JP2004196567A - 高純度超微粒子立方晶窒化ホウ素焼結体とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】粒径幅0〜0.1μmのcBN超微粒子を原料として、このcBN超微粒子粉末を焼結助剤無添加で5〜6万気圧、1600〜1800℃の圧力、温度領域で高圧焼結することにより、緻密な高硬度高純度超微粒子cBN焼結体を得た。更に、前述のcBN超微粒子に適当なアルカリ処理により清浄化処理して一次粒子の凝集、粒子表面の汚染を排除して焼結原料とした。焼結助剤無添加で5〜6万気圧、1800℃の圧力、温度領域で高圧焼結することにより、緻密な透光性の高硬度高純度超微粒子cBN焼結体を得た。これらにより超微粒子粉末の適当な前処理と焼結条件の最適化により、従来なしえなかった高純度のcBN超微粒子焼結体が5〜6万気圧領域で合成が可能となった。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持ち、鉄系金属に対してはダイヤモンドよりも安定であるため、鉄系金属の切削工具、研削材等として従来の機械加工分野に技術革新をもたらすことが期待できる高純度超微粒子cBN焼結体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
鉄系金属の切削工具、研削材として多様な形態のcBN焼結体が用いられてきた。これらは鉄系材料の機械加工に優れた特徴を有し、現代の産業基盤である機械加工分野で重要な位置を占めている。これまでに用いられてきたcBN焼結体は4〜5万気圧領域において種々の焼結助剤と供に焼結した複合焼結体であり、cBNの含有量は約40〜90wt%程度まで種々のものが開発されている。切削工具として用いる際には被削材の特性に応じてcBNの含有量が制御されているが、近年cBN含有量が100%の高純度焼結体により優れた切削性能が現れることが見いだされている(非特許文献1、2)。
【0003】
焼結助剤を含まないcBN含有量が100%の高純度cBN焼結体の合成には2通りの方法がある。一つは六方晶などの低圧相窒化ホウ素を原料として、高圧高温度下で高圧相であるcBNへの相転移を進めながら同時に焼結反応を進行させるものである。これにより7.7万気圧、2000℃領域において緻密な透光性cBN焼結体の合成が報告されている(非特許文献3)。また、原料の六方晶窒化ホウ素に塩酸を少量添加することにより6.5万気圧、1900℃の温度圧力条件下で透光性cBN焼結体の合成が報告されている(非特許文献4)。
【0004】
もう一方は、市販のcBN粉末を原料として、これを焼結助剤無添加で焼結するもので、7.7GPa、2000℃領域においてやはり緻密な透光性cBN焼結体と、これに半導体特性を付与した焼結体の合成が報告されている(非特許文献5、特許文献1)。これら高純度cBN焼結体は高硬度であり、とりわけ7.7万気圧、2000℃領域で合成された高純度焼結体は優れた切削性能を有し、今後の機械加工分野において重要な役割を果たすと予想されている。
【0005】
しかしながら、これら高純度cBN焼結体の合成条件は6.5〜7.7万気圧、1900℃以上と云う過酷なものである。現在の工業的規模、技術的水準を勘案すると、現行の低圧領域で合成される複合焼結体と比較した場合、大型の焼結体工具素材としての安定供給、製造コストの点で従来技術による高純度焼結体の合成方法には改善の余地が大きい。
【0006】
一方、焼結体を切削工具として使用する際には、被削材の加工面の面粗さは焼結体の構成粒子径の大きさの影響を受ける。このため、材料の鏡面加工などの精密加工を目的とした場合、焼結体の粒子径は可能な限り微少であることが望まれる。現在までに得られている高純度cBN焼結体の粒子径は微粒径のものでも0.5μm程度までであり、これ以下の粒子径の緻密な高純度焼結体の合成は報告されていない。
【0007】
【非特許文献1】
山岡,赤石,植田,New Diamond,22 28(1991)
【非特許文献2】
H.Sumiya and S.Uesaka,J.Mater.Res.,35,1181(2000)
【非特許文献3】
M.Akaishi、他、J.Mater.Sci.Let., 12,1883(1993)
【非特許文献4】
H.Sei 他, Diamond Relat.Mater.,2,1160(1993)
【非特許文献5】
T.Taniguchi,et.al.,J.Mater.Res.,14,162(1999)
【特許文献1】
特許第2725733号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
自動車産業等に代表される機械加工工程の高効率化、環境保全を実現する上で、既存のcBN(立方晶窒化ホウ素)焼結体工具の特性向上が求められている。工具の特性向上には、焼結体構造の微細な制御が不可欠であり、その為には現在需要が増大しているcBN焼結体工具の高純度化と微粒子化を実現することには大きな意義がある。従来の技術では7.7万気圧、2000℃以上の圧力、温度領域で高純度cBN焼結体の合成が可能であったが、工具として広く普及するためにはその合成条件の厳しさに由来する供給の不安定性、コスト高の問題があった。
【0009】
焼結体の合成条件が5万気圧領域であることは、現在の工業的規模で工具材料としての安定供給、普及を図る点で重要である。このため焼結助剤の使用は焼結条件の緩和のためには有効であるが、得られた焼結体の切削工具としてのcBN本来の特性を阻害する要因となる。また、焼結体の強度は構成粒子径に依存することが知られているが、微粒子が緻密に焼結した組織では焼結体組織中に内在する微少亀裂のサイズが小さくなるために焼結体としての強度が向上すること、また切削工具として用いた場合には被削材の面粗さが微小粒子径からなる工具材料により向上することなどが期待できる。
【0010】
すなわち、本発明が解決しようとする課題は、6.5GPa以上という従来の厳しい焼結条件を緩和し、切削工具材料として有用な焼結体の構成粒子径が超微粒の高純度cBN焼結体の合成を現行の工業生産技術が適用できる5万気圧領域において可能にすることである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
焼結助剤無添加で高純度cBN焼結体を合成するプロセスを検討したところ、上述の低圧相窒化ホウ素からの相転移を利用したプロセスでは合成圧力の低減を図ることは困難であり、低圧力領域では原料の低圧相成分が焼結体中に残留し、良好な焼結体が得られない。
【0012】
これに対してcBN粒子を直接焼結する後者のプロセスでは低圧領域の焼結では低圧相窒化ホウ素が残留する等の阻害要因は見いだされない。7.7万気圧領域において0.5〜1.2μm、2〜4μm、8〜12μmの各初期粒子径のcBN粒子の焼結助剤無添加における焼結特性を評価した結果、粒径が小さい粒子ほど焼結が進行しやすく、透光性となる温度下限も低いという結果が見いだされた(T.Taniguchi,et.al.,J.Mater.Res.,14,162(1999),T.Taniguchi Sci & Technol.High Press,in Proc.AIRAPT-17(Univ. Press (India),2000) pp893.)。
【0013】
ここで見いだされたcBN粒子の一連の焼結挙動の中で、緻密で強固な焼結体組織を形成する上では、構成粒子間の結合が良好に形成されることが前提となること、その際の駆動力として構成粒子が自身の表面積を減少させようとして働く表面エネルギーの効果が重要であることに着目した。すなわち、微小な粒子は粗い粒子よりも表面積が大きいため、焼結のための駆動力が高く、焼結と緻密化が進行しやすいと考えることができる。7.7万気圧領域におけるcBN粒子の焼結実験において検証されたこの考えは、低圧領域におけるcBN粒子の焼結にも適用が可能であると考えられるが、これまで低圧力領域における焼結助剤を用いない微粒子の焼結挙動は明らかにされていなかった。そこで、7.7万気圧領域で用いた場合よりも更に微細なcBN超微粒子を原料として、低圧力領域における焼結助剤無添加での高圧焼結を試みた。
【0014】
なお、cBN超微粒子については規格化された測定方法に基づく粒度規格は存在しないが、粒径幅を0〜1/10、0〜1/4、0〜1/2、0〜1、0〜2、1〜3、2〜4、4〜8のように区分して標準粒度規格(中心粒径は粒径幅の中間値)としたものに基づいて市販されており、本明細書において、cBN超微粒子の粒径幅はこのような区分に基づくものである。
【0015】
尚、焼結助剤無添加で焼結を進行させる上では、物質の固相反応を促進するために焼結温度を高めに設定する必要があり、この際には対象物質の高温度下での安定性が重要な条件となる。cBNや類似の超硬質材料であるダイヤモンド等の高圧安定相の焼結温度の上限は、これら物質の熱力学的に安定な温度条件以下に規定される。これ以上の温度では低圧相への逆転換が進行し、良好な焼結体は得られない。
【0016】
この熱力学的安定性に着目するとcBNはダイヤモンドと比較して高温度まで安定であり、5万気圧領域における焼結温度条件はダイヤモンドが1500℃程度であるのに対してcBNは1900℃程度の高温度まで設定が可能である。この熱力学的安定条件を考慮すると、微細なcBN粒子は従来よりも低い圧力条件での焼結が可能であるとの作業仮説を立てることができる。
【0017】
5〜6万気圧領域において市販の0〜0.1μm及び0〜0.25μm、0〜1μmの各種(粒子径)粒径範囲のcBN粉末を1400〜2000℃迄の範囲で高圧、高温処理し、得られた焼結体の特性を評価した。得られた焼結体は初期粒子径が0〜0.25μm、0〜1μmの場合、合成条件を制御しているにも拘わらずその特性にばらつきが見られ、焼結組織は不均質で強度も不十分なものであった。
【0018】
一方、初期粒子径0〜0.1μmの場合には5万気圧、1600℃以上の圧力、温度条件において焼結助剤無添加で緻密なcBN焼結体が得られた。焼結体のビッカース硬度は45GPa程度(試験加重9.8N)であり、焼結助剤を添加したcBN複合焼結体の特性を大きく上回る特性が得られた。また、焼結後の構成粒子径は平均粒径0.1〜0.2μm程度であり、これにより高純度超微粒子cBN焼結体の合成が可能となった。
【0019】
一方、微粒子の焼結条件を最適化する上で留意すべき点は原料粉末の凝集状態や粒子表面の汚染状況にある。市販のcBN超微粒子粉末は、一次粒子が凝集により数ミクロン程度の凝集体となっている。そこで、これらcBN超微粒子の洗浄を行った。cBNは強酸に対しては安定であるが、アルカリ溶液により高温でエッチングされることが知られている。0〜0.1μmの粒径範囲のcBN超微粒子を5モルのアルカリ水溶液で清浄化処理した後に純水で洗浄し、凍結乾燥処理して焼結のための原料粉末とした。
【0020】
この粉末を4.5〜6万気圧、1500〜1800℃領域で高圧焼結し、得られた焼結体を評価した。その結果、5万気圧、1600℃以上の圧力、温度条件において焼結助剤無添加で緻密なcBN焼結体が得られた。この際、焼結温度1800℃において透光性の焼結体が得られた。焼結体のビッカース硬度は45GPa程度(試験加重9.8N)であり、焼結助剤を添加したcBN複合焼結体の特性を大きく上回る特性が得られた。また、走査型及び透過型電子顕微鏡観察により測定した焼結後の構成粒子の平均粒径は0.1〜0.2μm程度であり、これにより透光性の高純度超微粒子cBN焼結体の合成が可能となった。
【0021】
以上の実験から、初期粒子径0〜0.1μmのcBN超微粒子粉末を5万気圧、1600℃以上の圧力、温度条件で焼結することにより緻密で微細な組織を有する高硬度高純度超微粒子cBN焼結体が合成できることを見いだした。本発明は、この知見に基づいて成されたものである。
【0022】
すなわち、本発明は以下、(1)から(3)に記載する構成を講じることにより、従来技術、先行技術では得ることのできなかった、高硬度超微粒子cBN焼結体を提供しようとするものである。
【0023】
超微粒子cBN焼結体の原料粉末として粒径範囲0〜0.1μmの超微粒子を用い、5万気圧、1600〜1800℃の圧力、温度条件で焼結することにより高硬度高純度超微粒子cBN焼結体が得られる。
【0024】
アルカリ溶液により粒子表面の清浄化処理を施した初期粒子径0〜0.1μmのcBN超微粒子粉末を5万気圧、1800℃以上の圧力、温度条件で焼結助剤を無添加で焼結することにより、透光性の高硬度高純度超微粒子cBN焼結体が得られる。
【0025】
上記(1)及び(2)の合成条件において圧力が5万気圧以下では焼結温度によらず、良好な焼結体は得られない。また焼結温度が1600℃以下では強固な焼結体組織が得られず、焼結温度が1900℃以上では顕著な粒成長が見られ、焼結体の強度は低下する。このため、良好な焼結体を得るための条件は5〜6万気圧領域において1600〜1800℃の温度範囲となる。この条件下で初期粒子径が0〜0.1μmの原料粉末を用いた場合、焼結体の平均粒子径は0.1〜0.2μm程度であり、ビッカース硬度は45GPa程度(試験加重9.8N)であり、従来の助剤を添加した複合焼結体の特性を著しく上回る特性が得られた。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び図面に基づいて説明する。
実施例1
市販の粒径0〜0.1μmのcBN粉末を高圧容器内のタンタルカプセルに充填し、ベルト型超高圧力発生装置により5.5万気圧、1600℃の圧力、温度条件で30分間焼結した。この際にいっさいのcBN焼結助剤は添加しなかった。昇温速度は5℃/分程度である。焼結後500℃/分程度で冷却後除圧し、試料を圧力容器内のタンタルカプセルと共に回収した。機械的あるいは化学処理(弗酸−;硝酸混液)によりタンタルカプセルを除去し試料を回収した。
【0027】
試料の評価はダイヤモンド砥粒による研磨を施した後に硬度測定、破面の走査型電子顕微鏡(SEM)及び透過型顕微鏡(TEM)観察、X線回折による相の同定を行った。図1に示すとおり、X線回折図形より、焼結体はcBN単相であり、図2に示すSEM及び図3に示すTEM観察によれば平均粒子径0.1〜0.2μm程度である。試験加重9.8Nにおいてビッカース硬度45GPa程度であり、得られた焼結体は高硬度高純度超微粒子cBN焼結体であることが示された。
【0028】
実施例2
市販の初期粒子径0〜0.1μmのcBN粉末を2gr、水酸化ナトリウム5mol水溶液と共にフッ素樹脂製密閉容器(内容積100ml)に充填し、150℃で24時間保持した。これを室温まで冷却した後、フッ素樹脂容器内のアルカリ溶液を純水で洗浄した。初期のアルカリ溶液の100倍以上の純水による5回の洗浄を施した後、20cc程度の純水に浸されたcBN超微粒子粉末に凍結乾燥処理を施し、焼結のための原料粉末とした。この粉末を高圧容器内のタンタルカプセルに充填し、実施例1と同様の高圧高温処理を行った。
【0029】
X線回折による相の同定、SEMとTEMによる破断面の組織観察、研磨面のビッカース硬度試験による焼結体の評価を行った。図1に示した焼結体のX線回折図形より、焼結体はcBN単相であり、図2及び3のSEM及びTEM観察写真が示すように平均粒子径0.1〜0.2μm程度であり、異常粒成長による粗大粒子のない均質な組織である。試験加重9.8Nにおいてビッカース硬度45GPa程度であり、得られた焼結体は高硬度高純度超微粒子cBN焼結体であることが示された。また、焼結温度が1800℃の場合には、同様の条件で得られた焼結体は透光性を呈することが見いだされた。
【0030】
実施例3
実施例1記載のcBN微粉末の前処理において、無水のNaOHをジルコニア製ルツボ内で溶融し、400℃程度に保持した状態で5g程度のcBN微粒子粉末を投入し、3分間程度煮沸することにより、実施例2と同様の清浄化処理を行った。初期粒子径0〜0.1μmのcBN粒子にこの処理を施した後、純水により洗浄し、凍結乾燥処理を行い、5万気圧、1600℃で高圧焼結した。得られた試料は実施例2に記載したものと同様に高硬度高純度超微粒子cBN焼結体であった。
【0031】
比較例1
実施例1記載のプロセスにおいて初期粒子径0〜0.25μm及び0〜1μmのcBN粒子を原料として焼結体を作製した。焼結条件5〜6万気圧、1600〜1800℃においては、得られた焼結体はビッカース硬度は30GPa(試験加重9.8N)以下であり、実施例1で見られた初期粒子径0〜0.1μmの場合と比較して著しく強度が劣るものであった。本高純度超微粒子焼結体の製造法において、その高強度化と透光性の発現挙動にはcBNの粒子サイズが重要であることが比較例から明らかとなった。
【0032】
比較例2
実施例1記載のプロセスにおいて焼結条件4.5万気圧、1600〜1800℃においては、得られた焼結体のビッカース硬度は30GPa(試験加重9.8N)以下であった。また5〜6万気圧領域において1500℃で焼結した場合、得られた焼結体のビッカース硬度は30GPa(試験加重9.8N)以下であった。同様の圧力領域において1900℃で焼結した場合、得られた焼結体の強度は粒成長により著しく低下し、ビッカース硬度は30GPa(試験加重9.8N)であった。本高純度超微粒子焼結体の製造法において、その高強度化と透光性の発現挙動には焼結温度と圧力の最適化が重要であることが比較例から明らかとなった。
【0033】
各実施例並びに比較例は、本発明において高純度cBN焼結体を5〜6万気圧の領域で作製する際に、焼結温度の最適化と供に原料粉末の初期粒子径の選択と前処理が重要であることを示している。原料粉末は微細であれば焼結のための駆動力が大きいために焼結が進行しやすいが、この効果を実現するためには適当な初期粒子径の選択と粒子表面の清浄化の為の前処理が重要となる。本発明においては適当な粒子径のcBN超微粒子粉末を選択し、望ましくは適当な前処理を施して清浄化することで、従来技術では不可能であった5万気圧領域で、焼結助剤を用いることなく高硬度高純度超微粒子cBN焼結体が得られた。
【0034】
【発明の効果】
本発明では通常のcBN複合焼結体を合成する圧力、温度領域においてcBN含有量が100%の高純度cBN焼結体を合成できる点に価値があり、同時に従来の技術では得られなかった平均粒径0.1〜0.2μm程度の超微粒子cBN焼結体の供給が可能となった。
【0035】
本発明に見られるような機械加工工具の技術革新により、機械加工分野における生産性の向上とエネルギー消費量の低減、従来の湿式から乾式工程への移行に伴う冷却水の消費、産業排水の削減が可能となることが期待される。更に研磨・研削比の向上に伴い、従来型の砥粒の使用に比して研磨屑、研削液の排出量が減少する。即ち加工に伴う廃棄物の減量が可能であり、省資源、省エネルギーに加えて、環境保全にも貢献する等の多大な効果が期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1において合成した高純度超微粒子cBN焼結体のX線回折図形である。
【図2】実施例1において合成した高純度超微粒子cBN焼結体の破断面の図面代用走査型電子顕微鏡写真である。
【図3】実施例1において合成した高純度超微粒子cBN焼結体の破断面の図面代用透過型電子顕微鏡写真である。
Claims (4)
- 粒径幅0〜0.1μmの立方晶窒化ホウ素(以下、cBNとして記載する)粉末をcBNが熱力学的に安定な5GPa、1600℃以上の高圧高温条件で焼結した、cBN含有量が100%で、焼結体の粒子径が200nm以下の高純度超微粒子cBN焼結体。
- 粒径幅0〜0.1μmのcBN粉末をアルカリ水溶液またはアルカリ融液中で処理した後に、cBNが熱力学的に安定な5.5GPa、1800℃以上の圧力温度条件で焼結した透光性を有することを特徴とする請求項1記載の高純度超微粒子cBN焼結体。
- 粒径幅0〜0.1μmの立方晶窒化ホウ素粉末をcBNが熱力学的に安定な5GPa、1600℃以上の高圧高温条件で焼結することを特徴とする請求項1記載の高純度超微粒子cBN焼結体の製造法。
- 粒径幅0〜0.1μmのcBN粉末をアルカリ水溶液またはアルカリ融液中で処理したした後に、cBNが熱力学的に安定な5.5GPa、1800℃以上の圧力温度条件で焼結することを特徴とする請求項2記載の高純度超微粒子cBN焼結体の製造法。
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