JPH0730045B2 - バルビツール酸誘導体の電気化学的製造法 - Google Patents

バルビツール酸誘導体の電気化学的製造法

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JPH0730045B2
JPH0730045B2 JP7809088A JP7809088A JPH0730045B2 JP H0730045 B2 JPH0730045 B2 JP H0730045B2 JP 7809088 A JP7809088 A JP 7809088A JP 7809088 A JP7809088 A JP 7809088A JP H0730045 B2 JPH0730045 B2 JP H0730045B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はバルビツール酸誘導体の電気化学的合成法に関
する。
〔従来の技術〕
バルビツール酸誘導体は周知のように、マロン酸と尿素
の縮合により得られるバルビツール酸の誘導体であっ
て、特にその5位の側鎖が種々の基で置換されたものは
催眠、鎮静等の作用があり、医薬として広く利用されて
いる。
従来、このバルビツール酸誘導体の製造法としては、ア
ルキルマロン酸エステルと尿素を無水エタノール中、ナ
トリウムエトキシドの存在下で煮沸して製造したり〔E.
Fischer and A.Dilthey,Anv.,335,334(1904)参照〕、
液安中ナトリウムアルコラート、水酸化ナトリウム等を
用いて室温下で反応させ製造していた〔下、若松、工
化,60,1141(1957)参照〕。
しかし、それらの方法は前者の場合には煮沸下で、又後
者の場合でも液安中というそれぞれ厳しい反応条件下で
行わなければならないという問題点があった。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明は室温下という穏やかな反応条件下に、収率よく
バルビツール酸誘導体を製造する新規な方法を提供する
ことを目的としてなされたものである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記目的を達成するため研究を重ねた結
果、各種マロン酸エステルと尿素を電解槽の陰極室に加
え、通電して反応させることにより、室温で収率よくバ
ルビツール酸誘導体が得られることを見出し、本発明を
完成した。
すなわち、本発明はマロン酸エステル誘導体に尿素又は
尿素誘導体を加え、通電することにより反応せしめるこ
とを特徴とするバルビツール酸誘導体の電気化学的製造
法を提供するものである。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のバルビツール酸誘導体の電気化学的製造法は次
の反応式に従って進行する。
式中R1,R2は直鎖又は分岐鎖アルキル基、アリル基、フ
ェニル基、ベンジル基、シクロヘキセニル基、1−メチ
ル−1−ブテニル基等よりなる群から選ばれた基を表わ
し、R3は低級アルキル基、例えばメチル、エチル、プロ
ピル基等、又はアリール基、例えばフェニル、ナフチル
基等を表わし、R4は水素又は直鎖低級アルキル基もしく
はフェニル基を表わす。
本発明で用いられる原料のマロン酸エステル誘導体とし
ては上記反応式で示したように、直鎖もしくは分岐鎖ア
ルキル基、アリール基、フェニル基、ベンジル基、シク
ロヘキセニル基、1−メチル−1−ブテニル基等の置換
基を有するマロン酸エステル誘導体が用いられる。
なお、直鎖アルキル基としては、例えばエチル、プロピ
ル、ブチル基等が好ましく、分岐鎖アルキル基としては
1−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、イソブチ
ル基、エチル−1−メチルブチル基、イソペンチル基等
が好ましい。
又、該マロン酸エステル誘導体のエステルを構成する低
級アルキル基(R3)は特にエチル基又はフェニル基等が
好ましい。
本発明のもう一方の原料である尿素類は尿素それ自体の
他、アルキル尿素、フェニル尿素等の誘導体が用いられ
る。
本発明の製造方法は原料のマロン酸エステル誘導体と尿
素又は尿素誘導体を有機溶媒及び支持電解質とともに電
解槽の陰極室に入れ、通電することにより行われる。
本発明で用いられる有機溶媒は原料のマロン酸エステル
誘導体、尿素又は尿素誘導体、及び支持電解質を溶解す
る非プロトン性の極性溶媒なら、いずれも使用できる
が、特にジメチルホルムアミド(DMF)が好ましい。
又、支持電解質としては過塩素酸テトラエチルアンモニ
ウム(TEAP)、沃素酸テトラブチルアンモニウム(TBA
I)等を用いることができる。
反応温度は、これが本発明の特徴の1つになっているの
だが、室温で充分反応がすすむ。好ましくは18〜28℃で
ある。なお、必要により他の適当な温度を選択すること
もできる。
原料のマロン酸エステル誘導体と尿素又は尿素誘導体の
量比は臨界的ではないが通常等モル、好ましくは2倍モ
ル以上で行うのがよい。
本発明の反応条件としては3〜15mA/cm2の定電流密度電
解で原料エステルに対して2〜10F/molの通電量、好ま
しくは、5〜10mA/cm2の定電流密度電解で、通電量3〜
5F/molで行なわれる。
本発明で使用する電解槽は従来から用いられている通常
の電解槽、例えばガラスフィルターを隔膜とするH型電
解セル或いは円筒型電解セル等を設けた電解槽を用いる
ことができる。
又、電極も特に制限はないが、両極とも白金電極もしく
は炭素電極等が好適に使用される。
反応終了後、目的物であるバルビツール酸誘導体は、通
常の操作、例えば溶媒除去し、再結晶、クロマトグラフ
ィー等の組合わせにより分離精製することができる。
〔実施例〕
以下実施例で本発明を具体的に説明する。
実施例1〜5 電解槽はG−3ガラスフィルター隔壁で陽極室と陰極室
を仕切り、磁気撹拌装置を設け、陽極、陰極ともに白金
電極を用い、外側から23±2℃の水で恒温にしたものを
用いた。これに陰極液としてジエチルマロン酸ジエチル
100mg(0.5m mol)、及び尿素30mg(0.5m mol)もしく
は60mg(1m mol)を0.1M-TEAPのDMF溶液10mlに溶かして
入れ、陽極液として0.1M-TEAPのDMF溶液10mlを入れて5m
A/cm2の定電流密度条件下で反応を行った。通電量はエ
ステルに対して5F/molとした。反応終了後、両極液を合
わせて中和し、溶媒は50℃で減圧留去した。残留物に酢
酸エチル10mlを加えるとTEAPが析出するので、これをろ
別し、ろ液は溶媒を減圧留去した。ここに得られた反応
生成物につきクロロホルム−メタノール(80:1)を展開
溶媒としたシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより
分離精製し、原料エステル13mg(13%)、バルビタール
58mg(71%)を得た(実施例1)。なお、比較のため上
記反応液を130℃で3時間加熱してみたが、反応は進行
しなかった。
次にジアリルマロン酸(実施例2)、エチルフェニルマ
ロン酸(実施例3)、エチル−1−メチルブチルマロン
酸(実施例4)、ベンジルエチルマロン酸(実施例5)
の各ジエチルエステルと尿素についても同様にして電解
反応を行い、それぞれ相当するバルビツール酸誘導体を
得た。結果は表1に示した。なお、得られたバルビツー
ル酸誘導体は夫々常法により化学的に合成した標品と混
融試験、IR、TLCにより同定し、確認した。
実施例6 実施例1と同じ電解槽を用い、ジエチルマロン酸ジエチ
ル100mg(0.5m mol)、フェニル尿素65mg(0.5m mol)
を0.1M-TEAPのDMF溶液10mlに溶かして陰極とし、陽極液
としては、0.1M-TEAPのDMF溶液10mlを用い、5mA/cm2
定電流密度条件下、通電量をエステルに対して5F/molと
して反応を行なった。なお、比較のためアセトニトリル
を溶媒として行ってみたが収率は3%と低く副産物も多
かった。反応終了後、両極液を合わせて中和し、溶媒は
50℃で減圧留去した。残留物にクロロホルム10mlを加
え、析出したTEAPをろ別し、ろ液は溶媒を減圧留去した
後、クロロホルムヘキサン(15:1)を展開溶媒としたシ
リカゲルカラムクロマトグラフィーに付し、さらにクロ
ロホルム−シクロヘキサン(20:1)を展開溶媒とする中
圧液体クロマトグラフィーにより分離精製した。結果は
表2に示す。
ここで得られたバルビツール酸誘導体はHelge Aspelund
らの方法〔H.Aspelund,O.Backman,Acta.Acad.Aboensis,
Math.et Phys.,14,19(1944)参照〕により合成した標
品と混融試験、TLC、IRにより同定した。
〔発明の効果〕 本発明の最大の効果は医薬品として重要なバルビツール
酸誘導体を新規電解合成法により、室温下という温和な
反応条件下で収率よく製造することを可能にした点にあ
る。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】マロン酸エステル誘導体に尿素又は尿素誘
    導体を加え、通電することにより反応せしめることを特
    徴とするバルビツール酸誘導体の電気化学的製造法。
JP7809088A 1988-04-01 1988-04-01 バルビツール酸誘導体の電気化学的製造法 Expired - Lifetime JPH0730045B2 (ja)

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