JPH07300738A - 補強織物とその製造方法および製造装置 - Google Patents

補強織物とその製造方法および製造装置

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JPH07300738A
JPH07300738A JP7077211A JP7721195A JPH07300738A JP H07300738 A JPH07300738 A JP H07300738A JP 7077211 A JP7077211 A JP 7077211A JP 7721195 A JP7721195 A JP 7721195A JP H07300738 A JPH07300738 A JP H07300738A
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    • D03DWOVEN FABRICS; METHODS OF WEAVING; LOOMS
    • D03D41/00Looms not otherwise provided for, e.g. for weaving chenille yarn; Details peculiar to these looms
    • D03D41/008Looms for weaving flat yarns

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Abstract

(57)【要約】 【目的】 複合材料用の補強基材として、安価で高い強
度特性を発揮し得る補強織物とその製造方法および製造
装置を提供する。 【構成】 集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜
800mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マル
チフィラメント糸を織糸とする補強織物、および、該強
化繊維マルチフィラメント糸をたて糸および/またはよ
こ糸として補強織物を製織する製造方法および製造装
置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、繊維強化複合材料用と
して優れた特性を発揮する補強織物とその製造方法およ
び製造装置に関し、とくに航空機用の繊維強化複合材料
用に用いて好適な補強織物とその製造方法および製造装
置に関する。
【0002】繊維強化複合材料、とくに繊維強化プラス
チック(以下、「FRP」という)には、炭素繊維糸や
ガラス繊維糸、ポリアラミド繊維糸等を用いて織物の形
態にした補強織物が多用されている。中でも、比弾性率
が大きく、かつ、比強度が大きい炭素繊維からなる炭素
繊維織物は、通常、一般のシャトル織機やレピア織機に
より製織されており、合成樹脂と複合して所定形状に形
成することにより炭素繊維強化プラスチック(以下、
「CFRP」という)等の複合材料に用いる補強基材と
して多用されている。
【0003】このような補強基材を用いた複合材料は、
例えば、CFRPは、その優れた性能を活かして航空機
の構造材等に使われ始めているが、さらにCFRPの使
用範囲を拡大させるためには、成形のみならず炭素繊維
糸や炭素繊維織物の補強基材のコストダウンが大きな課
題である。
【0004】炭素繊維糸は、通常その繊度が大きくなる
程、プリカーサおよび耐炎化工程や焼成工程での生産性
が向上し、安価に製造することが可能となる。
【0005】しかし、通常の補強織物は、強化繊維をほ
ぼ円形断面に集束させた強化繊維糸を用いて織物にして
いるので、織り込まれた状態においては、たて糸とよこ
糸が交錯する交錯部における強化繊維糸の断面が楕円形
で、織糸が大きくクリンプしている。特に、太い強化繊
維糸を使用した補強織物では、太いよこ糸と太いたて糸
が交錯しているのでこの傾向が大きくなる。
【0006】このため、強化繊維糸が大きくクリンプし
た補強織物では、繊維密度が不均一となって高強度特性
を充分に発揮できない。また、太い強化繊維糸を使用し
た補強織物は、一般に、織物目付や厚みが大きくなるた
め、プリプレグやFRPを成形するときの樹脂含浸性が
悪くなる。
【0007】従って、太い強化繊維糸を製織した補強織
物を用いて得られるFRPやCFRPは、樹脂中に存在
するボイドが多くなり高い強度特性が期待できない。
【0008】一方、太い強化繊維糸を使用して織物目付
を小さくすると、強化繊維糸間に形成される空隙が大き
くなる。このため、織物目付の小さい補強織物を用いて
FRPやCFRPを成形すると、強化繊維の体積含有率
が低くなり、強化繊維糸間に形成される空隙部分に樹脂
のボイドが集中的に発生し、高性能な複合材料が得られ
なくなるという欠点があった。
【0009】このような欠点に対して、特開昭58−1
91244号公報に、薄くて幅の広い扁平な炭素繊維糸
を織った、厚みが0.09mm以下で、織物目付が85
g/m2 以下の薄地織物とその製造法が開示されてい
る。この薄地織物は、厚みが非常に薄いために、織糸の
クリンプが小さく、高い補強効果を発揮し、薄いCFR
Pの成形には優れた基材である。
【0010】このような扁平な炭素繊維糸を用いた補強
織物の製織方法は、炭素繊維糸が必要本数巻かれた糸ビ
ームから供給されるたて糸、あるいはクリールに取り付
けられた炭素繊維糸ボビンから供給されるシート状に整
列されたたて糸を、綜絖により順次開口させ、この開口
にシャトルまたはレピアでよこ糸を間欠的に挿入して織
物とする。このとき、たて糸に関しては、前記のように
ビームから供給する方法とボビンから直接供給する方法
とがあるが、どちらにしても、炭素繊維糸ボビンをゆっ
くり回転させながら回転軸に直交する方向にたて糸を引
き出して解舒させる方法(横取り解舒)、あるいはボビ
ンの軸方向にたて糸を引き出して解舒させる方法(縦取
り解舒)の2つの方法が採られている。
【0011】縦取り解舒は、ボビンの軸方向にたて糸を
引き出すことから、横取り解舒の場合に比べ、早い速度
で瞬間的にたて糸を抵抗なく引き出すことができるとい
う利点がある。但し、縦取り解舒においては、ボビンか
ら1巻き引き出す毎に、たて糸に1回の撚りが掛かって
しまう。このため、たて糸は、この撚りが掛かった部分
で扁平状態が潰されて部分的に収束することから、たて
糸の糸幅が均一な補強織物が得られないという問題があ
る。
【0012】一方、よこ糸に関しては、前記開口によこ
糸を迅速に供給しなければならず、供給速度をたて糸に
比べて一段と速くする必要がある。従って、繊維糸ボビ
ンからたて糸を迅速に解舒させるため、よこ糸は、繊維
糸ボビンの軸方向にたて糸を引き出す縦取り解舒の方法
が多く用いられているが、撚りが掛かってしまうという
問題がある。
【0013】このため、炭素繊維糸に撚りが掛からない
ように、よこ糸を横取り解舒させる方法として、特開平
2−74645号公報には、よこ糸を巻いたボビンをモ
ータで積極的に回転させ、重力を利用してよこ糸の挿入
に必要な長さを貯留させる方法が提案されている。
【0014】しかし、積極的にボビンを回転させるこの
方法では、ボビンに巻かれたよこ糸に巻量によって解舒
速度を変化させなければならないという問題がある。
【0015】また、FRP、とくにCFRPの成形にあ
たっては、織物をあらかじめプリプレグ化しておくこと
が多い。すなわち、織物にBステージの熱硬化性樹脂を
加熱下に加圧含浸してプリプレグ化しておくのである
が、含浸工程では、加熱されて熱硬化性樹脂の粘度が下
がった状態の下で加圧するために、織糸が拡幅されて織
目がほとんど閉塞され、また、表面の凹凸もほとんどな
くなる。これは、一見、好ましいことのように思われる
が、これは、剛性の高い炭素繊維の単糸が加圧によって
無理に移動させられた結果であり、加圧を解くと、全く
元の状態とまではいかないまでも、それに近い状態まで
回復してしまう。
【0016】そのようなプリプレグを、たとえば、ハニ
カムコアの各面に複数枚積層し、加熱、加圧して熱硬化
性樹脂を硬化させてスキンを形成するとともに、ハニカ
ムコアとの接着を行ってハニカムサンドイッチパネル
(サンドイッチ構造体)を製造するようなときに使用す
ると、セル壁部分では織物が加圧されて単糸の移動が起
こるが、セル孔の部分では加圧されないために上述した
回復状態がほとんどそのまま維持されることになり、炭
素繊維が偏在して、炭素繊維が全く存在しない部分がで
きたり、樹脂過多な部分ができたり、層間にボイドがで
きたりするようになる。しかるに、そのようなハニカム
サンドイッチパネルで、たとえば航空機のスポイラーを
構成すると、ボイドに水分が溜り、その水分が高高度を
飛行中に凍結してスキンにひび割れを誘発し、また、こ
れを繰り返しているうちにハニカムコアにも水分が侵入
するようになり、パネルの物性が低下して航空機の安全
な運行にも支障をきたすようになる。
【0017】このように、CFRPはもともと金属材料
のように等方性材料ではなく、異方性材料であるがため
に設計そのものが難しいうえに、補強材にもさまざまな
微妙な問題があってこれが設計をさらに困難にしてお
り、その困難さが信頼性をいま一歩確実性のないものに
している。CFRPが、比強度や比弾性率などの特性に
優れた先端材料として航空機に使用されながらも、その
使用が二次構造材に止まり、破壊が飛行の安全に影響を
及ぼす一次構造材としての使用が躊躇されている理由も
ここにある。そのため、補強材としての炭素繊維織物に
ついて、さまざまな工夫が行われている。
【0018】たとえば、特開平4−281037号公報
において、炭素繊維織物を連続的に走行させながら、そ
の表面にウォータジェットを当てて、織糸を開繊、拡幅
して、表面の凹凸を小さくするとともに、たて糸とよこ
糸の間隙によって形成される空隙、すなわち織目を小さ
くした炭素繊維織物を提案した。この織物によれば、織
目が小さくなるので、この織物のプリプレグを成形する
と、樹脂過多部分や層間におけるボイドはかなり改善さ
れ、少なかったが、まだ多く、航空機部品として完璧性
が要求される厳しい水準にまでは到達しなかった。
【0019】ウォータジェットを当て織糸を開繊、拡幅
処理した織物をよく観察すると、織糸の大部分は開繊、
拡幅し織目が小さくなっているが、部分的にフィラメン
トが絡み合ったり、また撚りがかかっていたりして、織
糸が開繊、拡幅せず、まばらではあるが織目の大きな箇
所があった。これが炭素繊維織物のプリプレグを成形し
た際のボイドに繋がることがわかった。
【0020】また、CFRPの表面の大部分は、織物の
凹凸を小さくなることによって、表面が平滑となるが、
織糸が開繊、拡幅してない織目の箇所が樹脂過多とな
り、成形の際の樹脂の収縮でその部分が凹み、平滑性の
均一なCFRP成形品が得られず、商品価値が下がると
いう問題があった。
【0021】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の補強織物における上述した問題点を解決し、織糸の開
繊、拡幅の均一性に優れ、交錯部における織糸の曲がり
が小さくて応力集中による破壊の問題をほとんど心配す
る必要がないばかりか、表面平滑性に優れていて複合材
料を成形するときの補強繊維の偏在による不都合をほと
んど回避することができ、物性が高く、しかも、信頼性
に優れた繊維強化複合材料を成形することができ、安価
に製造可能な補強織物を提供することにある。
【0022】また、本発明の他の目的は、繊度の大きい
強化繊維糸であっても、撚りが掛かることなく、所望の
開繊、拡幅度を維持して上記補強織物を製織することが
可能な、補強織物の製造方法および製造装置を提供する
ことにある。
【0023】また、本発明の他の目的は、上記補強織物
を用いた、安価で高強度な複合材料形成に用いて最適な
プリプレグを提供することにある。
【0024】また、本発明の他の目的は、上記補強織物
を用いた、安価で高強度な複合材料を提供することにあ
る。
【0025】本発明のさらに他の目的は、上記複合材料
を用いた、航空機用構造材料に用いて好適なサンドイッ
チ構造体、および、そのようなサンドイッチ構造体の、
上記プリプレグを用いた製造方法を提供することにあ
る。
【0026】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の補強織物は、集束性がフックドロップ値F
(15)で20〜800mmの範囲の、実質的に撚りがな
い強化繊維マルチフィラメント糸を織糸とするものから
なる。
【0027】本発明においてフックドロップ値FD(15)
とは、強化繊維マルチフィラメント糸の集束性の程度を
表わすもので、図1(a)〜(c)に示す測定装置によ
って測定した金属フックの自由落下距離をもって表わさ
れるものである。
【0028】すなわち、ボビンに巻かれた強化繊維マル
チフィラメント糸のフックドロップ値FD(15)の測定
は、ボビンから、解舒撚りが加わらないようにボビンを
回転させながら強化繊維マルチフィラメント糸を横取り
解舒して長さ1,000mmの強化繊維マルチフィラメ
ント糸101を採取し、その上端を上部クランプ104
で装置に固定する。そして、下端に50mg/デニール
の荷重をかけた状態で、撚りが加わらないように、ま
た、扁平状態がくずれないように、かつ、掴み間隔が9
50mmになるように下部クランプ105で鉛直方向に
固定する。
【0029】次に、上下端を固定した強化繊維マルチフ
ィラメント糸101の幅方向中央部に、金属フック10
2(ワイヤー直径:1mm、半径5mm)に綿糸106
で重り103を取り付けた重錘(フック102の上端か
ら重り103の上端までの距離:30mm)のその金属
フック102を、上部クランプの下端から金属フック1
02の上端までの距離が50mmになるように引っ掛
け、手を離して金属フック102の自由落下距離(上記
50mmの位置から、落下位置における金属フック10
2の上端までの距離)を測定する。金属フック102お
よび綿糸106の重量は極力軽くし、金属フック10
2、綿糸106および重り103の合計重量、すなわち
重錘の重量が15gになるようにしておく。そして、使
用するボビンから10個のボビンをランダムに抽出し、
1個のボビンに関して10回の測定を行い、n=100
の平均値をもってフックドロップ値FD(15)とする。な
お、金属フック102が下部クランプ105の位置まで
落下してしまう場合もあるが、そのときの自由落下距離
は900mmとみなして平均値を計算する。そのために
は、下部クランプ105に金属フック102は当たるが
綿糸106や重り103は引っ掛らないようにしておく
必要があり、図1(c)にこの場合の落下状態を示すよ
うに、下部クランプ105の下方に十分な空間を設けて
おく必要がある。なお、測定は、ボビンから採取した強
化繊維マルチフィラメント糸を温度25℃、相対湿度6
0%の環境下に24時間放置した後、温度25℃、相対
湿度60%の環境下で行う。
【0030】織物の強化繊維マルチフィラメント糸(た
て糸またはよこ糸)のフックドロップ値FD(15)は、幅
1,000mm、長さ1,000mmの織物を3枚抽出
し、各織物から、たて糸またはよこ糸を、毛羽が発生し
ないように、また、撚りが加わらないようにほぐして長
さ1,000mmの強化繊維マルチフィラメント糸を採
取し、以下、上述した方法によって測定する。ただし、
この場合のフックドロップ値FD(15)は、1枚の織物の
たて糸またはよこ糸について10回の測定を行い、n=
30の平均値をもって表わす。
【0031】本願の基礎とした先の出願(特願平6−5
9822号)におけるフックドロップ値の測定は、次の
ようにして行った。すなわち、まず、長さ120cmの
扁平な強化繊維マルチフィラメント糸101を、50m
g/デニールの初荷重をかけた状態で、糸の両端を撚り
が入らないように、また扁平状態が潰れないように鉛直
方向に固定する。つぎに、固定されている強化繊維マル
チフィラメント糸の上部固定部から10cmの位置で、
強化繊維マルチフィラメント糸の幅のほぼ中央部に、金
属製ワイヤー直径が1mm、半径が5mmのフック10
2に3cmの綿糸で重り103を取り付け、フック10
2の自由落下距離を測定し、糸の場合は、使用するボビ
ンから10個のボビンをランダム抽出し、1個のボビン
につき10回の測定を行い、10回の測定値から値の大
きい3つを削除した値のn=70の平均値をフックドロ
ップ値とする。また、織物の場合は、長さ方向に1.3
m長さの織物を3枚抽出し、各織物からたて糸またはよ
こ糸を、毛羽が発生しないように、また撚りが入らない
ようにほぐし、1枚の織物につきたて糸またはよこ糸に
ついて10回の測定を行い、10回の測定値から値の大
きい3つを削除した値のn=21の平均値を、たて糸ま
たはよこ糸フックドロップ値とする。なお、ワイヤーお
よび綿糸の重量は極力小さくし、ワイヤー、綿糸および
重りの合計重量を30gとする。また、試料は24時
間、温度が25℃、湿度が60%の室内に放置し、測定
は温湿度が各々25℃、60%の室内で行うものとした
もので、これを本明細書中ではFD(30)という。
【0032】集束性の異なる種々の強化繊維マルチフィ
ラメント糸について、フックドロップ値FD(15)とフッ
クドロップ値FD(30)との関係を評価した結果、FD
(30)/FD(15)比は2〜4であった。すなわち、本願の
基礎とした先の出願におけるフックドロップ値FD(30)
100〜1,000mmをフックドロップ値FD(15)
換算すると、25〜500mmとなる。
【0033】このフックドロップ値が大きいほど強化繊
維マルチフィラメント糸は開繊、拡幅されやすい。但し
大きすぎると、マルチフィラメント糸としての形態保持
性がなくなり、織物の製織が困難になるため、大きい方
にも限界がある。集束性をフックドロップ値で上記のよ
うな範囲にすることにより、織物の形態で織糸の最適な
開繊、拡幅状態が得られ、かつその状態が維持される。
【0034】すなわち、本発明における強化繊維マルチ
フィラメント糸の集束性は、フックドロップ値FD(15)
で20〜800mmの範囲とされる。たとえば炭素繊維
糸を用いた補強織物とする場合、一般的に炭素繊維はそ
の製造工程において、切れたフィラメントのローラへの
巻き付きによる工程トラブルを防ぐため、エアーをプリ
カーサの繊維束に吹き付け、フィラメント同士を交絡さ
せて、炭素繊維糸に集束性を付与している。また、サイ
ジング剤の付着量や炭素繊維のフィラメント同士の接着
により炭素繊維糸に集束性を付与している。フィラメン
ト同士の交絡度合い、サイジング剤の付着量やサイジン
グ剤による接着の度合いによってこれら集束性の程度が
決まるが、フックドロップ値FD(15)で20mm以下と
なり、集束性の程度が大きすぎると、炭素繊維の集束性
が強すぎてハンドレイアップ成形やプリプレグ加工の
際、織物のたて糸およびよこ糸の幅が拡がることがな
く、炭素繊維糸間に形成される空隙に樹脂のボイドが集
中的に発生する。また、プリプレグに加工する際に樹脂
の含浸性が悪くなってしまい、高性能なFRPが得られ
ない。また、フックドロップ値FD(15)が800mm以
上であると、炭素繊維糸の集束性が悪くなり製織中に毛
羽が発生し、作業環境が悪くなるばかりかFRPの強度
も低下する。
【0035】ここで、フックドロップ値に影響を及ぼす
サイジング剤の好ましい付着量は、0.1〜1.5重量
%である。サイジング剤付着量が0.1重量%未満であ
ると、扁平状態が維持できにくくなるばかりか、繊維の
集束性が悪くて製織時に毛羽が発生しやすく、製織性が
低下する。一方1.5重量%を超えると、扁平状態は良
好に保てるが、繊維の開繊性が低下し、大きいカバーフ
ァクターの織物が得にくい。本発明の補強織物における
強化繊維フィラメント糸のフックドロップ値とは、織物
からほぐした織糸のフックドロップ値を指し、別の発明
である製造方法および製造装置における強化繊維フィラ
メント糸のフックドロップ値は、使用する糸状のフック
ドロップ値を指すものである。織糸のフックドロップ値
は、製織工程でしごきを受けて製織当初はやや高い値を
示すが、経時とともにサイジング剤が再接着し、糸状で
の値とほぼ同程度の値となる。
【0036】また、上記強化繊維マルチフィラメント糸
からなる織糸には、実質的に撚りがないことが必要であ
る。ここで「実質的に撚りがない」とは、糸長1m当た
りに1ターン以上の撚りがない状態をいう。つまり、現
実的に無撚の状態をいう。
【0037】織糸に撚りがあると、その撚りがある部分
で糸幅が狭く収束して分厚くなり、製織された織物の表
面に凹凸が発生する。このため、製織された織物は、外
力が作用した際にその撚り部分に応力が集中し、FRP
等に成形した場合に強度特性が不均一となってしまう。
【0038】このような最適な状態で開繊、拡幅され
た、フックドロップ値FD(15)が20〜800mmの、
実質的に撚りがない織糸からなる補強織物は、その織糸
が容易に最適な扁平状態とされ、各織糸の交錯部におけ
るクリンプは極めて小さく抑えられ、FRPやCFRP
にした際に高い強度特性が得られる。織糸の繊度を上げ
られることから、織糸、ひいては補強織物が、より安価
に製造される。
【0039】また、クリンプが極めて小さく抑えられる
ので、織物目付を高く設定でき、かつ、フックドロップ
値が大きく織糸の集束性が弱くて、織糸が容易に良好な
開繊、拡幅状態とされており、しかも全体にわたって均
一に開繊、拡幅されているから、この織糸の開繊、拡幅
状態を確保した状態にてカバーファクターを100%近
くに設定することが可能となる。したがって、FRP等
において、繊維含有率を高く設定できるとともに、織糸
間の樹脂リッチな部分を極めて小さく抑えることがで
き、課題となっていた織目部分におけるボイドの発生を
抑えて、高強度でかつ均一な強度特性を有する複合材料
が得られる。
【0040】さらに、織物の形態で各織糸が最適な開
繊、拡幅状態に維持されているから、樹脂の含浸性が極
めてよい。したがって、一層均一な特性の複合材料が得
られ、目標とする強度特性が容易に得られる。
【0041】上記のような本発明に係る補強織物では、
90%以上の高いカバーファクターが容易に得られる。
カバーファクターは、より好ましくは98%以上であ
る。また、織物目付の好ましい範囲は、クリンプを小さ
く抑え同時に高いカバーファクターを達成する上で、1
20〜220g/m2 の範囲が好ましい。
【0042】ここで、カバーファクターCfとは、織糸
間に形成される空隙部の大きさに関係する要素で、織物
上に面積S1 の領域を設定したとき、面積S1 内におい
て織糸に形成される空隙部の面積をS2 とすると、次式
で定義される値をいう。 カバーファクターCf=[(S1 −S2 )/S1 ]×1
00
【0043】本発明の補強織物は、開繊、拡幅されやす
い強化繊維マルチフィラメントからなるたて糸やよこ糸
を用いている。従って、目抜け度の小さな、すなわちカ
バーファクターが大きな織物となる。このようなカバー
ファクターの大きな補強織物を用いてプリプレグやFR
Pを成形すると、均一な成形品が得られ、樹脂中にボイ
ドが入ったり、応力が集中するような繊維分布むらが発
生しない。
【0044】本発明に係る補強織物は、各種形態に製織
できる。たとえば、前記強化繊維マルチフィラメント糸
をたて糸およびよこ糸とする平組織されてなる補強織
物、前記強化繊維マルチフィラメント糸をたて糸または
よこ糸とし、補助糸を用いて製織された一方向性の織
物、あるいは、前記強化繊維マルチフィラメント糸をた
て糸とよこ糸の少なくとも一方とする織物であって、該
たて糸とよこ糸の少なくとも一方は前記強化繊維マルチ
フィラメント糸が複数積層されてなる、平組織されてな
る補強織物とすることができる。
【0045】また、上記各態様の補強織物において織糸
を炭素繊維マルチフィラメント糸とする場合、その炭素
繊維マルチフィラメントの単糸数としては3,000〜
6,000本が好ましく、繊度としては900〜4,0
00デニール、単糸径としては5〜10ミクロン、引張
強度としては250〜700kgf/mm2 (JISR
法7601)、引張弾性率としては20〜50×103
kgf/mm2 (JIS R法7601)、サイジング
付着量としては、炭素繊維糸に対して0.1〜1.5重
量%の範囲が好ましい。
【0046】上述のような各種形態の補強織物におい
て、カバーファクターが90%より小さくなると、炭素
繊維糸相互間に繊維が存在しない空隙部が大きくなり、
プリプレグやCFRPを製造したとき、この空隙部が樹
脂リッチ部となるのみならず、この空隙部に樹脂が偏在
して充填されてボイドが集中する。このため、このよう
なプリプレグやCFRPは、応力が作用したとき、樹脂
リッチ部やボイドが集中した部分から破壊が進み好まし
くない。
【0047】前記強化繊維マルチフィラメント糸からな
るたて糸および/またはよこ糸を用いて製織された、本
発明に係る補強織物は、それぞれの糸幅とほぼ等しい織
物構造をなしていることが好ましい。これによりたて糸
とよこ糸が交錯する交錯部においては、空隙が殆どなく
繊維密度の高い織物となる。
【0048】しかし、実際にはたて糸とよこ糸が交錯し
ているため、糸幅と等しい糸間隔にすることは難しい。
そこで、製織された補強織物においては、たて糸または
よこ糸のいずれか一方の糸間は糸幅と等しく、他方の糸
間隔は糸幅より若干大きくなっていてもよい。但し、糸
間隔が、糸幅の1.2倍を越えると空隙が大きくなって
繊維密度の高い織物が得られない。このため、たて糸や
よこ糸の織糸ピッチは、糸幅の1.0〜1.2倍、即
ち、織糸ピッチ/糸幅比は1.0〜1.2であることが
望ましい。
【0049】上記のような本発明に係る補強織物は、プ
リプレグ、さらにはFRPやCFRP、該プリプレグや
FRP、CFRPを用いたサンドイッチ構造体の成形に
供され、補強基材として優れた特性を発揮する。
【0050】補強織物の積層構成としては、任意の構成
を採ることができる。たとえば、各補強織物の織糸が同
一方向に配列された単一積層構成としてもよく、織糸の
配列方向が0°/90°の補強織物層および±45°の
補強織物層を含む構成としてもよい。また、積層された
各補強織物が擬似等方積層構成をなしていると、複合材
料を形成した際より均一な特性とできる。擬似等方性に
積層させる場合には、厚み方向中心に対して鏡面対称に
なるように積層させることが好ましい。そうすることに
より、繊維強化樹脂材料の硬化板にした際に反りが発生
しないからである。
【0051】とくに強化繊維が炭素繊維であるCFRP
は異方性が極めて高い材料であるため、繊維軸方向には
強いが、繊維軸方向から外れると急激に強度、弾性率が
低くなる。したがって、この炭素繊維織物を使用して、
繊維配向が0°、90°方向の織物と、バイアスに裁断
した繊維配向が+45°、−45°方向の織物を交互に
積層すると、0°、90°、+45°、−45°の繊維
軸方向の特性が同じなので、FRPの全ての方向が同じ
強度、弾性率となり、特に航空機の構造材料として好適
である。
【0052】本発明に係るプリプレグは、前述の本発明
の補強織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂を含浸
したものからなる。より好ましい樹脂量は35〜45重
量%である。
【0053】使用するマトリクス樹脂としては、エポキ
シ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フ
ェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。これらの
熱硬化性樹脂は、織物に含浸された状態でBステージで
ある。また、マトリクス樹脂として、ナイロン樹脂、ポ
リエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポ
リエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ビスマレ
イミド樹脂等の熱可塑性樹脂も使用することができる。
【0054】このようなプリプレグを用いた繊維強化複
合材料におけるマイクロクラックの発生を防ぐために
は、マトリクス樹脂の硬化または固化状態における引張
破断伸度を補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の
引張破断伸度よりも大きくすることが効果的である。た
とえば、マトリクス樹脂が、硬化状態における引張破断
伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または固化状態に
おける引張破断伸度が8〜200%の熱可塑性樹脂であ
ることが好ましい。
【0055】また、本発明に係るFRPは、前述の本発
明の補強織物を含み、かつ、30〜70重量%のマトリ
クス樹脂を含むものからなる。マトリクス樹脂として
は、前記と同様の熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が使
用できる。また、マトリクス樹脂の引張破断伸度が補強
織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断伸度よ
りも大きいことが好ましく、引張破断伸度が3.5〜1
0%の熱硬化性樹脂または引張破断伸度が8〜200%
の熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。
【0056】プリプレグを用いたFRPは公知の方法で
成形することができる。プリプレグを所定の枚数を所定
の方向に積層し、マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂の場合
は100〜200℃で加熱しながら4〜10kg/cm
2 の加圧下で樹脂を硬化することによって、熱可塑性樹
脂の場合は7〜30kg/cm2 の加圧下で樹脂の融点
以上に加熱して、樹脂を溶融し冷却することによって成
形することができる。
【0057】本発明においては、上述したFRPやCF
RPと芯材との積層構造をとることにより、航空機用の
構造材等として最適なサンドイッチ構造体が得られる。
すなわち、上述のようなFRPやCFRPを芯材の両面
に接着してなるサンドイッチ構造体である。芯材として
は、軽量化、高剛性化の面からハニカム体が好ましい。
【0058】たとえば図2に示すように、芯材としての
ハニカム体51の両面に、スキン部材として、前述のよ
うな補強織物を用いた2枚積層のFRP板52a、52
bがそれぞれ接着されたサンドイッチ構造体が挙げられ
る。
【0059】芯材51としては、図示したハニカム体の
外に、プラスチック発砲体を使用してもよい。サンドイ
ッチ構造体を航空機の内装材として用いる場合には、芯
材51がアルミニウムのハニカム体であると、芯材51
は不燃性であるので好適である。また、アラミド繊維紙
のハニカムにたとえばフェノール樹脂を含浸したハニカ
ム体や、たとえばフェノール樹脂を発砲させたフェノー
ルフォームなどは、いずれも自己消炎性、難燃性である
ため、芯材51として好適である。
【0060】また、このようなサンドイッチ構造体は、
前述の如き本発明に係るプリプレグを用いて、樹脂の硬
化と芯材への接着を同時に行う、いわゆるコキュア法に
よって成形することにより、極めて効率よく製造でき、
かつ極めて高強度の構造体が得られる。
【0061】すなわち、本発明に係るサンドイッチ構造
体の製造方法は、芯材に前述したプリプレグのいずれか
を重ね合わせ、これらプリプレグと芯材とを加熱下に加
圧し、プリプレグの樹脂を硬化させてスキンを形成する
とともにそのスキンと芯材とを接着することを特徴とす
る方法かなる。
【0062】より詳しく説明すると、前述した織物に、
通常の方法によって、Bステージの、エポキシ樹脂や不
飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹
脂、ビスマレイミド樹脂などの熱硬化性樹脂を加熱下に
加圧含浸し、プリプレグとする。織糸が十分に開繊、拡
幅、扁平化されているために、含浸時も、また、含浸
後、加圧を解いた時も、単糸の移動はほとんど起こらな
い。プリプレグ中における熱硬化性樹脂の割合は、この
熱硬化性樹脂を接着材としてスキンとハニカム体との接
着にも使用するため、通常のプリプレグよりもやや高
い、36〜44重量%の範囲にするのが好ましい。な
お、熱硬化性樹脂には、その粘度を調節するなどの目的
で、各種のフィラーやゴムなどを添加してもよい。
【0063】次に、上述したプリプレグを、所望の枚
数、ハニカム体、たとえばアルミニウムハニカム体や紙
ハニカム体の各面に積層し、それらプリプレグとハニカ
ム体とを加熱下に加圧し、プリプレグの樹脂を硬化させ
てスキンを形成するとともにそのスキンとハニカム体と
を接着する。このとき、プリプレグの織物は、ハニカム
体のセル壁部分では加圧され、セル孔部分では加圧され
ないことになるが、織糸が十分に開繊、拡幅されている
ので単糸の移動はほとんど起こらない。したがって、均
一で、かつ高強度の構造体が得られ、航空機の一次構造
材(破壊が飛行の安全に影響を及ぼす構造材)にも十分
に適用できるものとなる。
【0064】なお、成形は、圧縮成形法によることもで
きるが、周知のオートクレーブ成形法によるのが好まし
い。成形温度は120〜180℃、成形圧力は2〜8k
g/cm2 程度でよい。
【0065】前述の本発明の補強織物は、次のような方
法により製造できる。すなわち、本発明に係る補強織物
の製造方法は、配列された複数本のたて糸間によこ糸を
供給して補強織物を製造する方法において、前記よこ糸
として、集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜8
00mm、好ましくは50〜200mmの範囲の、実質
的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を用い、
該よこ糸をボビンから横取り解舒し、たて糸に対する1
回のよこ糸供給に必要な長さのよこ糸を保留しつつ、前
記よこ糸をたて糸間に供給するよこ糸供給工程を含む方
法からなる(製造方法−1)。
【0066】また、本発明に係る補強織物の製造方法
は、配列された複数本のたて糸間によこ糸を供給して補
強織物を製造する方法において、前記たて糸として、集
束性がフックドロップ値FD(15)で20〜800mmの
範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメン
ト糸を用い、該複数本のたて糸をその配列方向に所望の
密度で引き揃えた後、該たて糸を杼道形成手段に導くた
て糸供給工程を含む方法からなる(製造方法−2)。
【0067】また、本発明に係る補強織物の製造方法
は、配列された複数本のたて糸間によこ糸を供給して補
強織物を製造する方法において、前記たて糸として、実
質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を用
い、該複数本のたて糸をその配列方向に所望の密度で引
き揃えた後、該たて糸を、該たて糸を案内する手段の揺
動により開繊、拡幅して杼道形成手段に導くたて糸供給
工程を含む方法からなる(製造方法−3)。
【0068】また、上記各製造方法を組み合わせること
もできる。たとえば、製造方法−1のよこ糸供給工程お
よび製造方法−2または製造方法−3のたて糸供給工程
を含む、補強織物の製造方法としてもよい。
【0069】また、本発明に係る製造方法においては、
織物に製織した後にも、織糸の開繊を付加してもよい。
すなわち、本発明の補強織物の製造方法は、たて糸とよ
こ糸の少なくとも一方に実質的に撚りがない強化繊維マ
ルチフィラメント糸を用いて補強織物を製織した後、織
物を案内する手段の揺動によりたて糸および/またはよ
こ糸を集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜80
0mmの範囲となるように開繊、拡幅する方法からなる
(製造方法−4)。
【0070】また本発明の補強織物の製造方法は、たて
糸とよこ糸の少なくとも一方に実質的に撚りがない強化
繊維マルチフィラメント糸を用いて補強織物を製織した
後、流体噴射手段からの噴射流体によりたて糸および/
またはよこ糸を集束性がフックドロップ値FD(15)で2
0〜800mmの範囲となるように開繊、拡幅する方法
からなる(製造方法−5)。流体噴射手段を織物面に並
行に揺動すると、さらに開繊、拡幅効果を高めることが
できる。
【0071】上記のような各製造方法は、以下のような
製造装置を用いて実施できる。すなわち、本発明に係る
補強織物の製造装置は、製織装置の主軸と連動して回転
し、集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜800
mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マルチフィ
ラメント糸からなるよこ糸を巻回したボビンからよこ糸
を横取り解舒する引取りローラと、たて糸に対する1回
のよこ糸供給に必要な長さのよこ糸を保留しつつたて糸
間に供給するよこ糸保留手段とを含むよこ糸供給手段を
備えたものからなる(製造装置−1)。
【0072】また、本発明に係る補強織物の製造装置
は、集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜800
mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マルチフィ
ラメント糸からなる複数本のたて糸に開閉運動を付与す
る綜絖を含むたて糸供給手段を備えたものからなる(製
造装置−2)。
【0073】また、本発明に係る補強織物の製造装置
は、たて糸を揺動させてその集束性がフックドロップ値
FD(15)で20〜800mmの範囲となるように開繊、
拡幅するたて糸開繊、拡幅手段と、このたて糸開繊、拡
幅手段から送り出されてくる各たて糸に開閉運動を付与
する綜絖とを含むたて糸供給手段を備えたものからなる
(製造装置−3)。
【0074】上記各製造装置の構成は、適当に組み合わ
せることができる。すなわち、製造装置−1のよこ糸供
給手段と製造装置−2または製造装置−3のたて糸供給
手段とを備えた補強織物の製造装置とすることができ
る。
【0075】さらに、本発明に係る補強織物の製造装置
は、たて糸とよこ糸の少なくとも一方に実質的に撚りが
ない強化繊維マルチフィラメント糸を用いて製織された
補強織物の、たて糸および/またはよこ糸を集束性がフ
ックドロップ値FD(15)で20〜800mmの範囲とな
るように開繊、拡幅する手段を備えたものからなる(製
造装置−4)。
【0076】上記各装置において、製織前のたて糸開
繊、拡幅装置としては、前記ガイドをたて糸配列方向に
揺動する機構を付加したもの等が挙げられる。また、製
織後の開繊、拡幅手段としては、織物案内手段をたて糸
配列方向に揺動する手段、あるいは、開繊、拡幅のため
の流体(たとえばエア)を噴射する流体噴射手段が挙げ
られる。
【0077】
【実施例】以下に、本発明の望ましい実施例を、図面を
参照して説明する。図3ないし図7は本発明の一実施例
に係る補強織物の製造装置を示しており、炭素繊維糸か
らなる織糸を用いて炭素繊維補強織物を製織する装置を
示している。本実施例装置で用いている炭素繊維マルチ
フィラメント糸は、集束性がフックドロップ値で本発明
で特定した範囲内の、実質的に撚りがないものである。
この装置は、よこ糸供給装置として、ボビン1、引取り
ローラ3、テンション装置4、ガイドローラ5〜7、板
バネテンション装置8、押板ガイド9及びレピア11等
を備えており、たて糸供給装置として、クリール20、
コーム21、水平ガイド22、綜絖23及び筬24を備
えている。
【0078】先ず、よこ糸供給装置を説明すると、ボビ
ン1は、多数の炭素繊維からなる炭素繊維マルチフィラ
メント糸であるよこ糸Twfが巻回され、よこ糸Twf
はテンションローラ2を経て引取りローラ3に案内さ
れ、引取りローラ3の回転により一定速度で横取り解舒
される。
【0079】ここで、テンションローラ2は、ボビン1
からよこ糸Twfを解舒するときは上方に位置し、引取
りローラ3の回転が停止すると自動的に下方に下がると
共に、ブレーキが働いてボビン1の惰性回転が停止す
る。また、引取りローラ3は、この製織装置の主軸26
と連動して回転し、主軸26は駆動モータ25によって
回転する。よこ糸Twfの解舒速度は、すなわち引取り
ローラ3の表面速度は、織機の回転数(rpm)と1回
転に必要なよこ糸長さ(m)が判れば容易に決めること
ができる。
【0080】よこ糸Twfやたて糸Twrとなる炭素繊
維マルチフィラメント糸は、炭素繊維の数が3,000
〜6,000本で、実質的に撚りがなく、フックドロッ
プ値FD(15)が20〜800mmで、予めサイジング剤
などで扁平状に形態保持されて一定のトラバース幅で円
筒状の管であるボビン1や後述するクリール20のボビ
ン20a、20bに巻かれている。
【0081】本実施例では、炭素繊維マルチフィラメン
ト糸は、繊度が1,500〜4,000デニールのもの
を使用している。
【0082】引取りローラ3から引き出されたよこ糸T
wfは、テンション装置4のガイド4aを経て、水平ガ
イドローラ5、垂直ガイドローラ6、水平ガイドローラ
7に案内されて板バネテンション装置8へと導かれる。
【0083】それぞれのガイドローラ5〜7は、直径が
10〜20mm程度で、長さが100〜300mm程度
のベアリングを内蔵した回転方式が好ましい。直径があ
まりにも小さいとよこ糸Twfを構成する炭素繊維マル
チフィラメント糸が屈曲して単糸切れを起こし易く、ま
た、直径が20mm以上になると回転の惰性が大きくな
って始動、停止時の張力変動が大きくなる問題がある。
【0084】また、それぞれのガイドローラ5〜7の長
さは、通過するよこ糸Twfが左右または上下方向に移
動してガイドローラ5〜7を支持する支持部に接触しな
い長さが必要である。よこ糸Twfがガイドローラ5〜
7の支持部に接触すると、開繊、拡幅しにくくなる。
【0085】水平ガイドローラ5およびガイドローラ7
は、案内するよこ糸Twfの高さ方向の位置を決め、垂
直ガイドローラ6はよこ糸Twfの水平方向の位置を決
める。したがって、ガイドローラは、少なくとも水平方
向と垂直方向のものが、それぞれ交互に配置されていれ
ばよい。
【0086】このとき、水平ガイドローラ5と垂直ガイ
ドローラ6との間および垂直ガイドローラ6と水平ガイ
ドローラ7との間で、よこ糸Twfの扁平面を90°捩
じる。このため、ガイドローラ5、6間及びガイドロー
ラ6、7間の距離は、よこ糸Twfの幅によって異なる
が、50mm以上離す必要がある。ガイドローラ間の距
離が50mmより小さいと、よこ糸Twfが捩じれたま
ま垂直ガイドローラ6や水平ガイドローラ7を通過して
織り込まれてしまう。また、短い距離でよこ糸を90°
捩じると、織糸の両端部に張力が加わり、毛羽が発生す
る。
【0087】ガイドローラ5〜7は1本であってもよい
が、それぞれ2本の組にしてよこ糸TwfをS字状に通
過させると、よこ糸Twfに作用する張力が安定し、よ
こ糸Twfの位置決めを確実に行うことができる。
【0088】テンション装置4は、後述するレピア11
による間欠的なよこ糸Twfの挿入に際し、引取りロー
ラ3によって一定速度で解舒されるよこ糸Twfの引取
りローラ3と水平ガイドローラ5間における弛みをスプ
リング4bで吸収させて、よこ糸Twfを常に緊張させ
ておくものである。よこ糸Twfは、スプリング4bで
緊張させておかないと、弛んだ際に捩じれてしまい、捩
じれたままガイドローラ5〜7を通過して織り込まれて
しまう問題が起こる。そして、スプリング4bの下端に
設けたガイド4aは、炭素繊維糸の扁平面が水平に案内
されるように、横長に配置しておく。
【0089】よこ糸Twfを緊張させておくその他の方
法としては、エアの吸引による方法があるが、この方法
では吸引中によこ糸Twfが捩じれてしまう問題があ
る。また、重りによるよこ糸Twfの緊張方法では、張
力変動が大きくなり過ぎ、よこ糸Twfを構成する炭素
繊維が損傷する問題があり、前記スプリングによる方法
が最も簡単で、確実である。
【0090】更に、よこ糸Twfの水平ガイドローラ7
の下流側には、よこ糸Twfの張力を均一にさせるテン
ション装置8が配置されている。このテンション装置8
は、幅の広い2枚の板バネ8a、8bでよこ糸Twfを
挟み込むことにより、よこ糸Twfの張力を均一に保持
するものである。
【0091】本発明の補強織物の製造装置のよこ糸Tw
f供給方法においては、原理的には、垂直ガイドローラ
6によりよこ糸Twfの糸道を決めているが、張力変動
やレピア11への引っ掛け動作によりよこ糸Twfの糸
道が変わることがある。したがって、よこ糸Twfが幅
方向に移動してもよこ糸Twfの端部と干渉する物がな
いことが必要であり、そのために幅の広い板バネ8a、
8bを備えたテンション装置8を用いる。板バネ8a、
8bの幅としては、よこ糸Twfの糸幅の5倍以上あれ
ばよい。
【0092】押し板ガイド9は、板バネテンション装置
8のよこ糸Twfの下流側に配置されており、先端にV
字形のガイド面9aが形成された板である。このガイド
9は、レピア11への給糸と連動して、織機の回転が伝
達されるカム機構を利用して図4に矢印で示した前後方
向に駆動される。
【0093】また、押し板ガイド9の下流側近傍には、
糸端把持ガイド10が配置されている。糸端把持ガイド
10は、図6に示すように、L字形の受け部材10aと
図示しない駆動手段によって上下方向に駆動される押圧
部材10bとを有している。このガイド10は、レピア
11へのよこ糸Twfの給糸が完了するまでの間押圧部
材10bが下降して、よこ糸Twfを受け部材10aに
押しつけて糸端を把持している。
【0094】したがって、よこ糸Twfは、押し板ガイ
ド9が矢印方向に押し出されて扁平面がV字形のガイド
面9aの斜面に案内されて下降すると共に、糸端把持ガ
イド10も下降し、扁平形態が潰れずにレピア11の先
端を横切る結果、図7に示すようなレピア11の爪11
aに具合良く引っ掛けられる。
【0095】ここで、通常、よこ糸Twfは、糸端把持
ガイド10とガイド孔を有する給糸ガイドとによって、
よこ糸Twfがレピア11を斜めに横断するように待機
させておき、レピア11が給糸位置に到達したときに、
両ガイドを下降させてレピア11の爪11aによこ糸T
wfを引っ掛けさせている。
【0096】しかし、レピア11への給糸に際して通常
の給糸ガイドを用いると、よこ糸Twfが扁平な炭素繊
維マルチフィラメント糸の場合に、前記ガイド孔でよこ
糸Twfが擦られて扁平形態が潰れてしまう。このた
め、本発明の装置では、板バネテンション装置8と糸端
把持ガイド10との間に押し板ガイド9を設け、レピア
11への給糸時に糸端把持ガイド10を下降させると共
に、押し板ガイド9を前進させることにより、織機の後
方によこ糸Twfを押し付けてレピア11に対して横切
るようにしたのである。
【0097】次いで、レピア11が図3において右側方
向に移動する際、よこ糸Twfをレピア先端の爪11a
に引っ掛け、押え具11bで押さえて把持する。レピア
11は、図3に示したように、後述する筬24の近傍に
配置される長手状の部材で間欠的に横方向に作動して、
よこ糸Twfを多数のたて糸Twr間に挿入するもので
ある。レピア11は、図4及び図5に示すように、アー
ム27a〜27dを有するリンク手段27を介して伝達
される駆動モータ25からの駆動力によって間欠作動す
る。レピア11は、図7に示すように、扁平なよこTw
fを引っ掛ける爪11aが先端に設けられ、爪11aの
近傍には押え具11bが取付けられている。
【0098】また、レピア11で扁平なよこ糸Twfを
把持する方法として、図8に示すように、レピア11の
先端に導かれたよこ糸Twfの端部を挟み具12で挟ん
で把持させることにより、ほとんど扁平状態を潰すこと
なくよこ糸挿入を達成することができる。
【0099】実施例の炭素繊維補強織物の製造装置にお
いては、以上のようなよこ糸供給装置のよこ糸供給工程
により、ボビン1に巻回されたよこ糸Twfが、引取り
ローラ3によって一定速度で解舒され、レピア11の間
欠的なよこ糸挿入の際の弛みがテンション装置4のスプ
リング4bで吸収される。
【0100】そして、ボビン1から横取り解舒されたよ
こ糸Twfは、ガイドローラ5〜7で案内されると共
に、板バネテンション装置8で均一な張力に保持されな
がら、押し板ガイド9と糸端把持ガイド10との協働に
より、レピア11の爪11aに引っ掛けられ、図3に示
す多数のたて糸Twr間に挿入される。このため、炭素
繊維マルチフィラメント糸からなるよこ糸Twfは、捩
じれたり、扁平形態が潰されることなく織り込まれる。
このような織糸の扁平形態を維持することにより、目標
とする織糸のフックドロップ値が容易に得られる。ただ
し、本発明においては、織糸は必ずしも扁平である必要
はないが、フックドロップ値を所定範囲にした開繊、拡
幅された織糸においては、多かれ少なかれ扁平形態とな
ることが多い。
【0101】次に、たて糸供給装置について説明する
と、クリール20は、多数のボビン20aが回転自在に
支持され、各ボビン20aには、よこ糸供給装置のボビ
ン1と同様に、扁平な炭素繊維マルチフィラメント糸か
らなるたて糸Twrが巻回され、たて糸Twrは、横取
り解舒された後、コーム21、水平ガイド22、綜絖2
3及び筬24を経て織前へ導かれる。
【0102】ここで、ボビン20aからのたて糸Twr
の解舒速度は、よこ糸Twfに比べて極端に遅く、一定
の速度でよいから、ボビン20aは軽いブレーキ付きで
あればよい。
【0103】コーム21は、上下に配置された支持枠2
1a、21a間に織物のたて糸Twrの間隔と同じ間隔
に複数のワイヤ21bを上下方向に設けたものを多数連
結したもので、ワイヤ21b、21b間にたて糸Twr
を1本ずつ通すことにより、多数のたて糸Twrを水平
方向に対して位置決めし、たて糸Twrを所望の密度に
引き揃える。
【0104】ここにおいて、ワイヤ21bは、クリール
20のボビン20a、20bから供給されるたて糸Tw
r(本実施例では扁平なたて糸)が支持枠21a、21
aと接触せず、たて糸Twrの扁平面がワイヤ21bの
みと接触するよう、所定の長さにする必要がある。ワイ
ヤ21bの長さが所定長さ以下であると、たて糸Twr
が潰れてしまう。ワイヤ21bの最適な長さは、クリー
ル20の高さと、クリール20からコーム21ならびに
水平ガイド22までの距離によって決まるが、300m
m程度の長さが必要である。
【0105】これらは、たて糸Twrの扁平形態を潰さ
ないための構造であるが、たて糸Twrが扁平形態をも
たずに所望の開繊、拡幅形態とされる場合には、上記の
ようなワイヤ21bのみへの接触構造等は必ずしも必要
ではない。
【0106】水平ガイド22は、2本のガイドバー22
aを有し、ボビン20aから解舒されたたて糸Twrを
2本のガイドバー22aにS字状に巻回して、上下方向
の位置を規制する。ここで、たて糸Twrは、コーム2
1と水平ガイド22との間で扁平面を90°、つまりた
て糸配列方向に捩じられる。このため、コーム21と水
平ガイド22との間隔は、たて糸Twrの幅によって異
なるが、50mm以上離す必要がある。コーム21と水
平ガイド22との間隔が、50mm以下であるとたて糸
Twrが捩じれたまま水平ガイド22を通過して織り込
まれてしまう。この構造も、本実施例ではたて糸Twr
に扁平糸を用いたための構造であり、たて糸Twrが扁
平形態をもたない場合には必ずしも必要ではない。
【0107】この時、複数本の水平ガイドバー22aの
うち、1本のガイドバーを水平方向に(図3の矢印方向
に)揺動させることによって、たて糸Twrを開繊、拡
幅することができる。ガイドバー22aに扁平なたて糸
TwrをS字状に巻回することによって、ガイドバー2
2aに接するたて糸Twrの内面と外面との糸長差が発
生し、内面の繊維は弛み、外面の繊維が引っ張られてい
るので、これを水平方向つまり糸の幅方向に揺動させる
ことによって、たて糸が開繊し幅が広くなるのである。
たて糸の内面と外面との糸長差を大きくする意味合いか
ら、ガイドバー22aの直径はできるだけ小さい方がよ
いが剛性も必要なので、鋼製で15〜40mm程度であ
る。また、ガイドバー22aの揺動速度は、0.5〜1
0回/秒、振幅は3〜10mm程度である。揺動速度が
10回/秒以上、振幅が10mm以上になると、ガイド
バー22aに炭素繊維が擦れて毛羽が発生して好ましく
ない。また、揺動速度が0.5回/秒以下、振幅が3m
m以下であると、十分にたて糸Twrが開繊しなく、幅
が広くならない。
【0108】複数本の水平ガイドバー22aの揺動運動
で炭素繊維糸を開繊、拡幅する場合、織物がこれらガイ
ドバー22aでニップされて、毛羽が発生しないよう
に、各々のガイドバー22aをある程度離れさせてお
く。水平ガイドバー22aが2本の場合、1本を静止さ
せて他の1本を揺動させる。また、互いのバーの運動方
向が逆になるように2本とも揺動させてもよい。3本の
場合、真ん中のガイドバーを揺動させ、また、真ん中の
ガイドバーと他のバーの運動方向が逆になるように3本
とも揺動させてもよい。また、これらガイドバーはたて
糸Twrの走行によって回転できるようにしてもよい
し、回転を止めておいてもよい。
【0109】なお、本説明では、ガイドバー22aにた
て糸Twrの上下方向の位置の規制と揺動運動によるた
て糸Twrの開繊、拡幅の機能を持たせたが、たて糸T
wrの上下方向の位置規制のためのガイドバー22a
と、このガイドバー22aと綜絖23との間にたて糸T
wrの開繊、拡幅のための揺動するガイドバーを別に設
けてもよい。
【0110】綜絖23は、各たて糸Twrに一つずつ配
置されており、水平ガイド22で上下方向の位置が位置
決めされた各たて糸Twrを筬24へ案内するが、図示
しない駆動手段によって昇降され、筬24の下流側の多
数のたて糸Twr間によこ糸Twfを通す杼道を形成す
る。
【0111】ここで、従来の綜絖においては、メールは
隣接する糸と綜絖との間における干渉を少なくする目的
で縦長形状になっている。しかし、このように縦長形状
のメールに本実施例の如き扁平な糸を通すと、扁平形状
が潰され扁平形状を維持して製織することが出来ない。
したがって、綜絖23は、メール23aの形状を横長に
形成することが好ましく、メール23aの横方向の長さ
は、たて糸Twrとして用いる炭素繊維マルチフィラメ
ント糸の糸幅と同等または若干長く設定する。メール2
3aの形状としては、矩形あるいは横長楕円が好まし
い。
【0112】筬24は、クリール20に設けた多数のボ
ビン20aから解舒された多数のたて糸Twrを所定の
密度に配列させると共に、杼道に通されたよこ糸Twf
を織前へ押し付けるもので、フレーム24aに多数の筬
羽24bが上下方向に配置されている。筬24は、図5
に示すように、駆動モータ25の回転が伝達されるカム
28によって、図5に矢印で示すたて糸Twrの走行方
法に往復動され、これによりよこ糸Twfを織前へ押し
付ける。
【0113】ここにおいて、たて糸Twrは、張力をで
きるだけ低く設定することが望ましい。これは、綜絖2
3に案内されてくるたて糸Twrの筬24の横方向の位
置が僅かにずれて筬羽24bと接触しても、たて糸Tw
rの張力が低いと扁平形状が潰されることがなく、ま
た、綜絖23が揺れてたて糸Twrの位置がずれ、たて
糸Twrがメール23aの片側に寄っても扁平形状が潰
されることがないからである。
【0114】上記たて糸供給装置においては、以下の工
程に従ってたて糸Twrが所望の密度に引き揃えされる
と共に、よこ糸供給装置から送られてくるよこ糸Twf
が織前に押し付けされ、炭素繊維補強織物が製織され
る。
【0115】まず、クリール20に設けた多数のボビン
20aのそれぞれからたて糸Twrが横取り解舒され
る。各たて糸Twrは、コーム21で水平方向の位置が
位置決めされた後、90°捩りを付与されて水平ガイド
22へと導かれる。
【0116】水平ガイド22へ導かれた多数のたて糸T
wrは、上下方向の位置がガイドバー22a、22aに
よって位置決めされた後、図示しない駆動手段によって
昇降される各綜絖23に1本おきに案内され、筬24の
下流側の多数のたて糸Twr間によこ糸Twfを通す杼
道が形成される。このようにしてクリール20の多数の
ボビン20aから解舒された多数のたて糸Twrは、筬
24で所定密度に配列され、織前へと案内される。
【0117】そして、綜絖23によって杼道が形成され
たときに、レピア11の間欠作動により多数のたて糸T
wr間によこ糸Twfが挿入され、挿入されたよこ糸T
wfは筬24によって織前へ押し付けられ、図3に示す
ように、炭素繊維補強織物が製織されていく。このたて
糸供給工程により、各Twrは等間隔でシート状に揃え
られ、安定した製織が可能になる。
【0118】次に、上記のような炭素繊維補強織物の製
織後における織糸の開繊、拡幅方法について説明する。
たて糸Twrとよこ糸Twfの少なくとも一方が撚りの
ない炭素繊維マルチフィラメント糸で、配列されたたて
糸Twr間によこ糸Twfが挿入され、挿入されたよこ
糸Twfは筬24によって織前へ押し付けられ、炭素繊
維補強織物が製織され、巻取ロール30で巻き取られク
ロスビーム31に巻かれる。この巻取ロール30とクロ
スビーム31間に、織物面に並行に小径ローラ32a、
32b(織物案内手段32)を取り付けて織物をこの小
径ローラ32a、32bにS字状に巻回し、小径ローラ
を織物面の方向に揺動運動させて、織物に揺動運動を与
える。この揺動する小径ローラは少なくとも1本取り付
けることが必要であり、小径ローラが1本の場合、小径
ローラの前後にガイドバーを取り付けて織物をローラに
S字状に巻回し、小径ローラを揺動運動させて、織物に
揺動運動を与えたて糸Twrおよびよこ糸Twfを開
繊、拡幅することができる。小径ローラに織物をS字状
に巻回することによって、ローラに接する織糸の内面と
外面との糸長差が発生し、内面の繊維は弛み、外面の繊
維が引っ張られているので、これを揺動させることによ
って、織物のたて糸Twrおよびよこ糸Twfが開繊し
幅が広くなるのである。
【0119】内面と外面との糸長差を大きくする意味合
いから、小径ローラの直径はできるだけ小さい方がよい
が剛性も必要なので、鋼製で15〜40mm程度であ
る。また、小径ローラの揺動速度は、0.5〜10回/
秒以上、振幅は3〜10mm程度である。揺動速度が1
0回/秒以上、振幅が10mm以上になると、小径ロー
ラに炭素繊維が擦れて毛羽が発生して好ましくない。ま
た、揺動速度が0.5回/秒以下、振幅が3mm以下で
あると、十分に織糸が開繊しなく、幅が広くならない。
【0120】なお、小径ローラ32a、32bを織物面
に並行に、かつよこ糸Twfの延在方向に取り付ける
と、特にたて糸Twrの開繊、拡幅に効果がある。ま
た、織物面に並行に、かつよこ糸Twfに対して斜め、
たとえば45度の方向に取り付けるとたて糸Twrおよ
びよこ糸Twfを同時に開繊、拡幅することができる。
【0121】複数本の小径ローラ32a、32bの揺動
運動で炭素繊維糸を開繊、拡幅する場合、織物がこれら
小径ローラ32a、32bやガイドバーでニップされて
毛羽が発生しないように、各々の小径ローラ32a、3
2bがガイドバーをある程度離れさせておく。小径ロー
ラが2本の場合、1本を静止させて他の1本を揺動させ
る。また、互いの小径ローラの運動方向が逆になるよう
に2本とも揺動させてもよい。3本の場合、真ん中の小
径ローラを揺動させ、また、真ん中の小径ローラと他の
小径ローラの運動方向が逆になるように3本とも揺動さ
せてもよい。また、これら小径ローラは織物の走行によ
って回転できるようにしておくと、織物の目ずれが発生
しないので好ましい。
【0122】次に、補強織物織糸の別の開繊、拡幅方法
について説明する。但し、本実施例では、上述の方法と
ともに適用されている。織前と巻取ロール30間または
巻取ロール30とクロスビーム31間に、織物面に並行
配列している多数のノズル孔を有するノズル装置33を
取り付け、織物に流体を噴射することによって織物のた
て糸Twrおよびよこ糸Twfを開繊、拡幅することが
できる。流体は空気または水であってよいが、空気の場
合は流体の質量が小さいので、開繊、拡幅効果を上げる
意味合いから、ノズル孔を極力織物面に近づけて噴射す
る必要がある。好ましくは1〜5mm程度で、あまり近
づけると、製織中の張力変動やトラブル処理作業時にノ
ズル装置33が織物に接触するので好ましくない。5m
m以上になると織物面に到達する前に空気流の圧力が低
下し開繊、拡幅効果が低下する。本発明に用いるノズル
装置33はノズル孔が0.1〜0.7mm、ノズルのピ
ッチが2〜10mm程度で、噴射圧力は4〜15kg/
cm2 程度である。また、流体が水の場合はノズル孔は
0.05〜0.5mm、ノズルのピッチが0.5〜5m
m程度で、噴射圧力は2〜6kg/cm2 程度である。
織物面からのノズル孔の距離は、空気に比べて水の質量
は大きいので、それほど近づける必要はなく、5〜30
cm程度離れていればよい。
【0123】ノズルがよこ糸配列方向に配列したノズル
装置33を静止して流体を噴射することによって、特に
織物のよこ糸が開繊、拡幅される。また、ノズル装置3
3をよこ糸配列方向に揺動させると、織物のたて糸Tw
rとよこ糸Twfが同時に開繊、拡幅されるので効率が
よい。この場合の揺動の速度は1〜30回/秒、揺動の
振幅は3〜20mm程度である。
【0124】なお、ノズルからの流体の噴射流により織
物面がノズル位置から離れ、織物のたて糸およびよこ糸
が開繊、拡幅効果を低下させることがあるが、この場合
は織物を挟んでノズルの反対側にメッシュ金網を設置
し、織物を金網に接触させてノズルと織物の間隔を保つ
ようにするとよい。また、目ずれしやすい織物の場合
は、メッシュ金網のかわりにスリット付きロールを設置
し、このスリットに噴射された流体が通るようにすると
よい。
【0125】また、サイジング剤の状態がたて糸や、織
物のたて糸およびよこ糸の織糸の開繊状態に影響するの
で、たて糸や織物を40〜80℃に加熱して開繊する
と、サイジング剤が軟らかくなり、強化繊維のフィラメ
ントの接着が弱くなるので、開繊効果をさらに高め、織
糸が拡幅し、カバーファクターの大きな織物が得られ
る。
【0126】上記織物織糸の開繊、拡幅は小径ローラに
よる揺動法とノズルによる流体噴射法がそれぞれ単独で
あってもよいが、本実施例の如くこれらを併用して用い
ることもできる。また、上記に説明した織物織糸の開
繊、拡幅方法は、織機のオンライン上で行う場合につい
て説明したが、一旦巻き取られた織物に対し別のライン
で行ってもよい。
【0127】なお、ガイドバーによるたて糸の開繊、拡
幅や織物の織糸の開繊、拡幅の方法によって、織物のた
て糸およびよこ糸の開繊、拡幅の程度が異なり、フック
ドロップ値も異なることがあるが、本発明においては、
たて糸およびよこ糸のフックドロップ値FD(15)が20
〜800mmの範囲であればよい。
【0128】また、本発明の補強織物の製造方法によれ
ば、たとえ、糸間隔が糸幅より大きくなって、空隙の大
きな織物になったとしても、ローラを織物のよこ糸方向
に揺動運動させながら織物を揺動させることによって、
またノズル装置から流体を織物に噴射し、織物のたて糸
及びよこ糸を開繊、拡幅することができるので、非常に
カバーファクターの織物が安定して得られる。また、ノ
ズル装置を織物面に並行に揺動運動させたり、たて糸及
びよこ糸が、フックドロップ値FD(15)が20〜800
mmの炭素繊維糸からなる織物であれば、よりたて糸及
びよこ糸の開繊、拡幅効果を上げることができる。
【0129】上記のように、本発明の補強織物の製造方
法及び製造装置においては、繊度の大きい、フックドロ
ップ値が特定の範囲の、実質的に撚りがない炭素繊維マ
ルチフィラメント糸からなるたて糸及びよこ糸が、開
繊、拡幅されやすい状態を維持して薄く繊維密度が均一
な補強織物に製織され、図9に示すように、たて糸Tw
rとよこ糸Twfが交錯した部分におけるクリンプの発
生も殆ど見られなかった。ここで、図9は、製織された
炭素繊維織物の断面を拡大したもので、たて糸とよこ糸
となる炭素繊維糸は実際のものよりも誇張してモデル的
に表現してある。
【0130】なお、本発明に係るサンドイッチ構造体の
実施態様およびその製造方法は、前述したとおりであ
る。
【0131】以下に、本発明のより具体的な実施例につ
いて説明する。 実施例1−実施例織物1 単糸径が7ミクロン、単糸数が3,000フィラメン
ト、引張強度が360kgf/mm2 、引張弾性率が2
3.5×103 kgf/mm2 、サイジング付着量が
1.0重量%、撚数が0.5回/m、フックドロップ値
FD(15)が54mm(FD(30)で130mm)の炭素繊
維糸(東レ(株)社製トレカT300−3K(繊度1,
800デニール))を使用して、たて糸およびよこ糸
を、解舒撚がかからないように横取り解舒しながら、た
て糸およびよこ糸の密度が4.8本/cmの平織組織
で、目付が192g/m2 の実施例織物1を製織した。
得られた織物のカバーファクターおよび織物から撚が入
らないように織糸をほぐし、測定したたて糸およびよこ
糸の撚数およびフックドロップ値の各々を表1に示し
た。
【0132】また、この織物にエポキシ樹脂を含浸させ
たプリプレグのカバーファクターおよび観察結果、およ
びこのプリプレグをハニカムの両面に各々3枚ずつ積層
して、プリプレグの樹脂の硬化とハニカムとの接着を同
時に行い、硬化したCFRP表皮層のボイド観察結果を
併せて表1に示した。
【0133】
【表1】
【0134】実施例2−実施例織物2 実施例1において、たて糸を直径27mmの3本の水平
バーにS字状に巻回し、中央の水平バーを振幅が5m
m、振動回数を5回/秒として揺動させて、その他は実
施例1と同じ条件で実施例織物2を作製し、各々の測定
値を表1に示した。
【0135】実施例3−実施例織物3 実施例1において、製織された織物を、織機に取り付け
た小径の2本の回転ローラにS字状に巻回し、後方のク
ロスビーム側の回転ローラを振幅が5mm、振動回数を
5回/秒として揺動させて実施例織物3を作製し、各々
の測定値を表1に示した。
【0136】実施例4−実施例織物4 実施例3の方法に、さらに織機上で付けられ織物面に並
行によこ糸方向にノズル孔が配列しているノズル装置を
取り付け、ノズル孔が0.3mm、ノズルのピッチが
1.0mmで、噴射圧力が7kg/cm2 の条件で、エ
アージェットを織物に噴射して、実施例織物4を作製
し、各々の測定値を表1に示した。
【0137】実施例5−実施例織物5 実施例2のたて糸揺動、実施例3の織物揺動および実施
例4のエアージェットの方法を全て取り入れた方法によ
り実施例織物5を作製し、各々の測定値を表1に示し
た。
【0138】実施例6−実施例織物6 実施例織物1に、織物面に並行によこ糸方向にノズル孔
が配列しているノズル装置を取り付け、ノズル孔が0.
13mm、ノズルのピッチが0.6mmで、噴射圧力が
4kg/cm2 の条件で、ウォータジェットを織物に噴
射して、実施例織物6を作製し、各々の測定値を表1に
示した。上記実施例織物1〜6およびそのプリプレグで
は、織糸は全体的に均一に拡がり、撚りによる集束部は
観察されなかった。
【0139】比較例1−比較例織物1 実施例1と同じ炭素繊維糸を使用し、通常の方法、すな
わちたて糸およびよこ糸を、たて取り解舒しながら、た
て糸およびよこ糸の密度が4.8/cmの平織組織で、
目付が192g/m2 の比較例織物1を製織した。得ら
れた織物のカバーファクターおよび織物から撚が入らな
いように織糸をほぐし、測定したたて糸およびよこ糸の
撚数およびフックドロップ値の各々を表1に示した。
【0140】また、この織物にエポキシ樹脂を含浸させ
たプリプレブのカバーファクターおよび観察結果、およ
びこのプリプレブをハニカムの両面に各々3枚ずつ積層
して、プリプレブの樹脂の硬化とハニカムとの接着を同
時に行い、硬化したCFRP表皮層のボイド観察結果を
表1に示した。
【0141】比較例2−比較例織物2 フックドロップ値FD(15)が32mm(FD(30)が82
mm)、それ以外は実施例1と同じ炭素繊維糸を使用
し、実施例1と同じ方法で比較例織物2を作製し、各々
の測定値を表1に示した。
【0142】比較例3−比較例織物3 比較例織物1に実施例6と同じ条件でウォータジェット
を織物に噴射して、比較例織物3を作製し、各々の測定
値を表1に示した。
【0143】比較例4−比較例織物4 フックドロップ値FD(15)が21mm(FD(30)が50
mm)、それ以外は実施例1と同じ炭素繊維糸を使用
し、実施例5と同じ方法で比較例織物4を作製し、各々
の測定値を表1に示した。比較例織物1〜4およびその
プリプレグでは、撚りによる部分的な集束部が織物の全
面に観察された。
【0144】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の補強織物
によるときは、フックドロップ値が特定の範囲の実質的
に撚りがない、開繊、拡幅された強化繊維マルチフィラ
メント糸を織糸としているので、繊度の大きい織糸を用
いても、樹脂含浸性が極めて良好で、かつ織糸のクリン
プの極めて小さい織物とすることができ、安価で高い強
度特性を発揮し得る複合材料用補強基材を得ることがで
きる。
【0145】また、上記補強織物を用いることにより、
安価で高強度の複合材料形成に用いて最適なプリプレ
グ、および繊維強化複合材料を得ることができる。
【0146】また、上記補強織物を用いたFRPやプリ
プレグを使用して成形したサンドイッチ構造体は、航空
機の一次構造材にも十分に適用可能な、軽くて高剛性の
構造体とすることができる。
【0147】さらに、本発明の補強織物の製造方法およ
び製造装置によるときは、繊度の大きい強化繊維糸であ
っても、撚りが掛かることがなく、織糸の所望の開繊、
拡幅状態を維持して上記のような目標とする補強織物を
確実に製織することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)はフックドロップ値の測定装置の斜視
図、(b)は(a)の拡大部分正面図、(c)は(a)
の部分斜視図である。
【図2】本発明の一実施例に係るサンドイッチ構造体の
部分分解斜視図である。
【図3】本発明の一実施例に係る補強織物の製造装置の
斜視図である。
【図4】図3の装置におけるレピアの駆動機構を示す要
部拡大図である。
【図5】図4の一部を破断して更に詳細に示した要部拡
大図である。
【図6】図3の装置における糸端把持ガイドの拡大斜視
図である。
【図7】図3の装置におけるレピアの先端部の拡大側面
図である。
【図8】レピア先端部の他の態様を示す斜視図である。
【図9】1本の強化繊維糸からなるたて糸とよこ糸を用
いて製織された本発明の補強織物の部分縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1 ボビン(よこ糸用) 2 テンションローラ 3 引取りローラ 4 テンション装置 4a ガイド 4b スプリング 5〜7 ガイドローラ 8 板バネテンション装置(張力付与機構) 9 押し板ガイド 10 糸端把持ガイド 11 レピア 20 クリール 20a、20b ボビン(たて糸用) 21 コーム 22 水平ガイド 23 綜絖 23a メール 24 筬 25 駆動モータ 26 主軸 30 巻取ロール 31 クロスビーム 32 小径ロール(織物案内手段) 33 ノズル装置 41、42、43、44 補強織物 45 ステッチ糸 51 ハニカム体 52a、52b FRP板 101 強化繊維マルチフィラメント 102 フック 103 重り 104 上部クランプ 105 下部クランプ 106 綿糸 Twf よこ糸 Twr たて糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 D03D 47/00

Claims (29)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 集束性がフックドロップ値FD(15)で2
    0〜800mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維
    マルチフィラメント糸を織糸とする補強織物。
  2. 【請求項2】 カバーファクターが90%以上である、
    請求項1の補強織物。
  3. 【請求項3】 カバーファクターが98%以上である、
    請求項1の補強織物。
  4. 【請求項4】 織物目付が120〜220g/m2 であ
    る、請求項1ないし3のいずれかに記載の補強織物。
  5. 【請求項5】 平組織されてなる、請求項1ないし4の
    いずれかに記載の補強織物。
  6. 【請求項6】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が炭
    素繊維糸からなる、請求項1ないし5のいずれかに記載
    の補強織物。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし6のいずれかに記載の補
    強織物に30〜70重量%のマトリクス樹脂が含浸され
    ているプリプレグ。
  8. 【請求項8】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂また
    は熱可塑性樹脂である、請求項7のプリプレグ。
  9. 【請求項9】 前記マトリクス樹脂の硬化または固化状
    態における引張破断伸度が補強織物の強化繊維マルチフ
    ィラメント糸の引張破断伸度よりも大きい、請求項7ま
    たは8のプリプレグ。
  10. 【請求項10】 前記マトリクス樹脂が、硬化状態にお
    ける引張破断伸度が3.5〜10%の熱硬化性樹脂また
    は固化状態における引張破断伸度が8〜200%の熱可
    塑性樹脂である、請求項7ないし9のいずれかに記載の
    プリプレグ。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし6のいずれかに記載の
    補強織物を含み、かつ、30〜70重量%のマトリクス
    樹脂を含む繊維強化プラスチック。
  12. 【請求項12】 前記マトリクス樹脂が熱硬化性樹脂ま
    たは熱可塑性樹脂である、請求項11の繊維強化プラス
    チック。
  13. 【請求項13】 前記マトリクス樹脂の引張破断伸度が
    補強織物の強化繊維マルチフィラメント糸の引張破断伸
    度よりも大きい、請求項11または12の繊維強化プラ
    スチック。
  14. 【請求項14】 前記マトリクス樹脂が、引張破断伸度
    が3.5〜10%の熱硬化性樹脂または引張破断伸度が
    8〜200%の熱可塑性樹脂である、請求項11ないし
    13のいずれかに記載の繊維強化プラスチック。
  15. 【請求項15】 請求項11ないし14のいずれかに記
    載の繊維強化プラスチックを芯材の両面に接着してなる
    サンドイッチ構造材。
  16. 【請求項16】 前記芯材がハニカム体である、請求項
    15のサンドイッチ構造体。
  17. 【請求項17】 芯材に請求項7ないし10のいずれか
    に記載のプリプレグを重ね合わせ、これらプリプレグと
    芯材とを加熱下に加圧し、プリプレグの樹脂を硬化また
    は固化させてスキンを形成するとともにそのスキンと芯
    材とを接着することを特徴とする、サンドイッチ構造体
    の製造方法。
  18. 【請求項18】 配列された複数本のたて糸間によこ糸
    を供給して補強織物を製造する方法において、前記よこ
    糸として、集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜
    800mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マル
    チフィラメント糸を用い、該よこ糸をボビンから横取り
    解舒し、たて糸に対する1回のよこ糸供給に必要な長さ
    のよこ糸を保留しつつ、前記よこ糸をたて糸間に供給す
    るよこ糸供給工程を含む、補強織物の製造方法。
  19. 【請求項19】 配列された複数本のたて糸間によこ糸
    を供給して補強織物を製造する方法において、前記たて
    糸として、集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜
    800mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マル
    チフィラメント糸を用い、該複数本のたて糸をその配列
    方向に所望の密度で引き揃えた後、該たて糸を杼道形成
    手段に導くたて糸供給工程を含む、補強織物の製造方
    法。
  20. 【請求項20】 配列された複数本のたて糸間によこ糸
    を供給して補強織物を製造する方法において、前記たて
    糸として、実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメ
    ント糸を用い、該複数本のたて糸をその配列方向に所望
    の密度で引き揃えた後、該たて糸を、該たて糸を案内す
    る手段の揺動により開繊、拡幅して杼道形成手段に導く
    たて糸供給工程を含む、補強織物の製造方法。
  21. 【請求項21】 請求項18のよこ糸供給工程および請
    求項19または20のたて糸供給工程を含む、補強織物
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 たて糸とよこ糸の少なくとも一方に実
    質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を用い
    て補強織物を製織した後、織物を案内する手段の揺動に
    よりたて糸および/またはよこ糸を集束性がフックドロ
    ップ値FD(15)で20〜800mmの範囲となるように
    開繊、拡幅する、補強織物の製造方法。
  23. 【請求項23】 たて糸とよこ糸の少なくとも一方に実
    質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を用い
    て補強織物を製織した後、流体噴射手段からの噴射流体
    によりたて糸および/またはよこ糸を集束性がフックド
    ロップ値FD(15)で20〜800mmの範囲となるよう
    に開繊、拡幅する、補強織物の製造方法。
  24. 【請求項24】 前記強化繊維マルチフィラメント糸が
    炭素繊維糸である、請求項18ないし23のいずれかに
    記載の補強織物の製造方法。
  25. 【請求項25】 製織装置の主軸と連動して回転し、集
    束性がフックドロップ値FD(15)で20〜800mmの
    範囲の、実質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメン
    ト糸からなるよこ糸を巻回したボビンからよこ糸を横取
    り解舒する引取りローラと、たて糸に対する1回のよこ
    糸供給に必要な長さのよこ糸を保留しつつたて糸間に供
    給するよこ糸保留手段とを含むよこ糸供給手段を備え
    た、補強織物の製造装置。
  26. 【請求項26】 集束性がフックドロップ値FD(15)
    20〜800mmの範囲の、実質的に撚りがない強化繊
    維マルチフィラメント糸からなる複数本のたて糸に開閉
    運動を付与する綜絖を含むたて糸供給手段を備えた、補
    強織物の製造装置。
  27. 【請求項27】 たて糸を揺動させてその集束性がフッ
    クドロップ値FD(15)で20〜800mmの範囲となる
    ように開繊、拡幅するたて糸開繊、拡幅手段と、このた
    て糸開繊、拡幅手段から送り出されてくる各たて糸に開
    閉運動を付与する綜絖とを含むたて糸供給手段を備え
    た、補強織物の製造装置。
  28. 【請求項28】 請求項25のよこ糸供給手段と請求項
    26または27のたて糸供給手段とを備えた、補強織物
    の製造装置。
  29. 【請求項29】 たて糸とよこ糸の少なくとも一方に実
    質的に撚りがない強化繊維マルチフィラメント糸を用い
    て製織された補強織物の、たて糸および/またはよこ糸
    を集束性がフックドロップ値FD(15)で20〜800m
    mの範囲となるように開繊、拡幅する手段を備えた、補
    強織物の製造装置。
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