JPH07289290A - 微生物分解活性確認方法、それを用いた微生物スクリーニング方法および環境浄化方法 - Google Patents

微生物分解活性確認方法、それを用いた微生物スクリーニング方法および環境浄化方法

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JPH07289290A
JPH07289290A JP8991294A JP8991294A JPH07289290A JP H07289290 A JPH07289290 A JP H07289290A JP 8991294 A JP8991294 A JP 8991294A JP 8991294 A JP8991294 A JP 8991294A JP H07289290 A JPH07289290 A JP H07289290A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 明瞭に識別でき、かつ安定しており長時間維
持でき、また分解活性の発現段階に相応する呈色を得、
もって、微生物の分解活性の有無の確認および微生物が
高い分解活性を発現する段階の確認を確実に、かつ簡便
に行う。 【構成】 クレオソートの存在下でシュードモナス属等
に属する微生物を培養して該クレオソートを該微生物に
より分解し得られる呈色物質の生成を指標として、該微
生物の有する置換ベンゼン分解活性または塩素化エチレ
ン等の芳香族化合物および/または有機塩素化合物分解
活性を確認する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、環境浄化分野や有用物
質の微生物変換分野等における、芳香族化合物および/
または有機塩素化合物の微生物分解活性確認方法に関
し、特に、クレオソートを用いることにより、該分解活
性確認の確実性を向上させ、かつ飛躍的に簡便化する微
生物分解活性確認方法、それを用いた微生物スクリーニ
ング方法および環境浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】これまで、フェノールやトルエン等の芳
香族化合物に、酸素原子を付与する形で酸化を行うオキ
シゲナーゼ系或いはヒドロキシラーゼ系の酸素を持つ細
菌類は環境中より多数単離、同定されている(「微生物
による有機化合物の変換」福井三郎監訳、学会出版セン
ター、pp21-26)。これらの細菌類は、工場排水等
の芳香族化合物により汚染された環境の浄化にごく一般
的に用いられてきている。そして近年、このような酵素
が、生体に対し有害でありかつ難分解性である、トリク
ロロエチレン(以下TCE)やジクロロエチレン(以下
DCE)といった揮発性有機塩素化合物の分解に関与し
ていることがいくつかの研究で明らかにされてきてい
る。例えば、分解対象物がTCEの場合、その分解細菌
は芳香族化合物資化性TCE分解菌と呼ばれ、トルエン
モノオキシゲナーゼを有する Acinetobactor sp.strain G4(Appl.Environ.Microbio
l.,52,383(1986)、同53,949(1987)、同54,951(198
9)、同56,279(1990)、同57,193(1991))、Pseudom
onas mendocina KR-1(Bio/Technol.,7,282(198
9))、トルエンジオキシゲナーゼを有するPseudomonas
putida F1(Appl.Environ.Microbiol.,54,1703(198
8)、同54,2578(1988))、フェノールヒドロキシラー
ゼを有するPseudomonas putida BH(Wat.Res.,27,9(19
93))等が報告されている。
【0003】このような芳香族化合物分解菌のスクリー
ニングを行ったり、それらの分解活性を確認したりする
際、これまでその指標となる物質として2-ヒドロキシ
ムコン酸セミアルデヒド(以下HMS)或いはその誘導
体が用いられ、かかる物質の生成の有無で微生物の分解
活性を確認していた。HMS或いはその誘導体は、芳香
核に水酸基を一つ以下有する化合物、具体的にはフェノ
ール、トルエン、クレゾールが、フェノールヒドロキシ
ラーゼ等の酵素によってカテコール核を持つ化合物に酸
化された後、カテコール-2,3-オキシゲナーゼによっ
てメタ開裂を受けることによって生成する化合物である
(Appl.Environ.Microbiol.,53,949(1987)、同57,193
5(1991))。HMS或いはその誘導体は黄色を呈する
から、かかる物質が生成されたときの色調変化を捉える
ことにより、微生物のトルエンやフェノールといった化
合物の分解活性を確認することができるので、微生物分
解活性の指標として広く用いられてきた。
【0004】該物質を指標として用いる簡便な方法とし
ては、微生物の有するカテコール分解活性が他の芳香族
化合物分解活性の指標になると見做して、液体培地にカ
テコールを加えるか或いはプレートにカテコール水溶液
を散布するかして培養し黄色の呈色を目で確かめるとい
う方法が通常採用されている。しかし、HMS或いはそ
の誘導体は微生物によって非常によく分解されてしまう
ため、黄色を呈している時間は非常に限られたものであ
り、該呈色を明瞭に確認できる時間が短いので、微生物
の分解活性の確認作業上問題があった。また、かかる呈
色は微生物の分解活性の有無の指標にはなるが、微生物
が高い分解活性を発現する段階とは必ずしも相応してい
ないという問題があった。
【0005】このような問題を解決するため、Shields
らはm-トリフルオロメチルフェノール(TFMP)
が、カテコール核を生成しメタ開裂をおこした後は、黄
色を呈するにもかかわらず微生物分解を非常に受けにく
いことを利用して、トルエンやフェノールといった化合
物の分解活性の指標物質の前駆物質としてTFMPを用
いている(Appl.Environ.Microbiol.,57,1935(199
1))。しかし、この黄色の呈色は、特にプレート上或
いは液体培養でも2xYT培地やLB培地のような有色
培地等では菌の分泌物等の色と識別しにくいことも多い
ので、微生物の分解活性を的確に確認することが難し
く、また、呈色時期と微生物が高い分解活性を発現する
段階とが必ずしも相応しておらず、あまり実用的な方法
とは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の有する問題点に鑑み、微生物有する芳香族化合物お
よび/または有機塩素化合物分解活性を確認する指標と
して、呈色物質であるHMSや呈色物質の前駆物質であ
るTFMP以外の特定の物質を用いることにより、明瞭
に識別でき、かつ安定しており長時間維持でき、また分
解活性の発現段階に相応する呈色を得、もって、微生物
の分解活性の有無の確認および微生物が高い分解活性を
発現する段階の確認を確実に、かつ簡便に行うことを目
的とする。また、本発明の他の目的は、かかる微生物分
解活性の確認方法を用いて、複数の微生物から、芳香族
化合物および/または有機塩素化合物分解活性を有する
微生物を簡便に効率良くスクリーニングすることであ
る。
【0007】また、本発明の更に他の目的は、かかる微
生物分解活性の確認方法を用いて、高い分解活性を発現
する段階の微生物を回収精製し、これを用いて芳香族化
合物および/または有機塩素化合物により汚染された環
境を効率的に浄化することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明は、クレオソートの存在下で微生物を培養して該ク
レオソートを該微生物により分解し得られる呈色物質の
生成を指標として、該微生物の有する芳香族化合物およ
び/または有機塩素化合物分解活性を確認することを特
徴とする微生物分解活性確認方法である。クレオソート
を呈色物質の前駆物質として用いることにより、赤褐色
の呈色が得られ、該呈色は明瞭に識別でき、かつ安定し
ており長時間維持でき、また分解活性の発現段階に相応
しているので、微生物の分解活性の有無の確認および微
生物が高い分解活性を発現する段階の確認を確実に、か
つ簡便に行うことが可能となる。ここで、有効に呈色を
発現させるには、好ましくは、クレオソートの濃度は培
地中10〜1000ppmがよく、また、好ましい対象と
しては、確認する芳香族化合物分解活性等は置換ベンゼ
ン分解活性または塩素化エチレン分解活性であり、ま
た、微生物としては芳香族化合物を酸化分解できる微生
物や芳香族化合物資化揮発性有機塩素化合物分解菌が好
ましく、特に、シュードモナス属に属する微生物であっ
て、シュードモナス・セパシアまたはシュードモナス・
プチダが好ましい。
【0009】また、本発明は、芳香族化合物および/ま
たは有機塩素化合の存在下で複数の微生物を培養してコ
ロニーを形成させて一種以上の微生物をスクリーニング
し、次に、クレオソート含有溶液を該コロニーに接触さ
せて培養し、該クレオソートを分解する微生物を呈色物
質の生成を指標としてスクリーニングすることを特徴と
する芳香族化合物および/または有機塩素化合物分解活
性を有する微生物のスクリーニング方法である。クレオ
ソートを用いた微生物分解活性の確認方法を採用するこ
とにより、複数の微生物から、芳香族化合物および/ま
たは有機塩素化合物分解活性を有する微生物を簡便に効
率良くスクリーニングすることが可能となる。
【0010】また、本発明は、クレオソートの存在下で
微生物を培養して該クレオソートを該微生物により分解
し、培養液がクレオソートの分解により呈色するのを確
認した後、該培養液から該微生物を回収精製し、この微
生物を、芳香族化合物および/または有機塩素化合物に
より汚染された環境に分散させ該環境を浄化することを
特徴とする微生物による環境浄化方法である。クレオソ
ートを用いた微生物分解活性の確認方法を採用すること
により、高い分解活性を発現する段階の微生物を回収精
製し、これを用いて芳香族化合物および/または有機塩
素化合物により汚染された環境を効率的に浄化すること
が可能となる。また、クレオソートは、芳香族化合物資
化性揮発性有機塩素化合物分解菌に対して、有機塩素化
合物分解活性を誘導する誘導物質として機能するので、
芳香族化合物等の誘導物質が存在しない環境中でも、該
環境を浄化、修復することが可能となる。
【0011】以下、本発明を詳述する。
【0012】本発明におけるクレオソートは、ブナ材の
タール分を蒸留・精製した化合物であり、その成分はグ
アヤコール、クレゾールが全体の50〜80%を占め、
その他、クレゾール類、メチルクレオソール、キシレノ
ール類等が含有されている。局方として入手できるが、
それに限定されるものではなく、クレオソートとしての
作用効果を有するものであれば用いることができる。
【0013】本発明の芳香族化合物および/または有機
塩素化合物の微生物分解確認の指標として用いる赤褐色
の呈色物質は、クレオソートが微生物によって酸化分解
された物質であることは明らかであるが、クレオソート
の主成分であるグアヤコールやクレゾールの酸化物では
ない。それは、クレオソート液化物の呈色はグアヤコー
ル或いはクレゾール単独の微生物酸化物の呈色とは明か
に異なっているからである。
【0014】HMS或いはその誘導体が黄色を呈するの
に対し、本発明におけるクレオソートの分解物は赤褐色
を呈し、プレート上でも目で見て極めて容易に識別する
ことができる。また、HMS或いはその誘導体の呈色が
30℃で4〜5時間で消失してしまうのに対し、クレオ
ソートの分解物の呈色は開放系で24〜48時間程度、
密閉系ではほぼ半永久的に消失しない。従って、培養
後、菌フェーズが定常期に入った段階でも、分解活性を
評価することができる利点がある。また、赤褐色の呈色
を確認する手段としては、目視の他、UV−VIS吸光
計等の各種光学機器を用いることができる。
【0015】用いるクレオソートの濃度としては、微生
物が培養により分解活性を発現した場合に赤褐色に呈色
するに足りる濃度であり、培地に存在する微生物数、微
生物の種類、培地の種類、培養形態等により相違する
が、概ね、10〜1000ppm程度、好ましくは50〜
200ppm程度がよい。例えば、液体培養系では、菌
体107 cells/ml培地(培養後)に対し10〜10
00ppm、好ましくは50〜500ppm程度がよく、ま
た、スクリーニング用のプレートではプレート当り(1
コロニー当り)50〜500ppm、好ましくは100〜
300ppm程度の水溶液を0.1〜1ml(プレート表面積
φ90mm当り)程度噴霧するとよい。クレオソートの
濃度が低過ぎると呈色の度合が低く、活性を確認し難く
なり、高過ぎると菌自体の増殖、活性が抑制される。ま
た、クレオソートを培地に添加する時期は、微生物の培
養初期から液体培地に添加してもよいし、また、ある程
度(O.D.で0.5〜1.2程度)まで培養した後、
別に用意した培地に添加してもよい。クレオソートの添
加された培地では微生物の増殖が阻害される可能性があ
るので、初めに培養培地で一定数になるまで微生物を増
殖させ、これを別のクレオソートの添加された培地に移
し培養するのが好ましい。また、微生物のスクリーニン
グでは用いるプレート(寒天培地)上にコロニーが形成
された後に水溶液としたクレオソートを噴霧するとよ
い。
【0016】本発明で対象とする微生物としては、芳香
族化合物をオキシゲナーゼ系の酵素によって酸化分解す
る微生物であればよく、特に、芳香族化合物資化性揮発
性有機塩素化合物分解菌に関しては有機塩素化合物の分
解活性が芳香族化合物系の誘導物質によって誘導される
ものであれば制限なく利用できる。このような微生物と
しては、未同定の微生物、単離されていない微生物、共
生系の微生物群、単離・同定された微生物が利用でき
る。同定されている微生物としては、酵母や、シュード
モナス属、アシネトバクター属、キサントバクター属等
に属する細菌で上記の性質を有するものが利用でき、特
にシュードモナスセパシア、シュードモナスプチダ、シ
ュードモナスフルオレセンス、シュードモナスアルギノ
ーザ等の細菌が有効であり、例えばタカサゴシロアリの
腸内より単離されたシュードモナスセパシアKK01株
(FERM BP-4235)、フェノール馴養活性汚泥より分離さ
れたシュードモナスプチダBH株(下水道協会誌,Vol.
24,No.273,pp27-33(1987);Wat,Res.,Vol.27,No.1,pp9
-13(1993))等を挙げることができる。
【0017】本発明において、スクリーニングする微生
物の分解活性の対象となる、または高い分解活性を確認
する対象となる芳香族化合物としては、フェノール、ト
ルエン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾー
ル、バニリン、バニリン酸等の置換ベンゼンを有効なも
のとして挙げることができる。
【0018】本発明において、スクリーニングする微生
物の分解活性の対象となる、または高い分解活性を確認
する対象となる揮発性有機塩素化合物としては、TCE
やDCE等の塩素化エチレン系の化合物を有効なものと
して挙げることができる。
【0019】これら芳香族化合物や有機塩素化合物は、
環境浄化技術、物質変換処理技術等の分野において特に
重要な化合物であり、産業上有益なものである。
【0020】本発明の微生物分解活性確認方法を用いて
効率的に芳香族化合物および/または有機塩素化合分解
活性を有する微生物をスクリーニングすることができ
る。スクリーニングでは第一スクリーニングからプレー
ト上に噴霧してもよいし、芳香族化合物を指標として第
一スクリーニングをかけ、形成されたコロニーの上にク
レオソート含有溶液を噴霧し第二回以降のスクリーニン
グを行ってもよい。雑多な微生物が混在していると予想
される場合は、初めに芳香族化合物および/または有機
塩素化合物をマカーとして第一スクリーニングをかけ、
次にクレオソートを添加した培地によりスクリーニング
をかけるのが効率的であり好ましい。
【0021】また、本発明の微生物分解活性確認方法を
用いて、環境浄化処理等を行う場合は、クレオソートの
存在下で微生物を培養して呈色した培養液から微生物を
回収精製し、この微生物を、芳香族化合物および/また
は有機塩素化合物により環境修復を目的とした環境に分
散すればよい。微生物の分解活性と微生物の増殖菌数と
は必ずしも一致しておらず、培養の結果、所定の菌数と
なったとしても、分解活性が高いとは言えないが、本発
明の方法によれば、増殖菌数に拘らず、高い分解活性を
発現する段階で微生物を回収することが可能となる。ま
た、クレオソートは、芳香族化合物資化性揮発性有機塩
素化合物分解菌に対して、有機塩素化合物分解活性を誘
導する誘導物質として機能するので、フェノール等の芳
香族化合物誘導物質が存在しない環境中でも、該環境を
浄化、修復することが可能となる。
【0022】
【実施例】以下実施例により本発明をさらに詳細に説明
する。なお、各実施例で用いたM9培地は下記の組成を
有するものである。
【0023】M9培地組成(1リットル中); Na2HPO4 6.2g KH2PO4 3.0g NaCl 0.5g NH4Cl 1.0g 水 残部 (pH7.0、BH株の場合のみ希硫酸で7.6に調整) すべての芳香族化合物濃度の測定は、培養液の遠心分離
上澄の紫外吸収を分光光度計(島津自記分光光度計UV
-3100S)で測定することによって行った。 すべ
てのTCE或いはDCE濃度の測定は、ヘッドスペース
-ガスクロマトグラフィー法で行なった。即ち、20ml
容バイアル瓶に所定のTCE濃度になるように調整した
M9培地を5ml加え、菌液を加えた後、ゴム栓、アルミ
キャップで密閉し、30℃で一定時間振盪培養した後に
気相0.1mlを採取し、FID検出器によりガスクロマ
トグラフィー分析(島津ガスクロマトグラムGC-14
B)を行なった。 [実施例1] (KK01株及びBH株による赤褐色物質の生成)前記
KK01株及びBH株をそれぞれ別個に、グルタミン酸
ナトリウム0.2%を含有したM9培地の入った300m
l容坂口フラスコ中で30℃、120rpmの条件で振盪培
養し、O.D.が0.8になった時点で、グルタミン酸ナ
トリウム0.2%、クレオソート100ppmを含有したM
9培地5mlの入ったバイアル瓶に該培養液を0.5ml加
え、30℃、120rpmの条件で振盪培養した。その結
果、KK01株では40時間後に培養液が赤褐色を呈
し、BH株では46時間後に培養液が赤褐色を呈するこ
とが確認できた。なお、この際の菌数はKK01株では
1.8×107 cells、BH株では1.6×107 cells
であった。
【0024】[実施例2] (KK01株の芳香族化合物分解活性確認)KK01株
(FERM BP−4235)を、グルタミン酸ナトリ
ウム0.2%、クレオソート100ppmを含有したM9培
地で30℃、120rpmの条件で振盪培養し、培養液が
赤褐色を呈した段階(41時間後)で菌体を遠心分離で
回収し、脱イオン水で洗浄した後、菌数が6.0×107
cells/mlになるよう脱イオン水に懸濁し、フェノー
ル、トルエン、o-クレゾール、m-クレゾール、p-ク
レゾール、バニリン、バニリン酸をそれぞれ別個に10
0ppm含んだM9培地5mlの入った試験管にO.5ml加
え、30℃、120rpmの条件で3時間振盪培養し、そ
れぞれの化合物の濃度を測定した。なお、ブランクとし
ては菌液の代わりに脱イオン水0.5ml加えたものを用
いた。各化合物の残留%を表1に示す。表から明らかな
ようにKK01株の顕著な芳香族化合物分解活性が認め
られた。
【0025】
【表1】 [比較例2]実施例2と同様の条件で、培養液が赤褐色
を呈する前の段階(24時間後)で菌体を遠心分離で回
収し、脱イオン水で洗浄した後、菌数が実施例2と同様
になるよう調整して加え、それぞれの化合物の濃度を測
定した。各化合物の残留%を表2に示す。
【0026】
【表2】 以上のようにKK01株のクレオソート培養液が赤褐色
を呈した段階でフェノール、トルエン、o-クレゾ−
ル、m-クレゾール、p-クレゾール、バニリン、バニリ
ン酸の分解活性が高まっていることが示された。
【0027】[実施例3] (BH株の芳香族化合物分解活性確認)実施例2と同様
の操作をBH株(大阪大学工学部環境工学課 藤田正憲
教授より入手)においても行い、培養液が赤褐色を呈し
た段階(48時間後)にフェノール、トルエン、カテコ
ールの分解を測定した。各化合物の残留%を表3に示
す。表から明らかなようにBH株の顕著な芳香族化合物
分解活性が認められた。
【0028】
【表3】 [比較例3]実施例2と同様の条件で、培養液が赤褐色
を呈する前の段階(28時間後)で菌体を遠心分離で回
収し、脱イオン水で洗浄した後、菌数が実施例2と同様
になるよう調整して加え、それぞれの化合物の濃度を測
定した。各化合物の残留%を表4に示す。
【0029】
【表4】 以上のようにBH株のクレオソート培養液が赤褐色を呈
した段階でフェノール、トルエン、カテコールの分解活
性が高まっていることが示された。
【0030】[実施例4] (KK01株のTCE及びDCE分解活性確認)KK0
1株を、グルタミン酸ナトリウム0.2%、クレオソー
ト100ppmを含有したM9培地で30℃、120rpmの
条件で振盪培養し、培養液が赤褐色を呈した段階(41
時間後)で菌体を遠心分離で回収し、脱イオン水で洗浄
した後、菌数が6.0×107 cells/mlになるよう脱イ
オン水に懸濁し、TCE、cis-1,2-ジクロロエチレン
(c-DCE)、trans-1,2-ジクロロエチレン(t-D
CE)をそれぞれ別個に5ppm含んだMP培地5mlの入
ったバイアル瓶に0.5ml加え、30℃、120rpmの条
件で3時間振盪培養し、それぞれの化合物の濃度を測定
した。なお、ブランクとしては菌液の代わりに脱イオン
水0.5ml加えたものを用いた。各化合物の残留%を表
5に示す。表から明らかなようにKK01株の顕著なT
CE及びDCE分解活性が認められた。
【0031】
【表5】 [比較例4]実施例4と同様の条件で、培養液が赤褐色
を呈する前の段階(24時間後)で菌体を遠心分離で回
収し、脱イオン水で洗浄した後、菌数が実施例4と同様
になるように調整して加え、それぞれの化合物の濃度を
測定した。各化合物の残留%を表6に示す。
【0032】
【表6】 以上のようにKK01株のクレオソート培養液が赤褐色
を呈した段階でTCE、c-DCE、t-DCEの分解活
性が高まっていることが示された。
【0033】[実施例5] (BH株のTCE分解活性確認)実施例4と同様の操作
をBH株においても行い、培養液が赤褐色を呈した段階
(48時間後)でTCEの分解を測定したところ、残留
%は15%であった。
【0034】[比較例5]実施例5と同様の要領で、培
養液が赤褐色を呈する前の段階(28時間後)で菌体を
遠心分離で回収し、脱イオン水で洗浄した後、菌数が実
施例5と同様になるよう調整して加え、TCEの分解を
測定したところ、残留%は98%であった。
【0035】以上のようにBH株のクレオソート培養液
が赤褐色を呈した段階でTCEの分解活性が高まってい
ることが示された。
【0036】[実施例6] (フェノール分解菌のスクリーニング)土壌中には通常
多くのフェノール分解菌が棲息していることが知られて
いる。そこで、武蔵野ロームに分類されるごく一般的な
関東ローム層から、ローム土10gを採取し、滅菌水1
00mlを加えてブレンダ処理を行って、その懸濁液を、
グルタミン酸ナトリウム0.2%、フェノール100ppm
を含むM9寒天培地に塗布した。この寒天培地を30℃
で3日間培養すると、7種類の異なるコロニーが確認さ
れた。しかし、培地中には炭素源としてフェノールの他
にグルタミン酸ナトリウムを含んでいるため、この7種
類の土着菌がすべてフェノール分解菌であるとは限らな
い。そこで、2次スクリーニングとしてクレオソートの
100ppm水溶液をプレート上に噴霧し、さらに30℃
で2日間培養した。その結果、7種類のコロニーのうち
5種類の周辺に赤褐色の呈色が見られ(これらをA、
B、C、D、Eとする)、2種類については無色のまま
(これらをF、Gとする)であった。これらの7種類の
コロニーを分離し、グルタミン酸ナトリウム0.2%、
フェノール1000ppmを含む同組成のM9液体培地5m
lを入れた試験官で30℃、120rpmの条件で振盪培養
し、O.D.が0.5になった時点でフェノールを100p
pmになるように加え、3日間同条件で振盪培養し、フェ
ノールの濃度を測定した。各土着菌におけるフェノール
の残留%を表7に示す。
【0037】
【表7】 以上のようにクレオソート水溶液が赤褐色を呈したコロ
ニーにのみフェノール分解能が認められた。
【0038】
【発明効果】以上説明したように、本発明によれば、こ
れまで煩雑で不明瞭であった芳香族資化菌及び芳香族化
合物資化性揮発性有機塩素化合物分解菌スクリーニング
方法或いは分解活性確認方法が飛躍的に改善され、より
確実に該スクリーニング或いは該分解活性確認が行える
ようになった。即ち、クレオソートを呈色物質の前駆物
質として用いることにより、赤褐色の呈色が得られ、該
呈色は明瞭に識別でき、かつ安定しており長時間維持で
き、また分解活性の発現段階に相応しているので、微生
物の分解活性の有無の確認および微生物が高い分解活性
を発現する段階の確認を確実に、かつ簡便に行うことが
可能となる。
【0039】また、クレオソートを用いた微生物分解活
性の確認方法を採用することにより、複数の微生物か
ら、芳香族化合物および/または有機塩素化合物分解活
性を有する微生物を簡便に効率良くスクリーニングする
ことが可能となる。また、クレオソートを用いた微生物
分解活性の確認方法を採用することにより、高い分解活
性を発現する段階の微生物を回収精製し、これを用いて
芳香族化合物および/または有機塩素化合物により汚染
された環境を効率的に浄化することが可能となる。ま
た、クレオソートは、芳香族化合物資化性揮発性有機塩
素化合物分解菌に対して、有機塩素化合物分解活性を誘
導する誘導物質として機能するので、芳香族化合物等の
誘導物質が存在しない環境中でも、該環境を浄化、修復
することが可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C12R 1:40) (C12Q 1/04 C12R 1:38) (C12N 1/00 C12R 1:01) (C12N 1/20 C12R 1:38)

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレオソートの存在下で微生物を培養し
    て該クレオソートを該微生物により分解し得られる呈色
    物質の生成を指標として、該微生物の有する芳香族化合
    物および/または有機塩素化合物分解活性を確認するこ
    とを特徴とする微生物分解活性確認方法。
  2. 【請求項2】 請求項1において、クレオソートの濃度
    が、培地中10〜1000ppmである微生物分解活性確
    認方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2において、確認する芳
    香族化合物分解活性が、置換ベンゼン分解活性である微
    生物分解活性確認方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、置換ベンゼン分解活
    性が、フェノール、トルエン、o-クレゾール、m-クレ
    ゾール、p-クレゾール、バニリンおよびバニリン酸か
    ら選ばれる一種以上を分解する活性である微生物分解活
    性確認方法。
  5. 【請求項5】 請求項1または2において、確認する有
    機塩素化合物分解活性が、塩素化エチレンである微生物
    分解活性確認方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、塩素化エチレン分解
    活性が、トリクロロエチレン、ジクロロエチレンのうち
    の少なくとも一種を分解する活性である微生物分解活性
    確認方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至6のいずれか一項におい
    て、微生物が芳香族化合物を酸化分解できる微生物であ
    る微生物分解活性確認方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか一項におい
    て、微生物が芳香族化合物資化揮発性有機塩素化合物分
    解菌である微生物分解活性確認方法。
  9. 【請求項9】 請求項7または8において、微生物がシ
    ュードモナス属に属する微生物である微生物分解活性確
    認方法。
  10. 【請求項10】 請求項9において、微生物がシュード
    モナス・セパシアまたはシュードモナス・プチダである
    微生物分解活性確認方法。
  11. 【請求項11】 芳香族化合物および/または有機塩素
    化合の存在下で複数の微生物を培養してコロニーを形成
    させて一種以上の微生物をスクリーニングし、次に、ク
    レオソート含有溶液を該コロニーに接触させて培養し、
    該クレオソートを分解する微生物を呈色物質の生成を指
    標としてスクリーニングすることを特徴とする芳香族化
    合物および/または有機塩素化合物分解活性を有する微
    生物のスクリーニング方法。
  12. 【請求項12】 クレオソートの存在下で微生物を培養
    して該クレオソートを該微生物により分解し、培養液が
    クレオソートの分解により呈色するのを確認した後、該
    培養液から該微生物を回収精製し、この微生物を、芳香
    族化合物および/または有機塩素化合物により汚染され
    た環境に分散させ該環境を浄化することを特徴とする微
    生物による環境浄化方法。
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