JP2002078499A - 化合物を分解する生物を検出する方法 - Google Patents

化合物を分解する生物を検出する方法

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JP2002078499A
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Kunihiko Shibata
邦彦 柴田
Katsuhiro Aoyama
勝博 青山
Hiromitsu Koike
洋潤 小池
Atsushi Saiganji
篤史 西願寺
Yuko Fukuwatari
由布子 福渡
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Tokyo Gas Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Gas Co Ltd
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  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
  • Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 汚染環境の修復のために生物が利用できるか
否かを短時間に判定することができる方法を提供するこ
と。 【解決手段】 環境から採取したサンプル中に存在する
化合物を分解する能力を持つ生物を検出する方法におい
て、前記化合物と同一の化合物であるが、安定同位体で
標識されている化合物を用いることを特徴とする生物の
検出方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はバイオレメディエー
ション(生物修復)技術に関し、より詳細には、化合物
を分解する生物を検出する方法、汚染環境を生物で修復
する方法および/または条件を決定する方法、汚染環境
を生物で修復する方法、汚染環境における汚染の原因と
なる化合物の生物分解を評価するための試薬およびキッ
トに関する。
【0002】
【従来の技術】1760年代にイギリスで始まった産業革命
以来、科学技術は飛躍的に進歩し、豊かで快適な生活を
人類にもたらした。しかし、その一方で、科学技術によ
り天然から抽出された物質あるいは人工的に製造された
物質が環境に対して大きな負荷を与え、環境汚染や環境
破壊の問題を引き起こしている。環境汚染や環境破壊
は、生物の発育阻害、発病、死亡、悪質遺伝などをもた
らしており、それは人類に悪影響を与えるばかりでな
く、人類の滅亡にもつながりかねない。
【0003】こういった危機的状況の下、近年、汚染さ
れた環境を浄化・修復しようという気運が高まり、種々
の環境浄化・修復技術が開発されてきている。
【0004】例えば、汚染土壌は、通常、焼却処理され
ている。焼却処理は短時間で処理できるという利点があ
るが、コストがかかり、また焼却後の埋め立て地の確保
という問題が残る。生物を用いて汚染土壌を処理する方
法(すなわち、バイオレメディエーション(生物修復
法))もある。これには、例えば、現場の微生物の活力
と増殖を高めて汚染物質の分解を促進させる方法(バイ
オスティミュレーション)と、汚染物質の分解に適した
例えば、微生物を外部から新たに導入する方法(バイオ
オーギュメンテーション)がある。生物による汚染土壌
の処理は、コストが低く、土壌として埋め戻しも可能で
ある一方で、汚染土壌を浄化・修復できるかどうかが不
確実であり、また、処理に時間を要するという欠点があ
る。また、この処理方法の採用にあたっては、例えば、
現場の微生物を利用できるか、あるいは外部から新たに
例えば、微生物を導入しなければならないかを判断する
必要があり、この判断にも時間がかかる。このような不
確実性および処理に時間がかかることがバイオレメディ
エーション技術を利用することの大きな妨げとなってい
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、汚
染環境の修復のために生物が利用できるか否かを短時間
に判定することができる方法を提供することを目的とす
る。
【0006】また、本発明は、生物が汚染の原因となる
化合物を分解するための最適な条件(栄養源、温度、湿
度、水分量、pH、電子受容体など)を短時間に決定す
ることができる方法を提供することを目的とする。
【0007】さらに、本発明は、汚染環境における汚染
の原因となる化合物の生物分解を評価するための試薬お
よびキットを提供することも目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決すべく鋭意努力した結果、汚染土壌から採取し
た土壌サンプルに、汚染の原因となる化合物と同一の化
合物であるが、安定同位体で標識された化合物を添加し
て、サンプルを培養し、気相中の安定同位体成分を測定
することにより、汚染土壌を現場の生物により浄化でき
るか否かを短期間で評価できることを見出し、本発明を
完成させるに至った。
【0009】本発明の要旨は以下の通りである。 (1) 環境から採取したサンプル中に存在する化合物
を分解する能力を持つ生物を検出する方法において、前
記化合物と同一の化合物であるが、安定同位体で標識さ
れている化合物を用いることを特徴とする生物の検出方
法。 (2) 生物を含むサンプルと安定同位体で標識した化
合物を容器に加えて密封し、サンプルを培養している間
または培養した後、密封した容器内の気相中の安定同位
体成分を測定するか、あるいは、サンプル中の安定同位
体成分を測定することにより、環境中に存在する化合物
を分解する能力を持つ生物の存否を調べる(1)記載の
方法。 (3) 生物を含むサンプルと安定同位体で標識した化
合物を容器に加えて密封し、少なくとも2つの異なる条
件下でサンプルを培養している間または培養した後、密
封した容器内の気相中の安定同位体成分を測定するか、
あるいは、サンプル中の安定同位体成分を測定すること
により、環境中に存在する化合物を分解する能力を持つ
生物の前記能力を高める条件を決定する(1)または
(2)に記載の方法。 (4) 安定同位体が13Cである(1)〜(3)のい
ずれかに記載の方法。 (5) 密封した容器内の気相中の13CO2を測定す
る(4)記載の方法。 (6) 密封した容器内の気相中の13CO212
2との存在比を測定する(4)記載の方法。 (7) サンプル中の13C標識分解物を測定する
(4)記載の方法。 (8) 環境から採取したサンプル中に存在する化合物
が汚染の原因となる化合物である(1)〜(7)のいず
れかに記載の方法。 (9) 環境から採取したサンプル中に存在する化合物
が芳香族系化合物である(1)〜(8)のいずれかに記
載の方法。 (10) 芳香族系化合物がベンゼン、トルエンおよび
ナフタレンからなる群より選択される少なくとも1種の
化合物である(9)記載の方法。 (11) 環境から採取したサンプル中に存在する化合
物がシアノ基を含む化合物である(1)〜(8)のいず
れかに記載の方法。 (12) シアノ基を含む化合物が金属シアノ錯体であ
る(11)記載の方法。 (13) (1)〜(12)のいずれかに記載の方法で
得られた結果に基づいて、化合物で汚染された環境を生
物で修復する手法および/または条件を決定する方法。 (14) (13)記載の方法で決定した手法および/
または条件で、化合物で汚染された環境を生物で修復す
る方法。 (15) 汚染の原因となる化合物と同一の化合物であ
るが、安定同位体で標識されている化合物を含有する、
汚染環境における汚染の原因となる化合物の生物分解を
評価するための試薬。 (16) 安定同位体が13Cである(15)記載の試
薬。 (17) 安定同位体で標識されている化合物の生物分
解により生じた13CO2を測定することにより、汚染
環境における汚染の原因となる化合物の生物分解を評価
する(16)記載の試薬。 (18) 安定同位体で標識されている化合物の生物分
解により生じた13CO212CO2との存在比を測定
することにより、汚染環境における汚染の原因となる化
合物の生物分解を評価する(16)記載の試薬。 (19) 安定同位体で標識されている化合物の生物分
解により生じた13C標識分解物を測定することによ
り、汚染環境における汚染の原因となる化合物の生物分
解を評価する(16)記載の試薬。 (20) 汚染環境における汚染の原因となる化合物が
芳香族系化合物である(15)〜(19)のいずれかに
記載の試薬。 (21) 芳香族系化合物がベンゼン、トルエンおよび
ナフタレンからなる群より選択される少なくとも1種の
化合物である(20)記載の試薬。 (22) 汚染環境における汚染の原因となる化合物が
シアノ基を含む化合物である(15)〜(19)のいず
れかに記載の試薬。 (23) シアノ基を含む化合物が金属シアノ錯体であ
る(22)記載の試薬。 (24) (15)〜(23)のいずれかに記載の試薬
を含む、環境における汚染の原因となる化合物の生物分
解を評価するためのキット。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0011】本明細書において、「環境」とは、人間や
生物をとりまき、それと相互作用を及ぼし合う外界をい
い、大気、土壌、地下水、河川、海洋、湖沼、池などを
例示することができる。
【0012】環境から採取するサンプルとしては、大
気、土壌、地下水、河川、海洋、湖沼、池などの一部を
例示することができる。
【0013】環境から採取したサンプル中に存在する化
合物は、特に限定されないが、例えば、汚染の原因とな
る化合物などを例示することができる。
【0014】汚染の原因となる化合物は、大気、土壌、
地下水、河川、海洋、湖沼、池などの地球環境をよごす
あらゆる物質を含み、ガソリン、ディーゼル燃料、燃料
油、精油所汚泥等の石油系炭化水素、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン等の芳香族系
化合物、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、ベンゾ
ピレン等の多環芳香系化合物、イソプロパノール、メタ
ノール、エタノール、エチレングリコール、t−ブタノ
ール等のアルコール、アセトン、エチルメチルケトン等
のケトン、クロロフェノール、PCP等のフェノール、
PCB、フタル酸、塩化メチレン、エチレンジクロライ
ド等の有機塩素溶剤、シアン化カリウム等のシアン化水
素酸塩、鉄やニッケル等の金属シアノ錯体、ニトリル類
等のシアノ基を含む化合物、チラウム、シマジン、チオ
ベンカルブ等の殺菌剤または除草剤などの有機化合物、
鉛、6価クロム、水銀、セレン、砒素、カドミウム、銅
等の金属などの無機化合物、炭水化物、界面活性剤など
を例示することができる。
【0015】本明細書において、「化合物を分解する」
とは、化合物をなんらかの作用により別の化合物に変え
ることをいい、これには、資化、代謝、共代謝、異化、
同化などが含まれる。また、金属については、還元など
により、無害化することも含まれる。
【0016】生物としては、微生物、動物、植物、キノ
コなどを例示することができる。「微生物」とは、微小
な生物をいい、細菌やカビの他、酵母、ソウ類、原生動
物、リケッチア、ウイルスなども含まれる。本発明の方
法により検出される生物は、現場に存在するものであっ
てもよいし、外部から導入したものであってもよい。
【0017】「安定同位体で標識されている」とは、化
合物中の少なくとも1つの特定の位置の原子の少なくと
も1個が安定同位体で置換されていることにより、化合
物中の特定の位置の安定同位体の存在比が天然存在比よ
り高くなっていることをいう。化合物を標識する安定同
位体は、1種類であっても複数種であってもよい。
【0018】安定同位体としては、13C、15N、
18O、H(D)などを例示することができる。
【0019】「密封」とは、隙間のないように堅く封を
することをいい、外部との遮断の程度は特に限定されな
い。例えば、密封した容器は、外部と物質の流入・流出
が全くない状態であってもよいし、通気や脱気等の気体
の流通、水、栄養源、電子受容体、電子供与体、微量元
素等の添加などが可能な状態であってもよい。
【0020】「培養」とは、生物の発育・増殖のために
環境条件(温度、湿度、水分量、酸素の供給量など)を
一定に保つことをいい、例えば、周囲温度(例えば、室
温)で放置することも含む。本発明の方法において、培
養時間は、任意に設定することができるが、例えば、4
〜30日、好ましくは、7〜14日とするとよい。サン
プルの培養は、サンプル中の生物を培養して、発育・増
殖させる目的で行う。
【0021】「安定同位体成分」とは、分子中に安定同
位体を含む成分をいう。
【0022】本発明の方法において測定される安定同位
体成分は、サンプルの培養中または培養後、容器内の気
相中に検出されるか、あるいは、サンプル中に検出され
るいかなる安定同位体含有成分であってもよく、サンプ
ルに添加した安定同位体標識化合物がサンプル中に存在
する生物により分解されて生じた安定同位体標識分解物
のみならず、サンプルに添加した安定同位体標識化合物
そのものも含む。「分解物」には、最終代謝産物、中間
代謝産物などが含まれる。例えば、13Cで標識された
化合物を添加した場合には、安定同位体成分として、
13CO2を容器内の気相中に、13C標識分解物をサ
ンプル中に検出しうる。あるいは、12COに対する
13COの存在比を測定してもよい。15Nで標識さ
れた化合物を添加した場合には、安定同位体成分とし
て、1515NO、15Oおよび15NO
を容器内の気相中に、15N標識分解物をサンプル中に
検出しうる。18Oで標識された化合物を添加した場合
には、安定同位体成分として、C182、18
、N 18O、 N18および18を容器内の
気相中に、18O標識分解物をサンプル中に検出しう
る。H(D)で標識された化合物を添加した場合に
は、安定同位体成分として、D及びDOを容器内の
気相中に、H(D)標識分解物をサンプル中に検出し
うる。サンプル中の安定同位体成分を検出するには、例
えば、サンプルを溶媒で抽出処理し、得られたサンプル
抽出液中の安定同位体成分を測定するとよい。
【0023】「サンプル抽出液」とは、サンプルを溶媒
で抽出処理して得られる抽出液をいう。
【0024】サンプルを抽出処理するための溶媒は、安
定同位体成分をサンプルから抽出することができる限
り、特に限定されないが、メタノール、ノルマルヘキサ
ン、エタノール、ジクロロメタン、メチルエチルケト
ン、クロロホルム、トルエン、四塩化炭素、アセトン、
水などを例示することができる。
【0025】安定同位体成分の測定は、ガスクロマトグ
ラフ-質量分析法(GC-MS)、NMR、液体クロマトグラフ-
質量分析法(LC-MS)、質量分析法、赤外分光法、近赤
外分光等によって測定することができる。
【0026】本発明の方法において、密封した容器内の
気相中の安定同位体成分を測定するか、あるいは、サン
プル中の安定同位体成分を測定することにより、環境中
に存在する化合物を分解する能力を持つ生物の存否を調
べることができる。例えば、土壌から採取した土壌サン
プルに13C標識ベンゼンを添加して、密封容器内で土壌
サンプルを培養した場合、密封した容器内の気相中の
13CO2の濃度が時間の経過とともに増加すれば、こ
の土壌中にベンゼンを分解する微生物が存在することが
わかる。また、この例において、土壌サンプルをメタノ
ール等で抽出処理して得られたサンプル抽出液中の13
C標識ベンゼンが時間の経過とともに減少すれば、土壌
中にベンゼンを分解する微生物が存在することがわか
る。本発明により、環境中に存在する化合物を分解する
能力を持つ生物の存否を短時間に調べることができる。
この前診断により、その後にどのような環境修復処理を
行えばよいか(例えば、バイオレメディエーションを採
用するか、焼却処理するかなど)の決定が短時間で容易
にできるようになり、その結果、生物による環境の修復
処理のコストを下げることができる。
【0027】また、本発明の方法により、環境中に存在
する化合物の生物による分解量を調べることもできる。
例えば、土壌から採取した土壌サンプルに13C標識ベン
ゼンを添加して、密封容器内で土壌サンプルを培養した
場合、密封した容器内の気相中の13CO2の濃度が増
加する速度が速ければ、この土壌中に存在するベンゼン
の微生物による分解量は大きく、ベンゼンを分解する能
力を持つ微生物が十分存在するか、ベンゼンを分解する
能力の高い微生物がいることがわかる。また、この例に
おいて、土壌サンプルをメタノール等で抽出処理して得
られたサンプル抽出液中の13C標識ベンゼンが減少す
る速度が速ければ、土壌中に存在するベンゼンの微生物
による分解量は大きく、ベンゼンを分解する能力を持つ
微生物が十分存在するか、ベンゼンを分解する能力の高
い微生物がいることがわかる。
【0028】これらの結果に基づいて、化合物で汚染さ
れた環境を生物で修復する方法を決定することができ
る。例えば、環境中に存在する化合物を分解する能力を
持つ微生物が十分存在する場合には、この土着の微生物
を利用して汚染環境を修復する手法(バイオスティミュ
レーション)を選択し、環境中に存在する化合物を分解
する能力を持つ微生物が十分存在しないか、あるいは、
化合物を分解する能力が低い場合には、外部からその化
合物の分解に適した微生物を補給して汚染土壌を修復す
る手法(バイオオギュメンテーション)を選択するとよ
い。
【0029】また、本発明の方法において、密封容器内
で生物を含むサンプルを少なくとも2つの異なる条件下
で培養している間または培養した後、容器内の気相中の
安定同位体成分を測定するか、あるいは、サンプル中の
安定同位体成分を測定することにより、環境中に存在す
る化合物を分解する能力を持つ生物の前記能力を高める
条件を決定することができる。すなわち、密封容器内で
のサンプルの培養条件を変化させて、各条件ごとに安定
同位体成分を測定し、測定結果を比較することにより、
環境中に存在する化合物を分解するための最適条件を決
定することができる。決定する条件は、生物の増殖と代
謝に必要ないかなる条件であってもよく、温度、栄養源
(例えば、窒素源(窒素化合物)、リン源(リン酸化合
物)、化学肥料、有機化合物等)、pH、湿度、水分
量、電子受容体(例えば、炭酸ガス、硫酸塩、硝酸塩、
酸素、酢酸塩、水素等)、電子供与体(メタノール、ク
エン酸塩、酪酸塩、グルコース、スクロース、トルエン
等)、微量元素(マグネシウム、カルシウム、亜鉛、
銅、鉄、マンガン、モリブデン等)などを例示すること
ができる。サンプル中の安定同位体成分を測定するに
は、例えば、サンプルを溶媒で抽出処理してからサンプ
ル抽出液中の安定同位体成分を測定するとよい。現在の
ところ、汚染土壌の修復処理は、通常、汚染の状況(例
えば、汚染の原因となる化合物の種類や量、汚染現場に
存在する微生物の種類、活力、数など)によらず、一定
の条件(例えば、汚染の原因となる化合物の量に対して
一定の比率(通常は過剰量で)の窒素源(窒素化合物)
およびリン源(リン酸化合物)を添加し、水分は土壌を
攪拌しやすい量で補給し、温度は外気温とする。)で行
われている。本発明によれば、汚染現場の状況に合わせ
て、最適な条件で修復処理を行うことができ、それによ
り、修復処理にかかるコストを下げることができる。
【0030】上記の方法により決定した手法および/ま
たは条件で、化合物で汚染された環境を生物で修復する
ことができる。
【0031】ここで、生物には、上記の通り、微生物の
他に、動物、植物、キノコなども含まれる。
【0032】本発明の汚染環境における汚染の原因とな
る化合物の生物分解を評価するための試薬は、汚染の原
因となる化合物と同一の化合物であるが、安定同位体で
標識されている化合物を含有する。
【0033】「汚染の原因となる化合物の生物分解を評
価する」ことには、汚染の原因となる化合物を分解する
能力を持つ生物の存否を調べること、汚染の原因となる
化合物を分解する能力を持つ生物の該能力を調べるこ
と、汚染の原因となる化合物を分解する能力を持つ生物
の該能力を高める条件を決定することなどが含まれる。
【0034】「汚染の原因となる化合物」および「安定
同位体」は上記の通りである。また、生物には、上記の
通り、微生物の他に、動物、植物、キノコなども含まれ
る。
【0035】本発明の試薬は、さらに、水、栄養源(例
えば、窒素源(窒素化合物)、リン源(リン酸化合
物)、化学肥料、有機化合物等)、電子受容体(例え
ば、炭酸ガス、硫酸塩、硝酸塩、酸素、酢酸塩、水素
等)、電子供与体(メタノール、クエン酸塩、酪酸塩、
グルコース、スクロース、トルエン等)、微量元素(マ
グネシウム、カルシウム、亜鉛、銅、鉄、マンガン、モ
リブデン等)、それらの組み合わせなどを含有してもよ
い。
【0036】さらにまた、本発明は、上記の試薬を含
む、汚染環境における汚染の原因となる化合物の生物分
解を評価するためのキットを提供する。本発明のキット
は、さらに、サンプルを培養するための容器(例えば、
バイアルビンなど)、気相中成分を採取するためのシリ
ンジ、サンプルを抽出処理するための溶媒および容器
(例えば、試験管、フラスコなど)、それらの組み合わ
せなどを含んでもよい。
【0037】本発明のキットにおいて、キットを構成す
る要素は、各々あるいは組み合わせてあるいはひとまと
めにして、箱のような容器に包含されていてもよく、さ
らに、それらの容器はひとまとめにして納めるための区
画化された担持手段に納められていてもよい。
【0038】本発明の試薬およびキットは、本発明の生
物の検出方法に利用することができる。
【実施例】以下、本発明を実施例により具体的に説明す
る。なお、これらの実施例は、本発明を説明するための
ものであって、本発明の範囲を限定するものではない。
【0039】なお、本実施例で使用した試薬および機器
は以下の通りである。13 Cベンゼン:CIL(Cambridge Isotope Laboratories.
Inc)13 Cトルエン:CIL13 Cナフタレン:ICON13 Cニッケルシアノ錯体:ICON 硝酸カリウム:和光純薬工業(株) リン酸:和光純薬工業(株) GC−MS:(株)島津製作所
【0040】[実施例1] 13Cベンゼン分解実験 1) 目的:土壌中に存在する微生物による、ベンゼンの
分解を確認すること。栄養塩添加効果を検討すること。 2) 試験条件等 i) 試験スケール: 5g(湿重量) ii) 容器:100ml容ガラスバイアル iii) 土壌試料:ベンゼン汚染土壌 3) 試験群 i) ブランク1:滅菌水 ii) ブランク2:滅菌水+13Cベンゼン iii) 加熱殺菌土壌群:土壌(100℃以上で10時間
強加熱後放冷)+13Cベンゼン+滅菌水 iv) 栄養塩無添加群:土壌+13Cベンゼン+滅菌水 v) 硝酸塩添加群:土壌+13Cベンゼン+3% KNO3
液 vi) リン酸添加群:土壌+13Cベンゼン+1/15M リン
酸緩衝液(pH6.8)
【0041】
【表1】
【0042】4) 試験手順 i) バイアルに土壌5gを採取した。 ii) 滅菌水(または栄養源溶液)0.1mlを添加した。 iii) 13C-ベンゼン10μlを添加した。 iv) テフロン(登録商標)ラミネートセプタムにてバ
イアルを密封した。 v) 室温で放置した。 5) 測定:経時的に気相中成分をガスタイトシリンジで
採取し、GC−MSにて分析した。モニターイオン m/z
45(13CO2), 32(O2), 84(13C-ベンゼン)また、
3週間後には、土壌中含有ベンゼン濃度を測定した。す
なわち、ガラスバイアルを開栓し、土壌全量を50ml容ガ
ラス遠沈管に移して50mlメタノールを加えた。超音波抽
出(39KHz、15分間)の後、遠心分離(3000rpm、10分
間)を行って、上清をGC-MS分析に供した。 6) 結果 各々測定したモニターイオンのピーク面積値経時変化を
図1〜3に示した。熱処理によって土着菌を殺菌せしめ
た土壌群や、蒸留水にベンゼンを加えた試験群では、
13CO2発生が認められなかった一方で、土壌に13C-
ベンゼンを加えたのみの試験群において、13CO2
発生(図1)が示されたことより、ベンゼンの、二酸化
炭素までの分解が確認された。なお、図1において、ブ
ランク1、ブランク2および加熱殺菌土壌群のプロット
は重なっている。酸素についても、加熱殺菌した土壌、
蒸留水に13C-ベンゼンを添加した試験群では酸素濃
度がほとんど変化しなかった一方で、微生物を含んでい
る土壌にベンゼンを添加した試験群では減少した(図
2)。これより、微生物がはたらいたことが示唆され
た。また、気相中の13C-ベンゼン(図3)、土壌中
含有ベンゼン(図4)が消失したことから、添加したベ
ンゼンが、密封された系の中において、すべて分解され
たことも確認できた。また、栄養塩無添加群と比較する
と、硝酸塩添加群、リン酸添加群においては、初期の
13CO2発生(図1)の速度が速く、また、期間中7日
間までの総13CO2発生量も増大した。酸素濃度(図
2)、13C-ベンゼン(図3)についても、栄養塩添
加した試験群において、より速く低下した。これらよ
り、硝酸塩、リン酸の添加による、ベンゼン分解活性化
効果が示された。ここで用いた手法は、ベンゼンに限ら
ず、各種有機化合物の生物分解性を評価する、および、
処理条件を検討するための手法として、有効であると考
えられる。
【0043】[実施例2] 60kgレベルでの浄化試験 1)目的 i) 浄化の確認 ii) 硝酸カリウム添加効果の確認 2) 試験条件等 i) 試験スケール:60kg程度(約45 cm x 55 cm x 厚み
20 cm) ii) 試験場所:屋外 iii) 容器:85l容バット。攪拌時以外は、ビニルシー
トをかぶせておき、雨水の混入および内容物の流出を抑
制した。 iv) 土壌試料:13Cベンゼン分解実験で用いた土壌
と同じ 3) 試験群 i) 栄養塩無添加群:土壌60kg+1l蒸留水 ii) 硝酸塩添加群:土壌60kg+1l硝酸カリウム溶液(3.
25%)(土壌乾燥重量kgあたり0.1g NO3-N) n=2(各処理群につき2枚のバットを設置した。) 4) 試験手順 i) シャベル、バケツを用いて、バットに土壌を採取
し、含有ベンゼンを測定した。 ii) 土壌全体をシャベルで攪拌し均一化した時点をゼ
ロ時とし、0日後サンプルを回収した。 iii) 蒸留水または硝酸カリウム溶液1lを添加し、土壌
全体をシャベルで攪拌し均一化した。 iv) 屋外に放置した。 v) 1, 2, 3, 6, 9日後、1日1回、シャベルで土壌を
攪拌した後、100g程度の土壌を採取し、含有ベンゼンを
測定した。 5) 測定:50ml容ガラス遠沈管に土壌試料5gを採取
し、50mlメタノールを加えた。超音波抽出(39KHz、15
分間)の後、遠心分離(3000rpm、10分間)を行って、
上清をGC-MS分析に供した。 6) 結果 ベンゼン汚染土壌60kg(13Cベンゼン分解実験で用い
た土壌と同じ)を用いて浄化試験を行った。添加物を加
えず土壌の攪拌を行う「栄養塩無添加群」とともに、硝
酸塩を添加する処理群を設置し、その添加効果を検討し
た。1日1回の土壌の攪拌によって酸素を供給する条件
下、すべての試験群において、ベンゼンは減少し、初期
溶出ベンゼン濃度0.18ppmから、1週間以内に、環境基
準(溶出ベンゼン値0.01ppm)を下回った。含有ベンゼ
ンは、9日後には、すべての処理群で95%以上減少し、
含有ベンゼン濃度は0.15ppmとなった(図5)。また、
硝酸塩を添加することで、初期に速くベンゼンが減少す
る傾向が認められたことから、実際の現場での土壌修復
処理において、処理期間短縮、あるいは浄化達成の可能
性を高める意味で、栄養塩の添加が効果的と考えられ、
13Cベンゼン実験による処理方法の前診断の有効性が
確認できた。
【0044】〔実施例3〕 13C−トルエン(トルエ
ン−メチル−13C)を用いた分解菌の検出 1)目的:13C−トルエン(トルエン−メチル−13
C)を用いて、土壌中に存在するトルエン分解菌を検出
すること。 2)試験条件等 i) 試験スケール: 5g(湿重量) ii) 容器: 120ml容ガラスバイアル iii)土壌試料:ベンゼン汚染土壌 iv) 温度条件:室温(20℃〜25℃程度) v) トルエン分解菌:ベンゼン集積培養液 ベンゼン集積培養液の調製法 300ml三角フラスコ中、10gの土壌に滅菌水95mlを加
え、10分間振とう抽出した。 上記振とう後、10分間の静置分離を行い、上澄み液0.
1mlを、50ml容ネジ口ビン中、10ml基本培地(下記の表
2に成分を示す。)に接種した。 単一炭素源としてベンゼンを0.001ml加え、キャップ
をして密封し、一次集積培養(25℃振とう)した。 数日間培養後、培養液0.1mlを、新規基本培地に接種
し、ベンゼンを単一炭素源として、二次集積培養した。 数日間培養後、培養液を、栄養寒天平板培地(下記の
表3に成分を示す。)に一白金耳画線し、静置培養し
た。 コロニーを形成したベンゼン分解菌について、トルエ
ン0.001mlを加えた基本培地上で培養を行い、増殖した
菌を、トルエン分解菌として、栄養寒天平板培地上で保
存した。 50ml容ネジ口ビン中、10ml基本培地に、栄養寒天平板
培地上のコロニー一白金耳を接種した。 単一炭素源としてベンゼンを0.001ml加え、キャップ
をして密封し、振とう培養(25℃)した。 数日間の振とう培養によって得られた培養液を、ベン
ゼン集積培養液として、以下使用した。
【表2】 A溶液とB溶液を別々に滅菌し、A溶液 5 に対し、B
溶液 1 の割合で混合して使用した。
【表3】 3)試験群(各n=3) i) 生土群:非加熱土壌 ii) ポジティブコントロール群:非加熱土壌にベンゼン
集積培養液を添加。 iii)加熱殺菌群:土壌をオートクレーブ滅菌(120℃、1
5分間)後、100℃以上で10時間以上加熱後放冷。 4)試験手順: i) 加熱殺菌群用の加熱土壌はあらかじめ上記の方法で
調製した。 ii) バイアルに土壌(加熱または非加熱のもの)5gを採
取した。 iii)ポジティブコントロール群として、ベンゼン集積培
養液0.1mlを非加熱土壌に添加した。また、生土群、加
熱殺菌群には、滅菌水0.1mlを添加した。 iv) すべての試験群について、ガスタイトシリンジを用
い、13C-トルエン(トルエン-メチル-13C)を土
壌表面に10μl滴下(約1800ppm)した。 v) テフロンラミネートセプタムにて直ちにバイアルを
密封した。 vi) 3時間以内に反応開始直後の気相を分析した。 vii)室温で放置し、経時的に気相を分析した。 5)測定:経時的に気相中成分をガスタイトシリンジで
採取し、GC-MSにて分析した。モニターイオン m/z 45(
13CO2), 44(CO2)、32(O2) 6)結果: 図6に示す通り、気相中の13CO2ピークエリア値の
変化から、生土群と、ポジティブコントロール群では、
12日処理後から急激に13CO2が増加し、加熱殺菌群
との間に有意な差が確認された。これより、トルエン-
メチル-13Cを用いて生物分解試験を行い、気相中
13CO2を測定することで、トルエン分解菌の検出お
よび分解条件のスクリーニングが可能であることが示さ
れた。
【0045】〔実施例4〕 13C−ナフタレン(ナフ
タレン−1−13C)を用いた分解菌の検出 トルエン分解菌の代わりにナフタレン分解菌(以下の方
法で調製したナフタレン集積培養液)を用い、ポジティ
ブコントロール群として非加熱土壌にナフタレン集積培
養液を添加したものを用いて、実施例3と同様の実験を
行った。但し、実施例3の4)試験手順のiv)の工程で
は、13C−トルエンの代わりに20% 13C−ナフタ
レン溶液(in DMSO)を調製し、マイクロピペットを用
いて、非加熱土壌に50μl滴下(2000ppm)した。 (ナフタレン集積培養液の調製) 300ml三角フラスコ中、10gの土壌に滅菌水95mlを加
え、10分間振とう抽出した。 上記振とう後、10分間の静置分離を行い、上澄み液0.
1mlを、100ml三角フラスコ中、30ml基礎培地(下記の表
4に成分を示す。)に接種した。 単一炭素源としてナフタレンを0.3g加え、一次集積培
養(25℃振とう)した。 数日間培養後、培養液0.1mlを、新規基礎培地に接種
し、ナフタレンを単一炭素源として、二次集積培養し
た。 数日間の振とう培養によって得られた培養液を、栄養
寒天平板培地(下記の表5に成分を示す。)に一白金耳
画線し、静置培養した。 コロニーを形成した菌株を、ナフタレン分解菌とし
て、栄養寒天平板培地上で保存した。 100ml三角フラスコ中、30ml基礎培地に、栄養寒天平
板培地上のコロニー一白金耳を接種した。数日間の振と
う培養によって得られた培養液を、ナフタレン集積培養
液として、以下使用した。
【表4】
【表5】 結果を図7に示す。図7に示す通り、気相中の13CO
2のピークエリア値は、加熱殺菌群では、12日間の処理
期間中に変化しなかったが、生土群では、2日後を過ぎ
てから急激に増加し、12日後には、初期比150倍に達し
た。また、ポジティブコントロール群では、13CO2
のピークエリア値は、初期比400倍に達したことより、
分解菌を添加することによる分解加速が確認された。こ
れより、ナフタレン-1-13Cを用いて、12日間程度の
試験を行うことで、分解菌の検出、および、分解条件の
スクリーニングを実施可能であることを確認した。
【0046】〔実施例5〕 13C−ニッケルシアノ錯
体を用いた分解菌の検出 トルエン分解菌の代わりにニッケルシアノ錯体分解菌
(以下の方法で調製した分離株培養液)を用い、ポジテ
ィブコントロール群として非加熱土壌に分離株培養液を
添加したものを用いて、実施例3と同様の実験を行っ
た。但し、実施例3の4)試験手順のiv)の工程では、
13C−トルエンの代わりに2000mg/ml濃度のK2Ni(13C
N)450μlを非加熱土壌に添加した(CN換算で約900pp
m)。 (ニッケルシアノ錯体分解菌の分離株培養液の調製) 土壌より単離したバークホルデリア・エスピーTM9
-2a株(特開2000-312582、以下「TM9-2a株」とい
う。)をK2Ni(12CN)4100ppmを含むMin培地
(下記の表6に成分を示す。)に植菌し、濁度(OD
610)が1.0以上になるまで25℃にて振とう培養し
た。バークホルデリア・エスピーTM9-2a株は、独立
行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(茨
城県つくば市東1丁目1番3号 中央第6)に平成11年2月
24日付で寄託されており、その寄託番号は、FERM P-172
41である。 培養液を遠心分離し、菌体ペレットを回収した。 回収したペレットはグルコース無添加のMin培地で
洗浄し、液体培養液からのシアン及びグルコースの持込
を防いだ後、再びグルコース無添加のMin培地に懸濁
して菌体培養液を調整した。
【表6】 結果を図8に示す。図8は生土群、加熱殺菌群(ネガテ
ィブコントロール群)、菌体培養液添加群(ポジティブ
コントロール群)各群のバイアル気層中の12CO2
対する13CO2存在比の変化を示した結果である(各n
=3の平均値)。急速な13CO2の増加は見られなかっ
たが、生土群と菌体培養液添加群(ポジティブコントロ
ール群)では徐々に値が上昇し約2週間の試験期間で、
約4.5〜5%に達している。菌体培養液添加群(ポジティ
ブコントロール群)では若干13CO2の増加が早い結
果が得られた。これに対し加熱殺菌群では試験終了まで
1.2%程度を維持し、ほぼ天然存在比のまま変化が見ら
れなかった。よって同手法によってシアン化合物分解菌
の検出と分解条件のスクリーニングが可能であることが
示された。本実施例ではK2Ni(13CN)4を用いたが、TM
9-2a株(寄託番号FERM P-17241)はニッ
ケルシアノ錯体、コバルトシアノ錯体、鉄シアノ錯体を
分解できることがわかっているので、本実施例で用いた
K2Ni(13CN)4以外の他のニッケルシアノ錯体、コバルト
シアノ錯体、鉄シアノ錯体を安定同位体で標識した化合
物も本発明の方法において使用することができる。
【0047】
【発明の効果】本発明の評価方法によれば、汚染環境に
汚染の原因となる化合物を分解する能力を持つ生物が存
在するか否か、そのような生物が存在する場合には、そ
の生物がどの程度の分解能力を有するか、その分解能力
はどのような条件下で高まるかについて、短時間(例え
ば、2週間〜1か月、場合によっては1週間程度)に調
べることができる。従って、本発明を利用すれば、生物
による汚染環境の浄化・修復を効率的かつ迅速に行うこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】13C―ベンゼン分解試験における、13CO
ピーク面積値の経時変化を示す。
【図2】13C―ベンゼン分解試験における、Oピー
ク面積値の経時変化を示す。
【図3】13C―ベンゼン分解試験における、13C―
ベンゼンピーク面積値の経時変化を示す。
【図4】13C―ベンゼン分解試験における、3週間処
理後の土壌中に残存しているベンゼンのピーク面積値を
示す。
【図5】ベンゼン汚染土壌60kgの浄化試験における、土
壌中のベンゼン残存率の経時変化を示す。
【図6】13C−トルエン(トルエン−メチル−
13C)を用いた分解菌の検出実験における、13CO
ピーク面積値の経時変化を示す。
【図7】13C−ナフタレン(ナフタレン−1−
13C)を用いた分解菌の検出実験における、13CO
ピーク面積値の経時変化を示す。
【図8】13C−ニッケルシアノ錯体を用いた分解菌の
検出実験における、12COに対する13COの割
合の経時変化を示す。
フロントページの続き (72)発明者 小池 洋潤 東京都港区海岸一丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 西願寺 篤史 東京都港区海岸一丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 (72)発明者 福渡 由布子 東京都港区海岸一丁目5番20号 東京瓦斯 株式会社内 Fターム(参考) 4B063 QA05 QQ06 QQ07 QR41 QR57 QS39 QX10 4B065 AA01X AA57X AC20 BA22 BB02 BB04 BB12 BB40 BC31 BD50 CA56 4D004 AA41 CA18 CC07

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 環境から採取したサンプル中に存在する
    化合物を分解する能力を持つ生物を検出する方法におい
    て、前記化合物と同一の化合物であるが、安定同位体で
    標識されている化合物を用いることを特徴とする生物の
    検出方法。
  2. 【請求項2】 生物を含むサンプルと安定同位体で標識
    した化合物を容器に加えて密封し、サンプルを培養して
    いる間または培養した後、密封した容器内の気相中の安
    定同位体成分を測定するか、あるいは、サンプル中の安
    定同位体成分を測定することにより、環境中に存在する
    化合物を分解する能力を持つ生物の存否を調べる請求項
    1記載の方法。
  3. 【請求項3】 生物を含むサンプルと安定同位体で標識
    した化合物を容器に加えて密封し、少なくとも2つの異
    なる条件下でサンプルを培養している間または培養した
    後、密封した容器内の気相中の安定同位体成分を測定す
    るか、あるいは、サンプル中の安定同位体成分を測定す
    ることにより、環境中に存在する化合物を分解する能力
    を持つ生物の前記能力を高める条件を決定する請求項1
    または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 安定同位体が13Cである請求項1〜3
    のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 密封した容器内の気相中の13CO2
    測定する請求項4記載の方法。
  6. 【請求項6】 密封した容器内の気相中の13CO2
    12CO2との存在比を測定する請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】 サンプル中の13C標識分解物を測定す
    る請求項4記載の方法。
  8. 【請求項8】 環境から採取したサンプル中に存在する
    化合物が汚染の原因となる化合物である請求項1〜7の
    いずれかに記載の方法。
  9. 【請求項9】 環境から採取したサンプル中に存在する
    化合物が芳香族系化合物である請求項1〜8のいずれか
    に記載の方法。
  10. 【請求項10】 芳香族系化合物がベンゼン、トルエン
    およびナフタレンからなる群より選択される少なくとも
    1種の化合物である請求項9記載の方法。
  11. 【請求項11】 環境から採取したサンプル中に存在す
    る化合物がシアノ基を含む化合物である請求項1〜8の
    いずれかに記載の方法。
  12. 【請求項12】 シアノ基を含む化合物が金属シアノ錯
    体である請求項11記載の方法。
  13. 【請求項13】 請求項1〜12のいずれかに記載の方
    法で得られた結果に基づいて、化合物で汚染された環境
    を生物で修復する手法および/または条件を決定する方
    法。
  14. 【請求項14】 請求項13記載の方法で決定した手法
    および/または条件で、化合物で汚染された環境を生物
    で修復する方法。
  15. 【請求項15】 汚染の原因となる化合物と同一の化合
    物であるが、安定同位体で標識されている化合物を含有
    する、汚染環境における汚染の原因となる化合物の生物
    分解を評価するための試薬。
  16. 【請求項16】 安定同位体が13Cである請求項15
    記載の試薬。
  17. 【請求項17】 安定同位体で標識されている化合物の
    生物分解により生じた13CO2を測定することによ
    り、汚染環境における汚染の原因となる化合物の生物分
    解を評価する請求項16記載の試薬。
  18. 【請求項18】 安定同位体で標識されている化合物の
    生物分解により生じた13CO212CO2との存在比
    を測定することにより、汚染環境における汚染の原因と
    なる化合物の生物分解を評価する請求項16記載の試
    薬。
  19. 【請求項19】 安定同位体で標識されている化合物の
    生物分解により生じた13C標識分解物を測定すること
    により、汚染環境における汚染の原因となる化合物の生
    物分解を評価する請求項16記載の試薬。
  20. 【請求項20】 汚染環境における汚染の原因となる化
    合物が芳香族系化合物である請求項15〜19のいずれ
    かに記載の試薬。
  21. 【請求項21】 芳香族系化合物がベンゼン、トルエン
    およびナフタレンからなる群より選択される少なくとも
    1種の化合物である請求項20記載の試薬。
  22. 【請求項22】 汚染環境における汚染の原因となる化
    合物がシアノ基を含む化合物である請求項15〜19の
    いずれかに記載の試薬。
  23. 【請求項23】 シアノ基を含む化合物が金属シアノ錯
    体である請求項22記載の試薬。
  24. 【請求項24】 請求項15〜23のいずれかに記載の
    試薬を含む、環境における汚染の原因となる化合物の生
    物分解を評価するためのキット。
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