JPH0959068A - 耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体 - Google Patents

耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体

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JPH0959068A
JPH0959068A JP7234775A JP23477595A JPH0959068A JP H0959068 A JPH0959068 A JP H0959068A JP 7234775 A JP7234775 A JP 7234775A JP 23477595 A JP23477595 A JP 23477595A JP H0959068 A JPH0959068 A JP H0959068A
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boron nitride
cubic boron
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sintered compact
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文洋 植田
Chuichi Ohashi
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体を提
供する。 【解決手段】 炭素:50〜500ppm、酸素:50
〜500ppmを含有し、残りが実質的に硼素と窒素か
らなる組成を有し、平均結晶粒径が0.1〜1μmであ
る立方晶窒化硼素からなる立方晶窒化硼素焼結体および
その立方晶窒化硼素焼結体からなる切削工具。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、切削工具に適し
た耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体に関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】立方晶窒化硼素焼結体は、ダイヤモンド
に近い硬度を有し、しかも鉄族金属との反応性が著しく
小さいために、鋼、ニッケル合金、コバルト合金などの
鉄族金属およびその合金の切削を行うことができ、近
年、切削工具として広く使用されている。
【0003】この立方晶窒化硼素焼結体の製造方法の1
として、微細な六方晶窒化硼素粉末を温度:2000〜
3000℃、圧力:55〜85kbarに保持して高温
高圧処理する方法が知られている。この場合、粒径の小
さな六方晶窒化硼素を原料とするほど微細な粒径の立方
晶窒化硼素焼結体が得られ、立方晶窒化硼素焼結体の粒
径は切削性能に影響を及ぼし、粒径が小さく緻密な立方
晶窒化硼素焼結体であるほど優れた切削性を有するとい
われている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、近年、切削効
率を高めてコストを一層削減しようとしており、それに
伴って、立方晶窒化硼素焼結体からなる切削工具も従来
より一層過酷な条件で使用され、そのため、切削工具の
摩耗が激しく、工具寿命は一層短いものとなっていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者は、かか
る過酷な条件で切削しても、摩耗の少ない立方晶窒化硼
素焼結体を得るべく研究を行った結果、(a)立方晶窒
化硼素に含まれる炭素が硬さに影響を及ぼし、炭素が5
0〜500ppm含まれる立方晶窒化硼素は硬さが一層
向上する、(b)その時立方晶窒化硼素に含まれる酸素
は50〜500ppmの範囲内にあることが好ましい、
(c)六方晶窒化硼素を高温高圧処理して得られた立方
晶窒化硼素焼結体の立方晶窒化硼素の平均結晶粒径が
0.1〜1μmにあると、強度が向上し、この立方晶窒
化硼素焼結体からなる切削工具は寿命が向上する、など
の知見を得たのである。
【0006】この発明は、かかる知見に基づいて成され
たものであって、(1)炭素:50〜500ppm、酸
素:50〜500ppmを含有し、残りが実質的に硼素
と窒素からなる組成を有し、平均結晶粒径が0.1〜1
μmである立方晶窒化硼素からなる耐摩耗性に優れた立
方晶窒化硼素焼結体、(2)前記(1)記載の耐摩耗性
に優れた立方晶窒化硼素焼結体からなることを特徴とす
る切削工具、に特徴を有するものである。
【0007】この発明の耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼
素焼結体を構成する立方晶窒化硼素の平均結晶粒径を
0.1〜1μmとしたのは、立方晶窒化硼素の平均結晶
粒径を0.1μm未満にすることは、本発明法では不可
能であり、一方、平均粒径:1μmを越えると、硬度が
低下するので好ましくないことによるものである。この
発明の耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体を構成す
る立方晶窒化硼素の平均結晶粒径の一層好ましい範囲は
0.2〜0.5μmである。
【0008】また、立方晶窒化硼素焼結体を構成する立
方晶窒化硼素に含まれる炭素量を50〜500ppmに
したのは、立方晶窒化硼素に含まれる炭素量が50pp
m未満では硬さの十分な増加効果が得られず、一方、5
00ppmを越えると立方晶窒化硼素粒子同志の結合が
小さくなって強度が低下するので好ましくないことによ
るものである。この発明の耐摩耗性に優れた立方晶窒化
硼素焼結体を構成する立方晶窒化硼素に含まれる炭素量
の一層好ましい範囲は100〜300ppmである。
【0009】さらに、立方晶窒化硼素焼結体を構成する
立方晶窒化硼素に含まれる酸素量を50〜500ppm
にしたのは、立方晶窒化硼素に含まれる酸素量が50p
pm未満にすることは実質的に不可能であり、一方、5
00ppmを越えると立方晶窒化硼素焼結体中に硼素の
酸化物が析出して強度が低下するので好ましくないこと
によるものである。この発明の耐摩耗性に優れた立方晶
窒化硼素焼結体を構成する立方晶窒化硼素に含まれる酸
素量の一層好ましい範囲は100〜300ppmであ
る。
【0010】この発明の平均結晶粒径:0.1〜1μ
m、炭素:50〜500ppm、酸素:50〜500p
pmを有する耐摩耗性に優れた立方晶窒化硼素焼結体
は、原料として、平均粒径:2〜3μmの六方晶窒化硼
素粉末を用い、この六方晶窒化硼素粉末を窒素中、14
00〜1800℃に2〜6時間保持することにより、六
方晶窒化硼素粉末に含まれる酸素量を低く調整し、さら
にこの六方晶窒化硼素粉末にポリエチレングリコールを
添加し、アルゴン雰囲気中、温度:800〜1000
℃、2〜4時間保持の条件で処理することにより六方晶
窒化硼素粉末に炭素を含有せしめ、この様に酸素量およ
び炭素量を調整した六方晶窒化硼素粉末を圧力:7GP
a、温度:2000℃、2〜4時間保持の条件の超高圧
高温処理することにより得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】原料粉末として、純度:99.7
重量%、表1に示される平均粒径の六方晶窒化硼素粉末
を用意し、この六方晶窒化硼素粉末を窒素雰囲気中の表
1に示される条件にて処理することにより酸素含有量に
調整し、さらにこの酸素含有量を調整した六方晶窒化硼
素粉末に表1に示される量のポリエチレングリコールを
添加したものをアルゴン雰囲気中の表1に示される条件
にて処理することにより炭素含有量を調整し、これら酸
素含有量および炭素含有量の調整された六方晶窒化硼素
粉末をペレットに成形し、このペレットを圧力:7GP
a、温度:2000℃、30分間保持の条件で超高圧高
温処理することにより表2に示される平均粒径、炭素含
有量および酸素含有量を有する本発明立方晶窒化硼素焼
結体1〜10を製造した。
【0012】一方、比較のために、市販の立方晶窒化硼
素焼結体を従来立方晶窒化硼素焼結体として用意し、こ
の従来立方晶窒化硼素焼結体の平均粒径、炭素含有量お
よび酸素含有量を測定し、その結果を表2に示した。
【0013】これら本発明立方晶窒化硼素焼結体1〜1
0および従来立方晶窒化硼素焼結体を1辺5mm、厚み
1mmの正三角形に切断し、チップ形状:TNGA33
2の台金にろう付けし、これをPTGNL44M16形
状のホルダーに固定して切削工具を作製し、この切削工
具を用いて、 被削材:超硬合金、 切削速度:30m/分、 送り:0.1mm/rev、 切込み:0.1mm、 切削時間:60min、 の条件で湿式連続切削試験を行ない、切削工具の逃げ面
摩耗幅を測定し、それらの結果を表2に示した。
【0014】
【表1】
【0015】
【表2】
【0016】
【発明の効果】表2に示される結果から、本発明立方晶
窒化硼素焼結体1〜10は、従来立方晶窒化硼素焼結体
に比べて逃げ面摩耗幅が小さいところから優れた耐摩耗
性を示すことが分かる。上述のように、この発明の立方
晶窒化硼素焼結体は優れた耐摩耗性を示すことから、従
来よりも一層過酷な条件で切削を行っても切削寿命を長
く保つことができ、産業上優れた効果を奏するものであ
る。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素:50〜500ppm、酸素:50
    〜500ppmを含有し、残りが実質的に硼素と窒素か
    らなる組成を有し、平均結晶粒径が0.1〜1μmであ
    る立方晶窒化硼素からなることを特徴とする耐摩耗性に
    優れた立方晶窒化硼素焼結体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の耐摩耗性に優れた立方晶
    窒化硼素焼結体からなることを特徴とする切削工具。
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