JPH06244436A - 量子箱集合素子 - Google Patents

量子箱集合素子

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Publication number
JPH06244436A
JPH06244436A JP5052995A JP5299593A JPH06244436A JP H06244436 A JPH06244436 A JP H06244436A JP 5052995 A JP5052995 A JP 5052995A JP 5299593 A JP5299593 A JP 5299593A JP H06244436 A JPH06244436 A JP H06244436A
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JP
Japan
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quantum
semiconductor
electrode
electron
layer
Prior art date
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Application number
JP5052995A
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English (en)
Inventor
Ryuichi Ugajin
隆一 宇賀神
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 光照射により入力を行い、光照射により生成
された電子−正孔対のうちの電子のみを量子箱間でトン
ネリングにより伝導させて情報処理を行い、発光により
出力を行うことができる量子箱集合素子を実現する。 【構成】 下段の量子ドットQDdownのアレイ上に上段
の量子ドットQDupのアレイを形成し、その上に電極6
を形成して量子ドット集合素子を構成する。上段の量子
ドットQDup間の結合の強さは弱くしてそれらの間で電
子の伝導が許されないようにし、下段の量子ドットQD
down間の結合の強さは強くしてそれらの間で電子の伝導
が許されるようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、量子箱集合素子に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、量子波エレクトロニクスにおいて
は、電子のド・ブロイ波長と同程度の断面寸法を有する
極微箱構造、すなわちいわゆる量子箱が注目されてお
り、この量子箱内に閉じ込められた0次元電子が示す量
子効果に大きな関心がもたれている。
【0003】量子箱集合素子はこのような量子箱を複数
組み合わせたものであり、これらの量子箱の間で電子の
量子力学的トンネリングを起こさせて電子分布を変化さ
せることにより情報処理を行おうとするものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上述の量子箱集合素子
においては、光励起で電子−正孔対を生成することによ
り情報の入力を行い、この電子−正孔対のうちの電子の
みを量子箱間でトンネリングにより伝導させて情報処理
を行うことが考えられる。
【0005】しかしながら、AlGaAs/GaAsヘ
テロ接合のようないわゆるタイプIの超格子により量子
箱を構成した場合には、光励起により量子箱中に対生成
された電子および正孔はいずれも量子箱中の方が障壁層
中よりも安定である。このため、これらの電子および正
孔がともに量子箱中に留まって再結合により消滅する確
率が大きく、これは電子のみを量子箱間でトンネリング
により伝導させるためには大きな障害となる。従って、
光励起で生成された電子−正孔対のうちの電子を量子箱
間でトンネリングにより伝導させて情報処理を行うこと
は、実際には困難である。
【0006】従って、この発明の目的は、光照射により
情報の入力を行い、この光照射により生成された電子−
正孔対のうちの電子のみを量子箱間でトンネリングによ
り伝導させて情報処理を行い、発光により情報の出力を
行うことができる量子箱集合素子を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、この発明の第1の発明による量子箱集合素子は、電
極(6)と、電極(6)上に設けられた、電子親和力φ
1 およびエネルギーギャップEg1を有する第1の半導体
から成る第1の井戸層(5)がφ2 <φ1 およびφ2
g2<φ1 +Eg1の両関係式を満足する電子親和力φ2
およびエネルギーギャップEg2を有する第2の半導体か
ら成る第1の障壁層(4)により囲まれた構造の複数の
第1の量子箱(QDup)と、第1の障壁層(4)上に複
数の第1の量子箱(QDup)に対応して設けられた、そ
の配列面内において、電子親和力φ3 を有する第3の半
導体から成る第2の井戸層(2)がφ4 <φ3 およびφ
3 −φ4 <φ1 −φ2 の両関係式を満足する電子親和力
φ4 を有する第4の半導体から成る第2の障壁層(3)
により囲まれた構造の複数の第2の量子箱(QDdown
とを有し、第1の量子箱(QDup)の電子の基底状態の
エネルギーをE0 1 、第1の半導体の価電子帯の上端の
エネルギーをH0 1 、第2の量子箱(QDdown)の電子
の基底状態のエネルギーをE0 3 、第3の半導体の価電
子帯の上端のエネルギーをH0 3 とするとき、E0 3
0 3 >E0 1 −H0 1 およびE0 3 >E0 1 の両関係
式が成立するものである。
【0008】この発明の第2の発明による量子箱集合素
子は、第1の発明による量子箱集合素子において、電極
(6)は第1の量子箱(QDup)に対応する部分に開口
(6a)を有するものである。
【0009】この発明の第3の発明による量子箱集合素
子は、第1の発明または第2の発明による量子箱集合素
子において、E0 3 >E0 1 が成立する条件で電極
(6)を第1の障壁層(4)に対して負の電位にバイア
スした状態で選択された第1の量子箱(QDup)に光を
照射することにより入力を行い、E0 3 >E0 1 が成立
しない条件で電極(6)を第1の障壁層(4)に対して
負の電位にバイアスすることにより複数の第1の量子箱
(QDup)における電子分布を複数の第2の量子箱(Q
down)に転写して情報処理を行い、その後複数の第2
の量子箱(QDdown)における電子分布を複数の第1の
量子箱(QDup)に転写し、電極(6)を第1の障壁層
(4)に対して正の電位にバイアスして電子−正孔再結
合による発光を起こさせることにより出力を行うように
したものである。
【0010】この発明の第4の発明による量子箱集合素
子は、第1の発明、第2の発明または第3の発明による
量子箱集合素子において、第1の半導体および第3の半
導体は互いに同一であり、かつ、互いに対応する第1の
量子箱(QDup)および第2の量子箱(QDdown)を結
ぶ方向に関して第1の井戸層(5)の幅は第2の井戸層
(2)の幅よりも大きいものである。
【0011】この発明の第5の発明による量子箱集合素
子は、第1の発明、第2の発明、第3の発明または第4
の発明による量子箱集合素子において、第1の半導体お
よび第3の半導体はInAs、第2の半導体はAlGa
Sb、第4の半導体はGaSbであるものである。
【0012】
【作用】第1の発明による量子箱集合素子によれば、第
1の量子箱(QDup)の第1の障壁層(4)によるポテ
ンシャル障壁の高さ(φ1 −φ2 )を大きく選んで第1
の量子箱(QDup)間の結合の強さを十分に弱くするこ
とにより、第1の量子箱(QDup)間ではトンネリング
による電子の伝導が許されないようにすることができ
る。また、第2の量子箱(QDdown)の第2の障壁層
(3)によるポテンシャル障壁の高さ(φ3 −φ4 )を
小さく選んで第2の量子箱(QDdown)間の結合の強さ
を十分に強くすることにより、第2の量子箱(Q
down)間ではトンネリングによる電子の伝導が許され
るようにすることができる。
【0013】この量子箱集合素子に対する情報の入力
は、E0 3 >E0 1 が成立する条件で電極(6)を第1
の障壁層(4)に対して負の電位にバイアスした状態
で、入力すべき情報に応じて選択された第1の量子箱
(QDup)に順次光を照射して電子−正孔対を生成する
ことにより行うことができる。この場合、この電子−正
孔対のうちの正孔は電極(6)で吸収し、電子のみを第
1の量子箱(QDup)中に残す。
【0014】上述のようにして情報の入力を行った後、
0 3 >E0 1 が成立しない条件で電極(6)を第1の
障壁層(4)に対して負の電位にバイアスする。これに
よって、第1の量子箱(QDup)中の電子は対応する第
2の量子箱(QDdown)中に移動し、複数の第1の量子
箱(QDup)における電子分布が複数の第2の量子箱
(QDdown)に転写される。第2の量子箱(QDdown
中に移動した電子は、この第2の量子箱(QDdown)間
をそれらの配置に従ってトンネリングにより伝導する。
これによって、複数の第2の量子箱(QDdown)におけ
る電子分布が時間とともに変化して所望の情報処理が行
われる。この後、電極(6)に対するバイアス電圧を0
にする。これによって、第2の量子箱(QDdown)中の
電子は対応する第1の量子箱(QDup)中に移動し、複
数の第2の量子箱(QDdown)における情報処理後の電
子分布が複数の第1の量子箱(QDup)に転写される。
この複数の第1の量子箱(QDup)における電子分布が
出力情報となる。
【0015】この量子箱集合素子からの情報の出力は、
電極(6)を第1の障壁層(4)に対して正の電位にバ
イアスしてこの電極(6)から第1の障壁層(4)中に
正孔を注入し、この正孔と第1の量子箱(QDup)中の
電子とを再結合させることにより発光を起こさせ、この
発光を空間分解して検出することにより行うことができ
る。
【0016】第2の発明による量子箱集合素子によれ
ば、電極(6)が第1の量子箱(QDup)に対応する部
分に開口(6a)を有することにより、入力用の光が使
用される電極材料に対して不透明であっても、この開口
(6a)を通じて第1の量子箱(QDup)に光を照射す
ることができる。
【0017】第3の発明による量子箱集合素子によれ
ば、第1の量子箱(QDup)に光を照射することにより
情報の入力を行い、電極(6)から注入される正孔と第
1の量子箱(QDup)中の電子との再結合による発光に
より情報の出力を行う光入力および光出力の量子箱集合
素子を実現することができる。
【0018】第4の発明による量子箱集合素子によれ
ば、第1の半導体および第3の半導体として同一の半導
体を使用するときには、互いに対応する第1の量子箱
(QDup)および第2の量子箱(QDdown)を結ぶ方向
に関して第1の井戸層(5)の幅を第2の井戸層(2)
の幅よりも大きくすることにより、E0 3 >E0 1 の条
件を実現することができる。
【0019】第5の発明による量子箱集合素子によれ
ば、半導体材料として互いにほぼ格子整合するInA
s、AlGaSbおよびGaSbを用いて量子箱集合素
子を実現することができる。
【0020】
【実施例】以下、この発明の実施例について図面を参照
しながら説明する。
【0021】なお、以下の実施例においては、一般に1
個以上の電子を収容可能な量子箱のうち電子を1個だけ
収容可能なものを特に量子ドットと呼び、この量子ドッ
トを複数組み合わせた素子を量子ドット集合素子と呼
ぶ。
【0022】図1はこの発明の一実施例による量子ドッ
ト集合素子を示す。
【0023】図1に示すように、この実施例による量子
ドット集合素子においては、AlGaSb基板1上に井
戸層としての複数の箱状のInAs層2が所定の配列パ
ターンでアレイ状に形成され、これらのInAs層2の
間の部分に障壁層としてのGaSb層3が埋め込まれて
いる。これらのInAs層2およびGaSb層3の上に
は障壁層としてのAlGaSb層4が形成されている。
このAlGaSb層4のうちInAs層2に対応する部
分には、井戸層としての箱状のInAs層5が埋め込ま
れている。ここで、基板表面に平行な方向に関してIn
As層2の幅およびInAs層5の幅は互いに同一であ
るが、基板表面に垂直な方向に関してはInAs層5の
幅の方がInAs層2の幅よりも大きくなっている。
【0024】この場合、井戸層としてのInAs層5が
障壁層としてのAlGaSb層4により囲まれた構造に
より図1中上段の量子ドットQDupが形成されている。
後述のように、この上段の量子ドットQDupのアレイは
情報の入出力に用いられる。また、井戸層としてのIn
As層2が障壁層としてのAlGaSb基板1、GaS
b層3およびAlGaSb層4により囲まれた構造によ
り図1中下段の量子ドットQDdownが形成されている。
この下段の量子ドットQDdownは、上段の量子ドットQ
upに対応した位置に形成されている。後述のように、
この下段の量子ドットQDdownのアレイは情報処理のた
めの電子の伝導に用いられる。
【0025】なお、上段の量子ドットQDupを構成する
AlGaSb/InAsヘテロ接合はタイプIIの超格
子である。また、下段の量子ドットQDdownは、それら
の配列面の面内方向に関してはタイプIIIの超格子で
あるGaSb/InAsヘテロ接合により構成され、配
列面に垂直な方向に関してはタイプIIの超格子である
AlGaSb/InAsヘテロ接合により構成されてい
る。
【0026】一方、障壁層としてのAlGaSb層4上
には金属から成る電極6が形成されている。この電極6
は、上段の量子ドットQDupに対応する部分にそれぞれ
開口6aを有する。
【0027】図1の線αに沿う方向のエネルギーバンド
図を図2に示す。図2からわかるように、この場合、図
1の線αに沿う方向、すなわち隣接する上段の量子ドッ
トQDup間を結ぶ方向のAlGaSb/InAsヘテロ
接合におけるポテンシャル障壁の高さは非常に大きくな
っており、従って上段の量子ドットQDup間の結合の強
さは非常に弱い。このため、上段の量子ドットQDup
では、トンネリングによる電子の伝導は許されない。こ
の場合、AlGaSb/InAsヘテロ接合におけるポ
テンシャル障壁の高さは、AlGaSbのAlとGaと
の組成比を変えることにより調節することができるが、
具体的には例えば1.5eV程度にすることができる。
【0028】図1の線βに沿う方向のエネルギーバンド
図を図3に示す。図3からわかるように、図1の線βに
沿う方向のGaSb/InAsヘテロ接合におけるポテ
ンシャル障壁の高さは、AlGaSb/InAsヘテロ
接合におけるポテンシャル障壁の高さに比べて十分に小
さくなっており、従って下段の量子ドットQDdown間の
結合の強さは強い。このため、下段の量子ドットQD
down間では、トンネリングによる電子の伝導が許され
る。この場合、GaSb/InAsヘテロ接合における
ポテンシャル障壁の高さは、具体的には例えば0.8e
V程度である。
【0029】図1の線γに沿う方向のエネルギーバンド
図を図4に示す。図4中、E0 upは上段の量子ドットQ
upの電子の基底状態のエネルギー、E0 downは下段の
量子ドットQDdownの電子の基底状態のエネルギーを示
す。図4からわかるように、この場合、上段の量子ドッ
トQDupの電子の基底状態のエネルギーE0 upは、下段
の量子ドットQDdownの電子の基底状態のエネルギーE
0 downよりも低くなっている。これは、すでに述べたよ
うに、線γに沿う方向に関して、上段の量子ドットQD
upの寸法は下段の量子ドットQDdownの寸法に比べて大
きいためである。
【0030】次に、上述のように構成されたこの実施例
による量子ドット集合素子の動作原理について説明す
る。
【0031】非動作状態においては、上述の条件より、 E0 up<E0 down (1) が成立している。また、InAsの価電子帯の上端のエ
ネルギーをH0 とし(図4参照)、電極6の電位をVe
とする。
【0032】まず、入力時には、(1)式が成立する条
件で、電極6をAlGaSb層4に対して小さな負の電
位Ve にバイアスする。このときの図1の線γに沿う方
向のエネルギーバンドは、図5に示すように少し傾斜す
る。次に、この状態で、図6に示すように、入力すべき
情報に応じて選択された量子ドットQDupに対し、電極
6の開口6aを通して hνin=E0 up−H0 (2) を満足する振動数νinを有する単色光を照射し、この量
子ドットQDup中に電子(e- )−正孔(h+ )対を生
成する。ただし、hはプランク定数である。ここで、こ
の単色光の照射は、具体的には、例えばスポット径を十
分に小さくしたレーザー光を用いて行うことができる。
【0033】この場合、この光照射により生成された電
子−正孔対のうちの正孔にとっては量子ドットQDup
外部、すなわちAlGaSb層4中の方がエネルギー的
に低く、しかも電極6の電位Ve による電場が印加され
ているため、この正孔は、図7に示すように、速やかに
電極6側に引かれてこの電極6中に吸い込まれる。この
結果、量子ドットQDup中には電子のみが残される。
【0034】この段階では、この量子ドットQDup中に
残された電子は、そのまま量子ドットQDup中に留まっ
ている。これは、電極6の電位Ve が小さいため、下段
の量子ドットQDdownに移るよりもそのまま量子ドット
QDup中に留まっていた方がエネルギー的に低いためで
ある。また、すでに述べたように、隣接する量子ドット
QDup間の結合の強さは非常に弱いので(図2)、量子
ドットQDup中の電子は隣接する量子ドットQDup間で
も移動することができない。
【0035】このようにして、光照射を行った量子ドッ
トQDup中に電子を保持しながら、選択された量子ドッ
トQDupの全てに対して光照射を行って入力を行うこと
により、初期電子分布を入力することができる。
【0036】なお、(1)式で示される光子エネルギー
hνinを有する光は hνin<E0 down−H0 (3) を満足するので、この光によっては下段の量子ドットQ
down中に電子−正孔対は生成されない。
【0037】また、電極6が電位Ve に設定されている
ことから、いわゆるシュタルク(Stark)・シフトによ
り、実際の入力に用いられる光の光子エネルギーは、
(2)式で示されるhνinよりもわずかに低い。しか
し、この差は非常に小さいので無視する。
【0038】さらに、図4に示すように、InAs層
2、5中の正孔のエネルギー準位はInAsの価電子帯
の上端と一致しているが、その理由は、正孔にとってこ
の系はアンチ・ドット系であり、閉じ込めによるエネル
ギー上昇はないからである。
【0039】さて、上述のようにして上段の量子ドット
QDupへの初期電子分布の入力を終了したら、電極6を
AlGaSb層4に対してより大きな負の電位Ve にバ
イアスする。この結果、図1の線γに沿う方向のエネル
ギーバンドは、図8に示すように大きく傾斜する。ここ
で、電極6の電位Ve による電場により、 E0 up>E0 down (5) が成立するようになると、上段の量子ドットQDup中の
電子は、一斉に下段の量子ドットQDdownに遷移する
(図8参照)。このようにして下段の量子ドットQD
downに移動した電子は、すでに述べたようにこれらの量
子ドットQDdown間のポテンシャル障壁の高さが小さい
ことにより、これらの量子ドットQDdown間をトンネリ
ングにより伝導する。この電子の伝導は、下段の量子ド
ットQDdownの配置に従って起こる。そして、これによ
ってこの下段の量子ドットQDdownのアレイにおける電
子分布が時間とともに変化することにより、所望の情報
処理が行われる。
【0040】必要な時間が経過した後、電極6の電位V
e を0にする。これによって、図1の線γに沿う方向の
エネルギーバンドは、図9に示すように元の状態に戻
る。そして、(1)式の条件が再び成立するようになる
ため、下段の量子ドットQDdown中の電子は再び上段の
量子ドットQDup中に戻り、従って下段の量子ドットQ
downのアレイにおける電子分布が上段の量子ドットQ
upのアレイに転写される。この結果、下段の量子ドッ
トQDdown間での電子の伝導は起こらなくなる。
【0041】次に、出力時には、電極6をAlGaSb
層4に対して正の電位Ve にバイアスする。このとき、
図1の線γに沿う方向のエネルギーバンドは図10に示
すようになる。この結果、図11に示すように、電極6
からこの電極6が接しているAlGaSb層4中に正孔
が注入される。そして、この正孔が量子ドットQDup
の電子と再結合して、図12に示すように、発光(h
ν)が起きる。従って、この発光を空間分解して検出す
ることにより量子ドット集合素子における最終的な電子
分布を知ることができ、これによって出力情報を得るこ
とができる。
【0042】以上のように、この実施例によれば、光入
力および光出力の量子ドット集合素子を実現することが
できる。
【0043】次に、この実施例による量子ドット集合素
子の製造方法について説明する。
【0044】まず、図13に示すように、AlGaSb
基板1上に、例えば有機金属化学気相成長(MOCV
D)法により、厚さd1 のInAs層2、厚さd2 のA
lGaSb層4a、厚さd3 のInAs層5および厚さ
4 のAlGaSb層4bを順次エピタキシャル成長さ
せる。ここで、d1 <d3 とする。また、d1 、d2
3 およびd4 は、典型的にはそれぞれ10nmのオー
ダーに選ばれる。
【0045】次に、例えばCVD法によりAlGaAs
層4b上にSiO2 膜7を形成した後、このSiO2
7をリソグラフィーおよびエッチングにより、量子ドッ
トQDupに対応した形状にパターニングする。なお、こ
のSiO2 膜7のパターニング用のレジストパターンの
形成は、例えば、電子ビーム照射装置の真空排気された
試料室内において所定の原料ガス雰囲気中でAlGaS
b層4b上にスポット径を十分に小さく絞った電子ビー
ムを選択的に照射してこの照射部に原料ガスの分解生成
物を堆積させることにより行われる。
【0046】次に、このようにして形成されたSiO2
膜7をマスクとして、例えば反応性イオンエッチング
(RIE)法のような異方性のドライエッチング法によ
り、基板表面と垂直方向にエッチングを行う。このエッ
チングは、最下層のInAs層2が互いに完全に分離す
るように、オーバーエッチング気味に行う。このように
して、図14に示すように、InAs層2、AlGaS
b層4a、InAs層5およびAlGaSb層4bが四
角柱状にパターニングされる。
【0047】次に、図15に示すように、例えばMOC
VD法によりGaSb層3をエピタキシャル成長させ
て、四角柱状のInAs層2、AlGaSb層4a、I
nAs層5およびAlGaSb層4bの間の部分を埋め
る。ここで、四角柱状のInAs層2、AlGaSb層
4a、InAs層5およびAlGaSb層4bの間の部
分のこのGaSb層3の厚さは、InAs層2の厚さと
ほぼ同一とする。
【0048】次に、図16に示すように、例えばMOC
VD法によりAlGaSb層4cをエピタキシャル成長
させて、GaSb層3の表面の溝を埋める。
【0049】次に、図17に示すように、基板表面に対
して垂直な方向から例えばAlを真空蒸着することによ
り、Al膜8を形成する。この場合、このAl膜8の厚
さをSiO2 膜7の厚さに対して十分に小さく選ぶこと
によって、SiO2 膜7上のAl膜8とSiO2 膜7以
外の部分の表面に形成されたAl膜8とは、SiO2
7による段差により、互いに分離される。
【0050】この後、SiO2 膜7をウエットエッチン
グし、このSiO2 膜7上のAl膜8を除去する。
【0051】以上のようにして、図18に示すように、
図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同一の構造の
量子ドット集合素子が完成される。
【0052】図19はこの発明の他の実施例による量子
ドット集合素子を示す。
【0053】図19に示すように、この他の実施例によ
る量子ドット集合素子においては、AlGaSb基板1
1上にInAs層12および障壁層としてのGaSb層
13が順次形成されている。そして、このGaSb層1
3上に井戸層としての箱状のInAs層14がアレイ状
に形成され、さらにこれらのInAs層14を覆うよう
に障壁層としてのAlGaSb層15が形成されてい
る。このAlGaSb層15上のInAs層14に対応
した位置には井戸層としての箱状のInAs層16が形
成され、それらの間の部分に障壁層としてのGaSb層
17が埋め込まれている。これらのInAs層16およ
びGaSb層17上には障壁層としてのAlGaSb層
18が形成されている。
【0054】この他の実施例においては、井戸層として
のInAs層14が障壁層としてのAlGaSb層1
3、15により囲まれた構造の量子ドットが上述の一実
施例における上段の量子ドットQDupに対応し、井戸層
としてのInAs層16が障壁層としてのAlGaSb
層15、18およびGaSb層17により囲まれた構造
の量子ドットが上述の一実施例における下段の量子ドッ
トQDdownに対応する。また、InAs層12が上述の
一実施例における電極6に対応する。
【0055】この他の実施例による量子ドット集合素子
の動作は、図19中上方から図19中下段の量子ドット
に光を照射することにより入力を行うほかは、上述の一
実施例による量子ドット集合素子と同様である。
【0056】以上、この発明の実施例について具体的に
説明したが、この発明は、上述の実施例に限定されるも
のではなく、この発明の技術的思想に基づく各種の変形
が可能である。
【0057】例えば、上述の一実施例においては、光に
対して不透明な金属により電極6を形成しているため、
上段の量子ドットQDupに光を照射するためにはこの量
子ドットQDupに対応する部分の電極6にあらかじめ開
口6aを形成しておく必要があるが、この電極6を例え
ばITO(Indium-Tin Oxide)のような透明電極材料に
より形成することにより、電極6に開口6aを形成する
必要はなくなる。
【0058】また、上述の実施例において説明した量子
ドット集合素子の製造方法は一例に過ぎず、他の製造方
法を用いてもよいことは言うまでもない。
【0059】さらに、上述の実施例においては、量子ド
ット集合素子の材料としてAlGaSb、InAsおよ
びGaSbを用いているが、この量子ドット集合素子、
より一般的には量子箱集合素子の材料としてはこれら以
外の半導体材料を用いてもよい。
【0060】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
光照射により情報の入力を行い、この光照射により生成
された電子−正孔対のうちの電子のみを量子箱間でトン
ネリングにより伝導させて情報処理を行い、発光により
情報の出力を行うことができる量子箱集合素子を実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例による量子ドット集合素子
を示す斜視図である。
【図2】図1の線αに沿う方向のエネルギーバンド図で
ある。
【図3】図1の線βに沿う方向のエネルギーバンド図で
ある。
【図4】図1の線γに沿う方向のエネルギーバンド図で
ある。
【図5】図1に示す量子ドット集合素子の入力方法を説
明するためのエネルギーバンド図である。
【図6】図1に示す量子ドット集合素子の入力方法を説
明するための斜視図である。
【図7】図1に示す量子ドット集合素子の入力方法を説
明するための斜視図である。
【図8】図1に示す量子ドット集合素子の入力後情報処
理前の動作を説明するためのエネルギーバンド図であ
る。
【図9】図1に示す量子ドット集合素子の情報処理後出
力前の動作を説明するためのエネルギーバンド図であ
る。
【図10】図1に示す量子ドット集合素子の出力方法を
説明するためのエネルギーバンド図である。
【図11】図1に示す量子ドット集合素子の出力方法を
説明するための斜視図である。
【図12】図1に示す量子ドット集合素子の出力方法を
説明するための斜視図である。
【図13】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図14】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図15】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図16】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図17】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図18】図1に示す量子ドット集合素子と実質的に同
一の構造の量子ドット集合素子の製造方法を説明するた
めの斜視図である。
【図19】この発明の他の実施例による量子ドット集合
素子を示す断面図である。
【符号の説明】
1 AlGaSb基板 2、5 InAs層 3 GaSb層 4、4a、4b、4c AlGaSb層 6 電極 6a 開口

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電極と、 上記電極上に設けられた、電子親和力φ1 およびエネル
    ギーギャップEg1を有する第1の半導体から成る第1の
    井戸層がφ2 <φ1 およびφ2 +Eg2<φ1 +Eg1の両
    関係式を満足する電子親和力φ2 およびエネルギーギャ
    ップEg2を有する第2の半導体から成る第1の障壁層に
    より囲まれた構造の複数の第1の量子箱と、 上記第1の障壁層上に上記複数の第1の量子箱に対応し
    て設けられた、その配列面内において、電子親和力φ3
    を有する第3の半導体から成る第2の井戸層がφ4 <φ
    3 およびφ3 −φ4 <φ1 −φ2 の両関係式を満足する
    電子親和力φ4を有する第4の半導体から成る第2の障
    壁層により囲まれた構造の複数の第2の量子箱とを有
    し、 上記第1の量子箱の電子の基底状態のエネルギーをE0
    1 、上記第1の半導体の価電子帯の上端のエネルギーを
    0 1 、上記第2の量子箱の電子の基底状態のエネルギ
    ーをE0 3 、上記第3の半導体の価電子帯の上端のエネ
    ルギーをH0 3とするとき、E0 3 −H0 3 >E0 1
    0 1 およびE0 3 >E0 1 の両関係式が成立すること
    を特徴とする量子箱集合素子。
  2. 【請求項2】 上記電極は上記第1の量子箱に対応する
    部分に開口を有することを特徴とする請求項1記載の量
    子箱集合素子。
  3. 【請求項3】 E0 3 >E0 1 が成立する条件で上記電
    極を上記第1の障壁層に対して負の電位にバイアスした
    状態で選択された上記第1の量子箱に光を照射すること
    により入力を行い、 E0 3 >E0 1 が成立しない条件で上記電極を上記第1
    の障壁層に対して負の電位にバイアスすることにより上
    記複数の第1の量子箱における電子分布を上記複数の第
    2の量子箱に転写して情報処理を行い、その後上記複数
    の第2の量子箱における電子分布を上記複数の第1の量
    子箱に転写し、 上記電極を上記第1の障壁層に対して正の電位にバイア
    スして電子−正孔再結合による発光を起こさせることに
    より出力を行うようにしたことを特徴とする請求項1ま
    たは2記載の量子箱集合素子。
  4. 【請求項4】 上記第1の半導体および上記第3の半導
    体は互いに同一であり、かつ、互いに対応する上記第1
    の量子箱および上記第2の量子箱を結ぶ方向に関して上
    記第1の井戸層の幅は上記第2の井戸層の幅よりも大き
    いことを特徴とする請求項1、2または3記載の量子箱
    集合素子。
  5. 【請求項5】 上記第1の半導体および上記第3の半導
    体はInAs、上記第2の半導体はAlGaSb、上記
    第4の半導体はGaSbであることを特徴とする請求項
    1、2、3または4記載の量子箱集合素子。
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