JPH07291791A - 分子線エピタキシー装置 - Google Patents

分子線エピタキシー装置

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JPH07291791A
JPH07291791A JP10230094A JP10230094A JPH07291791A JP H07291791 A JPH07291791 A JP H07291791A JP 10230094 A JP10230094 A JP 10230094A JP 10230094 A JP10230094 A JP 10230094A JP H07291791 A JPH07291791 A JP H07291791A
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JP
Japan
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molecular beam
intensity
nitrogen
substrate
crystal
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JP10230094A
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Satoshi Fujii
智 藤井
Toshiyuki Terada
敏行 寺田
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Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 窒化ガリウム系化合物のエピタキシャル結晶
を成長させるために、高真空状態で高密度のプラズマを
発生することができ、かつ結晶成長中の分子ビームを適
正にフィードバック制御して基板上に高い品質の結晶を
成長させることができる分子線エピタキシー装置を提供
する。 【構成】 結晶成長室側に開口すると共に窒素ガスの供
給口を有する有底筒状のケーシングの底部に磁石が設け
られ、更にケーシングの外周に高周波コイルを配設した
プラズマ励起セルからなる励起セル装置を用いることに
より、低圧であっても低い高周波パワーで高いプラズマ
放電発光強度が得られることから、容易に窒素ガスを励
起でき、また低圧であることから結晶成長室内に設けら
れた各分子ビームの強度を測定するためのセンサを設
け、その測定値から成長原料の分子ビームの強度をフィ
ードバック制御でき、分子ビームの強度を安定化できる
ようになる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、基板の表面にガリウム
系元素、窒素及びドーパントを供給して窒化ガリウム
(GaN)系化合物半導体エピタキシャル結晶を成長さ
せるための分子線エピタキシー装置に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】窒化ガリウム系化合物は、青色・紫色発
光素子(発光ダイオ−ド(LED)や半導体レーザ(L
D))材料として良く知られており、薄膜結晶成長方法
としては、有機金属化学気相成長法(以下、本明細書で
はMOCVD法と記す)と分子線エピタキシー法(以
下、本明細書ではMBE法と記す)が一般的に用いられ
る。効率の良い発光素子を製造する上で、薄膜の電気伝
導制御(p型−n型)は不可欠であるが、従来の窒化ガ
リウム系化合物では、低抵抗で品質の良いp型結晶を得
ることが困難であった。
【0003】そこで、例えばMOCVD法によるp型結
晶の製造方法として、マグネシウム(Mg)をp型不純
物として添加して薄膜を成長させた後に電子線を照射す
る技術が発表されている(応用物理、1991年、2月
号、第60巻、p163参照)が、電子線照射の効果は
表層より0.3μm〜0.5μmの深さまでが限度であ
り、厚膜のp型層を得ることは困難であった。また、M
OCVD法での成長圧力は一般的に数torr〜大気圧
であり、成長中に電子線を照射することは不可能である
ため、成長を中断し、別室にて電子線を照射する必要が
あり、成膜プロセスが複雑となる問題があった。
【0004】また、MOCVD法による発光効率に優れ
た窒化ガリウム系青色LEDの製造方法が特開平5−6
3236号公報に開示されている。これは基板上にGa
AlNバッファ層、p型不純物をドーブしたGaAlN
層、n型不純物をドーブしたGaAlN層を順次積層し
た構造とすることにより発光層となるp型GaAlNの
結晶性を改善するものである。この方法では発光効率を
上げるためにp型層を厚くすることが望ましいが、上記
した電子線効果が得られる厚みは0.5μmが限界と考
えられる。また、n型層積層後ではp型層まで電子線効
果が及ばないため、バッファ層とp型層とを成膜後、成
長室から基板を一度取り出し、その後電子線照射を行
い、再度成長室に戻してn型層を成長する必要があり、
上記同様成膜プロセスが複雑となる問題があった。ま
た、一般的に窒化ガリウム系化合物のエピタキシャル結
晶をMOCVD法により成長する場合は、窒素原料とな
るアンモニア(NH3)熱分解のため、成長温度が10
00℃を越える。このため成長表面からの窒素抜けによ
る結晶性劣化の恐れや、これを防止するため、大量のN
3を必要とし、大がかりな装置が必要となる。
【0005】一方、低温で効率良くNH3を分解する方
法として、ECR励起MOCVD法が試みられ、550
度で単結晶が得られたとの報告がある(真空、1987
年、第3号、第30巻、p116)が、基板面が直接プ
ラズマ雰囲気に曝されるため、結晶表面にダメージが入
る恐れがある。
【0006】加えて、MOCVD法での窒素原料として
NH3は、その純度、安全性及び価格面から工業的に最
も利用し易い材料であるが、結晶膜中にN−Hの形で取
り込まれ易い。結晶中に取り込まれた水素はドーバント
を電気的に不活性化する場合があり、例えば、p型Zn
Se結晶の成長を目的とする窒素ドーピング原料にNH
3を用いた場合の水素パッシベーション効果は良く知ら
れている(第12回混晶エレクトロニクスシンポジウム
論文集p129)。
【0007】従って、MOCVD法は大面積基板への多
数枚成長という一般的利点を有するものの窒化ガリウム
系化合物のエピタキシャル結晶を成長させる際には、p
型結晶を得るためにプロセスが複雑になる点、NH3
用いることにより装置が大型化し、更に結晶の劣化し易
くなる問題を有する。
【0008】一方、MBE法による窒化ガリウム系化合
物のエピタキシャル結晶成長も試みられており、MOC
VDより低温での結晶成長が可能である。その際、窒素
源としてはプラズマセルにより活性化した窒素を用いる
のが一般的である。
【0009】例えば、J.Vac.Sci.Technol.,A7 p701(198
9)には、2.45GHzのマイクロ波プラズマ放電によ
り活性化した窒素ビームを用いたGaN薄膜成長が報告
されている。一般的にプラズマ放電を起こすには、適当
な圧力範囲があり(10-1torr〜10-3tor
r)、この範囲を外れると放電を安定して維持すること
はできない。従って、結晶成長中のMBE装置の成長室
内に於ける真空度はプラズマ安定放電条件で律速され、
前記論文においても5×10-5torr〜5×10-6
orrであり、これは通常のMBE成長時のそれよりも
約1桁低い真空度である。MBE法の利点の一つに電子
線による成長中のその場(in−situ)観察(例え
ば、電子線回折(RHEED)、LEED、オージェ電
子分光(AES))が挙げられるが、電子銃の安定動作
条件として10-7torr以上の真空度が望ましいた
め、上記圧力範囲での電子線の利用は困難である。
【0010】また、J.Vac.Sci.Technol.,B8 p316(1990)
には、ECR励起によるプラズマ放電で活性化した窒素
ビームを用いたGaN成長が報告されている。マイクロ
波だけの励起と比較して高密度のプラズマが発生できる
ものの成膜中の真空度については改善されない(論文に
よれば、1×10-4torr〜1×10-5torr)ば
かりでなく、マイクロ波発振機や導波管が必要となるた
め、装置が高価となり、また成長室近傍の付帯設備が多
くなるため、装置メンテナンス性も悪くなると云う問題
があった。
【0011】他方、上述の励起源以外にも、13.5M
Hzの高周波によるプラズマセルも適用可能であり、そ
の一例が特開平5−74710号公報に開示されてい
る。これによればマイクロ波を利用した場合と比較しプ
ラズマ密度の点で劣るが、比較的安価で、プラズマセル
構成がコンパクトな励起源として市販されているため
(例えば、Oxford Applied Resea
rch社 MPD21等)利用し易い。この公報によれ
ば2×10-6torrでの成長が開示されており、上記
した2つの例より真空度の点で改善されているもののM
BE法としては実際には充分とは云えない。
【0012】プラズマセルは一般的に、放電室、放電室
内のプラズマ放電により活性化した窒素をMBE成長室
に引出し、かつ成長室と放電室との間の圧力差を維持す
るためのオリフィスと、プラズマ励起源と、ガス供給部
とからなる。また、窒化ガリウム系化合物のエピタキシ
ャル結晶を成長させるために必要な活性窒素量を基板面
に供給するためには、放電室内で1×10-1torr〜
1×10-3torr程度の圧力を確保し、かつ結晶成長
室側で最低でも5×10-5torr以上の真空度を保て
るよう、ガス流量、オリフィス開口径、ポンプ排気速度
を調整し、放電パワーを制御する必要がある。
【0013】ここで、上記活性窒素量を多くするべく放
電パワーを上げ過ぎると、発熱によるコンタミ発生、発
熱、異常放電による放電室破壊が起きることが懸念され
る。また、オリフィス開口径を大きくすると、放電室と
結晶成長室との圧力差を維持できないことから開口径を
小さくしておく必要があるが、その場合には基板表面で
成長に必要な活性窒素量(単位面積当りに到達する窒素
個数)を確保するために励起セルと基板との距離とを近
づけなければならない。ところが、セルと基板との距離
が近くなるほど、成膜可能な面積は小さくなることから
(例えば3インチ基板に結晶を均一に成長させるための
セルと基板との距離は少なくとも20cm以上)、現実
的な大きさの基板に均一に結晶成長させるためには或る
程度両者間の距離を必要とする。例えば特開平5−74
710号公報には、結晶成長室の真空度を2×10-6
orr、ガス流量を5cc/min、基板とセルのオリ
フィスとの距離を5cm、高周波出力を300Wとした
GaNのエピタキシャル結晶成長が開示されている。一
般的に成長室内の圧力P(torr)と、結晶成長室の
ポート口における排気速度S(l/sec)と、成長室
内への供給ガス量Q(cc/min)との関係は、 P=0.0127×Q/S である。これにより上記条件を満足する排気速度Sは、
31750l/secと推察される。また、基板とセル
との距離から成膜可能な基板サイズは最大でも1インチ
程度と考えられる。更に、プラズマ放電部分が基板表面
に近いため、基板面に照射される電子線進行に揺らぎを
生じ、RHEED観察、制御性の良い成長表面の電子線
スキャニングは困難であり、あまり現実的とは云えな
い。
【0014】加えて、特に原料として気体窒素を用いる
場合、結晶成長室内の気圧変動が成長原料の分子ビーム
に影響を及ぼすことが考えられることから、分子ビーム
の強度を適正に制御する必要があるが、例えば公知のB
−A型電離真空計等を用いて真空度から分子ビームの強
度を測定しようとすると、電子銃の安定動作条件と同様
に10-7torr以上の真空度を必要とする。従って、
そのままでは分子ビームの強度を測定することは困難で
あり、この分子ビームに生じる揺らぎを適正に制御する
ことができず、結晶の品質を著しく低下させる心配があ
った。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記したよう
な従来技術の問題点に鑑みなされたものであり、その主
な目的は、窒化ガリウム系化合物のエピタキシャル結晶
を成長させるために、高真空状態(1×10-7torr
以上)で高密度のプラズマを発生することができ、即
ち、オリフィス開口を大きくして該オリフィス開口と基
板とを離して大面積基板への結晶成長が可能であり、か
つ結晶成長中の分子ビームを適正にフィードバック制御
して基板上に高い品質の結晶を成長させることができる
分子線エピタキシー装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】上述した目的は本発明に
よれば、基板の表面に、ガリウム系元素、窒素及びドー
パントを供給して窒化ガリウム(GaN)系化合物半導
体エピタキシャル結晶を成長させるための分子線エピタ
キシー装置であって、前記窒素を活性化するための励起
セル装置が、結晶成長室側に開口すると共に窒素ガスの
供給口を具備する有底筒状のケーシングと、該ケーシン
グの底部に設けられた磁石と、前記ケーシングの外周に
配設された高周波コイルとを具備するプラズマセル(以
下ヘリコンプラズマセルと記す)からなり、前記成長原
料の分子ビームの強度を測定するべく前記結晶成長室内
に設けられた分子ビーム強度センサと、前記分子ビーム
強度センサの測定値から前記各原料の分子ビームの強度
をフィードバック制御する制御装置とを有することを特
徴とする分子線エピタキシー装置を提供することにより
達成される。
【0017】
【作用】このようにすれば、ヘリコンプラズマ励起セル
により低圧(10-7〜10-9torr程度)の状態であ
っても低い高周波パワー(5W〜300W)でrfプラ
ズマ励起セルよりも1桁程度高いプラズマ放電発光強度
が得られる。また、結晶成長に寄与しない窒素分子ビー
ム量が減り、成長面でのマイグレーションが促進され、
更にセル周辺の加熱が抑制されて放電室内壁などからの
汚染物質の発生が抑制される。図4に、窒素ガス流量を
0.1cc/min、スペクトル位置763nmとして
他の条件を同じにしたヘリコンプラズマ励起セルとrf
プラズマ励起セルとで高周波パワーに対するプラズマ放
電発光強度を比較したグラフを示す。
【0018】 また、分子ビーム強度を測定し、Kセル
温度制御装置の設定を調節することにより、望ましい分
子ビーム強度とすることができる。
【0019】
【実施例】以下、添付の図面に従って本発明の好適実施
例について説明する。
【0020】図1は本発明が適用された分子線エピタキ
シー装置(MBE装置)の概略構成を示す模式的断面図
である。本実施例はサファイア基板上への窒化ガリウム
(GaN)のエピタキシャル結晶を成長させ、ドーパン
トとしてマグネシウム(Mg)を導入してp型結晶を得
るためのMBE装置である。
【0021】1500l/minの排気能力を有するタ
ーボ分子ポンプからなる超高真空排気装置2により10
-7〜10-9torr程度の高真空を維持可能な結晶成長
室1内にはホルダ3により処理表面が下向きになるよう
に3インチの基板Bが保持されている。このホルダ3の
基端側、即ち図に於ける上側には基板加熱用のヒータ5
が設けられている。また、円板状のメインシャッタ6
が、基板Bの成膜を開始する位置、即ち基板Bの処理表
面を覆わない位置と、成膜を停止する位置、即ち基板B
の処理表面を覆う位置との間で回動自在に支持され、そ
の駆動軸6aを外部から回転させることにより成膜を選
択的に開始/停止し得るようになっている。
【0022】結晶成長室1の下部に於ける基板Bと概ね
対向する位置には、基板Bに向けて開口する2つのクヌ
ーセンセル(以下、本明細書ではKセルと略記する)
7、8が設けられている。これらKセル7、8は、基板
Bに向けて開口するるつぼ7a、8aとこれらるつぼ7
a、8aを加熱するためのヒータ7b、8bとを有して
いる。また、各Kセル7、8の開口部には上記メインシ
ャッタ6と同様な円板状のシャッタ9、10が、各Kセ
ル7、8の開口を覆う位置と、開口を覆わない位置との
間で回動自在に支持され、その駆動軸9a、10aを外
部から回転させることにより選択的に各るつぼ7a、8
a内に受容された原料を分子ビームとして基板Bに向け
て照射するようになっている。
【0023】一方、各Kセル7、8とは別に結晶成長室
1の下部に於ける基板Bと概ね対向する位置に窒素プラ
ズマの励起セル装置11が設けられている。図2に良く
示すように、この励起セル装置11は、結晶成長室1側
に開口し、内部に放電室を郭成する高純度セラミックか
らなる有底筒状のケーシング12と、該ケーシング12
の底部に開口し、かつ管路14、流量制御装置15及び
減圧弁16を介して窒素ボンベ18に接続された窒素ガ
スの供給口13と、管路14を外囲するようにケーシン
グ12の底部に設けられた筒状の磁石17と、ケーシン
グ12の外周に配設され、高周波発生装置20に接続さ
れた高周波コイル19とを具備するプラズマ励起セルか
らなる。ケーシング12の開口にはこれを絞るオリフィ
ス12aが設けられている。また、ケーシング12の開
口には上記シャッタと同様なシャッタ11aが設けられ
ている。
【0024】結晶成長室1内には、各分子ビームの強度
を真空度から測定するべく公知のB−A型電離真空計か
らなる分子ビーム強度センサとしてのフラックスモニタ
21が設けられている。フラックスモニタ21は、各分
子ビームが直接照射される位置、即ちメインシャッタ6
の直前位置と、各分子ビームが直接照射されない位置、
即ち図1に於ける左側壁面近傍位置との間で矢印に示す
ように移動し得るようになっている。また、フラックス
モニタ21は、制御装置22に接続されている。この制
御装置22は、各Kセル7、8に対応する温度調節装置
23、24に接続されている。この温度調節装置23、
24は、各Kセル7、8のるつぼ7a、8a内にて各成
長原料の温度を測定するための熱電対25、26及び各
ヒータ7b、8bの電源装置27、28に接続され、フ
ラックスモニタ21により測定された分子ビーム強度に
応じて制御装置22が、温度調節装置23、24に設定
温度を指令値として出力し、この温度調節装置23、2
4が各Kセル7、8のるつぼ7a、8a内温度を熱電対
25、26をもって測定しつつ各ヒータ7b、8bを電
源装置27、28をもって個々に制御することにより、
るつぼ7a、8a内温度、即ち各分子ビーム強度をフィ
ードバック制御するようになっている。
【0025】尚、結晶成長室1内の適宜な位置には電子
銃29も設けられ、基板Bの全面をスキャンし得るよう
になっている。また、電子銃29から基板Bに向けて照
射され、該基板に反射された電子ビームを受けて基板の
結晶成長状態を観察するためのRHEEDスクリーン3
0が基板Bを挟んで電子銃29と相反する位置に設けら
れている。
【0026】以下に本実施例の作動要領について説明す
る。まず、るつぼ7aにガリウム(Ga)、るつぼ8a
にマグネシウム(Mg)を受容し、表面をエッチング及
び洗浄した基板Bをホルダ3に下向きに保持する。この
とき、励起セル装置11のケーシング12の開口と基板
Bとの距離は20cmである。また、結晶成長室1内を
超高真空排気装置2により真空引きして10-7〜10-9
torr程度の高真空を維持する。
【0027】次に、基板Bを900℃程度に加熱してサ
ーマルクリーニングする。このとき、活性窒素を基板B
に照射しつつサーマルクリーニングすれば後に成長させ
る結晶の品質が向上する。このとき、電子銃29から基
板Bに向けて電子ビームを照射し、RHEEDスクリー
ン30のパターン、即ち基板Bの表面の様子を観察し、
ストリーク状となったら基板Bの表面が清浄化されたと
して基板Bの温度を結晶成長温度(600℃程度)に下
げる。一方、各シャッタ9、10、11aを閉じたまま
ガリウムを950℃、マグネシウムを280℃まで加熱
する。
【0028】そして、所定時間経過後にまずシャッタ9
を開閉してフラックスモニタ21によりガリウムの分子
ビームが安定するように制御装置22、温度調節装置2
3及び電源装置27をもって制御する。次にシャッタ1
0を開閉してフラックスモニタ21によりマグネシウム
の分子ビームが安定するように制御装置22、温度調節
装置24及び電源装置28をもって制御する。各分子ビ
ームが安定したらフラックスモニタ21を分子ビームが
直接照射されない図1に於ける左側壁面近傍位置に引っ
込め、シャッタ9、10を共に閉じ、励起セル装置11
にて高周波を発生させ(150W)、窒素ガスを0.0
1cc/minの流量でケーシング12内に郭成された
放電室に供給する。励起セル装置11内の気圧は8.5
×10-8torrとなる。ここでは磁石17による磁場
と高周波コイル19との相互作用により高密度の窒素プ
ラズマが発生する。その後、窒素プラズマが安定した
ら、シャッタ9、10、11aを開き、最後にシャッタ
6を開いて基板Bの表面に窒化ガリウムのエピタキシャ
ル結晶を成長させつつその中にマグネシウムをドーパン
トとして導入してp型結晶を得ることができる。このと
き、同時に加速電圧を15KVとして電子銃29により
電子線を基板Bをスキャンしつつその全面に照射する。
【0029】このようにして形成されたp型結晶では1
×1019cm-3のキャリヤ濃度が得られ、そのばらつき
は3インチ基板で5%であった。
【0030】ここで、高周波パワーを5W未満にすると
放電が起こらず、300Wを超えると結晶中に窒素原子
が入り過ぎて結晶の品質が低下する。また、窒素ガス流
量を0.01cc/min未満にすると放電を維持する
ことが困難になり、0.5cc/minを超えるとMB
E装置の結晶成長に於ける圧力条件から外れる心配が生
じる。
【0031】図3は本発明が適用された第2の実施例に
於けるMBE装置の概略構成を示す模式的断面図であ
り、第1の実施例と同様な部分には同一の符号を付し、
その詳細な説明を省略する。
【0032】本実施例では、フラックスモニタ31、3
2が各Kセル7、8の直上の結晶成長の妨げにならない
位置に固定されている。また、フラックスモニタ31は
Kセル7に対応し、これに向けて開口する筒状カバー3
3に覆われ、かつフラックスモニタ32はKセル8に対
応し、これに向けて開口する筒状カバー34に覆われて
いる。これにより、高い指向性をもって各Kセル7、8
からの分子ビームの強度を測定することができる。更
に、各筒状カバー33、34には冷却管35、36が巻
装され、これにより筒状カバー33、34を冷却するこ
とでその内外面に付着した成長原料などが再蒸発してフ
ラックスモニタ31、32の測定精度を低下させること
を防止するようになっている。
【0033】各フラックスモニタ31、32は第1の実
施例と同様な制御装置22に接続され、フラックスモニ
タ31、32により測定された分子ビーム強度に応じて
制御装置22が、温度調節装置23、24に設定温度を
指令値として出力し、この温度調節装置23、24が各
Kセル7、8のるつぼ7a、8a内温度を熱電対25、
26をもって測定しつつ各ヒータ7b、8bを電源装置
27、28をもって個々に制御することにより、るつぼ
7a、8a内温度、即ち各分子ビーム強度をフィードバ
ック制御するようになっている。それ以外の構造は第1
の実施例と同様である。
【0034】以下に本実施例の作動要領について説明す
る。るつぼ7a、8aにガリウム、マグネシウムを受容
し、基板Bをホルダ3に保持して真空引きし、基板B、
ガリウム、マグネシウムを加熱するまでの手順は第1の
実施例と同様である。
【0035】次に、所定時間経過後にまずシャッタ9、
10を開閉してフラックスモニタ31、32により各分
子ビームの強度を測定してガリウム、マグネシウムの分
子ビームが安定するように制御装置22、温度調節装置
23、24及び電源装置27、28をもって制御する。
そして、励起セル装置11にて高周波を発生させ、窒素
ガスをケーシング12内に郭成された放電室に供給す
る。その後、窒素プラズマが安定したら、シャッタ6を
開いて基板Bの表面に窒化ガリウムのエピタキシャル結
晶を成長させつつその中にマグネシウムをドーパントと
して導入する。このとき、本実施例では前記したように
フラックスモニタ31、32が結晶成長の妨げにならな
い位置に固定されていることから結晶成長中もフラック
スモニタ31、32により各分子ビーム強度を測定し続
けることができ、ガリウム、マグネシウムの分子ビーム
が安定するように制御装置22、温度調節装置23、2
4及び電源装置27、28をもって制御し続けることが
できる。これにより、第1の実施例よりも一層各分子ビ
ームの強度を適正制御でき、結晶品質が向上する。尚、
本実施例ではフラックスモニタに直接分子ビームを照射
してその強度を測定するものではないが、成長原料の蒸
発により直上に進む分子の量(強度)と分子ビームの強
度とは略比例することから実際に分子ビームの強度を測
定するのと同様な測定結果が得られる。
【0036】尚、上記各実施例に於てRHEEDスクリ
ーン30を常に監視してその値も考慮して各Kセル7、
8のヒータ7b、8bの温度、窒素ガス流量及び高周波
パワーを制御すれば、各ビームを一層好適にフィードバ
ック制御でき、結晶の品質を向上することができる。
【0037】また、上記各実施例では結晶成長原料とし
てガリウム(Ga)を用いたが、ガリウム(Ga)、ア
ルミニウム(Al)及びインジウム(In)のうちの1
種若しくは2種以上を選択的に用いて良い。また、本実
施例ではp型ドーパントとしてマグネシウム(Mg)を
用いたが、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)または水
銀(Hg)を用いても良く、更にn型ドーパントとして
の珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素(C)、
錫(Sn)、セレン(Se)またはテルル(Te)を用
いれば、上記同様に高い品質のn型結晶が得られる。更
に、上記各実施例では基板にサファイアを用いたが、珪
素(Si)、砒化ガリウム(GaAs)、酸化亜鉛(Z
nO)、炭化珪素(SiC)または酸化マグネシウム
(MgO)であっても良く、基板と窒化ガリウム層との
間にバッファ層としてアモルファス状の窒化アルミニウ
ム(AlN)や窒化ガリウム(GaN)、短結晶の窒化
アルミニウム(AlN)、窒化ガリウム(GaN)、炭
化珪素(SiC)酸化亜鉛(ZnO)、または酸化マグ
ネシウム(MgO)を設けても良い。
【0038】
【発明の効果】以上の説明により明らかなように、本発
明による分子線エピタキシー装置によれば、窒化ガリウ
ム系化合物半導体エピタキシャル結晶を成長させるため
に、活性窒素を供給するべく、結晶成長室側に開口する
と共に窒素ガスの供給口を有する有底筒状のケーシング
の底部に磁石が設けられ、更にケーシングの外周に高周
波コイルを配設したプラズマ励起セルからなる励起セル
装置を用いることにより、低圧(10-7〜10-9tor
r程度)の状態であっても低い高周波パワー(5W〜3
00W)で高いプラズマ放電発光強度が得られることか
ら、容易に窒素ガスを励起でき、また、低圧であること
から結晶成長室内に設けられた各分子ビームの強度を測
定するためのセンサの測定値から成長原料の分子ビーム
の強度をフィードバック制御でき、分子ビームの強度を
安定化でき、常に良質の結晶が得られるようになる。以
上のことから従来の分子線エピタキシー装置に簡単な構
造を付加するのみで窒化ガリウム化合物半導体エピタキ
シャル結晶の品質を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に基づく第1の実施例に於ける分子線エ
ピタキシー装置の概略構成を示す模式的断面図である。
【図2】図1の励起セル装置のみの要部拡大断面図であ
る。
【図3】本発明に基づく第2の実施例に於ける分子線エ
ピタキシー装置の概略構成を示す図1と同様な断面図で
ある。
【図4】ヘリコンプラズマ励起セルとrfプラズマ励起
セルとで高周波パワーに対するプラズマ放電発光強度を
比較したグラフである。
【符号の説明】
1 結晶成長室 2 超高真空排気装置 3 ホルダ 5 ヒータ 6 メインシャッタ 6a 駆動軸 7、8 クヌーセンセル 7a、8a るつぼ 7b、8b ヒータ 9、10 シャッタ 9a、10a 駆動軸 11 励起セル装置 11a シャッタ 12 ケーシング 12a オリフィス 13 窒素ガス供給口 14 管路 15 流量制御装置 16 減圧弁 17 磁石 18 窒素ボンベ 19 高周波コイル 20 高周波発生装置 21 フラックスモニタ 22 制御装置 23、24 温度調節装置 25、26 熱電対 27、28 ヒータ電源装置 29 電子銃 30 RHEEDスクリーン 31、32 フラックスモニタ 33、34 筒状カバー 35、36 冷却管
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/203 M 8719−4M

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板の表面に、ガリウム系元素、窒素
    及びドーパントを供給して窒化ガリウム(GaN)系化
    合物半導体エピタキシャル結晶を成長させるための分子
    線エピタキシー装置であって、 前記窒素を活性化するための励起セル装置が、結晶成長
    室側に開口すると共に窒素ガスの供給口を具備する有底
    筒状のケーシングと、該ケーシングの底部に設けられた
    磁石と、前記ケーシングの外周に配設された高周波コイ
    ルとを具備するプラズマセルからなり、 前記成長原料の分子ビームの強度を測定するべく前記結
    晶成長室内に設けられた分子ビーム強度センサと、 前記分子ビーム強度センサの測定値から前記各原料の分
    子ビームの強度をフィードバック制御する制御装置とを
    有することを特徴とする分子線エピタキシー装置。
  2. 【請求項2】 当該分子線エピタキシー装置が、成長
    原料をヒータで加熱することによりその分子ビームを発
    生するようになっており、 前記制御装置が、前記ヒータによる加熱状態を制御する
    ことにより分子ビームの強度を制御することを特徴とす
    る請求項1に記載の分子線エピタキシー装置。
  3. 【請求項3】 前記分子ビーム強度センサが、電離真
    空計からなり、該電離真空計により測定された真空度か
    ら分子ビーム強度を求めることを特徴とする請求項1若
    しくは請求項2に記載の分子線エピタキシー装置。
  4. 【請求項4】 前記ガリウム系元素が、ガリウム(G
    a)、アルミニウム(Al)及びインジウム(In)の
    うちから選択される1種若しくは2種以上の元素からな
    り、 前記ドーパントが、p型ドーパントとしてのマグネシウ
    ム(Mg)、亜鉛(Zn)、カドミウム(Cd)及び水
    銀(Hg)のうちのいずれか、またはn型ドーパントと
    しての珪素(Si)、ゲルマニウム(Ge)、炭素
    (C)、錫(Sn)、セレン(Se)及びテルル(T
    e)のうちのいずれかからなり、 前記基板が、サファイア、珪素(Si)、砒化ガリウム
    (GaAs)、酸化亜鉛(ZnO)、炭化珪素(Si
    C)及び酸化マグネシウム(MgO)のうちのいずれか
    からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいず
    れかに記載の分子線エピタキシー装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5780355A (en) * 1996-11-27 1998-07-14 The Regents Of The University Of California UV assisted gallium nitride growth
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CN113403609A (zh) * 2021-06-16 2021-09-17 苏州矩阵光电有限公司 Mocvd腔体结构及其控制方法和mocvd反应室

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