JPH07290911A - ラリー用空気入りラジアルタイヤ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 耐カット性を向上したラリー用空気入りラジ
アルタイヤを提供する。 【構成】 タイヤＴはそのサイドウォール２に環状リブ
９を形成したサイドプロテクター８を有し、テキスタイ
ルコード層１１で補強されている。コード層１１のコー
ド角は２５°〜５０°とされてエッジセパレーションを
防止している。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、ラリー等のモータース
ポーツ用の車両に装着されるラリー用空気入りラジアル
タイヤに関する。

【０００２】

【従来の技術】不整地を走行する機会が多いラリー用空
気入りラジアルタイヤは、岩石などの障害物に当たるこ
とにより、サイドウォールに亀裂が生じ、この亀裂が成
長しカットバーストに到ることが多い。このため、サイ
ドウォールの亀裂及びその成長を防止・抑制する種々の
手段が講じられている。

【０００３】そのひとつは、タイヤのサイドウォール外
表面に配置されたサイドプロテクターと、このサイドプ
ロテクターの外表面にタイヤ周方向に沿って形成された
複数本の環状リブと、対のビードコアを互いに連結して
いてトロイド状に形成されているラジアルカーカスと、
該カーカスのコード角より小さい角度でかつ該コードと
交差するテキスタイルコードを有するコード層と、を備
え、該コード層を、前記環状リブの形成領域のサイドプ
ロテクターと前記ラジアルカーカスとの間に該カーカス
と離間しかつ前記サイドプロテクターをカバーする範囲
で備えている技術がある（特開平３−８２６１１号公報
参照、従来例の１）。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】前述した従来例の１に
係るラリー用空気入りラジアルタイヤは、テキスタイル
コード層のコード角がタイヤの周方向に対して７０°〜
８５°とされていて、そのコードがタイヤ表面の伸び方
向とほぼ平行であるため、コード間の伸びが少なく、コ
ードとゴムの伸びが著しく異なることと相まってタイヤ
が走行した場合、応力がコード端部に集中し、所謂エッ
ジセパレーションが比較的早期に発生するという課題が
あった。

【０００５】また、従来例の１ではテキスタイルコード
層の径外端及び径内端は所謂自由端とされていて、タイ
ヤが走行した場合、自由な動きをしてこの挙動の繰返し
によってもセパレーションが発生するおそれがあった。
そこで本発明は、テキスタイルコード層のカバー範囲を
一定としたとき、該コード角を設定することによって実
質的にコード長さを長くして応力集中を緩和することを
第１の目的とし、第２の目的は、テキスタイルコード層
の径外端又は径内端を挟着してその自由な挙動を抑える
ことでセパレーション発生を抑制した点にある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は、タイヤＴのサ
イドウォール外表面に配置されたサイドプロテクター８
と、このサイドプロテクター８の外表面にタイヤ周方向
に沿って形成された複数本の環状リブ９と、対のビード
コア４を互いに連結していてトロイド状に形成されてい
るラジアルカーカス５と、該カーカス５のコード角より
小さい角度でかつ該コードと交差するテキスタイルコー
ド１１Ａを有するコード層（１１）と、を備え、該コー
ド層（１１）を、前記環状リブ（９）の形成領域のサイ
ドプロテクター（８）と前記ラジアルカーカス（５）と
の間に該カーカス（５）と離間しかつ前記サイドプロテ
クター（８）をカバーする範囲で備えているラリー用空
気入りラジアルタイヤにおいて、前述の第１の目的を達
成するために、次の技術的手段を講じている。

【０００７】すなわち、請求項１に係る本発明は、前記
テキスタイルコード層（１１）のコード（１１Ａ）は、
タイヤの周方向に対する角度が２５°〜５０°とされて
いることを特徴とするものである。また、前記第２の目
的を達成するために、次の技術的手段を講じている。す
なわち、請求項２に係る本発明では、前記テキスタイル
コード層（１１）は、その径外端（１１Ｂ）を延伸して
バットレス部分（１０）においてベルト層（６）とトレ
ッドカーカス（５Ａ）とで挟着されていることを特徴と
するものである。

【０００８】更に、請求項３に係る本発明では、前記テ
キスタイルコード層（１１）は、その径内端（１１Ｃ）
を延伸してビードコア（４）とホイールリムとで挟着さ
れるビード部（１）に配置していることを特徴とするも
のである。また、請求項４に係る本発明では、前記テキ
スタイルコード層（１１）は、その径外端（１１Ｂ）を
延伸してバットレス部分（１０）においてベルト層
（６）とトレッドカーカス（５Ａ）とで挟着され、更
に、前記テキスタイルコード層（１１）は、その径内端
（１１Ｃ）を延伸してビードコア（４）とカールリムと
で挟着されるビード部（１）に配置していることを特徴
とするものである。

【０００９】更に、前記第１・２の目的を達成するた
め、請求項５に係る本発明では前記請求項２〜４におい
て、テキスタイルコード層（１１）のコード（１１Ａ）
は、タイヤの周方向に対する角度θが２５°〜５０°と
されていることを特徴とするものである。

【００１０】

【作用】本発明に係るラリー用空気入りラジアルタイヤ
Ｔを車両に装着して走行するとき、タイヤＴのサイドウ
ォール２に岩石等が当たった場合、複数の環状リブ９と
テキスタイルコード層１１とによって、従来例の１とほ
ぼ同等な基本的作用を奏する他、次の特有な作用を奏す
る。

【００１１】すなわち、テキスタイルコード層１１のコ
ード角θは、タイヤＴの周方向に対して２５°〜５０°
とされていて該コード層１１の径方向幅Ｗを一定とした
場合、従来例の１のコード角が７０°〜８５°に比べコ
ード長さが長くなり、コード１１Ａを構成する糸の伸び
が長くなることで応力の集中を緩和し、更に、コード１
１Ａのコード間のゴムの伸びで応力を吸収してエッジセ
パレーションを防止する。

【００１２】コード角θが２５°以下であれば、コード
１１Ａのコード間のゴム層が伸びすぎてここに亀裂を生
じ易く、一方、５０°以上であればコード１１Ａの伸び
が小さく応力吸収が少なくなる。また、コード層１１の
径外端１１Ｂをベルト層６とトレッドカーカス５Ａとで
挟着することによって、該径外端１１Ｂの自由な動きが
防止されるし、径内端１１Ｃをビードコア４とホイール
リムとでロックすることによって自由な動きが防止され
るし、径内・外端１１Ｂ，１１Ｃの双方を挟着すること
でコード層１１の自由な動きは完ぺきに阻止される。

【００１３】

【実施例】以下、図を参照して本発明の実施例を説明す
る。図１および図２は、請求項１に係る本発明のラリー
用空気入りラジアルタイヤＴの実施例を示しており、該
タイヤＴはホイールリムに嵌合される左右一対のビード
部１と、このビード部１にサイドウォール２を介してト
ロイド状として連設されているトレッドクラウン３とで
主構成されている。

【００１４】タイヤ半径方向内周部に位置するビード部
１にはリング状に配置されたビードコア４が埋設されて
いて、この対のビードコア４はトロイド状に形成されて
いるラジアルカーカス５で互いに連結されている。図示
の実施例では、カーカス５は２プライとされているが、
これは１プライでも２プライ以上であってもよく、その
コードのタイヤ周方向に対する角度は７０°〜９０°と
されている。

【００１５】ラジアルカーカス５におけるトレッドカー
カス５Ａの外周にはベルト層６が図示例では２層構造と
して重ね合わされており、該ベルト層６の両端部はジョ
イントレスキャッププレイヤ７で押えられている。ま
た、カーカス５はビードコア４の廻りを内側から外側に
向かって折返されていて、その折返し部５Ｂの径外端
は、タイヤ最大幅付近のサイドウォール２の近傍まで延
伸されている。

【００１６】タイヤＴのサイドウォール２の外表面には
サイドプロテクター８が配置されており、該サイドプロ
テクター８の外表面にはタイヤ周方向に沿って形成され
た環状溝を介して複数本の環状リブ９が備えられ、タイ
ヤＴのサイドウォールが岩石等の障害物に遭遇したとき
環状リブ９が弾性変形することによってサイドウォール
からの入力を負担して入力を緩和しているとともにサイ
ドプロテクター８に亀裂が発生した場合には、環状リブ
９により亀裂成長を防止する。

【００１７】このため、サイドプロテクター８を構成す
るゴム材のショアＡ硬度は、５０以上及び３００％伸展
モジュラス値は５５ｋｇ／ｃｍ² 以上とすることが望ま
しい。また、環状リブ９はそのリブ幅を、バットレス部
分１０に近い側が広幅で径内方向に向かうに従って狭幅
とすることが望ましい。

【００１８】サイドプロテクター８には、カーカス５と
の間で離間してテキスタイルコード層１１が配置されて
いて、該コード層１１はバットレス部分１０とカーカス
折返し部５Ｂを覆う範囲で配置されている。テキスタイ
ルコード層１１は、そのコード１１Ａのコード角θが図
２で示す如く２５°〜５０°とされていて、更に、該コ
ード１１Ａはカーカスコードと交差されている。

【００１９】ここで、図２に示す矢印Ａ方向にタイヤＴ
が走行回転すると、コード１１Ａ間のゴムとコード１１
Ａが伸びて応力を吸収して特に、コード層１１の径外端
１１Ｂに集中する応力を緩和し、エッジセパレーション
の発生を防止している。すなわち、コード層１１のカバ
ー範囲Ｗを一定とした場合、従来例のコード角を７０°
〜８５°としたときと、コード角を２５°〜５０°とし
た本発明実施例とは、Ｗにおけるコード長さが実質的に
本発明実施例が長くなり、これによってコード１１Ａの
伸びも長くなってエッジセパレーションを防止するので
ある。

【００２０】コード角が２５°以下であると該コードが
伸びすぎて亀裂が生じ易いし、５０°以上では伸びが小
さいことから、コード角θは２５°〜５０°とされ、望
ましくは３０°〜４５°とされている。また、テキスタ
イルコード層１１はコード１１Ａのみで構成することも
できるが、製作性向上、精度等の観点からすると、ゴム
引きしたコード層１１とするのが望ましい。

【００２１】また、テキスタイルコード層１１の径内端
１１Ｃは、これをカーカス折返し部５Ｂの径外端５Ｃを
カバーする範囲に位置付けすることにより、折返し部５
Ｂの動きを抑制して該部でのセパレーションを防止する
点で望ましい。図３は請求項２に係る本発明の実施例を
示しており、テキスタイルコード層１１の径外端１１Ｂ
をベルト層６とトレッドカーカス５Ａとの間のバットレ
ス部分１０においてくさび状に差込んでキャッププライ
７との協働で挟持し、径内端１１Ｃは自由（フリー）と
したものであり、その他の構成は既述した構成、作用と
共通し、共通部分は共通符号で示している。

【００２２】この図３で示す実施例では、径外端１１Ｂ
が挟持されていることから、自由な挙動が抑えられるこ
とから、テキスタイルコード層１１のコード１１Ａは、
その角度θを５０°以上としてもエッジセパレーション
を防止することが可能となる。但し、コード角θはカー
カスコードの角度よりも小さいものとされ、また、コー
ド角θは既述の２５°〜５０°望ましくは３０°〜４５
°とするのが有利となる。

【００２３】図４は請求項３に係る本発明の実施例であ
ってテキスタイルコード層１１の径内端１１Ｃはこれを
径内方向に延伸してビードコア４とホイールリムとで挟
着ロックされるビード部１に位置させ、径外端１１Ｂは
フリーとした点が異なり、その他は既述の構成と共通す
るので共通部分は共通符号で示している。この図４で示
す実施例では径内端１１Ｃを確実に固定することによ
り、径外端１１Ｂの自由な動きを抑制できることから、
コード角θは５０°以上でもよいが既述と同様に２５°
〜５０°にするのが望ましい。

【００２４】図５は請求項４に係る実施例であって、図
３および図４を組合わせた構成であり、この図５の実施
例ではテキスタイルコード層１１は径外端１１Ｂはその
動きが抑制され、径内端１１Ｃは確実にロックされてい
ることからコードエッジのセパレーションに対する耐久
性は著しく向上する。故に、図５の実施例においてもコ
ード角θは５０°以上とすることができるが、２５°〜
５０°にするのが望ましい。

【００２５】なお、図１、図３〜図５においてはタイヤ
Ｔの左半分のみを示しているが右半分は赤道線Ｏ−Ｏを
中心とする線対称である。

【００２６】

【試験例】請求項１に係る本発明のタイヤと従来例との
タイヤを実験した処、本発明に係るタイヤは従来例より
コードエッジのセパレーションに対する耐久性が２〜３
倍となった。但し、実験条件は下記の通りである。

【００２７】タイヤ形式：２１５ ８５Ｒ１６ タイヤ内圧：０．８ｋｇ／ｃｍ² 走行速度 ：１２０ｋｍ／Ｈ 荷重 ：５００ｋｇ コード角 ：本発明は３０°、従来例は８０°

【００２８】

【発明の効果】以上詳述した通り本発明によれば、耐カ
ット性向上のためにカーカスから離間して備えたコード
層１１を有するタイヤにおいて、そのコードエッジセパ
レーションに対する耐久性を大幅に向上できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１に係る本発明の実施例を示す断面図で
ある。

【図２】請求項１に係る本発明実施例の側面図である。

【図３】請求項２に係る本発明実施例の断面図である。

【図４】請求項３に係る本発明実施例の断面図である。

【図５】請求項４に係る本発明実施例の断面図である。

【符号の説明】

Ｔ タイヤ １ ビード部 ２ サイドウォール ３ トレッドクラウン ４ ビードコア ５ カーカス ６ ベルト層 ８ サイドプロテクター ９ 環状リブ １１ テキスタイルコード層

Claims (5)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 タイヤ（Ｔ）のサイドウォール外表面に
   配置されたサイドプロテクター（８）と、このサイドプ
   ロテクター（８）の外表面にタイヤ周方向に沿って形成
   された複数本の環状リブ（９）と、対のビードコア
   （４）を互いに連結していてトロイド状に形成されてい
   るラジアルカーカス（５）と、該カーカス（５）のコー
   ド角より小さい角度でかつ該コードと交差するテキスタ
   イルコード（１１Ａ）を有するコード層（１１）と、を
   備え、該コード層（１１）を、前記環状リブ（９）の形
   成領域のサイドプロテクター（８）と前記ラジアルカー
   カス（５）との間に該カーカス（５）と離間しかつ前記
   サイドプロテクター（８）をカバーする範囲で備えてい
   るラリー用空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記テキスタイルコード層（１１）のコード（１１Ａ）
   は、タイヤの周方向に対する角度が２５°〜５０°とさ
   れていることを特徴とするラリー用空気入りラジアルタ
   イヤ。
2. 【請求項２】 タイヤ（Ｔ）のサイドウォール外表面に
   配置されたサイドプロテクター（８）と、このサイドプ
   ロテクター（８）の外表面にタイヤ周方向に沿って形成
   された複数本の環状リブ（９）と、対のビードコア
   （４）を互いに連結していてトロイド状に形成されてい
   るラジアルカーカス（５）と、該カーカス（５）のコー
   ド角より小さい角度でかつ該コードと交差するテキスタ
   イルコード（１１Ａ）を有するコード層（１１）と、を
   備え、該コード層（１１）を、前記環状リブ（９）の形
   成領域のサイドプロテクター（８）と前記ラジアルカー
   カス（５）との間に該カーカス（５）と離間しかつ前記
   サイドプロテクター（８）をカバーする範囲で備えてい
   るラリー用空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記テキスタイルコード層（１１）は、その径外端（１
   １Ｂ）を延伸してバットレス部分（１０）においてベル
   ト層（６）とトレッドカーカス（５Ａ）とで挟着されて
   いることを特徴とするラリー用空気入りラジアルタイ
   ヤ。
3. 【請求項３】 タイヤ（Ｔ）のサイドウォール外表面に
   配置されたサイドプロテクター（８）と、このサイドプ
   ロテクター（８）の外表面にタイヤ周方向に沿って形成
   された複数本の環状リブ（９）と、対のビードコア
   （４）を互いに連結していてトロイド状に形成されてい
   るラジアルカーカス（５）と、該カーカス（５）のコー
   ド角より小さい角度でかつ該コードと交差するテキスタ
   イルコード（１１Ａ）を有するコード層（１１）と、を
   備え、該コード層（１１）を、前記環状リブ（９）の形
   成領域のサイドプロテクター（８）と前記ラジアルカー
   カス（５）との間に該カーカス（５）と離間しかつ前記
   サイドプロテクター（８）をカバーする範囲で備えてい
   るラリー用空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記テキスタイルコード層（１１）は、その径内端（１
   １Ｃ）を延伸してビードコア（４）とホイールリムとで
   挟着されるビード部（１）に配置していることを特徴と
   するラリー用空気入りラジアルタイヤ。
4. 【請求項４】 タイヤ（Ｔ）のサイドウォール外表面に
   配置されたサイドプロテクター（８）と、このサイドプ
   ロテクター（８）の外表面にタイヤ周方向に沿って形成
   された複数本の環状リブ（９）と、対のビードコア
   （４）を互いに連結していてトロイド状に形成されてい
   るラジアルカーカス（５）と、該カーカス（５）のコー
   ド角より小さい角度でかつ該コードと交差するテキスタ
   イルコード（１１Ａ）を有するコード層（１１）と、を
   備え、該コード層（１１）を、前記環状リブ（９）の形
   成領域のサイドプロテクター（８）と前記ラジアルカー
   カス（５）との間に該カーカス（５）と離間しかつ前記
   サイドプロテクター（８）をカバーする範囲で備えてい
   るラリー用空気入りラジアルタイヤにおいて、 前記テキスタイルコード層（１１）は、その径外端（１
   １Ｂ）を延伸してバットレス部分（１０）においてベル
   ト層（６）とトレッドカーカス（５Ａ）とで挟着され、
   更に、前記テキスタイルコード層（１１）は、その径内
   端（１１Ｃ）を延伸してビードコア（４）とカールリム
   とで挟着されるビード部（１）に配置していることを特
   徴とするラリー用空気入りラジアルタイヤ。
5. 【請求項５】 テキスタイルコード層（１１）のコード
   （１１Ａ）は、タイヤの周方向に対する角度θが２５°
   〜５０°とされていることを特徴とする請求項２〜４の
   いずれかの項に記載のラリー用空気入りラジアルタイ
   ヤ。