JP2990016B2 - グラム陽性細菌株 - Google Patents
グラム陽性細菌株Info
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- JP2990016B2 JP2990016B2 JP6155069A JP15506994A JP2990016B2 JP 2990016 B2 JP2990016 B2 JP 2990016B2 JP 6155069 A JP6155069 A JP 6155069A JP 15506994 A JP15506994 A JP 15506994A JP 2990016 B2 JP2990016 B2 JP 2990016B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、新規なグラム陽性細
菌株に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、環境汚染の原因の一つであるビフェニルやポリ塩化
ビフェニル(以下、PCBと略記する)に対する高い分
解能を有するグラム陽性細菌株に関するものである。
菌株に関するものである。さらに詳しくは、この発明
は、環境汚染の原因の一つであるビフェニルやポリ塩化
ビフェニル(以下、PCBと略記する)に対する高い分
解能を有するグラム陽性細菌株に関するものである。
【0002】
【従来の技術とその課題】近年、難分解性物質であるビ
フェニルやPCBの環境への影響が問題視されている。
特に、PCB純品は燃焼法による処理が可能であるが、
処理時にさらに有害な物質を生成する恐れがあるため、
実用には至っていないのが現状である。このため、これ
らの物質に対する分解能を有する微生物の探索が試みら
れており、これまでにも、例えばシュードモナス( Psu
edomonas) 、アクロモバクター( Achromobacter) 、ア
ルカリゲネス( Alcaligenes) 、アシネトバクター( A
cinetobacter)、モラクセラ( Moraxella)等に属する
細菌株が自然界から単離されている。しかしながら、こ
れら従来のPCB分解菌の場合には、そのほとんどがグ
ラム陰性菌であり、塩素の置換数の多い(例えば4個以
上)PCBに対する分解能が低く、非常に限られた構造
のPCBを分解するのみであった。
フェニルやPCBの環境への影響が問題視されている。
特に、PCB純品は燃焼法による処理が可能であるが、
処理時にさらに有害な物質を生成する恐れがあるため、
実用には至っていないのが現状である。このため、これ
らの物質に対する分解能を有する微生物の探索が試みら
れており、これまでにも、例えばシュードモナス( Psu
edomonas) 、アクロモバクター( Achromobacter) 、ア
ルカリゲネス( Alcaligenes) 、アシネトバクター( A
cinetobacter)、モラクセラ( Moraxella)等に属する
細菌株が自然界から単離されている。しかしながら、こ
れら従来のPCB分解菌の場合には、そのほとんどがグ
ラム陰性菌であり、塩素の置換数の多い(例えば4個以
上)PCBに対する分解能が低く、非常に限られた構造
のPCBを分解するのみであった。
【0003】PCB汚染で特に問題となるのは、それが
様々な構造からなる塩素置換体の混合物の場合であり、
従って従来のPCB分解菌は環境浄化という点からは極
めて不十分なものであった。この発明は、以上のとおり
の事情に鑑みてなされたものであり、ビフェニルはもと
より、塩素置換数の多いPCBやその誘導体に対する優
れた分解特性を有する新しい細菌株を提供することを目
的としている。
様々な構造からなる塩素置換体の混合物の場合であり、
従って従来のPCB分解菌は環境浄化という点からは極
めて不十分なものであった。この発明は、以上のとおり
の事情に鑑みてなされたものであり、ビフェニルはもと
より、塩素置換数の多いPCBやその誘導体に対する優
れた分解特性を有する新しい細菌株を提供することを目
的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するものとして、菌株が、コリネ型細菌ロドコッ
カス(Rhodococcus) sp RHA1株
(FERM P−14342)である、ビフェニルおよ
びポリ塩化ビフェニル分解能を有するグラム陽性細菌株
を提供する。
を解決するものとして、菌株が、コリネ型細菌ロドコッ
カス(Rhodococcus) sp RHA1株
(FERM P−14342)である、ビフェニルおよ
びポリ塩化ビフェニル分解能を有するグラム陽性細菌株
を提供する。
【0005】以下、この発明の細菌株について詳しく説
明する。この発明の細菌株ロドコッカス sp RHA
1株は、以下の方法により単離した。すなわち、東京都
内の圃場より採取したγ−HCH(BHC)汚染土壌資
料を、W無機培地〔kimbara et al.(1989), J. Bacteri
ol., vol.171, p.2740〕に0.04%酵母エキスを添加して
調製した寒天平板(1.5%培地用寒天含有) に塗抹し、ビ
フェニルを蒸気として供給しつつ30℃で培養して増殖
する微生物を単離した。得られたビフェニル資化性菌株
についてPCB分解能を検定し、強い分解能を有する菌
株を選抜した。
明する。この発明の細菌株ロドコッカス sp RHA
1株は、以下の方法により単離した。すなわち、東京都
内の圃場より採取したγ−HCH(BHC)汚染土壌資
料を、W無機培地〔kimbara et al.(1989), J. Bacteri
ol., vol.171, p.2740〕に0.04%酵母エキスを添加して
調製した寒天平板(1.5%培地用寒天含有) に塗抹し、ビ
フェニルを蒸気として供給しつつ30℃で培養して増殖
する微生物を単離した。得られたビフェニル資化性菌株
についてPCB分解能を検定し、強い分解能を有する菌
株を選抜した。
【0006】この細菌株は、次の菌学的性質を有する。 (a)形態(肉汁液体培地で24時間培養) 1.細胞の形状 棹状 2.細胞の多形性 +(短棹状と長棹状の二形性を示す) 3.運動性 − 4.胞子形成 − 5.グラム染色 陽性 (b)生育状態(30℃、24時間培養) 1.肉汁寒天平板培養 表面光沢ある肌色の0.5 −1mm の円形コ ロニーを形成 2.肉汁寒天斜面培養 培地表面に生育 3.肉汁液体培養 生育 (c)生理学的性質 1.アデニンの分解 + 2.チロシンの分解 + 3.尿素の分解 + 4.α−グルコシターゼ 微量 5.システィンアリルアミダーゼ + 6.バリンアリルアミダーゼ + 7.オキシダーゼ + 8.カラターゼ − 9.生育の範囲: pH 7付近 温度 37℃では生育せず 10.酸素の対する態度 好気的 11.O−Fテスト 酸化的 12.資化性: イノシトール + マントール + マンニトール + ラムノース + ソルビトール − メタ−ヒドロキシ安息香酸 + アジピン酸 + 安息香酸 + クエン酸 (+) 乳酸 + グルタミン酸 − L−チロシン + グリセロール (+) トレハロース (+) パラ−ヒドロキシ安息香酸 + D−マンノース (+) アッセトアミド − D−ガラクトース − 以上の菌学的性質を基準として、化学的生物分類のた
め、細胞壁のペプチドグリカン;ミコール酸;脂肪酸パ
ターンについて調べた。その結果に基づき、取得菌株を
文献(Bergay's Manual of Determinative Bacteriolo
gy, 第8版、1975)で検索したところ、この発明の発明
者等が新たに分離した菌株は、ロドコッカス spに属
する新菌株と認め、ロドコッカス sp RHA1と命
名した。
め、細胞壁のペプチドグリカン;ミコール酸;脂肪酸パ
ターンについて調べた。その結果に基づき、取得菌株を
文献(Bergay's Manual of Determinative Bacteriolo
gy, 第8版、1975)で検索したところ、この発明の発明
者等が新たに分離した菌株は、ロドコッカス spに属
する新菌株と認め、ロドコッカス sp RHA1と命
名した。
【0007】このロドコッカス sp RHA1は、窒
素源、無機イオン等の他、炭素源として少なくともビフ
ェニル単独またはビフェニルとPCBを含有する培地で
培養することができる。窒素源としては、酵母エキス、
ペプトン、カザミノ酸等を用いることができ、無機イオ
ンとしては、燐酸イオン、マグネシウムイオン、鉄イオ
ン、カルシウムイオン、カリウムイオン、銅イオン、マ
ンガンイオン等を用いる。
素源、無機イオン等の他、炭素源として少なくともビフ
ェニル単独またはビフェニルとPCBを含有する培地で
培養することができる。窒素源としては、酵母エキス、
ペプトン、カザミノ酸等を用いることができ、無機イオ
ンとしては、燐酸イオン、マグネシウムイオン、鉄イオ
ン、カルシウムイオン、カリウムイオン、銅イオン、マ
ンガンイオン等を用いる。
【0008】炭素源は、ビフェニルや安息香酸の他、グ
ルコース等の糖類を用いることもできる。培養は、pH
7付近、温度30℃前後の好気的条件下で行うことがで
きる。以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ
具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定される
ものではない。
ルコース等の糖類を用いることもできる。培養は、pH
7付近、温度30℃前後の好気的条件下で行うことがで
きる。以下、実施例を示してこの発明をさらに詳細かつ
具体的に説明するが、この発明は以下の例に限定される
ものではない。
【0009】
【実施例】この発明の細菌株のPCB分解能を試験し
た。すなわち、この発明の細菌株ロドコッカス sp
RHA1を、ビフェニルを唯一の炭素源とする最小培地
で36時間培養の後、5ppmの各種PCB(4塩素置
換主体のPCB48等)とビフェニルを含有する最小培
地にOD600 =0.4となるように接種し、PCBの生
分解性を測定した。
た。すなわち、この発明の細菌株ロドコッカス sp
RHA1を、ビフェニルを唯一の炭素源とする最小培地
で36時間培養の後、5ppmの各種PCB(4塩素置
換主体のPCB48等)とビフェニルを含有する最小培
地にOD600 =0.4となるように接種し、PCBの生
分解性を測定した。
【0010】その結果、細菌株RHA1は、菌体の増殖
にともない、5ppmのPCB48を2日以内で完全に
分解した。また、脱塩素培地を用いて4,4’−塩素置
換体の分解過程を解析したところ、PCB由来と考えら
れる塩素イオンの放出が定量的に確認された。さらに、
塩素置換位置の異なるPCBに対する分解能を調べたと
ころ、この細菌株は、2,4,2’,4−塩素置換体に
対して高い分解能を示した。
にともない、5ppmのPCB48を2日以内で完全に
分解した。また、脱塩素培地を用いて4,4’−塩素置
換体の分解過程を解析したところ、PCB由来と考えら
れる塩素イオンの放出が定量的に確認された。さらに、
塩素置換位置の異なるPCBに対する分解能を調べたと
ころ、この細菌株は、2,4,2’,4−塩素置換体に
対して高い分解能を示した。
【0011】
【発明の効果】以上詳しく説明した通り、この発明によ
って、ビフェニルおよびPCBに対する高い資化分解能
を有する新規な細菌株が提供される。この発明の細菌株
は、ビフェニルやPCB等の難分解性物質を容易に資化
分解するため、ハロゲン化有機廃棄物等による汚染土壌
や汚水の処理または汚染物質除去のモニターとしても利
用できる。しかも、微生物による汚染処理は、設備の簡
略化、低エネルギー、自律的運転および最終的な産生物
回収等の可能性を含み、また既存の処理施設にも適用可
能なため、システム全体の低コスト化が可能となる。
って、ビフェニルおよびPCBに対する高い資化分解能
を有する新規な細菌株が提供される。この発明の細菌株
は、ビフェニルやPCB等の難分解性物質を容易に資化
分解するため、ハロゲン化有機廃棄物等による汚染土壌
や汚水の処理または汚染物質除去のモニターとしても利
用できる。しかも、微生物による汚染処理は、設備の簡
略化、低エネルギー、自律的運転および最終的な産生物
回収等の可能性を含み、また既存の処理施設にも適用可
能なため、システム全体の低コスト化が可能となる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI (C12N 1/20 C12R 1:01) (72)発明者 八田 貴 岡山県岡山市原尾島4−21−36 D202 (72)発明者 瀬戸 祐志 新潟県長岡市水道町4−2−23 (72)発明者 矢野 圭司 東京都北区滝野川1−41−3 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12N 1/20 A62D 3/00 ZAB B09B 3/00
Claims (1)
- 【請求項1】 菌株が、コリネ型細菌ロドコッカス(R
hodococcus) sp RHA1株(FERM
P−14342)であるビフェニルおよびポリ塩化ビ
フェニルに対する分解能を有するグラム陽性細菌株。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6155069A JP2990016B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | グラム陽性細菌株 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6155069A JP2990016B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | グラム陽性細菌株 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0823964A JPH0823964A (ja) | 1996-01-30 |
JP2990016B2 true JP2990016B2 (ja) | 1999-12-13 |
Family
ID=15597987
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6155069A Expired - Fee Related JP2990016B2 (ja) | 1994-07-06 | 1994-07-06 | グラム陽性細菌株 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2990016B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101112715B1 (ko) * | 2009-06-26 | 2012-02-24 | 한국해양대학교 산학협력단 | 감귤류 껍질 추출물을 이용한 다염화비페닐의 처리방법 |
-
1994
- 1994-07-06 JP JP6155069A patent/JP2990016B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH0823964A (ja) | 1996-01-30 |
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