JPH07292234A - ポリカーボネート樹脂組成物 - Google Patents

ポリカーボネート樹脂組成物

Info

Publication number
JPH07292234A
JPH07292234A JP8949994A JP8949994A JPH07292234A JP H07292234 A JPH07292234 A JP H07292234A JP 8949994 A JP8949994 A JP 8949994A JP 8949994 A JP8949994 A JP 8949994A JP H07292234 A JPH07292234 A JP H07292234A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
carbon atoms
polyester
polycarbonate
ion
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP8949994A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3357741B2 (ja
Inventor
Nobuaki Kido
伸明 城戸
Shunichi Matsumura
俊一 松村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Ltd filed Critical Teijin Ltd
Priority to JP08949994A priority Critical patent/JP3357741B2/ja
Publication of JPH07292234A publication Critical patent/JPH07292234A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3357741B2 publication Critical patent/JP3357741B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 水洗によっても制電効果の低下することのな
い、永久帯電防止効果を有するポリカーボネート樹脂組
成物を提供する。 【構成】 特定のスルホン酸塩基で核置換された芳香族
残基を必須成分とし、該成分を含む特定のポリエステル
繰り返し単位と、他のポリカーボネート又はポリエステ
ル繰り返し単位のモル比が10/90〜50/50であ
る特定のポリエステル(A)5〜40重量%、特定のポ
リアルキレングリコール(B)2〜15重量%、及び特
定のポリカーボネート(C)45〜93重量%よりなる
ポリカーボネート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はポリカーボネート樹脂組
成物に関する。さらに詳しくは、スルホン酸塩基で核置
換された芳香族残基を有するポリエステル、ポリアルキ
レングリコール及びポリカーボネートからなり、永久帯
電防止能を有するポリカーボネート樹脂組成物に関す
る。
【0002】
【従来技術】ポリカーボネートは耐熱性、機械特性、成
形性、寸法安定性等の諸特性に優れ、電気電子用部材、
医療用部材、光学用部材、その他各種成形品として使用
されている。他のプラスチック同様、ポリカーボネート
も電気絶縁性が高いという特徴があるが、そのためにか
えって帯電した静電気が散逸しにくく、製品へのほこり
の付着、作業者への電撃、計器類やICチップ類の誤動
作といった問題が生じている。そのため、これまでポリ
カーボネートを含め、各種のプラスチックに対して帯電
防止グレードの研究がなされてきた。
【0003】プラスチックの帯電防止方法としては、内
部添加型と塗布型がある。塗布型では、別行程が必要で
あり、製造プロセス上は、内部添加型の方が有利であ
る。
【0004】内部添加型によるポリカーボネートの帯電
防止方法は、アルキルスルホン酸塩やアルキルベンゼン
スルホン酸塩等の低分子イオン性界面活性剤をポリマー
中に練り込む方法が、効果や経済性に優れるために一般
的に広く知られている。中でもアルキル(アリール)ス
ルホン酸塩を利用したものは数多く提案されており、効
果の大きいものとして、例えば、特開平5−22224
1号には、アルカンのセカンダリー位をスルホン酸金属
塩に置換したものが記載されている。また特開昭62−
230835号では、スルホン酸塩のうちでもホスホニ
ウム塩を利用したものが記載されている。
【0005】さらに、このようなスルホン酸塩以外の低
分子量の界面活性剤、例えば、脂肪酸エステルを利用し
たものとしては、特開昭55−4141号では脂肪酸モ
ノグリセリドの使用について、特開平2−196852
号ではジグリセリン脂肪酸エステルの使用について、特
開平2−99559号においてはグリセリン脂肪酸マレ
イン酸エステルと耐熱性向上のためのリン系酸化防止剤
との併用についてそれぞれ記載がある。しかし、こうし
た低分子量の界面活性剤を利用する方法では、帯電防止
効果は高いものの、界面活性剤が表面に染み出すため
に、拭いたり、水洗いしたりするとかかる効果が弱まる
という問題点がある。
【0006】そこで、上記欠点を解決し、ポリカーボネ
ートに永久的な制電効果を付与する方法として、i)ポ
リマーの変成による改質ポリマーを用いる方法、ii) 制
電性ポリマーをポリカーボネートに混合する方法が提案
されている。
【0007】i)ポリマーの変成によるものとしては、
特開昭63−264627号、特開昭64−14268
号に、ポリカーボネートの末端にフェノールスルホン酸
のホスホニウム塩を化学的に結合させ、永久的な帯電防
止効果を発現させる方法が記載されている。この方法で
は、たしかに永久的な制電効果があるものの、分子末端
を利用するためにポリマーを高重合度化すると効果が少
なく、制電性の末端を増加して制電効果を高めると機械
物性や耐熱性が低下するという問題がある。
【0008】他方、ii) 制電性のポリマーをポリカーボ
ネートに混合することによって帯電を防止するものに関
しては、例えば、特開昭62−273252号におい
て、ポリエーテルエステルアミドを制電性ポリマーとし
て利用する技術が開示されている。特開平5−9798
4号においては、制電性ポリマーとして、幹ポリマーが
ポリアミド、枝ポリマーがポリアルキレンエーテルとポ
リエステルとのブロックポリマーからなるグラフトポリ
マーが表面固有抵抗を減少させる効果があるとされてい
る。また特開平3−255161号においては、カプロ
ラクタム、イミド環を形成しうる多価カルボン酸成分、
有機ジイソシアネート及びポリエチレングリコールの重
合体からなる制電性ポリマーについて、さらに特開平5
−222289号においては、ポリエチレンエーテル、
イソシアネート及びグリコールからなる制電性ポリマー
の開示がある。しかし、こうした制電性ポリマーを混合
する方法は、いずれも比較的多くの量をポリカーボネー
トに混合しなければ期待する制電効果が得られないた
め、本来ポリカーボネートの有する優れた物性を損なう
ことが懸念される。また制電性ポリマー自体の耐熱性が
不足するために、ポリカーボネートと溶融混合した際に
分解するとか、制電性のポリマーは特殊なものになるた
めに、高価でコスト高になるという問題を有している。
さらに、このポリマー混合系においては、ほとんど光の
透過しない成型品しか得られないため、用途が大きく限
定されるという問題点もある。
【0009】ところで、制電性を有するポリマーとして
は、ポリアルキレングリコールが古くから知られてお
り、たとえば、合成繊維などへ混合して制電効果を高め
る方法がよく知られている。しかしながらポリカーボネ
ートを含む一般のポリマーにポリアルキレングリコール
を制電性ポリマーとして添加しても、両者の相溶性が良
好すぎるためにポリアルキレングリコール成分が一様に
分散してしまい、通常は制電効果が得られないことが知
られている。したがって、この解決策として、ヨーロッ
パ特許0555197号には、ヒドロキシ基、エポキシ
基、アミノ基といった反応性の基を有する変成ポリアル
キレングリコールを用い、それと錯体を生成しうるアル
カリ金属塩、あるいはアルカリ土類金属塩を併用するこ
とによってポリアルキレングリコールを樹脂製品へ応用
するという技術内容が開示されている。しかしながらか
かる方法は、ポリアミド樹脂や、ABS樹脂には好まし
いものの、ポリカーボネートに対してはポリアルキレン
グリコールの官能基がポリカーボネートと反応してしま
い、ポリカーボネートの耐熱性や物性を低下させ、好ま
しくないことが推察される。
【0010】さらに、制電性ポリマーとして、米国特許
4006123号及び米国特許4035346号におい
て、芳香族環をスルホン酸塩置換されたポリマー、具体
的にはスルホン酸ホスホニウム塩を分子中に有するガラ
ス転移温度が25℃以下のポリアミド、N−アルキル化
ポリエーテルエステルについての記載がある。しかし、
これらのポリマーをポリカーボネートに混合した場合、
得られるポリカーボネート樹脂組成物の耐熱性が不足す
ることは容易に予想され、良好な成型品が得にくいと考
えられる。さらに、特開平5−222190号において
は、スルホイソフタル酸構造を有するポリアミドが制電
性ポリマーとして開示されている。しかし、ポリアミド
とポリカーボネートとは相溶性が悪いこと、また、ポリ
アミドはアミン末端、カルボン酸末端を分子末端として
有しており、こうした反応性の分子末端はポリカーボネ
ートと反応して発泡を起こしやすいことが懸念され、ポ
リカーボネート樹脂に対する帯電防止用ポリマーとして
は不十分である。
【0011】以上のように永久的な帯電防止効果、良好
な物性、耐熱性、及び透明性を兼ね備えたポリカーボネ
ート樹脂組成物を得ることは非常に困難であるのが現状
である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、水洗
等によっても制電効果の低下することのない永久的な帯
電防止効果、良好な物性、耐熱性、及び透明性を兼ね備
えたポリカーボネート樹脂組成物を、工業的に有利に提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは永久的な帯
電防止性能を付与したポリカーボネート樹脂を得るべく
鋭意研究した結果、ポリカーボネートに、核スルホン化
された芳香族基を含む特定のポリエステル及びポリアル
キレングリコールを配合した組成物が、ポリカーボネー
トの持つ透明性、諸物性を損なうことなく、水洗後も安
定な制電効果を示すことを見いだし、本発明に到達した
ものである。
【0014】すなわち、本発明は、下記式(I)
【0015】
【化7】
【0016】[式(I)中、M+ は金属イオン、テトラ
アルキルホスホニウムイオン、及びテトラアルキルアン
モニウムイオンからなる群より選ばれるイオンを表す。
Arは置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族基
である。]で示されるスルホン酸塩基で置換された芳香
族残基を必須成分とし、該成分を含むポリエステル繰り
返し単位(A1 )と他のポリカーボネート又はポリエス
テル繰り返し単位(A2)との割合(A1 /A2 )がモ
ル比で10/90〜50/50であるポリエステル
(A)5〜40重量%、数平均分子量5000以上のポ
リアルキレングリコール(B)2〜15重量%及びポリ
カーボネート(C)45〜93重量%よりなることを特
徴とするポリカーボネート樹脂組成物である。
【0017】本発明の樹脂組成物を構成するポリエステ
ル(A)は、上記式(I)で表される芳香族残基を必須
成分として含んでいることが必要である。式(I)にお
いて、Arはスルホン酸塩基(−SO3 - + )で置換
された炭素数6〜12の芳香族基であり、アルキル基、
フェニル基、ハロゲン、アルコキシ基等の置換基を有し
ていてもよい。かかる芳香族残基としては、下記式(VI
I)
【0018】
【化8】
【0019】[式(VII) 中、M+ は上記式(I)中のM
+ と同じ。]で表されるものが好ましく例示できる。
【0020】上記式(I)、(VII) において、M+ は金
属イオン、テトラアルキルホスホニウムイオン、テトラ
アルキルアンモニウムイオンの中から選ばれるイオンを
表す。M+ の具体的な例としてはナトリウムイオン、カ
リウムイオン、リチウムイオン、カルシウムイオン、マ
グネシウムイオン、亜鉛イオン、テトラブチルホスホニ
ウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラ
ブチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウム
イオン等である。かかるイオンの中で金属イオンが好ま
しく、アルカリ金属イオンがより好ましい。ここで2価
のイオンの場合はかかるスルホン酸塩基中のスルホン酸
基(−SO3 - )2モルに対し、M+ イオン1モルが対
応するものとする。
【0021】本発明において用いられるポリエステル
(A)は、上記の必須成分を含むポリエステル繰り返し
単位A1 と他のポリカーボネート又はポリエステル繰り
返し単位A2 とからなる。ここでA1 とは、上記式
(I)で表される構造を分子内に有する5ーナトリウム
スルホーイソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸ないし
そのエステル誘導体と、2,2−ビス(4−ヒドロキシ
フェニル)プロパンの如き芳香族ジオール、エチレング
リコールの如きアルキレングリコール、あるいはポリエ
チレングリコールの如きポリアルキレングリコールから
溶融重合等により得られるもの、または上記式(I)で
表される構造を分子内に有する2ーナトリウムスルホー
ハイドロキノンの如き芳香族ジオールと、テレフタル
酸、イソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸から溶融重
合等により得られるものである。
【0022】またA2 とは、無置換のテレフタル酸の如
き芳香族ジカルボン酸ないしそのエステル誘導体と、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如
き芳香族ジオール、エチレングリコールの如きアルキレ
ングリコール、あるいはポリエチレングリコールの如き
ポリアルキレングリコールより得られるポリエステル、
ハイドロキノンの如き芳香族ジオールと、テレフタル
酸、イソフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸より得られ
るポリエステルのような、対応する繰り返し単位A 1
のスルホン酸塩基が置換されていないポリエステル繰り
返し単位、あるいはポリカーボネート繰り返し単位、さ
らには一部アミド結合を有する変成されたポリエチレン
テレフタレート繰り返し単位等を挙げることができる。
【0023】上記ポリエステル(A)は、スルホン酸塩
の種類にもよるが、フェノール/テトラクロロエタン
(重量比60/40)の混合溶媒中35℃で測定した還
元粘度(濃度1.2g/dl)が0.05〜1.2の範
囲内にある重合度のものが好ましく、0.07〜1.0
の範囲内にあるものがより好ましい。
【0024】上記ポリエステル(A)は、上記式(I)
で示されるスルホン酸塩基で置換された芳香族残基を必
須成分として含むポリエステル繰り返し単位(A1 )と
他のポリカーボネート又はポリエステル繰り返し単位
(A2 )よりなり、その割合(A1 /A2 )がモル比で
10/90〜50/50である。A1 /A2 が10/9
0より小さい場合には、かかるポリエステルの添加効果
が小さく、本発明のポリカーボネート樹脂組成物に均一
に分散してしまい制電効果が十分でない。また50/5
0より大きい場合には、溶融時の粘性が高くなりすぎる
ため、重合度の高いポリエステルが得にくくなる。A1
/A2 は好ましくは15/85〜40/60である。
【0025】前期ポリエステル(A)は、1種のみを用
いても2種以上を併用してもよい。
【0026】上記2つの繰り返し単位A1 、A2 からな
るポリエステル(A)は、下記式(II)
【0027】
【化9】
【0028】[式(II)中、M+ は金属イオン、テトラア
ルキルホスホニウムイオン、及びテトラアルキルアンモ
ニウムイオンからなる群より選ばれるイオンを表す。A
rは置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族基で
ある。R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素
数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6のシクロアルキル
基であり、R1 とR2 とは互いに結合していてもよい。
3 及びR4 はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキ
ル基、ハロゲン原子、フェニル基であり、m,nはそれ
ぞれ独立に0,1又は2である。]で表されるポリエス
テル繰り返し単位A1 、及び下記式(III)
【0029】
【化10】
【0030】[式(III) 中、R1 及びR2 はそれぞれ独
立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5
〜6のシクロアルキル基であり、R1 とR2 とは互いに
結合していてもよい。R3 及びR4 はそれぞれ独立に、
炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基
であり、m,nはそれぞれ独立に0,1又は2であ
る。]で表されるポリカーボネート繰り返し単位A2
から実質的になるポリエステル、すなわちポリエステル
カーボネートを好ましく例示することができる。
【0031】上記式(II)、(III) で表される繰り返し単
位A1 、A2 において、M+ は金属イオン、特にナトリ
ウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオンが
好ましく、R1 、R2 はメチル基、エチル基等の炭素数
1〜3のアルキル基が好ましく、m、nはともに0であ
ることが好ましい。
【0032】なお、該ポリエステルにおいては、その性
質を本質的に変えない範囲(例えば全体の20モル%以
下、好ましくは、10モル%以下)で、上記式(II)及び
(III) 以外の繰り返し単位を含んでもよい。その場合の
例として、スルホン酸塩を含まない下記式(VIII)で示さ
れる繰り返し単位が挙げられる。
【0033】
【化11】
【0034】[式(VIII)中、R1 , R2 , R3 , R4 ,
m, nは上記式(III) 中のR1 , R2, R3 , R4 , m,
nと同じ。Ar''はスルホン酸塩基以外で置換されて
いてもよい炭素数6〜12の芳香族基である。]上記式
(VIII)において、R1 、R2 はメチル基、エチル基等の
炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、m、nはともに
0であることが好ましい。Ar''はフェニレン基、ナフ
チレン基が好ましい。
【0035】該ポリエステルカーボネートは、スルホン
酸塩基で置換された芳香族ジカルボン酸ジアリールエス
テル、ジアリールカーボネート及びビスフェノール類を
エステル交換触媒の存在下、250℃から320℃で加
熱溶融することにより製造される。それらはスルホン酸
塩基で置換された芳香族ジカルボン酸ジアリールエステ
ルとジアリールカーボネートの割合がモル比で10/9
0〜50/50の範囲で使用される。
【0036】得られるポリエステルカーボネートの重合
度は、スルホン酸塩の種類にもよるが、フェノール/テ
トラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中3
5℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/dl)が0.
05〜1.0の範囲内にあることが好ましい。還元粘度
が0.05に満たない場合には、本発明のポリカーボネ
ート樹脂組成物が元来のポリカーボネートに比べて、使
用時に材料物性の低下が大きくなることがある。また永
久的な制電効果が十分でなく、さらに取り扱い性の悪化
を招くことがあり好ましくない。反対に1.0を超える
場合には、溶融時の粘度が高くなりすぎ、取り扱いにく
くなり好ましくない。より好ましい還元粘度は0.06
〜0.9、特に好ましくは0.07〜0.8である。
【0037】スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカル
ボン酸ジアリールエステルとしては、4ーナトリウムス
ルホーイソフタル酸ジフェニル、5ーナトリウムスルホ
ーイソフタル酸ジフェニル、4ーカリウムスルホーイソ
フタル酸ジフェニル、5ーカリウムスルホーイソフタル
酸ジフェニル、2ーナトリウムスルホーテレフタル酸ジ
フェニル、2ーカリウムスルホーテレフタル酸ジフェニ
ル、4ースルホーイソフタル酸フェニル亜鉛塩、5ース
ルホーイソフタル酸ジフェニル亜鉛塩、2ースルホーテ
レフタル酸ジフェニル亜鉛塩、4ースルホーイソフタル
酸ジフェニルテトラアルキルホスホニウム塩、5ースル
ホーイソフタル酸ジフェニルテトラアルキルホスホニウ
ム塩、4ースルホーイソフタル酸ジフェニルテトラアル
キルアンモニウム塩、5ースルホーイソフタル酸ジフェ
ニルテトラアルキルアンモニウム塩、2ースルホーテレ
フタル酸ジフェニルテトラアルキルホスホニウム塩、2
ースルホーテレフタル酸ジフェニルテトラアルキルアン
モニウム塩、4ーナトリウムスルホー2、6ーナフタレ
ンジカルボン酸ジフェニル、4ーナトリウムスルホー
2、7ーナフタレンジカルボン酸ジフェニル、4ーカリ
ウムスルホー2、6ーナフタレンジカルボン酸ジフェニ
ル、4ースルホー2、6ーナフタレンジカルボン酸ジフ
ェニル亜鉛塩といったジアリールエステルスルホン酸塩
を使用することができる。この中で、4ーナトリウムス
ルホーイソフタル酸ジフェニル、5ーナトリウムスルホ
ーイソフタル酸ジフェニル、4ーカリウムスルホーイソ
フタル酸ジフェニル、5ーカリウムスルホーイソフタル
酸ジフェニルが好ましい。これらは1種のみを用いても
2種以上を併用してもよい。
【0038】またジアリールカーボネートとしては、ジ
フェニルカーボネート、ビス(2ーメチルフェニル)カ
ーボネート、ビス(4ーメチルフェニル)カーボネー
ト、ビス(2ーメトキシフェニル)カーボネート、ビス
(4ーメトキシフェニル)カーボネート等を例示できる
が、これらの内でも特にジフェニルカーボネートが好ま
しい。
【0039】ビスフェノール類の例としては、2、2ー
ビス―(4ーヒドロキシフェニル)―プロパン、ビス―
(4ーヒドロキシフェニル)―メタン、1、1ービス―
(4ーヒドロキシフェニル)―エタン、2、2ービス―
(4ーヒドロキシフェニル)―ブタン、といったビス―
(ヒドロキシフェニル)―アルカン類、1、1ービス―
(4ーヒドロキシフェニル)―シクロヘキサンといった
ビス―(ヒドロキシフェニル)―シクロアルカン類、並
びに核アルキル化および核ハロゲン化されているそれら
の化合物が挙げられる。これらの内、最も一般的に用い
られる代表的なものは、2,2―ビス(4―ヒドロキシ
フェニル)プロパン(以下、ビスフェノールAと略
す。)である。また、上記ビスフェノール類の混合物を
用いてもよい。
【0040】これらの化合物を加熱溶融する温度として
は、初期反応として、200℃から250℃で数十分か
ら十数時間反応を行った後、反応物を高分子量化する重
合反応を250℃から320℃で行う。反応温度は27
0℃から300℃がさらに好ましい。250℃より温度
が低いと反応が進まず、320℃より温度が高いと、分
解などの副反応が起こり易くなるためである。この重合
反応の反応時間は反応温度や触媒量にもよるが、通常は
数十分から数十時間程度である。
【0041】上記の反応を行う際に使用するエステル交
換触媒としては、通常のエステル交換反応に使用できる
ものなら特に制限はない。例えば、三酸化アンチモンと
いったアンチモン化合物、酢酸第一錫、ジブチル錫オキ
サイド、ジブチル錫ジアセテートといった錫化合物、テ
トラブチルチタネートといったチタン化合物、酢酸亜鉛
のような亜鉛化合物、酢酸カルシウムといったカルシウ
ム化合物、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等のアルカリ
金属塩、及び3級アミン類等を例示することができる。
【0042】上記触媒の使用量としては、通常のエステ
ル交換反応における使用量でよく、概ね、ビスフェノー
ル類1モルに対し、0.01モル%から0.5モル%が
好ましく、0.03モル%から0.3モル%がさらに好
ましい。
【0043】また、反応時には酸化防止剤等の各種添加
剤を併用する事も好ましい。
【0044】本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構
成するポリエステル(A)としては、下記に示す共重合
ポリエステルも好ましく用いることができる。すなわ
ち、下記式(IV)
【0045】
【化12】
【0046】[式(IV)中、M+ は金属イオン、テトラア
ルキルホスホニウムイオン、及びテトラアルキルアンモ
ニウムイオンからなる群より選ばれるイオンを表す。A
rは置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族基で
ある。Xは分岐してもよい炭素数2〜12のアルキレン
基である。]で表されるポリエステル繰り返し単位
1、及び下記式(V)
【0047】
【化13】
【0048】[式(V)中、Ar’はスルホン酸塩基以
外の基で置換されていてもよい炭素数6〜12の芳香族
基である。Xは分岐してもよい炭素数2〜12のアルキ
レン基である。]で表される他のポリエステル繰り返し
単位A2 より実質的になる共重合ポリエステルを挙げる
ことができる。
【0049】上記式(IV)、(V)で表される繰り返し単
位A1 、A2 において、M+ は金属イオン、特にナトリ
ウムイオン、カリウムイオン等のアルカリ金属イオンが
好ましい。Ar’はスルホン酸塩基以外のメチル基、エ
チル基等のアルキル基、ハロゲン原子等で置換されてい
てもよい炭素数6〜12の芳香族基であり、フェニレン
基が好ましい。Xはエチレン基、テトラメチレン基等の
炭素数2〜8のアルキレン基が好ましい。また、該アル
キレン基はエーテル結合、チオエーテル結合を含んでい
てもよい。
【0050】また上記共重合ポリエステルの重合度は、
スルホン酸塩の種類にもよるが、フェノール/テトラク
ロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中35℃で
測定した還元粘度(濃度1.2g/dl)が0.05〜
1.2の範囲内にあることが好ましい。0.05に満た
ない場合には、使用時の材料物性の低下、永久的な制電
効果の低下、取り扱い性の悪化を招き、1.2を超える
場合には、溶融時の粘度が高くなりすぎ、取り扱いにく
くなり好ましくない。より好ましい還元粘度は0.06
〜0.9、さらに好ましくは0.07〜0.8である。
【0051】上記共重合ポリエステルは、従来公知のエ
ステル交換反応、あるいは直接エステル化による重合反
応により製造することができる。すなわち、スルホン酸
塩基で置換された芳香族ジカルボン酸ないしそのエステ
ル誘導体と、無置換の芳香族ジカルボン酸ないしそのエ
ステル誘導体を、アルキレングリコールと共に触媒の存
在下、220℃から300℃で加熱溶融する方法により
得ることができる。それらはスルホン酸塩基で置換され
た芳香族ジカルボン酸ないしそのエステル誘導体と無置
換の芳香族ジカルボン酸ないしそのエステル誘導体の割
合がモル比で10/90〜50/50の範囲で使用され
る。
【0052】スルホン酸塩基で置換された芳香族ジカル
ボン酸ないしそのエステル誘導体としては、4ーナトリ
ウムスルホーイソフタル酸ジメチル、5ーナトリウムス
ルホーイソフタル酸ジメチル、4ーカリウムスルホーイ
ソフタル酸ジメチル、5ーカリウムスルホーイソフタル
酸ジメチル、2ーナトリウムスルホーテレフタル酸ジメ
チル、4ーナトリウムスルホーイソフタル酸、5ーナト
リウムスルホーイソフタル酸、4ーカリウムスルホーイ
ソフタル酸、5ーカリウムスルホーイソフタル酸、2ー
ナトリウムスルホーテレフタル酸等を挙げることができ
る。この中で、5ーナトリウムスルホーイソフタル酸、
5ーカリウムスルホーイソフタル酸が好ましく例示でき
る。これらは1種のみを用いても2種以上を併用しても
よい。
【0053】さらに、無置換の芳香族ジカルボン酸ない
しそのエステル誘導体としては、ジメチルテレフタレー
ト、ジメチルイソフタレート、2、6ーナフタレンジカ
ルボン酸ジメチル、テレフタル酸、イソフタル酸、2、
6−ナフタレンジカルボン酸、2、7−ナフタレンジカ
ルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、及び芳香環
をアルキル置換、ハロゲン置換されたそれらのジカルボ
ン酸等を例示することができる。これらのうちで、テレ
フタル酸、イソフタル酸、2、6−ナフタレンジカルボ
ン酸が好ましい。これらは1種のみを用いても2種以上
を併用してもよい。
【0054】アルキレングリコールとしては炭素数2〜
12のものを使用することが好ましく、炭素数2〜8の
ものがさらに好ましい。具体的には、エチレングリコー
ル、テトラメチレングリコール等を例示することができ
る。かかるアルキレングリコールはエーテル結合、チオ
エーテル結合を含んでいてもよい。また、それらの化合
物は1種のみを用いても2種以上を併用してもよい。
【0055】上記の化合物を加熱溶融する際の条件とし
ては、加熱温度は200℃〜300℃、好ましくは22
0℃〜260℃であり、反応時間は数十分〜数時間程度
である。
【0056】また、その際用いる好ましい触媒の種類、
使用量については、エステル交換反応の場合、上記ポリ
エステルカーボネートの製造で用いたものと同様のエス
テル交換触媒、及びその使用量を適用できる。
【0057】本発明のポリカーボネート樹脂組成物の一
成分であるポリエステル(A)の構造はNMR、IR、
元素分析等の一般的な分析手法により確認できる。かか
るポリエステル(A)中のスルホン酸塩基に由来するイ
オウ原子の含有量については、ドーマン法、ICP発光
分析等により知ることもできる。
【0058】本発明によれば、本発明のポリカーボネー
ト樹脂組成物を構成するポリアルキレングリコール
(B)は、数平均分子量5000以上のものを用いる必
要がある。分子量が5000に満たない場合には、十分
な制電効果が得られないからである。好ましい数平均分
子量は10000以上である。該数平均分子量について
は、実質的に線状の重合体であれば特に上限はなく、大
きい方がより好ましいが、実用性の点からはそれの上限
は50000程度である。
【0059】上記のポリアルキレングリコール(B)と
してはポリエチレングリコールから主としてなるポリア
ルキレングリコールが好ましい。他の成分としては、ポ
リプロピレングリコール等を添加しても差し支えない。
【0060】本発明に用いられるポリカーボネート
(C)としては、ビスフェノール類と、炭酸あるいはそ
れらの誘導体とから得られるものである。ここでビスフ
ェノール類と炭酸あるいはそれらの誘導体とは、これら
のエステル、塩、ハロゲン化物をさす。
【0061】本発明に用いられるポリカーボネート
(C)としては、下記式(VI)
【0062】
【化14】
【0063】[式(VI)中、R7 及びR8 はそれぞれ独立
に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜
6のシクロアルキル基であり、R7 とR8 とは互いに結
合していてもよい。R9 及びR10はそれぞれ独立に、炭
素数1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基で
あり、p,qはそれぞれ独立に0,1又は2である。]
で表される繰り返し単位からなるポリカーボネートが好
ましい。
【0064】式(VI)中、R7 ,R8 は独立に水素原子、
炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6のシクロアル
キル基であり、たとえば、メチル、エチル、プロピル、
ノルマルブチル、イソブチル、ペンチル、シクロヘキシ
ル等を例示できる。またR7とR8 は結合していてもよ
く、その場合にはシクロアルカン環を構成する。
【0065】次にR9 及びR10はそれぞれ独立に、炭素
1〜5のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基を表
し、たとえばメチル、エチル、プロピル、ノルマルブチ
ル、イソブチル、ペンチル、フェニル、クロロ、ブロモ
等を例示できる。またp,qはそれぞれ独立に0,1ま
たは2である。
【0066】上記式(VI)で示されるポリカーボネート
(C)は上述の繰り返し単位を2種類以上含有する共重
合ポリマー、もしくはブレンドポリマーでもよい。上記
式(VI)の繰り返し単位を有するポリカーボネートとして
は、R7 、R8 がメチル基であり、R9 、R10が水素原
子であり、p、qがともに0であるビスフェノ−ルA型
ポリカーボネートが特に好ましく例示できる。
【0067】また、炭酸又はこの誘導体に加えて少量の
他の芳香族あるいは脂肪族ジカルボン酸、あるいはその
誘導体を共重合成分として用いてもよい。
【0068】本発明に用いられるポリカーボネートは、
界面重合法、溶融重合法、溶液重合法等の任意の方法で
合成される。
【0069】また、本発明のポリカーボネート樹脂組成
物を得るためには、粘度平均分子量15000〜400
00のポリカーボネートを用いるのが好ましい。
【0070】本発明のポリカーボネート樹脂組成物は、
実質的に上記のポリエステル(A)5〜40重量%、ポ
リアルキレングリコール(B)2〜15重量%、及びポ
リカーボネート(C)45〜93重量%の三成分からな
る。かかるポリエステル(A)が5重量%より少ない
と、該樹脂組成物の制電防止効果が十分得られない。ま
た、40重量%より多くなるとポリカーボネート自体の
物性が低下し好ましくない。好適な範囲は、本発明の樹
脂組成物の用途により異なる。透明性をより要求される
場合は、好ましくは、ポリエステル(A)10〜40重
量%、ポリアルキレングリコール(B)2〜12重量
%、及びポリカーボネート(C)48〜88重量%の範
囲である。また帯電防止性をより要求される場合は、好
ましくは、ポリエステル(A)15〜35重量%、ポリ
アルキレングリコール(B)5〜15重量%、及びポリ
カーボネート(C)50〜80重量%の範囲である。さ
らに耐熱性をより要求される場合は、好ましくは、ポリ
エステル(A)5〜35重量%、ポリアルキレングリコ
ール(B)2〜12重量%、及びポリカーボネート
(C)53〜93重量%の範囲である。
【0071】本発明のポリカーボネート樹脂組成物の製
造方法は、特に限定されるものではないが、前記のポリ
エステル(A)、ポリアルキレングリコール(B)、ポ
リカーボネート(C)、さらに必要に応じて用いられる
各種の添加剤を、通常用いられている方法により溶融混
練することにより容易に製造することができる。中でも
2軸押し出し機を利用した溶融混練を好ましく実施でき
る。また、混練する順序には特に制限はなく、ポリアル
キレングリコール成分(B)とポリカーボネート成分
(C)をあらかじめ混練した後、ポリエステル成分
(A)と混練してもよいし、成分(A)と成分(C)を
混練したもの及び成分(B)と成分(C)を混練したも
のとをそれぞれ混合してもよい。その際の混練の温度は
200℃〜320℃程度が好ましく、更に好ましくは2
20℃〜300℃である。
【0072】なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成
物には、必要に応じて、ガラス繊維、金属繊維、アラミ
ド繊維、セラミック繊維、チタン酸カリウィスカー、炭
酸繊維、アスベストのような繊維状強化剤、タルク、炭
酸カルシウム、マイカ、クレー、酸化チタン、酸化アル
ミニウム、ガラスフレーク、ミルドファイバー、金属フ
レーク、金属粉末のような各種充填剤を適宜配合しても
差し支えない。
【0073】なお、本発明のポリカーボネート樹脂組成
物においてはさらに熱安定剤、酸化安定剤、光安定剤、
滑剤、顔料、難燃化剤、可塑剤などの添加剤を1種以上
混入させてもよい。
【0074】
【発明の効果】本発明のポリカーボネート樹脂組成物
は、永久的な帯電防止効果を有し、かつ良好な物性及び
透明性を兼ね備えている。したがってOA機器、電子部
材、自動車のハウジング、医療用部材、各種容器、カバ
ー等に有用である。
【0075】本発明のポリカーボネート樹脂組成物を構
成するポリエステル(A)、ポリアルキレングリコール
(B)およびポリカーボネート(C)は完全に均一分散
することなく、制電性のポリマー相を形成することによ
り、帯電を永久的に防止する効果を奏するものと推定さ
れる。
【0076】
【実施例】以下実施例を挙げて本発明の好ましい態様に
ついて記載するが、本発明は実施例のみに限定されるも
のではない。
【0077】実施例中「部」は「重量部」を意味する。
また還元粘度は、特に指定のない限りフェノール/テト
ラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中にお
いて濃度1.2g/dl、35℃にて測定した値であ
る。ガラス転移温度(Tg)は、DSCにより、昇温速
度10℃/分で測定した。また、成型品の透明性につい
ては、JIS Z 8730に従って、ハンターの色差
式における明度指数Lにより評価した。測定は、日本電
色工業(株)製Z−300Aにより、サンプル厚2mm
で透過法により測定した。衝撃強度はASTM D25
6に従い1/8インチで、熱変形温度(HDT)はAS
TM D648に従い、1/4インチ、荷重18.6k
g/cm2 で測定した。
【0078】[参考例1] (ポリエステルカーボネートの製造)60.48部の5
ーナトリウムスルホイソフタル酸ジフェニル、123.
30部のジフェニルカーボネート、164.16部のビ
スフェノールA、0.076部のジブチル錫ジアセテー
トを撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、容器内を窒素置換した後、常圧下、60分かけて2
00℃まで昇温した。その後180分かけて250℃ま
で昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧しながら
昇温し、70分後130mmHg、290℃とした。さ
らに、減圧しながら80分反応させて高粘度のポリエス
テルカーボネートを得た。かかるポリエステルカーボネ
ートの還元粘度は0.16、Tgは127℃であり、色
は薄い黄色であった。
【0079】[参考例2] (共重合ポリエステルの製造)59.2部の5ーナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジメチル、155.2部のジメ
チルテレフタレート、180部のエチレングリコール、
0.17部のジブチル錫ジアセテートを撹拌装置を備え
た真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒素置換
した後、常圧下、180分間200℃でエステル交換反
応を行い、メタノールを留去した。その後、120分か
けて反応生成物を留去しながら280℃まで昇温した。
その時点から徐々に反応系内を減圧し、70分後40m
mHgまで減圧し、高粘度のポリエステルを得た。かか
るポリエステルの還元粘度は0.39、Tgは47℃で
あり、色は薄い黄色であった。
【0080】[参考例3] (共重合ポリエステルの製造)74.0部の5ーナトリ
ウムスルホイソフタル酸ジメチル、145.5部のジメ
チルテレフタレート、250部の1、4ブタンジオー
ル、0.10部のテトラブチルチタネートを撹拌装置を
備えた真空留出系を有する反応器に入れ、容器内を窒素
置換した後、常圧下、180分間200℃でエステル交
換反応を行い、メタノールを留去した。その後、80分
かけて反応生成物を留去しながら240℃まで昇温し
た。その時点から徐々に反応系内を減圧し、70分後
1.0mmHgまで減圧し、高粘度のポリエステルを得
た。かかるポリエステルの還元粘度は0.17、Tgは
49℃であり、色は薄い黄色であった。
【0081】[参考例4] (ポリエステルカーボネートの製造)90.72部の5
ーナトリウムスルホイソフタル酸ジフェニル、107.
86部のジフェニルカーボネート、164.16部のビ
スフェノールA、0.076部のジブチル錫ジアセテー
トを撹拌装置を備えた真空留出系を有する反応器に入
れ、容器内を窒素置換した後、常圧下、60分かけて2
00℃まで昇温した。その後180分かけて250℃ま
で昇温した。その時点で徐々に反応系内を減圧しながら
昇温し、70分後130mmHg、290℃とした。さ
らに、減圧しながら80分反応させて高粘度のポリエス
テルカーボネートを得た。かかるポリエステルカーボネ
ートの還元粘度は0.97、Tgは120℃であり、色
は黄色であった。
【0082】[実施例1]参考例1で製造したポリエス
テルカーボネート15部、ポリエチレングリコール(三
洋化成株式会社製 分子量2万)10部及びポリカーボ
ネート(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)
75部を30mmφ同方向回転2軸エクストルーダー
(池貝鉄工(株)製、PCM30)を用いて、ポリマー
温度280℃、平均滞留時間約10分の条件下で溶融混
練し、これをペレット化した。次に射出成型機(名機製
作所(株)製M−50B)を用いて、シリンダー温度2
80℃、金型温度50℃にて射出成形を行い、2mm厚
の成型品を得た。この成型品を20℃、湿度65%の条
件下で24時間乾燥した後、表面固有抵抗率を超絶縁計
(東亜電波工業株式会社製SM−8210)を用いて1
000Vにて測定した。さらに成型品を30℃の流水で
2時間洗浄を行い、水分をふき取った後、先述の条件で
乾燥し、表面固有抵抗率の測定を再び行った。機械物性
と共に、結果を表1に示す。
【0083】[実施例2]参考例1で製造したポリエス
テルカーボネート20部、ポリエチレングリコール(三
洋化成株式会社製 分子量2万)10部及びポリカーボ
ネート(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)
70部を実施例1と同様にして溶融混練し、成型品の評
価を行った。結果を表1に併記する。
【0084】[実施例3]参考例2で製造したポリエス
テル20部、ポリエチレングリコール(三洋化成株式会
社製 分子量2万)10部及びポリカーボネート(帝人
化成(株)製「パンライト」L1250)70部を実施
例1と同様にして溶融混練し、成型品の評価を行った。
結果を表1に併記する。
【0085】[実施例4]参考例3で製造したポリエス
テル15部、ポリエチレングリコール(三洋化成株式会
社製 分子量2万)10部及びポリカーボネート(帝人
化成(株)製「パンライト」L1250)70部を実施
例1と同様にして溶融混練し、成型品の評価を行った。
結果を表1に併記する。
【0086】[実施例5]参考例4で製造したポリエス
テルカーボネート20部、ポリエチレングリコール(三
洋化成株式会社製 分子量2万)10部及びポリカーボ
ネート(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)
70部を実施例1と同様にして溶融混練し、成型品の評
価を行った。結果を表1に併記する。
【0087】
【表1】
【0088】[比較例1]ドデシルベンゼンスルホン酸
ナトリウム2部、ポリエチレングリコール10部及びポ
リカーボネート樹脂(帝人化成(株)製「パンライト」
L1250)88部を実施例1と同様にして溶融混練
し、成型品の評価を行った。結果を表2に示す。
【0089】[比較例2]ポリエチレングリコール(三
洋化成株式会社製 分子量2万)10部及びポリカーボ
ネート(帝人化成(株)製「パンライト」L1250)
90部を実施例1と同様にして溶融混練し、成型品の評
価を行った。結果を表2に併記する。
【0090】[比較例3]参考例1で製造したポリエス
テルカーボネート20部、ポリカーボネート(帝人化成
(株)製「パンライト」L1250)80部を実施例1
と同様にして溶融混練し、成型品の評価を行った。結果
を表2に併記する。
【0091】
【表2】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 71:02)

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(I) 【化1】 [式(I)中、M+ は金属イオン、テトラアルキルホス
    ホニウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオ
    ンからなる群より選ばれるイオンを表す。Arは置換さ
    れていてもよい炭素数6〜12の芳香族基である。]で
    示されるスルホン酸塩基で置換された芳香族残基を必須
    成分とし、該成分を含むポリエステル繰り返し単位(A
    1 )と他のポリカーボネート又はポリエステル繰り返し
    単位(A2)とのモル比(A1 / A2 )が10/90〜
    50/50であるポリエステル(A)5〜40重量%、
    数平均分子量5000以上のポリアルキレングリコール
    (B)2〜15重量%、及びポリカーボネート(C)4
    5〜93重量%よりなることを特徴とするポリカーボネ
    ート樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 ポリエステル(A)が、下記式(II) 【化2】 [式(II)中、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオン
    からなる群より選ばれるイオンを表す。Arは置換され
    ていてもよい炭素数6〜12の芳香族基である。R1
    びR2 はそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のア
    ルキル基、炭素数5〜6のシクロアルキル基であり、R
    1 とR2 とは互いに結合していてもよい。R3 及びR4
    はそれぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、ハロゲ
    ン原子、フェニル基であり、m,nはそれぞれ独立に
    0,1又は2である。]で表されるポリエステル繰り返
    し単位(A1 )、及び下記式(III) 【化3】 [式(III) 中、R1 及びR2 はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6のシクロ
    アルキル基であり、R1 とR2 とは互いに結合していて
    もよい。R3 及びR4 はそれぞれ独立に、炭素数1〜5
    のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基であり、m,
    nはそれぞれ独立に0,1又は2である。]で表される
    ポリカーボネート繰り返し単位(A2 )から実質的にな
    るポリエステルカーボネートであり、かつフェノール/
    テトラクロロエタン(重量比60/40)の混合溶媒中
    35℃で測定した還元粘度(濃度1.2g/dl)が
    0.05〜1.0の範囲内にあることを特徴とする請求
    項1記載のポリカーボネート樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステル(A)が、下記式(IV) 【化4】 [式(IV)中、M+ は金属イオン、テトラアルキルホスホ
    ニウムイオン、及びテトラアルキルアンモニウムイオン
    からなる群より選ばれるイオンを表す。Arは置換され
    ていてもよい炭素数6〜12の芳香族基である。Xは分
    岐してもよい炭素数2〜12のアルキレン基である。]
    で表されるポリエステル繰り返し単位(A 1 )、及び下
    記式(V) 【化5】 [式(V)中、Ar’はスルホン酸塩基以外の基で置換
    されていてもよい炭素数6〜12の芳香族基である。X
    は分岐してもよい炭素数2〜12のアルキレン基であ
    る。]で表される他のポリエステル繰り返し単位
    (A2 )より実質的になる共重合ポリエステルであり、
    かつフェノール/テトラクロロエタン(重量比60/4
    0)の混合溶媒中35℃で測定した還元粘度(濃度1.
    2g/dl)が0.05〜1.2の範囲内にあることを
    特徴とする請求項1記載のポリカーボネート樹脂組成
    物。
  4. 【請求項4】 ポリアルキレングリコール(B)が、ポ
    リエチレングリコールから主としてなることを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載のポリカーボネート樹
    脂組成物。
  5. 【請求項5】 ポリカーボネート(C)が下記式(VI) 【化6】 [式(VI)中、R7 及びR8 はそれぞれ独立に、水素原
    子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数5〜6のシクロ
    アルキル基であり、R7 とR8 とは互いに結合していて
    もよい。R9 及びR10はそれぞれ独立に、炭素数1〜5
    のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基であり、p,
    qはそれぞれ独立に0,1又は2である。]で表される
    繰り返し単位からなることを特徴とする請求項1〜3の
    いずれかに記載のポリカーボネート樹脂組成物。
JP08949994A 1994-04-27 1994-04-27 ポリカーボネート樹脂組成物 Expired - Lifetime JP3357741B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08949994A JP3357741B2 (ja) 1994-04-27 1994-04-27 ポリカーボネート樹脂組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP08949994A JP3357741B2 (ja) 1994-04-27 1994-04-27 ポリカーボネート樹脂組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07292234A true JPH07292234A (ja) 1995-11-07
JP3357741B2 JP3357741B2 (ja) 2002-12-16

Family

ID=13972465

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP08949994A Expired - Lifetime JP3357741B2 (ja) 1994-04-27 1994-04-27 ポリカーボネート樹脂組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3357741B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6599966B2 (en) 2000-12-15 2003-07-29 General Electric Company Polycarbonate-polyester compositions with enhanced flow
WO2005000967A1 (ja) 2003-06-18 2005-01-06 Sanyo Chemical Industries, Ltd. 透明性樹脂組成物

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6599966B2 (en) 2000-12-15 2003-07-29 General Electric Company Polycarbonate-polyester compositions with enhanced flow
WO2005000967A1 (ja) 2003-06-18 2005-01-06 Sanyo Chemical Industries, Ltd. 透明性樹脂組成物
US7619037B2 (en) 2003-06-18 2009-11-17 Sanyo Chemical Industries, Ltd. Transparent resin composition

Also Published As

Publication number Publication date
JP3357741B2 (ja) 2002-12-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US4391954A (en) Thermoplastic molding composition
KR20040111502A (ko) 충전제 강화 폴리에테르 이미드 수지 조성물 및 그의 성형제품
US5849822A (en) Thermoplastic resin composition superior in transparency and antistatic property
EP0386549B1 (en) Aromatic polyester-siloxane block copolymers and method for making
JP3251507B2 (ja) 透明性と帯電防止性に優れたポリカーボネート樹脂組成物
AU706442B2 (en) Thermoplastic resin composition superior in transparency and antistatic property
EP0384460A1 (en) Thermoplastic resin composition
JP3621757B2 (ja) 永久帯電防止性樹脂組成物
JP3357741B2 (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3634510B2 (ja) 透明性と帯電防止性に優れたポリスチレン系樹脂組成物
JP3399767B2 (ja) 永久帯電防止性ポリカーボネートフィルム又はシート、及びそれらの製造方法
JPH08245869A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3592834B2 (ja) 永久帯電防止性を付与する樹脂組成物及びそれを含む熱可塑性樹脂組成物
JPH11343401A (ja) 透明性と帯電防止性の良好なポリカーボネート樹脂組成物
JP3574705B2 (ja) 永久帯電防止性樹脂組成物及びその製造方法
JPH0925335A (ja) ポリエーテルエステル及びそれを含有してなるポリカーボネート樹脂組成物
JPH1087979A (ja) ポリカーボネート樹脂組成物
JP3547855B2 (ja) 帯電防止アクリル系樹脂組成物及びその製造方法
JP2001089750A (ja) 帯電防止剤および透明性帯電防止性樹脂組成物
JP2009001618A (ja) 制電性ポリエステル系樹脂組成物
JP2000309677A (ja) 帯電防止abs系樹脂組成物及びその製造方法
JP2003096287A (ja) ポリエステル系樹脂組成物およびその製造方法
JPH08193129A (ja) ポリアミドエステル、その製造方法及びそれを含有する樹脂組成物
JP3406695B2 (ja) ポリアミドエーテルエステルの製造方法
JPH10279674A (ja) ポリエステル樹脂およびその成形品

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 6

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20081004

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20091004

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20101004

Year of fee payment: 8

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111004

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 9

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111004

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121004

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Year of fee payment: 10

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121004

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131004

Year of fee payment: 11

EXPY Cancellation because of completion of term