JP3725918B2 - PCBsを分解する新規微生物 - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、有機溶媒耐性を有し、ポリ塩化ビフェニール類(以下PCBsという)を資化し、分解する新規微生物に係り、特に、強い毒性を有するコプラナーPCBsを分解するとともに、高濃度のPCBsを短時間で分解する新規微生物に関するものである。
この新規微生物は、環境中にあって土壌もしくは水質を汚染しているPCBsの分解除去、又は保管されているPCBsの無害化処理に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
PCBsは、化学的に安定で熱特性も良いことからコンデンサやトランス等に多く用いられたが、人体に対する毒性を有することから1970年代に有害な環境汚染物質として製造が禁止された。そして、これまでに製造又は使用されたPCBsは回収して保管されることとなった。しかし、既に環境中に放出されたもの、20数年が経過するうちに散逸してしまったものもある。このようなPCBsは、環境中においても安定で分解し難く、環境中から検出されるPCBsの濃度は減少していない。このため、環境中のPCBsを効率よく分解・処理する方法が求められている。
また、保管されているPCBsの処分方法として焼却することが行われている。しかし、焼却処分の際にダイオキシン等の有害な副産物が生じる危険があり、処理が制限されるという問題がある。
【0003】
このような状況下において、微生物を用いてPCBsを分解することが考えられており、いくつかのPCBs分解性を有する菌について報告がなされている。これらによると、PCBsを分解する微生物としてシュードモナス属、フラボバクテリューム属、アルカリゼネス属が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から知られているPCBs分解性微生物には次のような問題点がある。
PCBsは脂溶性であるため、普通の液体培養では分解に長時間を要するが、微生物に有機溶媒に対する耐性を有していると、この有機溶媒にPCBsを溶解し、連続的に分解させることが可能となる。しかし、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素は一般に微生物にとって有害であり、これらの有機溶媒に対する強い耐性を有するPCBs分解性微生物はこれまで報告されていない。
【0005】
また、従来から知られている微生物ではPCBsの分解能力が弱く、高濃度のPCBs(例えば100ppm程度)を分解するのに長い時間を要してしまうという問題がある。
さらに、PCBsの中でも毒性の強いコプラナーPCBsを短い時間で分解する微生物は報告されていない。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大量の有機溶媒存在下で生育するとともに、高濃度のPCBsを分解することができ、PCBsの中でも強い毒性を示すコプラナーPCBs類の分解能力にも優れた新規微生物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明は新規微生物として、 有機溶媒耐性を有し、ポリ塩化ビフェニールを分解するシュードモナス・プチダ FERM P−15072を提供するものである。
【0008】
この微生物は、天然から分離したものであり、次のような工程によって抽出されたものである。
全国各地125ケ所から土壌、埋め立て浸出水、汚泥、海水等のサンプル約200点を採取し、これらに含まれる菌を検索した。まず、試験管に10mlの改良PAS培地と0.1gのビフェニールとを入れ、減菌した後の採取資料1gまたは1mlを加えて攪拌する。これを30日間静置培養し、試験管内における培養液の色や濁度の変化を観察して、ビフェニールを分解する菌を検索する。なお、改良PAS培地については後述する。
上記培養で抽出した菌はLB寒天培地でコロニーを単一化する。この単一菌をLB液体培地で24時間前培養し、改良PAS培地100mlと10ppmのPCBsが入った培養フラスコ(容量200ml)に、上記培養液100μlを加え、振盪培養する。これらの菌株からPCBsの分解性を有するものとして56株が得られた。これらの中から、PCBsの分解能力が高い11株を選択し、有機溶媒を重層したシャーレに植菌して生育を調べたところ、有機溶媒がヘキサンであるときには、ほとんどの菌に生育が認められたが、有機溶媒にトルエンを用いると11株中4株のみに生育が認められた。これら4株のうちの最もPCBs分解性が高いものが本発明に係る新規微生物であり、シュードモナス・プチダSN−4992と命名する。
この菌株は、神奈川県内で採取されたサンプル(土壌)から分離されたもので、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はFERM P−15072である。
【0009】
本菌の細菌学的性質を以下に示す。
A.形態
(1)桿菌
(2)芽胞:(−)
(3)大きさ(μm):幅0.8〜1.2、長さ1.2〜4.0
B.培地における生育状態
(1)生育温度範囲:至適発育温度範囲は20〜30℃
C.生理・生化学的性質
(1) グラム反応 : 陰性
(2) 運動性 : +
(3) 好気性での発育 : +
(4) 嫌気性での発育 : −
(5) カタラーゼ反応 : +
(6) オキシダーゼ反応 : +
(7) 蛍光色素産生 : +
(8) OF培地 : 酸化
(9) 41℃での生育 : −
(10)4℃での生育 : +
(11)GC含量(mol %) : 63.0
(12)糖類からの酸の生成
グルコース : +
マンニトール : −
アドニトール : −
アラビノース : −
イノシトール : −
ラムノース : −
ソルビトール : −
マルトース : −
シュクロース : −
【0010】
以上の諸性質をバージェイのマニュアル オブ ディターミナティブ バクテリオロジー 第8版(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology, 8th edition) に基づいて検索したところ、上記性質から本菌はシュードモナス属に属し、シュードモナス・プチダに該当すると認められる。しかし、本菌はシュードモナス・プチダに属する公知の菌株とは糖の分解性、GC含量等に差異があり、新規な菌株と考えられる。
なお、本菌は、例えば下記の条件で保存することができる。
LB培地で生育させた後、200μリットルのグリセリンに100μリットルの生育菌を入れ、よく撹拌した後−80°Cで保存する。または、スキムミルクを入れ凍結乾燥して保存する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明に係る新規微生物の性質を試験の結果に基づいて説明する。
(1)有機溶媒耐性
有機溶媒耐性は次のような試験により判定した。
LB寒天平板培地に菌株を植菌し、平板培地上に各溶媒を20ml入れ重層後、30℃で96時間培養する。
96時間培養した後に菌の生育の良否を観察し、耐性能力の有無について判定する。
【0012】
試験の結果は、表1に示すとおりであり、本発明に係る菌株シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)SN−4992は、ベンゼン中での生育は認められないが、n−ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、o−キシレン、トルエン、n−ヘプタノール中では生育が認められる。したがってほとんどの有機溶媒に対して耐性を有し、既に知られている他の菌より優れた有機溶媒耐性を有することが解る。なお、表1中においてLog Pow は、各有機溶媒の分配係数を対数表示したものである。
【0013】
【表1】
【0014】
(2)PCBsの分解性
PCBsの分解試験を行なう際の条件は、次のように設定する。
温度は、使用する微生物の生育温度の範囲、好ましくは最適生育温度の範囲に設定する。PCBsの種類、培地の組成、pH及びその他の条件によって異なるので一様に規定できないが、例えば10〜30℃、好ましくは20〜30℃に設定することができる。反応系のpHは通常6.0〜7.5の範囲に設定すればよい。培養は、通常好気的条件がよく、振盪培養法または通気攪拌法などが利用できる。培養時間は、PCBsの量や種類より異なるがPCBsが10ppm以上含有する場合は、通常10日以上、好ましくは15〜30日間である。培地に無機塩として添加する物質はリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、その他必要に応じて微量金属塩が用いられる。窒素源として添加する物質は、使用菌が資化し得るものであればよく、例えば尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、各種アミノ酸等である。これらの窒素源は1種でもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、使用菌の成長を促進するための栄養源としてビタミン、酵母エキス、麦芽エキスなどの適量を添加してもよい。
【0015】
また、菌は上記のような培地で培養した後に試験を行ってもよいし、試験に使用する菌を、それが資化し得る炭素源、例えばグルコース、ラクトース、サッカロース、マルトース、廃糖蜜、でんぷん等を含む培養液で予め培養し、得られる菌体を上述した培地と同様な組成の物質を含む液に添加して試験を行ってもよい。
【0016】
(a)本発明に係る菌と標準菌とのPCBs分解性の比較
本発明に係る菌シュードモナス・プチダSN−4992と一般に知られている菌とを用いてPCBsの分解性を比較する試験を以下の通りに行った。
菌をシャーレから3白金耳取り、LB液体培地を用いて48時間の前培養を行う。一方、容量が200mlの培養フラスコに改良PAS培地を100mlと10ppmのPCBsとを入れ、上記培養液を100μl加える。これを30℃で30日間振盪培養(120rpm)する。
【0017】
上記改良PAS培地は、1リットル中にK2 HPO4 :0.45g、KH2 PO4 :0.20g、NH4 Cl:0.25g、MgSO4 ・7H2 O:0.020g、ZnSO4 ・7H2 O:0.005g、FeSO・7H2 O:0.0010g、CaCl2 ・2H2 O:0.0005g、L−アスコルビン酸:0.0010gを含むものである。また、これに加えたPCBsは唯一の炭素源となっている。
【0018】
30日間の培養後、培養液は10,000rpmで15分間の遠心分離を行い、上清部分と沈殿部分に分ける。上清部分には25mlのn−ヘキサンを加えてPCBsを抽出し、これを3回繰り返す。沈殿部分には硝酸2mlと硫酸2mlとを入れ菌体を完全に分解し、上清液と同様にn−ヘキサンを25ml加えてPCBsを抽出する(3回繰り返す)。各々の抽出液を合量し、エバポレターで濃縮して2mlとする。この液中のPCBsをエレクトロンキャプチュア検出器付ガスクロマトグラフ(ECD−GC)[(株)島津製作所製15A−GC、2mカラムOV−17、カラム温度200℃、N2 ガス40ml/min)で測定し、PCBs濃度を求める。これを、培養液に加えたPCBsの量と比較することにより分解量を算出する。
このような試験の結果は表2に示すとおりである。
【0019】
【表2】
この表に置いて、KC−200、KC−300、KC−400、KC−500はPCBsの種類を示すものであり(鐘淵化学(株)製、カネクロール)、それぞれ、分子中に含まれる塩素数が2、3、4、5のものを主に含んでいる。
【0020】
この表に示されるように、本発明に係る菌であるシュードモナス・プチダSN−4992は、他の既に知られている菌に比べて著しく高いPCBsの分解性を有している。シュードモナス・プチダST−2992は、KC−200に対してかなり高い分解性を有するが、KC−500に対しては分解性は大きく低下し、シュードモナス・プチダSN−4992の分解性と著しい差異がある。
【0021】
(b)高濃度PCBsの分解試験
本試験は高濃度で存在するPCBsの分解性を調査するために行ったものであり、次のような手順による。
本発明に係る菌(Pseudomonas putida SN-4992)をシャーレから3白金耳採取し、LB液体培地50mlを入れた培養フラスコ(容量100ml)に添加する。これを30℃で72時間振盪培養(120rpm)する。
この培養液を10,000rpmで15分間の遠心分離にかけ、菌体を集めて生理食塩水で3回洗浄する。そして、改良PAS培地100mlが入った培養フラスコ(容量200ml)に、唯一の炭素源として100ppmのPCBsを入れ、上記菌体を加える。これを30℃で10日間振盪培養する。
【0022】
培養後におけるPCBsの分解量の測定は、(a)で説明したPCBsの分解性を比較する試験と同様に行う。
この試験の結果は表3に示す通りであり、分子中の塩素数が多くなる程、分解率は低下する傾向にあるが、高い分解性を有していることが解る。
【0023】
【表3】
【0024】
(c)コプラナーPCBsの分解試験
コプラナーPCBsは毒性が特に強い異性体であり、下記のような分子構造を有するものである。
【化1】
このコプラナーPCBsの分解性について本発明に係る菌および既に知られている菌を用いて試験を行ない、その結果を以下に示す。
【0025】
LB液体培地に菌を3白金耳採取し、48時間の前培養を行なう。その後、この培養液を遠心分離し、増殖菌を集める。この菌を、培養瓶(容量200ml)中の改良PAS培地50ml中に懸濁させ、1000ppmのPCBs(鐘淵化学(株)製カネクロールKC−400、1Kg中にコプラナーPCBsが約4g含まれる)を溶かしたトルエン5mlを加え、30°Cで振盪培養(100rpm)を行なう。培養後遠心分離を行ない上清液部分と沈殿部分とに分離する。上清液については、等量のn−ヘキサンを加えて未分解のPCBsを抽出する操作を3回繰り返す。また沈殿部分については、濃硫酸を10mlと濃硝酸5mlとを加え、菌体を完全に分解した後、蒸留水を35ml入れて冷却する。その後、等量のn−ヘキサンを加え未分解のPCBsを抽出する操作を3回繰り返す。
上清液および沈殿部分から抽出したn−ヘキサンは合量し、エバポレーターで濃縮して最終量を2mlとする。
【0026】
一方、クロマトグラフィ用のカラムに活性炭/シリカゲル混合物0.5gをn−ヘキサンによる湿式法で充填し、無水硫酸ナトリウム2.0gを積層する。このカラムに上記の工程で濃縮した分析用試料2mlを流入させ、n−ヘキサン1mlで分析試料の容器である試験管およびカラム内を洗いながら流入させる操作を2回行ない、分析用試料の全量をカラム内に流入させる。そして、2%ベンゼン・n−へキサン混液200mlを流入し、コプラナーPCBs以外のPCBs等低極性妨害物質を溶出除去する。この後、トルエン30mlを加え、コプラナーPCBsを溶出する。この試料にn−デカン0.2mlを添加し、エバポレーターで50°Cに維持してトルエンを除去した後、n−ヘキサンを溶媒として加え、3mlの試料とする。
【0027】
コプラナーPCBsの分解率の測定は磁場型ガスクロマトグラフ・マススペクトル(GC/MS)[日本電子(株)製JMS−SX102A]を用いた分析により行なう。この分析には、カラムとしてヒューレットパッカード(株)製ULTRA1(40m×0.2mm×0.11μm)を用い、以下の条件で昇温させてスプレットレス法を用いる。なお、コプラナーPCBsの分解成分の同定および定量にはおのおの市販の標準品を用いることができる。
昇温条件
・100°Cで1分間保持する。
・100〜200°Cまで25°C/分で昇温させる。
・200〜280°Cまでは2°C/分で昇温させる。
・その後、5分間280°Cに維持する。
【0028】
上記のような試験による結果は、表4に示すとおりであり、本発明に係る菌はコプラナーPCBsについても高い分解性を有していることが解る。
【表4】
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る新規微生物は、強い有機溶媒耐性を有するとともに、高いPCBsの分解能力を有しているので、有機溶媒に溶解した状態のPCBsはより速やかに分解することができる。したがって、河川水、海水、下水等を汚染するPCBsの分解・処理、PCBsによって汚染された土壌等の浄化に用いることができる。また、この新規微生物は高い濃度、例えば100ppm程度のPCBsに対しても高い分解性を有し、高濃度の汚染水または汚染土壌の処理に用いることができるし、保管されているPCBsの処理に用いることも考えられる。さらに、高い毒性を持ち分解し難いコプラナーPCBsの分解処理に用いることもできる。
【産業上の利用分野】
本発明は、有機溶媒耐性を有し、ポリ塩化ビフェニール類(以下PCBsという)を資化し、分解する新規微生物に係り、特に、強い毒性を有するコプラナーPCBsを分解するとともに、高濃度のPCBsを短時間で分解する新規微生物に関するものである。
この新規微生物は、環境中にあって土壌もしくは水質を汚染しているPCBsの分解除去、又は保管されているPCBsの無害化処理に用いることができる。
【0002】
【従来の技術】
PCBsは、化学的に安定で熱特性も良いことからコンデンサやトランス等に多く用いられたが、人体に対する毒性を有することから1970年代に有害な環境汚染物質として製造が禁止された。そして、これまでに製造又は使用されたPCBsは回収して保管されることとなった。しかし、既に環境中に放出されたもの、20数年が経過するうちに散逸してしまったものもある。このようなPCBsは、環境中においても安定で分解し難く、環境中から検出されるPCBsの濃度は減少していない。このため、環境中のPCBsを効率よく分解・処理する方法が求められている。
また、保管されているPCBsの処分方法として焼却することが行われている。しかし、焼却処分の際にダイオキシン等の有害な副産物が生じる危険があり、処理が制限されるという問題がある。
【0003】
このような状況下において、微生物を用いてPCBsを分解することが考えられており、いくつかのPCBs分解性を有する菌について報告がなされている。これらによると、PCBsを分解する微生物としてシュードモナス属、フラボバクテリューム属、アルカリゼネス属が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来から知られているPCBs分解性微生物には次のような問題点がある。
PCBsは脂溶性であるため、普通の液体培養では分解に長時間を要するが、微生物に有機溶媒に対する耐性を有していると、この有機溶媒にPCBsを溶解し、連続的に分解させることが可能となる。しかし、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素は一般に微生物にとって有害であり、これらの有機溶媒に対する強い耐性を有するPCBs分解性微生物はこれまで報告されていない。
【0005】
また、従来から知られている微生物ではPCBsの分解能力が弱く、高濃度のPCBs(例えば100ppm程度)を分解するのに長い時間を要してしまうという問題がある。
さらに、PCBsの中でも毒性の強いコプラナーPCBsを短い時間で分解する微生物は報告されていない。
【0006】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、大量の有機溶媒存在下で生育するとともに、高濃度のPCBsを分解することができ、PCBsの中でも強い毒性を示すコプラナーPCBs類の分解能力にも優れた新規微生物を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記問題点を解決するために、本発明は新規微生物として、 有機溶媒耐性を有し、ポリ塩化ビフェニールを分解するシュードモナス・プチダ FERM P−15072を提供するものである。
【0008】
この微生物は、天然から分離したものであり、次のような工程によって抽出されたものである。
全国各地125ケ所から土壌、埋め立て浸出水、汚泥、海水等のサンプル約200点を採取し、これらに含まれる菌を検索した。まず、試験管に10mlの改良PAS培地と0.1gのビフェニールとを入れ、減菌した後の採取資料1gまたは1mlを加えて攪拌する。これを30日間静置培養し、試験管内における培養液の色や濁度の変化を観察して、ビフェニールを分解する菌を検索する。なお、改良PAS培地については後述する。
上記培養で抽出した菌はLB寒天培地でコロニーを単一化する。この単一菌をLB液体培地で24時間前培養し、改良PAS培地100mlと10ppmのPCBsが入った培養フラスコ(容量200ml)に、上記培養液100μlを加え、振盪培養する。これらの菌株からPCBsの分解性を有するものとして56株が得られた。これらの中から、PCBsの分解能力が高い11株を選択し、有機溶媒を重層したシャーレに植菌して生育を調べたところ、有機溶媒がヘキサンであるときには、ほとんどの菌に生育が認められたが、有機溶媒にトルエンを用いると11株中4株のみに生育が認められた。これら4株のうちの最もPCBs分解性が高いものが本発明に係る新規微生物であり、シュードモナス・プチダSN−4992と命名する。
この菌株は、神奈川県内で採取されたサンプル(土壌)から分離されたもので、工業技術院生命工学工業技術研究所に寄託されており、その受託番号はFERM P−15072である。
【0009】
本菌の細菌学的性質を以下に示す。
A.形態
(1)桿菌
(2)芽胞:(−)
(3)大きさ(μm):幅0.8〜1.2、長さ1.2〜4.0
B.培地における生育状態
(1)生育温度範囲:至適発育温度範囲は20〜30℃
C.生理・生化学的性質
(1) グラム反応 : 陰性
(2) 運動性 : +
(3) 好気性での発育 : +
(4) 嫌気性での発育 : −
(5) カタラーゼ反応 : +
(6) オキシダーゼ反応 : +
(7) 蛍光色素産生 : +
(8) OF培地 : 酸化
(9) 41℃での生育 : −
(10)4℃での生育 : +
(11)GC含量(mol %) : 63.0
(12)糖類からの酸の生成
グルコース : +
マンニトール : −
アドニトール : −
アラビノース : −
イノシトール : −
ラムノース : −
ソルビトール : −
マルトース : −
シュクロース : −
【0010】
以上の諸性質をバージェイのマニュアル オブ ディターミナティブ バクテリオロジー 第8版(Bergey's Manual of Determinative Bacteriology, 8th edition) に基づいて検索したところ、上記性質から本菌はシュードモナス属に属し、シュードモナス・プチダに該当すると認められる。しかし、本菌はシュードモナス・プチダに属する公知の菌株とは糖の分解性、GC含量等に差異があり、新規な菌株と考えられる。
なお、本菌は、例えば下記の条件で保存することができる。
LB培地で生育させた後、200μリットルのグリセリンに100μリットルの生育菌を入れ、よく撹拌した後−80°Cで保存する。または、スキムミルクを入れ凍結乾燥して保存する。
【0011】
【実施例】
以下、本発明に係る新規微生物の性質を試験の結果に基づいて説明する。
(1)有機溶媒耐性
有機溶媒耐性は次のような試験により判定した。
LB寒天平板培地に菌株を植菌し、平板培地上に各溶媒を20ml入れ重層後、30℃で96時間培養する。
96時間培養した後に菌の生育の良否を観察し、耐性能力の有無について判定する。
【0012】
試験の結果は、表1に示すとおりであり、本発明に係る菌株シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)SN−4992は、ベンゼン中での生育は認められないが、n−ヘキサン、シクロヘキサン、p−キシレン、o−キシレン、トルエン、n−ヘプタノール中では生育が認められる。したがってほとんどの有機溶媒に対して耐性を有し、既に知られている他の菌より優れた有機溶媒耐性を有することが解る。なお、表1中においてLog Pow は、各有機溶媒の分配係数を対数表示したものである。
【0013】
【表1】
【0014】
(2)PCBsの分解性
PCBsの分解試験を行なう際の条件は、次のように設定する。
温度は、使用する微生物の生育温度の範囲、好ましくは最適生育温度の範囲に設定する。PCBsの種類、培地の組成、pH及びその他の条件によって異なるので一様に規定できないが、例えば10〜30℃、好ましくは20〜30℃に設定することができる。反応系のpHは通常6.0〜7.5の範囲に設定すればよい。培養は、通常好気的条件がよく、振盪培養法または通気攪拌法などが利用できる。培養時間は、PCBsの量や種類より異なるがPCBsが10ppm以上含有する場合は、通常10日以上、好ましくは15〜30日間である。培地に無機塩として添加する物質はリン酸塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、鉄塩、その他必要に応じて微量金属塩が用いられる。窒素源として添加する物質は、使用菌が資化し得るものであればよく、例えば尿素、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、各種アミノ酸等である。これらの窒素源は1種でもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。さらに、使用菌の成長を促進するための栄養源としてビタミン、酵母エキス、麦芽エキスなどの適量を添加してもよい。
【0015】
また、菌は上記のような培地で培養した後に試験を行ってもよいし、試験に使用する菌を、それが資化し得る炭素源、例えばグルコース、ラクトース、サッカロース、マルトース、廃糖蜜、でんぷん等を含む培養液で予め培養し、得られる菌体を上述した培地と同様な組成の物質を含む液に添加して試験を行ってもよい。
【0016】
(a)本発明に係る菌と標準菌とのPCBs分解性の比較
本発明に係る菌シュードモナス・プチダSN−4992と一般に知られている菌とを用いてPCBsの分解性を比較する試験を以下の通りに行った。
菌をシャーレから3白金耳取り、LB液体培地を用いて48時間の前培養を行う。一方、容量が200mlの培養フラスコに改良PAS培地を100mlと10ppmのPCBsとを入れ、上記培養液を100μl加える。これを30℃で30日間振盪培養(120rpm)する。
【0017】
上記改良PAS培地は、1リットル中にK2 HPO4 :0.45g、KH2 PO4 :0.20g、NH4 Cl:0.25g、MgSO4 ・7H2 O:0.020g、ZnSO4 ・7H2 O:0.005g、FeSO・7H2 O:0.0010g、CaCl2 ・2H2 O:0.0005g、L−アスコルビン酸:0.0010gを含むものである。また、これに加えたPCBsは唯一の炭素源となっている。
【0018】
30日間の培養後、培養液は10,000rpmで15分間の遠心分離を行い、上清部分と沈殿部分に分ける。上清部分には25mlのn−ヘキサンを加えてPCBsを抽出し、これを3回繰り返す。沈殿部分には硝酸2mlと硫酸2mlとを入れ菌体を完全に分解し、上清液と同様にn−ヘキサンを25ml加えてPCBsを抽出する(3回繰り返す)。各々の抽出液を合量し、エバポレターで濃縮して2mlとする。この液中のPCBsをエレクトロンキャプチュア検出器付ガスクロマトグラフ(ECD−GC)[(株)島津製作所製15A−GC、2mカラムOV−17、カラム温度200℃、N2 ガス40ml/min)で測定し、PCBs濃度を求める。これを、培養液に加えたPCBsの量と比較することにより分解量を算出する。
このような試験の結果は表2に示すとおりである。
【0019】
【表2】
この表に置いて、KC−200、KC−300、KC−400、KC−500はPCBsの種類を示すものであり(鐘淵化学(株)製、カネクロール)、それぞれ、分子中に含まれる塩素数が2、3、4、5のものを主に含んでいる。
【0020】
この表に示されるように、本発明に係る菌であるシュードモナス・プチダSN−4992は、他の既に知られている菌に比べて著しく高いPCBsの分解性を有している。シュードモナス・プチダST−2992は、KC−200に対してかなり高い分解性を有するが、KC−500に対しては分解性は大きく低下し、シュードモナス・プチダSN−4992の分解性と著しい差異がある。
【0021】
(b)高濃度PCBsの分解試験
本試験は高濃度で存在するPCBsの分解性を調査するために行ったものであり、次のような手順による。
本発明に係る菌(Pseudomonas putida SN-4992)をシャーレから3白金耳採取し、LB液体培地50mlを入れた培養フラスコ(容量100ml)に添加する。これを30℃で72時間振盪培養(120rpm)する。
この培養液を10,000rpmで15分間の遠心分離にかけ、菌体を集めて生理食塩水で3回洗浄する。そして、改良PAS培地100mlが入った培養フラスコ(容量200ml)に、唯一の炭素源として100ppmのPCBsを入れ、上記菌体を加える。これを30℃で10日間振盪培養する。
【0022】
培養後におけるPCBsの分解量の測定は、(a)で説明したPCBsの分解性を比較する試験と同様に行う。
この試験の結果は表3に示す通りであり、分子中の塩素数が多くなる程、分解率は低下する傾向にあるが、高い分解性を有していることが解る。
【0023】
【表3】
【0024】
(c)コプラナーPCBsの分解試験
コプラナーPCBsは毒性が特に強い異性体であり、下記のような分子構造を有するものである。
【化1】
このコプラナーPCBsの分解性について本発明に係る菌および既に知られている菌を用いて試験を行ない、その結果を以下に示す。
【0025】
LB液体培地に菌を3白金耳採取し、48時間の前培養を行なう。その後、この培養液を遠心分離し、増殖菌を集める。この菌を、培養瓶(容量200ml)中の改良PAS培地50ml中に懸濁させ、1000ppmのPCBs(鐘淵化学(株)製カネクロールKC−400、1Kg中にコプラナーPCBsが約4g含まれる)を溶かしたトルエン5mlを加え、30°Cで振盪培養(100rpm)を行なう。培養後遠心分離を行ない上清液部分と沈殿部分とに分離する。上清液については、等量のn−ヘキサンを加えて未分解のPCBsを抽出する操作を3回繰り返す。また沈殿部分については、濃硫酸を10mlと濃硝酸5mlとを加え、菌体を完全に分解した後、蒸留水を35ml入れて冷却する。その後、等量のn−ヘキサンを加え未分解のPCBsを抽出する操作を3回繰り返す。
上清液および沈殿部分から抽出したn−ヘキサンは合量し、エバポレーターで濃縮して最終量を2mlとする。
【0026】
一方、クロマトグラフィ用のカラムに活性炭/シリカゲル混合物0.5gをn−ヘキサンによる湿式法で充填し、無水硫酸ナトリウム2.0gを積層する。このカラムに上記の工程で濃縮した分析用試料2mlを流入させ、n−ヘキサン1mlで分析試料の容器である試験管およびカラム内を洗いながら流入させる操作を2回行ない、分析用試料の全量をカラム内に流入させる。そして、2%ベンゼン・n−へキサン混液200mlを流入し、コプラナーPCBs以外のPCBs等低極性妨害物質を溶出除去する。この後、トルエン30mlを加え、コプラナーPCBsを溶出する。この試料にn−デカン0.2mlを添加し、エバポレーターで50°Cに維持してトルエンを除去した後、n−ヘキサンを溶媒として加え、3mlの試料とする。
【0027】
コプラナーPCBsの分解率の測定は磁場型ガスクロマトグラフ・マススペクトル(GC/MS)[日本電子(株)製JMS−SX102A]を用いた分析により行なう。この分析には、カラムとしてヒューレットパッカード(株)製ULTRA1(40m×0.2mm×0.11μm)を用い、以下の条件で昇温させてスプレットレス法を用いる。なお、コプラナーPCBsの分解成分の同定および定量にはおのおの市販の標準品を用いることができる。
昇温条件
・100°Cで1分間保持する。
・100〜200°Cまで25°C/分で昇温させる。
・200〜280°Cまでは2°C/分で昇温させる。
・その後、5分間280°Cに維持する。
【0028】
上記のような試験による結果は、表4に示すとおりであり、本発明に係る菌はコプラナーPCBsについても高い分解性を有していることが解る。
【表4】
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る新規微生物は、強い有機溶媒耐性を有するとともに、高いPCBsの分解能力を有しているので、有機溶媒に溶解した状態のPCBsはより速やかに分解することができる。したがって、河川水、海水、下水等を汚染するPCBsの分解・処理、PCBsによって汚染された土壌等の浄化に用いることができる。また、この新規微生物は高い濃度、例えば100ppm程度のPCBsに対しても高い分解性を有し、高濃度の汚染水または汚染土壌の処理に用いることができるし、保管されているPCBsの処理に用いることも考えられる。さらに、高い毒性を持ち分解し難いコプラナーPCBsの分解処理に用いることもできる。
Claims (1)
- 有機溶媒耐性を有し、ポリ塩化ビフェニールを分解するシュードモナス・プチダ FERM P−15072。
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- 1995-08-31 JP JP24516795A patent/JP3725918B2/ja not_active Expired - Fee Related
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