JPH0730252A - 多層配線セラミックス基板の製造方法 - Google Patents

多層配線セラミックス基板の製造方法

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JPH0730252A
JPH0730252A JP6539192A JP6539192A JPH0730252A JP H0730252 A JPH0730252 A JP H0730252A JP 6539192 A JP6539192 A JP 6539192A JP 6539192 A JP6539192 A JP 6539192A JP H0730252 A JPH0730252 A JP H0730252A
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hole
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Abstract

(57)【要約】 【目的】樹脂フィルムをグリーンシートから剥離させる
際に、ビアホール内の導体ペーストを樹脂フィルムと共
に該ビアホールから剥離させることなく、確実に該ビア
ホール内に導体ペーストが充填された状態を維持して樹
脂フィルムをグリーンシートから剥離させることができ
る方法を提供する。 【構成】巻取りローラ43の外周面をグリーンシート1
4に付着している樹脂フィルム2の一端部に当接させる
と共に樹脂フィルム2の一端部を巻取りローラ43の外
周面に貼着する。次いで、巻取りローラ43を樹脂フィ
ルム2の一端部側から他端部側に向かってグリーンシー
ト14上を転動させることにより樹脂フィルム2を巻取
りローラ43に巻回してグリーンシート14から剥離さ
せる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多層配線セラミックス
基板の製造方法に関し、さらに詳細には、キャリアフィ
ルム上に形成されたグリーンシートに、キャリアフィル
ムを付着した状態で、キャリアフィルムと共にビアホー
ルを穿設し、さらに、ビアホールに導体ペーストを充填
した後に該キャリアフィルムをグリーンシートから剥離
させる方法に関する。
【0002】
【従来の技術】多層配線セラミックス基板の製造方法に
おいては、一般に次のようなシート積層法が用いられて
いる。
【0003】まず、ドクターブレード法によりスラリー
から長尺帯状のグリーンシートが成膜され、次いで、パ
ンチング加工により、該グリーンシートから所定形状の
グリーンシートが枠抜きされると共に、該グリーンシー
トにビアホール等が穿設される。
【0004】次いで、このように枠抜きされたグリーン
シートのビアホールにスクリーン印刷等により導体ペー
ストが充填され、さらに該グリーンシートの表面部にス
クリーン印刷等により所定の配線パターンが印刷され
る。
【0005】次いで、このように配線パターンが各々印
刷された複数枚のグリーンシートを積み重ねて加熱・加
圧することにより、これらが積層・一体化され、かかる
後にこの積層体の焼成等を行うことにより多層配線セラ
ミックス基板が得られる。
【0006】この場合、グリーンシートの成膜は、マイ
ラーフィルム上に、スラリーをドクターブレード法によ
りキャスティングすることにより行われる。
【0007】このような成膜に用いられるキャリアフィ
ルムは、一般には比較的厚肉なものであることから、該
グリーンシートにキャリアフィルムを付着した状態では
その枠抜きやビアホール等の穿設を行い難い。このた
め、従来は、該キャリアフィルムをグリーンシートから
剥離した後に、該グリーンシートに枠抜きやビアホール
の穿設等のパンチング加工を施すようにしていた。
【0008】しかしながら、このような製造方法にあっ
ては、グリーンシートが比較的柔らかく、また、他のグ
リーンシートと付着し易いものであるため、該グリーン
シートの単体ではその取扱いが難しく、また、グリーン
シート同士を積み上げておくことも困難であった。従っ
て、これをパンチング加工機等に給送したり、各種作業
位置に給送するに際して、搬送治具等の各種治具が必要
となっていると共に、これらの治具の保守・管理が煩雑
なものとなっていた。
【0009】一方、近年においては、比較的薄肉で、ま
た強度や耐熱性にも優れた樹脂フィルムがグリーンシー
トを成膜する際のキャリアフィルムとして開発されたか
ら、本発明者等は、このキャリアフィルムをグリーンシ
ートに付着したままで、そのパンチング加工やビアホー
ルの穴埋め、配線パターンの印刷等を行い、しかる後
に、該キャリアフィルムをグリーンシートから剥離して
複数のグリーンシートの積層・一体化を行うという製造
方法を開発した。
【0010】かかる製造方法にあっては、パンチング加
工によるビアホールの穿設に際して、その穿設と同時に
キャリアフィルムにもビアホールに連通する貫通孔を穿
設し、その後のビアホールへの導体ペーストの充填に際
しては、該キャリアフィルムの貫通孔を介してビアホー
ルに導体ペーストを充填するようにしている。
【0011】かかる製造方法によれば、グリーンシート
の積層の直前までは、該グリーンシートにキャリアフィ
ルムが付着されているので、その給送等の取扱が比較的
容易なものとなると共に、搬送治具等の各種治具を削減
することができる。また、ビアホールへの導体ペースト
の充填に際して、該キャリアフィルムの貫通孔を介して
ビアホールに導体ペーストを充填することにより、別途
のマスクスクリーン等を用いずに、該キャリアフィルム
をマスクとして有効に活用することができる。
【0012】ところで、かかる製造方法にあっては、従
来、グリーンシートからキャリアフィルムを剥離させる
作業は、キャリアフィルムが付着したグリーンシートを
そのキャリアフィルム側の面を上方に向けて載架台上に
吸着・保持した状態で、単に、該キャリアフィルムの一
端部を把持して上方に引き上げることにより、該キャリ
アフィルムをグリーンシートから剥離させるようにして
いた。
【0013】しかしながら、かかる剥離方法にあって
は、キャリアフィルムの貫通孔に充填されている導体ペ
ーストによりビアホール内の導体ペーストがキャリアフ
ィルム側に引っ張られることにより、該ビアホール内か
ら剥離され、その欠損を生じやすいという不都合があっ
た。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明はかかる不都合
を解消し、グリーンシートに樹脂フィルムを付着した状
態で該グリーンシートと樹脂フィルムとにそれぞれビア
ホール及び該ビアホールに連通する貫通孔を穿設し、さ
らに該ビアホールに導体ペーストを充填した後に、該樹
脂フィルムをグリーンシートから剥離させる工程を備え
た多層配線セラミックス基板の製造方法において、該樹
脂フィルムをグリーンシートから剥離させる際に、ビア
ホール内の導体ペーストを樹脂フィルムと共に該ビアホ
ールから剥離させることなく、確実に該ビアホール内に
導体ペーストが充填された状態を維持して樹脂フィルム
をグリーンシートから剥離させることができる方法を提
供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明はかかる不都合を
解消するために、樹脂フィルムが付着されたグリーンシ
ートと該樹脂フィルムとにそれぞれビアホール及び該ビ
アホールに連通する貫通孔を穿設する工程と、該ビアホ
ールに導体ペーストを充填する工程と、該充填後に前記
樹脂フィルムを前記グリーンシートから剥離させる工程
とを備えた多層配線セラミックス基板の製造方法におい
て、前記樹脂フィルムを前記グリーンシートから剥離さ
せる際に、該樹脂フィルムの幅方向に延在して該樹脂フ
ィルムに対向・配置された巻取りローラの外周面を該樹
脂フィルムの一端部に当接させると共に該樹脂フィルム
の一端部を該巻取りローラの外周面に係着する工程と、
該係着後に該巻取りローラを該樹脂フィルムの一端部側
から他端部側に向かって前記グリーンシート上を転動さ
せることにより該樹脂フィルムを該巻取りローラに巻回
して該グリーンシートから剥離させる工程とを備えたこ
とを特徴とする。
【0016】この場合、前記樹脂フィルムの一端部に当
接・係着された前記巻取りローラの転動は、該巻取りロ
ーラに対して前記グリーンシートをその他端部側が該巻
取りローラに接近する方向に移動させることにより行わ
れることを特徴とする。
【0017】また、前記巻取りローラの直径を20mm
以下としたことを特徴とする。
【0018】さらに、前記巻取りローラの直径を5mm
乃至15mmとしたことを特徴とする。
【0019】
【作用】本発明によれば、前記巻取りローラの外周面を
前記樹脂フィルムの一端部に当接させると共に、該巻取
りローラの外周面に樹脂フィルムの一端部を係着した後
に、該巻取りローラを前記グリーンシート上で樹脂フィ
ルムの一端部側から他端部側に向かって転動させること
により、該樹脂フィルムを該巻取りローラに巻回しつつ
前記グリーンシートから剥離させるようにしたので、該
樹脂フィルムは、該巻取りローラに巻回される際に、前
記グリーンシートのビアホールの位置で該巻取りローラ
の径に応じた曲率で該ローラ側に徐々に湾曲しつつグリ
ーンシートから剥離される。この樹脂フィルムの湾曲に
より、該ビアホールに連通する前記貫通孔のグリーンシ
ート側を拡径し、巻取りローラ側を縮径する方向に力が
作用し、貫通孔内の導体ペーストは貫通孔から押し出さ
れるようになり、貫通孔内の導体ペーストは貫通孔内か
ら円滑に剥離される。これにより、前記ビアホール及び
貫通孔に充填されている前記導体ペーストは、樹脂フィ
ルム側に引っ張られることはなくなる。従って、樹脂フ
ィルムは、ビアホール内の導体ペーストを欠落させるこ
となくグリーンシートから剥離される。尚、導体ペース
トは好ましくは樹脂フィルムの貫通孔を介してグリーン
シートのビアホール内に充填される。
【0020】この場合、前記樹脂フィルムを剥離すべく
前記巻取りローラを前記グリーンシート上で転動させる
際には、該巻取りローラに対して前記グリーンシートを
その他端部側が該巻取りローラに接近する方向に移動さ
せることにより、該巻取りローラをグリーンシート上で
転動させることが好ましい。
【0021】また、前記樹脂フィルムが前記巻取りロー
ラに巻回されてグリーンシートから剥離される際に、該
樹脂フィルムの湾曲の曲率が大きい程、前記貫通孔のグ
リーンシート側の端部が広がって該貫通孔が前記ビアホ
ールの導体ペーストから剥離し易くなるので、巻取りロ
ーラの径は小さい程、好ましく、本発明者等の種々の実
験等によれば、巻取りローラの直径を20mm以下とす
ることが好ましい。
【0022】そして、より好ましくは、巻取りローラの
直径を5mm乃至15mmとすることが好適である。こ
れは、上記のように巻取りローラの直径が小さい程、好
ましいものの、あまり小さくなり過ぎると、樹脂フィル
ムの弾発力等によりスムーズに樹脂フィルムを巻取りロ
ーラに巻回することが困難となるからである。
【0023】
【実施例】本発明の一実施例を図1乃至図9に従って説
明する。図1は本実施例の多層配線セラミックス基板の
製造方法を説明するためのフローチャート、図2乃至図
9はその製造方法の工程説明図である。
【0024】図1に示すように、多層配線セラミックス
基板を製造する際には、まず、ドクターブレード法等に
より、セラミックス材料から長尺帯状のグリーンシート
を成膜する。この成膜は、例えば次のように行われる。
【0025】すなわち、図2に示すように長尺帯状のグ
リーンシートテープ1を成膜する際には、長尺帯状の樹
脂フィルム2をロール状に巻回してなるフィルムロール
3からテンションローラ4、給送ローラ5,6、テンシ
ョンローラ7を順に介して、グリーンシートテープ1及
び樹脂フィルム2をロール状に巻回するためのテープロ
ール8に樹脂フィルム2が給送される。この場合、樹脂
フィルム2は、給送ローラ5,6の間で張設されつつ乾
燥炉9内を給送される。
【0026】一方、これと並行して、給送ローラ5の位
置で、スラリー供給部10からブレード11を介してス
ラリー12が逐次、樹脂フィルム2上にキャスティング
され、これにより、樹脂フィルム2上にグリーンシート
テープ1が成膜される。そして、このように成形された
グリーンシートテープ1は樹脂フィルム2と共に乾燥炉
9内を通って乾燥され、さらに、給送ローラ6及びテン
ションローラ7を介してテープロール8に樹脂フィルム
2と共に巻回される。
【0027】尚、樹脂フィルム2は、厚み75μmのマ
イラーフィルムを使用した。
【0028】次いで、このようにグリーンシートテープ
1を成膜した後に、図1に示すように、このグリーンシ
ートテープ1にパンチング加工が施され、これにより、
該グリーンシートテープ1から適当な大きさのグリーン
シートが枠抜きされると共に、該グリーンシートにビア
ホール等が穿設される。このパンチング加工は、例えば
次のように行われる。
【0029】すなわち、図3(a)に示すように、前述
したようにグリーンシートテープ1が巻回されたテープ
ロール8からグリーンシートテープ1がこれに付着して
いる樹脂フィルム2と共に引き出され、パンチング加工
機13に給送される。そして、このパンチング加工機1
3の上型13a及び下型13bの間でグリーンシートテ
ープ1及び樹脂フィルム2がパンチングされ、これによ
り図3(b)に示すように、グリーンシートテープ1か
ら略方形状のグリーンシート14が樹脂フィルム2と共
に枠抜きされると共に、該グリーンシート14にビアホ
ール15が穿設され、さらに該グリーンシート14の周
縁部に、後述の積層等において使用される複数の位置決
め穴16が穿設される。
【0030】この場合、ビアホール15の穿設は、グリ
ーンシート14からこれに付着している樹脂フィルム2
まで貫通させて行われ、これにより図3(c)に示すよ
うに、樹脂フィルム2にはビアホール15に連通する貫
通孔17が形成される。
【0031】また、この場合、テープ1から枠抜きれた
グリーンシート14にあっては、図3(b)に示すよう
に仮想線で区分けされた複数の区画xにそれぞれ多層配
線セラミックス基板の一個分を得られるようにしてなっ
ており、前記ビアホール15の穿設は、これらの各区画
x内において行われる。
【0032】尚、かかるパンチング加工は、多層配線セ
ラミックス基板の各層毎に各別に行われる。
【0033】次いで、このようにパンチング加工が施さ
れたグリーンシート14に対し、そのビアホール15の
穴検査等を行った後に、図1に示すように、ビアホール
15に導体ペーストを充填する穴埋め印刷が該グリーン
シート14に施される。この穴埋め印刷は、例えば次の
ように行われる。
【0034】すなわち、この穴埋め印刷に際しては、図
4(a)に示すように、まず、真空引きチャンバー18
aを収納した筐体18の上面部に設けられた載架台19
上の所定の位置に、グリーンシート14が、これに付着
している樹脂フィルム2を上側にした状態で無塵紙20
を介して載架される。
【0035】この時、載架台19は空気を通す多孔質材
料から成るものであると共に、無塵紙20も空気を通す
ものであり、真空引きチャンバー18aの内部を吸引す
ることにより、グリーンシート14が無塵紙20を介し
て載架台19上に吸着・保持される。また、この時、グ
リーンシート14の前記ビアホール15及びこれに連通
する樹脂フィルム2の前記貫通孔17の内部も無塵紙2
0及び載架台19を介して吸引される。
【0036】次いで、中央部に開口穴21を有する中抜
きマスク22がその開口穴21をグリーンシート14上
の樹脂フィルム2に臨ませて該グリーンシート14に対
向・配置され、この状態で平スキージ23により、中抜
きマスク22の開口穴21を介して樹脂フィルム2の表
面部に導体ペースト24が印刷され、図4(b)に示す
ように、ビアホール15及び貫通孔17に導体ペースト
24が充填される。
【0037】尚、この時、前記したように、グリーンシ
ート14の前記ビアホール15及びこれに連通する樹脂
フィルム2の前記貫通孔17は吸引されているので、導
体ペースト24が樹脂フィルム2の貫通孔17を介して
ビアホール15内により侵入し易くなっている。
【0038】また、この時、ビアホール15に充填され
る導体ペースト24は、無塵紙20により、載架台19
側に侵入するのが阻止される。
【0039】このように、ビアホール15の穴埋め印刷
は、グリーンシート14に付着している樹脂フィルム2
の貫通孔17を介して行われ、該樹脂フィルム2が印刷
用マスクとして使用される。
【0040】かかる穴埋め印刷を行った後には、図1に
示すように、ビアホール15に充填された導体ペースト
24の乾燥が行われる。この場合、かかる乾燥工程は、
例えば、図5(a)に示すように、中央部に網体25を
有する搬送トレイ26上に、グリーンシート14及び樹
脂フィルム2がグリーンシート14を上にして載架さ
れ、さらに、図5(b)に示すように、この搬送トレイ
26を複数段に積み重ねたものを、搬送コンベア27に
より乾燥炉28内を搬送することにより行われる。
【0041】次いで、かかる導体ペースト24の乾燥後
に、図1に示すように、スクリーン印刷手法により、グ
リーンシート14に所定の配線パターンが印刷される。
この配線パターンの印刷は、例えば、次のように行われ
る。
【0042】すなわち、配線パターンの印刷に際して
は、図6(a)に示すように、まず、前記の穴埋め印刷
の場合と同様にして、真空引きチャンバー29を内部に
有する筐体30上の多孔質材料から成る載架台31上の
所定の位置に、グリーンシート14が載架され、さら
に、真空引きチャンバー29の吸引により該載架台31
上に吸着・保持される。この時、グリーンシート14は
これに付着している樹脂フィルム2を介して載架台31
上に載架される。
【0043】尚、グリーンシート14を載架台31上に
位置決めするに際しては、前記のパンチング加工により
該グリーンシート14に穿設された前記位置決め穴16
を使用して精度よく位置決めされる。
【0044】次いで、グリーンシート14に印刷すべき
配線パターンに対応するパターン(図示しない)を有す
るスクリーン32が該グリーンシート14に対向・配置
され、この状態で、平スキージ33により、導体ペース
ト34がスクリーン32を介してグリーンシート14の
表面部に印刷される。これにより、図6(b)に示すよ
うに、グリーンシート14の前記各区画xに所定の配線
パターン35が形成される。
【0045】そして、かかる印刷後には、図1に示すよ
うに、配線パターン35の乾燥が行われる。この場合、
この乾燥工程は、前記のビアホール15の導体ペースト
24の乾燥の場合と全く同様に行われる(図5参照)。
【0046】このように、配線パターン35の乾燥を行
った後に、図1に示すように、グリーンシート14から
樹脂フィルム2が剥離される。この樹脂フィルム2の剥
離は、例えば次のように行われる。
【0047】すなわち、樹脂フィルム2の剥離に際して
は、図7(a)に示すような装置が用いられる。この装
置は、基台36上に水平方向に延在して設けられたガイ
ドレール37にこれに沿って移動自在に支持された筐体
38と、その内部に収納された真空引きチャンバー39
と、該筐体38の上面部に設けられた多孔質材料から成
る載架台40とを備えている。そして、樹脂フィルム2
の剥離に際しては、まず、グリーンシート14がこれに
付着している樹脂フィルム2を上側にして載架台40の
所定の位置に載架され、さらに、真空引きチャンバー3
9の吸引により、該グリーンシート14が載架台40上
に吸着・保持される。
【0048】一方、載架台40の上方には、揺動軸41
の回りに載架台40に向かって揺動自在に設けられたア
ーム体42が設けられており、このアーム体42の先端
部には、載架台40上に吸着・保持されたグリーンシー
ト14及びこれに付着している樹脂フィルム2の幅方向
(図7(a)の紙面に垂直な方向)に延在する巻取りロ
ーラ43が回転自在に取付けられている。この場合、巻
取りローラ43の外周面には、粘着剤が塗布されてい
る。
【0049】そして、樹脂フィルム2の剥離に際して
は、上記のように載架台40上に吸着・保持されたグリ
ーンシート14上の樹脂フィルム2の一端部に巻取りロ
ーラ43を同図仮想線示のように対向させた状態で、ア
ーム体42の先端部を樹脂フィルム2に向かって揺動さ
れ、これにより、巻取りローラ43が同図実線示のよう
に、樹脂フィルム2の一端部の上面部に圧接されると共
に、該樹脂フィルム2の一端部が巻取りローラ43の外
周面に貼着される。
【0050】次いで、前記スライド筐体38が載架台4
0及びグリーンシート14と共に、同図中、矢印Aの方
向に水平移動される。この時、巻取りローラ43は、グ
リーンシート14の一端部側から他端部側に向かってグ
リーンシート14上を転動し、これにより、一端部が巻
取りローラ43の外周面に貼着されている樹脂フィルム
2は、図7(b)に示すように、該巻取りローラ43の
外周面に巻回されつつ、グリーンシート14から剥離さ
れる。
【0051】この時、樹脂フィルム2は、図7(b)に
示すように、巻取りローラ43の径に応じた曲率で該巻
取りローラ43側に湾曲しつつグリーンシート14から
剥離される。このため、グリーンシート14のビアホー
ル15の位置で、該樹脂フィルム2がグリーンシート1
4から剥離される際には、該ビアホール15に連通する
樹脂フィルム2の貫通孔17のグリーンシート14側に
おいては、該貫通孔17を拡径させる方向の力が図中、
矢印Bのように作用し、貫通孔17の巻取りローラ43
側においては、貫通孔17を縮径させる方向の力が図
中、矢印Cのように作用する。従って、貫通孔17内の
導体ペースト24は、貫通孔17から押し出されるよう
になり、その内壁から円滑に剥離される。その結果、ビ
アホール15内に充填されている導体ペースト24は、
該ビアホール15に連通する樹脂フィルム2の貫通孔1
7側に引っ張られるようなことはなく、従って、該ビア
ホール15から導体ペースト24が欠落するようなこと
がない。
【0052】この場合、このような樹脂フィルム2の剥
離に際しては、巻取りローラ43の径が小さい程、樹脂
フィルム2の剥離時の湾曲の曲率が大きくなって、その
貫通孔17のグリーンシート14側の端部が広がり易く
なることから、巻取りローラ43の径は小さい程、好ま
しく、具体的には、巻取りローラ43の直径を20mm
以下とすることが好ましい。そして、巻取りローラ43
の直径が小さくなり過ぎても、樹脂フィルム2の弾発力
等により該樹脂フィルム2の巻取りを行い難くなること
から、より好ましくは、巻取りローラ43の直径を5m
m以上とすることが好ましい。
【0053】実際、本発明の発明者等が、巻取りローラ
43の直径を種々の値に設定して、ビアホール15にお
ける導体ペースト24の欠落等の不良が発生する割合を
調査したところ、次の表に示すような結果が得られた。
【0054】
【表1】
【0055】上記の表を見て判るように、巻取りローラ
の直径が5乃至15mmの範囲では、ビアホールの不良
が発生せず、20mmとなると、1000個当たり1個
程度発生し始め、25mm以上となると、ビアホール1
5における不良率が急に高くなっている。このように、
20mm以下では、ほとんどビアホール15における導
体ペースト24の欠落等の不良が発生しないことが判
る。
【0056】このように、本実施例の樹脂フィルム2の
剥離方法によれば、ビアホール15における導体ペース
ト24の欠落等の不都合を生じることなく、円滑に樹脂
フィルム2をグリーンシート14から剥離させることが
できる。
【0057】尚、本実施例では、グリーンシート14を
移動させて樹脂フィルム2を剥離するようにしたが、巻
取りローラ43を移動させて樹脂フィルム2を剥離する
ようすることも可能であることはもちろんである。
【0058】このようにして、グリーンシート14から
樹脂フィルム2を剥離した後には、次に、図1に示すよ
うに、多層配線セラミックス基板を得るのに必要な複数
のグリーンシート14が積層・一体化される。この積層
・一体化は、例えば次のように行われる。
【0059】すなわち、この積層・一体化に際しては、
まず、図8(a)に示すように、多層配線セラミックス
基板を得るのに必要な一組の所定数のグリーンシート1
4が受け板44上に積み重ねられる。この時、各グリー
ンシート14は、これに穿設されている前記位置決め穴
16に、受け板44上に立設した位置決めピン45が嵌
挿されて相互に位置決めされる。また、この時、最下層
のグリーンシート14と受け板44との間にはルミラー
フィルム46aが介装され、さらに、最上層のグリーン
シート14上にもルミラーフィルム46bが積み重ねら
れる。
【0060】次いで、このルミラーフィルム46b上
に、中板47が積み重ねられ、さらに、この中板47上
に、他の一組の所定数のグリーンシート14’が積み重
ねられる。この時、上記の組のグリーンシート14の積
み重ねの場合と同様にして、各グリーンシート14’が
その位置決め穴16に前記位置決めピン45を嵌挿する
ことにより相互に位置決めされる。また、最下層のグリ
ーンシート14’と中板47との間にはルミラーフィル
ム46cが介装され、最上層のグリーンシート14’上
にもルミラーフィルム46dが積み重ねられる。
【0061】これにより、これらの組のグリーンシート
14,14’が受け板44上に二段に積み重ねられる。
【0062】尚、この場合、さらに多数の組のグリーン
シートを上記の場合と同様にして積み重ねるようにても
よい。
【0063】そして、このように、グリーンシート1
4,14’等を積み重ねたものの側面部に図示しない治
具等を介して側板48が装着され、さらに、その上面部
に押圧板49が載架される。
【0064】次いで、図8(b)に示すように、これら
のものが、ホットプレス機50に投入されて、該ホット
プレス機50の下型51の加熱された受け部52上に前
記受け板44を介して載架され、この状態で、受け板4
4上の各組のグリーンシート14,14’が、下型51
の受け部52と、上型53の加熱された加圧部54との
間で受け板44及び押圧板49を介して加熱・加圧され
る。これにより、各組のグリーンシート14,14’が
各別に相互に積層・一体化される。
【0065】このようにして、必要数のグリーンシート
14を積層・一体化した後には、図1に示すように、そ
の積層体が焼成され、これにより多層配線セラミックス
基板が得られる。この場合、かかる焼成は、図9に示す
ように、積層体55を搬送トレイ56上に載架した状態
で、搬送コンベア57により、該積層体55を焼成炉5
8に搬入することにより行われる。
【0066】尚、前述したように、グリーンシート14
の複数の区画x(図3(b)参照)に一個分の多層配線
セラミックス基板を得るようにした場合には、その積層
体の焼成前に、これを各区画xの位置で切断することに
より、これらの区画xの部分が分離され、その後にこれ
らの各積層体が焼成されて多層配線セラミックス基板が
得られる。
【0067】
【発明の効果】上記の説明から明らかなように、本発明
によれば、グリーンシートに樹脂フィルムを付着した状
態で、該グリーンシートに穿設されたビアホールに導体
ペーストを充填し、その後に該樹脂フィルムをグリーン
シートから剥離する際に、巻取りローラを樹脂フィルム
に圧接させつつ転動させて、該樹脂フィルムを巻取りロ
ーラに巻回させつつグリーンシートから剥離させるよう
にしたことによって、ビアホール内の導体ペーストが樹
脂フィルムと共に該ビアホールから剥離するのを防止す
ることができ、ビアホール内に導体ペーストが充填され
た状態を維持して樹脂フィルムをグリーンシートから円
滑に剥離させることができる。
【0068】そして、特に、巻取りローラの直径を20
mm以下とし、さらに好ましくは5mm乃至15mmと
したことによって、樹脂フィルムの剥離の際に、ビアホ
ール内の導体ペーストが樹脂フィルムと共に剥離するの
を確実に防止することができると共に、該樹脂フィルム
の剥離を極めて円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の多層配線セラミックス基板の製造方法
の一例を説明するためのフローチャートである。
【図2】図1の製造方法における工程説明図である。
【図3】図1の製造方法における工程説明図である。
【図4】図1の製造方法における工程説明図である。
【図5】図1の製造方法における工程説明図である。
【図6】図1の製造方法における工程説明図である。
【図7】図1の製造方法における工程説明図である。
【図8】図1の製造方法における工程説明図である。
【図9】図1の製造方法における工程説明図である。
【符号の説明】
2…樹脂フィルム、14…グリーンシート、15…ビア
ホール、17…貫通孔、24…導体ペースト、43…巻
取りローラ。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】樹脂フィルムが付着されたグリーンシート
    と該樹脂フィルムとにそれぞれビアホール及び該ビアホ
    ールに連通する貫通孔を穿設する工程と、該ビアホール
    に導体ペーストを充填する工程と、該充填後に前記樹脂
    フィルムを前記グリーンシートから剥離させる工程とを
    備えた多層配線セラミックス基板の製造方法において、
    前記樹脂フィルムを前記グリーンシートから剥離させる
    際に、該樹脂フィルムの幅方向に延在して該樹脂フィル
    ムに対向・配置された巻取りローラの外周面を該樹脂フ
    ィルムの一端部に当接させると共に該樹脂フィルムの一
    端部を該巻取りローラの外周面に係着する工程と、該係
    着後に該巻取りローラを該樹脂フィルムの一端部側から
    他端部側に向かって前記グリーンシート上を転動させる
    ことにより該樹脂フィルムを該巻取りローラに巻回して
    該グリーンシートから剥離させる工程とを備えたことを
    特徴とする多層配線セラミックス基板の製造方法。
  2. 【請求項2】前記樹脂フィルムの一端部に当接・係着さ
    れた前記巻取りローラの転動は、該巻取りローラに対し
    て前記グリーンシートをその他端部側が該巻取りローラ
    に接近する方向に移動させることにより行われることを
    特徴とする請求項1記載の多層配線セラミックス基板の
    製造方法。
  3. 【請求項3】前記巻取りローラの直径を20mm以下と
    したことを特徴とする請求項1または2記載の多層配線
    セラミックス基板の製造方法。
  4. 【請求項4】前記巻取りローラの直径を5mm乃至15
    mmとしたことを特徴とする請求項3記載の多層配線セ
    ラミックス基板の製造方法。
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