極(BG)
が設けられていることを特徴とするものである。
【0006】この発明による量子メモリの一実施形態に
おいては、第1の量子箱(QDj-1)および第2の量子
箱(QDj-2 )の間の結合の強さよりも第2の量子箱
(QDj-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の間の結
合の強さの方が大きい。
【0007】ここで、量子箱間の結合の強さは、量子箱
間の障壁に対する電子または正孔のトンネリングしやす
さを示し、トンネリングしやすいほど結合の強さは大き
くなる。
【0008】この発明による量子メモリの好適な一実施
形態においては、第1の量子箱(QDj-1 )、第2の量
子箱(QDj-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の電
子の基底状態のエネルギー準位をそれぞれE0 (j-1)
0 (j-2) およびE0 (j-3)とし、第1の量子箱(QD
j-1 )、第2の量子箱(QDj-2 )および第3の量子箱
(QDj-3 )の電子の第1励起状態のエネルギー準位を
それぞれE1 (j-1) 、E1 (j-2) およびE1 (j-3)
し、第1の量子箱(QDj-1 )、第2の量子箱(QD
j-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の正孔の基底状
態のエネルギー準位をそれぞれH0 (j-1) 、H0 (j-2)
およびH0 (j-3) とし、第1の量子箱(QDj-1 )、第
2の量子箱(QDj-2 )および第3の量子箱(Q
j-3 )の電子の第1励起状態のエネルギー準位をそれ
ぞれH1 (j-1) 、H1 (j-2) およびH1 (j-3) としたと
き、 E0 (j-1) <E0 (j-2) (1) E0 (j-3) <E0 (j-2) (2) [E1 (j-1) −E0 (j-1) ]>[E1 (j-2) −E0 (j-2) ] (3) [E1 (j-3) −E0 (j-3) ]>[E1 (j-2) −E0 (j-2) ] (4) [E0 (j-1) −H0 (j-1) ]≠[E0 (j-2) −H0 (j-2) ] (5) [E0 (j-3) −H0 (j-3) ]≠[E0 (j-2) −H0 (j-2) ] (6) が成立するように、第1の量子箱(QDj-1 )、第2の
量子箱(QDj-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の
設計が行われる。
【0009】この発明による量子メモリの好適な他の一
実施形態においては、 E0 (j-1) <E0 (j-2) (7) E0 (j-3) <E0 (j-2) (8) が成立するように、第1の量子箱(QDj-1 )、第2の
量子箱(QDj-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の
設計が行われる。
【0010】この発明による量子メモリにおいては、好
適には、書き込み時には、書き込みを行うべきメモリセ
ルに第1の光を照射しながら、書き込みを行うべきメモ
リセルに第1の量子箱(QDj-1 )、第2の量子箱(Q
j-2 )および第3の量子箱(QDj-3 )の積層方向の
第1の外部電場を印加する。ここで、第1の光として
は、外部電場が印加されていないときの第2の量子箱
(QDj-2 )における電子−正孔対生成エネルギーより
もその光子エネルギーが少し小さい単色光が好適に用い
られる。また、第1の外部電場の強さは、シュタルク・
シフトにより第2の量子箱(QDj-2 )における電子−
正孔対生成エネルギーが実効的に減少して第1の光が共
鳴吸収され、第2の量子箱(QDj-2 )内に電子−正孔
対が生成されるような強さに選ばれる。
【0011】一方、この発明による量子メモリの読み出
し時には、読み出しを行うべきメモリセルに第2の光を
照射しながら、第1の外部電場と逆方向の第2の外部電
場を印加する。ここで、第2の光としては、第2の量子
箱(QDj-2 )の電子の基底状態のエネルギー準位E0
(j-2) と第1励起状態のエネルギー準位E1 (j-2) との
差[E1 (j-2) −E0 (j-2) ]に等しい光子エネルギー
を有する単色光が好適に用いられる。また、第2の外部
電場の強さは、エネルギーバンドの傾斜により第3の量
子箱(QDj-3 )の電子の基底状態のエネルギー準位E
0 (j-3) と第2の量子箱(QDj-2 )の電子の基底状態
のエネルギー準位E0 (j-2) とが一致するような強さに
選ばれる。
【0012】この発明による量子メモリにおいては、好
適には、所定電圧が印加された針状電極を書き込みを行
うべきメモリセルまたは読み出しを行うべきメモリセル
に接近させることにより第1の外部電場または第2の外
部電場を印加する。
【0013】また、この発明による量子メモリにおいて
は、特定のメモリセルの初期化(または消去)を行う場
合には、初期化を行うべきメモリセルに第2の外部電場
よりも大きい第3の外部電場を印加するかまたは第2の
外部電場を読み出し時よりも長時間印加して初期化を行
うべきメモリセル内で電子−正孔再結合を起こさせるこ
とにより初期化を行う。
【0014】さらに、全てのメモリセルの初期化を一括
して行う場合には、量子メモリの温度を高くするかまた
は量子メモリに第3の光を照射して全てのメモリセル内
で電子−正孔再結合を起こさせる。
【0015】この発明による量子メモリにおいて、典型
的には、第1の量子箱(QDj-1 )側の主面に電極(B
G)が設けられる。より具体的には、複数のメモリセル
から成るメモリセルアレーを構成するメモリセルの第1
の量子箱(QDj-1 )側の主面に電極(BG)が設けら
れる。この電極(BG)は通常、接地される。
【0016】この発明による量子メモリにおいて、典型
的には、電極(BG)は導電性を有する半導体から成
る。この半導体は、具体的には、例えば、n型GaA
s、あるいは、n型AlGaAsとi型GaAsとのヘ
テロ接合においてn型AlGaAsから供給される電子
から成る二次元電子ガスを有するi型GaAsである。
【0017】この発明による量子メモリにおいては、第
1の量子箱、第2の量子箱および第3の量子箱は化合物
半導体ヘテロ接合により形成される。この化合物半導体
ヘテロ接合は、典型的には、タイプIのヘテロ接合超格
子であり、具体的には、例えばAlGaAs/GaAs
ヘテロ接合またはAlGaAs/InGaAsヘテロ接
合である。この化合物半導体ヘテロ接合はタイプIIの
ヘテロ接合超格子であってもよく、具体的には、例えば
AlSb/InAsヘテロ接合、GaSb/InAsヘ
テロ接合またはAlSb/GaSbヘテロ接合であって
もよい。
【0018】また、この発明は、順次積層された第1の
量子箱(QDj-1 )、第2の量子箱(QDj-2 )および
第3の量子箱(QDj-3 )によりメモリセルが構成さ
れ、第1の量子箱(QDj-1 )および第2の量子箱(Q
j-2 )の間の結合の強さと第2の量子箱(QDj-2
および第3の量子箱(QDj-3 )の間の結合の強さとが
互いに異なる量子メモリのメモリセルに対する書き込
み、読み出しまたは初期化を行うために用いられる針状
電極(NE)であって、第1の導電体から成る円柱状の
中心電極(31)と、中心電極(31)の周囲を覆うよ
うに設けられた絶縁体(32)と、絶縁体(32)の周
囲を覆うように設けられた第2の導電体から成る外部電
極(33)とを有することを特徴とするものである。
【0019】この発明による針状電極においては、典型
的には、外部電極(33)が接地され、中心電極(3
1)に所定の電圧が印加される。この発明による針状電
極において、第1の導電体は例えばInAsまたはW、
絶縁体はSiO2 、第2の導電体は金属、例えばAlで
ある。
【0020】
【作用】上述のように構成されたこの発明による量子メ
モリによれば、従来の半導体メモリのメモリセルとは全
く異なり、順次積層された第1の量子箱、第2の量子箱
および第3の量子箱により一つのメモリセルが構成さ
れ、メモリセルに対する書き込みや読み出しは、光照射
や針状電極による外部電場の印加などを併用することに
より行うことができる。この場合、メモリセル間を接続
する配線は不要であり、書き込みや読み出しも配線なし
で行うことができる。このため、配線に起因するメモリ
セルの集積度の限界がなく、集積度の限界は、もっぱら
メモリセル1個当たりの実効的な占有面積から来るもの
だけである。さらに、この場合、針状電極を用いてメモ
リセルに対する書き込み、読み出しまたは初期化が行わ
れる側の主面と反対側の主面に、針状電極により印加さ
れる外部電場を書き込み、読み出しまたは初期化が行わ
れるメモリセルの近傍に局所化するための電極が設けら
れているので、例えばこの電極を接地し、針状電極に所
定電圧を印加してそのメモリセルに接近させたときに
は、そのメモリセルの近傍にだけ書き込み、読み出しま
たは初期化に必要な外部電場を印加することができる。
このため、隣接するメモリセル間の間隔を小さくするこ
とができ、その分だけメモリセルの高集積密度化を図る
ことができる。以上により、超高集積度を達成すること
ができる。具体的には、メモリセル1個当たりの実効的
な占有面積を、例えば50nm×50nm=25×10
-16 2 程度以下と従来の半導体メモリにおけるメモリ
セル1個当たりの実効的な占有面積に比べて極めて小さ
くすることができ、例えばメモリセルアレーのサイズが
6mm×6mmである場合、16ギガ・ビット以上もの
超高集積度を達成することができる。
【0021】また、この発明による針状電極によれば、
中心電極の周囲に絶縁体を介して外部電極が設けられた
構造となっていることにより、例えば、外部電極を接地
し、中心電極に所定電圧を印加したとき、それにより発
生する外部電場は、この針状電極の先端部の近傍の空間
に局所化される。そして、書き込み、読み出しまたは初
期化を行うメモリセルにこの針状電極を用いて外部電場
を印加したときに量子メモリの表面に印加される電場も
局所化される。これによって、隣接するメモリセル間の
間隔を小さくすることができ、その分だけメモリセルの
高集積密度化を図ることができる。
【0022】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。図1はこの発明の第1実施例による
量子メモリを概念的に示したものである。図1に示すよ
うに、この第1実施例による量子メモリにおいては、x
方向およびy方向にメモリセルが配列されており、これ
らのメモリセルによりメモリセルアレーが構成されてい
る。この場合、x方向にメモリセルがM個配列され、y
方向にメモリセルがN個配列されており、メモリセルの
総数はMN個である。これらのメモリセルに順番に1か
らMNまで番号を付ける。後述のように、各メモリセル
は三段の量子ドットから成る。図2はこの第1実施例に
よる量子メモリを示す斜視図であり、メモリセルアレー
の一部を示したものである。
【0023】図2において、符号1は障壁層としてのA
lGaAs層を示す。この場合、x−y面に平行な第1
の面内に量子井戸層としての箱状のInGaAs層2が
所定の配列パターンでアレー状に配列され、x−y面に
平行な第2の面内に量子井戸層としての箱状のGaAs
層3がその下段のInGaAs層2に対応してアレー状
に配列され、x−y面に平行な第3の面内に量子井戸層
としての箱状のInGaAs層4がその下段のGaAs
層3およびInGaAs層2に対応してアレー状に配列
されている。これらのInGaAs層2、GaAs層3
およびInGaAs層4は、障壁層としてのAlGaA
s層1内に埋め込まれている。
【0024】この場合、量子井戸層としてのInGaA
s層2が障壁層としてのAlGaAs層1で囲まれた構
造により図2中下段、すなわち第1段目の量子ドットが
形成され、量子井戸層としてのGaAs層3が障壁層と
してのAlGaAs層1で囲まれた構造により図2中中
段、すなわち第2段目の量子ドットが形成され、量子井
戸層としてのInGaAs層4が障壁層としてのAlG
aAs層1で囲まれた構造により図2中上段、すなわち
第3段目の量子ドットが形成されている。そして、z方
向に順次積層されたこれらの第1段目の量子ドット、第
2段目の量子ドットおよび第3段目の量子ドットにより
一つのメモリセルが構成されている。ここでは、j番目
のメモリセル(以下「メモリセルj」と書く)を構成す
る第1段目の量子ドットをQDj-1 、第2段目の量子ド
ットをQDj-2 、第3段目の量子ドットをQDj-3 と書
く。
【0025】ここで、第1段目の量子ドットQDj-1
よび第3段目の量子ドットQDj-3を構成するAlGa
As/InGaAsヘテロ接合と、第2段目の量子ドッ
トQDj-2 を構成するAlGaAs/GaAsヘテロ接
合とは、いずれもいわゆるタイプIのヘテロ接合超格子
である。
【0026】いま、量子ドットQDj-1 の量子井戸層と
してのInGaAs層2のz方向の幅をW1 、量子ドッ
トQDj-2 の量子井戸層としてのGaAs層3のz方向
の幅をW2 、量子ドットQDj-3 の量子井戸層としての
InGaAs層4のz方向の幅をW3 とし、量子ドット
QDj-1 の量子井戸層としてのInGaAs層2の伝導
帯におけるポテンシャル井戸の深さをV1 、量子ドット
QDj-2 の量子井戸層としてのGaAs層3の伝導帯に
おけるポテンシャル井戸の深さをV2 、量子ドットQD
j-3 の量子井戸層としてのInGaAs層4の伝導帯に
おけるポテンシャル井戸の深さをV3 とする。また、量
子ドットQDj-1 の量子井戸層としてのInGaAs層
2および量子ドットQDj-2 の量子井戸層としてのGa
As層3の間にある障壁層としてのAlGaAs層1の
z方向の幅をB12、量子ドットQDj-2 の量子井戸層と
してのGaAs層3および量子ドットQDj-3 の量子井
戸層としてのInGaAs層4の間にある障壁層として
のAlGaAs層1のz方向の幅をB23とする。さらに
また、量子ドットQDj-k (k=1、2、3)の電子の
基底状態のエネルギー準位および第1励起状態のエネル
ギー準位をそれぞれE0 (j-k) およびE1 (j-k) と書
き、量子ドットQDj-k (k=1、2、3)の正孔の基
底状態のエネルギー準位および第1励起状態のエネルギ
ー準位をそれぞれH0 (j-k) およびH1 (j-k) と書く。
【0027】さて、この第1実施例による量子メモリに
おいては、メモリセルjを構成する量子ドットQ
j-1 、QDj-2 およびQDj-3 は下記の式を満たすよ
うに設計されている。 W2 >W1 〜W3 (9) V2 <V1 〜V3 (10) B12>B23 (11) E0 (j-1) 〜E0 (j-3) <E0 (j-2) (12) [E1 (j-1) −E0 (j-1) ]〜[E1 (j-3) −E0 (j-3) ] >[E1 (j-2) −E0 (j-2) ] (13) [E0 (j-1) −H0 (j-1) ]〜[E0 (j-3) −H0 (j-3) ] ≠[E0 (j-2) −H0 (j-2) ] (14)
【0028】W1 、W2 、W3 、B12、B23などの値の
一例を挙げると、W1 〜10nm、W2 〜(10〜1
5)nm、W3 〜10nm、B12〜12nm、B23〜8
nmである。一方、x−y面に平行な面内の量子ドット
QDj-k (k=1、2、3)の大きさは例えば〜10n
mであり、その間隔は例えば〜50nmである。
【0029】量子ドットQDj-k の積層方向に沿っての
メモリセルjのエネルギーバンド図を図3に示す。図3
中のEc およびEv はそれぞれ伝導帯の底のエネルギー
および価電子帯の頂上のエネルギーを示す(以下同
様)。
【0030】この第1実施例による量子メモリにおいて
は、上述の構成に加えて、後述のように針状電極により
外部電場が印加される側の主面とは反対側の主面、すな
わちメモリセルアレーの第1段目の量子ドット側の主面
に、導電性材料から成るバックゲートBGが設けられて
いる。後に詳細に説明するように、このバックゲートB
Gは、針状電極により印加される外部電場を空間的に局
所化するためのものであり、通常接地される。
【0031】次に、上述のように構成されたこの第1実
施例による量子メモリの動作原理について説明する。こ
こで、後述のように、書き込み時や読み出し時には、書
き込みや読み出しを行うべきメモリセルに単色光、具体
的にはレーザー光を照射するが、このレーザー光は、量
子ドットのバンド間の電子のエネルギー準位間隔(1e
V程度)やサブバンド間の電子のエネルギー準位間隔
(0.3eV程度)に対応する光子エネルギーを有する
必要があるので、この程度の光子エネルギーを有するレ
ーザー光のスポットサイズは数μm以上になり、必然的
に、書き込みや読み出しを行うべきメモリセル以外に多
数のメモリセルが含まれる広い領域に照射される。そこ
で、このレーザー光が照射された多数のメモリセルから
特定のメモリセルを選択して書き込みや読み出しを行う
ために、走査型トンネル顕微鏡の走査針と同様な針状電
極を用いてその特定のメモリセルに外部電場を印加す
る。
【0032】まず、この第1実施例による量子メモリに
書き込みを行う場合には、図4に示すように、書き込み
を行うべきメモリセルjを含む領域にレーザー光Lを照
射しておく。この状態においては、いずれのメモリセル
にも外部電場が印加されていない。このレーザー光Lと
しては、後述の針状電極NEにより外部電場が印加され
ていないときの第2段目の量子ドットQDj-2 における
電子−正孔対生成エネルギーをEehとしたとき、これよ
り少し光子エネルギーの小さい(波長の長い)レーザー
光を用いる。すなわち、レーザー光Lの光子エネルギー
をhν=Einとすると、Ein<Eehである。このとき、
レーザー光Lの照射により量子ドットQDj-2 に電子−
正孔対は生成されず、光吸収は起こらない(図5)。
【0033】上述のように書き込みを行うべきメモリセ
ルjを含む領域にレーザー光Lを照射した状態におい
て、図6に示すように、量子メモリに対して正の電圧が
印加された針状電極NEを、書き込みを行うべきメモリ
セルjに接近させ、外部電場を印加する。このときのメ
モリセルjのエネルギーバンド図は図7に示すようにな
る。このように外部電場が印加されたときには、シュタ
ルク・シフトにより ΔE=E0 (j-2) −H0 (j-2) (15) は減少する。そして、この外部電場の強さがΔE=Ein
となる程度であれば、共鳴的にレーザー光Lの吸収が起
こり、量子ドットQDj-2 内に電子−正孔対が生成され
る(図7)。このシュタルク・シフトは、量子ドットQ
j-2 の上下の量子ドットQDj-1 、QDj-3 の存在に
より、量子ドットQDj-2 単独の場合に比べて大きく、
好都合である。
【0034】z方向に印加された上述の外部電場によっ
て、図8に示すように、上述のようにして量子ドットQ
j-2 内に生成された電子−正孔対のうち電子は量子ド
ットQDj-3 内に、正孔は量子ドットQDj-1 内に速や
かに移動する。そして、量子ドットQDj-3 内に移動し
た電子はよりエネルギーの低い基底状態のエネルギー準
位E0 (j-3) に、量子ドットQDj-1 内に移動した正孔
はよりエネルギーの低い基底状態のエネルギー準位H0
(j-1) にそれぞれ緩和し、空間的に互いに分離される。
【0035】この後、針状電極NEをメモリセルjから
遠ざけて外部電場の印加をなくす。このとき、メモリセ
ルj内の電子および正孔は互いに空間的に分離されてい
ることから、これらの電子および正孔は再結合すること
なく、安定に保持される(図9)。この図9に示すよう
に、量子ドットQDj-3 内に電子が入り、量子ドットQ
j-1 内に正孔が入った状態をもって1ビットの記憶と
する。
【0036】一方、レーザー光Lが照射された多数のメ
モリセルのうちメモリセルj以外のメモリセルでは、針
状電極NEにより印加される外部電場の強さが小さく、
十分な大きさのシュタルク・シフトが得られないので、
光吸収は起きず、したがってこれらのメモリセルにおい
ては電子−正孔対は生成されない。すなわち、メモリセ
ルj内にのみ電子−正孔対が生成され、それによって1
ビットの情報が記憶されることになる。
【0037】次に、この第1実施例による量子メモリの
読み出しを行う場合について説明する。ここでは、メモ
リセルjの量子ドットQDj-3 の電子の基底状態のエネ
ルギー準位E0 (j-3) に電子が入っており、量子ドット
QDj-1 の正孔の基底状態のエネルギー準位H0 (j-1)
に正孔が入っているとする(図10)。
【0038】この読み出し時には、図4に示すと同様
に、読み出しを行うべきメモリセルjを含む領域にレー
ザー光Lを照射しておく。この場合、このレーザー光L
としては、その光子エネルギーhνが、量子ドットQD
j-2 の電子の基底状態のエネルギー準位E0 (j-2) と第
1励起状態のエネルギー準位E1 (j-2) との差 Eout =E1 (j-2) −E0 (j-2) (16) に等しいものを用いる。このような光子エネルギーhν
がEout に等しいレーザー光Lがメモリセルjに照射さ
れたとき、メモリセルj内に電子が存在してもそれは量
子ドットQDj-3 内に存在するので、光吸収は起こらな
い。そこで、図6に示すと同様に、書き込み時とは逆に
量子メモリに対して負の電圧が印加された針状電極NE
を読み出しを行うべきメモリセルjに接近させ、外部電
場を印加する。このときのメモリセルjのエネルギーバ
ンド図を図11に示す。
【0039】この外部電場の強さが、E0 (j-3) とE0
(j-2) とがほぼ一致するような強さであると、電子は共
鳴的に第2段目の量子ドットQDj-2 に移る確率を有
し、このとき初めてhν=Eout のレーザー光Lが吸収
される。この場合、量子ドットQDj-1 および量子ドッ
トQDj-2 の間にある障壁層としてのAlGaAs層1
の幅B12と量子ドットQDj-2 および量子ドットQD
j-3 の間にある障壁層としてのAlGaAs層1の幅B
23とが互いに異なり、 B12>B23 (17) であることから、量子ドットQDj-3 から量子ドットQ
j-2 に移動した電子は量子ドットQDj-1 まで移動す
ることはない。また、量子ドットQDj-1 内の正孔は移
動せず、その量子ドットQDj-1 内にとどまっている。
この量子ドットQDj-1 内の正孔が移動しないのは、幅
23の障壁層としてのAlGaAs層1を電子がトンネ
ルするために必要な時間に比べて、幅B12の障壁層とし
てのAlGaAs層1を正孔がトンネルするために必要
な時間の方が圧倒的に大きいためであるが、それは、B
12とB23との違いとともに、正孔の有効質量の方が電子
の有効質量よりも大きいことにもよっている。
【0040】メモリセルj内に電子および正孔が存在し
なければ、レーザー光Lを照射しても光吸収は起きない
ので、光吸収の有無によりメモリセルのビット情報の読
み出しを行うことができることになる。
【0041】書き込み時と同様に、レーザー光Lが照射
された多数のメモリセルのうちメモリセルj以外のメモ
リセルでは、針状電極NEにより印加される外部電場の
強さが小さく、そのメモリセル内に電子が存在するとし
てもそれは第2段目の量子ドットに移動することができ
ないので、光吸収はなく、メモリセルjだけの情報を読
み出すことができることがわかる。
【0042】次に、この第1実施例による量子メモリの
初期化(または消去)を行う方法について説明する。ま
ず、特定のメモリセルの初期化を行う方法としては、二
つの方法がある。一つの方法は、初期化を行うべきメモ
リセルjに、読み出し時に印加する電圧よりも大きい負
の電圧が印加された針状電極NEを接近させて外部電場
を印加することによりそのメモリセルj内で電子−正孔
再結合を起こさせる方法であり、もう一つの方法は、例
えば読み出し時と同様な外部電場をより長時間印加する
ことによりそのメモリセルj内で電子−正孔再結合を起
こさせる方法である。なお、場合によっては、針状電極
NEにより交流電場を印加することにより特定のメモリ
セルの初期化を行うことも可能である。
【0043】また、全てのメモリセルの初期化を一括し
て行う方法としては、量子メモリの温度を高くし、フォ
ノンの吸収により電子−正孔再結合を促進する方法があ
る。このときの量子メモリの温度Tの目安は、図12に
示すように、量子ドットQDj-1 の正孔の基底状態のエ
ネルギー準位H0 (j-1) にある正孔を量子ドットQD
j-2 の正孔の基底状態のエネルギー準位H0 (j-2) に、
量子ドットQDj-3 の電子の基底状態のエネルギー準位
0 (j-3) にある電子を量子ドットQDj-2 の電子の基
底状態のエネルギー準位E0 (j-2) にそれぞれ熱的に励
起することができるような温度であり、具体的には、ボ
ルツマン定数をkB とすると、 [H0 (j-2) −H0 (j-1) ]〜[E0 (j-2) −E0 (j-3) ]〜kB T (18) となる程度の温度である。
【0044】全てのメモリセルの初期化を一括して行う
もう一つの方法は、(18)式で与えられる光子エネルギー
を有する単色光を量子メモリ全体に照射し、全てのメモ
リセルの第3段目の量子ドット内の電子および第1段目
の量子ドット内の正孔を第2段目の量子ドット内に励起
して、電子−正孔再結合を起こさせる方法である。
【0045】次に、上述のように構成されたこの第1実
施例による量子メモリの製造方法について説明する。
【0046】まず、図13に示すように、図示省略した
化合物半導体基板(例えば、GaAs基板)上に、例え
ば有機金属化学気相成長(MOCVD)法や分子線エピ
タキシー(MBE)法により、十分に厚いAlGaAs
層1a、厚さW1 のInGaAs層2、厚さB12のAl
GaAs層1b、厚さW2 のGaAs層3、厚さB23
AlGaAs層1c、厚さW3 のInGaAs層4およ
び所定の厚さのAlGaAs層1dを順次エピタキシャ
ル成長させる。ただし、バックゲートは、後述するその
構造の種類に応じて、使用する化合物半導体基板自身に
より形成されるかまたはその化合物半導体基板上にあら
かじめ形成されているものとする。ここで、現在のMO
CVD法やMBE法によれば、W1 、W2 、W3
12、B23が(9)式および(11)式を満たすように制御し
てエピタキシャル成長を行うことは容易である。また、
InGaAs層2およびInGaAs層4のIn組成比
やAlGaAs層1a、1b、1c、1dのAl組成比
を制御することにより、量子ドットQDj-1 の量子井戸
層となるInGaAs層2の伝導帯におけるポテンシャ
ル井戸の深さV1 、量子ドットQDj-2 の量子井戸層と
なるGaAs層3の伝導帯におけるポテンシャル井戸の
深さV2 、量子ドットQDj-3 の量子井戸層となるIn
GaAs層4の伝導帯におけるポテンシャル井戸の深さ
3 が(10)式を満たすように制御してエピタキシャル成
長を行うことができる。
【0047】次に、図14に示すように、AlGaAs
層1d上に電子ビームリソグラフィー法などによりメモ
リセルに対応した形状のレジストパターン5を形成す
る。
【0048】次に、このレジストパターン5をマスクと
して、例えば反応性イオンエッチング(RIE)法によ
り、AlGaAs層1d、InGaAs層4、AlGa
As層1c、GaAs層3およびAlGaAs層1bお
よびInGaAs層2を基板表面に対して垂直な方向に
順次エッチングする。このエッチングは、InGaAs
層2が互いに分離するようにオーバーエッチング気味に
行う。これによって、図15に示すように、InGaA
s層2、AlGaAs層1b、GaAs層3、AlGa
As層1c、InGaAs層4およびAlGaAs層1
dが四角柱状にパターニングされる。
【0049】次に、レジストパターン5を除去した後、
図16に示すように、例えばMOCVD法により、基板
表面に対して垂直な側壁上に成長が起きない条件でAl
GaAs層1eをエピタキシャル成長させて、四角柱状
のInGaAs層2、AlGaAs層1b、GaAs層
3、AlGaAs層1c、InGaAs層4およびAl
GaAs層1dの間の部分を埋める。ここで、AlGa
As層1a、1b、1c、1d、1eの全体が図2に示
すAlGaAs層1に対応する。以上のようにして、図
2に示す量子メモリが完成される。
【0050】ところで、この第1実施例においては、書
き込み時や読み出し時に、書き込みや読み出しを行うべ
きメモリセルを含む領域に所定の光子エネルギーを有す
るレーザー光Lを照射しながら、針状電極NEによりそ
のメモリセルに外部電場を印加している。そして、この
外部電場の印加によって、メモリセルの量子ドットの内
部量子状態が変化し、レーザー光Lを共鳴的に吸収する
ことができるようになり、書き込みや読み出しを行うこ
とができる。図17に示す光吸収強度曲線において、こ
の共鳴吸収が起こる光エネルギーを、外部電場を印加し
たときの量子メモリの表面電位φの関数でE(φ)と書
く。また、この光吸収強度曲線についての半値幅をΔW
とする。
【0051】いま、バックゲートBGがない場合を考え
ると、通常の走査型トンネル顕微鏡の走査針と同様な針
状電極NEにより外部電場を印加したときの空間電位分
布は図18に示すようになっている。この場合、金属な
どの材料により形成されている針状電極NEの外部は真
空であり、その誘電率は小さい。この結果、針状電極N
Eにより量子メモリに印加される外部電場はかなり広が
っている。このときの量子メモリの表面の電位分布φ
(x)は図19に示すようになめらかな変化をしてい
る。したがって、針状電極NE直下のメモリセルjでの
み共鳴吸収を起こさせ、隣接するメモリセルでは吸収を
起こさせないようにするためには、メモリセル間の間隔
を十分に大きくしなければならない。すなわち、メモリ
セルjの位置座標をxj 、隣接するメモリセルj−1の
それをxj-1 とすると、 E(φ(xj-1 ))<E(φ(xj ))−ΔW (19) または E(φ(xj ))+ΔW<E(φ(xj-1 )) (20) が成立しないと、メモリセルjと隣接するメモリセルj
−1とを区別することができない。
【0052】上述のようにメモリセル間の間隔を十分に
大きくしなければならないことは、量子メモリの集積度
の向上を図る上で好ましくない。この問題は、この第1
実施例による量子メモリにおけるように、針状電極NE
により外部電場が印加される側の主面と反対側の主面に
バックゲートBGを設けることにより解決することがで
きる。
【0053】すなわち、このバックゲートBGを設ける
と、針状電極NEによって印加された外部電場はバック
ゲートBG内の電荷によってスクリーニングされ、量子
メモリ内ではこの外部電場は狭い領域に閉じ込められ
る。この結果、量子メモリの表面に針状電極NEを接近
させたときにこの針状電極NEによって印加される外部
電場は図20に示すように局所化される。
【0054】このスクリーニングについてもう少し詳し
く説明すると次の通りである。一般に、真空を含め、誘
電体中では、クーロン力の逆二乗則は変わらないが、自
由に動ける電荷があると、外部電場が印加されたときに
その電荷が外部電場を打ち消すように移動することによ
って、スクリーニングが起こる。すなわち、導体(ここ
ではバックゲート)の外部にある電荷によって、導体内
に誘導電荷が生じ、クーロン・ポテンシャルの距離に対
する減衰率が大きくなるのである。図21に示すよう
に、最も単純な導体平板と単一電荷(q)とから成る系
の場合、導体表面付近の外部電場は、(r2 +a2
-3/2〜r-3(r→∞)で変化し、導体のない場合の(r
2 +a2 -1〜r-2(r→∞)に比べて、減衰の次数は
1次高いことがわかる。この減衰がバックゲートによっ
て引き起こされ、この電位変化に引きずられて誘電体部
分の電場も局所化するのである。
【0055】次に、上述のバックゲートを有する量子メ
モリの具体例について説明する。
【0056】図22に示す第1の例においては、量子メ
モリを製造する際の基板としてn型GaAs基板11を
用い、このn型GaAs基板11上に図2に示すと同様
な三段の量子ドットアレーを形成する。このn型GaA
s基板11の裏面にはこのn型GaAs基板11とオー
ミック接触するように電極12を形成する。そして、こ
の電極12を接地し、n型GaAs基板11を接地す
る。この場合、n型GaAs基板11がバックゲートと
なり、AlGaAs層1がこのバックゲートと量子ドッ
トアレーとを分離する層となる。
【0057】図23に示す第2の例においては、量子メ
モリを製造する際の基板として半絶縁性GaAs基板1
3を用い、この半絶縁性GaAs基板13上にn型Ga
As層14をエピタキシャル成長させた後、このn型G
aAs層14上に図2に示すと同様な三段の量子ドット
アレーを形成する。この後、量子ドットアレーの一部を
エッチング除去してその部分にn型GaAs層14を露
出させ、この露出したn型GaAs層14上に電極12
を形成する。そして、この電極12を接地し、n型Ga
As層14を接地する。この場合、n型GaAs層13
がバックゲートとなる。
【0058】図24に示す第3の例においては、量子メ
モリを製造する際の基板として半絶縁性GaAs基板1
3を用い、この半絶縁性GaAs基板13上にn型Al
GaAs層15およびi型GaAs層16を順次エピタ
キシャル成長させた後、i型GaAs層16上に図2に
示すと同様な三段の量子ドットアレーを形成する。この
後、量子ドットアレーの一部をエッチング除去してその
部分にi型GaAs層16を露出させ、この露出したi
型GaAs層16上に電極12を形成する。そして、こ
の電極12を接地する。この場合、n型AlGaAs層
15とi型GaAs層16とのヘテロ接合の界面におけ
るi型GaAs層16中にn型AlGaAs層15から
電子が供給され、二次元電子ガス(2DEG)が形成さ
れる。それによって、このi型GaAs層16と電極1
2とがオーミック接触する。この場合、この2DEGが
存在するi型GaAs層16がバックゲートとなる。
【0059】以上のように、この第1実施例による量子
メモリによれば、各メモリセルの大きさが10nm×1
0nm程度であり、メモリセル間の間隔も50nm程度
以下とすることができるので、メモリセル1個当たりの
実効的な占有面積、言い換えれば1ビット当たり必要な
面積は50nm×50nm=25×10-16 2 程度以
下と、従来の半導体メモリに比べて極めて小さくするこ
とができる。したがって、例えばメモリセルアレーのサ
イズが6mm×6mmであるとすれば、この量子メモリ
は、16ギガ・ビット以上もの情報を記憶することがで
きる。また、この量子メモリにおいては、1ビット当た
り単一の電子−正孔対しか使用しないので、極めて低消
費電力である。
【0060】次に、この発明の第2実施例による量子メ
モリについて説明する。この第2実施例による量子メモ
リの全体構成は図1に示すと同様である。図25はこの
第2実施例による量子メモリを示す斜視図であり、メモ
リセルアレーの一部を示したものである。
【0061】図25において、符号21は障壁層として
のAlGaAs層を示す。この場合には、x−y面に平
行な第1の面内に量子井戸層としての箱状のGaAs層
22が所定の配列パターンでアレー状に配列され、x−
y面に平行な第2の面内に量子井戸層としての箱状のG
aAs層23がその下段のGaAs層22に対応してア
レー状に配列され、x−y面に平行な第3の面内に量子
井戸層としての箱状のGaAs層24がその下段のGa
As層23およびGaAs層22に対応してアレー状に
配列されている。これらのGaAs層22、GaAs層
23およびGaAs層24は、障壁層としてのAlGa
As層21に埋め込まれている。
【0062】この場合、量子井戸層としてのGaAs層
22が障壁層としてのAlGaAs層21で囲まれた構
造により図25中下段、すなわち第1段目の量子ドット
が形成され、量子井戸層としてのGaAs層23が障壁
層としてのAlGaAs層21で囲まれた構造により図
25中中段、すなわち第2段目の量子ドットが形成さ
れ、量子井戸層としてのGaAs層24が障壁層として
のAlGaAs層21で囲まれた構造により図25中上
段、すなわち第3段目の量子ドットが形成されている。
そして、z方向に順次積層されたこれらの第1段目の量
子ドット、第2段目の量子ドットおよび第3段目の量子
ドットにより一つのメモリセルが構成されている。ここ
では、第1実施例と同様に、メモリセルjを構成する第
1段目の量子ドットをQDj-1 、第2段目の量子ドット
をQDj-2 、第3段目の量子ドットをQDj-3 と書く。
【0063】すなわち、第1実施例による量子メモリに
おいては、メモリセルjの第1段目の量子ドットQD
j-1 および第3段目の量子ドットQDj-3 はAlGaA
s/InGaAsヘテロ接合により構成され、第2段目
の量子ドットQDj-2 はAlGaAs/GaAsヘテロ
接合により構成されているのに対して、この第2実施例
による量子メモリにおいては、メモリセルjの第1段目
の量子ドットQDj-1 、第2段目の量子ドットQDj-2
および第3段目の量子ドットQDj-3 ともただ一種類の
AlGaAs/GaAsヘテロ接合により構成されてい
る。
【0064】いま、第1実施例と同様に、量子ドットQ
j-1 の量子井戸層としてのGaAs層22のz方向の
幅をW1 、量子ドットQDj-2 の量子井戸層としてのG
aAs層23のz方向の幅をW2 、量子ドットQDj-3
の量子井戸層としてのGaAs層24のz方向の幅をW
3 とし、量子ドットQDj-1 の量子井戸層としてのGa
As層22の伝導帯におけるポテンシャル井戸の深さを
1 、量子ドットQDj-2 の量子井戸層としてのGaA
s層23の伝導帯におけるポテンシャル井戸の深さをV
2 、量子ドットQDj-3 の量子井戸層としてのGaAs
層24の伝導帯におけるポテンシャル井戸の深さをV3
とする。また、量子ドットQDj-1 の量子井戸層として
のGaAs層22および量子ドットQDj-2 の量子井戸
層としてのGaAs層23の間にある障壁層としてのA
lGaAs層21のz方向の幅をB12、量子ドットQD
j-2 の量子井戸層としてのGaAs層23および量子ド
ットQDj-3 の量子井戸層としてのGaAs層24の間
にある障壁層としてのAlGaAs層21のz方向の幅
をB23とする。さらに、量子ドットQDj-k (k=1、
2、3)の電子の基底状態のエネルギー準位および第1
励起状態のエネルギー準位をそれぞれE0 (j-k) および
1 (j-k) と書き、量子ドットQDj-k (k=1、2、
3)の正孔の基底状態のエネルギー準位および第1励起
状態のエネルギー準位をそれぞれH0 (j-k) およびH1
(j-k) と書く。
【0065】さて、この第2実施例による量子メモリに
おいては、メモリセルjを構成する量子ドットQ
j-1 、QDj-2 およびQDj-3 は下記の式を満たすよ
うに設計されている。 B12>B23 (21) E0 (j-1) 〜E0 (j-3) <E0 (j-2) (22) ここで、(22)式の条件は、 W2 <W1 〜W3 (23) とすることによって実現することが可能である。
【0066】これらの条件は、第1実施例による量子メ
モリの条件((9)〜(14)式)に比べて単純になっている。
特に、V2 <V1 〜V3 ((10)式)の条件が不要である
ことから、 V1 =V2 =V3 (24) でもよく、上述のように量子ドットQDj-k の量子井戸
層の材料をいずれもGaAs層とすることができるので
ある。
【0067】W1 、W2 、W3 、B12、B23などの値の
一例を挙げると、W1 〜10nm、W2 〜5nm、W3
〜10nm、B12 〜(10〜15)nm、B23〜5n
mである。一方、x−y面に平行な面内の量子ドットQ
j-k (k=1、2、3)の大きさは例えば〜10nm
であり、その間隔は例えば〜50nmである。
【0068】量子ドットQDj-k の積層方向に沿っての
メモリセルjのエネルギーバンド図を図26に示す。
【0069】この第2実施例による量子メモリにおいて
は、第1実施例による量子メモリと同様に、上述の構成
に加えて、後述のように針状電極により外部電場が印加
される側の主面とは反対側の主面、すなわちメモリセル
アレーの第1段目の量子ドット側の主面に、導電性材料
から成るバックゲートBGが設けられている。このバッ
クゲートBGは通常、接地される。このバックゲートB
Gの具体的な構造は、図22、図23および図24に示
すと同様である。
【0070】次に、上述のように構成されたこの第2実
施例による量子メモリの動作原理について説明する。
【0071】まず、この第2実施例による量子メモリに
書き込みを行う場合には、図4に示すと同様に、書き込
みを行うべきメモリセルjを含む領域にレーザー光Lを
照射しておく。この状態においては、いずれのメモリセ
ルにも外部電場が印加されていない。レーザー光Lとし
ては、針状電極NEにより外部電場が印加されていない
ときの第2段目の量子ドットQDj-2 における電子−正
孔対生成エネルギーをEehとしたとき、これより少し光
子エネルギーの小さい(波長の長い)レーザー光を用い
る。すなわち、レーザー光Lの光子エネルギーをhν=
inとすると、Ein<Eehである。このとき、レーザー
光Lの照射により量子ドットQDj-2 内に電子−正孔対
は生成されず、光吸収は起こらない(図27)。
【0072】上述のように書き込みを行うべきメモリセ
ルjを含む領域にレーザー光Lを照射した状態におい
て、図6に示すと同様に、量子メモリに対して正の電圧
が印加された針状電極NEを、書き込みを行うべきメモ
リセルjに接近させ、外部電場を印加する。このときの
メモリセルjのエネルギーバンド図を図28に示す。こ
のように外部電場が印加されたときには、シュタルク・
シフトにより ΔE=E0 (j-2) −H0 (j-2) (25) は減少する。そして、この外部電場の強さがΔE=Ein
となる程度であれば、共鳴的にレーザー光Lの吸収が起
こり、量子ドットQDj-2 内に電子−正孔対が生成され
る(図28)。このシュタルク・シフトは、量子ドット
QDj-2 の上下の量子ドットQDj-1 、QDj-3 の存在
により、量子ドットQDj-2 単独の場合に比べて大き
く、好都合である。
【0073】z方向に印加された上述の外部電場によっ
て、図29に示すように、上述のようにして量子ドット
QDj-2 内に生成された電子−正孔対のうち電子は量子
ドットQDj-3 内に、正孔は量子ドットQDj-1 内に速
やかに移動する。そして、量子ドットQDj-3 内に移動
した電子はよりエネルギーの低い基底状態のエネルギー
準位E0 (j-3) に、量子ドットQDj-1 内に移動した正
孔はよりエネルギーの低い基底状態のエネルギー準位H
0 (j-1) にそれぞれ緩和し、空間的に互いに分離され
る。
【0074】この後、針状電極NEをメモリセルjから
遠ざけて外部電場の印加をなくす。このとき、メモリセ
ルj内の電子および正孔は互いに空間的に分離されてい
ることから、これらの電子および正孔は再結合すること
なく、安定に保持される(図30)。この場合、第1実
施例と同様に、この図30に示すように、量子ドットQ
j-3 内に電子が入り、量子ドットQDj-1 内に正孔が
入った状態をもって1ビットの記憶とする。
【0075】一方、レーザー光Lが照射された多数のメ
モリセルのうちメモリセルj以外のメモリセルでは、針
状電極NEにより印加される外部電場の強さが小さく、
十分な大きさのシュタルク・シフトが得られないので、
光吸収は起きず、したがってこれらのメモリセルにおい
ては電子−正孔対は生成されない。すなわち、メモリセ
ルj内にのみ電子−正孔対が生成され、それによって1
ビットの情報が記憶される。
【0076】次に、この第2実施例による量子メモリの
読み出しを行う場合について説明する。いま、メモリセ
ルjの第2段目の量子ドットQDj-2 および第3段目の
量子ドットQDj-3 がそれぞれ単独に存在していたとす
るときの電子の基底状態およびそのエネルギーをそれぞ
れ|ψ0 (j-k) 〉およびε0 (j-k) (k=2、3)と書
くと、 ε0 (j-2) >ε0 (j-3) (26) である。
【0077】この第2実施例による量子メモリにおいて
は、二つの量子ドットQDj-2 および量子ドットQD
j-3 は互いに結合しており、それらの間の障壁の幅B23
は小さいが、エネルギーε0 (j-2) およびε0 (j-3)
違うので、状態|ψ0 (j-2) 〉および|ψ0 (j-3) 〉は
あまり混じり合わない。したがって、この結合量子ドッ
ト系の電子の基底状態|Ψ0 (j) 〉および第1励起状態
|Ψ1 (j) 〉は、 |Ψ0 (j) 〉〜|ψ0 (j-3) 〉 (27) |Ψ1 (j) 〉〜|ψ0 (j-2) 〉 (28) である。これらの基底状態|Ψ0 (j) 〉および第1励起
状態|Ψ1 (j) 〉の波動関数を図26と同様な図31に
対応して示すと、それぞれ図32および図33のように
なる。図32および図33に示すように、これらの状態
|Ψ0 (j) 〉および|ψ0 (j-3) 〉は空間的に互いに分
離されているので、もし光が入射してもそれを吸収する
確率は非常に小さい。
【0078】さて、この結合量子ドット系に外部電場を
印加すると、メモリセルjのエネルギーバンド図は図3
4に示すようになる。この外部電場の印加によって量子
状態は変化し、それぞれ単独で存在しているとしたとき
の量子ドットQDj-2 および量子ドットQDj-3 のエネ
ルギー準位が互いに近づくと、共鳴的に両状態が混じり
合う。このときのこの結合量子ドット系の量子状態は、 |Ψ0 (j) 〉〜[|ψ0 (j-2) 〉+|ψ0 (j-3) 〉] (29) |Ψ1 (j) 〉〜[|ψ0 (j-2) 〉−|ψ0 (j-3) 〉] (30) のようになり、結合状態|Ψ0 (j) 〉と反結合状態|Ψ
1 (j) 〉とに分裂する。このときのエネルギーの分裂幅
を2ΔEと書く。これらの結合状態|Ψ0 (j) 〉および
反結合状態|Ψ1 (j) 〉の波動関数を図34に対応して
示すと、それぞれ図35および図36に示すようにな
る。図35および図36からわかるように、これらの二
状態は空間的に互いに大きく重なっており、光入射に対
してその吸収確率は大きい。
【0079】したがって、例えば、走査型トンネル顕微
鏡で用いられる走査針と同様な針状電極によって特定の
メモリセルのみに外部電場を印加することにより、その
印加されたメモリセル内に電子が存在するときにのみエ
ネルギー2ΔEの光吸収が起こり、それ以外のときには
光吸収が起こり得ないことになる。
【0080】以上の原理を利用して、メモリセルに記憶
された1ビットの情報を読み出す方法について説明す
る。まず、図4に示すと同様にして、読み出しを行うべ
きメモリセルjを含む領域に、2ΔE=hνの光子エネ
ルギーを有するレーザー光Lを照射しておく。上述のよ
うに、このメモリセルjに外部電場が印加されていない
とき(図37)には、光吸収は起こり得ない。次に、図
6に示すと同様に、量子メモリに対して負の電圧が印加
された針状電極NEを、読み出しを行うべきメモリセル
jに接近させる。このとき、メモリセルjのエネルギー
バンド図は図38に示すようになる。ここで、もしその
メモリセルjの量子ドットQDj-3 内に電子が存在する
ときには、共鳴的にレーザー光Lの吸収が起こる。一
方、そのメモリセルjに電子が存在しないならば光吸収
は起こらない。したがって、この光吸収の有無によりメ
モリセルjの情報を読み出すことができる。
【0081】メモリセルjの量子ドットQDj-3 内に電
子が存在する場合、同時にその量子ドットQDj-1 内に
正孔が存在している。量子ドットQDj-1 および量子ド
ットQDj-2 の間の障壁層の幅B12と量子ドットQD
j-2 および量子ドットQDj-3の間の障壁層の幅B23
が互いに異なり、 B12>B23 (31) であるので、量子ドットQDj-1 内の正孔は量子ドット
QDj-2 の状態と共鳴もしないし、トンネル障壁の幅B
12が大きいので、量子ドットQDj-1 および量子ドット
QDj-2 間の結合の強さも小さい。このため、量子ドッ
トQDj-1 内の正孔は量子ドットQDj-2 に移動せず、
量子ドットQDj-1 内にとどまっている。また、同様の
理由で、量子ドットQDj-3 内の電子は量子ドットQD
j-1 に移動することもない。幅B23の障壁を介する電子
状態の結合に比べて幅B12の障壁を介する正孔状態の結
合の方が圧倒的に強いのは、B12とB23との違いととも
に、正孔の有効質量が電子のそれよりも大きいことにも
よっている。
【0082】書き込み時と同様に、レーザー光Lが照射
された多数のメモリセルのうちメモリセルj以外のメモ
リセルでは、針状電極Eにより印加される外部電場の強
さが小さく、そのメモリセル内に電子が存在するとして
もそれは第2段目の量子ドットに移動することができな
いので、光吸収はなく、したがってメモリセルjだけの
情報を読み出すことができる。
【0083】次に、この第2実施例による量子メモリの
初期化(または消去)を行う方法について説明する。ま
ず、特定のメモリセルの初期化を行う方法としては、二
つの方法がある。一つの方法は、初期化を行うべきメモ
リセルjに、読み出し時に印加する電圧よりも大きい負
の電圧が印加された針状電極NEを接近させて外部電場
を印加することによりそのメモリセル内で電子−正孔再
結合を起こさせる方法であり、もう一つの方法は、例え
ば読み出し時と同様な外部電場をより長時間印加するこ
とにより電子−正孔再結合を起こさせる方法である。
【0084】また、全てのメモリセルの初期化を一括し
て行う方法としては、量子メモリの温度を高くし、フォ
ノンの吸収により電子−正孔再結合を促進する方法があ
る。このときの量子メモリの温度Tの目安は、図39に
示すように、量子ドットQDj-1 の正孔の基底状態のエ
ネルギー準位H0 (j-1) にある正孔を量子ドットQD
j-2 の正孔の基底状態のエネルギー準位H0 (j-2) に、
量子ドットQDj-3 の電子の基底状態のエネルギー準位
0 (j-3) にある電子を量子ドットQDj-2 の電子の基
底状態のエネルギー準位E0 (j-2) にそれぞれ熱的に励
起することができるような温度であり、具体的には、 [H0 (j-2) −H0 (j-1) ]〜[E0 (j-2) −E0 (j-3) ]〜kB T (32) となる程度の温度である。
【0085】全てのメモリセルの初期化を一括して行う
もう一つの方法は、(32)式で与えられる光子エネルギー
を有する単色光を量子メモリ全体に照射し、全てのメモ
リセルの第3段目の量子ドット内の電子および第1段目
の量子ドット内の正孔を第2段目の量子ドット内に励起
して、電子−正孔再結合を起こさせる方法である。次
に、上述のように構成されたこの第2実施例による量子
メモリの製造方法について説明する。
【0086】まず、図40に示すように、図示省略した
化合物半導体基板(例えば、GaAs基板)上に、例え
ばMOCVD法やMBE法により、十分に厚いAlGa
As層21a、厚さW1 のGaAs層22、厚さB12
AlGaAs層21b、厚さW2 のGaAs層23、厚
さB23のAlGaAs層21c、厚さW3 のGaAs層
24および所定の厚さのAlGaAs層21dを順次エ
ピタキシャル成長させる。ただし、第1実施例と同様
に、バックゲートは、その構造の種類に応じて、使用す
る化合物半導体基板自身により形成されるかまたはその
化合物半導体基板上にあらかじめ形成されているものと
する。
【0087】次に、図41に示すように、AlGaAs
層21d上に電子ビームリソグラフィー法などによりメ
モリセルに対応した形状のレジストパターン25を形成
する。
【0088】次に、このレジストパターン25をマスク
として、例えばRIE法により、AlGaAs層21
d、GaAs層24、AlGaAs層21c、GaAs
層23、AlGaAs層21bおよびGaAs層22を
基板表面に対して垂直な方向に順次エッチングする。こ
のエッチングは、GaAs層22が互いに分離するよう
にオーバーエッチング気味に行う。このようにして、図
42に示すように、GaAs層22、AlGaAs層2
1b、GaAs層23、AlGaAs層21c、GaA
s層24およびAlGaAs層21dが四角柱状にパタ
ーニングされる。
【0089】次に、レジストパターン25を除去した
後、図43に示すように、MOCVD法やMBE法によ
り、基板表面に対して垂直な側壁上に成長が起きない条
件でAlGaAs層21eをエピタキシャル成長させ
て、四角柱状のGaAs層22、AlGaAs層21
b、GaAs層23、AlGaAs層21c、GaAs
層24およびAlGaAs層21dの間の部分を埋め
る。ここで、AlGaAs層21a、21b、21c、
21d、21eの全体が図25に示すAlGaAs層2
1に対応する。以上のようにして、図25に示す量子メ
モリが完成される。
【0090】以上のように、この第2実施例による量子
メモリによれば、各メモリセルの大きさが10nm×1
0nm程度であり、メモリセル間の間隔も50nm程度
以下とすることができるので、1ビット当たり必要な面
積は50nm×50nm=25×10-16 2 程度以下
と極めて小さくすることができる。したがって、例えば
メモリセルアレーのサイズが6mm×6mmであるとす
れば、この量子メモリは、16ギガ・ビット以上もの情
報を記憶することができる。また、この量子メモリにお
いては、1ビット当たり単一の電子−正孔対しか使用し
ないので、極めて低消費電力である。
【0091】また、この第2実施例によれば、第1実施
例と同様な上記利点に加えて、AlGaAs/GaAs
ヘテロ接合のみで量子メモリを構成することができるの
で、構造が単純であり、製造も簡単であるという利点も
ある。
【0092】針状電極NEにより印加される外部電場を
空間的に局所化するためには、上述のようなバックゲー
トBGを設けることのほかに、次のような構造の針状電
極NEを使用することも有効である。そこで、次に、外
部電場の空間的な局所化が可能な針状電極NEについて
説明する。
【0093】図44はその針状電極NEを示す。図44
に示すように、この針状電極NEにおいては、円柱状の
導電体から成る中心電極31の周囲が絶縁体32で覆わ
れ、この絶縁体32の周囲に金属などの導電体から成る
外部電極33が設けられている。ここで、中心電極31
の直径は例えば〜10nmである。中心電極31の材料
としてはInAsやWなどが用いられ、絶縁体32の材
料としてはSiO2 などが用いられ、外部電極33の材
料としてはAlなどが用いられる。
【0094】この図44に示す針状電極NEの外部電極
33を接地して電位0とすれば、中心電極31に所定の
電圧を印加したときのこの針状電極NEの先端部の周囲
の電位分布は図45に示すようになり、この針状電極N
Eにより印加される外部電場は空間的に局所化される。
したがって、この針状電極NEを用いて量子メモリのメ
モリセルに外部電場を印加するときに量子メモリの表面
に印加される電場も局所化される(図46)。このた
め、隣接するメモリセル間の間隔を小さくすることがで
き、その分だけメモリセルの高集積密度化を図ることが
できる。
【0095】図44および図45に示す針状電極NE
は、例えば次のような方法により製造することができ
る。まず、図47に示すように、InAs基板41上
に、形成すべき中心電極31と同一の直径、具体的には
例えば〜10nmの直径を有する円形のレジストパター
ン42を形成する。
【0096】次に、図48に示すように、このレジスト
パターン42をマスクとしてInAs基板41を例えば
RIE法により基板表面に対して垂直方向に所定深さエ
ッチングし、InAsから成る円柱状の中心電極31を
形成する。ここで、InAsは表面空乏化が起きないの
で、〜10nm程度の直径にパターニングしても導電性
は失われない。
【0097】次に、図49に示すように、例えばCVD
法などにより例えばSiO2 膜43を全面に形成した
後、引き続いて例えばAl膜44を真空蒸着法などによ
り全面に形成する。
【0098】次に、図50に示すように、例えば有機レ
ジスト45を厚く塗布して表面を平坦化した後、少なく
とも中心電極31の先端部が露出する深さまで、例えば
RIE法により基板表面に対して垂直方向にエッチバッ
クする。このエッチバック後の状態を図51に示す。
【0099】この後、不要な有機レジスト45を除去
し、図52に示すように、目的とする針状電極NEを完
成させる。
【0100】すでに述べたように、この針状電極NEの
使用時には、外部電極としてのAl膜44を接地し、I
nAs基板41に所定の電圧を印加する。図44に示す
針状電極NEは、次のような方法によっても製造するこ
とができる。
【0101】すなわち、InAs基板41の代わりに例
えばSi基板を用い、このSi基板上にその表面に対し
て垂直方向に例えばWを円柱の棒状に選択成長させ、こ
れを中心電極とする。このWの選択成長は、具体的に
は、真空排気された所定の成長室内にSi基板を入れた
後、成長室内に例えばWF6 ガスを導入し、Si基板表
面にビーム径を十分に細く絞った電子ビームを照射する
ことによりWF6 の分解を起こさせ、ビーム照射部のS
i基板表面にWを堆積させることにより行う。その後、
図49〜図51に示すと同様に工程を進め、目的とする
針状電極NEを完成させる。
【0102】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0103】例えば、上述の第1実施例および第2実施
例においては、量子ドットがAlGaAs/GaAsヘ
テロ接合またはAlGaAs/InGaAsヘテロ接合
により形成されているが、タイプIIのヘテロ接合超格
子であるAlSb/InAsヘテロ接合、GaSb/I
nAsヘテロ接合またはAlSb/GaSbヘテロ接合
によって量子ドットを形成してもよい。参考のため、A
lSb/InAsヘテロ接合およびGaSb/InAs
ヘテロ接合のエネルギーバンド図をそれぞれ図53およ
び図54に示す。
【0104】
【発明の効果】以上説明したように、この発明による量
子メモリによれば、従来の半導体メモリと全く異なり、
順次積層された第1の量子箱、第2の量子箱および第3
の量子箱によりメモリセルが構成され、書き込みや読み
出しはレーザー光などの光照射と針状電極などによる外
部電場の印加とを併用して行うことができる。この量子
メモリによれば、従来の半導体メモリで必要であった配
線が不要となるばかりでなく、メモリセルの大きさも極
めて小さくすることができるので、超高集積度を達成す
ることができる。
【0105】また、この発明による針状電極によれば、
この針状電極により印加される外部電場を空間的に局所
化することができるので、量子メモリのメモリセル間の
間隔を小さくすることができ、その分だけメモリセルの
高集積密度化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1実施例による量子メモリを概念
的に示す略線図である。
【図2】この発明の第1実施例による量子メモリを示す
斜視図である。
【図3】この発明の第1実施例による量子メモリのエネ
ルギーバンド図である。
【図4】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行う方法を説明するための斜視図である。
【図5】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図で
ある。
【図6】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行う方法を説明するための斜視図である。
【図7】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図で
ある。
【図8】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図で
ある。
【図9】この発明の第1実施例による量子メモリに書き
込みを行った後のエネルギーバンド図である。
【図10】この発明の第1実施例による量子メモリの読
み出しを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図11】この発明の第1実施例による量子メモリの読
み出しを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図12】この発明の第1実施例による量子メモリの初
期化を行う方法を説明するためのエネルギーバンド図で
ある。
【図13】この発明の第1実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図14】この発明の第1実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図15】この発明の第1実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図16】この発明の第1実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図17】量子メモリにレーザー光を照射しながら針状
電極により外部電場を印加するときの光吸収強度曲線を
示す略線図である。
【図18】バックゲートが設けられていない量子メモリ
の表面に針状電極を接近させて外部電場を印加したとき
の電位分布を示す略線図である。
【図19】バックゲートが設けられていない量子メモリ
の表面電位の空間的分布を示す略線図である。
【図20】この発明の第1実施例による量子メモリの表
面に針状電極を接近させて外部電場を印加したときの電
位分布を示す略線図である。
【図21】図20に示される電位分布が得られる理由を
説明するための略線図である。
【図22】針状電極により印加される外部電場の局所化
のためのバックゲートを有する量子メモリの第1の例を
示す斜視図である。
【図23】針状電極により印加される外部電場の局所化
のためのバックゲートを有する量子メモリの第2の例を
示す斜視図である。
【図24】針状電極により印加される外部電場の局所化
のためのバックゲートを有する量子メモリの第3の例を
示す斜視図である。
【図25】この発明の第2実施例による量子メモリを示
す斜視図である。
【図26】この発明の第2実施例による量子メモリのエ
ネルギーバンド図である。
【図27】この発明の第2実施例による量子メモリに書
き込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図28】この発明の第2実施例による量子メモリに書
き込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図29】この発明の第2実施例による量子メモリに書
き込みを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図30】この発明の第2実施例による量子メモリに書
き込みを行った後のエネルギーバンド図である。
【図31】この発明の第2実施例による量子メモリのエ
ネルギーバンド図である。
【図32】この発明の第2実施例による量子メモリのメ
モリセルを構成する結合量子ドット系における基底状態
の波動関数を図31に対応させて示す略線図である。
【図33】この発明の第2実施例による量子メモリのメ
モリセルを構成する結合量子ドット系における第1励起
状態の波動関数を図31に対応させて示す略線図であ
る。
【図34】この発明の第2実施例による量子メモリの読
み出しを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図35】この発明の第2実施例による量子メモリのメ
モリセルを構成する結合量子ドット系における結合状態
の波動関数を図34に対応させて示す略線図である。
【図36】この発明の第2実施例による量子メモリのメ
モリセルを構成する結合量子ドット系における反結合状
態の波動関数を図34に対応させて示す略線図である。
【図37】この発明の第2実施例による量子メモリの読
み出しを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図38】この発明の第2実施例による量子メモリの読
み出しを行う方法を説明するためのエネルギーバンド図
である。
【図39】この発明の第2実施例による量子メモリの初
期化を行う方法を説明するためのエネルギーバンド図で
ある。
【図40】この発明の第2実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図41】この発明の第2実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図42】この発明の第2実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図43】この発明の第2実施例による量子メモリの製
造方法を説明するための斜視図である。
【図44】針状電極の好適な構造例を示す斜視図であ
る。
【図45】針状電極の好適な構造例を示す断面図であ
る。
【図46】図44および図45に示す針状電極を用いて
外部電場を印加したときの量子メモリの表面電位の空間
的分布を示す略線図である。
【図47】図44および図45に示す針状電極の製造方
法の一例を説明するための断面図である。
【図48】図44および図45に示す針状電極の製造方
法の一例を説明するための断面図である。
【図49】図44および図45に示す針状電極の製造方
法の一例を説明するための断面図である。
【図50】図44および図45に示す針状電極の製造方
法の一例を説明するための断面図である。
【図51】図44および図45に示す針状電極の製造方
法の一例を説明するための断面図である。
【図52】図47〜図51に示す針状電極の製造方法に
より製造された針状電極を示す斜視図である。
【図53】AlSb/InAsヘテロ接合のエネルギー
バンド図である。
【図54】GaSb/InAsヘテロ接合のエネルギー
バンド図である。
【符号の説明】
1、21 AlGaAs層 2、4 InGaAs層 3、22、23、24 GaAs層 11 n型GaAs基板 12 電極 13 半絶縁性GaAs基板 14 n型GaAs層 31 中心電極 32 絶縁体 33 外部電極 QDj-1 、QDj-2 、QDj-3 量子ドット L レーザー光 NE 針状電極 BG バックゲート

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 順次積層された第1の量子箱、第2の量
    子箱および第3の量子箱によりメモリセルが構成され、 上記第1の量子箱および上記第2の量子箱の間の結合の
    強さと上記第2の量子箱および上記第3の量子箱の間の
    結合の強さとが互いに異なり、 針状電極を用いて上記メモリセルに対する書き込み、読
    み出しまたは初期化が行われる側の主面と反対側の主面
    に、上記針状電極により印加される外部電場を上記書き
    込み、読み出しまたは初期化が行われる上記メモリセル
    の近傍に局所化するための電極が設けられていることを
    特徴とする量子メモリ。
  2. 【請求項2】 上記第1の量子箱および上記第2の量子
    箱の間の結合の強さよりも上記第2の量子箱および上記
    第3の量子箱の間の結合の強さの方が大きいことを特徴
    とする請求項1記載の量子メモリ。
  3. 【請求項3】 上記第1の量子箱、上記第2の量子箱お
    よび上記第3の量子箱の電子の基底状態のエネルギー準
    位をそれぞれE0 (j-1) 、E0 (j-2) およびE0 (j-3)
    とし、上記第1の量子箱、上記第2の量子箱および上記
    第3の量子箱の電子の第1励起状態のエネルギー準位を
    それぞれE1 (j-1) 、E1 (j-2) およびE1 (j-3)
    し、上記第1の量子箱、上記第2の量子箱および上記第
    3の量子箱の正孔の基底状態のエネルギー準位をそれぞ
    れH0 (j-1) 、H0 (j-2) およびH0 (j-3) とし、上記
    第1の量子箱、上記第2の量子箱および上記第3の量子
    箱の正孔の第1励起状態のエネルギー準位をそれぞれH
    1 (j-1) 、H1 (j-2) およびH1 (j-3) としたとき、 E0 (j-1) <E0 (j-2) 0 (j-3) <E0 (j-2) [E1 (j-1) −E0 (j-1) ]>[E1 (j-2) −E0 (j-2) ] [E1 (j-3) −E0 (j-3) ]>[E1 (j-2) −E0 (j-2) ] [E0 (j-1) −H0 (j-1) ]≠[E0 (j-2) −H0 (j-2) ] [E0 (j-3) −H0 (j-3) ]≠[E0 (j-2) −H0 (j-2) ] が成立することを特徴とする請求項1または2記載の量
    子メモリ。
  4. 【請求項4】 上記第1の量子箱、上記第2の量子箱お
    よび上記第3の量子箱の電子の基底状態のエネルギー準
    位をそれぞれE0 (j-1) 、E0 (j-2) およびE0 (j-3)
    としたとき、 E0 (j-1) <E0 (j-2)0 (j-3) <E0 (j-2) が成立することを特徴とする請求項1または2記載の量
    子メモリ。
  5. 【請求項5】 書き込み時には、書き込みを行うべきメ
    モリセルに第1の光を照射しながら、上記書き込みを行
    うべきメモリセルに上記針状電極により上記第1の量子
    箱、上記第2の量子箱および上記第3の量子箱の積層方
    向の第1の外部電場を印加し、 読み出し時には、読み出しを行うべきメモリセルに第2
    の光を照射しながら、上記読み出しを行うべきメモリセ
    ルに上記針状電極により上記第1の外部電場と逆方向の
    第2の外部電場を印加するようにしたことを特徴とする
    請求項1〜4のいずれか一項記載の量子メモリ。
  6. 【請求項6】 所定電圧が印加された上記針状電極を上
    記書き込みを行うべきメモリセルまたは上記読み出しを
    行うべきメモリセルに接近させることにより上記第1の
    外部電場または上記第2の外部電場を印加するようにし
    たことを特徴とする請求項5記載の量子メモリ。
  7. 【請求項7】 初期化を行うべきメモリセルに上記針状
    電極により上記第2の外部電場よりも大きい第3の外部
    電場を印加するかまたは上記第2の外部電場を上記読み
    出し時よりも長時間印加して上記初期化を行うべきメモ
    リセル内で電子−正孔再結合を起こさせることにより初
    期化を行うようにしたことを特徴とする請求項1〜5の
    いずれか一項記載の量子メモリ。
  8. 【請求項8】 上記量子メモリの温度を高くするかまた
    は上記量子メモリに第3の光を照射して全てのメモリセ
    ル内で電子−正孔再結合を起こさせることにより上記全
    てのメモリセルの初期化を一括して行うようにしたこと
    を特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の量子メ
    モリ。
  9. 【請求項9】 上記第1の量子箱側の主面に上記電極が
    設けられていることを特徴とする請求項2記載の量子メ
    モリ。
  10. 【請求項10】 複数の上記メモリセルから成るメモリ
    セルアレーを構成する上記メモリセルの上記第1の量子
    箱側の主面に上記電極が設けられていることを特徴とす
    る請求項2記載の量子メモリ。
  11. 【請求項11】 上記電極が接地されることを特徴とす
    る請求項1、2、9または10記載の量子メモリ。
  12. 【請求項12】 上記電極が導電性を有する半導体から
    成ることを特徴とする請求項1、2、9または10記載
    の量子メモリ。
  13. 【請求項13】 上記半導体がn型GaAsであること
    を特徴とする請求項12記載の量子メモリ。
  14. 【請求項14】 上記半導体が、n型AlGaAsとi
    型GaAsとのヘテロ接合において上記n型AlGaA
    sから供給される電子から成る二次元電子ガスを有する
    上記i型GaAsであることを特徴とする請求項12記
    載の量子メモリ。
  15. 【請求項15】 上記第1の量子箱、上記第2の量子箱
    および上記第3の量子箱が化合物半導体ヘテロ接合によ
    り形成されていることを特徴とする請求項1〜14のい
    ずれか一項記載の量子メモリ。
  16. 【請求項16】 上記化合物半導体ヘテロ接合がタイプ
    Iのヘテロ接合超格子であることを特徴とする請求項1
    5記載の量子メモリ。
  17. 【請求項17】 上記化合物半導体ヘテロ接合がAlG
    aAs/GaAsヘテロ接合またはAlGaAs/In
    GaAsヘテロ接合であることを特徴とする請求項15
    記載の量子メモリ。
  18. 【請求項18】 上記化合物半導体ヘテロ接合がタイプ
    IIのヘテロ接合超格子であることを特徴とする請求項
    15記載の量子メモリ。
  19. 【請求項19】 上記化合物半導体ヘテロ接合がAlS
    b/InAsヘテロ接合、GaSb/InAsヘテロ接
    合またはAlSb/GaSbヘテロ接合であることを特
    徴とする請求項15記載の量子メモリ。
  20. 【請求項20】 順次積層された第1の量子箱、第2の
    量子箱および第3の量子箱によりメモリセルが構成さ
    れ、上記第1の量子箱および上記第2の量子箱の間の結
    合の強さと上記第2の量子箱および上記第3の量子箱の
    間の結合の強さとが互いに異なる量子メモリの上記メモ
    リセルに対する書き込み、読み出しまたは初期化を行う
    ために用いられる針状電極であって、 第1の導電体から成る円柱状の中心電極と、 上記中心電極の周囲を覆うように設けられた絶縁体と、 上記絶縁体の周囲を覆うように設けられた第2の導電体
    から成る外部電極とを有することを特徴とする針状電
    極。
  21. 【請求項21】 上記外部電極が接地され、上記中心電
    極に所定の電圧が印加されることを特徴とする請求項2
    0記載の針状電極。
  22. 【請求項22】 上記第1の導電体がInAsまたはW
    であることを特徴とする請求項20または21記載の針
    状電極。
  23. 【請求項23】 上記絶縁体がSiO2 であることを特
    徴とする請求項20または21記載の針状電極。
  24. 【請求項24】 上記第2の導電体が金属であることを
    特徴とする請求項20または21記載の針状電極。
  25. 【請求項25】 上記金属がAlであることを特徴とす
    る請求項24記載の針状電極。
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