JPH07289143A - 小麦粉食品用乳化油脂組成物及びこれを用いて製造したパン類又はケーキ類 - Google Patents

小麦粉食品用乳化油脂組成物及びこれを用いて製造したパン類又はケーキ類

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JPH07289143A
JPH07289143A JP6114610A JP11461094A JPH07289143A JP H07289143 A JPH07289143 A JP H07289143A JP 6114610 A JP6114610 A JP 6114610A JP 11461094 A JP11461094 A JP 11461094A JP H07289143 A JPH07289143 A JP H07289143A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ソフト感やしっとり感が更に改良され、かつ
このような食感が経時的にも余り失われることなく、良
好に維持され、また原材料からの臭気の発生も少なく、
風味の良好な小麦粉食品を得ることができる小麦粉食品
用乳化油脂組成物を提供する。 【構成】 油脂、乳化剤及び水を含む水中油型乳化油脂
組成物であって、油相中に5重量%以上のジグリセライ
ドが含まれており、かつ水相に乳化分散されている油滴
の平均粒子径が10μm以下であり、針入度計を用いた
稠度が300以上であることを特徴とする小麦粉食品用
乳化油脂組成物。該乳化油脂組成物とパン類又はケーキ
類の材料とを用いて製造されたパン類又はケーキ類。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、小麦粉食品用乳化油脂
組成物及びこれを用いて製造したパン類又はケーキ類に
関する。特に、本発明は、ソフト感などの食感の向上や
このような食感を維持するために添加される小麦粉食品
用水中油型の乳化油脂組成物(以下単に、乳化油脂組成
物と称する場合がある)に関する。
【0002】
【従来の技術】一般にパン、ケーキ類に代表される小麦
粉を主体にした食品は、製造直後においてはソフトで適
度のしっとり感があり、良好な食感を有しているが、製
造後日が経つにつれて製品自体の老化が進み、硬くなる
と共に湿り感もなくなって、しっとり感が失われ、パサ
つくなどの食感となる。このため、口どけが悪くなるば
かりでなく、このような食感のために風味も更に損なわ
れる傾向にある。
【0003】小麦粉食品には上記のような性質がある一
方で、最近の消費者は益々ソフトタイプのものを好む傾
向にあり、このためソフトタイプの小麦粉食品の検討が
従来に増して数多く行われている。従来から行われてい
る方法として例えば、製造後の残存水分量を上昇させる
ために生地調製時の加水量を上げる方法、発酵過程を経
て製造される小麦粉食品においては発酵温度を長くとる
方法、あるいはアミラーゼ等の酵素を用いて小麦粉食品
中のアミロース・アミロペクチン等の糖鎖をある程度切
断し、再結晶化による食品の硬化を防止する方法などが
知られている。しかしこれらの方法は、工業的に利用し
にくく、生産効率の低下を引き起すなど好ましい方法と
は言えない。
【0004】ソフト化などの食感を改良する目的で、近
年良く利用されている方法としては、マーガリンやショ
ートニングなどの可塑性固体油脂を用いる方法がある
が、これらは流動性がないために、取り扱いにくく、ま
た生地への均一分散が困難であるとの問題がある。油脂
の流動性を改善するために液体脂に固体脂を含有させた
流動性ショートニングや水中油型に乳化したクリームタ
イプのショートニングも提案されているが、前者のもの
は製造上の煩雑な処理条件が必要であり、後者のものは
耐殺菌性、保存安定性に乏しいなどの実用上の問題があ
る。またこれらの欠点を改良したものとして0.1〜
0.5μmの微細な油脂の油滴が水相中に乳化分散され
ており、かつ特定の乳化剤(HLB9以上のポリグリセ
リン脂肪酸エステル)を用いてなる水中油型の乳化組成
物も提案されている(特開平5−493882号公報)
が、ソフトさやしっとり感の改良は充分とは言えず、ま
た乳化組成物自体の保存安定性も充分満足できる程では
ない。
【0005】一方、パンなどを更にソフトな食感にする
ために、油脂(トリグリセライド)、水、及び乳化剤を
含む乳化油脂組成物であって、油脂の一部をジグリセラ
イドで置き換えた添加物が提案されている(特開平2−
124052号、同2−124055号各公報)。しか
しながら、上記公報に記載されている乳化油脂組成物に
おいても、ソフトさやしっとり感の改良は充分満足でき
る程度ではなく、特に特開平2−124052号公報に
記載されている水中油型の乳化油脂組成物は、液晶状態
を形成しており、高粘度(低い稠度)で使用に際して必
ずしも取り扱い易いとは言えず、また乳化剤として特定
のもの(モノグリセライド)を使用しなくてはならず、
その上その使用量も比較的多く、このため風味の低下を
伴う場合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、製造
直後のソフト感やしっとり感が更に改良され、かつこの
ような食感が経時的にも余り失われることなく、良好に
維持され、口溶けが良くまた原材料からの臭気の発生も
少なく、風味の良好な小麦粉食品を得ることができる小
麦粉食品用乳化油脂組成物を提供することである。また
本発明の目的は、食品自体のきめが細かく均一で良好な
品質の小麦粉食品を得ることができる小麦粉食品用乳化
油脂組成物を提供することでもある。更に本発明の目的
は、上記のような特性を有する乳化油脂組成物であっ
て、更に良好な保存安定性を有する小麦粉食品用乳化油
脂組成物を提供することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、油脂、乳化剤
及び水を含む水中油型乳化油脂組成物であって、油相中
に5重量%以上(油相を100重量%とした値)のジグ
リセライドが含まれており、かつ水相に乳化分散されて
いる油滴の平均粒子径が10μm以下であり、針入度計
を用いた稠度が300以上であることを特徴とする小麦
粉食品用乳化油脂組成物にある。また本発明は、上記の
乳化油脂組成物とパン類又はケーキ類の材料とを用いて
製造されたパン類又はケーキ類にある。
【0008】本発明の好ましい態様は以下の通りであ
る。 (1)ジグリセライドが油相中に、30〜80重量%含
まれている。 (2)ジグリセライドの少なくとも70重量%がジ不飽
和脂肪酸グリセリドである。 (3)乳化油脂組成物が、10〜40重量%(好ましく
は、15〜35重量%)の油相と60〜90重量%(好
ましくは、65〜85重量%)の水相とから構成されて
いる。 (4)乳化油脂組成物の使用量が、小麦粉100重量部
に対して、0.5〜60重量部(好ましくは、2〜60
重量部、更に好ましくは、10〜50重量部)である。
【0009】以下に本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成
物(以下単に、乳化油脂組成物と称する場合がある)に
ついて説明する。本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物
は、油脂、乳化剤及び水を含み、油相中に5重量%以上
のジグリセライドが含まれており、かつ水相に乳化分散
された油滴の平均粒子径が10μm以下であり、そして
該乳化油脂組成物の稠度が300以上である。本発明で
使用される油脂は、通常食用に供される油脂であれば特
に限定されず、動物性、植物性油脂の何れでも良く、ま
たこれらのエステル交換油、硬化油、分別油などでも良
い。動植物性油脂の例としては、コーン油、菜種油、大
豆油、綿実油、サフラワー油、ひまわり油、椰子油、オ
リーブ油、ゴマ油、パーム油、牛脂、豚脂、及び鶏脂を
挙げることができる。これらは、一種または二種以上を
適当に組み合わせて使用することができる。なお、上記
の油脂以外に通常小麦粉食品に用いられるマーガリン、
ショートニング等の練り込み用油脂を使用することもで
きる。
【0010】本発明で使用されるジグリセライドは、グ
リセリンの1位及び3位の水酸基あるいは1位及び2位
の水酸基が脂肪酸とエステル結合した、脂肪酸のグリセ
リンジエステルである。ジグリセライドは、炭素数6〜
22(特に、炭素数14〜22)の飽和もしくは不飽和
の脂肪酸とグリセリンのジエステルであることが好まし
い。炭素数6〜22の飽和脂肪酸の例としては、ラウリ
ン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ア
ラキン酸、そしてベヘン酸を挙げることができる。炭素
数6〜22の不飽和脂肪酸の例としては、パルミトオレ
イン酸、オレイン酸、エライジン酸、イソオレイン酸、
ペトロセリン酸、エルカ酸、リノール酸、そしてリノレ
イン酸を挙げることができる。
【0011】本発明において用いるジグリセライドは、
不飽和脂肪酸成分の多い脂肪酸組成を持つことが望まし
い。すなわち、本発明でジグリセライドは、不飽和脂肪
酸基が全脂肪酸基の70重量%以上を占めることが望ま
しく、特に80重量%以上であることが望ましい。すな
わち、ジグリセライドの70重量%以上がジ不飽和脂肪
酸グリセライドであることが望ましい。なお、本発明に
おいてジグリセライドは、単独で用いても良いが、ジグ
リセライドのみを単離することは工業上で容易でないた
め、モノグリセライドあるはトリグリセライドとの混合
物として用いてもよい。ただし、その場合にはグリセラ
イド中の50重量%以上がジグリセライドであることが
望ましい。
【0012】本発明において好ましく用いられるジグリ
セライドは、たとえば、不飽和脂肪酸基の含有量の多い
油脂(例、サフラワー油、オリーブ油、綿実油、コーン
油、菜種油、大豆油、パーム油、ひまわり油、ごま油;
ラード、牛脂、魚油、乳脂、あるいはそれらの分別油、
ランダム化油、硬化油、エステル交換油)から選ばれた
一種あるいは二種以上の油脂とグリセリンとを、アルカ
リ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物の存在下でエ
ステル交換させるか、またはこれらの油脂由来の不飽和
脂肪酸含量の高い脂肪酸混合物とグリセリンとのエステ
ル化反応により得ることができる。反応で生成した過剰
のモノグリセライドは分子蒸留法またはクロマトグラフ
ィーなどの分離手段を利用して除去することができる。
なお、これらの反応は上記のようなアルカリ触媒等を用
いた化学反応によっても実施することができるが、1,
3−位選択的リパーゼ等の酵素を用いて温和な条件で反
応を行なう方が、得られるジグリセライドの風味もよ
く、好ましい。
【0013】本発明で用いられるジグリセライドは、天
然食用油脂の分別によっても得ることができる。
【0014】本発明で用いられるジグリセライドは、水
素添加により硬化させた、種々の硬化段階(種々の沃素
価を持つ)の硬化ジグリセライドでも良い。
【0015】本発明で使用される乳化剤は、ジグリセラ
イドを用いることによって乳化物の加熱や保存に対する
乳化安定性が向上するために、種々のものを使用するこ
とができる。このような例としては、ショ糖脂肪酸エス
テル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪
酸エステル、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、
リン脂質(処理リン脂質を含む)、糖脂質等の天然ある
いは合成の界面活性剤、あるいは乳蛋白、大豆蛋白、小
麦蛋白、卵蛋白等あるいはこれらの塩、更にこれらの蛋
白質由来の蛋白質分解物等を挙げることができる。これ
らは一種ないし二種以上を組み合わせて用いることがで
きる。
【0016】本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物に
は、上記必須成分の他に、所望により種々の添加物(例
えば、食塩、砂糖、脱脂粉乳、呈味剤、フレーバー、安
定剤、着色剤、保存量など)を加えても良い。
【0017】本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物は常
法に従って調製することができる。すなわち、水、乳化
剤などの水相成分を混合し、水性溶液を調製した後、こ
の水性溶液に、攪拌しながら食用油脂及びジグリセライ
ドなどの油相成分を添加混合し、乳化することによって
調製することができる。なお、任意成分は、それぞれの
添加成分に応じて水相成分の混合時、あるいは油相成分
の混合時に添加する。乳化は、従来から使用されている
乳化機を用いて目的の油滴粒子径の乳化物となる様に行
う。本発明の乳化油脂組成物中の水相中に乳化分散して
いる油滴粒子径は10μm以下である。本発明におい
て、油滴粒子径は微細であることが好ましく、実際的に
は1μm以下、0.01μm以上であり、更に好ましく
は、0.1〜0.5μmである。乳化機は、上記のよう
な粒子径のものが得られるならば、特に制限なく利用す
ることができる。1〜10μmの比較的大きな油滴粒子
径のものを得るには、例えば、ホモジナイザー、ディス
パーサーなどの乳化機を用いることで得ることができ
る。この場合の乳化は、5000〜20000rpm
(好ましくは、7000〜15000rpm)で1〜1
0分間(好ましくは、2〜8分間)の条件で行うことが
好ましい。また1μm以下の微細な油滴粒子径のものを
得るには、例えば、ナノマイザー(ヤマサトレーディン
グ社)、マイクロフルイダイザー(バイオテクノロジー
・デベロップメント社)、マントンゴーリン(ゴーリン
社)などの高剪断力を利用して乳化する高圧乳化機(高
圧ホモジナイザー)を用いることで得ることができる。
なお、高圧乳化は、200〜2000kgf/cm2
条件(更に好ましくは、500〜1500kgf/cm
2 の条件)で繰り返し行うことが好ましい。
【0018】なお、微細乳化に際しては、上記のような
乳化機を用いる以外に、界面化学的手法によって微細な
乳化物を得る液晶乳化法やD相乳化法なども利用するこ
とができる。
【0019】本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物は、
上記のように調製した油相と水相とからなる水中油型の
乳化油脂組成物であるが、その稠度は、300以上(好
ましくは、320〜400)となるように調整されてい
る。このため、本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物
は、10〜40重量%(好ましくは、15〜35重量
%)の油相と60〜90重量%(好ましくは、65〜8
5重量%)の水相とから構成されていることが好まし
い。但し、ジグリセライドは、油相中に5重量%以上、
100重量%以下(好ましくは、30重量%〜80重量
%、更に好ましくは、50〜70重量%、特に60〜7
0重量%)含まれている。乳化剤は、通常油相100重
量部に対して0.01重量部〜2重量部、好ましくは、
0.05重量部〜0.5重量部添加することが好まし
い。なお、油脂中には、天然成分としてジグリセライド
を5重量%程度含むものであるが、本発明の乳化油脂組
成物の油相中のジグリセライドの含有量は、これらの量
を含めた全量を意味する。
【0020】なお、本明細書において、「稠度」とは、
針入度計を用いて測定した値で、JIS規格K2235
に準じた測定法に従い得た値を意味する。すなわち、外
径65mm、高さ44mm、先端部の内角90°、先端
部の針の長さ15mm、針底部の径8.4mmの全重量
が102.5gのコーンを用いて、針入度試験器(AUTO
-PENETROMETER )でサンプル表面に自動投下後の5秒経
過した際のコーンの先端部の針入深度を0.1mm単位
で測定した値を意味する。
【0021】本発明の乳化油脂組成物は、小麦粉を主体
にした食品に適用できるが、これらの例としては、パン
類、ケーキ類、めん類、更には、パスタ類、餃子、春巻
の皮などの小麦粉食品、そしてクッキー類などを挙げる
ことができるが、特に、パン類、ケーキ類において有利
に使用できる。ここで、「パン類」とは、主原料として
の小麦粉に、イースト、イーストフード、油脂類(ショ
ートニング、ラード、マーガリン、バター、液状油
等)、水、卵(全卵、卵黄、卵白、卵代替物など)、乳
製品、食塩、糖類などを添加し、更に必要に応じて、親
水性乳化剤、調味料(グルタミン酸類、核酸類)、化学
膨張剤、フレーバー等の一種または二種以上を添加混捏
し、発酵工程を経て焼成したものを言う。勿論、フィリ
ング等の詰め物をしたパンでも良い。即ち、本発明で言
うパンは、食パン、特殊パン、菓子パン、蒸しパン、ホ
ットケーキなどを意味する。例えば、食パンとしては、
白パン、黒パン、フランスパン、バラエティブレッド、
ロール(テーブルロール)、バンズ、バターロール等)
を挙げることができる。特殊パンとしては、グリッシー
ニ、マフィン、ラスク等、調理パンとしては、ホットド
ッグ、ハンバーガー、ピザパイ等、菓子パンとしては、
ジャムパン、アンパン、クリームパン、レーズンパン、
メロンパン、スイートロール、リッチグッズ(クロワッ
サン、ブリオッシュ、デニッシュペストリー)などが挙
げられる。蒸しパンとしては、肉まん、あんまん等が挙
げられる。
【0022】また「ケーキ類」とは、主原料としての小
麦粉に、イースト及びイーストフード以外の成分で、上
記パン類の成分として挙げた成分の一種または二種以上
を添加混捏し、焼成したものを言う。これらの例として
は、エンゼルフードケーキ、ブッセ、バームクーヘン、
スポンジケーキ(バタースポンジケーキも含む)、パウ
ンドケーキ、デビルズケーキ、ロールケーキ、マドレー
ヌ、ショートケーキ類、シュークリームなどを挙げるこ
とができる。
【0023】本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物の使
用量は、添加する食品によって異なるが、通常小麦粉1
00重量部に対して、0.5〜60重量部(好ましく
は、2〜60重量%、更に好ましくは、10〜50重量
部)の範囲である。
【0024】
【実施例】以下に、実施例、及び比較例を記載し、本発
明を更に具体的に説明する。 [実施例1] (ジグリセライドの調製)固定化1,3−位選択的リパ
ーゼである市販リパーゼ製剤(商品名:Lypozyme3A、
ノボインダストリーA.S社製)を触媒として、下記の
菜種油由来の脂肪酸860gとグリセリン140gとを
40℃で反応させた。反応後、リパーゼ製剤を濾別した
後、反応生成物を分子蒸留にかけ、常法により精製して
脂肪酸基の大部分が不飽和脂肪酸である、ジグリセライ
ド80重量%、トリグリセライド18重量%及びモノグ
リセライド2重量%からなるグリセライド混合物を得
た。
【0025】 ──────────────────────────────────── 脂肪酸 組成 ──────────────────────────────────── C16:1 パルミチン酸 7.5% C18:0 ステアリン酸 3.8% C18:1 オレイン酸 51.7% C18:2 リノール酸 25.6% C18:3 リノレン酸 9.4% その他 2.0% ────────────────────────────────────
【0026】(水中油型乳化油脂組成物Aの調製)蒸留
水72.5重量部に、デカグリセリンモノオレエート
2.5重量部を添加し、必要に応じて加熱攪拌し、溶解
した。この水溶液をディスパーサーで7000rpmの
条件で攪拌しながら前記で得たグリセライド混合物25
重量部を添加した後、10000rpmで5分間攪拌し
て本発明に従う水中油型の乳化油脂組成物Aを調製し
た。
【0027】[実施例2] (水中油型乳化油脂組成物Bの調製)上記実施例1にお
いて、10000rpmで5分間攪拌後、得られた乳化
物を更にナノマイザー(ヤマサトレーディング社)を用
いて1000kgf/cm2の条件で5パスさせた以外
は、上記実施例1と同様にして本発明に従う水中油型の
乳化油脂組成物Bを調製した。
【0028】[実施例3] (水中油型乳化油脂組成物Cの調製)上記実施例2にお
いて、デカグリセリンモノオレエートの代わりにカゼイ
ンナトリウムを同量使用した以外は、上記実施例2と同
様にして本発明に従う水中油型乳化油脂組成物Cを調製
した。
【0029】[実施例4] (硬化グリセライド混合物の調製)上記グリセライド混
合物100重量部とこれに対して0.1重量部のニッケ
ル系触媒(商品名:X−122AF2、日揮化学(株)
製)とを反応釜に投入後、充分に触媒を分散させ、60
0rpmの回転数で攪拌しながら、反応釜内の温度を2
00℃±5℃まで上昇させ、2kg/cm2 の条件で水
素を添加し、沃素価5以下のグリセライド混合物からな
る硬化油を得た。(水中油型乳化油脂組成物Dの調製)
上記実施例1において、グリセライド混合物の代わり
に、上記で調製した硬化グリセライド混合物を使用した
以外は、実施例1と同様にして本発明に従う水中油型の
乳化油脂組成物Dを調製した。
【0030】[実施例5] (水中油型乳化油脂組成物Eの調製)上記実施例1にお
いて、グリセライド混合物の代わりに、グリセライド混
合物と菜種白絞油との混合重量比が1:1の油脂を使用
した以外は、実施例1と同様にして本発明に従う水中油
型の乳化油脂組成物Eを調製した。
【0031】[比較例1] (水中油型乳化油脂組成物aの調製)上記実施例1にお
いて、グリセライド混合物の代わりに菜種白絞油を使用
した以外は、実施例1と同様にして比較用の水中油型乳
化油脂組成物aを調製した。
【0032】[比較例2] (水中油型乳化油脂組成物bの調製)上記実施例2にお
いて、グリセライド混合物の代わりに菜種白絞油を使用
した以外は、実施例2と同様にして比較用の水中油型乳
化油脂組成物bを調製した。
【0033】[比較例3] (水中油型乳化油脂組成物cの調製)上記実施例3にお
いて、グリセライド混合物の代わりに菜種白絞油を使用
した以外は、実施例3と同様にして比較用の水中油型乳
化油脂組成物cを調製した。
【0034】以上のようにして調製した各水中油型の乳
化油脂組成物の特徴を以下の表1にまとめた。なお、乳
化油脂組成物の水相中に乳化分散している油脂の油滴の
平均粒子径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(SA
LD−1100型、島津製作所(株)製)を用いて測定
した。また、乳化油脂組成物の稠度は、自動式粘稠度/
針入度試験器(AUTO-PENETROMETER 、MRK−SUR
(ドイツ製)を用い、前述したコーンを利用して行っ
た。稠度は、値が大きいほど柔らかいことを示す。
【0035】
【表1】 表1 ──────────────────────────────────── 乳化油脂 油脂 油相中のジグリ 乳化条件 平均粒子径 稠度 組成物 種類 セリドの含量(%) (μm) ──────────────────────────────────── 実施例 A ジグリセライド 100 ディスパサー 6.4 >400 (10000rpm、5分) B ジグリセライド 100 ナノマイザー 0.2 >400 (1000kg/cm2、5パス) C ジグリセライド 100 ナノマイザー 0.2 >400 (1000kg/cm2、5パス) D 硬化ジグリセ 100 ナノマイザー 0.2 >400 ライド (1000kg/cm2、5パス) E ジグリセライドと 50 ナノマイザー 0.2 >400 菜種白絞油の混合 (1000kg/cm2、5パス) (混合比1:1) ──────────────────────────────────── 比較例 a 菜種白絞油 −−− ディスパサー 8.0 >400 (10000rpm、5分) b 菜種白絞油 −−− ナノマイザー 0.2 >400 (1000kg/cm2、5パス) c 菜種白絞油 −−− ナノマイザー 0.2 >400 (1000kg/cm2、5パス) ────────────────────────────────────
【0036】[水中油型乳化油脂組成物としての評価]
上記のように調製した各水中油型乳化油脂組成物(A〜
E、及びa〜b)を用いて、以下の小麦粉食品を製造
し、評価した。 (1)食パンでの評価 以下の配合により70%中種法に従うパン生地を調製
し、パンを作った。なお、配合1〜3の比較対照とする
パンも製造した。 配合1:油脂成分を添加しない配合 配合2:水中油型乳化油脂組成物の代わりにショートニ
ングを使用した配合 配合3:水中油型乳化油脂組成物の代わりに液油(菜種
白絞油、ジグリセライド)を使用した配合
【0037】 ──────────────────────────────────── 配合 配合1 配合2 配合3 配合4 ──────────────────────────────────── (中種生地) 強力小麦粉 70 70 70 70 イースト 2 2 2 2 イーストフード 0.1 0.1 0.1 0.1 水 40 40 40 40 ──────────────────────────────────── (本捏生地) 強力小麦粉 30 30 30 30 砂糖 5 5 5 5 食塩 2 2 2 2 脱脂粉乳 2 2 2 2 水 25 25 25 10.5 ショートニング − 5 − − 液油 − − 5 − 乳化油脂組成物 − − − 20 (A〜E、及びa〜b) ────────────────────────────────────
【0038】(配合4によるパン製造方法) (中種生地の調製)中種配合材料をボールに入れ、縦型
ミキサー(10コート、フック、関東混合機(株)製)
を用いて混捏し(低速2分、中高速1分)、中種生地を
調製した。中種生地の捏上げ温度は、23℃であった。
次に、これを温度27.5℃、相対湿度75%の条件下
で、4時間30分発酵させた(発酵最終品温29.5
℃)。
【0039】(本捏生地の調製)次に、上記で得た中種
生地に、本捏配合材料を添加し、混捏した(低速3分、
中速3分、及び高速2分、捏ね上り温度:27.5)。
【0040】(配合1によるパン生地の調製)上記配合
4によるパン生地の調製において、乳化油脂組成物を添
加しない本捏配合材料を用いた以外は、同様にしてパン
生地を調製した。
【0041】(配合2及び3によるパン生地の調製)上
記配合4によるパン生地の調製において、中種生地の混
捏条件を低速2分、中高速3分、及び高速2分で行って
中種生地を調製し、また得られた中種生地に本捏配合材
料を添加するに際して、ショートニング又は液油以外の
本捏配合材料を添加し、低速3分、及び中高速3分で混
捏した後、ショートニング又は液油を添加し、低速2
分、中高速3分、及び高速2分で本捏生地生地を調製し
た以外は同様にしてそれぞれに対応するパン生地を調製
した。
【0042】上記で得られたパン生地を用いて以下のよ
うにパンを作った。 (プルマンの製造)上記混捏でダメージを受けた上記パ
ン生地を回復させるためにフロアータイムを20分とっ
た後、該生地を230gの生地に分割した。分割でダメ
ージを受けた生地を回復させるためにベンチタイムを室
温で20分とり、分割生地をモルダーで整形した。次
に、整形物(230g)をワンローフのパン型に6個詰
め、温度37.5℃、相対湿度80%に設定したホイロ
で、40分間発酵させた。このようにして調製したパン
生地をオーブン(210℃)で40分間焼成し、プルマ
ンを得た。
【0043】(山型パンの製造)上記混捏でダメージを
受けた上記パン生地を回復させるためにフロアータイム
を20分とった後、該生地を450gの生地に分割し
た。分割でダメージを受けた生地を回復させるためにベ
ンチタイムを室温で20分とり、分割生地をモルダーで
整形した。次に、整形物をワンローフのパン型に入れ、
温度37.5℃、相対湿度80%に設定したホイロで、
1時間発酵させた。このようにして調製したパン生地を
オーブン(210℃)で20分間焼成し、山型パンを得
た。
【0044】上記のようにして焼成したプルマン及び山
型パンをオーブンから取り出した後、プルマンは、1時
間、山型パンは、45分間の室温での放冷後、それぞれ
ビニール袋に入れ、20℃で1日保存した後、以下の
比容積、内相(切断面のきめの均一さと細かさについ
ての目視による外観評価、より均一で細かな程良い)、
ソフトさ、しっとり感、口溶け、そして抑臭
(イースト臭が抑制されている)の各項目について物性
値、及び官能値で評価した。なお、比容積についてのみ
山型パンを用いて評価し、残りの項目については、プル
マンを用いて評価した。
【0045】比容積(cc/g)は、以下の方法で測
定した。山形パンの重量及び体積を各々測定し、その比
から算出する。体積は、菜種中にパンを沈めあふれ出た
菜種の体積から算出する。従って、比容積の評価は、
水中油型乳化油脂組成物の代わりにショートニングを使
用した配合2によるパンを用いて得られた値を基準にし
てこの数値と、水中油型乳化油脂組成物等を使用した配
合によるパンを用いて得られた数値とを比較し、この数
値間の差(比容積の値間の差)が0.2以上ある場合に
有意差ありとみなす。
【0046】〜については、水中油型乳化油脂組成
物の代わりにショートニングを使用した配合2によるパ
ン(比較対照)を基準(±で表示)として、官能値で評
価した。基準より良い場合を+で表示し(+:やや良
い、++:明らかに良い、+++:非常に良い)、また
基準より悪い場合を−で表示(−:やや悪い、−−:明
らかに悪い、−−−:非常に悪い)した。結果を以下の
表2に示す。
【0047】
【表2】 表2 ──────────────────────────────────── 添加 物性値 官能値 油脂 比容積(cc/g)内相 ソフトさ しっとり感 口溶け 抑臭 ──────────────────────────────────── 乳化油脂組成物 A(実施例)5.41 + + ++ + ++ B(実施例)5.37 ++ ++ +++ ++ +++ C(実施例)5.33 + + + + ++ D(実施例)5.57 + ± ++ ± +++ E(実施例)5.38 + ++ ++ ++ ++ ──────────────────────────────────── ショート 5.34 ± ± ± ± ± ニング ──────────────────────────────────── 無添加 4.80 − −− − −− ± ──────────────────────────────────── 液油 菜種白絞油 4.59 − −− − −− ± ジグリセラド4.72 − − − − ± ──────────────────────────────────── 乳化油脂組成物 a(比較例)4.59 ± − ± − ± b(比較例)4.76 ± ± ± ± ± c(比較例)5.26 ± − ± − ± ────────────────────────────────────
【0048】上記表2に示された結果から明らかなよう
に、本発明に従う水中油型の乳化油脂組成物(A〜E)
を添加してパンを作ると、比容積はショートニングを用
いたときと同様であり、内相の状態も改良され、良好な
品質を有しており、またソフトさ等の食感においても優
れており、更に抑臭効果も高くなって風味の向上も達成
される。特に、ジグリセリドを用い、かつ微細乳化物に
した場合には(B〜E)、上記のような効果は、更に顕
著になる。
【0049】次に、上記のようにして得たパンの「ソフ
トさ」と「しっとり感」について1日目、2日目、そし
て4日目のものを用いて経時的な変化を評価した。「ソ
フトさ」については、レオメーター(商品名:RHEO
METER、不動工業(株)製 )を用いて圧縮試験
を行い評価した。評価は、2cmの厚さにスライスした
パンを直径20mmのプランジャーで5mm厚まで圧縮
した際の応力を測定し、これを単位面積当りで算出し
た。水中油型乳化油脂組成物の代わりにショートニング
を使用した配合2によるパンを用いて得られた値を基準
にしてこの数値と、水中油型乳化油脂組成物等を使用し
た配合によるパンを用いて得られた数値とを比較し、こ
の数値間の差が3以上ある場合に有意差ありとみなす。
また、「しっとり感」については、前記の評価方法に従
った。結果を以下の表3に示す。
【0050】
【表3】 表3 ──────────────────────────────────── 1日目 2日目 4日目 ソフトさ しっと ソフトさ しっと ソフトさ しっと 添加油脂 (gf/cm2)り感 (gf/cm2)り感 (gf/cm2)り感 ──────────────────────────────────── 乳化油脂組成物 A(実施例) 15.0 + 20.1 + 24.8 ± B(実施例) 16.9 ++ 19.1 ++ 22.6 ++ E(実施例) 17.5 ++ 20.4 ++ 24.2 + ──────────────────────────────────── ショートニング 16.6 ± 22.9 − 28.7 − ──────────────────────────────────── 無添加 17.8 − 27.1 − 42.0 − ──────────────────────────────────── 液油(菜種白絞油)18.2 − 26.4 − 44.6 − ──────────────────────────────────── 乳化油脂組成物 c(比較例) 18.5 ± 24.2 − 27.1 − ────────────────────────────────────
【0051】上記表3に示された結果から明らかなよう
に、本発明に従う水中油型の乳化油脂組成物(A、B及
びE)を添加してパンを作ると、製造後日が経過しても
比較的ソフトさやしっとり感の低下速度が遅く、日持ち
の良い製品ができる。特に、ジグリセリドを用い、かつ
微細乳化物にした場合には(B及びE)上記のような効
果は、更に顕著になる。
【0052】(2)バターケーキでの評価 以下の配合(単位:重量部)によるバターケーキを作っ
た。 ──────────────────────────────────── 材料 配合1 配合2 配合3 ──────────────────────────────────── 全卵 100 100 100 水 30 −− −− 油脂 液油(菜種白絞油) 15 −− −− 乳化油脂組成物 B(実施例) −− 45 −− b(比較例) −− −− 45 ──────────────────────────────────── 砂糖 110 110 110 ハイロフティー 15 15 15 ──────────────────────────────────── 粉 100 100 100 ────────────────────────────────────
【0053】(バターケーキの製造)全卵、水、油脂を
ボールに投入し、ミキサーで低速1分で攪拌した後、こ
れに砂糖及びハイロフティー(洋菓子用O/W型乳化
物、花王(株)製)を添加し、更に低速1分、中速2分
間攪拌した。そして攪拌終了時の生地温度が20℃にな
るようにボールを外部から適当に冷ました。次いでこの
生地に更に粉を加えた後、低速1分、高速3分間攪拌し
た。そして最終生地温度20℃、最終生地比重0.4g
/ccになるように更に約2分間高速攪拌した。上記の
ようにして得られた生地を用いて180℃のオーブンで
45分間焼成し、バターケーキを製造した。製造後、バ
ターケーキを30分間室温に放置し、20℃に一晩保管
した。得られたバターケーキの「ソフトさ」、「しっと
り感」及び「きめ」について、前記のパンの評価方法と
同様にして評価した。但し、評価は、液油(菜種白絞
油)を使用した配合1を基準(±で表示)とした。結果
を以下の表4に示す。
【0054】
【表4】 表4 ──────────────────────────────────── 液油 乳化油脂組成物 評価項目 菜種白絞油 b(比較例) B(実施例) ──────────────────────────────────── 比容積(g/cc) 4.5 4.5 4.5 ソフトさ(gf/cm2) 1.9 1.7 1.3 しっとり感 − − ++ きめ − − ++ ────────────────────────────────────
【0055】上記表4に示された結果から明らかなよう
に、本発明に従う水中油型の乳化油脂組成物(B)を添
加してバターケーキを作ると、ソフトさ、しっとり感が
顕著に向上し、良好な食感を有し、かつきめも良くなっ
て高品質のものを得ることができる。
【0056】(3)あんパンでの評価 以下の配合(単位:重量部)によるバターケーキを作っ
た。 ──────────────────────────────────── 配合 配合1 配合2 配合3 ──────────────────────────────────── (中種生地) 強力小麦粉 70 70 70 砂糖 5 5 5 イースト 3 3 3 イーストフード 0.1 0.1 0.1 全卵 40 40 40 水 40 40 40 ──────────────────────────────────── (本捏生地) 強力小麦粉 30 30 30 砂糖 20 20 20 食塩 1 1 1 イースト 1 1 1 脱脂粉乳 2 2 2 水 30 30 30 ショートニング 10 −− −− 乳化油脂組成物 B(実施例) −− 40 −− b(比較例) −− −− 40 ────────────────────────────────────
【0057】(製造方法) (中種生地の調製)中種配合材料をボールに入れ、縦型
ミキサー(10コート、フック、関東混合機(株)製)
を用いて混捏し(低速2分、中高速1分)、中種生地を
調製した。中種生地の捏上げ温度は、24.5℃であっ
た。次に、これを温度27.5℃、相対湿度75%の条
件下で、5時間発酵させた(発酵最終品温29.5
℃)。
【0058】(本捏生地の調製)次に、上記で得た中種
生地に、本捏配合材料を添加し、混捏した(低速3分、
中速3分、及び高速2分、捏ね上り温度:27.5
℃)。
【0059】上記混捏でダメージを受けた上記パン生地
を回復させるためにフロアータイムを28℃で60分と
った後、該生地を60gの生地に分割した。分割でダメ
ージを受けた生地を回復させるためにベンチタイムを室
温で20分とり、分割生地をモルダーで整形した。次
に、これにあんを詰めた後、温度38.5℃、相対湿度
80%に設定したホイロで、50分間発酵させた。
【0060】このようにして調製したパン生地をオーブ
ン(180℃)で8分間焼成し、あんぱんを得た。得ら
れたあんぱんを40分間室温で冷却した後、20℃で一
晩保存した後、風味、食感について評価した。その結
果、ショートニングを用いて作ったあんぱんは、口どけ
が悪く、もそもそした食感で、また風味も余り良くなか
った。またジグリセライドを含有しない乳化油脂組成物
(b)を使用した場合においても、ソフトさも充分でな
く、またパサ付きも感じられた。一方、本発明の乳化油
脂組成物(B)を使用した場合には、ソフトでしっとり
感があり、またイースト臭も感じられず、良好な風味、
食感を有していた。
【0061】(4)シュー皮での評価 以下の配合(単位:重量部)によるシュー皮を作った。 ──────────────────────────────────── 材料 配合1 配合2 配合3 配合4 ──────────────────────────────────── 強力小麦粉 20 20 20 20 薄力小麦粉 30 30 30 30 卵 200 200 200 200 重炭酸アンモニウム 1 1 1 1 重曹 0.3 0.3 0.3 0.3 水 130 100 100 100 油脂(シュークリーム用)150 140 140 140 乳化油脂組成物 B(実施例) −− 40 −− −− E(実施例) −− −− 40 −− b(比較例) −− −− −− 40 ────────────────────────────────────
【0062】(製造方法)配合量の水を沸騰させ、これ
に油脂(シュークリーム用マーガリン)(あるいはこの
油脂と乳化油脂組成物との混合物)を添加し、次いで薄
力、強力小麦粉の混合物を添加した後、攪拌した。得ら
れた混合物に、重炭酸アンモニウム及び重曹を添加した
卵液を徐々に加え、適度な粘度になるまで混捏した。得
られた生地を25gづつ天板に絞り、240℃のオーブ
ン(上火1、下火5)で約14分間焼成し、シュー皮を
製造した。得られたシュー皮を一晩20℃で保管し、シ
ュー表面の状態(外観)、食感(ソフトさ、しっとり
感)、風味(特に、卵の臭気)について、前記のパンで
の評価方法と同様な方法で評価した。結果を以下の表5
に示す。
【0063】
【表5】 表5 ──────────────────────────────────── 評価結果 添加油脂 外観、 食感 風味(卵系の臭気) ──────────────────────────────────── シュークリーム用 ± ± ± マーガリン 乳化油脂組成物 b(比較例) ± ± ± B(実施例) ± + + E(実施例) ± + + ────────────────────────────────────
【0064】上記表5に示された結果から明らかなよう
に、本発明の乳化油脂組成物(B及びE)を使用した場
合には、ソフトでしっとり感があり、また卵臭も感じら
れず、良好な食感、風味を有している。
【0065】
【発明の効果】本発明の小麦粉食品用乳化油脂組成物を
使用することにより、製造直後のソフト感やしっとり感
が更に改良され、かつこのような食感が経時的にも余り
失われることなく維持される。また食品は、きめが細か
く均一で良質なものである。更に、食品の原料から発生
する臭気も抑制され、風味良好な食品を得ることができ
る。従って、本発明の乳化油脂組成物では、乳化剤の添
加量は比較的少なくてよいが、乳化剤を通常より多量に
使用した場合でも風味の悪化が少なく、またねとつき等
の食感の悪化も少ない。そして前述した公知の乳化物
(特開平2−124052号公報等のジグリセリドを含
む乳化物)を使用した場合よりも更に良好な風味とな
る。更に本発明の乳化油脂組成物は、比較的低粘度であ
るために生地中への均一分散が容易で、非常に使用し易
く、またジグリセライドを含むために良好な保存安定性
をも有する。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 油脂、乳化剤及び水を含む水中油型乳化
    油脂組成物であって、油相中に5重量%以上のジグリセ
    ライドが含まれており、かつ水相に乳化分散されている
    油滴の平均粒子径が10μm以下であり、針入度計を用
    いた稠度が300以上であることを特徴とする小麦粉食
    品用乳化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 油滴の平均粒子径が1μm以下である請
    求項1に記載の小麦粉食品用乳化油脂組成物。
  3. 【請求項3】 ジグリセライドが油相中に30重量%以
    上含まれている請求項1又は2に記載の小麦粉食品用乳
    化油脂組成物。
  4. 【請求項4】 パン類又はケーキ類の材料と請求項1、
    2又は3に記載の乳化油脂組成物とを用いて製造された
    パン類又はケーキ類。
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WO2001012780A1 (fr) * 1999-08-13 2001-02-22 Suntory Limited Micro-organisme secretant un lipide et procede de production de ce lipide et de capsules contenant ce lipide au moyen de ce micro-organisme
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