JPH07291733A - 多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体及びその用途 - Google Patents
多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体及びその用途Info
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- JPH07291733A JPH07291733A JP6082982A JP8298294A JPH07291733A JP H07291733 A JPH07291733 A JP H07291733A JP 6082982 A JP6082982 A JP 6082982A JP 8298294 A JP8298294 A JP 8298294A JP H07291733 A JPH07291733 A JP H07291733A
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- JP
- Japan
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- sintered body
- polycrystalline
- boron nitride
- cbn sintered
- magnesium
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- Pending
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- Cutting Tools, Boring Holders, And Turrets (AREA)
- Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)
- Ceramic Products (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【目的】 強度と耐摩耗性に優れた長寿命で高精度な多
結晶型cBN焼結体、砥粒、切削工具、摺動材を得るこ
と。 【構成】 マグネシウム含有量が5PPM以下であることを
特徴とする多結晶型cBN焼結体、及びこの多結晶型c
BN焼結体で構成されてなる砥粒、切削工具、摺動材。
結晶型cBN焼結体、砥粒、切削工具、摺動材を得るこ
と。 【構成】 マグネシウム含有量が5PPM以下であることを
特徴とする多結晶型cBN焼結体、及びこの多結晶型c
BN焼結体で構成されてなる砥粒、切削工具、摺動材。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、多結晶型立方晶窒化ほ
う素(多結晶型cBN)焼結体及びその用途に関するも
のである。本発明の多結晶型cBN焼結体が応用される
分野としては、重研削又は高速研削用のメタルボンド砥
石、電着砥石、ビトリファイド砥石等の研削砥石、高速
切削用の切削工具、耐摩耗性の要求される摺動材などで
ある。
う素(多結晶型cBN)焼結体及びその用途に関するも
のである。本発明の多結晶型cBN焼結体が応用される
分野としては、重研削又は高速研削用のメタルボンド砥
石、電着砥石、ビトリファイド砥石等の研削砥石、高速
切削用の切削工具、耐摩耗性の要求される摺動材などで
ある。
【0002】
【従来の技術】窒化ほう素の高圧相であるcBNはダイ
ヤモンドに次ぐ硬さと熱伝導率を有し、鉄系金属と反応
しないとうダイヤモンドにはない特徴を持つことから、
鉄系金属の研削加工用砥粒や切削工具としての利用が進
められている。
ヤモンドに次ぐ硬さと熱伝導率を有し、鉄系金属と反応
しないとうダイヤモンドにはない特徴を持つことから、
鉄系金属の研削加工用砥粒や切削工具としての利用が進
められている。
【0003】近年の機械加工は、省力化、無人化の方向
にある。その具体的な方法として重研削、高速研削、高
速切削が行われているが、このような過酷な加工条件下
では工具に大きな負荷がかかるため、工具素材そのもの
に高い強度と耐摩耗性を持つことが要求されている。
にある。その具体的な方法として重研削、高速研削、高
速切削が行われているが、このような過酷な加工条件下
では工具に大きな負荷がかかるため、工具素材そのもの
に高い強度と耐摩耗性を持つことが要求されている。
【0004】たとえば、砥石による研削では、砥粒部分
に大きな負荷がかかるので高強度な砥粒が要求されてい
る。高強度のcBN砥粒の一つとしては、多結晶型のも
のが知られており、既に一部は市販されている。多結晶
型の砥粒は、微細な結晶粒子が互いに強固に結合した多
結晶体構造を有するため、粒子一つが単結晶により構成
される単結晶型砥粒のようにへき開などの大破壊を起こ
さず高い強度を示す。多結晶型の砥粒は、特公昭63-444
17号公報にも述べられているように、触媒を用いて合成
される単結晶型のものと異なり、触媒を用いない無触媒
直接転換法によって得られる焼結体を所望の粒度に粉砕
することによって得ることができる。しかし、このよう
にして得られる多結晶型の砥粒も、実際に重研削、高速
研削などの過酷な条件下で砥石として用いると、砥石表
面の一部の砥粒が破壊あるいは摩滅をしてしまい、加工
物の表面が粗れてきたり切れ味が低下するので頻繁にド
レッシング、ツルーイングを行わなければならない等の
問題点があった。
に大きな負荷がかかるので高強度な砥粒が要求されてい
る。高強度のcBN砥粒の一つとしては、多結晶型のも
のが知られており、既に一部は市販されている。多結晶
型の砥粒は、微細な結晶粒子が互いに強固に結合した多
結晶体構造を有するため、粒子一つが単結晶により構成
される単結晶型砥粒のようにへき開などの大破壊を起こ
さず高い強度を示す。多結晶型の砥粒は、特公昭63-444
17号公報にも述べられているように、触媒を用いて合成
される単結晶型のものと異なり、触媒を用いない無触媒
直接転換法によって得られる焼結体を所望の粒度に粉砕
することによって得ることができる。しかし、このよう
にして得られる多結晶型の砥粒も、実際に重研削、高速
研削などの過酷な条件下で砥石として用いると、砥石表
面の一部の砥粒が破壊あるいは摩滅をしてしまい、加工
物の表面が粗れてきたり切れ味が低下するので頻繁にド
レッシング、ツルーイングを行わなければならない等の
問題点があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、重研
削、高速研削、高速切削などの過酷な使用条件下に耐え
得る高強度で耐摩耗性の大きい工具素材となる多結晶型
cBN焼結体を提供することにある。また、本発明の目
的は、高強度で耐摩耗性に優れた砥粒、切削工具及び摺
動材を提供することにある。本発明者らは、上記目的を
達成するために種々検討した結果、以下の事柄を見いだ
し本発明を完成させたものである。
削、高速研削、高速切削などの過酷な使用条件下に耐え
得る高強度で耐摩耗性の大きい工具素材となる多結晶型
cBN焼結体を提供することにある。また、本発明の目
的は、高強度で耐摩耗性に優れた砥粒、切削工具及び摺
動材を提供することにある。本発明者らは、上記目的を
達成するために種々検討した結果、以下の事柄を見いだ
し本発明を完成させたものである。
【0006】(1)マグネシウム含有量の異なるさまざ
まな砥粒を用いた砥石で実際に重研削を行い研削の前後
で砥石表面に突き出ている砥粒一つ一つの状態を観察し
た結果、マグネシウム含有量の大きい砥粒は表面が著し
く摩耗するとともに、大破壊を起こしやすく研削中に砥
石表面から脱落しやすい。これに対し、マグネシウム含
有量の小さい特に5PPM以下の砥粒を用いた砥石では、こ
のような砥粒の摩滅や大破壊が起きにくく著しく砥石の
寿命が長くなり、被削物の表面粗さも格段に小さくな
る。 (2)同様の試験を切削工具と摺動材についても行なっ
た結果、マグネシウム含有量が5PPM以下の多結晶型cB
N焼結体で構成されたものは従来品に比べて耐摩耗性が
著しく優れる。 (3)マグネシウム含有量が5PPM以下の多結晶型cBN
焼結体は、無触媒直接転換法における合成条件を工夫す
ることによって合成することができる。
まな砥粒を用いた砥石で実際に重研削を行い研削の前後
で砥石表面に突き出ている砥粒一つ一つの状態を観察し
た結果、マグネシウム含有量の大きい砥粒は表面が著し
く摩耗するとともに、大破壊を起こしやすく研削中に砥
石表面から脱落しやすい。これに対し、マグネシウム含
有量の小さい特に5PPM以下の砥粒を用いた砥石では、こ
のような砥粒の摩滅や大破壊が起きにくく著しく砥石の
寿命が長くなり、被削物の表面粗さも格段に小さくな
る。 (2)同様の試験を切削工具と摺動材についても行なっ
た結果、マグネシウム含有量が5PPM以下の多結晶型cB
N焼結体で構成されたものは従来品に比べて耐摩耗性が
著しく優れる。 (3)マグネシウム含有量が5PPM以下の多結晶型cBN
焼結体は、無触媒直接転換法における合成条件を工夫す
ることによって合成することができる。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、マ
グネシウム含有量が5PPM以下であることを特徴とする多
結晶型cBN焼結体、及びこの多結晶型cBN焼結体で
構成されてなる砥粒、切削工具、摺動材である。
グネシウム含有量が5PPM以下であることを特徴とする多
結晶型cBN焼結体、及びこの多結晶型cBN焼結体で
構成されてなる砥粒、切削工具、摺動材である。
【0008】以下、本発明についてさらに詳しく説明す
る。
る。
【0009】多結晶型cBN焼結体に含まれるマグネシ
ウム量は、種々の方法で測定することができる。たとえ
ば、焼結体表面に付着する不純物を酸処理、純水洗浄な
どで除いた後、炭酸ソーダで溶融分解処理し、微量金属
不純物の定量分析法として広く一般に行なわれているプ
ラズマ発光分光法などで定量することができる。
ウム量は、種々の方法で測定することができる。たとえ
ば、焼結体表面に付着する不純物を酸処理、純水洗浄な
どで除いた後、炭酸ソーダで溶融分解処理し、微量金属
不純物の定量分析法として広く一般に行なわれているプ
ラズマ発光分光法などで定量することができる。
【0010】本発明において、多結晶型cBN焼結体に
含まれるマグネシウム量を5PPM以下と規定したのは、5P
PMを越えると多結晶型cBN焼結体の靭性が著しく低下
し、工具及び摺動材として用いた場合にその耐摩耗性が
著しく低下するからである。
含まれるマグネシウム量を5PPM以下と規定したのは、5P
PMを越えると多結晶型cBN焼結体の靭性が著しく低下
し、工具及び摺動材として用いた場合にその耐摩耗性が
著しく低下するからである。
【0011】本発明の多結晶型cBN焼結体は、無触媒
直接転換法を基本技術とし、原料及び高温/高圧を発生
する反応室を以下に述べるように精密に制御することに
よって合成することができる。
直接転換法を基本技術とし、原料及び高温/高圧を発生
する反応室を以下に述べるように精密に制御することに
よって合成することができる。
【0012】無触媒直接転換法の基本技術については広
く知られており、たとえば特公昭63-394号公報に述べら
れているように、熱分解窒化ほう素をcBNが熱力学的
に安定な高温/高圧下で処理する方法がある。
く知られており、たとえば特公昭63-394号公報に述べら
れているように、熱分解窒化ほう素をcBNが熱力学的
に安定な高温/高圧下で処理する方法がある。
【0013】本発明においては、このような無触媒直接
転換法の基本技術において、原料及び反応室とその周辺
部の構成材料としてマグネシウムを含まない高純度のも
のが用いられる。原料及び反応室とその周辺部の構成材
料にマグネシウムが含まれていると合成中に多結晶型c
BN焼結体内部にマグネシウムが拡散し不純物として取
り込まれる。
転換法の基本技術において、原料及び反応室とその周辺
部の構成材料としてマグネシウムを含まない高純度のも
のが用いられる。原料及び反応室とその周辺部の構成材
料にマグネシウムが含まれていると合成中に多結晶型c
BN焼結体内部にマグネシウムが拡散し不純物として取
り込まれる。
【0014】本発明で使用される原料は、熱分解窒化ほ
う素などの高純度の低圧相窒化ほう素であり、そのマグ
ネシウム含有量は1PPM以下であることが好ましい。ま
た、高温/高圧処理過程で汚染が起こらないように、反
応室内に原料を充填する際にはBNと反応せず不純物の
ゲッターとなる高純度のタンタル等の金属箔で包んでお
くことが望ましい。
う素などの高純度の低圧相窒化ほう素であり、そのマグ
ネシウム含有量は1PPM以下であることが好ましい。ま
た、高温/高圧処理過程で汚染が起こらないように、反
応室内に原料を充填する際にはBNと反応せず不純物の
ゲッターとなる高純度のタンタル等の金属箔で包んでお
くことが望ましい。
【0015】反応室とその周辺部の材質についても、マ
グネシウムを含まない高純度のものが用いられる。すな
わち、反応室兼加熱用ヒーターとしては半導体グレード
の99.9%以上の高純度カーボンを用いることが好まし
い。また、カーボンヒーターの外側とガスケットの間に
位置させるスリーブについてもマグネシウムが含まれな
いものが用いられる。スリーブにマグネシウムが多く含
まれていると、マグネシウムが高温下で反応室材質であ
るカーボン中を容易に拡散透過し反応室内部の原料及び
生成されるcBNを汚染してしまう。
グネシウムを含まない高純度のものが用いられる。すな
わち、反応室兼加熱用ヒーターとしては半導体グレード
の99.9%以上の高純度カーボンを用いることが好まし
い。また、カーボンヒーターの外側とガスケットの間に
位置させるスリーブについてもマグネシウムが含まれな
いものが用いられる。スリーブにマグネシウムが多く含
まれていると、マグネシウムが高温下で反応室材質であ
るカーボン中を容易に拡散透過し反応室内部の原料及び
生成されるcBNを汚染してしまう。
【0016】従来、スリーブの材質としては、天然鉱物
であるパイロフィライト、タルク、それらの焼成物、N
aCl粉末の成形体が用いられているが、これらの天然
鉱物には100PPM以上のマグネシウムが含まれているので
本発明には不適当である。本発明においては、マグネシ
ウム含有量1PPM以下の材料、たとえば高純度の熱分解窒
化ほう素粉末の成形体でスリーブを構成することが好ま
しい。
であるパイロフィライト、タルク、それらの焼成物、N
aCl粉末の成形体が用いられているが、これらの天然
鉱物には100PPM以上のマグネシウムが含まれているので
本発明には不適当である。本発明においては、マグネシ
ウム含有量1PPM以下の材料、たとえば高純度の熱分解窒
化ほう素粉末の成形体でスリーブを構成することが好ま
しい。
【0017】本発明の多結晶型cBN焼結体から砥粒を
作製する方法としては、多結晶型cBN焼結体を粉砕・
分級し、所望の粒度のものを得る方法がある。粉砕には
ロールクラッシャーなどの一般の粉砕機を用いれば良
く、また分級には篩を用いれば良い。粒度はJIS B
4130に規定されており、その一例をあげれば、80/1
00、100/120 メッシュなどである。
作製する方法としては、多結晶型cBN焼結体を粉砕・
分級し、所望の粒度のものを得る方法がある。粉砕には
ロールクラッシャーなどの一般の粉砕機を用いれば良
く、また分級には篩を用いれば良い。粒度はJIS B
4130に規定されており、その一例をあげれば、80/1
00、100/120 メッシュなどである。
【0018】本発明の多結晶型cBN焼結体から切削工
具を得る方法としては、多結晶型cBN焼結体から機械
加工によって所望の形状のものを切り出し、台座の上に
ろう材等で接着して切削工具用の工具チップとする方法
がある。機械加工のためにはダイヤモンド工具を用いれ
ば良く、またろう付けにはダイヤモンドやcBN用のろ
う材として一般に用いられているチタン系のものなどが
用いられる。
具を得る方法としては、多結晶型cBN焼結体から機械
加工によって所望の形状のものを切り出し、台座の上に
ろう材等で接着して切削工具用の工具チップとする方法
がある。機械加工のためにはダイヤモンド工具を用いれ
ば良く、またろう付けにはダイヤモンドやcBN用のろ
う材として一般に用いられているチタン系のものなどが
用いられる。
【0019】本発明の多結晶型cBN焼結体から摺動材
を得る方法としては、多結晶型cBN焼結体を所望の形
状に加工する方法がある。
を得る方法としては、多結晶型cBN焼結体を所望の形
状に加工する方法がある。
【0020】
【作用】本発明の多結晶型cBN焼結体及びそれを用い
た砥粒、切削工具、摺動材が高強度で耐摩耗性に優れる
理由としては、以下に説明するように、マグネシウム含
有量が極めて少ない本発明の多結晶型cBN焼結体が高
温にさらされてもそのマグネシウムが、硬度、強度及び
密度において多結晶型cBN焼結体よりも劣っている、
低圧相である六方晶系のBNに転移する触媒として機能
しないのでそれに転移せず、依然として多結晶型cBN
焼結体の特性が保持されていることにあると考えられ
る。
た砥粒、切削工具、摺動材が高強度で耐摩耗性に優れる
理由としては、以下に説明するように、マグネシウム含
有量が極めて少ない本発明の多結晶型cBN焼結体が高
温にさらされてもそのマグネシウムが、硬度、強度及び
密度において多結晶型cBN焼結体よりも劣っている、
低圧相である六方晶系のBNに転移する触媒として機能
しないのでそれに転移せず、依然として多結晶型cBN
焼結体の特性が保持されていることにあると考えられ
る。
【0021】すなわち、メタルボンド砥石やヴィトリフ
ァイド砥石などを作製する際には高温で成形する必要が
ある。また、切削工具を作製する際にも機械加工時やろ
う付け時にはかなりの高温にさらされる。
ァイド砥石などを作製する際には高温で成形する必要が
ある。また、切削工具を作製する際にも機械加工時やろ
う付け時にはかなりの高温にさらされる。
【0022】研削や切削中には、砥粒や切削工具と被削
物との間に大きな摩擦が生じ、研削熱や切削熱が発生す
る。また、摺動材には摩擦熱が生じる。このような研削
熱や切削熱の発生にともない、研削に関与している砥石
表面の砥粒や切削工具の刃先は1000℃以上の高温にもな
ると言われている。cBNは常圧下で不安定な物質であ
り1000℃を越える高温で処理されると低圧相である六方
晶系のBNに転移する。一方、超高圧高温下で低圧相の
BNをcBNに転移するときにはマグネシウムやその窒
化物などの触媒を用いると転移が著しく促進されること
が知られている。その結果、常圧高温下でcBNが低圧
相である六方晶系のBNに転移する際にはマグネシウム
やその窒化物などは触媒として機能しその転移を促進す
ることが考えられる。
物との間に大きな摩擦が生じ、研削熱や切削熱が発生す
る。また、摺動材には摩擦熱が生じる。このような研削
熱や切削熱の発生にともない、研削に関与している砥石
表面の砥粒や切削工具の刃先は1000℃以上の高温にもな
ると言われている。cBNは常圧下で不安定な物質であ
り1000℃を越える高温で処理されると低圧相である六方
晶系のBNに転移する。一方、超高圧高温下で低圧相の
BNをcBNに転移するときにはマグネシウムやその窒
化物などの触媒を用いると転移が著しく促進されること
が知られている。その結果、常圧高温下でcBNが低圧
相である六方晶系のBNに転移する際にはマグネシウム
やその窒化物などは触媒として機能しその転移を促進す
ることが考えられる。
【0023】従って、砥石や切削工具を作製する際や、
実際に工具として研削や切削を行った際のように、多結
晶型cBN焼結体が高温にさらされると、マグネシウム
を多く含むものはそれを含まないものに比べて低圧相で
ある六方晶系のBNに転移しやすくなる。低圧相である
六方晶系のBNはcBNと異なり、硬度や強度が小さく
またその密度も小さいので、それへ転移することによっ
て多結晶型cBN焼結体の強度や耐摩耗性が低下するこ
とになるが、本発明の多結晶型cBN焼結体ではその転
移を著しく阻止することができる。
実際に工具として研削や切削を行った際のように、多結
晶型cBN焼結体が高温にさらされると、マグネシウム
を多く含むものはそれを含まないものに比べて低圧相で
ある六方晶系のBNに転移しやすくなる。低圧相である
六方晶系のBNはcBNと異なり、硬度や強度が小さく
またその密度も小さいので、それへ転移することによっ
て多結晶型cBN焼結体の強度や耐摩耗性が低下するこ
とになるが、本発明の多結晶型cBN焼結体ではその転
移を著しく阻止することができる。
【0024】また、多結晶型cBN焼結体内部にマグネ
シウム不純物が偏析した場所があれば、そこから優先的
に六方晶系のBNに転移し、局所的な密度低下によって
体積膨張が起こりクラックの起点となるが、本発明の多
結晶型cBN焼結体ではそれがない。
シウム不純物が偏析した場所があれば、そこから優先的
に六方晶系のBNに転移し、局所的な密度低下によって
体積膨張が起こりクラックの起点となるが、本発明の多
結晶型cBN焼結体ではそれがない。
【0025】
【実施例】次に、実施例と比較例をあげてさらに具体的
に本発明を説明する。
に本発明を説明する。
【0026】実施例1〜3 比較例1 表1に示すさまざまなマグネシウム含有量を持つ市販の
熱分解窒化ほう素板を入手して原料とし多結晶型cBN
焼結体を合成した。
熱分解窒化ほう素板を入手して原料とし多結晶型cBN
焼結体を合成した。
【0027】すなわち、原料の熱分解窒化ほう素板から
外径30mm、厚さ2mm の円板を20枚切り出して積み重ねた
後、タンタルの金属箔で包んでカーボンチューブ内に充
填した。このカーボンチューブは反応室兼加熱用ヒータ
ーとして機能するものであり、半導体グレードの99.9%
以上の高純度カーボンで製作されているものである。一
方、カーボンチューブの外側と固体ガスケット間のスリ
ーブとして、マグネシウム含有量1PPMの熱分解窒化ほう
素粉末の成形体を配置した。スリーブの内径及び外径は
それぞれ34mm、50mmである。これらを内径60mmのフラッ
トベルト型超高圧高温発生装置に装填し、温度2050℃、
圧力8.0GPa下、150 分間処理して無触媒直接転換法によ
る多結晶型cBN焼結体を合成した。
外径30mm、厚さ2mm の円板を20枚切り出して積み重ねた
後、タンタルの金属箔で包んでカーボンチューブ内に充
填した。このカーボンチューブは反応室兼加熱用ヒータ
ーとして機能するものであり、半導体グレードの99.9%
以上の高純度カーボンで製作されているものである。一
方、カーボンチューブの外側と固体ガスケット間のスリ
ーブとして、マグネシウム含有量1PPMの熱分解窒化ほう
素粉末の成形体を配置した。スリーブの内径及び外径は
それぞれ34mm、50mmである。これらを内径60mmのフラッ
トベルト型超高圧高温発生装置に装填し、温度2050℃、
圧力8.0GPa下、150 分間処理して無触媒直接転換法によ
る多結晶型cBN焼結体を合成した。
【0028】得られた多結晶型cBN焼結体をロールク
ラッシャーで粉砕し分級して60/80メッシュの砥粒をよ
り分けた。この砥粒から、JIS R6003の方法に
より1gをサンプリングし、砥粒表面の不純物を酸処理と
純水洗浄で除去してから炭酸ソーダによるアルカリ溶融
処理してプラズマ発光分光法でマグネシウムの含有量を
測定した。
ラッシャーで粉砕し分級して60/80メッシュの砥粒をよ
り分けた。この砥粒から、JIS R6003の方法に
より1gをサンプリングし、砥粒表面の不純物を酸処理と
純水洗浄で除去してから炭酸ソーダによるアルカリ溶融
処理してプラズマ発光分光法でマグネシウムの含有量を
測定した。
【0029】次いで、上記実施例及び比較例で得られた
砥粒の100 カラットを用いて、直径200mm 、厚さ10mm、
集中度100 のビトリファイドボンド砥石を作製し、平面
プランジカット法による試験を60分間行い、この研削試
験で得られた砥石摩耗量及び被削物の表面粗さを測定し
た。これらの結果を表1に示す。なお、試験に用いた被
削材は軸受鋼SUJ2であり、研削条件は砥石周速度36
00m/min 、被削材送り速度9m/min、砥石切込み量15μm
である。
砥粒の100 カラットを用いて、直径200mm 、厚さ10mm、
集中度100 のビトリファイドボンド砥石を作製し、平面
プランジカット法による試験を60分間行い、この研削試
験で得られた砥石摩耗量及び被削物の表面粗さを測定し
た。これらの結果を表1に示す。なお、試験に用いた被
削材は軸受鋼SUJ2であり、研削条件は砥石周速度36
00m/min 、被削材送り速度9m/min、砥石切込み量15μm
である。
【0030】
【表1】
【0031】一方、切削工具及び摺動材についても、強
度と耐摩耗性を試験した結果、砥粒の場合と同様に本発
明の多結晶型cBN焼結体からなる切削工具及び摺動材
は比較例1の多結晶型cBN焼結体で構成されたものに
比べて格段に優れた性能を示した。
度と耐摩耗性を試験した結果、砥粒の場合と同様に本発
明の多結晶型cBN焼結体からなる切削工具及び摺動材
は比較例1の多結晶型cBN焼結体で構成されたものに
比べて格段に優れた性能を示した。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、強度と耐摩耗性に優れ
た長寿命で高精度な多結晶型cBN焼結体、砥粒、切削
工具、摺動材を得ることができる。
た長寿命で高精度な多結晶型cBN焼結体、砥粒、切削
工具、摺動材を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B24D 3/00 320 B
Claims (4)
- 【請求項1】 マグネシウム含有量が5PPM以下であるこ
とを特徴とする多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体。 - 【請求項2】 請求項1記載の多結晶型立方晶窒化ほう
素焼結体からなることを特徴とする砥粒。 - 【請求項3】 請求項1記載の多結晶型立方晶窒化ほう
素焼結体からなることを特徴とする切削工具。 - 【請求項4】 請求項1記載の多結晶型立方晶窒化ほう
素焼結体からなることを特徴とする摺動材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6082982A JPH07291733A (ja) | 1994-04-21 | 1994-04-21 | 多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体及びその用途 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6082982A JPH07291733A (ja) | 1994-04-21 | 1994-04-21 | 多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体及びその用途 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH07291733A true JPH07291733A (ja) | 1995-11-07 |
Family
ID=13789432
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6082982A Pending JPH07291733A (ja) | 1994-04-21 | 1994-04-21 | 多結晶型立方晶窒化ほう素焼結体及びその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH07291733A (ja) |
-
1994
- 1994-04-21 JP JP6082982A patent/JPH07291733A/ja active Pending
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